【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による典型的な磁石は、
−取り付けられるべき対象物に対して磁束を発射する磁性材料により造られる第1セクション及び第2セクションを有する本体であって、前記第1セクション及び第2セクションは分離されており、前記本体の非磁性材料の第3セクションに取り付けられている、本体と、
−永久磁石を有するスライドと、前記永久磁石の磁極表面の反対側に取り付けられた第1磁極片及び第2磁極片を有し、
前記スライドは、前記永久磁石により発生する磁束の通路を変更できるように、前記本体に対し、第1位置と第2位置の間で移動できるように設けられる。
【0013】
本発明による典型的な磁石は、
− 前記第1セクションは、第1貫通孔部分及び第2貫通孔部分を持ち、前記第1貫通孔部分の直径が前記第2貫通孔部分の直径より小さい貫通孔と、
− 前記貫通孔の第1端部は前記本体の第4セクションによって閉鎖され、第1キャビティ部分と第2キャビティ部分から成るキャビティが前記本体の内部に形成されるように、前記貫通孔の第2端部は前記本体の前記第2セクション及び前記第3セクションによって閉鎖され、
−前記スライドは、前記貫通孔の長手方向に可動となるように前記キャビティ内に配置され、前記第1磁極片は前記貫通孔の第1端部の方向に向けられており、
− 前記磁石は、前記スライドを動かすために、前記第1及び第2キャビティ部分の内外に媒体を移動させるための手段を有し、
前記スライドの第1位置において、前記永久磁石は、前記第1磁極片の少なくとも一部及び前記第2磁極片の少なくとも少なくとも一部において、前記第1貫通孔部分の内部に位置し、前記スライドの第2位置において、前記第1磁極片の少なくとも一部が前記第1貫通孔部分の内部に位置し、前記第2磁極片が前記第1貫通孔部分の外部に位置している。
【0014】
本発明による磁石は、取付け磁石であり、その磁性状態は、スライドを本体に対して第1位置と第2位置との間で動かすことにより変えることができる。
スライドは、内部にスライドが可動に配置されているキャビティの内部に媒体を出入りさせることにより動かすことができる。第1位置及び第2位置は安定位置であり、その位置ではスライドは永久磁石により発生さされる磁界により静止状態を保つ。スライドの第1位置においては、永久磁石により発生される磁束は第1セクションによって短絡される。スライドの第2位置においては、磁束は、第1セクション及び第2セクションを通り、磁気回路に近接している対象物に伝導する。
【0015】
磁石の保持力はスライドの位置に依存する。その保持力は、スライドが第1位置にあるときは最小となり、第2位置にあるときは最大となる。スライドは第1位置と第2位置との間のいかなる位置にも位置することができるため、磁石の保持力は段階的とはならずに調節できる。その保持力は、スライドを第2位置の方向に動かすことにより、増加させることができ、第1位置の方向に動かすことにより、減少させることができる。
【0016】
スライドの第1位置において、永久磁石は、第1磁極片の少なくとも一部及び第2磁極片の少なくとも一部が第1貫通孔部分の内部に位置する。したがって、第1磁極片及び第2磁極片は、その部分的或いは全体が第1貫通孔部分の内部に位置する。第1磁極片及び第2磁極片が第1貫通孔部分の壁に接触する、或いは略接触することが好ましい。
【0017】
スライドが第1位置にあるとき、永久磁石によって発生される磁束は、第1セクションによって短絡され、このことは、一方の磁極片から他方の磁極片に向かう磁束は、主に、第1貫通孔部分を囲む第1セクションの一部を通ることを意味する。スライドの第1位置は、永久磁石が第1貫通孔部分の内部にあるとき、永久磁石の磁力がスライドを積極的に引きつける位置である。
【0018】
スライドが第1位置から第2位置へ移動したとき、永久磁石は、移動する力に対する対向力として作用し、スライドを第1位置へ引き戻そうとする。スライドの第1位置においては、磁束は主に一方の磁極片から第1セクションに向けられ、第1セクションから他方の磁極片の方向に向けられ、この方向は、必然的に第1貫通孔部分の壁に直交する方向となる。
【0019】
スライドの第2位置においては、第1磁極片の少なくとも一部は第1貫通孔部分の内部に位置し、第2磁極片は第1貫通孔部分の外部に位置する。スライドの第2位置においては、永久磁石も、また、第1貫通孔部分の外側に位置することが好ましい。スライドの第2位置においては、第2磁極片は第2セクションと接触するか、或いは、略接触することが好ましく、これにより、磁束が第2磁極片と第2セクションとの間で効率的に伝達されることとなる。
スライドの第2位置において、第1磁極片は第1貫通孔部分の壁に接触するか、或いは略接触することが好ましい。
【0020】
スライドが第2位置にあるとき、永久磁石によって発生される磁束は第1及び第2セクションを通して取り付けられる対象物に流れる。第1及び第2セクションの両方に接触して配置される対象物は、磁気回路を閉じ、これにより、磁束は、第1及び第2セクションと対象物を通し、一方の磁極片から他方の磁極片へ伝達される。スライドの第2位置においては、磁束は、主として、第1磁極片と第1セクションの間で、第1貫通孔部分の壁に対して必然的に直交する方向に、また、第2磁極片と第2セクションの間で、スライドの底部に対して直交する方向に向けられる。したがって、第2磁極片への、又は第2磁極片からの磁束の方向は、スライドの第1位置と第2位置との間では約90°の角度で回転することとなる。
【0021】
ガス又は液体とすることができる媒体を第1及び第2キャビティ部分の内外へ移動させることにより、スライドが本体に対して移動される。媒体を第1キャビティ部分内の方向へ、また、第2キャビティ部分の外に移動させることにより、スライドを第2位置の方向へ移動させることができる。媒体を第2キャビティ部分内へ、また、第1キャビティ部分の外へ移動させることにより、スライドを第1位置の方向へ移動させることができる。
【0022】
本体のキャビティは第1、第2、第3及び第4セクションによって画成される。キャビティは、第1貫通孔部分と第2貫通孔部分が互いに交わる区域によって、第1キャビティ部分と第2キャビティ部分とに分割される。第1キャビティ部分は、第1貫通孔部分の壁と第4セクションによって画成されるのが好ましい。第2キャビティ部分は、第2貫通孔部分の壁と、第2及び第3セクションによって画成されるのが好ましい。
【0023】
本体の第1及び第2セクションは、第3セクションによって互いに分離されている。第3セクションは非磁性体で造られるため、第1及び第2セクションは磁気的には分離されており、したがって、第1セクション及び第2セクション間における磁束の直接の流れは必然的に阻止される。
【0024】
第1セクションの貫通孔は、貫通孔の長軸方向に連続して位置する2つの貫通孔部分を有している。第1貫通孔部分は第4セクションによって閉鎖されており、第2貫通孔部分は第2及び第3セクションによって閉鎖されている。第2貫通孔部分の直径は第1貫通孔部分の直径より大きく、これにより、スライドが第2位置にあるとき、第1セクションを通る磁束の短絡が必然的に阻止される。第1貫通孔部分の長さは、スライドの軸方向の移動よりも長いことが好ましい。
【0025】
スライドは、第1磁極片の少なくとも1部が常に第1貫通孔部分の内部にとどまるようにして、キャビティの内部に移動可能に設けられる。したがって、スライドの移動は、第1貫通孔部分の壁によって機械的に保持されている。スライドは、スライドの全ての位置において第1貫通孔の壁に接触した状態となっていることが好ましい。
【0026】
スライドはサンドウィッチ構造を有しており、ここでは永久磁石が第1磁極片と第2磁極片との間に設けられている。第1磁極片と第2磁極片は、永久磁石の異なるポールに取り付けられ、永久磁石によって発生する磁束がそれらを伝達できるように、磁性材料で造られている。第1及び第2磁極片の磁性材料は、強磁性体、好ましくは鉄である。永久磁石は、例えば、ネオジム磁石、アルニコ磁石、或いはサマリウム−コバルト磁石である。
【0027】
本体のセクションは、種々の形とサイズを持つことができ、1又は複数の部材から形成することができる。第1、第2及び第3セクションは、第1セクションは、第2セクションを囲む第3セクションを囲むようにして互いに内部に配置される。第3セクションは、第2貫通孔の壁に固定されるスリーブとすることができる。第2セクションは、第3セクションの内部に配置されるスリーブとすることができる。第1及び第2セクションは、磁束を伝達することに適した磁性材料で造られる。第1及び第2セクションの磁性材料は、鉄、ニッケル、コバルト或いはそれらの合金のような強磁性材料である。第1セクション及び第2セクションは、同じ材料で造られることが好ましい。第3セクションは、非磁性材料で造られ、これは、樹脂、真鍮或いはアルミニウムのような常磁性体、或いは、耐酸性スチール又はステンレススチールのような反磁性材料である。貫通孔(即ち、第1貫通孔部分)の第1端部を閉鎖する第4セクションは、第1セクションに取り付けられる。この第4セクションは磁性材料又は非磁性材料で造ることができる。第4セクションは、第1セクションと同じ材料で造ることができる。
【0028】
本発明の1実施例によると、第1貫通孔部分及び第磁極片は円筒状である。好ましくは、第1磁極片の直径は第1貫通孔部分の直径より僅かに小さくされ、これにより、第1貫通孔部分の壁は、第1位置及び第2位置の間で動かされる間、スライドを効果的に支持することができる。
【0029】
第1貫通孔部分の直径は、例えば、10mm未満、10-50mm、又は200-500mmとすることができる。第1磁極片の直径は、例えば、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.1mm未満、0.01mm未満或いは第1貫通孔部分の直径より0.005-0.5mmの範囲で小さくすることができる。
【0030】
本発明の1実施例によると、第2磁極片は、円筒状である。好ましくは、第2磁極片は第1磁極片と同じ直径を持つ。
【0031】
本発明の1実施例によると、永久磁石は、1又は複数層で配置される複数の磁石片を有する。永久磁石は、例えば、セクター片の同じ極が永久磁石の同じ側に配置されるようにして1つの層で配置されるセクター片で形成される。
【0032】
セクター片の数は、例えば、2,3,4−6又は7−10とすることができる。それとは別に、永久磁石は積み重ねるようにして配置された磁石片で形成することができる。永久磁石は、強磁性体のディスクが磁石片の間に配置され、磁石片の異なる極が互いに対面するように積み重ねて配置される。
【0033】
本発明の1実施例によると、永久磁石の厚みは第1磁極片の厚さ及び第2磁極片の厚みより小さい。厚みをより厚くすると、磁束が飽和状態となることを妨げる。
【0034】
本発明の1実施例によると、永久磁石は円筒状であり、永久磁石の直径は第1磁極片及び第2磁極片の直径より小さい。永久磁石の直径をより小さくすることは、永久磁石が第1貫通孔部分の壁に永久磁石が接触することを防ぐ。
【0035】
本発明の1実施例によると、スライドは円筒状である。スライドの直径は、第1貫通孔部分の直径より僅かに小さくするのが好ましく、これにより、第1貫通孔部分の壁が、スライドが第1位置と第2位置との間を動く間、スライドを効果的に支持することを可能にする。第1貫通孔部分の直径は、例えば、10mm未満、10-50mm、50-200mm又は 200-500mmとすることができる。スライドの直径は、第1貫通孔部分の直径より小さく、例えば、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.1mm未満、 0.01mm未満、或いは、0.005-0.5mm の範囲とすることができる。スライドの長さは、例えば、3mm未満、 3-10mm、10-100mm 、或いは100-500mmの範囲とすることができる。
【0036】
本発明の1実施例によると、第2貫通孔部分は円筒状である。第2貫通孔部分の直径は、第1貫通孔部分の直径より大きく、例えば、0.5-2mm、1-5mm、 2-10mm 或いは25-300mmの範囲とすることができる。
【0037】
本発明の1実施例によると、第3セクションは、第2貫通孔部分の壁に取り付けられる中空円筒体であり、第2セクションは、第3セクションの内部壁に取り付けられている。第2セクションは、好ましくは、円筒状である。
【0038】
本発明の1実施例によっると、第3セクションの内径は第1貫通孔部分の直径と同じか或いは大きく、第3セクションの高さは、第2セクションの高さより大きい。
【0039】
本発明の1実施例によりと、第2及び第3セクションは、第2貫通孔部分の内部に位置する。
【0040】
本発明の1実施例によると、第3セクションは、貫通孔の第2端部から第1貫通孔部分へ延びる。したがって、第3セクションは、第2貫通孔部分の壁を覆う。
【0041】
本発明の1実施例によると、第1セクション及び第4セクションは、一体的構造となっている。この構造は、磁性材料の一部材を機械加工することにより製造することができる。
【0042】
本発明の1実施例によると、磁石は、スライドの周囲に取り付けられるか、或いは第1貫通孔部分の壁に取り付けられるシールリングを備える。このシールリングは、キャビティによって形成される気密空間を2つの部分に分け、それらの部分の間で媒体が流れることを阻止する。このシールリングは、十分な圧力差を生成することを容易にし、スライドを効果的に移動させることを可能にする。シールリングは、例えば、シリコン、エチレン−プロピレン、ポリウレタン、窒化−ブタジエン ゴム、或いはアセタール樹脂、或いは他の化合物で造ることができる。
【0043】
本発明の1実施例によると、シールリングは第1磁極片の溝に取り付けられる。このシールリングは、シールリングが第1貫通孔部分の内部にとどまるようにして第1磁極片に取り付けられる。
【0044】
本発明の1実施例によると、スライドはシールリングを所定の位置に保持するために第1磁極片の頂部に取り付けられるキャップを有している。このキャップはシールリングが配置されるための溝を有することができる。この溝は、第1磁極片に取り付けられるキャップの端部近傍に設けられることが好ましい。この溝は、キャップと第1磁極片の間に位置させることができる。キャップは、磁性材料又は非磁性材料で造ることができる。
【0045】
本発明の1実施例によると、媒体を第1及び第2キャビティ部分内へ出し入れするための手段は、本体に一体化した第1及び第2通路を有し、第1通路の第1端部は第1キャビティ部分に連通しており、第2通路の第1端部は第2キャビティ部分に連通している。媒体は、第1通路及び第2通路を通して、それぞれ、第1キャビティ部分及び第2キャビティ部分へ出入りする。好ましくは、第1通路の第1端部は、貫通孔の第1端部に対して設けられ、第2通路の第1端部は、貫通孔の第2端部に対して設けられる。通路の第2端部は、互いに連通しており、1のキャビティ部分から移送された媒体が他のキャビティ部分へ入るようにされている。磁石は、第1及び第2の複数の通路を有している。第1及び第2の複数の通路の数は、2−4,5−10或いは10−30とするとができる。
【0046】
本発明の1実施例によると、第1通路の第2端部と第2通路の第2端部は、磁石の外部へ開口している。したがって、第1及び第2通路は、本体を通して延びている。
【0047】
本発明の1実施例によると、媒体を第1及び第2キャビティ部分の内外に出入りさせる手段は、第1通路の第2端部及び第2通路の第2端部へ接続される空気圧或いは水力学的システムを有する。
【0048】
本発明の1実施例によると、媒体を第1及び第2キャビティ部分の内外へ出し入れするための手段は、第1通路の第2端部及び第2通路の第2端部に接続したポンプを有する。ポンプは媒体を2方向へ移送させるように構成され、これにより、媒体は第1キャビティ部分から第2キャビティ部分へ、及びその逆に移送される。媒体を第1キャビティ部分及び第2キャビティ部分の内外へ出入りさせる手段は、2つのポンプを備えることができ、第1ポンプを第1通路の第2端部へ、第2ポンプを第2通路の第2端部に接続される。媒体の種類により、ポンプは、ピストンポンプ、スクリュウポンプ、或いはギアポンプのような、水力学的ポンプ或いは空気圧ポンプとすることができる。また、媒体をキャビティ部分の内外へ出入りさせるために、通路の第2端部へ接続された存在する水力学的或いは空気圧システムを使用することも可能である。
【0049】
本発明の1実施例によと、媒体を第1キャビティ部分及び第2キャビティ部分の内外へ移送する手段は、ポンプと第1通路の第2端部の間に接続された第1パイプと、ポンプと第2通路の第2端部の間に接続された第2パイプを有する。
【0050】
本発明の1実施例によると、磁石は、ガス又は液体の媒体を有する。磁石のための好ましいガスは、例えば、空気である。磁石のための液体は、例えば、オイル及び水である。使用される液体は、スライドと第1貫通孔部分の壁との間の摩擦を減らす潤滑剤としても機能することが好ましい。
【0051】
本発明の1実施例によると、磁石は、第1セクション内の磁束密度を測定するように構成された磁束センサーと、測定された磁束密度に基づいてスライドの位置を決定する手段を有している。磁束センサーは、磁束密度に応答して電圧及び/又は電流を出力を変える変換器を意味する。第1セクション内の磁束路はスライドの位置に依存するため、スライドの位置は、磁束センサーの電圧及び/又は電流の出力により決定される。スライドの位置を決定するための手段は、例えば、磁束センサの電圧及び/又は電流の出力に対する応答として、スライドが第1位置或いは第2位置にあるかどうかを特定する出力信号を与える比較回路を有する。また、磁束センサは、スライドの位置を直接に二値出力として示すように構成してもよい。また、磁束センサは、対象物が磁石に付着したか否を検出するために使用することができる。磁束センサは、例えば、第1セクションの内部、或いは、その表面に設けることができる。
【0052】
磁石は、複数の磁束センサを有することができ、これらは、異なる空間位置及び/又は方向の磁束密度を測定するように構成される。磁束センサは、対角線方向及び/又は反対方向の磁束密度を測定するように構成することができる。磁束センサの数は、例えば、2,3或いは3より多くすることができる。
【0053】
本発明の1実施例によると、磁束センサは、ホールセンサ、AMR磁気メータ、MEMSセンサ或いはリードリレーの内の1つである。
【0054】
本発明の1実施例によると、スライドは、第2セクション内の穴に延びるガイドロッドを有する。貫通孔の長手軸方向に延びるガイドは、スライドを部分的或いは全体を通して延びるようにしてよい。ガイドロッドは、ガイドロッドの一部が常に穴内にとどまるようなサイズとされることが好ましい。ガイドロッドの目的は、スライドの移動が、貫通孔の長軸方向以外の方向に移動することを減らすことである。ガイドロッドは、非磁性材料で造られ、樹脂、真鍮又はアルミニウムのような常磁性材料、耐酸性スチール又はステンレススチールのような反磁性材料である。
【0055】
本発明の1実施例によると、本体に取り付けられたコイルを有し、このコイルは、コイルに供給される電流の方向による磁石の保持力を増加或いは減少させる磁力を発生するように構成される。コイルは、スライドが第2位置にあるとき、コイルがスライドの少なくとも一部を囲むようにして、第3セクション内に配置されることが好ましい。コイルは、スライドが第2位置にあるとき、磁石の保持力を変えるために使用されることが好ましい。
【0056】
本発明の1実施例によると、磁石は、コイルに電流を供給する手段を有している。電流を供給する手段は、例えば、制御ユニットを介してコイルに接続されるバッテリーとすることができる。制御ユニットは、コイルに供給される電流の量と方向を制御するようにされている。制御ユニットは、磁石を使用するための1又は複数の操作スイッチ、及び/又は、遠隔制御装置からの制御命令を受信するための無線受信器を有することができる。また、制御ユニットは、磁石の状態を示すための1又は複数の表示器、及び/又は遠隔制御装置に状態を伝達する無線伝送器を備えることができる。
【0057】
本発明の1実施例によると、コイルは、コイルに供給される電流の方向に依存して第1又は第2の方向に向けてスライドを動かすための磁力を発生するように構成される。スライドの位置は、一定の持続期間、大きさ及び極性を持つ電流パルスにより変えることができる。スライドを第1位置から第2位置へ、及びその逆へ動かすのに必要な電流パルスの持続期間と大きさは、磁石の構造とサイズに大きく依存する。電流パルスの極性は、スライドが動かされる方向に依存する。典型的には、電流パルスの持続期間は、30-300msである。
【0058】
本発明による磁石の有利な点は、磁石は、スライドが第1位置及び第2位置にあるときはエネルギーを消費しないことである。磁石の他の有利な点は、その磁力状態を容易に変更できることである。
【0059】
本発明による磁石の有利な点は、その保持力は無段階的に調節可能であり、その保持力は容易に調節できる点である。磁石の他の有利な点は、保持力を一定に保つためにはエネルギーを殆ど消費しないことである。
【0060】
本発明による磁石の有利な点は、小さいサイズで大きい保持力を与えることである。磁石の他の有利な点は、磁石をきわめて頑強で信頼性の高いものとする簡単な構造にある。
【0061】
本発明による磁石の有利な点は、スライドの第1位置において磁気回路が閉じているため、永久磁石の消磁が極めて低減される。磁石の他の有利な点は、磁石がオフ(OFF)状態のとき、即ち、スライドが第1位置にあるとき、保持力は最小となることである。
【0062】
本発明による磁石は、例えば、以下のようにして製造される。
第1に、磁性材料の円形ブロックの第2端部内に円形溝が機械加工され、円形溝は第2端部から第1端部に向けて延びるようにする。次に、円形溝を非磁性の液体材料で満たし、この液体材料を固形に硬化させ、第1端部から第2端部に向けてブロック内に円形溝と同心の穴を開ける。穴の直径は、少なくとも内径で、円形溝の直径より小さい。穴の深さと円形溝の深さの和は円形ブロックの厚さより大きい。次に、第2キャビティ部分のための通路が開けられ、穴の中にスライドが挿入される。最後に、第1キャビティ部分のための通路を持ち、非磁性材料で造られるカバーがブロックの第1端部に取り付けられ、穴を塞ぐ。機械加工されたブロックの内側部分は第2セクションに対応し、外側部分は第1セクションに対応し、中間部分は第3セクションに対応し、カバーは第4セクションに対応する。
【0063】
本発明は、また、本発明による磁石を用いて金属シートを扱う方法に関するものである。本発明による代表的な方法は、本発明による磁石を金属シートのスタックの最上部の金属シート上に置き、スライドを最上部の金属シートに向けて動かして磁石の保持力を増加させ、磁石を持ち上げ、金属シートの所定の数が磁石に付着した状態となるまで、スライドを金属シートの最上部から離す方向に動かすことにより保持力を減少させる。
【0064】
本発明による方法の有利な点は、金属シートのスタックから所望の数の金属シートを持ち上げることを可能とする点にある。磁石から金属シートを一枚づつ外すことができる。
【0065】
本発明の1実施例によると、本方法は、磁石の保持力を減少するステップの後、スライドを最上部の金属シートの方向へ動かすことにより磁石の保持力を再び増加させる。このことは、所定の枚数の金属シートを保持する磁石がある位置から他の位置へ移動する間、金属シートが磁石に付着した状態を維持することを確実する。
【0066】
本書面に記載された本発明の例示的実施例は、添付の特許請求の範囲の適用可能性への限定を意味するものと解釈されてはならない。本書面では、用語「有する」は記載されない特徴の存在を排除しない、「開かれた限定」として使用されている。従属請求項に記載された特徴は、特に明示的に記載されていない限り、互いに自由に組み合わせることができるものである。
【0067】
本書面に記載された例示的実施例とそれらの有利な点は、常に別々に分けて述べていなくても、磁石の適用可能部分により、本発明による方法と同様に磁石に関係するものである