【実施例1】
【0046】
[実施例1]
テルペンアルコールの存在下で細胞により産生されるVEGFの量の研究
試験原理
試験は、ヒト毛乳頭細胞(HFDPC)に対して試験された製品の効果の研究に基づく。
【0047】
この研究は、血管内皮増殖因子(VEGFアルファ)の量を評価することを可能にする。このサイトカインは、その血管新生作用について主に知られている。このサイトカインは、血管透過性を増大させ、それにより組織の灌注を増大させ、毛髪再生を生じる(ヤノ(Yano)ら, "Control of hair growth and follicle size by VEGF mediated angiogenesis", J. Clin. Invest. 2001, 107, p. 409-417)。
【0048】
VEGFは、毛細組織の血液灌注を増大させることにより、毛乳頭(follicle)の基部の栄養摂取をよりよくする。発毛にVEGFを関連付ける観察が多い。
【0049】
プロトコール
細胞を、12ウエルプレートで培養する。実験を3回反復する。1シリーズ3個の未処置のウエルは、対照として役割を果たす(DPG1%)。種々の濃度の試験製品を、集密した細胞に施し、24時間インキュベートしておく。
【0050】
インキュベーション時間の終了時に細胞により産生されるVEGFの量は、培養培地中のELISAキット(Human VEGF ELISA Development Kit、Promokine)により適量に分けられる。
【0051】
捕捉抗体を、PBS緩衝液で、0.5μg/mlの濃度で希釈する。すぐに、発明者らは、100μlのこの抗体を、ELISAプレートの各ウエルに、添加する。プレートを密閉し、その後室温で一夜インキュベートする。
【0052】
その後、プレートを、4回、洗浄緩衝液で洗浄し、その後300μlの遮断緩衝液を添加する。プレートを1時間インキュベートする。
【0053】
VEGF標準曲線を達成するために、ゼロ時点での2ng/mlの基準の希釈は行われる。
【0054】
他のウエルで、ウエル当たり100μlの試料を沈殿させ、これを3点用意する。プレートを室温で2時間インキュベートする。
【0055】
4回洗浄後、100μlの検出抗体を、1μg/mlで各ウエルに添加し、2時間インキュベートする。
【0056】
次のステップは、接合されたアビジン−HRPを入れることにある。
【0057】
30分間のインキュベーションおよび洗浄の後、ウエル当たり100μlのABTS基質を添加し、ELISAマイクロプレート読取り装置を使用し、405nmの波長で、色の出現を測定する。
【0058】
結果
試験の結果は、
図1に示される。
【0059】
種々のテルペンアルコールを、単独で、様々な濃度で試験し(セドレノール、セドロール、ネロリドールおよびビサボール)、組合せ(「カクテル」)も試験した。「カクテル」は、ネロリドール、ビサボロール、セドロールおよびセドレノールの組合せからなり、その組合せを、カクテルが最終濃度で5ppmのネロリドール、2.5ppmのα−ビサボロール、2ppmのセドロールおよび0.5ppmセドレノールを含むように、希釈した。
【0060】
縦座標に表される値は、処置された細胞により分泌されるVEGFの量と「対照」細胞により分泌される量(DPG1%)との間の比に対応する。
【0061】
提示された結果は、処置された細胞により分泌されるVEGFの量、すなわち毛髪再生に対するカクテルの相乗効果を示す。
【0062】
[実施例2]
インビトロで得られたこれらの結果を確認するために、20名の集団に対して、インビボで試験を行った。それは、本発明による組成物を含有する乳液の効果を、それを含有しない乳液のものと比較する。志願者らは、テルペンアルコールの組合せを含んだ組成物1%を含む乳液(化粧用製剤)の抗再生効果を試験した(ランダム化二重盲検で20名の志願者らで行われた臨床試験)。
【0063】
63日の期間かけて20名の志願者で試験を行った。
【0064】
試験される製品は、以下のものである:
− プラセボ(625プラセボ)、水性相(水:77.5%、グリセリン(codex glycerine−AMI)3%)、脂肪相(ステアリン酸グリセリル(cutina GMS V−AMI):2%、セテアリル(Cetearyl)アルコールおよびセテアリル(cetearyl)グルコシド(montanov68E−Seppic):3%、カプリル酸/カプロン酸トリグリセリド(myritol 318−AMI):3%、オクチルドデカノール(eutanol G−AMI):5%、Polysorbate80(eumulgin SMO20−AMI):1%)、保存剤(フェノキシエタノール−エチルヘキシルグリセリン(euxyl PE9010−Schulke):1%)、増粘剤(ポリアクリルアミドおよびC13〜14イソパラフィンおよびlaureth−7(sepigel 305−Seppic):1.5%)を含む乳液;
− 化粧用製剤(表中「749」とも表示される):化粧用組成物を1%含有するプラセボと同じ乳液であって、その化粧用組成物は、3.3%のセドレノール、13.2%のセドロール、33%ネロリドール、16%のビサボロール、16.5%のゲラニオール、16%のネロールおよび2%のシトロネロールからなるテルペンアルコールの組合せを、30.5%の量で含有する。
【0065】
試験手順
試験計画
D−21に(有効な試験の21日前)
志願者は、前日の夜から、脚になんの製品も塗布せずに実験室を訪れた。
【0066】
志願者らは、情報シート(製品使用についての指示およびその研究に対する制限)および二通の同意書を読み、署名し、日付を入れた。これらの書類は、同意書を収集する担当の者によっても署名され、日付を入れられる。志願者らは、その写しを受け取る。
【0067】
試験に責任のある技術者は、算入および不算入の基準を確認する。
【0068】
エステティシャンが、実験室でワックスを用いて脚の半分の脱毛を行う。
【0069】
毎日の追跡シートが、志願者らに配布される。
【0070】
志願者らは、以下の指示により自宅で区分される:
− 次の予約まで、脚から脱毛も毛剃りもしないこと、
− 次の予約まで、脚になんらのケア製品も塗布しないこと。
【0071】
D0に(試験の開始を示す日)
志願者らは、D−21の日から脚になんらのケア製品も塗布することなく、実験室を訪れた。最後の脱毛は、実験室への最後の訪問の日(21日前)である。志願者らは、毎日の追跡シートをその研究に責任のある技術者に提示した。
【0072】
各脚での研究領域を画定し(処置される領域および未処置の領域)、Videomicroscope Hirox(登録商標)でその領域の各々の画像の収集を進める。
【0073】
エステティシャンは、実験室でワックスを用いて脚の半分の脱毛を続行する。
【0074】
毎日の追跡シートおよび研究される製品を、分配する。
【0075】
志願者らは、指示で彼らの家で分けられる:
− 次の予約まで、脚から脱毛も毛剃りもしないこと、
− 研究される製品を(計画されたランダム化に従って)1日2回(朝晩)脚に塗布すること。
【0076】
D21およびD42に(それぞれ、試験の開始から21日後および42日後)
志願者らは、研究の当日朝に脚になんらのケア製品も塗布することなく実験室に訪れた。最後の脱毛は、実験室への最後の訪問日(21日前)である。志願者らは、毎日の追跡シートをその研究に責任のある技術者に提示した。
【0077】
エステティシャンが、実験室でワックスを用いて脚の半分の脱毛を行う。
【0078】
志願者らは、以下の指示により自宅で区分される:
− 次の予約まで、脚から脱毛も毛剃りもしないこと、
− 研究される製品を(計画されたランダム化に従って)1日2回(朝晩)脚に塗布すること。
【0079】
D63に(試験の開始から23日後)
志願者らは、研究の当日朝に脚になんらのケア製品も塗布することなく実験室に訪れた。最後の脱毛は、実験室への最後の訪問日(21日前)である。
【0080】
志願者らは、毎日の追跡シートならびに残りの製品を、その研究に責任のある技術者に提示した。
【0081】
再配置層を使用してD−21に画定した領域を識別し、Videomicroscope Hirox(登録商標)でその領域の各々の画像の収集を進める。
【0082】
志願者らは、主観的評価質問表を完了した。
【0083】
研究の原理:
研究される領域は、ビデオ顕微鏡を使用して可視化する。それは、10倍対物レンズを備え、画像収集コンピュータシステムと連結された可動式光学ファイバー・可変式対物レンズの顕微鏡である。
【0084】
対物レンズは、接触することなく、研究される領域の正面に直接設置される。1600万色の画像を、コンピュータスクリーンで見ることができる。
【0085】
達成された画像収集は、およそ14cm
2の領域を網羅しうる。この画像の加工は、Photoshop(登録商標)ソフトウエアにより達成される。
【0086】
各研究について、正確な研究される表面を決定するために使用される標準画像(standard picture)(グラフ用紙)を使用して較正を行う。
【0087】
評価されるパラメーターは、毛髪密度(cm
2当たりの毛髪の総数)、毛髪再生の速度(日当たりmmで)および以下の尺度に従った評点による、毛髪の濃さ変化(D63およびD0の間)である。
【表1】
【0088】
データ分析
データ分析:
分析されるパラメーターは、
− 毛髪密度(数/cm
2)、
− 再生の速度(mm/日で)、
− 毛髪の濃さ変化(評点)
である。
【0089】
計算式
研究された種々のパラメーターの総変化(A)および百分率(A%)表示の平均は、以下の式:
ΔZT=(ZT
ti−ZT
t0)およびΔZNT=(ZNT
ti−ZNT
t0)
【数1】
を使用して計算された。
ここで:
ZT:処置された領域で得られる値、
ZNT:未処置の領域で得られる値、
t0:塗布前、
ti:塗布後の様々な測定時間。
【0090】
注釈:
変化百分率(Δ%)は、未処置の領域の変化(ZNT
ti−ZNT
t0)と比べた処置された領域の変化(ZT
ti−ZT
t0)の百分率を表す:
(ZT
ti−ZT
t0)−(ZNT
ti−ZNT
t0)
【0091】
これらの変化は、処置と無関係に、t0とtiの間の可能性のあるドリフトで補正した初期値ZT
t0(塗布前)に加重される。
このドリフトは、未処置の領域における変化(ZNT
ti−ZNT
t0)で評価される:
ZT
t0+(ZNT
ti−ZNT
t0)
【0092】
したがって、この表現(Δ%)は、未処置の領域の変動(処置と無関係)を考慮しながら、初期状態(ZT
t0)に比べた処置された各領域の変化率(%)を示す。
【0093】
測定された値は、総量値の表に要約される。これらの表は、記述統計:平均、中央値、最小、最大、平均値の標準誤差(SEM)および95%信頼区間(IC95%)も表す。
【0094】
同様に、総変化、変化率、記述統計量および統計結果(p)は、変化の表で表される。
【0095】
統計学的方法
統計学的分析は、試験された製品の作用下での変化の有意性を決定することを可能にする。
【0096】
比較は、様々な評価時間で、処置された領域および未処置の領域で得られる値の塗布前の値との比較に焦点を当てる。
【0097】
使用される検定は、対データに関するStudentのt検定である。適用の条件は、標本のランダム性および簡潔性ならびにその差の母集団の正規性である。
【0098】
検定の原理は、処置された領域および未処置の領域に対する平均作用間に差がない(d=0)というゼロ仮説(H0)、ならびにその両領域間に差(d<>0)があるとする代替仮説H1(発明者らの研究仮説)を立てることである。
【0099】
次いで、発明者らは、ゼロ仮説が真実である場合に観察されたものと少なくとも同程度に大きい、時間同士の間の偏差を観察する確率pを決定する。
【0100】
− p≦5%である場合、発明者らはゼロ仮説を拒絶する。その後、発明者らは、その領域の間の有意差に関する代替仮説H1を受け入れる。
【0101】
− p>5%である場合、発明者らはゼロ仮説を受け入れる。データは、その領域の間の有意差を示すことは可能でなかった。
【0102】
結果
毛髪の抗再生効果
個々の結果は、以降の表に表される。
【0103】
研究されるパラメーターは、
− 毛髪密度(数/面積)
− 発毛の速度(mm/日)
− 毛髪の濃さ(評点)
である。
【0104】
これらのパラメーターの少なくとも1つの減少は、毛髪再生の減少に対する製品の効果を特徴づける。
【0105】
結果の要約が、以降に表される。
【0106】
毛髪密度の評価
【表2】
【0107】
この研究の条件下で:
− 製品「625プラセボ」は、毛髪密度の有意でない減少(p=0.455)を平均で−8%まで誘発した。志願者らの55%で減少が観察された。
− 本発明の相乗的組合せを含む化粧用製剤(製品「749」)は、毛髪密度の有意な減少(p=0.007)を平均で−19%まで誘発した。志願者らの75%で減少は観察された。
【0108】
毛髪再生の速度の評価
【表3】
【0109】
この研究の条件下では、製品「625プラセボ」および本発明の相乗的組合せを含む化粧用製剤(「749」)は、毛髪再生の速度における有意な減少を誘発しなかった。
【0110】
毛髪の濃さの評価
【表4】
【0111】
凡例:
−1:薄い毛髪
0:同じ毛髪の濃さ
+1:濃い毛髪
【0112】
この研究の条件下では、製品「625:プラセボ」および本発明の相乗的組合せを含む化粧用製剤(「749」)は、毛髪の濃さにおける有意な減少を誘発しなかった。