特許第6562932号(P6562932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6562932毛髪再生を阻止するトイレタリー化合物の新規使用
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  • 特許6562932-毛髪再生を阻止するトイレタリー化合物の新規使用 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562932
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】毛髪再生を阻止するトイレタリー化合物の新規使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20190808BHJP
   A61Q 7/02 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61Q7/02
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-550742(P2016-550742)
(86)(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公表番号】特表2017-505332(P2017-505332A)
(43)【公表日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】FR2015050283
(87)【国際公開番号】WO2015118272
(87)【国際公開日】20150813
【審査請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】14/50922
(32)【優先日】2014年2月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506377259
【氏名又は名称】ロベルテ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペガール アンソニー
【審査官】 田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−133936(JP,A)
【文献】 特開2005−015408(JP,A)
【文献】 特開平08−081336(JP,A)
【文献】 米国特許第06132756(US,A)
【文献】 特開2007−145738(JP,A)
【文献】 特開平11−106321(JP,A)
【文献】 特開平06−135821(JP,A)
【文献】 特開2000−336017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪再生を減少させる、4種から7種のテルペンアルコールの組合せであって、前記4種から7種のテルペンアルコールは、少なくとも4種のセスキテルペンアルコールを含み、前記4種のセスキテルペンアルコールが、セドレノール、セドロール、ネロリドールおよびビサボロールαである、4種から7種のテルペンアルコールの組合せ。
【請求項2】
請求項1に記載の組合せであって、前記テルペンアルコールが、ゲラニオール、ビサボロール、シトロネロール、ネロール、テルピネオール、リナロール(linalol)、メントール、プレゴール、カルベオール、ピノカンフェオール、ミルセノール、イソプレゴール、ファルネソール、ランセオール、サンタロール、ベティベロール(vetiverol)、ビリジフロロール、バレリアノール、ツメロール(tumerol)、パチュロール、オッシドール、ヌートカトール、ジンコヘレモール、ハナミオール、グアヤコール(guaicol)、ゲルマクラジエノール、ホキエノール、オイデスモール、カジノール、またはこれらの分子の立体異性体から選択される物質を含むことを特徴とする組合せ。
【請求項3】
請求項1に記載の組合せであって、5%のセドレノール、20%のセドロール、50%のネロリドールおよび25%のビサボロールαを含み、百分率が、前記組合せの重量に対する重量で表されることを特徴とする組合せ。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の組合せであって、前記4種から7種のテルペンアルコールは、ゲラニオール、ネロールおよびシトロネロールを含むことを特徴とする組合せ。
【請求項5】
請求項に記載の組合せであって、3.3%のセドレノール、13.1%のセドロール、32.8%のネロリドール、16.4%のビサボロールα、16.4%のゲラニオール、16.4%のネロールおよび1.6%のシトロネロールを含むことを特徴とする組合せ。
【請求項6】
請求項に記載の組合せを含むことを特徴とする化粧用組成物であって、前記セスキテルペンアルコールが、以下の量:前記組成物の総重量に対して少なくとも0.5ppmのセドレノール、少なくとも2ppmのセドロール、少なくとも5ppmのネロリドールおよび少なくとも2.5ppmのビサボロールαで存在し、前記組成物が、特に匂いのある化合物、抗酸化剤および/または有機溶媒から選択される少なくとも1つの他の化合物を含むことを特徴とする化粧用組成物。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の組合せまたは請求項に記載の組成物を含む化粧用製剤であって、薬学的および皮膚科学的に許容しうる賦形剤をさらに含むことを特徴とする化粧用製剤。
【請求項8】
請求項に記載の化粧用製剤であって、0.4ppmから10%の間の、請求項1からのいずれか1項に記載の組合せ、または0.1%から10%の間の、請求項に記載の組成物を含み、百分率が、製剤の総重量に対して表されることを特徴とする化粧用製剤。
【請求項9】
請求項またはに記載の化粧用製剤であって、ローション、ゲル、クリーム、ポマード、またはフォームの形態であることを特徴とする化粧用製剤。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載の組合せ、請求項に記載の組成物、または請求項からのいずれか1項に記載の化粧用製剤の化粧的使用であって、好ましくは除毛後に毛髪再生を減少させるためであることを特徴とする化粧的使用。
【請求項11】
毛髪再生を減少させる方法であって、毛髪再生の減少が望まれる皮膚領域を選択すること、および請求項からのいずれか1項に記載の化粧用製剤を、毛髪再生を減少させるのに十分な量で、前記領域に塗布することを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記皮膚領域が、顔、脚、恥骨、胸、腕または腋窩に位置することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、哺乳動物における毛髪再生に対する、特に化粧目的の組合せ、および前記毛髪の再生を減少するためのその使用である。
【背景技術】
【0002】
ヒトにおいて、我々は、本質的に化粧の理由で、体の様々な部分における毛髪再生を排除または減少することを求める。
【0003】
毛剃り、電気分解、除毛剤クリームまたはローション、ワックス処理、脱毛および治療用抗アンドロゲン薬を含め、種々の処理が、望ましくない毛髪を除去するために使用されてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの従来の処理は、それらに関連した欠点を一般的に有する。例えば、毛剃りは、切り傷およびかき傷を引き起こす可能性があり、毛髪再生の速度における増大の知覚を残す可能性がある。他方、電気分解は、処置された領域を長期間、毛髪なしのままに保つことができるが、高価で、痛みがある可能性があり、しばしば傷痕を残す。非常に有効ではあるが、除毛剤クリームは、それらの潜在的な刺激が高いため、頻繁な使用については一般的に推奨されない。ワックス処理および引き抜きは、疼痛、不快および短い長さの毛髪の除去を乏しくすることを引き起こす可能性がある。最後に、女性の多毛症を処置するために使用されてきた抗アンドロゲン薬は、有害な副作用を有する可能性がある。
【発明の効果】
【0005】
驚くべきことに、4種から7種のテルペンアルコールの相乗的組合せであって、4種のセスキテルペンアルコールを含む相乗的組合せは、特に除毛後に毛髪再生に対する相乗的作用をもたらすことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例1の試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の目的は、望ましくない毛髪の再生に対する相乗的組合せ、および特に除毛後の相乗的組合せの使用である。
【0008】
本発明による組合せは、テルペンアルコールの組成物である。それは、4種から7種のテルペンアルコールからなり、有効成分として、少なくとも4種のセスキテルペンアルコールを含む。
【0009】
本発明による組合せは、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種のテルペンアルコールを含む。
【0010】
本発明による組合せのテルペンアルコールは、モノテルペン、セスキテルペンまたはジテルペンアルコールから選択され、これらは、イソプレン単位を含む化合物であり、それらが含有するイソプレノイド単位の数に基づいて分類されうる。例えば、モノテルペンアルコールは、2つのイソプレン単位(C10)、セスキテルペンアルコールは3つ(C15)、およびジテルペンアルコールは4つ(C20)からなる。テルペンアルコールは、香料に使用される抽出物(例えば、エッセンシャル油、花香油(concrete)、レジノイド、アブソリュート;香気成分、アロマまたは薬剤として使用される超臨界または化学的に合成されたCO抽出物)中に存在する有機化合物の部類と特に定義される。
【0011】
純粋なまま使用されるか、または天然の抽出物に含有されるテルペンアルコールの中で、発明者らは、セドレノール、セドロール、ゲラニオール、ネロリドール、ビサボロール、シトロネロール、ネロール、テルピネオール、リナロール、メントール、プレゴール、カルベオール、ピノカンフェオール、ミルセノール、イソプレゴール、ファルネソール、ランセオール、サンタロール、ベティベロール(vetiverol)、ビリジフロロール、バレリアノール、ツメロール(tumerol)、パチュロール、オッシドール、ヌートカトール、ジンコヘレモール、ハナミオール、グアヤコール(guaicol)、ゲルマクラジエノール、ホキエノール、オイデスモール、カジノール、またはこれらの分子の光学異性体もしくは立体異性体を見出している。
【0012】
特定の実施態様では、組合せは、以下の4種のセスキテルペンアルコール:セドレノール、セドロール、ネロリドールおよびビサボロールαを含む。
【0013】
例えば、組合せは、組合せの総重量に対して、5%のセドレノール、20%のセドロール、50%のネロリドールおよび25%のビサボロールαを含みうる。
【0014】
別の実施態様では、本発明の組合せは、セドレノール、セドロール、ネロリドール、ビサボロールα、ゲラニオール、ネロールおよびシトロネロールからなる。
【0015】
特定の方式では、本発明の組合せは、3.3%のセドレノール、13.1%のセドロール、32.8%のネロリドール、16.4%のビサボロール アルファ、16.4%のゲラニオール、16.4%のネロールおよび1.6%のシトロネロールからなる。
【0016】
本発明の目的は、本発明による組合せ、ならびに少なくとも別の化合物、例えば少なくとも1つの匂いのある化合物、少なくとも1つの抗酸化剤および/または少なくとも1つの有機溶媒を含む化粧用組成物でもある。
【0017】
匂いのある化合物は、美容術の分野の当業者に周知である。
【0018】
これらの化合物は、多様な化合物の部類で存在するが、一般的に、水に不溶性の揮発性化合物である。これらの匂いのある化合物は、植物抽出物、例えばエッセンシャル油、アブソリュート、レジノイド、CO抽出物または合成製品に配置される。これらの化合物は、消費者により認識されうる心地よい匂いを提供するのに十分な量で組成物中に存在する。
【0019】
使用されるのに適当な溶媒も、当業者に周知であり、例として、DPG、エタノール、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンゾイル、クエン酸トリエチルまたはフタル酸ジエチルを挙げることができる。
【0020】
使用されるのに適当な抗酸化剤も、当業者に周知であり、例として、トコフェロール、BHT、Trolox(登録商標)を挙げることができる。
【0021】
本発明の特定の実施態様によれば、組成物は、組成物の総重量に対して、0.5ppmのセドレノール、2ppmのセドロール、5ppmのネロリドールおよび2.5ppmのビサボロールを含む。
【0022】
本発明の特定の実施態様では、組成物は、組成物の総重量に対して400ppmから100%の組合せ、好ましくは1%から35%の組合せを含む。
【0023】
本発明の別の実施態様によれば、組成物は、特定の実施態様で3.3%のセドレノール、13.1%のセドロール、32.8%のネロリドール、16.4%のビサボロールα、16.4%のゲラニオール、16.4%のネロールおよび1.6%のシトロネロールを含有する、少なくとも30.5重量%のテルペンアルコールの組合せを含む。
【0024】
本発明は、本発明による組合せまたは本発明による組成物を含み、皮膚科学的にもしくは化粧用として許容しうる賦形剤をさらに含む化粧用製剤にも関する。
【0025】
皮膚科学的にまたは化粧用として許容しうる賦形剤は、当業者に周知である。
【0026】
本発明による化粧用製剤は、例えば、ポマード、ローション、フォーム、クリーム、ゲル、溶液、水中油型または油中水型エマルジョン、軟膏、ボディーオイルなどの形態で、化粧品または皮膚科学製品でもよい。
【0027】
化粧用製剤は、髭剃り製剤または髭剃り後ローションの形態でもよい。
【0028】
本発明による化粧用製剤は、本発明による組成物が封入された形態のローションまたは溶液の形態も取りうる。本発明による組成物は、リポソーム、グリコスフェア(glycosphere)、シクロデキストリン型ベクターに、カイロミクロン、マクロ−、ミクロ−、ナノ−粒子ならびにマクロ−、ミクロ−およびナノカプセルに組み込まれうる他、さらに、粉末化された有機重合体、タルク、ベントナイトおよび他の鉱物支持体に吸着されることもありうる。
【0029】
本発明による化粧用製剤は、適切な賦形剤、例えばセルロースエステルまたは他のゲル化剤(例えばカーボポール、(ポリアクリレート)セピノブ、グアーガムなど)を含むゲルの形態を取りうる。
【0030】
本発明による化粧用製剤は、0.1%から20%の間の本発明による組成物を含む。
【0031】
本発明の別の態様では、本発明による化粧用製剤は、0.4ppmから10%の間、好ましくは0.1%から3%の間、さらに好ましくは0.1%から1.5%の間の本発明1〜6による組合せ、または0.1%から10%の間、好ましくは0.1%から3%の間、さらに好ましくは0.1%から1.5%の間の本発明による組成物を含み、その百分率は、製剤の総重量に対して表される。
【0032】
例えば、本発明の特定の実施態様では、化粧用製剤は、本発明によるテルペンアルコールの組合せおよび溶媒、例えばDPG(ジプロピレングリコール)、エタノール、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンゾイル、クエン酸トリエチルまたはフタル酸ジエチルを含む1%の組成物を含む乳液である。
【0033】
化粧用製剤は、テルペンアルコールの透過を促進する成分を任意選択で含み得る。透過改善剤の例は、尿素、ポリオキシエチレン(例えば、Brij−30およびLaureth−4)、3−ヒドロキシ−3,7,11−トリメチル−1,6,10−ドデカトリエン、cis−脂肪酸(例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸)、アセトン、ラウロカプラム、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドン、オレイル(oleyl)アルコール、グリセリル−3−ステアレート(glyceryl-3-stearate)、プロパン−2−オール、ミリスチン酸イソプロピルエステル、コレステロールおよびプロピレングリコールを含む。
【0034】
透過促進剤は、例えば、0.1重量%から20重量%、好ましくは0.5重量%から5重量%の濃度で、添加されうる。
【0035】
本発明による化粧用製剤は、美容術における最近の使用の添加剤またはアジュバント、例えば、抗微生物剤も、さらに抽出または合成脂質、ゲル化および増粘(viscosifying)重合体、界面活性剤および乳化剤、水溶性または脂溶性の有効成分、植物抽出物、組織抽出物、海洋抽出物、合成活性剤も含有しうる。
【0036】
本発明による化粧用製剤は、それらの作用に基づいて、例えば、痩身効果、抗セルライト効果、ファーミング効果、保湿効果、アンチエイジング効果、抗微生物活性、抗酸化剤活性、ヒーリング効果、引締め効果、抗しわ効果、キレート化活性、錯体化および封鎖活性、鎮静効果、コンシーラー効果、抗発赤効果、皮膚軟化活性、除毛剤活性、細胞再生に寄与する活性、炎症反応を調節する活性、または顔の長円形の維持に寄与する活性から、さらに日焼け保護、抗刺激活性、細胞栄養摂取、細胞呼吸、抗脂漏処置、抗再生活性または皮膚の色合いについて選択される他の追加の有効成分も含みうる。
【0037】
本発明による化粧用製剤が、追加の有効成分を含有する場合、これらは、それらの活性を行いうるように十分に高い濃度で一般的に存在する。
【0038】
本発明による化粧用製剤は、好ましくは毎日使用され、日に1回または数回塗布される。
【0039】
実際に、本発明の目的は、好ましくは除毛後、毛髪再生を減少させるための、上述の化粧用製剤または組成物の化粧的使用でもある。
【0040】
特に、本発明の1つの態様によれば、化粧的使用は、本発明の相乗的組合せの0.1%から10%、好ましくは化粧用組合せの0.1%から3%、好ましくは1重量%を含む製剤の使用に対応し、百分率は、製剤の総重量に対して表される。
【0041】
本発明の目的は、毛髪再生を減少させる方法であって、毛髪再生の減少が望ましい皮膚領域の選択、および毛髪再生を減少するのに十分な量で、上述の化粧用製剤のまたは組成物の前記領域への塗布を含む方法でもある。
【0042】
皮膚領域は、特に、顔、脚、恥骨、胸、腕または腋窩にありうる。
【0043】
使用者により受け入れうる結果が得られるまで、この使用を更新しうる。
【0044】
本発明による製剤は、非常に十分に耐容性があり、毒性を示さず、皮膚に塗布した場合、長期間の間、全身作用を示さない。
【0045】
本発明は、以下の実施例により非限定的に例示される。
【実施例1】
【0046】
[実施例1]
テルペンアルコールの存在下で細胞により産生されるVEGFの量の研究
試験原理
試験は、ヒト毛乳頭細胞(HFDPC)に対して試験された製品の効果の研究に基づく。
【0047】
この研究は、血管内皮増殖因子(VEGFアルファ)の量を評価することを可能にする。このサイトカインは、その血管新生作用について主に知られている。このサイトカインは、血管透過性を増大させ、それにより組織の灌注を増大させ、毛髪再生を生じる(ヤノ(Yano)ら, "Control of hair growth and follicle size by VEGF mediated angiogenesis", J. Clin. Invest. 2001, 107, p. 409-417)。
【0048】
VEGFは、毛細組織の血液灌注を増大させることにより、毛乳頭(follicle)の基部の栄養摂取をよりよくする。発毛にVEGFを関連付ける観察が多い。
【0049】
プロトコール
細胞を、12ウエルプレートで培養する。実験を3回反復する。1シリーズ3個の未処置のウエルは、対照として役割を果たす(DPG1%)。種々の濃度の試験製品を、集密した細胞に施し、24時間インキュベートしておく。
【0050】
インキュベーション時間の終了時に細胞により産生されるVEGFの量は、培養培地中のELISAキット(Human VEGF ELISA Development Kit、Promokine)により適量に分けられる。
【0051】
捕捉抗体を、PBS緩衝液で、0.5μg/mlの濃度で希釈する。すぐに、発明者らは、100μlのこの抗体を、ELISAプレートの各ウエルに、添加する。プレートを密閉し、その後室温で一夜インキュベートする。
【0052】
その後、プレートを、4回、洗浄緩衝液で洗浄し、その後300μlの遮断緩衝液を添加する。プレートを1時間インキュベートする。
【0053】
VEGF標準曲線を達成するために、ゼロ時点での2ng/mlの基準の希釈は行われる。
【0054】
他のウエルで、ウエル当たり100μlの試料を沈殿させ、これを3点用意する。プレートを室温で2時間インキュベートする。
【0055】
4回洗浄後、100μlの検出抗体を、1μg/mlで各ウエルに添加し、2時間インキュベートする。
【0056】
次のステップは、接合されたアビジン−HRPを入れることにある。
【0057】
30分間のインキュベーションおよび洗浄の後、ウエル当たり100μlのABTS基質を添加し、ELISAマイクロプレート読取り装置を使用し、405nmの波長で、色の出現を測定する。
【0058】
結果
試験の結果は、図1に示される。
【0059】
種々のテルペンアルコールを、単独で、様々な濃度で試験し(セドレノール、セドロール、ネロリドールおよびビサボール)、組合せ(「カクテル」)も試験した。「カクテル」は、ネロリドール、ビサボロール、セドロールおよびセドレノールの組合せからなり、その組合せを、カクテルが最終濃度で5ppmのネロリドール、2.5ppmのα−ビサボロール、2ppmのセドロールおよび0.5ppmセドレノールを含むように、希釈した。
【0060】
縦座標に表される値は、処置された細胞により分泌されるVEGFの量と「対照」細胞により分泌される量(DPG1%)との間の比に対応する。
【0061】
提示された結果は、処置された細胞により分泌されるVEGFの量、すなわち毛髪再生に対するカクテルの相乗効果を示す。
【0062】
[実施例2]
インビトロで得られたこれらの結果を確認するために、20名の集団に対して、インビボで試験を行った。それは、本発明による組成物を含有する乳液の効果を、それを含有しない乳液のものと比較する。志願者らは、テルペンアルコールの組合せを含んだ組成物1%を含む乳液(化粧用製剤)の抗再生効果を試験した(ランダム化二重盲検で20名の志願者らで行われた臨床試験)。
【0063】
63日の期間かけて20名の志願者で試験を行った。
【0064】
試験される製品は、以下のものである:
− プラセボ(625プラセボ)、水性相(水:77.5%、グリセリン(codex glycerine−AMI)3%)、脂肪相(ステアリン酸グリセリル(cutina GMS V−AMI):2%、セテアリル(Cetearyl)アルコールおよびセテアリル(cetearyl)グルコシド(montanov68E−Seppic):3%、カプリル酸/カプロン酸トリグリセリド(myritol 318−AMI):3%、オクチルドデカノール(eutanol G−AMI):5%、Polysorbate80(eumulgin SMO20−AMI):1%)、保存剤(フェノキシエタノール−エチルヘキシルグリセリン(euxyl PE9010−Schulke):1%)、増粘剤(ポリアクリルアミドおよびC13〜14イソパラフィンおよびlaureth−7(sepigel 305−Seppic):1.5%)を含む乳液;
− 化粧用製剤(表中「749」とも表示される):化粧用組成物を1%含有するプラセボと同じ乳液であって、その化粧用組成物は、3.3%のセドレノール、13.2%のセドロール、33%ネロリドール、16%のビサボロール、16.5%のゲラニオール、16%のネロールおよび2%のシトロネロールからなるテルペンアルコールの組合せを、30.5%の量で含有する。
【0065】
試験手順
試験計画
D−21に(有効な試験の21日前)
志願者は、前日の夜から、脚になんの製品も塗布せずに実験室を訪れた。
【0066】
志願者らは、情報シート(製品使用についての指示およびその研究に対する制限)および二通の同意書を読み、署名し、日付を入れた。これらの書類は、同意書を収集する担当の者によっても署名され、日付を入れられる。志願者らは、その写しを受け取る。
【0067】
試験に責任のある技術者は、算入および不算入の基準を確認する。
【0068】
エステティシャンが、実験室でワックスを用いて脚の半分の脱毛を行う。
【0069】
毎日の追跡シートが、志願者らに配布される。
【0070】
志願者らは、以下の指示により自宅で区分される:
− 次の予約まで、脚から脱毛も毛剃りもしないこと、
− 次の予約まで、脚になんらのケア製品も塗布しないこと。
【0071】
D0に(試験の開始を示す日)
志願者らは、D−21の日から脚になんらのケア製品も塗布することなく、実験室を訪れた。最後の脱毛は、実験室への最後の訪問の日(21日前)である。志願者らは、毎日の追跡シートをその研究に責任のある技術者に提示した。
【0072】
各脚での研究領域を画定し(処置される領域および未処置の領域)、Videomicroscope Hirox(登録商標)でその領域の各々の画像の収集を進める。
【0073】
エステティシャンは、実験室でワックスを用いて脚の半分の脱毛を続行する。
【0074】
毎日の追跡シートおよび研究される製品を、分配する。
【0075】
志願者らは、指示で彼らの家で分けられる:
− 次の予約まで、脚から脱毛も毛剃りもしないこと、
− 研究される製品を(計画されたランダム化に従って)1日2回(朝晩)脚に塗布すること。
【0076】
D21およびD42に(それぞれ、試験の開始から21日後および42日後)
志願者らは、研究の当日朝に脚になんらのケア製品も塗布することなく実験室に訪れた。最後の脱毛は、実験室への最後の訪問日(21日前)である。志願者らは、毎日の追跡シートをその研究に責任のある技術者に提示した。
【0077】
エステティシャンが、実験室でワックスを用いて脚の半分の脱毛を行う。
【0078】
志願者らは、以下の指示により自宅で区分される:
− 次の予約まで、脚から脱毛も毛剃りもしないこと、
− 研究される製品を(計画されたランダム化に従って)1日2回(朝晩)脚に塗布すること。
【0079】
D63に(試験の開始から23日後)
志願者らは、研究の当日朝に脚になんらのケア製品も塗布することなく実験室に訪れた。最後の脱毛は、実験室への最後の訪問日(21日前)である。
【0080】
志願者らは、毎日の追跡シートならびに残りの製品を、その研究に責任のある技術者に提示した。
【0081】
再配置層を使用してD−21に画定した領域を識別し、Videomicroscope Hirox(登録商標)でその領域の各々の画像の収集を進める。
【0082】
志願者らは、主観的評価質問表を完了した。
【0083】
研究の原理:
研究される領域は、ビデオ顕微鏡を使用して可視化する。それは、10倍対物レンズを備え、画像収集コンピュータシステムと連結された可動式光学ファイバー・可変式対物レンズの顕微鏡である。
【0084】
対物レンズは、接触することなく、研究される領域の正面に直接設置される。1600万色の画像を、コンピュータスクリーンで見ることができる。
【0085】
達成された画像収集は、およそ14cmの領域を網羅しうる。この画像の加工は、Photoshop(登録商標)ソフトウエアにより達成される。
【0086】
各研究について、正確な研究される表面を決定するために使用される標準画像(standard picture)(グラフ用紙)を使用して較正を行う。
【0087】
評価されるパラメーターは、毛髪密度(cm当たりの毛髪の総数)、毛髪再生の速度(日当たりmmで)および以下の尺度に従った評点による、毛髪の濃さ変化(D63およびD0の間)である。
【表1】
【0088】
データ分析
データ分析:
分析されるパラメーターは、
− 毛髪密度(数/cm)、
− 再生の速度(mm/日で)、
− 毛髪の濃さ変化(評点)
である。
【0089】
計算式
研究された種々のパラメーターの総変化(A)および百分率(A%)表示の平均は、以下の式:
ΔZT=(ZTti−ZTt0)およびΔZNT=(ZNTti−ZNTt0
【数1】
を使用して計算された。
ここで:
ZT:処置された領域で得られる値、
ZNT:未処置の領域で得られる値、
t0:塗布前、
ti:塗布後の様々な測定時間。
【0090】
注釈:
変化百分率(Δ%)は、未処置の領域の変化(ZNTti−ZNTt0)と比べた処置された領域の変化(ZTti−ZTt0)の百分率を表す:
(ZTti−ZTt0)−(ZNTti−ZNTt0
【0091】
これらの変化は、処置と無関係に、t0とtiの間の可能性のあるドリフトで補正した初期値ZTt0(塗布前)に加重される。
このドリフトは、未処置の領域における変化(ZNTti−ZNTt0)で評価される:
ZTt0+(ZNTti−ZNTt0
【0092】
したがって、この表現(Δ%)は、未処置の領域の変動(処置と無関係)を考慮しながら、初期状態(ZTt0)に比べた処置された各領域の変化率(%)を示す。
【0093】
測定された値は、総量値の表に要約される。これらの表は、記述統計:平均、中央値、最小、最大、平均値の標準誤差(SEM)および95%信頼区間(IC95%)も表す。
【0094】
同様に、総変化、変化率、記述統計量および統計結果(p)は、変化の表で表される。
【0095】
統計学的方法
統計学的分析は、試験された製品の作用下での変化の有意性を決定することを可能にする。
【0096】
比較は、様々な評価時間で、処置された領域および未処置の領域で得られる値の塗布前の値との比較に焦点を当てる。
【0097】
使用される検定は、対データに関するStudentのt検定である。適用の条件は、標本のランダム性および簡潔性ならびにその差の母集団の正規性である。
【0098】
検定の原理は、処置された領域および未処置の領域に対する平均作用間に差がない(d=0)というゼロ仮説(H0)、ならびにその両領域間に差(d<>0)があるとする代替仮説H1(発明者らの研究仮説)を立てることである。
【0099】
次いで、発明者らは、ゼロ仮説が真実である場合に観察されたものと少なくとも同程度に大きい、時間同士の間の偏差を観察する確率pを決定する。
【0100】
− p≦5%である場合、発明者らはゼロ仮説を拒絶する。その後、発明者らは、その領域の間の有意差に関する代替仮説H1を受け入れる。
【0101】
− p>5%である場合、発明者らはゼロ仮説を受け入れる。データは、その領域の間の有意差を示すことは可能でなかった。
【0102】
結果
毛髪の抗再生効果
個々の結果は、以降の表に表される。
【0103】
研究されるパラメーターは、
− 毛髪密度(数/面積)
− 発毛の速度(mm/日)
− 毛髪の濃さ(評点)
である。
【0104】
これらのパラメーターの少なくとも1つの減少は、毛髪再生の減少に対する製品の効果を特徴づける。
【0105】
結果の要約が、以降に表される。
【0106】
毛髪密度の評価
【表2】
【0107】
この研究の条件下で:
− 製品「625プラセボ」は、毛髪密度の有意でない減少(p=0.455)を平均で−8%まで誘発した。志願者らの55%で減少が観察された。
− 本発明の相乗的組合せを含む化粧用製剤(製品「749」)は、毛髪密度の有意な減少(p=0.007)を平均で−19%まで誘発した。志願者らの75%で減少は観察された。
【0108】
毛髪再生の速度の評価
【表3】
【0109】
この研究の条件下では、製品「625プラセボ」および本発明の相乗的組合せを含む化粧用製剤(「749」)は、毛髪再生の速度における有意な減少を誘発しなかった。
【0110】
毛髪の濃さの評価
【表4】
【0111】
凡例:
−1:薄い毛髪
0:同じ毛髪の濃さ
+1:濃い毛髪
【0112】
この研究の条件下では、製品「625:プラセボ」および本発明の相乗的組合せを含む化粧用製剤(「749」)は、毛髪の濃さにおける有意な減少を誘発しなかった。
図1