特許第6562941号(P6562941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノーティ‐クラフト・ピーティワイ・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6562941-船舶用ドッキング制御 図000002
  • 特許6562941-船舶用ドッキング制御 図000003
  • 特許6562941-船舶用ドッキング制御 図000004
  • 特許6562941-船舶用ドッキング制御 図000005
  • 特許6562941-船舶用ドッキング制御 図000006
  • 特許6562941-船舶用ドッキング制御 図000007
  • 特許6562941-船舶用ドッキング制御 図000008
  • 特許6562941-船舶用ドッキング制御 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562941
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】船舶用ドッキング制御
(51)【国際特許分類】
   B63B 1/14 20060101AFI20190808BHJP
   B63B 39/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B63B1/14
   B63B39/00
【請求項の数】21
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-558238(P2016-558238)
(86)(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公表番号】特表2016-539861(P2016-539861A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】AU2014001118
(87)【国際公開番号】WO2015085352
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年12月8日
(31)【優先権主張番号】2013904833
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】516175722
【氏名又は名称】ノーティ‐クラフト・ピーティワイ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NAUTI‐CRAFT PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ロングマン,マイケル・ジェイムズ
【審査官】 中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−526448(JP,A)
【文献】 特表2013−529155(JP,A)
【文献】 特表2005−535495(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02483401(GB,A)
【文献】 国際公開第2013/174886(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0213288(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/00 − 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多胴船の少なくともサスペンションシステムを制御する制御システムであって、
前記船舶は、シャシー部と、前記シャシー部に対して移動可能な少なくとも二つの船殻とを含み、
前記サスペンションシステムは、前記少なくとも二つの船殻の上方で前記シャシーの少なくとも一部の支持を行い、
前記サスペンションシステムは、調節可能支持体と、前記調節可能支持体の支持力及び/又は変位の調節を可能とする少なくとも一つのモータと、を含み、
前記制御システムは、固定されたオブジェクト又は浮遊するオブジェクトと前記船舶の前記シャシー部との間のフェンダ部への摩擦力を示す少なくとも一つの信号を受信するフェンダ摩擦力入力を含み、かつ
前記フェンダ摩擦力入力に応じて、前記制御システムは、前記フェンダ部への前記摩擦力を減少させる、又は小さくするために、前記シャシー部と前記少なくとも二つの船殻との間の前記支持力及び/又は変位を調節するように配置される制御システム。
【請求項2】
さらに、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトと前記船舶の前記シャシー部との間の前記フェンダ部への摩擦力を示す前記少なくとも一つの信号を提供する少なくとも一つのフェンダ摩擦力センサを含む請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記フェンダ部は、前記船舶の前記シャシーに設けられる請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
さらに、前記船舶の前記シャシーと前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトとの間の反力を示す信号を受信する少なくとも一つのフェンダ反力入力を含む請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記少なくとも一つのフェンダ摩擦力入力と前記少なくとも一つのフェンダ反力入力とによって受信される前記信号に依存して推進力を増加する又は減少させる請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記調節可能支持体は、前記フェンダ部への前記摩擦力を減少させる、又は小さくするために調節される請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
前記調節可能支持体は、左前部調節可能支持体、右前部調節可能支持体、左後部調節可能支持体及び右後部調節可能支持体である四つの調節可能支持体を含む請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
前記少なくとも二つの船殻は、左方船殻及び右方船殻であり、
前記左前部調節可能支持体及び前記左後部調節可能支持体は、前記左方船殻上で長手方向に離間され、
前記右前部調節可能支持体及び前記右後部調節可能支持体は、前記右方船殻上で長手方向に離間される請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記少なくとも二つの船殻は、左前方船殻、右前方船殻、左後方船殻及び右後方船殻であり、
前記左前部調節可能支持体又は前記右前部調節可能支持体はそれぞれ、前記シャシー部の前方部分と前記それぞれの船殻との間に配置され、
前記左後部調節可能支持体又は前記右後部調節可能支持体はそれぞれ、前記シャシー部の後方部分と前記それぞれの船殻との間に位置される請求項7に記載の制御システム。
【請求項10】
前記船舶の前方端部又は後方端部が、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに隣接するときに、
前記制御システムは、前記シャシー部が縦揺れすることを許しながら、前記フェンダ部における垂直力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記左前部支持体及び前記右前部支持体、並びに/又は、前記左後部支持体及び前記右後部支持体を調節する請求項7に記載の制御システム。
【請求項11】
前記船舶の左舷又は右舷が、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに隣接するときに、
前記制御システムは、前記シャシー部が横揺れすることを許しながら、前記フェンダ部における垂直力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記左前部支持体及び前記左後部支持体、並びに/又は、前記右前部支持体及び前記右後部支持体を調節する請求項7に記載の制御システム。
【請求項12】
前記フェンダは、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに設けられる請求項1に記載の制御システム。
【請求項13】
船舶のシャシー部を制御する方法であって、
前記船舶は、シャシー部と、少なくとも二つの船殻と、前記少なくとも二つの船殻の上方で前記シャシーの少なくとも一部の支持を行うサスペンションシステムと、サスペンション制御システムと、を含み、
前記サスペンション制御システムは、繋留モードを含む、少なくとも二つの動作のモードを含み、
前記繋留モードに入る、又は前記繋留モードから出るときを決定するステップを含み、
前記繋留モードにおいて、
前記船舶の前記シャシーと固定されたオブジェクト又は浮遊するオブジェクトとの間のフェンダ部への摩擦力を示す少なくとも一つの信号を受信するステップと、
前記少なくとも一つの信号に応じて、前記フェンダ部への前記摩擦力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記サスペンションシステムを調節するステップと、を含む方法。
【請求項14】
記繋留モードに入る、又は前記繋留モードから出るときを決定する前記ステップ
モードセレクタの繋留モード位置を検出することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記フェンダ部での前記船舶の前記シャシーと前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトとの間の反力を感知するステップを含む請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記繋留モードに入る、又は前記繋留モードから出るときを決定する前記ステップは、前記フェンダでの前記反力を前記繋留モードに入るための値及び前記繋留モードを出るための値と比較することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フェンダ部における垂直力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記サスペンションシステムを調節する前記ステップは、
前記シャシー部と前記船舶の前記少なくとも二つの船殻との間の前記縦揺れ姿勢を調節すること含む請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記フェンダ部における前記垂直力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記サスペンションシステムを調節する前記ステップは、
前記船舶の前記少なくとも二つの船殻に対して前記シャシー部の上下揺れ姿勢を調節することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記フェンダ部における前記垂直力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記サスペンションシステムを調節する前記ステップは、
前記シャシー部と前記船舶の前記少なくとも二つの船殻との間の横揺れ姿勢を調節すること含む請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記フェンダは、前記船舶の前記シャシーに設けられる請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記フェンダは、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに設けられる請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャシー部と、一つ以上の船殻とを有する船舶用サスペンションシステムの改良に関し、具体的には、シャシーが固定されたオブジェクト又は浮遊するオブジェクトに対して繋留されるときのサスペンションシステムの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
一つ以上の船殻に対して、少なくとも部分的に、シャシー部を弾性的に、及び/又は調節可能に支持するためにサスペンションシステムを組み込む多くの船舶が知られている。
出願人の米国特許出願公開第2013/0233225号明細書及び米国特許出願公開第2013/0233226号明細書は、多胴船用の相互接続サスペンションシステムの様々な配置を示し、米国特許出願公開第2013/0213288号明細書は、代替的なタイプの制御アクチュエータを記述している。出願人の国際公開第2013/181699号は、主に双胴船に適するサスペンション形状を開示しており、国際公開第2014/153600号は、ジャイロスコープスタビライザを利用するシャシー部の安定化を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0233225号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0233226号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0213288号明細書
【特許文献4】国際公開第2013/181699号
【特許文献5】国際公開第2014/153600号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャシー部のサスペンションを設けたこれらの先進の船舶のいずれも、たとえば現在、従来の包囲型トンネルが固定式の双胴船が、風力タービンをそれぞれ支持する土台やパイロンに人員及び部品をフェリーで運ぶために最も頻繁に使用される、商業的沖合風力発電所において運行されていない。船舶がパイロンに到着すると、船舶とパイロンとの間の相対運動を減少させるために、船舶は、十分な摩擦力を発生するために船舶の船首をパイロンの側部に押し込むことによってパイロンと繋留される。人員は、それから、ほとんど相対運動がなさそうなときを判断し、船舶とパイロンとの間をできるだけ迅速に移動しなければならない。この移動活動は、海況が悪化すると、リスクが増加する。
【0005】
これらの移動の安全性を向上させるために、弾性的に懸架されたシャシー部を有する多胴船を使用することが提案されている。パイロンに繋留された船舶の安定状態性能の向上が大きくなればなるほど、安全性マージンが大きくなり、支援作業が実行されることができる日数が多くなり、及び/又は支援船舶が小さくなり、それによって沖合風力発電所の安全性と効率とが向上する。
【0006】
したがって、懸架されたシャシーを組み込む船舶の制御システムを提供し、その制御システムが、パイロンとシャシーの少なくとも一部との間の相対運動を最小することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、多胴船の少なくともサスペンションシステムを制御する制御システムであって、前記船舶は、シャシー部と、前記シャシー部に対して移動可能な少なくとも二つの船殻とを含み、前記サスペンションシステムは、前記少なくとも二つの船殻の上方で前記シャシーの少なくとも一部の支持を行い、前記サスペンションシステムは、調節可能支持体(たとえば、水圧ラム、空気圧スプリング及び/又は電磁アクチュエータ)と、前記調節可能支持体の支持力及び/又は変位の調節を可能とする少なくとも一つのモータと、を含み、前記制御システムは、固定されたオブジェクト又は浮遊するオブジェクトと前記船舶の前記シャシー部との間のフェンダ部への摩擦力を示す少なくとも一つの信号を受信するフェンダ摩擦力入力を含み、かつフェンダ摩擦力入力に応じて、前記制御システムは、前記フェンダ部への前記摩擦力を減少させる、又は小さくするために、前記シャシー部と前記少なくとも二つの船殻との間の前記支持力及び/又は変位を調節するように配置される制御システムが提供される。
【0008】
少なくとも一つのフェンダ摩擦力センサが、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトと前記船舶の前記シャシー部との間の前記フェンダ部への摩擦力を示す前記少なくとも一つの信号を供給するために設けられてもよい。
【0009】
前記フェンダは、前記船舶の前記シャシーに設けられてもよい。
【0010】
前記制御システムは、さらに、前記船舶の前記シャシーと前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトとの間の反力を示す信号を受信する少なくとも一つのフェンダ反力入力を含んでもよい。たとえば、前記反力は、前記摩擦力に対して垂直であってもよく、及び/又は前記フェンダの測定された圧縮から生成されてもよい。前記制御システムは、前記少なくとも一つのフェンダ摩擦力入力と前記少なくとも一つのフェンダ反力入力とによって受信された前記信号に依存して推進力を増加又は減少してもよい。たとえば、前記摩擦力の大きさが、前記反力の大きさの所定のパーセンテージよりも大きい場合は、前記推進力は増加されることができる。同様に、前記摩擦力の時間平均の大きさが、前記反力の大きさの所定のパーセンテージよりも小さい場合は、前記推進力は減少されることができる。
【0011】
前記調節可能支持体は、前記フェンダ部への前記摩擦力を減少させる、又は小さくするために調節されてもよい。
【0012】
前記調節可能支持体は、左前部調節可能支持体、右前部調節可能支持体、左後部調節可能支持体、及び右後部調節可能支持体の四つの調節可能支持体を含むことができる。
【0013】
前記少なくとも二つの船殻は、左方船殻及び右方船殻であってもよく、前記左前部調節可能支持体及び前記左後部調節可能支持体は、前記左方船殻上で長手方向に離間されてもよく、前記右前部調節可能支持体及び前記右後部調節可能支持体は、前記右方船殻上で長手方向に離間されてもよい。
【0014】
あるいは、前記少なくとも二つの船殻は、左前方船殻、右前方船殻、左後方船殻及び右後方船殻であってよく、前記左前部調節可能支持体又は前記右前部調節可能支持体はそれぞれ、前記シャシー部の前方部分と前記それぞれの船殻との間に配置されてもよく、前記左後部調節可能支持体又は前記右後部調節可能支持体はそれぞれ、前記シャシー部の後方部分と前記それぞれの船殻との間に位置されてもよい。
【0015】
前記船舶の前方端部又は後方端部が、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに隣接するときに、前記制御システムは、前記シャシー部が縦揺れすることを許しながら、前記フェンダ部における垂直力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記左前部支持体及び前記右前部支持体、及び/又は前記左後部支持体及び前記右後部支持体を調節してもよい。たとえば、前記船舶の船首が前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに隣接している場合に、前記シャシー部の縦揺れ姿勢は、前記左前部支持体及び前記右前部支持体の変位を調節することによって、あるいは前記左後部支持体及び前記右後部支持体とは反対方向に前記左前部支持体及び前記右前部支持体の変位を調節することによって調節されてもよい。
【0016】
前記船舶の左舷又は右舷が、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに隣接するときに、前記制御システムは、前記シャシー部が横揺れすることを許しながら、前記フェンダ部における垂直力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記左前部支持体及び前記左後部支持体、及び/又は前記右前部支持体及び前記右後部支持体を調節してもよい。たとえば、前記船舶の前記左舷が、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに隣接している場合に、前記シャシー部の前記横揺れ姿勢は、前記左前部支持体及び前記左後部支持体の変位を調節することによって、あるいは前記右前部支持体及び前記右後部支持体とは反対の方向に前記左前部支持体及び前記左後部支持体の変位を調節することによって調節されてもよい。
【0017】
前記フェンダは、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに設けられてもよい。
【0018】
本発明の第二の態様によれば、船舶のシャシー部を制御する方法であって、前記船舶は、シャシー部と、少なくとも二つの船殻と、前記少なくとも二つの船殻の上方で前記シャシーの少なくとも一部の支持を行うサスペンションシステムと、サスペンション制御システムと、を含み、前記サスペンション制御システムは、繋留モードを含む、少なくとも二つの動作のモードを含み、前記繋留モードに入る、又は前記繋留モードから出るときを決定するステップを含み、前記繋留モードにおいて、前記方法は、前記船舶の前記シャシーと固定されたオブジェクト又は浮遊するオブジェクトとの間のフェンダ部への摩擦力を示す少なくとも一つの信号を受信するステップと、前記少なくとも一つの信号に応じて、前記フェンダ部への前記摩擦力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記サスペンションシステムを調節するステップと、を含む方法が提供される。
【0019】
記繋留モードに入る、又は前記繋留モードから出るときを決定する前記ステップは、モードセレクタの繋留モード位置を検出することを含んでもよい。
【0020】
本方法は、さらに、前記フェンダ部での前記船舶の前記シャシーと前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトとの間の反力を感知するステップを含んでいてもよい。たとえば、前記反力は、前記摩擦力に対して垂直であってもよく、及び/又は前記フェンダの測定された圧縮から生成されてもよい。
【0021】
代替的に、又は追加的に、前記繋留モードに入る、又は前記繋留モードから出るときを決定する前記ステップは、前記フェンダでの前記反力を少なくとも一つの最小値と比較することを含んでもよい。たとえば、前記少なくとも一つの最小値は、前記繋留モードに入る値あってもよいし、前記繋留モードを出る値であってもよく、前記繋留モードに入る値は、前記繋留モードを出る値よりも大きい。
【0022】
前記フェンダ部における垂直力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記サスペンションシステムを調節する前記ステップは、前記シャシー部と前記船舶の前記少なくとも二つの船殻との間の前記縦揺れ姿勢を調節すること含む。たとえば、前記船舶の前記船首が、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに隣接している場合に、前記船舶が左方船殻と右方船殻を有する双胴船である場合は、前記シャシー部の前記縦揺れ姿勢は、前記左方船殻及び前記右方船殻の平均縦揺れ姿勢に対して調節され得る。
あるいは、前記船舶が二つの前方船殻及び二つの後方船殻を有する四胴船である場合は、前記シャシー部の縦揺れ姿勢は、前記二つの前方船殻と前記シャシー部との間の力又は負荷を増加し、かつ、前記二つの後方船殻と前記シャシー部との間の力又は負荷を減少することによって(逆もまた同様)、前記少なくとも二つの船殻に対して調節され得る。
【0023】
代替的に、又は追加的に、前記フェンダ部における前記垂直力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記サスペンションシステムを調節する前記ステップは、前記船舶の前記少なくとも二つの船殻に対して前記シャシー部の上下揺れ姿勢を調節することを含んでもよい。
【0024】
あるいは又は加えて、前記フェンダ部における前記垂直力を減少させる、又は実質的に除去するために、前記サスペンションシステムを調節する前記ステップは、前記シャシー部と前記船舶の前記少なくとも二つの船殻との間の横揺れ姿勢を調節すること含んでもよい。たとえば、前記船舶の前記舷が、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに隣接している場合に、前記船舶が左方船殻と右方船殻を有する双胴船である場合は、前記シャシー部の前記横揺れ姿勢は、前記左方船殻と前記シャシー部との間の力又は距離を増加し、かつ、前記右方船殻と前記シャシー部との間の力又は距離を減少することによって(逆もまた同様)、前記左方船殻と前記右方船殻に対して調節され得る。あるいは、前記船舶が二つの左方船殻及び二つの右方船殻を有する四胴船である場合は、前記シャシー部の前記横揺れ姿勢は、前記二つの左方船殻と前記シャシー部との間の力又は距離を増加し、かつ、前記二つの右方船殻と前記シャシー部との間の力又は距離を減少することによって(逆もまた同様)、前記少なくとも二つの船殻に対して調節されることができる。
【0025】
前記フェンダは、前記船舶の前記シャシーに設けられる、又は代替的に前記フェンダは、前記固定されたオブジェクト又は前記浮遊するオブジェクトに設けられてもよい。
【0026】
本発明は、本発明の一つ以上の特徴を組み込み且つ添付の図面に描かれるように多数の特定の実施形態の以下の記載からより容易に理解される。他の配置や実施形態が可能であり、それによって、添付の図面及びその記述の提供が本発明の上記記述の範囲を制限すると取られるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】パイロンに対して繋留された、サスペンションが組み込まれた多胴船の概略側面図である。
図2図1の船舶の部分平面図である。
図3図1の一部分の部分図である。
図4】本発明の実施形態に係る制御システムを含む船舶の概略図である。
図5】第一の調節済み位置にある図1の船舶の概略側面図である。
図6】第二の調節済み位置にある図1の船舶の概略側面図である。
図7】第三の調節済み位置にある図1の船舶の概略側面図である。
図8】第四の調節済み位置にある図1の船舶の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、図1を参照すると、サスペンションが組み込まれた船舶1が示されており、当該船舶は、パイロン又は土台又は他の固定されたオブジェクト又は浮遊するオブジェクト2に隣接している。水面3は、長短波長が船殻の縦揺れにほとんど影響を及ぼさないので、単純化のために平らに示される。
【0029】
前記船舶は、本体又はシャシー部10と、少なくとも一つの船殻11とを有し、この船殻11は、シャシー10に対して、船殻11の鉛直運動、すなわち上下揺れと縦揺れを許容するために、前部リーディングアーム12のようなサスペンション構造によって配置される。一般的に、このタイプの船舶は、双胴船であり、すなわち左方船殻及び右方船殻を有し、図1では右方船殻11のみが見える。このタイプの船舶は、出願人の国際公開第2013/181699号に記載されており、その詳細は、参照によって本明細書に組み込まれる。サスペンションシステムは、また、船殻11、並びに、シャシー10の前方部分及び後方部分の間に、前部アクチュエータ13と後部アクチュエータ14とを含む。アクチュエータの配置と相互接続との例は、出願人の米国特許出願公開第2013/0233225号明細書と、米国特許出願公開第2013/0233226号明細書と、オーストラリア仮出願番号第2014904806号に見つけられ、そして、さらに代替的なアクチュエータの使用が、米国特許出願公開第2013/0213288号明細書に開示されており、それらすべての詳細は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0030】
船舶1とパイロン2との間で人々及び/又は荷物を移動するときに、これら二つの間での相対運動を制限又は防止することが好適である。図示の例では、図2の平面図に見られるように、梯子21は、パイロン2の本体20の側部に固定されるとともに、前記梯子は、当該梯子の各側方において鉛直ポール22によって保護される。このタイプの配置の場合、前記船舶の成形フェンダ部16をポール22に対して当接するために、推進システム15の推力を使用することが一般的であり、フェンダ16の形状は、パイロンに対する前記船舶の多少の横方向での位置決めを提供するように構成されるとともに、しばしば、当該船舶のシャシー10と梯子21との間での人員の移動によって踏まれる部分を含む。
【0031】
甲板上、又は甲板上全体の位置を一定の高さ又は位置に維持するための制御システムの使用も知られている。しかしながら、船舶1と、パイロン2のようなオブジェクトとの間で接触が生じ、かつ保持されるときに、従来の制御システムの使用では、接触点が鉛直に移動することが制限されるので、非常に不適切である。柔軟な縦揺れ剛性を有するサスペンションシステムを使用することが可能であり、これによって、前記船舶のシャシーとポールとの間の垂直な、大きな摩擦力の大きさが減少され、安全な移行が支援される。図3は、前記船舶と前記パイロンとの間に(シャシー10のフェンダ部16からポール22への)反力Fと摩擦力Fとを有する、パイロン2に対する船舶1の前方部を示す。この例では、フェンダ部16は、前記船舶の一部であり、それにより、摩擦力センサと反力センサとを容易に組み込むことができる。これらのセンサは、複数の歪ゲージや変位センサを良好に備えることができ、それらの出力は、摩擦力信号や反力信号を提供するために処理される。反力センサは、代替として、フェンダ16の長手方向の圧縮の単純な測定であってもよい。
【0032】
図面全体を通して、等価な部品は、類似の符号が与えられる。
【0033】
図4は、左前方船殻41、右前方船殻42、左後方船殻43及び右後方船殻44を有する四胴船の制御システム40を示し、前記船殻の各々は、ウイッシュボーン又は他の適切なサスペンション構造によって本体45に接続される。シャシー部10は、各ウイッシュボーンとシャシーとの間で、一対の平行アクチュエータ13又は14によって、前方船殻及び後方船殻の上方で支持されているが、単一のアクチュエータが使用されてもよい。各対のうちの一方のアクチュエータは横方向に接続され、相互接続されたアクチュエータの前方対及び相互接続されたアクチュエータの後方対を形成する。ポンプ46は、相互接続されたアクチュエータの前方対と相互接続されたアクチュエータの後方対との間で流体が通流されることができるように設けられ、ポンプは、シャシー10の縦揺れ姿勢を調節することができるように、双方向型であり、可逆モータ47によって駆動される。制御システム40は、フェンダ摩擦センサ49、サスペンションシステム変位及び/又は圧力センサ50、シャシーの姿勢を検出できる加速度計51及び船首高さセンサ52のような多数のセンサからの入力を受信できる電子制御ユニット48を含む。この例では四胴船に関して示されているが、制御システム40は、図1から図3の双胴船への使用に対しても全く同様である。
【0034】
図1から図3における双胴船のサスペンションシステムの制御に戻ると、摩擦力が測定され、かつ制御システムへの入力として使用される場合に、サスペンションは、摩擦力を小さくするように制御されることができ、それによって、シャシー10とポール22との間のずれに対して非常に大きな安全マージンを提供する。
【0035】
たとえば、船舶ポール接触の動的シミュレーションは、サンプルの船舶に対して四つの状態、従来の(すなわち、サスペンションがロックされた)状態、パッシブソフト縦揺れサスペンション状態、接触までのアクティブ高さ制御状態及びアクティブ力制御状態で実行された。4.8秒周期の+/−300mm波が船舶へ正面から入力され、かつ推進システムの推力は50%に設定された。
【0036】
従来の船舶ポール接触シミュレーションでは、サスペンションは、従来の固定船殻の双胴船に対する、自由な比較を可能とするために強固にロックされた。水は船殻と本体との間を流れることができるので、これは、包囲型トンネルを有する従来の双胴船よりも、より良好な結果をなお提供する。従来の船舶がポールと接触した後に、船舶のシャシーのフェンダが、初期ポール接触位置から安定状態位置に350mm高くスリップすると、約3秒後に高さに初期の揺れが生じ、その結果、ポールに対して船首の上方への高さオフセットとなる。従来の船舶モデルに対する安定状態摩擦力揺れは13kNである。
【0037】
パッシブソフト縦揺れ船舶ポール接触シミュレーションでもまた、船舶がポールに接触した後に、初期接触位置から安定状態位置まで、約250mm高くポール上で(約30%、より小さいが)鉛直なスリップが生じる。安定状態摩擦力揺れも同様に約30%減少されて9kNになる。サスペンションシステムの縦揺れ剛性は、たとえば、出願人の上記参照された従来の公開明細書から知られるように、横揺れ剛性よりも低い。
【0038】
オブジェクト(すなわち、パイロン)に対する船首高さを測定し、かつ、これを時間について平均化することによって、設定ポイントが選択されることができ、そして、シャシーの船首高さは、シャシーがポールに接触するときに、この設定ポイントに能動的に制御されることができる。接触されると直ちにアクティブ船首高さ制御が、非活動状態にされることができ、かつ、サスペンションシステムの縦揺れ追従は、波を吸収できる。このシミュレーションでは、ポール22に対するシャシー10の無視できるずれがある。この場合のために、6kNの、又は従来の船舶シミュレーションの前記力揺れの50%未満の、安定状態摩擦力揺れがある。
【0039】
しかしながら、ポールとの接触に先立って、アクティブ船首高さ制御を使用することに加えて、制御システムはそれからアクティブ力制御に切り替わる、すなわち、この例では、シャシーとパイロンとの間の摩擦力に依存してサスペンションシステムの縦揺れモードを制御すると、最も安全な接触が可能である。この場合でもまた、ポール22に対するシャシー10の無視できるずれが生じるが、最も大切なことは、安定状態摩擦力揺れは、たった2kN又は従来の船舶シミュレーションの前記力揺れの約15%に減少されることである。明らかに、シャシーの船首とパイロン2のポール22との間の最小限の運動が提供されるのみならず、顕著な安全マージンが提供される。
【0040】
波の高さが、各波の周期で、パイロンに対してシャシーがスリップする振幅に上昇し、かつ、安定状態位置を保持できない場合に、従来の船舶制限波振幅は325mmであり、パッシブソフト縦揺れ船舶制限波振幅は425mmであり、接触までの制御を有するアクティブ船首高さ船舶は500mmの制限波振幅を有し、制御入力として摩擦力を使用するアクティブ力制御船舶は600mm又は従来の船舶の波高さの約二倍の制限波振幅を有する。
【0041】
上記のモデル化された例では、シャシーは、シャシー10のフェンダ部16がパイロン20上のポール22との接触の固定位置を維持する、図5図6に示されるような縦揺れをすることが許容される。図4の制御システムは、シャシーが縦揺れを許容することができるこのタイプの制御を提供する。シャシーと、パイロンのようなオブジェクトとの間の接触に先立って、船首高さセンサ52は、オブジェクトに対する船首高さを測定するために使用されることができ、それから、平均船首高さが、船首高さ設定ポイントを決定するために使用されることができる。ポンプ46は、シャシー10のフェンダ16がパイロン20のポール22と繋留されるまで船首高さを設定ポイントに維持するために、電子制御ユニット48とモータ47とによって動作されることができる。アクチュエータがストローク限界に達したときに、上下又は代替的特性を包含する船首高さ制御を提供するために、加速度計51、並びに/又は、サスペンションシステム変位及び/又は圧力センサ50を使用することも可能である。船舶がポールに接触すると、フェンダ反力センサ(図示せず)は、船首高さが上へ又は下へ調節されることが必要か否か、及び、もしそうならばどの程度調節されるかを決定するために、フェンダ摩擦力センサ49からの出力を取り出して、接触反力が制御アルゴリズムを船首高さ制御から摩擦力制御に変更するに十分であることを決定するために使用されることができる。また、ポンプ46は、シャシー10のフェンダ16がパイロン20のポール22に繋留される間に、縦揺れ力又は船殻とシャシー部との間の変位を提供し、フェンダ摩擦力を減少させるように、調節可能支持体13及び14を調節するために電子制御ユニット48及びモータ47によって動作されることができる。
【0042】
このように前記シャシーの縦揺れを許容することによって、水面3の高さの変化の大きな振幅に対して船首が安定高さに維持されることができ、縦揺れの代わりに、図7及び図8に示されるように、シャシー部10を平らに、すなわち水平に維持することにより、乗客快適性を向上し、水面の高さ変化の振幅を減少させる。固定船殻の双胴船を使用することによって前記船舶の何らかの縦揺れを生じるので、制御システムが、ドッキング制御の中にシャシーの上下揺れとともに、少なくともいくらかの縦揺れを組み込むことは、快適性の見地から許容されることができ、かつ性能の見地から有利であることができる。
【0043】
船舶のシャシーに固定される代わりに、フェンダは、代替的に、パイロンに固定されてもよく、たとえば、パイロン負荷履歴システムの一部を形成することができ、摩擦信号及び/又は反力信号は、船舶制御システムによって入力として使用するために送信されることができる。
【0044】
制御システムは、サスペンションシステムが船舶のシャシーとパイロンのポールとの間のフェンダでの少なくとも摩擦力に依存して制御される、ドッキングモード又は繋留モードを含むことができる。モードセレクタのようなユーザ制御入力は、船舶がパイロンと繋留されたことを決定するために、摩擦力の感知又は反力の好ましい感知を初期化するために使用されることができる。モードセレクタは、スイッチ又はタッチスクリーンでの入力又は任意の他の入力デバイスであることができる。あるいは、繋留モードは、反力を単独で、又は推進力、スピード又はGPS位置のような他の入力と組み合わせて使用して検出されることができる。
【0045】
摩擦力が、とりわけ、反力の関数であるので、摩擦力が高い、又は反力の所定の割合、すなわち、反力の45、50、60及び約75%を超える、範囲を通過する揺れである場合に、高い安全性マージンを維持するために、反力を増加することが好ましい。船舶の推進システムの推力は、反力を増加するために、したがって船舶動作の安全性マージンを増加するために、制御システムによって調節されることができる。同様に、最大摩擦力が、反力の所定の割合(すなわち閾値)約20又は30%よりも少ない場合に、船舶の推進システムの推力は、反力を減少させるために、したがって船舶動作の効率を増加するために、制御システムによって調節されることができる。これらの閾値は、人の移送があるか否か又は船舶が移送の準備をしているか否かによって変化してもよい。たとえば、船舶の操縦士又は移送部近くの船舶のデッキ上の人は、ボタン又は他の入力デバイスを押すことができる、又は自動センサは、移送活動を検出でき、移送が行われている間、閾値、すなわち、安全性マージンを増加するために選ぶことができるが、船舶は、移送を準備しながら、燃料効率閾値を使用して動作できる。
【0046】
船舶が、パイロンから離れるように引き下がる、又はパイロンとの接触を失うときに、反力センサのような一つ又は複数のセンサはこれを検出することができ、摩擦力に応じて繋留モードから自動的に出る。
【0047】
制御システムは、たとえば、ドッキングに先立つ船首高さ制御モード及び海況やスピードに依存する複数の遷移モードである可能性がある少なくとも一つの遷移モードのような、サスペンション制御の他のモードを含んでいてもよい。
【0048】
サスペンションシステムのアクチュエータは、独立した若しくは相互接続された水圧又は空気圧ラム若しくは電磁アクチュエータ又は調節可能支持体の任意の他の既知の形態であることができる。少なくとも一つのモータは、調節可能支持体の調節、すなわち、水圧又は空気圧モータやリニア電気モータを駆動するために設けられなければならない。コイルばねや空気ばねのような追加の支持体が設けられてもよい。調節可能支持体が調節されるときに、これらの支持体は長さを変化でき、すなわち、シャシー部と少なくとも二つの船殻との間の変位を引き起こすことができ、又はこれらの支持体は力を変化でき、すなわち、支持力は、入力と他の支持体とに依存して、変位して又は変位することなく、変化する。
【0049】
サスペンションシステムは、船殻の上方でシャシー部の支持体のすべてを提供できる、あるいは、たとえば、シャシー部が水巻き込み船殻部を含む場合、サスペンションシステムは、船殻に対してシャシー部の部分支持体のみを提供する。
【0050】
本発明は、双胴船に関して説明したが、大部分の実施形態において、調節可能支持体は、四つの調節可能支持体、すなわち、左前部調節可能支持体、右前部調節可能支持体、左後部調節可能支持体及び右後部調節可能支持体を含むが、他の数の船殻を有する船舶に適用されることができる。各調節可能支持体は、一つ以上のアクチュエータ又は弾性支持体を備えることができる。たとえば、双胴船では、左前部調節可能支持体は、直接的に、又はサスペンションアームを介して間接的に、左方船殻とシャシー部との間に接続された左後部調節可能支持体から長手方向に離間されている。同様に、右前部調節可能支持体及び右後部調節可能支持体は、右方船殻上で長手方向に離間されており、両方は、右方船殻とシャシーとの間で直接的に又は間接的に接続されている。前部(左前部及び右前部)調節可能支持体は、シャシーの前方部分の少なくとも部分的な支持を提供するとともに、後方部調節可能支持体は、シャシーの後方部分の少なくとも部分的な支持を提供する。
【0051】
本発明の摩擦力に基づいた制御システムは、左前部調節可能支持体が左前方船殻とシャシー部との間に接続され、右前部調節可能支持体が右前方船殻とシャシー部との間に接続され、左後部調節可能支持体が左後方船殻とシャシー部との間に接続され、かつ右後部調節可能支持体が右後方船殻とシャシー部との間に接続される四胴船に適用されることができる。
【0052】
図面の上記記載は、パイロン又は他の固定されたオブジェクト又は浮遊するオブジェクトと接触する船舶の船首の例を説明したが、その説明は、船尾がパイロン又は他の固定されたオブジェクト又は浮遊するオブジェクトと接触しても使用されることができる。同様に、船舶の左舷又は右舷がシャシーとパイロン又は他の固定されたオブジェクト又は浮遊するオブジェクトとの間にドッキング領域を含むことができる。ドッキング領域が、船舶の左舷又は右舷である場合、シャシーは、図5図6における例の縦揺れの代わりに横揺れが許容される。当業者には明白であるように、変更及び変形は、本発明の範囲内にあるとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8