【実施例】
【0048】
方法
CLL患者
ヘルシンキ宣言に従って、ウェールズ地方東南部の研究倫理委員会(LREC#02/4806)によって承認されるように、184人の同意患者CLLから末梢血試料を得た。CLLは、臨床基準並びに、細胞形態、および軽鎖再構成の制限を同時に表示するリンパ球におけるCD19およびCD5の共発現によって定義した。総合的な臨床情報は、5.8年の追跡期間中央値を持つすべての患者について利用可能であった。すべての試料は、カーディフおよびバーミンガムの2つのセンターから診断時または診断時に近い時に採取し、ステージ分類はビネー分類システム
24に基づいた。CLL患者コホートの臨床的特徴を表2に示す。
【0049】
乳癌患者
ウェールズMRECの承認の下、28の侵襲的乳管癌パネルからゲノムDNAと共に臨床追跡データをウェールズセンターバンクから入手した。
【0050】
MDS患者
フランス・アメリカ・イギリスのシステムに従って分類される、骨髄異形成症候群(MDS)と診断された63人の患者から骨髄試料を得た。これらのうち、40人の患者は男性で23人は女性であり、診断時の平均年齢は67.5歳であり、コホート当たりの追跡期間中央値は5.6年であった。IPSS基準は、63人中55人の患者に利用可能であり、15人は高、20人は中間、20人は低であった。
【0051】
CLL患者からの末梢血中単核細胞の単離
末梢血中単核細胞(PBMC)は、フィコール−ハイパック(Invitrogen)を用いた密度遠心分離によって184人のCLL患者のEDTA静脈血から単離した。B細胞は、その後CD19標識ダイナビーズ(Invitrogen)を用いて陽性を単離した
25。細胞はDNAの抽出まで−20℃に乾燥ペレットとして保存した。
【0052】
DNA抽出およびPCR
DNAは、標準的なプロテイナーゼK、リボヌクレアーゼA、フェノール/クロロホルムプロトコルを用いてヒト細胞から抽出した
26。XpYp、17p、2p、16pおよび18qのテロメアでのテロメア長分析のために、発明者等は、既に記載されているように
16、
20、単一テロメア長分析(STELA)アッセイの改変を用いた。簡単にいうと、ゲノムDNAを、10mMのトリス−HCl(pH7.5)で希釈することにより可溶化し、ヘキスト33258蛍光法(バイオラッド、ハーキュリーズ、米国)を用いて定量し、そして10mMのトリス−HCl(pH7.5)中10ng/μlに希釈した。DNA(10ng)をさらにTelorette2リンカー(1μM)およびトリス−HCl(1mM、pH7.5)を含む40μl体積中250pg/μlに希釈した。各試験DNAについて並列PCR反応(典型的には、1試料あたり6反応)を10μl体積で行った。反応混合物は、DNA(250pg)、テロメア隣接およびTeltailプライマー(0.5μM)、トリス−HCl(75mM、pH8.8)、(NH
4)
2SO
4(25mM)、0.01%Tween−20、MgCl
2(1.5mM)、および0.5UのTaq(ABGene、エプソム、英国)とPwoポリメラーゼ(ロシュ・ダイアグノスティックス、ルイス、英国)を10:1の割合で含んでなる。反応は、MJ PTC−225サーモサイクラー(MJリサーチ、ウォータータウン、米国)にて行った。DNA断片を0.5%TAEアガロースゲル電気泳動によって分離し、ランダムプライムα−33P標識した(アマシャム・バイオサイエンス、リトルチャルフォント、英国)TTAGGGリピートプローブおよびテロメア隣接プローブを、1kb(ストラタジーン、ラ・ホーヤ、米国)および2.5kb(バイオラッド)分子量マーカーを検出するためのプローブと共に用いて、2つの別々のサザンハイブリダイゼーションによって検出した。ハイブリダイズした断片は、モリキュラーダイナミクスストーム860ホスフォイメージャ(アマシャム・バイオサイエンス、リトルチャルフォント、英国)を用いたホスフォイメージングにより検出した。DNA断片の分子量は、Phoretix1D定量化(ノンライナーダイナミクス、ニューカッスル・アポン・タイン、英国)を用いて算出した。
【0053】
テロメア融合は、既に記載されている単一分子テロメア融合アッセイ
16、17を用いて検出した。それぞれXpYpM、17p6及び21q1のPCRプライマーを含有し、100ngのDNAを含有するPCR反応を行った。融合分子を検出し、頻度を、既に記載されているようにXpYpのテロメア隣接プローブによるハイブリダイゼーションおよびサザンブロッティングによって定量化した
15。その後の配列特徴化のために融合事象に関与する染色体を決定するために、17pおよび21qテロメア隣接プローブを用いて更なるハイブリダイゼーションを行い、21qプローブから非特異的な産物が生じるので、定量化には用いなかった。次いで、任意の融合産物を入れ子状態のPCRプライマー(XpYpO、17p7および21qseq1)を用いて直接配列分析のために再増幅した。
【0054】
融合PCRのためにXpYpM(5′-ACCAGGTTTTCCAGTGTGTT-3′)、17p6 (5′-GGCTGAACTATAGCCTCTGC-3′)、21q1(5′-CTTGGTGTCGAGAGAGGTAG-3′);融合産物の再増幅のためにXpYpO(5′-CCTGTAACGCTGTTAGGTAC-3′)、17p7(5′-CCTGGCATGGTATTGACATG-3′)、21qseq1(5′-TGGTCTTATACACTGTGTTC -3′);21qseq1(5′-TGGTCTTATACACTGTGTTC -3′)、21qseq1rev(5′-AGCTAGCTATCTACTCTAACAGAGC-3′)、XpYpO(5′-CCTGTAACGCTGTTAGGTAC-3′)、XpYpB2(5′-TCTGAAAGTGGACC(A/T)ATCAG-3′)、17p7(5′-CCTGGCATGGTATTGACATG-3′)、17pseq3(5′- AGAATCCTGTCCTCAACAAGT-3′)のオリゴヌクレオチドを用いて、融合分析のためにハイブリダイゼーションプローブを生成した。
【0055】
STELA分析に用いられうるプライマー(一般的に用いられるものを強調した):
【0056】
統計的方法
統計分析は、Prism3.0(Graphpad)およびSASバージョン9.1.3ソフトウエア(SAS Institute)を用いて行った。
テロメア長、既知の予後予測因子、初回治療までの時間(TTFT)および全生存期間(OS)の関係は、カテゴリ変数のビネー分類、CD38、ZAP−70、IGHV遺伝子変異状態、β2−ミクログロブリンおよびFISH細胞遺伝学のためにウィルコクソン順位和検定にて調査した。予後の部分集合間の生存の無層型単変量比較はログランク検定を用いて行い、生存データはカプラン・マイヤー曲線を用いて表した。他の予後予測の特徴について調整した多変量解析は前進選択を用いて行い、コックス回帰で有意な共変数を定義した。P値<0.05を有意とみなした。
【0057】
結果
テロメア長と融合分析
発明者等は、XpYpテロメアでの単一テロメア長分析(STELA)を用いて184人のCLL患者におけるテロメア長分布を分析した(
図1A)。短いテロメアを有するCLL患者においてテロメア末端−末端融合事象を検出することができることを既に示しており
15、発明者等は、最短平均テロメア長を有するCLL試料(n=88)においてテロメア融合を体系的に調べた。発明者らは、直接DNA配列分析によって完全に特徴付けられる場合にのみ、融合事象を真正とみなした(
図1B、1C)。テロメア融合がすべてのビネー分類に由来する試料において検出可能であったことから、それらが進行性疾患の特徴ではないことを示唆している(
図1D、印を付けた四角で示す融合)。しかしながら、3.81kb以下の平均テロメア長を有する試料においてのみ融合が検出された。したがって、発明者等はこのテロメア長を閾値として用い、この染色体を用いたコホートについての「融合」範囲の上限を定義した。
図1Eは、98/184(53.5%)のCLL試料が3.81kb以下の平均XpYpテロメア長と、2.26kbの平均融合テロメア長を有していたことを示す。したがって、発明者等は、本コホートのCLL患者試料の2つのサブセットを定義する方法として2.26kbを用い、本コホートにおいてこの平均テロメア長閾値の予後予測値を決定した。合計33/184(17.9%)の試料が2.26kb以下の平均テロメア長を有していた。
【0058】
テロメア機能不全はCLLにおいて高い予後予測性がある。
これまでの研究を踏まえて、平均テロメア長は、TTFT(P<0.001、HR=5.5)およびOS(P=0.0017、HR4.2)について本患者コホートにおいて予後予測的であった(
図2)。しかしながら、テロメア機能不全(2.26kbテロメア長以下のXpYpテロメア)に基づいた試料の分類は予後予測識別能を顕著に改善した。
図3Aおよび3Bは、2.26kb以下の平均テロメア長がTTFTおよびOSについて高い予後予測性があったことを示す。TTFT中央値は1.8年(P<0.0001、HR=23.2)であり、OS中央値は7.5年(P<0.0001、HR=71.3)であった。これとは対照的に、長いテロメアサブセットにおいて中央値TTFTおよびOSが達していなかった。特に本コホートのOSに対するテロメア長の影響は顕著であり、2.26kbテロメア長を超える患者のカプランマイヤー曲線は、10年間の追跡調査期間中ほとんど浸食を示さず、5年で98%の生存率および10年で96%の生存率であった。一方、短いテロメア群のたった36%が10年の検定時に生存していることから、2.26kb以下の患者は一定期間中に死亡する可能性が70倍多いことを示す。これらのデータを表2にまとめる。
【0059】
短いテロメアを有するステージA患者は侵攻性が高い疾患を有する
大多数のCLL患者は初期疾患を呈し、この群は予後予測に関して最大の課題を表すので、発明者等は、ビネーステージA患者のみのサブセット分析を行った。本コホートの130/184(70.6%)がビネーステージAであり、その診断時にはXpYpテロメアについて15(11.5%)が2.26kb以下のテロメア長を有していた。
図3Cおよび3Dは、初期疾患において短いテロメアの予後予測効果を示す。TTFT中央値は2.1年(P<0.0001、HR=33.0)であり、OS中央値は9.0年(P<0.0001、HR=994.2)であった。今回も、長いテロメア群においては中央値TTFTおよびOSは達しなかった。OSについての顕著なハザード比は、これら患者が、長いテロメアを有する患者に比して一定期間においてその疾患で死亡する可能性がおよそ1000倍であることを示す。今回も、優れたカプランマイヤー曲線は、長いテロメアを有する患者の10年生存率が96%であったことを表す。
【0060】
144のステージA患者へデータセットを拡張し、2.26kbの特定のテロメア長がCLLにおける本アッセイについて最大の予後予測効果を示し、全生存期間についてのHRが1353に増大したことを更に確認した(
図3E)。
【0061】
再帰分割により2.26kbの閾値が生存期間について最も予後予測性があることを示す
発明者等は、CLLにおけるテロメア機能不全についてのテロメア長を実験的に決定し、これが非常に予後予測的であることを示したが、これが本コホートの生存を予測するための最適なテロメア長のカットオフを表すか否かを確立することを試みた。発明者等のデータセットに再帰分割を行うことにより、発明者等は2.26kbが最適なテロメア長を表し、総コホートとステージAコホートの最も予後予測的な閾値であったことを発見した(
図3E)。本コホートは、2つの異なるセンター(カーディフ、バーミンガム)から得た試料からなるので、発明者等はこれら2つの異なる集団での分析を繰り返し、本質的に同じ結果を導出した(
図3F)。このアプローチにより、2.26kbがテロメア安定性の生物学的限界を表すことが裏付けられ、CLLにおけるこの平均融合テロメア長の臨床的重要性が確認される。
【0062】
発明者等は、この平均融合テロメア長が他の染色体末端でも保存されていると考え、149/184(81%)の患者コホートにおいて17pでのテロメア長を分析した(
図4A)。発明者等が融合を検出することができた試料の平均17pテロメア長は、XpYpで観察されたものと類似していた(2.57kb、±0.79、P=0.21;
図4B)。再帰分割により、予後を予測するための最適なテロメア長が2.5kbであることが明らかとなり、これは全コホート(OS P<0.0001、HR=72)およびステージA患者(OS P=0.009、HR=71、
図4C−G)において高い予後予測性があった。
【0063】
テロメア長は他の予後予測パラメータよりも優れている
発明者等は次に、細胞遺伝学、IGHV突然変異状態、CD38発現、ZAP−70発現およびβ−2ミクログロブリン(β2M)を含む、CLLにおける他の既知の予後予測マーカーに対するテロメア機能不全の影響を調べた。FISHの細胞遺伝学、IGHV突然変異状態、CD38発現、ZAP−70発現とテロメア長との組み合わせ分析を
図5に示す。示されたように、短いテロメア長は、TTFTおよびOSに関して、細胞遺伝学的リスク群、IGHV非変異および変異群、CD38
+およびCD38
−群、ZAP−70
+およびZAP−70
−群、および高および低β2M群内において患者の予後不良サブセットを定義する。テロメア長とこれらマーカーを組み合わせると更に予後予測効果が高まる。例えば、一致するデータセットの分析により、2.26kb以下のテロメア長と同時に高いCD38発現はHRが2915であったことが明らかとなった(P<0.0001、
図4)。
【0064】
テロメア長は多変量解析における主要な共変数である
多変量解析において、前進選択はテロメア機能不全(2.26kb以下)をTTFT(HR=4.2;CI 1.9−8.8、P=0.0002)およびOS(HR=10.9、CI 3.8−31.2、P<0.0001)の最も重要なパラメータと定義した。IGHV突然変異状態およびビネー分類のみはTTFTのモデルにおいて、CD38のみはOSについて、共変数として独立した予後予測の重要性があった。IGHV突然変異状態と「ハイリスク」細胞遺伝学がOSにおいて単独で予後予測性が無かったことは特に興味深い。発明者等が知る限り初めて、これらパラメータがこの疾患においてOSについて重要であることが証明できなかった。
【0065】
テロメア長はCLLにおける治療への応答性を定義する
発明者等はテロメア長がCLLにおいて有効な予後情報を提供することが示されたので、さらに、テロメア長は、治療に応答する患者の能力に関する情報も提供することができると考えた。したがって、発明者等は、治療を受けた患者について本CLL患者コホートのサブセット解析(n=75)を行った。テロメア長は治療に対する応答について高い予後予測性を有し、HRが6.4であった(P=0.0002)(
図6)。
【0066】
CLLにおいて定義されるテロメアパラメータは他の指標において予後予測性である
発明者等は、乳房の浸潤性乳管癌を有する28人の患者のコホートを調査した。発明者等は、STELAを用いてXpYpのテロメア長を分析し、CLLで定義されている2.26kbのテロメア長カットオフに基づいて患者を分類した。4.6年という限定した追跡調査期間にもかかわらず、2.26kbの平均融合テロメア長は、本疾患における全生存期間の優れたレベルの予後を提供し、ハザード比が112(P=0.0056)であり、予後不良群の生存期間中央値が301日であった(
図7A−C)。データセットを120乳癌患者に拡張したところ、2.26kbという特定のテロメア長が乳癌における本アッセイについて最大の予後予測効果を示し、全生存期間のHRが87080に増加したことを更に確認した(
図7D)。
【0067】
CLLと同様に、乳癌コホートデータの再帰分割も、HRによって定義される最適テロメア長が2.26kbであったことを示した(
図7E)。
【0068】
また、発明者等は、STELAを用いてMDSのテロメア長を調査し、CLLにて定義される平均融合テロメア長を用いてMDSにおける予後情報を得た。発明者等は、生存データがある63人のMDS患者のパネルを分析した。CLLにおいて定義されるように、2.26kbの平均融合テロメア長は、全生存期間についてMDSにおいてもいくらかの予後予測効果を示し、HRが4.7であった(P=0.09)(
図8A−C)。CLLおよび乳癌試料とは異なり、MDS試料は精製せず、さまざまな未同定の割合の非罹患細胞を含んでいた。発明者等は、罹患していない正常細胞の存在は、本コホートにおける予後判定の最適テロメア長の閾値をゆがめるであろうと考えた。これは再帰分割により明らかであり、最適テロメア長は2.5kbであり(HR=9.5、P=0.026)、240bpの違いであった(
図8E)。データセットを78MDS患者に拡張したところ、2.5kbという特定のテロメア長がMDSにおける本アッセイの最大の予後予測効果を示し、全生存期間についてのHRが10.45に増加したことを更に確認した(
図7D)。CD34を用いたMDS細胞の精製により、MDSにおけるテロメアに基づく予後予測の精度が改善されるであろう。
【0069】
要約
本研究の主な発見を以下のとおりに要約することができる。
テロメア長分析は、テロメア機能不全によって定義されるように、CLLや他のヒト悪性腫瘍などのヒトの疾患において重要な予後予測ツールを提供し、治療後の臨床結果にかなりの違いを生じさせうる。予後予測効果は、臨床医がこれら異種疾患の臨床経過を自信をもって予測することを可能にするであろう。
【0070】
さらに、テロメア機能不全は初期疾患段階の優れた予後予測を提供する。
【0071】
長さ分布プロファイルの低い部分にあるテロメアのみが末端−末端融合の傾向がある。XpYp染色体を用いた場合、2.26kb以下のテロメア長は初期ヒト腫瘍においてテロメア機能不全の平均融合テロメア長であり、それより短ければヒト悪性腫瘍患者は予後不良の結果を示す。多くの染色体を用いた場合、2.69kb以下のテロメア長がテロメア機能不全の予測因子である。
【0072】
2.26kbよりも長いXpYpテロメアを有する患者は、顕著に安定した遅発性疾患を有する(5年検定時には患者の98%が生存、10年検定時には96%が生存)。
【0073】
MDSおよび乳癌においた一貫したテロメア分析は、高解像度のテロメア長分析が他の血液学的悪性腫瘍において非常に予後予測性があるが、固形腫瘍でも重要性がある可能性を示す。
【0074】
テロメア機能不全に基づいたテロメア長閾値を用いることにより、テロメア分析の予後予測効果を、単変量および多変量分析の両方において記載されているパラメータを最も予後予測性が高いものに転換する。
【0075】
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【0076】
表1 テロメアの末端−末端融合事象が5つの異なる染色体で検出されうる上限と平均テロメア長
【0077】
表2 初回治療までの時間および全生存期間についての単変量分析における予後予測因子の比較
TL(融合平均):融合事象が検出された試料の平均テロメア長
IGHV状態:最も近い生殖系配列(突然変異型)との配列相同性98%未満;最も近い生殖系配列(非変異型)との配列相同性98%以上
β2-M:β2ミクログロブリン
11q
−および17p
−:11qまたは17pの任意のFISHまたは核型異常
N:FISHによる細胞遺伝学的逸脱が検出されない
O:他の細胞遺伝学的異常(11q
−および17p
−を除く)
HR=ハザード比
95%CI=95%信頼区間
【0078】
表3 184人のCLL患者コホートの臨床的特徴
【0079】
表4 既知の予後予測マーカーとテロメア長分析を組み合わせた調和データセットの分析
*分析は一致した例のみについて示す。例えば、2.26kb以下のTL/IGHV非変異型と2.26kbより大きいTL/IGHV変異型。一致しないデータセットは本分析に含めなかった。
TL=テロメア長
UM=IGHV非変異型例:最も近い生殖系配列との配列相同性98%以上
M=IGHV突然変異型例:最も近い生殖系配列との配列相同性98%未満
【0080】
例示的実施形態
1.テロメア短縮化を含むまたはテロメア短縮化に特徴がある疾患の進行を決定するための予後予測方法であって、
i)テロメアが機能不全および融合可能となる時の平均テロメア長の指標を表す閾値指数を同定するために、高解像度テロメア長分析を用いて、同じ疾患を呈する多くの個体からの組織試料においてテロメアの末端−末端融合事象が検出される時の最長の平均テロメア長を決定すること、
ii)平均テロメア長が前記閾値未満である試料を用い、これら試料の平均テロメア長の平均値を求めることによって、前記疾患を呈する多くの個体から組織試料の予後予測平均テロメア長を決定すること、
iii)前記疾患を有するまたは呈すると疑われる患者から得た試料の平均試験テロメア長を決定し、このとき該平均試験テロメア長が前記予後予測平均テロメア長未満である場合に、初回治療までの時間が不良である、および/または治療に対する応答が不良である、および/または全生存期間が不良であることが結論付けられること、または、
iv)前記疾患を有するまたは呈すると疑われる患者から得た試料の平均試験テロメア長を決定し、このとき該平均試験テロメア長が前記予後予測平均テロメア長より大きい場合に、初回治療までの時間が良好である、および/または治療に対する応答が良好である、および/または全生存期間が良好であることが結論付けられること
を含む、予後予測方法。
2.前記i)の融合事象が、直接DNA配列分析によってそうであることが確認される、実施形態1に記載の方法。
3.さらにまたはあるいは、前記疾患を呈する多くの個体から得た組織試料の予後予測平均テロメア長が、テロメア融合を表す試料を用いて、それら試料の平均テロメア長を平均化することによって決定される、実施形態1または2に記載の方法。
4.前記疾患が、老化、アルツハイマー病、脳梗塞、心臓疾患、慢性HIV感染、慢性肝炎、皮膚疾患、慢性炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、貧血、アテローム性動脈硬化症、バレット食道、および前癌状態を含む癌のうちの一つである、実施形態1から3のいずれか一項に記載の方法。
5.前記癌が血液学的悪性腫瘍または固形腫瘍のいずれかである、実施形態4に記載の方法。
6.前記癌がCLL、MDSまたは乳癌である、実施形態5に記載の方法。
7.テロメアの末端−末端融合事象が検出される前記テロメア長が単一の染色体について決定される、実施形態1から6のいずれか一項に記載の方法。
8.テロメアの末端−末端融合事象が検出されるテロメア長が多くの異なる染色体について決定される、実施形態1から6のいずれか一項に記載の方法。
9.異なる染色体で末端−末端融合事象を検出するための平均上限値を実施形態1のi)に用い、これら異なる染色体についての融合範囲内の平均テロメア長を実施形態1のii)に用いる、実施形態8に記載の方法。
10.テロメア短縮化を含むまたはテロメア短縮化に特徴がある疾患の進行を決定するための予後予測方法であって、
i)高解像度テロメア長分析を用いて、平均テロメア長が前記癌性疾患においてテロメアの末端−末端融合事象が検出される時の4.52kbテロメア長閾値より小さい、前記疾患を呈する多くの個体からの組織試料において、平均テロメア長が前記閾値未満である試料を用いて、その試料の平均テロメア長を平均化することによって、予後予測的平均テロメア長を決定すること、
ii)前記疾患を有するまたは呈すると疑われる患者から得た試料の平均試験テロメア長を決定し、このとき該平均試験テロメア長が前記予後予測的平均テロメア長未満である場合に、初回治療までの時間が不良である、および/または治療に対する応答が不良である、および/または全生存期間が不良であることが結論付けられること、または、
iii)前記疾患を有するまたは呈すると疑われる患者から得た試料の平均試験テロメア長を決定し、このとき該平均試験テロメア長が前記予後予測的平均テロメア長より大きい場合に、初回治療までの時間が良好である、および/または治療に対する応答が良好である、および/または全生存期間が良好であることが結論付けられること
を含む、予後予測方法。
11.前記疾患がCLL、乳癌またはMDSなどの癌である、実施形態10に記載の方法。
12.前記予後予測平均テロメア長が2.26kbである、実施形態11に記載の方法。
13.テロメアの末端−末端融合事象が検出されるテロメア長が、多くの異なる染色体について決定される、実施形態10または11に記載の方法。
14.染色体がXpYp、17p、2p、16pおよび18qである、実施形態13に記載の方法。
15.i)において、さらにまたはあるいは、前記疾患を呈する多くの個体から得た組織試料の予後予測平均テロメア長が、テロメア融合を表す試料を用いて、それら試料の平均テロメア長を平均化することによって決定される、実施形態10から14のいずれか一項に記載の方法。
16.テロメア短縮化を含むまたはテロメア短縮化に特徴がある疾患の進行を決定するための予後予測方法であって、
i)前記疾患を有するまたは呈すると疑われる患者から得た試料の平均試験テロメア長を決定し、このとき該平均試験テロメア長が2.69kbの予後予測的平均テロメア長未満である場合に、初回治療までの時間が不良である、および/または治療に対する応答が不良である、および/または全生存期間が不良であることが結論付けられること、または、
ii)前記疾患を有するまたは呈すると疑われる患者から得た試料の平均試験テロメア長を決定し、このとき該平均試験テロメア長が2.69kbの予後予測的平均テロメア長より大きい場合に、初回治療までの時間が良好である、および/または治療に対する応答が良好である、および/または全生存期間が良好であることが結論付けられること
を含む、予後予測方法。
17.前記疾患がCLLまたはMDSなどの血液癌である、実施形態16に記載の方法。
18.前記予後予測平均テロメア長が2.26kbである、実施形態17に記載の方法。
19.前記予後予測平均テロメア長が、多くの異なる染色体について決定される、実施形態15から18のいずれか一項に記載の方法。
20.染色体がXpYp、17p、2p、16pおよび18qである、実施形態19に記載の方法。
21.i)において、さらにまたはあるいは、前記疾患を呈する多くの個体から得た組織試料の予後予測平均テロメア長が、テロメア融合を表す試料を用いて、それら試料の平均テロメア長を平均化することによって決定される、実施形態16から20のいずれか一項に記載の方法。