特許第6562979号(P6562979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6562979
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】塗装ブース循環水タンク
(51)【国際特許分類】
   B05B 14/40 20180101AFI20190808BHJP
   B05B 16/40 20180101ALI20190808BHJP
   C02F 1/40 20060101ALI20190808BHJP
   B01D 47/10 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B05B14/40
   B05B16/40
   C02F1/40 Z
   B01D47/10 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-140780(P2017-140780)
(22)【出願日】2017年7月20日
(65)【公開番号】特開2019-18173(P2019-18173A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2017年7月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391022658
【氏名又は名称】パーカーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】森 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】津熊 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】須田 洋之
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−325842(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/008350(WO,A1)
【文献】 特開2017−100049(JP,A)
【文献】 実開昭58−166874(JP,U)
【文献】 実開平06−072661(JP,U)
【文献】 特開平05−068920(JP,A)
【文献】 実開昭55−174973(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B01D47/00−47/18
B05B 5/00− 5/16
B05C 7/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
C02F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装区画と洗浄塔とを備える湿式塗装ブースの下方に配置される塗装ブース循環水タンクであって、側方に凸の湾曲板と湾曲板の上端部に側方から近接対峙する塗装区画側壁とで構成されるベンチュリーの構成部材である湾曲板を備える塗装ブース循環水タンクにおいて、塗装区画の直下の第1区画と、洗浄塔に対峙する湾曲板の直下の第2区画と、塗料スラッジ処理区画とを備え、第1区画と塗料スラッジ処理区画とには塗装ブース循環水が貯留され、第1区画と塗料スラッジ処理区画とは連通し、第2区画は塗装ブース循環水が侵入しない水密区画であり、第2区画の頂板が、ベンチュリーを通過した塗装ブース循環水を塗料スラッジ処理区画へ導く傾斜導水路を形成し、当該傾斜導水路は2回直角に折れ曲がった後、塗料スラッジ処理区画に接続し、ベンチュリーを通過した塗装ブース循環水は、先ず塗料スラッジ処理区画へ向けて流れ、次いで2回直角に折れ曲がった後、塗料スラッジ処理区画へ流入することを特徴とする塗装ブース循環水タンク。
【請求項2】
マイクロバブル発生装置が塗料スラッジ処理区画に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の塗装ブース循環水タンク。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塗装ブース循環水タンクを備えることを特徴とする湿式塗装ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装区画と洗浄塔とを備える湿式塗装ブースの下方に配置される塗装ブース循環水タンクであって、側方に凸の湾曲板と湾曲板の上端部に側方から近接対峙する塗装区画側壁とで構成されるベンチュリーの構成部材である湾曲板を備える塗装ブース循環水タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の塗装ブース循環水タンクにおいては、特許文献1に開示されているように、ベンチュリーの構成部材である湾曲板の直下にも塗装ブース循環水が存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−008746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の塗装ブース循環水タンクにおいては、ベンチュリーの構成部材である湾曲板の直下にも塗装ブース循環水が存在していたので、塗装ブース循環水タンクの保守点検時に、湾曲板直下の狭い空間の点検に時間が掛かり、保守作業の効率を低下させていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、従来に比べて保守作業の効率が向上した塗装ブース循環水タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、塗装区画と洗浄塔とを備える湿式塗装ブースの下方に配置される塗装ブース循環水タンクであって、側方に凸の湾曲板と湾曲板の上端部に側方から近接対峙する塗装区画側壁とで構成されるベンチュリーの構成部材である湾曲板を備える塗装ブース循環水タンクにおいて、塗装区画の直下の第1区画と、洗浄塔に対峙する湾曲板の直下の第2区画と、塗料スラッジ処理区画とを備え、第1区画と塗料スラッジ処理区画とには塗装ブース循環水が貯留され、第1区画と塗料スラッジ処理区画とは連通し、第2区画は塗装ブース循環水が侵入しない水密区画であり、第2区画の頂板が、ベンチュリーを通過した塗装ブース循環水を塗料スラッジ処理区画へ導く傾斜導水路を形成し、当該傾斜導水路は2回直角に折れ曲がった後、塗料スラッジ処理区画に接続し、ベンチュリーを通過した塗装ブース循環水は、先ず塗料スラッジ処理区画へ向けて流れ、次いで2回直角に折れ曲がった後、塗料スラッジ処理区画へ流入することを特徴とする塗装ブース循環水タンクを提供する。
本発明においては、ベンチュリーを構成する湾曲板の直下の第2区画は、塗装ブース循環水が侵入しない水密区画なので、保守時に当該区画は点検の必要がない。この結果、保守作業の効率が向上する。
本発明においては、第2区画の頂板が、ベンチュリーを通過した塗装ブース循環水を塗料スラッジ処理区画へ導く傾斜導水路を形成し、当該傾斜導水路は2回直角に折れ曲がった後、塗料スラッジ処理区画に接続し、ベンチュリーを通過した塗装ブース循環水は、先ず塗料スラッジ処理区画へ向けて流れ、次いで2回直角に折れ曲がった後、塗料スラッジ処理区画へ流入する。
第2区画の頂板が形成する傾斜導水路を介して、ベンチュリーを通過した塗料ミストを含む塗装ブース循環水を、塗料スラッジ処理区画の最適部位へ導くことができる。
【0013】
本発明の好ましい態様においては、マイクロバブル発生装置が塗料スラッジ処理区画に接続されている。
マイクロバブルを塗装ブース循環水に混入させることにより、塗装ブース循環水中の塗料スラッジの分解が促進される。
本発明においては、上記何れかの塗装ブース循環水タンクを備える湿式塗装ブースを提供する。
本発明に係る湿式塗装ブースにおいては、保守時に塗装ブース循環水タンクのベンチュリー直下の区画を点検する必要がないので、保守作業の効率が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、従来に比べて保守作業の効率が向上した塗装ブース循環水タンクが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施例に係る塗装ブース循環水タンクの構成図である。(a)は平面図であり、(b)は(a)のb−b矢視図であり、(c)は(a)のc−c矢視図である。
図2】本発明の第1実施例に係る塗装ブース循環水タンクの構成図である。(d)は図1(a)のd−d矢視図であり、(e)は図1(a)のe−e矢視図である。
図3】本発明の第1実施例に係る塗装ブース循環水タンクを下方に取り付けた湿式塗装ブースの構成図である。
図4】本発明の第2実施例に係る塗装ブース循環水タンクの構成図である。(a)は平面図であり、(b)は(a)のb−b矢視図であり、(c)は(a)のc−c矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜3に示すように、本発明の第1実施例に係る塗装ブース循環水タンク1は、塗装区画100aと洗浄塔100bとを備える湿式塗装ブース100の下方に配置される塗装ブース循環水タンクであって、側方に凸の湾曲板2aと湾曲板2aの上端部に側方から近接対峙する塗装区画側壁100aとで構成されるベンチュリー2の構成部材である湾曲板2aを備える塗装ブース循環水タンクである。
塗装ブース循環水タンク1は、塗装区画100aの直下の第1区画1aと、洗浄塔100bに対峙する湾曲板2aの直下の第2区画1bと、第2区画1bを間に挟んで第1区画1aに対峙する塗料スラッジ処理区画1cとを備えている。
第1区画1aと塗料スラッジ処理区画1cとには塗装ブース循環水が貯留されている。第1区画1aと塗料スラッジ処理区画1cとは連通路1dを介して連通している。第2区画1bは塗装ブース循環水が侵入しない水密区画である。
連通路1dは、第1区画1aと第2区画1bと塗料スラッジ処理区画1cとに対峙して、前記3区画の外側に配設されている。
連通路1dは、第1区画1aの底部と塗料スラッジ処理区画1cの底部とを連通させている。
【0017】
第2区画1bの、二つの斜面を有する頂板1bが、ベンチュリーを通過した塗装ブース循環水を塗料スラッジ処理区画1cへ導く傾斜導水路を形成している。
頂板1bが形成する傾斜導水路の末端1bは、塗料スラッジ処理区画1c内の塗装ブース循環水の水面よりも上方に位置決めされている。
【0018】
塗料スラッジ処理区画1cは、第1区画1aとの連通部を形成する一端部1cと、一端部1cから遠ざかった他端部1cとの間で延在し、傾斜導水路の末端1bは、塗料スラッジ処理区画の他端部1cに対峙している。
塗料スラッジ処理区画1cの中央部1cに、他端部1cから一端部1cへ向かう塗装ブース循環水の流れに直交し且つ水面に達しない偏向堰1cが、着脱可能に設けられている。
【0019】
塗料スラッジ処理区画1cの一端部1cの近傍に、他端部1cから一端部1cへ向かう塗装ブース循環水の流れに直交する第1堰1eと、他端部1cから一端部1cへ向かう塗装ブース循環水の流れに平行な第2堰1eと、によって塗料スラッジ処理区画1cから隔てられた循環ポンプ連通区画1eが形成されている。
第1堰1eの上縁は塗料スラッジ処理区画1c内の塗装ブース循環水の水位よりも上方に在る。
第2堰1eの上縁部には、開口端幅が閉鎖端幅よりも狭いコ字断面の水位調整板1eが第2堰1eの上縁部を挟み込んで当該上縁部に弾性係合している。水位調整板1eの閉鎖端が形成する第2堰1eの上縁は、塗料スラッジ処理区画1cの他端部1c及び中央部1c内の塗装ブース循環水の水位と同一高さに在る。
第2堰1eの下部に開口1eが形成され、開口1eの面積を調整する調整板1eが上下移動可能に且つ所望位置に固定可能に第2堰1eに取り付けられている。
【0020】
塗料スラッジ処理区画1cの長手方向一端部1cは、他端部1cや中央部1cに比べて狭幅となり、第2堰1eを間に挟んで循環ポンプ連通区画1eに隣接して延在している。
塗料スラッジ処理区画1cの長手方向一端部1cは、棚板1cによって上部区画1cと下部区画1cとに分割されている。上部区画1cは第2堰1eの上縁に対峙し、下部区画1cは連通路1dを介して第1区画1aの底部に連通している。棚板1cは着脱可能である
塗料スラッジ処理区画1cと循環ポンプ連通区画1eの開放上端を覆う蓋部材3が配設されている。
【0021】
塗装ブース循環水タンク1の作動と作用効果とを説明する。
図3に示すように、塗装ブース循環水タンク1は、塗装区画100aと洗浄塔100bとを備える湿式塗装ブース100の下方に配置され、湿式塗装ブース100に接合されて作動する。
湾曲板2aの上端部と、図1(b)、(c)に二点鎖線で示し、図3に一点鎖線で示す、湾曲板2aの上端部に側方から近接対峙する塗装区画100aの側壁100aとが協働して、ベンチュリー2を形成している。
塗装ブース循環水タンク1においては、ベンチュリー2を構成する湾曲板2aの直下の第2区画1bは、塗装ブース循環水が侵入しない水密区画なので、保守時に当該区画は点検の必要がない。この結果、保守作業の効率が向上する。
【0022】
洗浄塔100bに配置した排気ファン100bが作動し、塗装区画100a内の塗料ミストを含む空気と第1区画1a内の塗装ブース循環水とが、湾曲板2aの凹表面に沿って共に上方へ吸引され、ベンチュリー2を通過して霧化した塗装ブース循環水微粒子に、空気に含まれる塗料ミストが吸収される。
ベンチュリー2を通過した塗料ミストを吸収した塗装ブース循環水は、ベンチュリー2の直上で側壁100aに取り付けられた案内板100aに案内されて側方下方へ差し向けられ、図1図2(e)に細白抜矢印で示すように、第2区画1bの頂板が形成する二つの斜面を有する傾斜導水絽1bを流れて、塗料スラッジ処理区画1cの長手方向他端部1cに上方から流れ込む。
第2区画1bの頂板1bが形成する傾斜導水路を介して、ベンチュリー2を通過した塗料ミストを含む塗装ブース循環水を、塗料スラッジ処理区画1cの最適部位へ導くことができる。
塗装ブース循環水タンク1においては、第1区画1aとの連通部を形成する一端部1cから遠ざかった塗料スラッジ処理区画の他端部1cに、塗装ブース循環水を導いたので、塗料ミストを吸収した塗装ブース循環水の塗料スラッジ処理区画内1cでの滞留時間を長くなり、塗料スラッジの浮上が促進されている。
第2区画1bの頂板1bが形成する傾斜導水路の末端1bが、塗料スラッジ処理区画1c内の塗装ブース循環水の水面よりも上方に位置決めされているので、ベンチュリー2を通過した塗料ミストを含む塗装ブース循環水は、確実に塗料スラッジ処理区画1cに流入することができる。
【0023】
塗料スラッジ処理区画1cの長手方向他端部1cに上方から流れ込んだ塗装ブース循環水は、図1(a)と図2(e)とに太白抜矢印で示すように、長手方向他端部1cの底部まで沈み込み、塗料スラッジ処理区画1cの長手方向一端部1cへ向けて流れ、塗料スラッジ処理区画1cの長手方向中央部1cに配設された、塗装ブース循環水の流れに直交し且つ水面に達しない偏向堰1cによって上方へ差し向けられ、偏向堰1cを乗り越えて流れて、塗料スラッジを水面上に浮上させた後、長手方向中央部1cの底部まで沈み込み、塗料スラッジ処理区画1cの長手方向一端部1cへ向けて流れる。水面上に浮上した塗料スラッジは、適宜人手によりまたは機械により除去される。
塗料スラッジ処理区画1cの他端部1cに上方から流入した塗装ブース循環水が、他端部1cの底部まで沈み込んだ後、偏向堰1cによって上方へ差し向けられ、塗料スラッジが水面上に浮上するので、塗料スラッジの回収作業効率が向上している。
偏向堰1cは着脱可能なので、塗装ブース循環水タンク1の保守作業時に、偏向堰1cを取り外して、保守作業の効率を向上させることができる。
【0024】
塗料スラッジ処理区画1cの長手方向中央部1cの底部まで沈み込み、塗料スラッジ処理区画1cの長手方向一端部1cへ向けて流れた塗装ブース循環水は、長手方向一端部1cの上部区画1cと下部区画1cとに流入する。長手方向一端部1cは、長手方向他端部1cや長手方向中央部1cに比べて狭幅なので、長手方向他端部1cや長手方向中央部1cに比べて長手方向一端部1cの水位が上昇する。上部区画1cに流入した塗装ブース循環水は、図1(a)、(c)図2(e)に二重矢印で示すように、第2堰1eの上縁を越えてオーバーフローし、循環ポンプ連通区画1eに流入する。この結果、狭幅の長手方向他端部1cや長手方向中央部1cを含む塗料スラッジ処理区画1c全体の水位が、延いては連通路1dを介して塗料スラッジ処理区画1cに連通する第1区画1aの水位が、第2堰1eの上縁高さ位置に維持される。下部区画1cに流入した塗装ブース循環水は、連通路1dを介して第1区画1aに還流する。
【0025】
第2堰1eからオーバーフローして循環ポンプ連通区画1eに流入した塗装ブース循環水は、塗装区画100aに還流されて側壁100aに沿って流下するウォーターカーテン100aとなり、また洗浄塔100bに還流されて、案内板100aの直上に配設されたズル100bから吐出する噴霧水100bとなる。第2堰1eからオーバーフローした塗装ブース循環水を湿式塗装ブース100に還流させることにより、塗装ブース循環水タンク1の水位を適正値に維持しつつ、塗装ブースに塗装ブース100に塗装ブース循環水を供給することができる。
塗料スラッジ処理区画1c内の塗装ブース循環水の流れに平行に延在する第2堰1eから塗装ブース循環水をオーバーフローさせることにより、塗装ブース循環水の流れに直交する堰から塗装ブース循環水をオーバーフローさせる場合に比べて、循環ポンプ連通区画1eへの塗料スラッジの流入を抑制することができる。
水位調整板1eを配設したので、塗装ブース循環水タンク1の水位をベンチュリー2に最適な値に調整することができる。
循環ポンプの作動時に、循環ポンプ連通区画1eの水位が下がり、循環ポンプがエアを吸い込む事態が発生する可能性がある。第2堰1eの下部に開口1eを形成し、開口1eの面積を調整可能としたので、循環ポンプ連通区画1eの水位を、循環ポンプがエアの吸い込まず且つ塗料スラッジ処理区画との間に水位差が生ずる値に維持することができる。
【0026】
第2堰1eに平行に延在する塗料スラッジ処理区画の一端部1cを、棚板1cを配設して、2堰1eの上縁に対峙する上部区画1cと、連通路1dを介して第1区画1aの底部に連通する下部区画1cとに分割したので、第1区画1aへの塗料スラッジの流入が防止されている。
棚板1cを着脱可能としたので、塗装ブース循環水タンク1の保守作業時に、棚板1cを取り外して、保守作業の効率を向上させることができる。
【0027】
塗料スラッジ処理区画1cを、第2区画1bを間に挟んで第1区画1aに対峙させたので、塗料スラッジ処理区画1cの長さを、第1区画1aの長さ、ひいては湿式塗装ブースの塗装区画100aの長さと同一長さとして、塗料ミストを吸収した塗装ブース循環水の塗料スラッジ処理区画1c内での滞留時間を長くし、塗料スラッジの浮上を促進することができる。
第1区画1aと塗料スラッジ処理区画1cとの間の連通路1dが、第1区画1aと第2区画1bと塗料スラッジ処理区画1cとに対峙して前記3区画の外側に配設されているので、前記3区画の構造が簡素化され、塗装ブース循環水タンク1の保守作業の効率が向上している。
第1区画1aの底部と塗料スラッジ処理区画1cの底部とが連通路1dを介して連通しているので、第1区画1aへの塗料スラッジの流入が防止されている。
【0028】
図3から分かるように、塗装ブース循環水タンク1を、塗装区画100aと洗浄塔100bとを備える湿式塗装ブース100の下方に配置すると、第1区画1aは塗装ブースの塗装区画100aで覆われ、第2区画1bは塗装ブースの洗浄塔100bで覆われるが、塗料スラッジ処理区画1cは外部環境に暴露されることになる。塗料スラッジ処理区画1cの開放された上端を覆う蓋部材3を配設したので、塗料スラッジ処理区画1c内の塗装ブース循環水に、外部環境から異物が混入する事態の発生が防止されている。
【0029】
図示しないマイクロバブル発生装置を塗料スラッジ処理区画1cに接続しても良い。
マイクロバブルを塗装ブース循環水に混入させることにより、塗装ブース循環水中の塗料スラッジの分解が促進される。
塗装ブース循環水タンク1が取り付けられた湿式塗装ブース100は、保守時に塗装ブース循環水タンク1の湾曲板2a直下の第2区画1bを点検する必要がないので、保守作業の効率が向上する。
【0030】
図4に示すように、本発明の第2実施例に係る塗装ブース循環水タンク1’の構成は、塗料スラッジ処理区画1cが、第1区画1aと第2区画1bとに対峙して前記2区画の外側に配設されている点と、塗料スラッジ処理区画1cの底部が第1区画1aの底部に直接連通している点を除いて、第1実施例に係る塗装ブース循環水タンク1と同様である。
図1図4とを比較すれば分かるように、塗料スラッジ処理区画1cを、第1区画1aと第2区画1bとに対峙して前記2区画の外側に配設したので、塗装ブース循環水タンク1’は、塗装ブース循環水タンク1に比べて小型化されている。
また、塗料スラッジ処理区画1cは第1区画1aに直接連通しているので、塗装ブース循環水タンク1のように第1区画1aと塗料スラッジ処理区画1cとの間の連通路1dを別個設ける場合に比べて、塗装ブース循環水タンク1’の構造は簡素化されている。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、塗装区画と洗浄塔とを備える湿式塗装ブースの下方に配置される塗装ブース循環水タンクであって、側方に凸の湾曲板と湾曲板の上端部に側方から近接対峙する塗装区画側壁とで構成されるベンチュリーの構成部材である湾曲板を備える塗装ブース循環水タンクに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1、1‘ 塗装ブース循環水タンク
1a 第1区画
1b 第2区画
1c 塗料スラッジ処理区画
1d 連通路
2 ベンチュリー
2a 湾曲板
100 湿式塗装ブース
100a 塗装区画
100b 洗浄塔
図1
図2
図3
図4