(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
正孔伝導性材料と電子伝導性材料との間に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)のp型化合物をベースとした層と、n型半導体をベースとした層とを含む光電池デバイスであって、
− 式(I)のp型化合物をベースとした層が、n型半導体をベースとした層と接触しており、
− 式(I)のp型化合物をベースとした層が正孔伝導性材料に近接しており、
− n型半導体をベースとした層が電子伝導性材料に近接している、光電池デバイス。
【背景技術】
【0002】
現在、無機化合物を使用する光電池技術は主に、シリコン技術(市場の80%を超える)と「薄層」技術(主にCdTeおよびCIGS(銅インジウムガリウムセレン)、市場の20%に相当する)とに基づいている。光電池市場の成長は、指数関数的であると思われる(2010年において40GW累計、2011年において67GW累計)。
【0003】
残念なことに、これらの技術は、この成長市場に応えるそれらの能力に限界があるという欠点がある。これらの欠点には、シリコンに関して機械的観点および実装の観点から好ましくない可撓性、ならびに「薄層」技術のための元素の毒性および不足などが含まれる。特に、カドミウム、テルルおよびセレンは毒性である。さらに、インジウムおよびテルルは稀少であり、それは特にそれらのコストに影響を与える。
【0004】
これらの理由のためにインジウム、カドミウム、テルルおよびセレンを使用せずに済ますかまたはそれらの比率を低減することが試みられている。
【0005】
CIGSにおいてインジウムを置換するために推奨されている経路の1つは、それを対(Zn
2+、Sn
4+)で置換することである。この場合、化合物Cu
2ZnSnSe
4(CZTSとして公知である)が特に提案されている。この材料は現在、効率の観点からCIGSに代わる最も重要なものと考えられているが、セレンの毒性という欠点がある。
【0006】
セレンおよびテルルに関して、ほとんど代わりの解決策が提案されておらず、それらは一般に、不利であることが判明している。SnS、FeS
2およびCu
2Sなどの化合物は確かに試験されたが、有利な固有特性(ギャップ、導電率等)を有するけれども、十分に化学的に安定していると判明していない(例えば:Cu
2Sは、空気および湿分と接触した時に非常に容易にCu
2Oに変化される)。
【0007】
本発明者が知る限り、光電池システムにおいて使用される元素の毒性および/または不足に関する問題を伴わずに良い光電池効率を得るための良い解決は今まで発表されていない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の1つの目的は、正確には、現在の光電池技術において使用される無機化合物に代替の無機化合物を提供することであり、それによって上述の問題を避けることができる。
【0009】
このために、本発明は、無機材料の新規な群を使用することを提案し、それに関して、驚くべきことに、それらが良い効率を有することが判明したこと、そしてそれらが上述のIn、TeまたはCdなどの希少金属または毒性金属を使用する必要がないかまたは非常に低い含有量で使用するという利点を有すること、そしてまた、SeまたはTeなどのアニオンをより少ない含有量において使用する可能性、またはさらにこのタイプのアニオンを使用しない可能性を提供することを本発明者はここで実証した。
【0010】
本発明の主題の1つは、式(I):
Bi
1−xM
xAg
1−y−εM’
yOS
1−zM’’
z(I)
[式中:
Mが、Pb、Sn、Hg、Ca、Sr、Ba、Sb、In、Tl、Mg、希土類金属からなる群(A)から選択される元素または元素の混合物であり、
M’が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Al、Cd、Pt、Pdからなる群(B)から選択される元素または元素の混合物であり、
M’’がハロゲンであり、
x、yおよびzが、1より小さい、特に0.6より小さい、特に0.5より小さい、例えば0.2より小さい数であり、
0≦ε<0.2である]の少なくとも1つの化合物を含む新規な材料である。
【0011】
それらが存在しているとき、元素M、M’およびM’’は一般的に、元素Bi、元素Agおよび元素Sの場所をそれぞれ占める置換元素である。
【0012】
「式(I)の少なくとも1つの化合物を含む材料」という用語は一般的に、分割された形態(粉末または分散体)のまたは担体上のコーティングまたは連続したまたは不連続な層の固体を意味し、そしてそれは、式(I)に相当する化合物を含むか、またはさらにからなる。
【0013】
「希土類金属」という用語は、イットリウムおよびスカンジウムと周期表の57番と71番との間(それらも含む)の原子番号の元素とからなる群の元素を意味するものと理解される。
【0014】
第1の実施形態に従って、x、yおよびzはゼロである(x=y=z=0)。このように、本発明に従う式(I)の化合物は、以下の式:BiAg
1−εOSに相当する。
【0015】
本発明の第2の実施形態に従って、x、yまたはzの少なくとも1つはゼロではない。
【0016】
本発明のこの第2の実施形態に従って、元素Mは好ましくは、元素Sb、Pb、Baおよび希土類金属から選択されてもよい。元素Mは、例えば、ルテチウムであってもよい。
【0017】
元素M’は好ましくは、元素Cu、Zn、Mnから選択されてもよい。元素M’は、例えば、元素Cuであってもよい。
【0018】
元素M’’は特に元素Iであってもよい。
【0019】
本発明のこの第2の実施形態の第1の変種において、本発明に従う式(I)の化合物は、以下の式:Bi
1−xM
xAg
1−εOS(I
a)[式中、x≠0、εがゼロまたはゼロでない数であり、Mが、Pb、Sn、Hg、Ca、Sr、Ba、Sb、In、Tl、Mg、希土類金属からなる群(A)から選択される元素または元素の混合物である]に相当する。
【0020】
本発明のこの変種の一実施形態に従って、Mが、希土類金属から選択される元素または元素の混合物である。
【0021】
その場合には、化合物は、例えば、式Bi
1−xLu
xAgOS(式中、x≠0およびε=0である)に相当してもよい。
【0022】
本発明の第2の変種において、本発明に従う式(I)の化合物は、以下の式: BiAg
1−y−εM’
yOS(I
b)[式中、y≠0、εがゼロまたはゼロでない数であり、M’が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Al、Cd、Pt、Pdからなる群(B)から選択される元素または元素の混合物である]に相当する。
【0023】
本発明のこの変種の一実施形態に従って、M’が、元素CuおよびZnから選択される元素または元素の混合物である。
【0024】
その場合には、化合物は、例えば、式BiAg
1−yCu
yOSまたは式BiAg
1−yZn
yOS(式中、y≠0およびε=0である)に相当してもよい。
【0025】
本発明の第3の変種において、本発明に従う式(I)の化合物は、以下の式:BiAgOS
zM’’
1−z(I
c)(式中、z≠0、εがゼロまたはゼロでない数であり、M’’がハロゲンである)に相当する。
【0026】
本発明のこの変種の一実施形態に従って、M’’が元素Iであり、その場合には、化合物は、式BiAgOS
zI
1−z(式中、z≠0およびε=0である)に相当する。
【0027】
また、本発明の主題は、ビスマスおよび銀の少なくとも無機化合物と、
任意選択によりBiとPb、Sn、Hg、Ca、Sr、Ba、Sb、In、Tl、Mg、希土類金属からなる群(A)からの元素とから選択される少なくとも1つの元素の少なくとも1つの酸化物、硫化物、オキシ硫化物、ハロゲン化物またはオキシハロゲン化物と、
任意選択によりAgとTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Al、Cd、Pt、Pdからなる群(B)からの元素とから選択される少なくとも1つの元素の少なくとも1つの酸化物、硫化物、オキシ硫化物、ハロゲン化物またはオキシハロゲン化物とを含む混合物のソリッドミリングの工程を含む、本発明による材料を調製するための方法である。
【0028】
本発明によって、ビスマスおよび銀の少なくとも無機化合物を含む固体形態の混合物がミリングされる。好ましくは、混合物中に存在しているビスマスおよび銀の無機化合物は、少なくとも化合物Bi
2O
3、Bi
2S
3およびAg
2Sである。
【0029】
このミリングは、それ自体公知の任意の手段によって行われてもよい。この混合物は特に瑪瑙乳鉢内に置かれてもよい。ミリングは、例えば、遊星ミルで行なわれてもよい。
【0030】
ミリングを容易にするために、例えば、ステンレス鋼ビーズ、特殊クロム鋼ビーズ、瑪瑙ビーズ、タングステンカーバイドビーズまたは酸化ジルコニウムビーズからなるミリングビーズを固体形態の混合物に加えることができる。
【0031】
ミリング時間は、所望の生成物に従って調節されてもよい。それは特に20分〜96時間の間、特に1時間〜72時間の間であってもよい。
【0032】
混合物中のビスマスおよび銀の無機化合物は、50μm未満、特に10μm未満、例えば1μm未満の粒度を有する粒子の形態であってもよい。
【0033】
ここで言及される粒子の寸法は典型的に、走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定されてもよい。
【0034】
また、本発明の主題は、式(I):
Bi
1−xM
xAg
1−y−εM’
yOS
1−zM’’
z(I)
[式中:
Mが、Pb、Sn、Hg、Ca、Sr、Ba、Sb、In、Tl、Mg、希土類金属からなる群(A)から選択される元素または元素の混合物であり、
M’が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Al、Cd、Pt、Pdからなる群(B)から選択される元素または元素の混合物であり、
M’’がハロゲンであり、
x、yおよびzが、1より小さい、特に0.6より小さい、特に0.5より小さい、例えば0.2より小さい数であり、
0≦ε<0.2である]の少なくとも1つの化合物を含む材料の、
特に光電気化学または光化学用途のための、特に光電流をもたらすための半導体としての使用である。
【0035】
特に元素M、M’およびM’’およびx、yおよびzに関して、上記の説明に示されるものが本発明によるこの使用に適用される。
【0036】
半導体中に存在している化合物は、特にp型の置換された無機材料である。
【0037】
ビスマス、銀および/または硫黄の化学置換は、いくつかの役割を有してもよい。
【0038】
元素Biと希土類金属または元素Sbとの置換または代わりに元素Agと元素Cuとの置換などの等電子置換の場合、これらの置換は、特に格子パラメーターを変えることによっておよび/または軌道の拡大およびそれらのエネルギー位置を変えることによるものであってもよく、したがってギャップ(価電子帯−伝導帯)の変更をもたらす。
【0039】
異原子価置換に関して、それらは元素Agの酸化数を変える。
【0040】
半導体の構造に置換を導入することによって、場合に応じて、電荷キャリアの数の減少または増加をもたらしてもよい。置換された材料は特に、より高い導電率を有する場合があり、それは、その置換されない形態に対して改良された伝導能をもたらすが、または、反対に、より低い導電率を有する場合がある。
【0041】
本発明の文脈において、上述の式(I)に相当する材料は、特にそれらがp型であるとき、それらのギャップよりも長い波長において照射される時に光電流をもたらすことができる(すなわち、十分なエネルギーの入射光子の効果下で材料内に電子・正孔対が生成され、形成された荷電種(電子および「正孔」、すなわち、電子が不足した状態)が自由に移動して電流を発生する)ことを本発明者はここで実証した。
【0042】
特に、本発明者はここでは、本発明の材料が光電池効果を生じ得ると考えられることを示した。
【0043】
一般的には、光電池効果は、異なったタイプの2つの半導体化合物、すなわち、
− pタイプの半導体の性質を有する第1の化合物と、
− nタイプの半導体の性質を有する第2の化合物とを組み合わせて使用することによって得られる。
【0044】
これらの化合物は、本質的に公知の方法で互いに近接して(すなわち直接に接触しているかまたは少なくとも、光電池効果を確実にするために十分に小さい距離において)配置されて、p−nタイプの接合を形成する。光の吸収によって生じた電子・正孔対はp−n接合において分離され、励起電子はn型半導体によってアノードに運ばれてもよく、正孔自体は、p型半導体によってカソードに運ばれる。
【0045】
本発明の文脈において、典型的には、光電池効果を得るために、同様に特にp型である上述の式(I)の半導体をベースとした材料を2つの電極の間のn型半導体と、直接に接触させるかまたは任意選択により、付加的なコーティング、例えば電荷収集コーティングによって電極の少なくとも一方に接続して接触させて置き、そしてこのように製造された光電池デバイスを適した電磁線、典型的には太陽スペクトルからの光で照射する。これを実施するために、電極の一方が、使用される電磁線を通過させるのが好ましい。
【0046】
別の特定の態様に従って、本発明の主題は、正孔伝導性材料と電子伝導性材料との間に、式(I)のp型化合物をベースとした層と、n型半導体をベースとした層とを含む光電池デバイスであり、そこで、
− 式(I)の化合物をベースとした層が、n型半導体をベースとした層と接触しており、
− 式(I)の化合物をベースとした層が正孔伝導性材料に近接しており、
− n型半導体をベースとした層が電子伝導性材料に近接している。
【0047】
本明細書の説明のために、用語「正孔伝導性材料」は、p型半導体と電気回路との間に電流を循環させることができる材料を意味する。
【0048】
本発明による光電池デバイスにおいて使用されるn型半導体は、式(I)の化合物よりも著しい電子吸引性質を有する任意の半導体または電子の除去を促進する化合物から選択されてもよい。好ましくは、n型半導体は酸化物、例えばZnOまたはTiO
2、または硫化物、例えばZnSであってもよい。
【0049】
本発明による光電池デバイスにおいて使用される正孔伝導性材料は、例えば、適した金属、例えば金、タングステンまたはモリブデン、または担体上に堆積された、または電解質と接触した金属、例えばPt/FTO(フッ素がドープされた二酸化スズ上に堆積された白金)、または例えばガラス上に堆積されたITO(スズがドープされた酸化インジウム)などの導電性酸化物、またはp型導電性ポリマーであってもよい。
【0050】
特定の実施形態に従って、正孔伝導性材料は、上述のタイプの正孔伝導性材料とレドックス媒介物質、例えばI
2/I
−対を含有する電解質を含んでもよく、その場合、正孔伝導性材料は典型的にPt/FTOである。
【0051】
電子伝導性材料は、例えば、FTOまたはAZO(アルミニウムがドープされた酸化亜鉛)、またはn型半導体であってもよい。
【0052】
本発明による光電池デバイスにおいて、p−n接合において生成された正孔は、正孔伝導性材料を介して引き抜かれ、電子は、上述のタイプの電子伝導性材料を介して引き抜かれる。
【0053】
本発明による光電池デバイスにおいて、正孔伝導性材料および/または電子伝導性材料は、使用される電磁線を通過させる、少なくとも部分的に透明である材料であるのが好ましい。この場合、少なくとも部分的に透明な材料は有利には、入射電磁線の供給源とp型半導体との間に置かれる。
【0054】
このために、正孔伝導性材料は、例えば、金属および導電性ガラスから選択される材料であってもよい。
【0055】
代わりにまたは組み合わせて、電子伝導性材料は少なくとも部分的に透明であってもよく、そのとき、それは例えば、FTO(フッ素がドープされた二酸化スズ)、またはAZO(アルミニウムがドープされた酸化亜鉛)およびn型半導体から選択される。
【0056】
別の有利な実施形態に従って、式(I)のp型化合物をベースとした層と接触しているn型半導体をベースとした層もまた、少なくとも部分的に透明であってもよい。
【0057】
用語「部分的に透明な材料」はここでは、光電流をもたらすために有用な、入射電磁線の少なくとも一部を通過させる材料を意味し、そしてそれは、
− 入射電磁界を完全には吸収しない材料、および/または
− 電磁線の一部が、材料に当たらずにこの電磁線を通過させることができる(典型的に孔、スリットまたは隙間を含む)有孔の形態である材料であってもよい。
【0058】
本発明に従って使用される式(I)の化合物は、50μm未満、好ましくは20μm未満、典型的に10μm未満、有利には5μm未満、一般に1μm未満、より有利には500nm未満、例えば200nm未満、またはさらに100nmの少なくとも1つの寸法を有する等方性または異方性物体の形態で使用されるのが有利である。
【0059】
典型的に、50μm未満の寸法は、
− 等方性物体の場合は平均直径、
− 異方性物体の場合は厚さまたは横径であってもよい。
【0060】
第1の異形によって、式(I)の化合物をベースとした物体は、典型的に10μm未満の寸法を有する粒子である。
【0061】
これらの粒子は好ましくは、本発明の調製方法の1つによって得られる。
【0062】
用語「粒子」はここでは、等方性または異方性物体を意味し、それは単一粒子、または凝結体であってもよい。
【0063】
ここで言及される粒子の寸法は典型的に、走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定されてもよい。
【0064】
有利には、式(I)の化合物は、プレートレットタイプの異方性粒子、またはこのタイプの数十〜数百の粒子の凝集体の形態であり、これらのプレートレットタイプの粒子は典型的に、5μm未満(有利には1μm未満、より有利には500nm未満)である寸法を有し、典型的に500nm未満、例えば100nm未満である厚さを有する。
【0065】
第1の異形によって記載されたタイプの粒子は典型的に、n型導電体または半導体担体上に堆積された形態で使用されてもよい。
【0066】
したがって、本発明に従う式(I)のp型粒子で覆われたITOまたは金属板は、例えば、特に光検出器として使用されてもよい光電気化学的タイプのデバイスのための光活性電極として作用してもよい。
【0067】
典型的に、上述のタイプの光活性電極を使用する光電気化学的タイプのデバイスは、一般に、約1Mの濃度を典型的に有する塩溶液、例えばKCl溶液である電解質を含み、その中に、
− 上述のタイプの光活性電極(本発明に従う式(I)の化合物の粒子で覆われたITOまたは金属板)、
− 参照電極、および
− 対電極
が浸漬され、
これらの3つの電極は典型的にポテンショスタットによって一緒に連結される。
【0068】
可能な実施形態に従って、電気化学デバイスは、
− 光活性電極として:式(I)の化合物の粒子で覆われた担体(ITO板など)、
− 参照電極として:例えば、Ag/AgCl電極、および
− 対電極として:例えば、白金線
を含んでもよく、
これらの3つの電極は典型的にポテンショスタットによって一緒に連結される。
【0069】
このタイプの電気化学デバイスが光源下に置かれるとき、照射の効果で、電子・正孔対が形成され、分離される。
【0070】
通常の場合、電解質が水溶液であるとき、電解質中の水は、発生した電子によって光活性電極付近で還元され、水素およびOH
−イオンを生じる。このように生じたOH
−イオンは、電解質を介して対電極に向かって移動し、式(I)の化合物の正孔は、ITO型導体によって引き抜かれ、外部電気回路に入る。最後に、OH
−イオンの酸化が対電極付近で正孔を利用して行なわれ、酸素を生じる。式(I)の化合物による光吸収によって引き起こされた、これらの電荷(正孔と電子)の移動が、光電流を発生する。
【0071】
このデバイスは特に、光検出器として使用されてもよく、光電流は、デバイスが照らされる時にだけ発生される。
【0072】
上に記載されたような光活性電極は特に、溶剤中に分散された上述のタイプの式(I)の化合物の粒子を含む懸濁液を使用して、そして湿潤経路または任意のコーティング方法によって、例えばドロップ−キャスティング、スピンコーティング、浸漬コーティング、インクジェット印刷またはスクリーン印刷によって、担体上に、例えばITOで覆われたガラス板または金属板上にこの懸濁液を置いて作製されてもよい。この主題に関するさらなる詳細については、文献:R.M. Pasquarelli,D.S.Ginley,R.O’Hayre、Chem. Soc.Rev.,vol40,5406−5441ページ、2011年が参照されてもよい。好ましくは、懸濁液中に存在している式(I)の化合物をベースとした粒子は、レーザー粒度測定によって測定されたとき(例えばMalvern型レーザー粒度計を使用して)5μm未満である平均直径を有する。
【0073】
好ましい実施形態に従って、式(I)の化合物の粒子は溶剤、例えばテルピネオールまたはエタノール中に予め分散されてもよい。
【0074】
式(I)の化合物の粒子を含有する懸濁液は、担体、例えば、導電性酸化物で覆われた板上に堆積されてもよい。
【0075】
光電池デバイスを製造するためによく適していることが判明している、本発明の第2の異形によって、式(I)の化合物は、式(I)の化合物をベースとした連続した層の形態であり、その厚さは50μm未満、好ましくは20μm未満、より有利には10μm未満、例えば5μm未満そして典型的に500nm超である。
【0076】
用語「連続した層」はここでは、担体上への粒子の分散体の単純な堆積によって得られない、担体上に生じそして前記担体を覆う均質な堆積物を意味する。
【0077】
本発明のこの特定の異形による式(I)のp型化合物をベースとした連続した層は典型的に、正孔伝導性材料と電子伝導性材料との間に、n型半導体の層に近接して置かれ、光電池効果をもたらすことが意図された光電池デバイスを形成する。
【0078】
本発明に従う使用においてn型半導体は、導電性酸化物、例えばZnOまたはTiO
2、または硫化物、例えばZnSであってもよい。
【0079】
さらに、用語「式(I)の化合物をベースとした層」は、式(I)の化合物を、好ましくは少なくとも50質量%の比率において、またはさらに少なくとも75質量%の比率において含む層を意味する。
【0080】
一実施形態に従って、第2の異形による連続した層は、式(I)の化合物から本質的になり、それは典型的に、式(I)の化合物の少なくとも95質量%、またはさらに少なくとも98質量%およびより有利には少なくとも99質量%を含む。
【0081】
この実施形態に従って使用される式(I)の化合物をベースとした連続した層は、いくつかの形態をとってもよい。
【0082】
連続した層が、ポリマーマトリックスと、このマトリックス中に分散された、特に、本発明の第1の実施形態において使用されるタイプの10μm未満、またはさらに5μm未満の寸法を典型的に有する式(I)の化合物をベースとした粒子とを含む。
【0083】
典型的に、ポリマーマトリックスがp型導電性ポリマーを含み、それは、特にポリチオフェン誘導体から、より詳しくはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)誘導体から選択されてもよい。
【0084】
ポリマーマトリックス中に存在している式(I)の化合物をベースとした粒子は好ましくは、5μm未満の寸法を有し、それは特に、SEMによって定量されてもよい。
【0085】
本発明はここで、以下に示された説明のための実施例を参照して、そして添付した図面においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1】以下に記載される実施例4において使用される光電気化学電池の横断面の略図である。
【
図4】説明されない、本発明に従う光電池デバイスの横断面の略図である。
【0087】
図1は、
− 2cm×1cmのITOの導電層で覆われたガラスをベースとした担体12からなり、その上に表面全体にわたり本発明に従う式(I)の化合物の粒子14をベースとした厚さ約1μmの層13が堆積される光活性電極11であって、粒子14がテルピネオール中に予め分散され、次に、導電性ガラス板11上へのコーティング(ドクターブレードコーティング)によって堆積される、光活性電極11と、
− (Ag/AgCl)参照電極15と、
− 対電極(白金線)16と、を含む光電気化学電池10を示す。
【0088】
3つの電極11、15および16が、1MのKClの電解質17中に浸漬される。3つの電極がポテンショスタット18を介して連結される。
【0089】
図2は、本発明に従う式(I)の化合物の粒子21を含む光検出器デバイス20を示す。このデバイスは、ZnOをベースとした厚さ約1μmの層23が上に電着される厚さ約500nmのFTO層22を含む。本発明に従う式(I)の化合物の粒子21をベースとした厚さ約1μmの層24が、エタノール中25〜30質量%の本発明に従う式(I)の化合物の粒子の懸濁液からの液滴の堆積によって層23の表面上に堆積される。厚さ約1μmの金層25が、蒸発によって層24上に堆積される。
【0090】
図3は、本発明に従う式(I)の化合物の粒子31を含む光電池デバイス30を示す。このデバイスは、ZnOをベースとした厚さ約1μmの層33が上に電着される厚さ約500nmのFTO層32を含む。本発明に従う式(I)の化合物の粒子31をベースとした厚さ約1μmの層34が、エタノール中の25〜30質量%の本発明に従う式(I)の粒子の懸濁液からの液滴の堆積によって層33の表面上に堆積される。レドックス媒介物質として作用するI
2/I
−対35を含有する電解質が、層34の表面上に液滴の堆積によって堆積され、その上に厚さ約1μmの金層36が蒸発によって堆積される。
【0091】
図4は、コーティングによってZnOをベースとした層42上に堆積された本発明に従う式(I)の化合物の粒子をベースとした層41を含む光電池デバイス40を示し、ZnOをベースとした層42はゾル−ゲル堆積によって調製され、層41は金層43と接触しており、ZnOをベースとした層42はFTO層44と接触している。
【0092】
本発明に従う式(I)の化合物をn型半導体ZnOと接触させて置くことによってp−n接合を形成する。デバイスが光源下に置かれるとき、発生した電子はZnOに移動し、発生した正孔は本発明に従う式(I)の化合物に残る。ZnOはFTO(電子導体)と接触しており、電子をそこから引き抜き、本発明に従う式(I)の化合物は金(正孔導体)と接触しており、正孔をそこから引き抜く。
【0093】
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、その範囲を限定するものではない。