特許第6563112号(P6563112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563112
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】オートバイ用の空気ガイド装置
(51)【国際特許分類】
   B62J 23/00 20060101AFI20190808BHJP
   B62J 99/00 20090101ALI20190808BHJP
【FI】
   B62J23/00 E
   B62J99/00 L
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-500885(P2018-500885)
(86)(22)【出願日】2016年4月21日
(65)【公表番号】特表2018-520049(P2018-520049A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】EP2016058827
(87)【国際公開番号】WO2017008929
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】102015213208.0
(32)【優先日】2015年7月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】ファウルハーバー・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント・ディーター
【審査官】 稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−284495(JP,A)
【文献】 特開2005−254873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/00
23/00
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行風の空気流をオートバイのフォーク領域において定められたとおりにガイドし、前輪とフロントフェアリングの間の領域を持つフォーク貫通開口部の領域に入り込む空気をラジエータへと導くように構成されているオートバイ用の空気ガイド装置であって、
少なくとも、
長手方向に視て一つの後方のガイド部材(2)を有し、当該ガイド部材が、オートバイのフォークに対して背面側且つラジエータ前側において長手方向に延びるようにオートバイに不動に取り付けられるように構成されており、
長手方向に視て前方のガイド部材(3)をさらに有し、当該ガイド部材は、オートバイのフォークに対して正面側で間接的ないし直接的に後方のガイド部材(2)に、ラジエータから前方に離れた位置で取り付けられるように構成されており、
前方のガイド部材(3)は、後方のガイド部材(2)に対して垂直軸線周りに回転可能とされている空気ガイド装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、前方のガイド部材(3)は、二つの切欠部(30)を有し、当該切欠部が周方向にオートバイのフォークを少なくとも部分的に囲うように形成されていることを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、前方のガイド部材(3)は、オートバイのフォークに対して正面側に延びる正面部分(5)と、それに続いてオートバイのフォークの間に延びる中央部分(6)とを有することを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項4】
請求項3に記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、正面部分(5)は、外輪郭の丸い前方縁部(4)を有し、前方縁部(5)は、オートバイのフォークを遮蔽するための横手方向の長さを有することを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項5】
請求項3から4のいずれかに記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、中央部分(6)は、オートバイのフォークを遮蔽するための長手方向の長さを有することを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、長手方向に視て中間のガイド部材(10)を有し、当該ガイド部材は、前方および後方のガイド部材(2,3)の間に配置され、前方のガイド部材(3)に直に接続され、後方のガイド部材(2)に対して垂直軸線周りに回転可能とされていることを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項7】
請求項6に記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、中間のガイド部材(10)は、側方部材(11)を備え、当該側方部材が中間のガイド部材(10)に側方において設けられていることで、当該側方部材がオートバイのフォークを背面側で取り巻くことを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項8】
請求項7に記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、中間のガイド部材(10)に対して側方に配置されているとともに、後方のガイド部材(2)に可動に取り付けられている側方部材(11’)を備えていることを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項9】
請求項8に記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、ハンドルを回したときにオートバイのフォークが動ける自由な空間を作るために可動機構が設けられており、当該可動機構により、側方部材(11,11’)が後方のガイド部材(2)に対して可動とされていることを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項10】
請求項9に記載のオートバイのための空気ガイド装置において、可動機構は、後方のガイド部材(2)に対して側方部材(11)が垂直に旋回するフラップ機構として構成されていることを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項11】
請求項8に記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、可動機構は、後方のガイド部材(2)に対して側方部材(11’)が移動可能に設けられた変位機構として構成されており、側方部材(11’)の移動は、後方のガイド部材(2)が延在する面に平行な平面内で行われることを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、前方のガイド部材(3)、後方のガイド部材(2)および/または中間のガイド部材(10)および/または側方部材(11,11’)が少なくとも部分的に互いに面で重なり合うようにして設けられていることを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項13】
請求項7から12のいずれかに記載にオートバイ用の空気ガイド装置において、側方部材(11)は、それぞれバネを介して保持されており、当該バネが、初期位置に戻そうとする力を側方部材(11,11’)にそれぞれ常に加え続けることを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、後方のガイド部材(2)にガイド孔が設けられ、当該ガイド孔の形状は、ハンドルを回したときのオートバイのフォークの軌道曲線に対応し、前方のガイド部材(3)に形成された相補的なガイド手段が前記ガイド孔に係合することで、ハンドルを回したときに前方のガイド部材(3)が垂直軸線周りに前記軌道曲線に沿って動くことを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項15】
請求項1から5のいずれかに記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、後方のガイド部材(2)は、二つの凹部(8)を有し、ハンドルを回すときに当該凹部がオートバイのフォークを少なくとも部分的に取り巻くように形成されていることを特徴とする空気ガイド装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載のオートバイ用の空気ガイド装置において、前方のガイド部材(3)および/または後方ガイド部材(2)は、オートバイの部品への接続部位において、側方断面視にて段差を有し、当該段差により、オートバイの部品に少なくとも部分的に重畳して接続可能とされていることを特徴とする空気ガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートバイ用の空気ガイド装置であって、走行風の空気流をオートバイのフォーク領域において定められたとおりにガイドするように構成されているガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータースポーツ用オートバイには、空気抵抗と揚力の値をできるだけ少なくすることが求められる。前輪とフロントフェアリングの間の領域を持つフォーク貫通開口部(Gabeldurchbruch)は、従来構成に対して改善が見込める領域であることが明らかになった。この領域では、オートバイのフォークが前輪からほぼ垂直方向にハンドルまで延び、たいていはラジエータのための空気供給が行われる。フォーク貫通開口部の領域に特に高速時に認められる空気流の強い乱れにより、オートバイのCw値と揚力が増える。加えて、ラジエータへの空気は、殆ど影響を受けることなく供給される、つまりはロスがある状態で供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明は、空気ガイド装置を提供し、この空気ガイド装置を用いることでオートバイのフォーク貫通開口部の領域を改善できる結果、オートバイの空気抵抗と揚力を低減しかつ流れ方向下流側のラジエータといった部品に走行風を効果的に供給できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、特許請求項1の特徴部を組み合わせることで解決される。
【0005】
本発明により、走行風の空気流(Fahrtwind−Luftstroemung)をオートバイのフォーク領域において定められたとおりにガイドするように構成されているオートバイ用の空気ガイド装置であって、少なくとも、長手方向に視て一つの後方のガイド部材を有し、当該ガイド部材が、オートバイのフォークに対して背面側でオートバイに不動に取り付けられるように構成されており、さらに、少なくとも、長手方向に視て前方のガイド部材を有し、当該ガイド部材は、オートバイのフォークに対して正面側で間接的又は直接的に上記後方ガイド部材に取り付けられるように構成されており、前方ガイド部材は、後方ガイド部材に対して垂直軸線周りに回転可能とされている空気ガイド装置が提案される。
【0006】
ここで、長手方向はオートバイの走行方向に、横手方向はこの長手方向に対して側方に垂直に、そしてオートバイのフォーク軸に平行な軸線が垂直軸線に定められる。走行力学的な観点からはあり得る、実際の垂直軸線に対して角度を持って設けられているオートバイのフォークの態様は、ここでは簡略化のために考慮に入れないでおく。
【0007】
この空気ガイド機は、少なくとも前方のガイド部材がフロントフェアリングにおいて下側で蓋をするように当接して、トップブリッジ(Gabelbrucke)に向かう垂直方向の空気の進入を最小限に押えるように構成されている。加えて、走行時にフォーク貫通開口部の領域に入り込む空気は、予め定められた通りにラジエータへと導かれる。前方のガイド部材が後方のガイド部材に対して相対的に動けることにより、直進時だけでなく、ハンドルを回してオートバイのフォークが垂直軸線周りに回転しているときにも空気がガイドされる。
【0008】
後方のガイド部材は、好ましくは直にオートバイのラジエータに取付けることができ、空気ガイド機のラジエータへの直接の接続部を形成する。この部材は、フォーク貫通開口部の全幅に亘って横手方向に延びているので、長手方向に視てオートバイのフォークの後ろ側の領域も面で遮蔽された状態になる。
【0009】
有利な実施形態例では、前方のガイド部材は、オートバイのフォークに対して正面側に延びる正面部分と、それに続いてオートバイのフォークの間に延びる中央部分とを有するものとされている。そのため、これら二つの部分は、オートバイのフォークの横と前とでフォーク貫通開口部の一部を面で遮蔽する。フォーク貫通開口部を全面的に且つあらゆる走行状況、つまりハンドルを回しているときにも確実にカバーするために、長手方向に前方ガイド部材が延びている部分は、後方ガイド部材のものよりも何倍も大きく形成されている。
【0010】
さらに、前方のガイド部材が二つの切欠部を有し、これらの切欠部が周方向にオートバイのフォークを少なくとも部分的に収める或いは囲うように形成されている一実施形態が有利である。オートバイのフォークは、この切欠部を通してガイド部材を通り抜けることができることとなる。その一方で同時に、前方のガイド部材は、オートバイのフォーク周りに延在することができ、断面で概ね丸い形状に倣うように形成されており且つ前方のガイド部材がオートバイのフォークを正面側で包囲することができるようになっている。そのため、上記凹部(切欠部)の丸みは、凹部とオートバイのフォークとの間に隙間ができないようにオートバイのフォークの外径に合わされている。
【0011】
後方のガイド部材も有利な実施形態において二つの凹部を有し、ハンドルを回すときにこれらの凹部がオートバイのフォークを少なくとも部分的に後ろから取り巻くように形成されている。これらの切欠部(凹部)は、オートバイのフォークのハンドル操作時の動きを邪魔しないように設けられる。ハンドルを操作している状況で、ハンドルを回していく方のオートバイのフォークの側が後方のガイド部材の切欠部の内側に当接する。前方のガイド部材は、ハンドルを回していく方にオートバイのフォークとともに一緒に動いていき、後方のガイド部材と一緒になってオートバイのフォークのハンドルを回す側に略閉じた円環を形成する。
【0012】
さらに、前方のガイド部材の正面部分が、外輪郭の丸い前方縁部を有している実施形態が有利である。このとき、前方縁部ないし前方のガイド部材は、投射影にてオートバイのフォークが側方で遮蔽される程度に横手方向外方に延びている。これにより、オートバイのフォークの長手方向前方で早々にフォーク貫通開口部に沿って空気がガイドされるようになる。
【0013】
前方のガイド部材の中央部分は、オートバイのフォークを長手方向において遮蔽ないし包囲するために、長手方向に延在する部分を有するように大きさが決められている。従って、フォーク貫通開口部は、前方のガイド部材によって、側方も前方も面でカバーされる。
【0014】
上記の実施形態の発展態様では、空気ガイド装置が長手方向に視て中間のガイド部材をさらに有し、この中間のガイド部材が、前方のガイド部材と後方のガイド部材の間に配置され、前方のガイド部材に直に接続され、後方のガイド部材に対して垂直軸線周りに回転可能とされている。中間のガイド部材を用いることで、空気ガイド部材によりカバー可能なフォーク貫通開口部の面積が増加する。
【0015】
一変形例では、中間のガイド部材が側方部材を備えるものとされる。この側方部材は、側方で中間のガイド部材に設けられており、それにより、これらがオートバイのフォークを背面側で取り囲み、この領域でフォーク貫通開口部をカバーできるようになっている。代替的に、この側方部材は、後方のガイド部材に可動に取り付けられるが、そのときでもやはりカバーのためにオートバイのフォーク後ろ側に延びる。
【0016】
上記構成は、ラジエータ側もカバーすることにより発展的に形成されている。ハンドルを目一杯回したときには、オートバイのフォークとラジエータとの間に僅かな間隔しか残らない。例えば後方のガイド部材側における動かない部品は、この小さな領域しかカバーを許されない。そのために、ステアリングのニュートラル位置では隙間ができ、ハンドルを回したときには一方の側にできる。この領域を完全に閉鎖しつつもハンドルを回したときのオートバイのフォークが動ける自由なスペースを設けるために、空気ガイド装置には可動機構が設けられ、この可動機構を用いることで、側方部材が後方ガイド部材に対して相対的に動けるものとされる。
【0017】
第一の実施形態例において、この可動機構は、後方のガイド部材に対して側方部材が垂直に旋回するフラップ機構として構成される。側方フラップ(Seitenklappe)を旋回するための力は、オートバイのフォークによってもたらされる。加えて、一実施形態において、後方のガイド部材には、側方フラップの移動方向のためのガイド部が設けられ、定められたとおりの動きがこれにより保証されるようになる。
【0018】
選択的な一実施形態例において、可動機構は、側方部材が後方のガイド部材に対して移動可能に設けられた変位機構として構成されており、側方部材の移動は、後方のガイド部材が延在する面に平行な平面内で行われる。側方フラップを移動させるための力は、やはりオートバイのフォークによってもたらされる。この側方フラップは、本実施形態では、側方に押しやる、それも後方ガイド部材の上側又は下側に押しやることができる。
【0019】
一発展態様において、さらにこれらの側方部材は、中間のガイド部材にそれぞれバネを介して保持されており、これらのバネが、初期位置に戻そうとする力を側方部材にそれぞれ常に加え続けるものとされている。オートバイのフォークを直進位置へと戻そうとする際には、これらの側方部材は、それらの初期状態に戻されるので、オートバイのフォークにずっと当接したままとなり、フォーク貫通開口部を閉鎖する。
【0020】
空気ガイド装置は、さらに、前方のガイド部材、後方のガイド部材および/または中間のガイド部材および/または側方部材が少なくとも部分的に面で互いに重なり合うようにして設けられている点に特徴がある。好ましくは、ガイド部材の全てが面で互いに重なり合うことでプレート様の全躯体を形成し、これがオートバイのフォークの周りからラジエータに至るまで延びている。
【0021】
有利な実施形態例では、後方のガイド部材にはさらにガイド孔が設けられており、その形状は、ハンドルを回したときのオートバイのフォークの軌道曲線(Bahnkurve)に対応しており、前方のガイド部材に形成された相補的なガイド手段がこのガイド孔に係合することで、ハンドルを回したときに前方のガイド部材が垂直軸線周りに上記起動曲線に沿って動くことになる。中間のガイド部材も然るべくガイド孔によりガイドされるのでもよい。ガイド手段としては、成形されたピン、ネジその他の当業者にとって従来技術から周知の手段を用いることができる。
【0022】
有利な一実施形態では、空気ガイド装置をオートバイの部品に接続するために、前方ガイド部材と後方ガイド部材とは、オートバイの部品への接続部位において、側方断面視にて段差を有し、オートバイの部品への少なくとも部分的に重畳する接続を可能にしている。ここで、オートバイの部品として、正面側ではフロントフェアリングの下面が、背面側ではラジエータが用いられる。階段状にしてつなげることで、空気ガイド装置は、それぞれ長手方向に支えられた状態でかつ少なくとも部分的にぴったり塞いだ状態でオートバイ部品で平らに閉じている。
【0023】
オートバイのフォークにおけるガイド部材の望ましくない摩擦を防ぐために、ガイド部材の角部を丸めるか或いは柔らかい補助材で周りを包囲してもよい。
【0024】
空気ガイド装置の部品用材料としては、好ましくはプラスチックが用いられる。
【0025】
本発明の他の有利な発展形態は、下位請求項に示されているか、そうでなくとも本発明の好ましい実施形態の記載とともに以下に図に基づいてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】オートバイに装着された空気ガイド機の第一の実施形態を下から視て示す図である。
図2】空気ガイド機の第二の実施形態を上から視て示す図である。
図3】空気ガイド機の第三の実施形態を上から視て示す図である。
図4】オートバイに装着された図3による第三の実施形態を示す図であって、ハンドルを回しているときの様子を下から視て表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
全ての図において同一の部材には同じ符号を付す。
【0028】
図1には、オートバイに装着された状態の第一実施形態の空気ガイド機1が下面視にて示されている。オートバイについては、より分かり易いようにフロントフェアリング101とオートバイのフォーク100が示されている。空気ガイド装置1は、長手方向Lに視て後方のガイド部材(後方ガイド部材)2を有している。この後方ガイド部材は、オートバイのフォーク100に対して背面側でオートバイのラジエータに動かないように固定されており、全幅に亘って一体に延びていることで、ラジエータの領域が垂直方向に視て覆われた状態になる。後方ガイド部材2は、オートバイのフォーク100に合わせて丸く形成された二つの凹部8を有しており、ハンドルを回した際にはこれらの凹部の中にオートバイのフォーク100が動いて行けるようになっており、これら凹部は、このオートバイのフォーク100を当接状態にて背面側と側方にて取り巻くようになっている。後方ガイド部材2に造形された長手方向に延びるウェブ80によって、前方と後方のガイド部材3,2の間の接続部が作られている。これらのウェブ80に設けられた取付ポイント7において、前方および後方のガイド部材3,2は、垂直軸線周りに互いに回転可能に支承された状態で取り付けられている。前方のガイド部材(前方ガイド部材)3は、両側に切欠部30があり、これらの切欠部がやはりオートバイのフォーク100の丸みに合わせて形成されていてこれらのフォークを周方向において部分的に収容ないし包囲している。
【0029】
長手方向に視て前方へは、オートバイのフォーク100に対する正面側にて前方ガイド部材3がその正面部分5を伸ばしているが、この正面部分5は、走行方向に向いた丸い外輪郭を持つ前方縁部4を有している。側方への横手方向Qにおいて、前方ガイド部材3は、その外縁部4がオートバイのフォーク100を投射影したものを超えて外側に延びており、投射影においてフォークを前方から遮蔽するようになっている。この正面部分5には、中央部分6が続いており、オートバイのフォーク100の間から後方ガイド部材2にまで延びている。これにより、図1に示されるような直進走行においても、ハンドルを回した状態にあるときにおいても、いずれにおいても概ね完全なフォーク貫通開口部のカバーが行われる。
【0030】
図2は、空気ガイド機1の第二の実施形態をオートバイ抜きで上から視て示している。前方ガイド部材3は、図1によるものと概ね一致するが、正面部分5は、横手方向にさらに外側に向かって、長手方向にはさらに後ろ側に向かって延びている。図2による実施形態では、空気ガイド装置1は、さらに長手方向に視て中間のガイド部材(中間ガイド部材)10を備えている。この中間ガイド部材は、前方および後方のガイド部材2,3の間に配置されており、前方ガイド部材3に直に接続されている。前方ガイド部材3と中間ガイド部材10のいずれも後方ガイド部材2に対して垂直軸線周りに回転可能であり、ハンドルを回したときにオートバイのフォーク100によって動かすことができる。中間ガイド部材10を用いることで、後方ガイド部材2は、長手方向への延び具合が少なくなり、どちらかというとラジエータへの移行部と接続部を形成する(不図示)。
【0031】
図1による実施形態では空いている、オートバイのフォーク100の背面側のフォーク貫通開口部の領域は、図2による実施形態では、中間ガイド部材10に側方部材11が設けられていることによって閉鎖される。この側方部材は、側方にて中間ガイド部材10に設けられていることで、これら側方部材が背面側でオートバイのフォークを取り巻くことができるようになっている。ハンドルを回すと、フラップ機構として形成された可動機構により、側方部材11のフラップ部は、後方ガイド部材2に対して垂直方向に旋回させることができる。ハンドルをニュートラル位置へと戻す際には、側方部材11のフラップ部は、例えばねじりコイルばねにより図2に示された位置に戻るように引き伸ばされる。
【0032】
図3は、オートバイを図示することなく上面視にて空気ガイド機1の第三の実施形態を示す。前方および後方のガイド部材3,2に関する特徴部分は、概ね図2によるものと一致する。中間ガイド部材10は、図2におけるように前方ガイド部材3に固定されているが、後方ガイド部材2は、長手方向に延びる複数ウェブを有していて、それらのウェブには、別々の側方部材11’が取付ポイント17において垂直軸線周りに回転可能に取り付けられている。側方部材11’のための可動機構は、変位機構として形成されており、下側から示された図4のハンドル回転時には、各側方部材11’は、後方ガイド部材2の下側に向けて、延在する面に平行に横手方向に押される。動かされた各側方部材11’を元のニュートラル位置に戻すのは、やはり例えば不図示のねじりコイルばねにより行われる。
【0033】
全ての実施形態についていえることだが、前方ガイド部材3、後方ガイド部材2、中間ガイド部材10および側方部材11,11’は、好ましくは互いに面で重なり合い、フォーク貫通開口部を覆うとともにラジエータに向けて空気をガイドするための一枚のプレート状の躯体を形成する。
【0034】
側方部材11’の形状は、側方部材が概ね四分円を呈する図示された実施形態に限定されるものではない。特にオートバイのフォーク100に臨む側に丸みが持たされていて、その丸みがオートバイのフォーク100を少なくとも部分的に囲うように形成されているという変形例も考えられる。
【0035】
さらに、全ての実施形態例において、前方ガイド部材3、後方ガイド部材2、中間ガイド部材10或いは側方部材11,11’において開口部(Durchbrueche)を設けることができ、この開口部を介して、例えばブレーキホース(Bremsleitung)やこれに類するものを通すことができる。ガイド部材2,3,10および側方部材11,11は、さらにガイド部およびガイド手段を有していて、相対的にガイドし合いながら動けるようになっていてもよい。
【0036】
本発明は、先に示された好ましい実施形態例に限定されることはない。それどころか、根本的に別の態様の実施形態の場合でも、示された解決手段を用いる多数の変形例が考えられ得る。例えば、ハンドルを回したときのフォーク貫通開口部の領域を覆うためのもっと高い柔軟性を実現するために、空気ガイド装置内に他のガイド部材を組み込むことができる。
図1
図2
図3
図4