(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563130
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】撮像用の光学系および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/02 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
G02B13/02
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-524122(P2018-524122)
(86)(22)【出願日】2017年6月20日
(86)【国際出願番号】JP2017022757
(87)【国際公開番号】WO2017221949
(87)【国際公開日】20171228
【審査請求日】2018年11月12日
(31)【優先権主張番号】特願2016-122608(P2016-122608)
(32)【優先日】2016年6月21日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】株式会社nittoh
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】澤本 章
【審査官】
小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−014758(JP,A)
【文献】
特開2015−111254(JP,A)
【文献】
特開2015−096915(JP,A)
【文献】
特開平05−173064(JP,A)
【文献】
特開2001−033704(JP,A)
【文献】
特開平06−222260(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/118865(WO,A1)
【文献】
特開平11−326756(JP,A)
【文献】
特開平11−281890(JP,A)
【文献】
特開平10−062688(JP,A)
【文献】
特開2013−061476(JP,A)
【文献】
特開平01−285911(JP,A)
【文献】
特開平08−043735(JP,A)
【文献】
特開平06−109973(JP,A)
【文献】
特開2014−059466(JP,A)
【文献】
特開平02−238416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口絞りを挟んで物体側に配置された第1のレンズ群と、像面側に配置された第2のレンズ群とから構成された撮像用の光学系であって、
フォーカシングの際に、前記第1のレンズ群に含まれるレンズまたは当該光学系全体が移動し、さらに、
前記第1のレンズ群は、全体として正の屈折力であり、最も物体側に配置された、物体側に凹の負の屈折力の物体側レンズと、前記物体側レンズに隣接して配置された物体側に凸の正の屈折力のメニスカスレンズとを含み、
前記第2のレンズ群は、全体として負の屈折力であり、前記開口絞りに対して、5枚の位置が固定されたレンズにより構成され、前記位置が固定されたレンズは、最も像面側に配置され、像面側に凸の負の屈折力の第1のメニスカスレンズと、前記第1のメニスカスレンズの物体側に隣接して対峙するように配置され、像面側に凹の負の屈折力の第2のレンズと、前記第2のレンズの物体側に隣接し、前記第2のレンズに対し独立して配置された両凸の正の屈折力の第3のレンズと、前記第3のレンズの物体側に配置された正の屈折力の第4のレンズとを含み、当該光学系の全長LAが一定で、前記全長LAとバックフォーカスBFと、前記第1のメニスカスレンズの物体側の面の曲率半径RLL1と、前記第2のレンズの像面側の面の曲率半径RLN2と、前記第1のレンズ群の最も物体側のレンズの物体側の面の有効径De1とが以下の条件を満たす、光学系。
1.5<LA/BF<5.0
−1.0<(RLL1+RLN2)/(RLL1−RLN2)<−0.1
0.8<De1/BF<2.0
【請求項2】
請求項1において、
前記第3のレンズは、前記第2のレンズに対し最小の間隔で配置されている、光学系。
【請求項3】
請求項1において、
前記全長LAと、前記バックフォーカスBFとが以下の条件を満たす、光学系。
1.5<LA/BF<2.5
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光学系と、
前記光学系の像面側に配置された撮像素子とを有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラなどの撮像装置に好適な撮像用の光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国特許公開公報2002−107616号には、物体側より正、負、正の3群8〜9枚構成でフォーカス時に第2レンズ群が一体として移動されるインナーフォーカス式のレンズであって、所定のレンズ構成と条件式とを満足することにより、フィルムサイズが大きなカメラ用として好適な、収差が良好に補正されたコンパクトなレンズを得ることが記載されている。具体的には、物体側より順に2枚の正レンズ、負レンズ、および正レンズからなる固定で正の第1レンズ群、負レンズと正レンズからなりフォーカス時に一体として移動する負の第2レンズ群、正レンズ、負レンズ、および正レンズからなる固定で正の第3レンズ群を配列してなるレンズが開示されている。
【発明の開示】
【0003】
カメラなどの撮像装置に大型の撮像素子が採用されつつあり、それに対応したイメージサークルの大きい撮像用のレンズシステム(光学系)が要望されている。イメージサークルの大きな光学系はレンズサイズが大きくなりやすい。このため、イメージサークルが大きな光学系を、簡易な構成で、コンパクトに実現することが要望されている。
【0004】
本発明の態様の1つは、開口絞りを挟んで物体側に配置された第1のレンズ群と、像面側に配置された第2のレンズ群とから構成された撮像用の光学系である。第2のレンズ群は、最も像面側に配置され、像面側に凸の負の屈折力の第1のメニスカスレンズと、第1のメニスカスレンズに隣接して対峙するように配置され、像面側に凹の負の屈折力の第2のレンズとを含む。
【0005】
イメージサークルを大きくするために像面側のレンズ径を大きくすると物体側のレンズ径がますます大きくなり、光学系をコンパクトにデザインすることが難しい。この光学系においては、最も像面側に負のパワーのレンズを配置することにより像面側のレンズ径に対して大きなイメージサークルが得られるようにしている。さらに、像面側に負のパワーのレンズを配置することにより光学系から像面までの距離(バックフォーカス)を確保することができる。一方、像面側に負のパワーのレンズを配置すると、像面湾曲が増大し、補正が困難になる傾向があり、像面側に、レンズ径に対して十分にイメージサークルを拡大できる負のパワーのレンズを配置することは難しい。
【0006】
そこで、この光学系においては、最も像面側に、イメージサークルを拡大するために好都合な像面側に凸の負のメニスカスレンズ(像面側のメニスカスレンズ、第1のメニスカスレンズ)を配置するとともに、その第1のメニスカスレンズと対峙するように、像面側に凹の負のパワーのレンズ(対峙したレンズ、第2のレンズ)を配置している。像面側に2枚の負のパワーのレンズを連続して配置することによりイメージサークルを拡大するために十分な負のパワーを確保するとともに、収差の補正に有効なレンズ面の数を確保し、さらに、凹面を対峙して配置することによりペッツバール和が増大するのを抑制して像面湾曲の発生を抑えるようにしている。したがって、イメージサークルが大きいにもかかわらず、像面側のレンズ径が小さく、コンパクトで収差補正も良好な光学系を提供できる。
【0007】
第1のメニスカスレンズの物体側の面の曲率半径RLL1と、第2のレンズの像面側の面の曲率半径RLN2とが以下の条件(1)を満たしてもよい。
−1.0<(RLL1+RLN2)/(RLL1−RLN2)<−0.1
・・・(1)
条件(1)の上限を上回ると、像面側の最終の2つのレンズの向かい合った面の組み合わせのパワーが大きくなりすぎてバックフォーカスBFが短くなりすぎる。一方、条件(1)の下限を下回ると、向かい合った面の組み合わせのパワーが不足して、バックフォーカスBFが長くなりすぎ、また、レンズ径やレンズ長も大きくなる。条件(1)の上限は−0.2であってもよく、バックフォーカスBFが短くなりすぎることを抑制できる。
【0008】
第2のレンズ群は、第2のレンズの物体側に隣接して対峙するように配置され、像面側に凸の正の屈折力の第3のレンズを含んでもよい。第1のメニスカスレンズをさらに小型化でき、収差補正も良好な光学系を提供できる。第3のレンズは、第2のレンズに対し最小の間隔(空気間隔)で配置してもよく、コンパクトな光学系を提供できる。
【0009】
第1のレンズ群は、全体として正の屈折力であり、最も物体側に配置された、物体側に凹の負の屈折力の物体側レンズと、物体側レンズに隣接して配置された物体側に凸の正の屈折力のメニスカスレンズとを含んでもよい。第2のレンズ群は、全体として負の屈折力であってもよい。この光学系は、全体として、広角レンズなどに使用される負−正のパワー配置を持つレトロフォーカスタイプではなく、一般的に、画角が狭い正−負のパワー配置を持つ望遠タイプ(テレフォトタイプ、逆レトロフォーカスタイプ)を採用しつつ、先行する最も物体側のレンズを物体側に凹の負レンズとすることにより画角を広げ、一方、テレフォトタイプの利点である焦点距離が長い特性を活かして、比較的長いバックフォーカスを実現できるようにしている。そして、像面側のレンズ径を小さくできることにより、物体側のレンズ径も小さくなる。したがって、広角から標準をカバーする光学系(レンズシステム)であって、イメージサークルが大きく、コンパクトな光学系を提供できる。
【0010】
この光学系は、光学系の全長LAと、物体側レンズの物体側の面の有効径De1と、バックフォーカスBFとが以下の条件(2)および(3)を満たしてもよい。
1.5<LA/BF<2.5 ・・・(2)
0.6<De1/BF<1.5 ・・・(3)
条件(2)の下限は1.6であってもよく、上限は2.3であってもよい。条件(3)の下限は0.8であってもよく、上限は1.3であってもよく、1.1であってもよい。
【0011】
第1のレンズ群は、物体側から像面に向かって順番に、全体として正の屈折力の前群と、全体として負の屈折力の後群とを含んでもよく、第2のレンズ群は、全体として正の屈折力であってもよい。この光学系は、全体として、正−負−正の望遠タイプ(テレフォトタイプ)の光学系(レンズシステム)であり、第1のレンズ群の後群をフォーカシングの際に移動するインナーフォーカス型の望遠レンズを提供できる。この光学系においても、像面側のレンズ径を小さくできることにより物体側のレンズ径も小さくなり、全体として、イメージサークルが大きく、コンパクトな光学系を提供できる。
【0012】
この光学系は、光学系の全長LAと、第1のレンズ群の最も物体側のレンズの物体側の面の有効径De1と、バックフォーカスBFとが以下の条件(2´)および(3´)を満たしてもよい。
1.5<LA/BF<5.0 ・・・(2´)
0.8<De1/BF<2.0 ・・・(3´)
条件(2´)の下限は2.0であってもよく、上限は4.0であってもよい。条件(3´)の上限は1.6であってもよい。
【0013】
本発明の他の態様の1つは、上記の光学系と、光学系の像面側に配置された撮像素子とを有する撮像装置である。光学系は交換用レンズであってもよく、撮像装置は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、TVカメラ、アクションカメラを含む。大口径でコンパクトな光学系を提供できるので、撮像装置も小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】撮像用の光学系を含む撮像装置の概要を示す図。
【
図6】撮像用の異なる光学系を含む撮像装置の概要を示す図。
【
図11】撮像用のさらに異なる光学系を含む撮像装置の概要を示す図。
【
図16】撮像用のさらに異なる光学系を含む撮像装置の概要を示す図。
【0015】
実施例1
図1に、撮像用の光学系を備えた撮像装置(カメラ、カメラ装置)の一例を示している。このカメラ1は、光学系(撮像光学系、結像光学系、レンズシステム)10と、光学系10の像面側(画像側、撮像側、結像側)12に配置された撮像素子(撮像デバイス)5とを有する。光学系10は、開口絞り(絞り)Stを挟んで物体側11に配置された、全体として正の屈折力の第1のレンズ群G1と、像面側12に配置された、全体として負の屈折力の第2のレンズ群G2とから構成されている。第1のレンズ群G1は、4枚構成で、光軸15に沿って物体側11から順番に配置された、両凹の負レンズ(物体側レンズ)L1と、物体側11に凸の正のパワーのメニスカスレンズL2と、両凸の正レンズL3と、像面側12に凸の負のメニスカスレンズL4とを含む。正レンズL3と負のメニスカスレンズL4との組み合わせ(第1の組み合わせレンズ)C1は接合レンズであり、開口絞りStに面して配置されている。正のパワーのメニスカスレンズL2は、負レンズL1に隣接して配置されており、メニスカスレンズL2の物体側11の一部が両凹の負レンズL1の像面側の凹部に入り込んだ構成となっている。この例では、第1のレンズ群G1は、負−正−正−負の対称的なパワー配列を備えた4枚構成である。
【0016】
第2のレンズ群G2は5枚構成で、光軸15に沿って物体側11から順番に配置された、両凹の負レンズL5と、両凸の正レンズL6と、両凸の正レンズ(第3のレンズ)L7と、物体側11に凸の負のパワーのメニスカスレンズ(第2のレンズ)L8と、像面側12に凸の負のパワーのメニスカスレンズ(第1のメニスカスレンズ)L9とから構成されている。最も物体側11の負レンズL5と正レンズL6との組み合わせ(第2の組み合わせレンズ)C2は接合レンズであり、開口絞りStに面して配置されている。この例では、第2のレンズ群G2は、負−正−正−負−負の比較的対称的なパワー配列を備えた5枚構成である。
【0017】
この光学系10は、焦点調整(フォーカシング)の際に、光学系全体が、すなわち、物体側11から順番に配置された第1のレンズ群G1と、開口絞りStと、第2のレンズ群G2とが相互の空気間隔を変えずに一体で撮像素子5の像面5aに対して移動する。また、この光学系10は、開口絞りStを挟んで、負−正−正−負の第1のレンズ群G1と負−正−正−負−負の第2のレンズ群G2とが配置され、それぞれ対称的なパワー配列を備えた2つのレンズ群を備えた全体として9枚構成の光学系である。
【0018】
図2に光学系10を構成する各レンズのデータを示している。曲率半径(R)は物体側11から順に並んだ各レンズの各面の曲率半径(mm)、間隔dは各レンズ面の間の距離(mm)、有効径Deは各レンズ面の有効径(直径、mm)、屈折率ndは各レンズの屈折率(d線)、アッベ数νdは各レンズのアッベ数(d線)を示している。なお、最終の間隔、本例においてはd17が光学系10と撮像デバイス5との距離(バックフォーカス、BF)を示す。
図3には、各レンズのd線基準の焦点距離(mm)と、各組み合わせレンズ(接合レンズ)の合成焦点距離(mm)と、各レンズ群の合成焦点距離(mm)とを示している。以下に示すレンズデータにおいても同様である。なお、実施例において焦点距離等はd線基準で求めている。
【0019】
図4に、光学系10の球面収差、非点収差、歪曲収差を示している。球面収差は、波長435.8340nm(二点鎖線)と、波長486.1330nm(長破線)と、波長546.0740nm(実線)と、波長587.5620nm(一点鎖線)と、656.2730nm(短破線)とを示している。非点収差はタンジェンシャル光線Tとサジタル光線Sとを示している。
図5に、光学系10の倍率色収差(横収差)をタンジェンシャル光線およびサジタル光線のそれぞれについて上記のそれぞれの波長で示している。以下に示す収差図においても同様である。
【0020】
この光学系10の主な性能を示す数値は以下の通りである。
全体の合成焦点距離(f):45.027mm
F値:3.5
最大画角(半画角):32.6度
イメージサークル:φ56mm
バックフォーカス(BF):26.88mm
全体のレンズ長(LA):47.48mm
【0021】
この撮像光学系10は、物体側11から、正のパワーの第1のレンズ群G1、絞りStおよび負のパワーの第2のレンズ群G2が並んだ、正−負のパワー配置を持つ望遠タイプ(テレフォトタイプ、逆レトロフォーカスタイプ)の光学系であり、一般的に焦点距離を長くできるが、画角が小さいタイプである。しかしながら、この光学系10においては、先行する最も物体側11のレンズL1を物体側11に凹の負レンズとすることにより画角を広げ、一方、テレフォトタイプの利点である焦点距離が長い特性を活かして、画角が大きく、比較的長いバックフォーカスBFを備えた光学系10を提供している。
【0022】
さらに、最も物体側11の負レンズ(物体側レンズ)L1に隣接して、物体側に凸の正のパワーのメニスカスレンズL2を配置することにより、物体側11の2枚のレンズを負−正のパワーで広角レンズに適したレトロフォーカスタイプの構成にするとともに、収差補正を行い、曲率半径R1の範囲を以下の条件(4)の範囲に設定し、小さなレンズ径で画角が半画角で32.6度と大きな光学系10を実現している。
−1.5<R1/f<−0.6 ・・・(4)
【0023】
条件(4)の下限を下回ると、曲率半径R1の絶対値が大きくなりレンズ径が大きくなってしまい、また、パワーが小さくなるので像面湾曲、球面収差の補正が難しくなる。また、条件(4)の上限を上回ると、曲率半径R1の絶対値が小さくなりすぎるので像面湾曲、球面収差、歪曲収差の補正が難しくなる。条件(4)の下限は−1.3であってもよく、−1.25であってもよく、上限は−0.8であってもよく、−1.0であってもよい。
【0024】
第2のレンズ群G2は、最も像面側12に配置され、像面側12に凸の負のパワーのメニスカスレンズ(第1のメニスカスレンズ)L9と、第1のメニスカスレンズL9に隣接して対峙するように配置され、像面側12に凹、本例においては、物体側11に凸の負のパワーのメニスカスレンズ(第2のレンズ)L8とを含む。最も像面側12に負のパワーの2枚のレンズL9およびL8を配置することにより像面側のレンズ径に対して大きなイメージサークルが得られ、バックフォーカスBFを確保することができる。さらに、像面側12のレンズL9を像面側12に凸の負のメニスカスレンズとすることにより、最終のレンズL9の有効径に対してイメージサークルを大きくしやすく、最終のレンズL9と隣接するレンズL8とを凹面が対峙するように配置された負のメニスカスレンズとすることによりペッツバール和が増大するのを抑制して像面湾曲の発生を抑えている。したがって、イメージサークルが大きいにもかかわらず、像面側12のレンズ径を小さくでき、これに対応して物体側のレンズL1もさらに小さく、コンパクトで収差補正も良好な光学系10を提供できる。
【0025】
さらに、第2のレンズ群G2は、負のパワーの第2のレンズL8の物体側11に隣接し、最小の空気間隔d13を開けて対峙するように配置された、像面側12に凸の正の屈折力のレンズ(第3のレンズ)L7を含む。正のパワーのレンズL7を配置することにより、最も像面側12の第1のメニスカスレンズL9をさらに小型化でき、収差補正も良好な光学系10を提供できる。
【0026】
このため、この光学系10は大型の撮像素子5に対応してイメージサークルが直径56mmと大きく、バックフォーカスBFも26.88mmと長く、広角から標準をカバーする交換レンズなどとしても適用可能な設計となっている。イメージサークルが大きく、バックフォーカスBFも長いにもかかわらず、最も口径が大きくなる物体側11のレンズL1の有効径は24.4mmと小さく、また、全長も47.48mmと短く、F値(Fナンバー)は3.5と明るく、全体としてコンパクトで明るい光学系10となっている。
【0027】
この光学系10の条件(1)〜(4)の値は以下の通りであり、いずれの条件も満足している。なお、カギかっこ内は本例の光学系10の対応するパラメータを示す。
条件(1)((RLL1+RLN2)/(RLL1−RLN2)、
「(R16+R15)/(R16−R15)」):−0.253
条件(2)(LA/BF):1.766
条件(3)(De1/BF):0.908
条件(4)(R1/f):−1.213
【0028】
また、第1のレンズ群G1は、物体側11から順に配置された負レンズL1およびメニスカスレンズL2に加え、開口絞りStに面して配置された全体として正の屈折力で、正負2枚のレンズL3およびL4からなる第1の組み合わせレンズ(本例においては接合レンズ)C1とから構成されている。また、第2のレンズ群G2は、開口絞りStに面して配置された全体として正の屈折力で、第1の組み合わせC1と対称となるように配置された負正2枚のレンズL5およびL6からなる第2の組み合わせレンズ(本例においては接合レンズ)C2を備えており、これらにより色収差を含めて各収差が良好に補正されている。
【0029】
実施例2
図6に、異なる撮像用の光学系10を備えたカメラ1の例を示している。この光学系10も実施例1の光学系(レンズシステム)と同様に広角から標準をカバーするのに適したレンズシステムであり、開口絞り(絞り)Stを挟んで物体側11に配置された、全体として正の屈折力の第1のレンズ群G1と、像面側12に配置された、全体として負の屈折力の第2のレンズ群G2とから構成されている。第1のレンズ群G1は、4枚構成で、光軸15に沿って物体側11から順番に配置された、両凹の負のパワーのレンズ(物体側レンズ)L1と、物体側11に凸の正のパワーのメニスカスレンズL2と、物体側11に凸の負のパワーのメニスカスレンズL3と、両凸の正レンズL4とを含む。本例の負のメニスカスレンズL3と正レンズL4との組み合わせ(第1の組み合わせレンズ)C1は接合レンズではなく、最小に近い空気間隔で隣接して配置されている。この例では、第1のレンズ群G1は、負−正−負−正の広角に適し、バックフォーカスを確保しやすいレトロフォーカス型のパワー配置を組み合わせた4枚構成である。
【0030】
第2のレンズ群G2は5枚構成で、光軸15に沿って物体側11から順番に配置された、両凸の正レンズL5と、両凹の負レンズL6と、両凸の正レンズL7と、物体側11に凸の負のパワーのメニスカスレンズL8と、像面側12に凸の負のパワーのメニスカスレンズL9とから構成されている。最も物体側11の正レンズL5と負レンズL6との組み合わせ(第2の組み合わせレンズ)C2は接合レンズではなく最小空気間隔で隣接して配置されている。第2の組み合わせレンズC2が、第1の組み合わせレンズC1と絞りStを挟んで対称なパワー配置となっていることは上記の実施例1と同様である。さらに、この例では、第2のレンズ群G2は、正−負−正−負−負のテレフォトタイプを組み合わせたパワー配列を備えた5枚構成である。したがって、この光学系10は、絞りStを挟んで対称的なパワー配列の9枚のレンズで構成されており、全体として収差の補正が良好な光学系となっている。
【0031】
この光学系10も、焦点調整(フォーカシング)の際に、光学系全体が、すなわち、物体側11から順番に配置された第1のレンズ群G1と、開口絞りStと、第2のレンズ群G2とが一体で像面5aに対して移動する。
図7に光学系10を構成する各レンズのデータを示している。
図8には、各レンズのd線基準の焦点距離(mm)と、各レンズ群の合成焦点距離(mm)とを示している。
図9に、光学系10の球面収差、非点収差、歪曲収差を示し、
図10に、光学系10の倍率色収差(横収差)をタンジェンシャル光線およびサジタル光線のそれぞれについて上記のそれぞれの波長で示している。
【0032】
この光学系10の主な性能を示す数値は以下の通りである。
全体の合成焦点距離(f):44.246mm
F値:4.0
最大画角(半画角):32.4度
イメージサークル:φ56mm
バックフォーカス(BF):21.88mm
全体のレンズ長(LA):49.99mm
【0033】
この撮像光学系10の基本的な構成は実施例1に示した光学系と同様であり、全体としてテレフォトタイプでありながら、画角およびイメージサークルが大きく、比較的長いバックフォーカスBFを備え、全長LAが短く、レンズ径が小さく、そして、F値が小さく明るいという、コンパクトで明るい撮像光学系10を提供している。また、収差補正も良好である。
【0034】
この光学系10の条件(1)〜(4)の値は以下の通りであり、いずれの条件も満足している。
条件(1)((RLL1+RLN2)/(RLL1−RLN2)、
「(R18+R17)/(R18−R17)」):−0.356
条件(2)(LA/BF):2.285
条件(3)(De1/BF):1.090
条件(4)(R1/f):−1.197
【0035】
実施例3
図11に、撮像用の光学系を備えた撮像装置(カメラ、カメラ装置)の異なる例を示している。このカメラ1は、光学系(撮像光学系、結像光学系、レンズシステム)10と、光学系10の像面側(撮像側、結像側)12に配置され、像面5aを形成する撮像素子5とを有する。光学系10も、開口絞り(絞り)Stを挟んで物体側11に配置された第1のレンズ群G1と、像面側12に配置された第2のレンズ群G2とから構成されている。第1のレンズ群G1は、物体側11から像面5aに向かって順番に、全体として正の屈折力の前群G1aと、全体として負の屈折力の後群G1bとを含む。開口絞りStを挟んで像面側12に配置された第2のレンズ群G2は、全体として正の屈折力を備えている。この光学系10は、フォーカシングの際に第1のレンズ群G1の前群G1a、開口絞りStおよび第2のレンズ群G2が像面5aに対して固定され、第1のレンズ群G1の後群G1bが移動する、インナーフォーカスタイプの撮像用の光学系10である。
【0036】
第1のレンズ群G1の前群G1aは、4枚構成で、光軸15に沿って物体側11から順番に配置された、物体側11に凸の正の屈折力(パワー、以下、屈折力を単に正または負として示すことがある)のメニスカスレンズL1と、物体側11に凸の正のメニスカスレンズL2と、物体側11の凸の負のメニスカスレンズL3と、物体側11に凸の正のメニスカスレンズL4とから構成されている。正のメニスカスレンズL2と負のメニスカスレンズL3とで負の屈折力の接合レンズB1が構成されている。すなわち、第1のレンズ群G1の前群G1aは、正−正−負−正、または、正−負−正のパワー配置を備えている。
【0037】
第1のレンズ群G1の後群G1bは2枚構成で、光軸15に沿って物体側11から順番に配置された、像面側12に凸の正のメニスカスレンズL5と、両凹の負レンズL6とから構成されており、これらのレンズL5およびL6により、負の屈折力の接合レンズB2が構成されている。この接合レンズB2は、フォーカシングのために光軸15に沿って前後に移動する。
【0038】
第2のレンズ群G2は4枚構成で、光軸15に沿って物体側11から順番に配置された、物体側11に凸の正のメニスカスレンズ(絞り側レンズ)L7と、両凸の正レンズ(第3のレンズ)L8と、両凹の負レンズ(第2のレンズ)L9と、最も像面側12に配置され、像面側12に凸の負のメニスカスレンズ(第1のメニスカスレンズ)L10とから構成されている。すなわち、第2のレンズ群G2は、正−正−負−負のパワー配置を備えている。このため、この光学系は全体が2組の接合レンズを含む10枚構成で、開口絞りStを挟んで、物体側11が正−負−正−負(レンズ単位では、正−正−負−正−正−負)、像面側12が正−正−負−負のパワー配置を備え、プラスリードの望遠型のパワーの組み合わせで、全体としてコンパクトな構成となるパワー配置を備えている。
【0039】
図12に光学系10を構成する各レンズのデータを示している。
図13には、各レンズのd線基準の焦点距離(mm)と、各接合レンズB1およびB2の合成焦点距離(mm)と、各レンズ群の合成焦点距離(mm)とを示している。
図14に、光学系10の球面収差、非点収差、歪曲収差を示し、
図15に、光学系10の倍率色収差(横収差)をタンジェンシャル光線およびサジタル光線のそれぞれについて上記のそれぞれの波長で示している。
【0040】
この光学系10の主な性能を示す数値は以下の通りである。
全体の合成焦点距離(f):89.94mm
F値:3.26
最大画角(半画角):17.46度
イメージサークル:φ56mm
バックフォーカス(BF):24.02mm
全体のレンズ長(LA):80.29mm
【0041】
この光学系10の条件(1)〜(3´)の値は以下の通りであり、いずれの条件も満足している。
条件(1)((RLL1+RLN2)/(RLL1−RLN2)、
「(R18+R17)/(R18−R17)」):−0.799
条件(2´)(LA/BF):3.34
条件(3´)(De1/BF):1.50
【0042】
この撮像光学系10は、物体側11から、正のパワーの前群G1a、負のパワーの後群G1b、絞りStおよび正のパワーの第2のレンズ群G2が並んだ、正−負−正のパワー配置を持つ望遠タイプ(テレフォトタイプ)であり、第1のレンズ群G1の後群G1bを焦点距離調整(フォーカシング)の際に動かすインナーフォーカスタイプの光学系である。フォーカシングを行うレンズ群G1bをレンズL5およびL6の二枚構成、具体的には接合レンズB2のみで構成しており、軽量でモーター負荷の少ない光学系10となっている。
【0043】
この望遠タイプの光学系は、一般的に焦点距離を長くできるが、画角が小さく、画角を確保しようとすると物体側11の有効径が大きくなる。したがって、大型の撮像素子5に対応するように、上記のようなφ56mmという大きなイメージサークルを実現して像面側12のレンズの有効径を単純に大きくすると、光学系が大型になり、全長も長く、重いレンズシステムとなってしまう。
【0044】
これに対し、第2のレンズ群G2を、物体側11から順に、正のパワーのレンズ(絞り側レンズ)L7および(第3のレンズ)L8と、負のパワーのレンズ(第2のレンズ)L9および(第1のメニスカスレンズ)L10との構成として、最も像面側12を2枚の負のパワーのレンズL9およびL10で構成することにより像面側12のレンズ径を抑えて大きなイメージサークルを形成できるようにしている。特に、像面側12の2枚目のレンズ(第2のレンズ)L9を両凹の負レンズとし、像面側12の面の曲率半径RLN2(R17)を以下の条件(5)の範囲に設定することにより、像面5aに入射する光線角度が大きくなりすぎることを抑制でき、より鮮明な像を結像できるようにしている。バックフォーカスBFも長くなりすぎない構成となっている。
0.05<BF/RLN2<0.5 ・・・(5)
この条件(5)(BF/RLN2、「BF/R17」)の値は0.102である。条件(5)の上限は0.4であってもよく、収差補正のバランスがとりやすくなる。
【0045】
また、最も像面側12に、像面側12に凸の負の第1のメニスカスレンズL10を配置し、像面側12の最終の2つのレンズL10およびL9により、条件(1)を満足する向かい合った面の組み合わせを形成している。これらの面により負のパワーを確保するとともに、収差補正に要する面の数を確保し、さらに、ペッツバール和が大きくなりすぎて像面湾曲が増加することも抑制できている。
【0046】
また、像面側12から3枚目に正のパワーのレンズ(第3のレンズ)L8を両凹の負レンズ(第2のレンズ)L9に対して最小空気間隔d15を開けて配置することにより、最終の2枚の負レンズL9およびL10に入る光束を絞り、これらのレンズ径が拡大することを抑制している。また、像面側12に凸の正のパワーのレンズL8を最小の空気間隔d15で配置することにより、レンズL9の物体側11の凹面と組み合わされ、さらにコンパクトで収差補正も良好な光学系10を提供できる。
【0047】
したがって、この光学系10は、望遠タイプとしては像面側12のレンズL10の径De19に対して物体側11のレンズL1の径De1を小さくでき、本例では、最も物体側11のレンズL1の方が、最も像面側12のレンズL10よりも小さい光学系10を実現している。例えば、最も物体側11のレンズL1の有効径De1と、最も像面側12のレンズL10の有効径DeLL2(De19)とは以下の条件(6)を満足する光学系10を提供できる。
0.9<De1/DeLL2<1.0 ・・・(6)
条件(6)(De1/DeLL2、「De1/De19」)の値は0.99である。
【0048】
さらに、この光学系10においては、開口絞りStに、第2のレンズ群G2の最も物体側11で、集光に適した正のパワーのレンズL7を、条件(7)を満たす範囲で近づけることにより、周辺光を第2のレンズ群G2に取り込みやすくし、画角が小さくなることを抑制している。したがって、光学系10の最も物体側11のレンズL1の有効径De1が小さく、画角が大きな光学系10を提供できる。この例では、最も物体側11のレンズL1の有効径De1が、最も像面側12のレンズL10の有効径De19よりも小さい光学系10を提供できる。
0.02<dS/dI<0.3 ・・・(7)
【0049】
距離dSは、第2のレンズ群G2の最も物体側11、すなわち、開口絞りStに隣接したレンズ(絞り側レンズ)L7の物体側11の面S12と開口絞りStとの距離d11であり、距離dIは、レンズL7の物体側の面S12と像面5aとの距離d12〜d19の合計である。条件(7)(dS/dI、「d11/(d12〜d19)」)の値は0.207である。条件(7)の上限を上回ると、第2のレンズ群G2の最も物体側の面S12が開口絞りStから離れすぎて、像面側12のレンズL10およびL9の径が大きくなるのを抑制したり、コンパクトな光学系10を得ることが難しくなる。条件(7)の下限を下回ると、絞り側レンズL7の物体側の面S12が開口絞りStに近づきすぎるので、絞りに対する上側、下側の光線束(光束)の割合が変化し、収差補正が困難になる。条件(7)の下限は0.15であってもよく、収差補正がより容易となる。上限は0.25であってもよく、像面側12のレンズL10の径が大きくなることをさらに抑制できる。
【0050】
さらに、開口絞りStを隔ててレンズL7と対峙し、インナーフォーカスを行う第1のレンズ群G1の後群G1bのパワー(焦点距離f2)と、レンズL7のパワー(焦点距離fs)との関係を、条件(8)を満足するように設定し、第2のレンズ群G2の絞り側レンズL7のパワーを収差補正が良好に行えるとともに、像面5aに対する光線角度を適切に制御できるようにしている。
0.1<|f2/fs|<0.8 ・・・(8)
【0051】
条件(8)(|f2/fs|、すなわち、(後群G1bの焦点距離/レンズL7の焦点距離)の絶対値)の値は0.361である。条件(8)の上限を上回ると、フォーカシングを行う第1のレンズ群G1の後群G1bのパワーに対して絞り側レンズL7のパワーが大きくなりすぎて収差補正が難しくなる。一方、条件(8)の下限を下回ると、絞り側レンズのパワーが弱すぎて、像面に対する光線角度の制御が難しくなる。条件(8)の下限は0.3であってもよく、像面に対する光線角度の制御がより容易になる。また、上限は0.6であってもよく、収差補正がさらに容易になる。
【0052】
また、第1のレンズ群G1の後群G1bのパワー(焦点距離f2)は、バックフォーカスBFおよび前群G1aのパワー(焦点距離f1)に対して条件(9)および(10)を満たすように設定されており、後群G1bで収差補正が十分に行えるとともに、フォーカシング性能を確保し、全長LAのより短い光学系10を実現している。また、この光学系10においては、フォーカシングの際に後群G1bをモーターで駆動するが、条件(9)および(10)を満足する範囲に後群G1bのパワーを設定することにより、後群G1bをレンズL5およびL6の二枚構成、具体的には接合レンズB2のみで構成でき、軽量でモーター負荷の少ない光学系10となっている。
−10<f2/BF<−1.4 ・・・(9)
−1.5<f2/f1<−0.7 ・・・(10)
【0053】
条件(9)の値は−2.35であり、条件(10)の値は−0.937である。条件(9)および(10)の上限を上回ると、後群G1bのパワーが強すぎて収差補正が過剰となりすぎる。条件(9)および(10)の下限を下回ると、後群G1bのパワーが弱すぎてフォーカシングの効きが弱く、移動距離が長くなり、また、レンズ長が大きくなる。条件(9)の下限は−4であってもよく、条件(10)の下限は−1.3であってもよい。レンズ長が大きくなることをさらに抑制できる。条件(10)の上限は−0.8であってもよく、収差補正が過剰になることを抑制できる。
【0054】
本例の光学系10は、イメージサークルがφ56mmと大きいにも関わらず、比較的長いバックフォーカスBFを確保でき、バックフォーカスBFに対して最も物体側11のレンズL1が小さく、全長LAが短く、レンズ径も小さい、全体としてコンパクトなレンズシステム(光学系)10である。さらに、画角が半画角で17.46度と望遠タイプとして大きく、F値が3.26と明るい、交換レンズなどとして好適な光学系10となっている。
【0055】
実施例4
図16に、さらに異なる撮像用の光学系10を備えたカメラ1の例を示している。この光学系10は、実施例3の光学系10と共通の構成を備えており、開口絞りStを挟んで物体側11の第1のレンズ群G1と像面側12の第2のレンズ群G2とを含み、第1のレンズ群G1は物体側11の全体として正の屈折力の前群G1aと、全体として負の屈折力の後群G1bとを含み、第2のレンズ群G2は全体として正の屈折力のレンズ群である。この光学系10も、フォーカシングの際に後群G1bが動く、インナーフォーカスタイプの撮像用の光学系10である。第1のレンズ群G1の前群G1aは4枚構成であり、後群G1bは2枚構成であり、第2のレンズ群G2は4枚構成であり、それぞれの群の基本的なレンズの構成は実施例3の光学系と共通するので説明は省略する。
【0056】
図17に光学系10を構成する各レンズのデータを示している。
図18には、各レンズのd線基準の焦点距離(mm)と、各レンズ群の合成焦点距離(mm)とを示している。
図19に、光学系10の球面収差、非点収差、歪曲収差を示し、
図20に、光学系10の倍率色収差(横収差)をタンジェンシャル光線およびサジタル光線のそれぞれについて上記のそれぞれの波長で示している。
【0057】
この光学系10の主な性能を示す数値は以下の通りである。
全体の合成焦点距離(f):95.19mm
F値:3.4
最大画角(半画角):16.55度
イメージサークル:φ56mm
バックフォーカス(BF):34.05mm
全体のレンズ長(LA):72.46mm
【0058】
この光学系10の条件(1)〜(3´)、(5)〜(10)の値は以下の通りであり、いずれの条件も満足している。なお、カギかっこ内は、本例の光学系10の対応するパラメータを示す。
条件(1)((RLL1+RLN2)/(RLL1−RLN2)、
「(R18+R17)/(R18−R17)」):−0.662
条件(2´)(LA/BF):2.13
条件(3´)(De1/BF):0.88
条件(5)(BF/RLN2、「BF/R17」):0.300
条件(6)(De1/DeLL2、「De1/De19」):0.97
条件(7)(dS/dI、「d11/(d12〜d19)」):0.200
条件(8)(|f2/fs|、「|f2/fL7|」):0.345
条件(9)(f2/BF):−1.60
条件(10)(f2/f1):−0.917
【0059】
このように、上記において開示した光学系(レンズシステム)10はいずれも撮像光学装置およびデジタル機器に関連し、風景や被写体を撮像素子に取り込むレンズ交換式デジタルカメラ、ビデオカメラ、TVカメラ、アクションカメラなどに適した大口径でコンパクトな光学系10である。特に、大型の撮像素子5に使用するイメージサークルの大きなレンズシステムとして適しており、9枚または10枚という簡易な構成でありながら、実施例1および2は、広角から標準、実施例3および4は望遠レンズとして適した性能を備え、さらに、長いバックフォーカスBFを有しながら、レンズ径およびレンズ全長LAが小さく、かつ、広角で明るく、そして、良好に収差補正がされた光学系10を提供できる。