(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(表示装置)
2.第1の実施の形態の変形例(表示装置)
3.第2の実施の形態(受光装置)
4.第2の実施の形態の変形例(受光装置、撮像装置、発電装置)
【0016】
<1.第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本技術の一実施の形態に係る表示装置1の概略構成の一例を斜視的に表したものである。本実施の形態の表示装置1は、いわゆるLEDディスプレイと呼ばれるものであり、表示画素としてLEDが用いられたものである。この表示装置1は、例えば、
図1に示したように、表示パネル10と、表示パネル10(具体的には後述する発光素子40)を駆動する駆動回路20とを備えている。
【0017】
(表示パネル10)
表示パネル10は、実装基板10Aと、対向基板10Bとを互いに重ね合わせたものである。対向基板10Bの表面が映像表示面となっており、中央部分に表示領域を有し、その周囲に、非表示領域であるフレーム領域を有している。
【0018】
(実装基板10A)
図2は、実装基板10Aの対向基板10B側の表面のうち表示領域に対応する領域のレイアウトの一例を表したものである。実装基板10Aは、当該実装基板10Aの表面のうち表示領域に対応する領域に、例えば、
図2に示したように、複数のY配線14と、スキャン配線に相当する複数のX配線15とを有している。Y配線14およびX配線15は、例えば、実装基板10Aの内部に形成されており、表示画素に相当する発光素子40(後述)を実装する実装面には形成されていない。
【0019】
Y配線14は、映像信号に応じた信号が駆動回路20によって入力されるデータ配線である。映像信号に応じた信号は、例えば、発光素子40のオン期間(発光期間)を制御する信号であり、小電流の信号である。複数のY配線14は、所定の方向(図中では列方向)に延在して形成されており、かつ所定のピッチで並列配置されている。
【0020】
X配線15は、発光素子40を選択する信号が駆動回路20によって入力されるスキャン配線である。発光素子40を選択する信号は、例えば、発光素子40に対して駆動電流を供給する信号であり、大電流の信号である。複数のX配線15は、Y配線14と交差(例えば直交)する方向(図中では行方向)に延在して形成されており、かつ所定のピッチで並列配置されている。Y配線14およびX配線15は、例えば、Cu(銅)などの導電性材料からなる。X配線15は、Y配線14よりも深い層内、具体的には、後述の支持基板11とY配線14を含む層との間の層内(具体的には、後述の層間絶縁膜12と同一の層内)に配置されている。
【0021】
実装基板10Aは、表示画素に相当する複数の発光素子40を有している。複数の発光素子40は、例えば、Y配線14と平行な方向およびX配線15と平行な方向に並んで配置されている。つまり、複数の発光素子40は、表示領域内においてマトリクス状に配置されている。各発光素子40は、導電性の接続部19Aを介して、Y配線14と電気的に接続されるとともに、導電性の接続部19Bを介して、X配線15と電気的に接続されている。
【0022】
実装基板10Aは、例えば、
図2、
図3に示したように、配線基板30上に複数の発光素子40が実装されたものである。配線基板30は、例えば、支持基板11上に、層間絶縁膜12および層間絶縁膜13をこの順に積層して構成されたものである。支持基板11は、例えば、ガラス基板、樹脂基板、または、シリコン基板などからなる。支持基板11は、必要に応じて、発光素子40と電気的な接続を得るためのビアを有しており、さらに、そのビアを介して、発光素子40と電気的に接続された電極パッドを背面に有していてもよい。なお、配線基板30の上面に、対向基板10Bと非対向の部分が存在する場合には、発光素子40から引き回された配線と電気的に接続された電極パッドが、配線基板30の上面に設けられていてもよい。
【0023】
層間絶縁膜12および層間絶縁膜13は、例えば、SiN、SiO
2、またはAl
2O
3からなる。ここで、層間絶縁膜13は、支持基板11の最表面を構成する層であり、Y配線14が、例えば、最表層である層間絶縁膜13と同一層内に形成されている。このとき、Y配線14は、層間絶縁膜13と同一層内に形成された導電性の接続部16を介して接続部19Aに電気的に接続されている。一方、X配線15は、例えば、支持基板11と層間絶縁膜13との間の層内に形成されており、例えば、層間絶縁膜12と同一層内に形成されている。このとき、X配線15は、層間絶縁膜12,13と同一層内に形成された導電性の接続部17,18を介して接続部19Bに電気的に接続されている。
【0024】
(対向基板10B)
対向基板10Bは、実装基板10Aとの関係で発光素子40側に配置されており、かつ実装基板10Aと対向配置されている。対向基板10Bは、例えば、
図3に示したように、保護基板21と、保護基板21の実装基板10A側に形成されたブラックマトリクス22とを有している。保護基板21は、各発光素子40から発せられた光を透過する光透過性の基板であり、例えば、ガラス基板または透明樹脂基板などからなる。ブラックマトリクス22は、例えば、保護基板21の、実装基板10A側の表面に設けられている。ブラックマトリクス22は、配線基板30(または実装基板10A)の法線方向から見たときに、互いに隣接する表示画素間の間隙と対向する対向領域に設けられている。ブラックマトリクス22は、各発光装置40から発せられた光を吸収するようになっており、例えば、カーボンをシリコーン内に分散させた塗料を固化させたものである。
【0025】
次に、発光素子40の内部構成について説明する。発光素子40は、素子基板上に複数のLEDチップを実装したものである。LEDチップは、例えば、導電型の互いに異なる半導体層で活性層を挟み込んだ積層構造を含む半導体層と、この半導体層の共通の面(同一面)に配置された2つの電極とを有している。一方の電極は、半導体層内の一方の導電型の半導体層と電気的に接続されており、他方の電極は、半導体層内の他方の導電型の半導体層と電気的に接続されている。
【0026】
素子基板は、例えば、支持基板上に、絶縁層、電極パッドをこの順に積層して構成されている。支持基板は、例えば、シリコン基板、または樹脂基板などからなる。絶縁層は、電極パッドの形成面である平坦面を形成するものである。電極パッドは、例えば、電解メッキにおける給電層として機能するものであり、さらに、LEDチップの実装先である電極パッドとしても機能するものである。LEDチップは、電極パッド上に実装されている。具体的には、LEDチップの一方の電極がメッキ金属(図示せず)を介して一方の電極パッドに接続されており、LEDチップの他方の電極がメッキ金属(図示せず)を介して他方の電極パッドに接続されている。
【0027】
発光素子40が、3個のLEDチップを有している場合、1つのLEDチップは、例えば、赤色光を発するLEDチップであり、別の1つのLEDチップは、例えば、緑色光を発するLEDチップであり、残りの1つのLEDチップは、例えば、青色光を発するLEDチップである。なお、発光素子40が、素子基板上に1つのLEDチップが実装された複数の発光素子40Aをひとかたまりとした構成となっていてもよい。例えば、発光素子40が、
図4に示したように、3つの発光素子40Aをひとかたまりとした構成となっていてもよい。このとき、ひとかたまりの3つの発光素子40Aにおいて、例えば、1つの発光素子40Aが、赤色光を発するLEDチップを含み、別の1つの発光素子40Aが、緑色光を発するLEDチップを含み、残りの1つの発光素子40Aが、青色光を発するLEDチップを含む。
【0028】
(封止部50)
図5Aは、表示パネル10の上面構成の一例を表したものである。
図5Bは、
図5AのA−A矢視方向の断面構成の一例を表したものである。表示パネル10は、例えば、
図3、
図5A、
図5Bに示したように、実装基板10Aと対向基板10Bとの間に封止部50を有している。封止部50は、配線基板30上の各発光素子40を封止するものである。封止部50は、配線基板30上の全ての発光素子40を当該配線基板30の面内方向から取り囲む環状のシール部51と、シール部51の内部に充填されるとともに、配線基板30上の全ての発光素子40を封止する内部充填部52とを有している。シール部51は、例えば、表示パネル10のフレーム領域に配置されている。一方、内部充填部52は、例えば、少なくとも表示パネル10の表示領域全体に配置されている。
【0029】
シール部51は、封止部50の奥深く(内部充填部52)に水分などが入り込むのを防止するものであり、弾性率の高い熱硬化型の樹脂で構成されている。シール部51の弾性率は、例えば、2GPa程度となっている。シール部51は、弾性率の高い熱硬化型の樹脂(第1樹脂)を硬化させることにより形成されたものである。そのような材料としては、好適には、エポキシ系の樹脂にフィラーが添加された混合樹脂が挙げられる。その混合樹脂の粘度は、例えば、350Pa.S程度となっている。
【0030】
内部充填部52は、発光素子40が水分などに曝されるのを防止するものであり、耐光性や光透過性に優れた熱硬化型の樹脂で構成されている。内部充填部52の光透過率は、シール部51の光透過率よりも高くなっている。従って、発光素子40から発せられた光は、内部充填部52を透過することができる。内部充填部52の弾性率は、シール部51の弾性率とは異なっており、具体的には、シール部51の弾性率よりも小さくなっている。内部充填部52は、耐光性や光透過性に優れた熱硬化型の樹脂(第2樹脂)を硬化させることにより形成されたものである。そのような材料としては、好適には、シリコーン樹脂が挙げられる。シリコーン樹脂は、耐光性や光透過性に優れているだけではなく、粘度の調整が非常に容易な材料である。そのため、シリコーン樹脂は、後述するように、硬化後の樹脂(内部充填部52)の弾性率が所望の範囲内となるように、弾性率(または粘度)を微調整することが非常に容易である。シリコーン樹脂の粘度は、例えば、500mPa.S程度となっている。なお、内部充填部52の弾性率の大きさによっては、シリコーン樹脂の代わりに、オレフィン系樹脂や、アクリル系樹脂を適用することも可能である。
【0031】
内部充填部52の弾性率は、シール部51の弾性率よりも小さくなっている。内部充填部52の弾性率は、シール部51の弾性率と比べると、1/500〜1/100000の範囲内にあることが好ましい。シール部51の弾性率が2GPa程度となっている場合、内部充填部52の弾性率は、例えば、1.5MPa程度となっている。シール部51および内部充填部52の弾性率が上記の関係となるように、第1樹脂および第2樹脂の弾性率が調整されていることが好ましい。このようにした場合には、第2樹脂が加熱(硬化)の過程で膨張・収縮をしたときに、第1樹脂が配線基板30または対向基板10Bから剥離するのを防止することができる。第1樹脂および第2樹脂の弾性率の差が大きくなるにつれて、第2樹脂が硬化収縮する際に第2樹脂内にクラックが発生し易くなる。一方で、第1樹脂および第2樹脂の弾性率の差が小さくなるにつれて、硬化途中の第2樹脂の膨張により、第2樹脂が第1樹脂を追い出すように作用する。そのため、第1樹脂によって形成されていた土手が決壊し、第2樹脂が外部に漏れ出し易くなる。
【0032】
第1樹脂の硬化開始温度は、第2樹脂の硬化開始温度よりも低くなっている。第1樹脂および第2樹脂の硬化開始温度が上記の関係となっている場合には、第1樹脂および第2樹脂に対して同時に熱を加えたときに、第1樹脂が第2樹脂よりも先に硬化を開始し、第2樹脂が外部に流出するのを防ぐ土手として機能するようになる。また、第1樹脂が第2樹脂よりも先に硬化することにより、シール部51が封止部50の厚さ、ひいては、発光素子40の上面と対向基板10Bの下面との間隙(ギャップ)の大きさを規定するようになる。従って、封止部50内にスペーサが設けられていなくても、シール部51によってギャップの大きさを規定することができる。
【0033】
封止部50は、さらに、必要に応じて、実装基板10Aと対向基板10Bとの間であって、かつシール部51の周縁に、ポスト53および仮固定部54を有している。
【0034】
ポスト53は、実装基板10Aおよび対向基板10Bが撓んで、実装基板10Aと対向基板10Bとの間隙であって、かつ表示パネル10の表示領域に対応する部分の大きさが面内で変化するのを防止するものである。ポスト53は、例えば、表示パネル10のフレーム領域に配置されており、例えば、
図5A、
図5Bに示したように、対向基板10Bの四隅に1つずつ配置されている。ポスト53は、例えば、感光性のアクリル樹脂などを硬化させることにより形成されたものである。ポスト53は、例えば、スピンコート法により、感光性のアクリル樹脂などを対向基板10Bの全面に塗布した後、塗布した樹脂に対して露光、現像を行うことにより形成される。
【0035】
仮固定部54は、実装基板10Aと対向基板10Bとを互いに貼り合わせる工程において、実装基板10Aと対向基板10Bとの位置関係が所望の範囲から外れるのを防止するものである。仮固定部54では、一端が実装基板10Aに固定されており、他端が対向基板10Bに固定されている。仮固定部54は、例えば、表示パネル10のフレーム領域に配置されており、例えば、
図5A、
図5Bに示したように、対向基板10Bの四辺のうち二辺に1つずつ配置されている。仮固定部54は、例えば、UV硬化型の樹脂を硬化させたものである。
【0036】
なお、
図5A、
図5Bでは、実装基板10Aが対向基板10Bよりも大きくなっている場合が例示されていたが、例えば、
図6A、
図6Bに示したように、実装基板10Aが対向基板10Bよりも小さくなっていてもよい。また、例えば、
図7A、
図7Bに示したように、実装基板10Aと対向基板10Bとが互いに等しい大きさとなっていてもよい。実装基板10Aが対向基板10Bよりも大きくなっている場合には、実装基板10Aの上面には、対向基板10Bとは非対向の部分が存在する。このとき、その非対向の部分に、発光素子40と電気的に接続された電極パッドが設けられていてもよい。また、実装基板10Aが対向基板10Bよりも小さくなっていたり、対向基板10Bと等しい大きさとなっている場合には、支持基板11に設けられた貫通ビアを介して、発光素子40と電気的に接続された電極パッドが支持基板11の背面に設けられていてもよい。
【0037】
(駆動回路20)
駆動回路20は、例えば、Y配線14を駆動するデータドライバと、X配線15を駆動するスキャンドライバとにより構成されている。駆動回路20は、例えば、ICチップで構成されており、実装基板10A上に実装されていたり、表示パネル10とは別体のプリント配線基板上に実装されていてもよい。
【0038】
[製造方法]
次に、
図8〜
図12を参照して、表示パネル10の製造方法の一例について説明する。
【0039】
まず、配線基板30上に複数の発光素子40が実装された実装基板10Aを用意する。次に、例えば、
図8に示したように、実装基板10Aの上面であって、かつ表示パネル10のフレーム領域に対応する領域に、シール部51の原料(硬化前の材料)である第1樹脂51Dを環状に設ける。つまり、第1樹脂51Dを、配線基板30上の全ての発光素子40を当該配線基板30の面内方向から取り囲むように配置した。
【0040】
第1樹脂51Dは、熱硬化型の樹脂である。第1樹脂51Dの弾性率は、内部充填部52の原料(硬化前の材料)である第2樹脂52Dの弾性率よりも大きくなっている。第1樹脂51Dは、エポキシ樹脂にフィラーが添加された混合樹脂であり、その粘度は350Pa.S程度となっている。粘度が350Pa.S程度と高粘度となっている場合には、スクリュー式のディスペンサを用いることが好ましい。第1樹脂51Dの断面積は、例えば、40000μm
2程度となっている。第1樹脂51Dの硬化開始温度は、第2樹脂52Dの硬化開始温度よりも低くなっている。第1樹脂51Dの硬化開始温度は、例えば、120℃となっている。
【0041】
次に、実装基板10Aとの関係で発光素子40側に配置される対向基板10Bを用意する。次に、例えば、
図9に示したように、対向基板10Bの上面(後に実装基板10Aと対向することとなる面)であって、かつ表示パネル10のフレーム領域に対応する領域に、複数の柱状のポスト53を設ける。
【0042】
次に、第1樹脂51Dが塗布された実装基板10Aの上面であって、かつシール部51の内部に、第1樹脂51Dが硬化未完了の状態で、内部充填部52の原料である第2樹脂52Dを充填する(
図10A)。このとき、例えば、第2樹脂52Dが実装基板10A上の全ての発光素子40を埋め込んでいる。
【0043】
第2樹脂52Dは、熱硬化型の樹脂である。第2樹脂52Dの光透過率は、第1樹脂51Dの光透過率よりも高くなっている。第2樹脂52Dの弾性率は、第1樹脂51Dの弾性率よりも小さくなっている。第2樹脂52Dは、シリコーン樹脂であり、その粘度は500mPa.S程度となっている。粘度が500mPa.S程度と低粘度となっている場合には、液晶滴下装置を用いることができる。なお、液晶滴下装置による滴下の代わりに、スクリーン印刷による塗布を行ってもよく、また、ジェット式のディスペンサなどを用いて塗布してもよい。第2樹脂52Dの硬化開始温度は、第1樹脂51Dの硬化開始温度よりも高くなっている。第1樹脂51Dの硬化開始温度が120℃となっている場合、第2樹脂52Dの硬化開始温度は、例えば、150℃となっている。
【0044】
次に、実装基板10Aの上面であって、かつ表示パネル10のフレーム領域に対応する領域に、仮固定部54の原料である第3樹脂54Dを設ける(
図10B)。第3樹脂54Dは、UV硬化型の樹脂である。
【0045】
次に、実装基板10Aおよび対向基板10Bのアライメントを行ったのち、これらを真空中で互いに貼り合わせる(
図11A)。続いて、紫外線照射装置100から紫外線Lを出力し、第3樹脂54Dに照射する(
図11B)。このようにして、実装基板10Aおよび対向基板10Bの貼り合わせ位置がずれないようにしておく。その後、実装基板10Aおよび対向基板10Bを互いに貼り合わせた状態で、大気中に放出する。これにより、第1樹脂51Dおよび第2樹脂52D中に気泡が混入するのを防止しつつ、実装基板10Aおよび対向基板10Bを互いに貼り合わせることができる。
【0046】
次に、実装基板10Aおよび対向基板10Bを互いに貼り合わせた状態で、加熱装置200から出力される熱Hで加熱する。これにより、第1樹脂51Dおよび第2樹脂52Dを熱処理により一括して硬化させる。その結果、第1樹脂51Dがシール部51となり、第2樹脂52Dが内部充填部52となる。
【0047】
このとき、第1樹脂51Dの硬化開始温度が例えば120℃となっており、第2樹脂52Dの硬化開始温度が例えば150℃となっている。加熱装置200を用いて、第1樹脂51Dおよび第2樹脂52Dに対して、150℃1時間の熱処理を行うと、第1樹脂51Dが先に硬化を開始し、続いて、第2樹脂52Dが硬化を開始する。従って、第1樹脂51Dが、第2樹脂52Dが外部に流出するのを防ぐ土手として機能するようになる。
【0048】
また、内部充填部52の弾性率が、シール部51の弾性率と比べて、1/500〜1/100000の範囲内となるように、第1樹脂51Dおよび第2樹脂52Dの弾性率が調整されていることが好ましい。このようにした場合には、第2樹脂52Dが加熱の過程で膨張・収縮をしたときに、第1樹脂51Dが配線基板30または対向基板10Bから剥離するのを防止することができる。さらに、このときに、第2樹脂52D内にクラックが発生するのを防止することもできる。
【0049】
[表示装置1の動作・効果]
本実施の形態では、発光素子40が駆動回路20によって、単純マトリクス配置されたY配線14およびX配線15を介して駆動(単純マトリクス駆動)される。これにより、Y配線14およびX配線15との交差部分近傍に設けられた発光素子40に順次、電流が供給され、表示領域に画像が表示される。
【0050】
ところで、本実施の形態では、実装基板10Aと対向基板10Bとの間には、シール部51および内部充填部52を有する封止部50が設けられている。内部充填部52では、シール部51と比べて、光透過率が高く、弾性率が小さくなっている。さらに、内部充填部52の原料(第2樹脂52D)の硬化開始温度が、シール部51の原料(第1樹脂51D)の硬化開始温度よりも、高くなっている。これにより、例えば、上述したような方法で、封止部50を形成することが可能である。その結果、特殊な材料や構造でなくても効果的に、各発光素子40を封止することができる。
【0051】
<2.第1の実施の形態の変形例>
上記実施の形態では、配線基板30上には、複数の発光素子40として、LEDが実装されていたが、例えば、有機EL素子などの自発光素子が実装されていてもよい。また、上記実施の形態では、ブラックマトリクス22が対向基板10Bに設けられていたが、ブラックマトリクス22が省略されていてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、発光素子40は3つのLEDチップを含んでいたが、3つ未満のLEDチップを含んでいてもよいし、4つ以上のLEDチップを含んでいてもよい。また、上記実施の形態では、発光素子40内の各LEDチップが、互いに異なるY配線14に接続されていたが、例えば、図示しないが、互いに同一のY配線14に接続されていてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では、各発光素子40は駆動回路20によってパッシブ駆動される場合が例示されていたが、例えば、駆動回路20によってアクティブマトリクス駆動されるようになっていてもよい。
【0054】
また、上記実施の形態では、第3樹脂54Dが実装基板10Aに設けられていたが、対向基板10Bに設けられていてもよい。
【0055】
<3.第2の実施の形態>
[構成]
図13は、本技術の第2の実施の形態に係る受光装置2の概略構成の一例を斜視的に表したものである。本実施の形態の受光装置2は、複数の受光素子61が2次元配置されたものである。受光素子61は、光を電気に変換する素子であり、例えば、PD(Photo Diode:フォトダイオード)、または、光電変換素子である。PDは、光を検知することを目的とした素子である。一方、光電変換素子は、光からエネルギーを得ることを目的とした素子である。受光装置2は、例えば、
図13に示したように、受光パネル60と、受光パネル60(具体的には後述する受光素子61)を駆動する駆動回路70とを備えている。
【0056】
受光パネル60は、実装基板60Aと、対向基板60Bとを互いに重ね合わせたものである。対向基板60Bの表面が受光面となっている。実装基板60Aは、
図14A、
図14Bに示したように、実装基板10Aにおいて、発光素子40の代わりに受光素子61を設けたものに相当する。受光素子61は、光電変換作用を有する半導体層と、その半導体層と電気的に接続された2つの電極とを有している。対向基板60Bは、例えば、
図14Bに示したように、保護基板21で構成されている。なお、必要に応じて、保護基板21の、実装基板60A側の表面に、ブラックマトリクス22が設けられていてもよい。
【0057】
<4.第2の実施の形態の変形例>
なお、実装基板60Aは、例えば、
図15A、
図15Bに示したように、1つの受光素子61だけを有していてもよい。このとき、1つの受光素子61が、多数の受光素子が集積されたイメージセンサであってもよいし、多数のX線受光素子が集積されたX線センサであってもよい。また、1つの受光素子61が、多数の光電変換素子が集積された発電素子であってもよい。
【0058】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
配線基板上に1または複数の光学素子が実装された実装基板と、
前記実装基板との関係で前記光学素子側に配置され、かつ前記実装基板と対向配置された対向基板と、
前記実装基板と前記対向基板との間に配置され、かつ前記光学素子を封止する封止部と
を備え、
前記封止部は、
前記配線基板上の1または複数の光学素子を当該配線基板の面内方向から取り囲む環状のシール部と、
前記シール部の内部に充填されるとともに、前記配線基板上の1または複数の光学素子を封止する内部充填部と
を有し、
前記シール部および前記内部充填部は、熱硬化型の樹脂を硬化させたものであり、
前記内部充填部の光透過率は、前記シール部の光透過率よりも高くなっており、
前記内部充填部の弾性率は、前記シール部の弾性率よりも小さくなっている
光学装置。
(2)
前記内部充填部の弾性率は、前記シール部の弾性率と比べると、1/500〜1/100000の範囲内にある
(1)に記載の光学装置。
(3)
前記シール部の、硬化前の材料の硬化開始温度は、前記内部充填部の、硬化前の材料の硬化開始温度よりも低くなっている
(1)または(2)に記載の光学装置。
(4)
前記シール部は、エポキシ系の樹脂にフィラーが添加された樹脂を硬化させることにより形成され、
前記内部充填部は、シリコーン樹脂を硬化させることにより形成されている
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の光学装置。
(5)
前記光学素子は、発光素子または受光素子である
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の光学装置。
(6)
前記対向基板は、前記実装基板の法線方向から見たときに、互いに隣接する表示画素間の間隙と対向する対向領域にブラックマトリクスを有する
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の光学装置。
(7)
光学装置と、
前記光学装置を駆動する駆動装置と
を備え、
前記光学装置は、
配線基板上に1または複数の光学素子が実装された実装基板と、
前記実装基板との関係で前記光学素子側に配置され、かつ前記実装基板と対向配置された対向基板と、
前記実装基板と前記対向基板との間に配置され、かつ前記光学素子を封止する封止部と
を有し、
前記封止部は、
前記配線基板上の1または複数の光学素子を当該配線基板の面内方向から取り囲む環状のシール部と、
前記シール部の内部に充填されるとともに、前記配線基板上の1または複数の光学素子を封止する内部充填部と
を有し、
前記シール部および前記内部充填部は、熱硬化型の樹脂を硬化させたものであり、
前記内部充填部の光透過率は、前記シール部の光透過率よりも高くなっており、
前記内部充填部の弾性率は、前記シール部の弾性率よりも小さくなっている
電子機器。
(8)
配線基板上に1または複数の光学素子が実装された実装基板と、前記実装基板との関係で前記光学素子側に配置される対向基板とを用意することと、
熱硬化型の第1樹脂を、前記配線基板上の全ての前記光学素子を前記配線基板の面内方向から取り囲むように配置したのち、前記第1樹脂が硬化未完了の状態で、弾性率が前記第1樹脂の弾性率よりも小さく、光透過率が前記第1樹脂の光透過率よりも高い熱硬化型の第2樹脂を前記第1樹脂の内部に充填することと、
前記第1樹脂および前記第2樹脂を熱処理により一括して硬化させることと
を含む
光学装置の製造方法。
【0059】
本出願は、日本国特許庁において2012年11月5日に出願された日本特許出願番号第2012−243318号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0060】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。