特許第6563199号(P6563199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563199
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20190808BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   E06B7/22 B
   E06B3/46
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-2161(P2015-2161)
(22)【出願日】2015年1月8日
(65)【公開番号】特開2016-75136(P2016-75136A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年9月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-205705(P2014-205705)
(32)【優先日】2014年10月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】堀井 崇司
(72)【発明者】
【氏名】松藤 一郎
【審査官】 野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭50−026196(JP,Y1)
【文献】 実開昭55−053192(JP,U)
【文献】 実開昭57−120689(JP,U)
【文献】 米国特許第05379824(US,A)
【文献】 実開昭54−007542(JP,U)
【文献】 特開2016−902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00 − 7/36
E06B 3/04 − 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に障子が設けられる建具であって、
前記枠体と矩形状をなす前記障子の周縁部が見込み方向において対向するとともに前記障子の四辺の長手方向に沿う位置おいて、前記枠体と前記障子とのうちの少なくとも一方に設けられ他方に当接して前記枠体と前記障子との間を閉塞する気密材を有し、
前記気密材は、前記障子の見込み方向における変位により前記他方との間隔が狭くなる位置に設けられて当該他方に押圧される押圧部位と、前記変位により前記他方との間隔が広くなる位置に設けられ当該他方から離れる離間部位と、を、いずれも有し、
前記障子の四辺の長手方向に沿う位置に配置されている部位毎に、前記押圧部位と前記離間部位のいずれかをなしていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項に記載の建具であって
記障子の四辺の上下方向に沿う二辺のうちの一辺が前記押圧部位をなし、他辺が前記離間部位をなすとともに、
前記四辺の左右方向に沿う二辺のうちの一辺が前記押圧部位をなし、他辺が前記離間部位をなすことを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項に記載の建具であって
記障子の四辺の上下方向に沿う二辺と左右方向に沿う二辺とのうちの一方が前記押圧部位をなし、他が前記離間部位をなすことを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の建具であって、
前記障子は、当該障子の下端と前記枠体との間に前記障子に仕切られた2つの空間を連通する空隙を形成可能に前記枠体に支持されていることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項に記載の建具であって、
前記障子は、下端が前記枠体との間に、互いに間隔を隔てて配置される複数の支持部材に支持されることにより前記空隙が形成されていることを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の建具であって、
屋内外の境界に、当該建具と異なる他の建具とともに設けられ、
当該建具は、前記他の建具の屋内側に配置されることを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の建具であって、
前記枠体には、前記障子を見込み方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に障子が設けられる建具に関する。
【背景技術】
【0002】
枠体に障子が設けられる建具としては、例えば、枠の内側に内障子及び外障子を備えた引き違い窓をなすサッシが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなサッシは、内障子および外障子を閉じた状態で、内障子及び外障子と枠とが対向する部位において、枠に設けられたシール材が室内側から内障子及び外障子に当接されてシールされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−191937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような建具は、建具により仕切られる2つの空間の間における気密性、遮音性、断熱性等を考慮して、高いシール性を備えているものがある。このような建具にあっては、障子に対してシール材が設けられている側と反対側から風が吹き付けて風圧により障子に多大な負荷が作用し障子に反りなどが生じて隙間が生じる虞がある。このため、シール性を確保するために障子の剛性を高めなければならず、重量及びコストが嵩むという課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気密性を備えつつ風圧等による負荷の作用が小さな建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、枠体に障子が設けられる建具であって、前記枠体と矩形状をなす前記障子の周縁部が見込み方向において対向するとともに前記障子の四辺の長手方向に沿う位置おいて、前記枠体と前記障子とのうちの少なくとも一方に設けられ他方に当接して前記枠体と前記障子との間を閉塞する気密材を有し、前記気密材は、前記障子の見込み方向における変位により前記他方との間隔が狭くなる位置に設けられて当該他方に押圧される押圧部位と、前記変位により前記他方との間隔が広くなる位置に設けられ当該他方から離れる離間部位と、を、いずれも有し、前記障子の四辺の長手方向に沿う位置に配置されている部位毎に、前記押圧部位と前記離間部位のいずれかをなしていることを特徴とする建具である。
【0006】
このような建具によれば、障子が見込み方向に変位したときには、他方に押圧される押圧部位と、他方の部位から離れる離間部位とを有する気密材が枠体及び障子が見込み方向において対向する部位に設けられている。このため、例えば障子の一方側と他方側との圧力差により障子に反りなどが生じた場合であっても、離間部位から障子の一方側と他方側との間にて空気が流れ圧力差が解消されるので、障子に作用する負荷を軽減することが可能である。また、障子の一方側と他方側との間にて圧力差が解消された際には、押圧部位と離間部位とがいずれも当接して枠体と障子との間を閉塞することが可能である。このため、気密性を備えつつ風圧等による負荷の作用が小さな建具を提供することが可能である。
【0008】
また、矩形状をなす障子の周縁の四辺において長手方向に沿って各々配置された気密材毎に押圧部位または離間部位をなしているので、気密材は、四辺の各辺のいずれにおいても分断されない。このため、気密性を低下させることなく押圧部位及び離間部位を設けることが可能である。
【0009】
かかる建具であって、前記障子の四辺の上下方向に沿う二辺のうちの一辺が前記押圧部位をなし、他辺が前記離間部位をなすとともに、前記四辺の左右方向に沿う二辺のうちの一辺が前記押圧部位をなし、他辺が前記離間部位をなすことが望ましい。
【0010】
このような建具によれば、矩形状をなす障子の周縁部における四辺の上下方向に沿う二辺のうちの一辺ずつが押圧部位と離間部位とをなし、左右方向に沿う二辺のうちの一辺ずつが押圧部位と離間部位とをなしている。このため、障子の周縁部において押圧部位と離間部位との長さが等しくなるので、障子の一方側と他方側との圧力差等により障子に反りが生じた際にはバランス良く空気を流通させて圧力差を解消させることが可能である。
【0011】
かかる建具であって、前記障子の四辺の上下方向に沿う二辺と左右方向に沿う二辺とのうちの一方が前記押圧部位をなし、他が前記離間部位をなすことが望ましい。
【0012】
このような建具によれば、上下の2辺をなす部材および左右の2辺をなす部材が同一の部材なので、部材の種類を少なくすることが可能であり、部材の管理および枠体の組立が容易である。また、上下方向に沿う二辺をなす部材、左右方向に沿う二辺をなす部材をそれぞれ押圧部位と離間部位とに分ける場合に用いる部材を共通化する場合には気密材の取付部を各部材に2箇所ずつ設けなければならないが、上下の2辺をなす部材および左右の2辺をなす部材を同一の部材とすると、気密材の取付部を各部材に1箇所設ければよい。このため、部材のサイズも小さくすることが可能である。
【0013】
かかる建具であって、
前記障子は、当該障子の下端と前記枠体との間に前記障子に仕切られた2つの空間を連通する空隙を形成可能に前記枠体に支持されていることが望ましい。
【0014】
このような建具によれば、障子は枠体に支持されて障子の下端と枠体との間に、障子に仕切られた2つの空間を連通する空隙を形成可能なので、障子に仕切られた2つの空間の圧力差等により障子に反りが生じた際には障子の下側にて空気を流通させて圧力差を解消させることが可能である。
【0015】
かかる建具であって、前記障子は、下端が前記枠体との間に、互いに間隔を隔てて配置される複数の支持部材に支持されることにより前記空隙が形成されていることが望ましい。
【0016】
このような建具によれば、障子は、下端が支持部材に支持されて枠体に支持されているので、障子をより安定した状態に支持することが可能である。また、支持部材は互いに間隔を隔てて複数配置されているので、障子に仕切られた2つの空間の圧力差等により障子に反りが生じた際には障子の下側にて支持部材の間から空気を流通させて圧力差を解消させることが可能である。
【0017】
かかる建具であって、屋内外の境界に、当該建具と異なる他の建具とともに設けられ、 当該建具は、前記他の建具の屋内側に配置されることが望ましい。
【0018】
このような建具によれば、屋外側に他の建具が設けられているので、他の建具の屋内側に配置される当該建具は、障子に仕切られた2つの空間の圧力差等により障子に反りが生じた際に空気を流通させて圧力差を解消させるため、屋外側に配置される他の建具ほど、高い強度及び気密性が求められない。このため、軽量で安価な建具を提供することが可能である。
【0019】
かかる建具であって、前記枠体には、前記障子を見込み方向に付勢する付勢部材が設けられていることが望ましい。
このような建具によれば、枠体に設けられた付勢部材により障子が見込み方向に付勢されるので、例えば、障子に反りが生じていた場合であっても付勢部材により障子を枠体側に押圧して枠体と障子との間を閉塞することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、気密性を備えつつ風圧等による負荷の作用が小さな建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る内窓建具を示す縦断面図である。
図2】本実施形態に係る内窓建具を示す横断面図である。
図3】障子の上部にて内縦枠と横框材に設けられた気密材を示す斜視図である。
図4】障子の下部にて内縦枠と横框材に設けられた気密材を示す斜視図である。
図5】室内側の圧力のほうが低い場合の気密材の状態を示す縦断面図である。
図6】室内側の圧力のほうが低い場合の気密材の状態を示す横断面図である。
図7】室内側の圧力のほうが高い場合の気密材の状態を示す縦断面図である。
図8】室内側の圧力のほうが高い場合の気密材の状態を示す横断面図である。
図9】本発明の変形例に係る内窓建具を示す縦断面図である。
図10】本発明の変形例に係る内窓建具を示す横断面図である。
図11】変形例において障子が取り付けられる状態を示す縦断面図である。
図12】変形例において室内側の圧力のほうが高い場合の気密材の状態を示す縦断面図である。
図13】引き違い窓用の内窓建具を示す縦断面図である。
図14】引き違い窓用の内窓建具を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態の建具は、図1図2に示すような、例えばビルなどの建物の外周に設けられFIX窓をなす外窓の室内側に、外窓の建具(以下、外窓建具という)1と併設させて設けられたFIX窓をなす内窓として設けられる建具(以下、内窓建具という)10である。
【0023】
以下の説明においては、内窓建具10が建物に取り付けられている状態で室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、内窓建具10の各部位であっても、また、内窓建具10を構成する各部材については単体の状態であっても、内窓建具10が取り付けられた状態で上下方向、左右方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0024】
外窓建具1は、アルミニウム製の押出成形部材でなる左右の外縦枠材2aおよび上下の外横枠材2bで矩形状に形成され、躯体に設けられた開口に取り付けられた外枠体2と、周縁部が外枠体2により保持されて外枠体2に囲まれている内側に設けられた外単板ガラス3と、を有している。外単板ガラス3は、下側の外横枠材2bに設けられて外単板ガラス3の下端を収容する外ガラス収容部2cに、下側の外横枠材2b及び左右の外縦枠材2aの長手方向に沿って形成されたスリット2dから挿入され、外ガラス収容部2c内に設けられたセッティングブロック4上に載置されている。また、外単板ガラス3の両面において外枠体2と対向する部位には、外枠体2との間にシーリング材5が充填されている。
【0025】
外窓建具1の外枠体2には、外単板ガラス3が取り付けられる部位が、見込み方向において外枠体2の中央より室外側に配置されており、その室内側は、左右の外縦枠材2a同士および上下の外横枠材2b同士が各々対向する平坦な対向面をなす外枠対向部2eが設けられている。
【0026】
内窓建具10は、外枠体2を形成する左右の外縦枠材2aの各外枠対向部2eと上下の外横枠材2bの各外枠対向部2eとにより囲まれた空間に設けられる内枠体11と、内枠体11により形成される開口11aに設けられるFIX障子20と、を有している。以下の説明においては、矩形状をなす外枠体2および内枠体11に囲まれている側を内周側、反対側を外周側として説明する。
内枠体11は、左右の内縦枠材12と上下の内横枠材13とが矩形状に接合されて形成されている。
【0027】
内枠体11は、同一の断面形状をなすアルミニウム製の押出成形部材である内縦枠材12が同一の長さに切断され、断面形状が左右反転するように配置され、ほぼ同一の断面形状をなすアルミニウム製の押出成形部材である内横枠材13が同一の長さに切断され、断面形状が上下反転するように配置されている。
【0028】
各内縦枠材12は、外縦枠材2aの外枠対向部2eに当接される外縦枠当接部12aと、外縦枠当接部12aの室外側の縁から内周側に突出する板状の縦突出板状部12bと、を有している。外縦枠当接部12aは、外周部すなわち外枠対向部2eと対向する面側の室外側の部位に、外周側に開放されて軟質の合成樹脂製の止水材19が取り付けられる止水材取付部12cと、止水材取付部12cの室内側に位置させて内周側に窪む縦溝部12dとが、内縦枠材12の長手方向に沿って全長に亘って設けられている。外縦枠当接部12aにおける縦溝部12dの内周側には、内周側に突出させて、内枠体11の内側に設けられるFIX障子20の見込み方向における変位を規制するための規制ピン18が設けられ、規制ピン18に一体に形成されたねじ部18aが螺合されて、その先端が縦溝部12dに突出している。
【0029】
縦突出板状部12bの内周側の端部には、室内側から嵌合可能な気密材14が嵌合される気密材嵌合部12eが長手方向に沿って設けられている。気密材14は、気密材嵌合部12eに嵌入される嵌入部14aと、嵌入部14aと繋がって気密材嵌合部12eより室内側に突出し弾性変形可能な弾性部14bとを有している。
【0030】
各内横枠材13は、外横枠材2bの外枠対向部2eに当接される外横枠当接部13aと、外横枠当接部13aの室外側の縁から内周側に突出する板状の室外突出板状部13bと、外横枠当接部13aの室内側の縁から内周側に突出する板状の室内突出板状部13cと、を有している。外横枠当接部13aは、外周部すなわち外枠対向部2eと対向する面側の室外側の部位に、外周側に開放されて軟質の合成樹脂製の止水材19が取り付けられる止水材取付部13dが、外縦枠材2aの長手方向に沿って全長に亘って設けられている。上下の内横枠材13の室内突出板状部13cは、室外突出板状部13bより外枠対向部2eからの突出量が小さく形成されており、さらに、下側の内横枠材13の室内突出板状部13cは、上側の内横枠材13の室内突出板状部13cより外枠対向部2eからの突出量が小さく形成されている。
【0031】
内枠体11は、左右に配置された2本の内縦枠材12の上下端部間に上下の内横枠材13を側方からビス止めして矩形状に形成すると、内枠体11の外周部に、全周に亘って繋がった止水材取付部12c、13dの開放された部位から止水材19が僅かに突出する。このため、FIX障子20を外枠体2の内周側に装着すると、内枠体11と、外枠体2の各枠材2a、2bが有する外枠対向部2eとの間が全周に亘って止水材19により止水される。
【0032】
FIX障子20は、アルミニウム製の押出成形部材でなる左右の縦框材21および上下の横框材22で矩形状に形成された框体23と、周縁部が框体23により保持されて框体23に囲まれている内側に設けられる内単板ガラス24と、を有している。
【0033】
框体23は、同一の断面形状をなすアルミニウム製の押出成形部材である縦框材21が同一の長さに切断されて断面形状が左右反転するように配置され、同一の断面形状をなすアルミニウム製の押出成形部材である横框材22が同一の長さに切断されて断面形状が上下反転するように配置されている。
【0034】
縦框材21は、室外に臨む面をなす板状の縦外板部21aと、縦外板部21aと見込み方向に間隔を隔てて対向し室内に臨む面をなす板状の縦内板部21bと、縦外板部21aと縦内板部21bとを見込み方向に繋ぐ縦連結リブ21cと、を有している。
【0035】
縦外板部21aおよび縦内板部21bの縦連結リブ21cより内周側の部位と縦連結リブ21cとにより内周側に開放されて内単板ガラス24の端部が収容されるガラス端収容部21dが形成されており、縦外板部21aおよび縦内板部21bの縦連結リブ21cより外周側の部位と縦連結リブ21cとにより外周側に開放されて規制ピン18が挿入されるピン挿入部21eが形成されている。
【0036】
横框材22は、室外に臨む面をなす板状の横外板部22aと、横外板部22aと見込み方向に間隔を隔てて対向し室内に臨む面をなす板状の横内板部22bと、横外板部22aと横内板部22bとを見込み方向に繋ぐ横連結リブ22cと、を有している。
【0037】
横外板部22aおよび横内板部22bの横連結リブ22cより内周側の部位と横連結リブ22cとにより内周側に開放されて内単板ガラス24の端部が収容されるガラス端収容部22dが形成されており、横外板部22aおよび横内板部22bの横連結リブ22cより外周側の部位と横連結リブ22cとにより外周側に開放されて内横枠材13の室内突出板状部13cが挿入される枠材挿入部22eが形成されている。
【0038】
横框材22の、横連結リブ22cの横外板部22a側の端部には、左右の縦框材21と上下の横框材22とを矩形状に接合するためのビスが螺合されるビス螺合部22fが設けられ、横外板部22aの内周側の端部には、室内側から嵌合可能な気密材14が嵌合される気密材嵌合部22gが長手方向に沿って設けられている。気密材14は、内縦枠材12の縦突出板状部12bにおける内周側の端部に設けられている気密材14と同部材である。
【0039】
左右の縦框材21と上下の横框材22が矩形状に接合された框体23は、内周側に開放されたガラス端収容部21d、22dが全周に亘って形成され、このガラス端収容部21d、22dに、ガスケット25を介して内単板ガラス24の周端部が収容されてFIX障子20が構成されている。
【0040】
FIX障子20は、外枠体2の室内側に装着された内枠体11に装着される。より具体的には、室内側からFIX障子20を、その上部が下部より室外側に位置するように傾斜させ、上方に持ち上げつつ上側の横框材22の横外板部22aと横内板部22bとの間に、上側の内横枠材13の室内突出板状部13cを挿入し、下側の横框材22の横外板部22aと横内板部22bとの間に下側の内横枠材13の室内突出板状部13cが位置するように、FIX障子20の下部を室外側に移動させて降下させることにより内枠体11に装着される。このとき、内枠体11の内縦枠材12に設けられている規制ピン18をFIX障子20の縦框材21に設けたれたピン挿入部21eに挿入してFIX障子20の見込み方向における変位を規制する。また、このとき、内枠体11の下側の内横枠材13内には、FIX障子20を支持するための支持部材26が設けられている。支持部材26は、下側の内横枠材13内に配置したときに上面26aが平坦となるアルミニウム製のブロック材であり、下側の内横枠材13の長手方向において両端側にそれぞれ設けられており、2つの支持部材26間は間隔が隔てられている。このため、2つの支持部材26間においては、FIX障子20の下端と下側の内横枠材13との間に空隙Sが設けられる。
【0041】
FIX障子20が、内枠体11に装着されると、左右の内縦枠材12の縦突出板状部12bの内周側の端部に設けられた気密材14が、弾性部14bが僅かに屈曲されて縦框材21の室外側の面に押圧され、上下の横框材22の横外板部22aの内周側の端部に設けられた気密材14が、弾性部14bが僅かに屈曲されて内横枠材13の室内突出板状部13cの室外側の面に押圧される。
【0042】
FIX障子20が装着された内枠体11の四方の角部には、それぞれ、左右の内縦枠材12に設けられた縦の気密材14と上下の横框材22に設けられた横の気密材14との気密材状態が全周に亘って繋がるように、縦の気密材14と横の気密材14との間を繋ぐ気密材ブロック27が設けられている。気密材ブロック27は各々、図3図4に示すように、互いに隣接する縦の気密材14の端部14cと、横の気密材14の端部14cとが各々当接される当接面27aを備えるとともに、縦框材21と横框材22とが接合された角部と内枠体11との間を塞ぐように形成されている。
【0043】
そしてFIX20は、見込み方向においてFIX障子20に仕切られた2つの空間、すなわち、外窓建具1とFIX障子20との間の空間と、FIX障子20の室内側の空間との間に気圧差が生じて、FIX障子20に反りが生じて左右の縦框材21および上下の横框材22の一部が見込み方向において変位する、或いは、FIX障子20が見込み方向に移動することによりFIX障子20全体が変位する場合には、気圧差を解消するように作用する。
【0044】
たとえば、外窓建具1とFIX障子20との間の空間のほうがFIX障子20の室内側の空間より圧力が高くなると、FIX障子20は、室内側に膨らむように反りが生じるか、FIX障子20が室内側に移動する。これにより、上下の横框材22は室内側に押されるので上下の横框材22に設けられた気密材14の弾性部14bは、図5に示すように、内横枠材13の室内突出板状部13cの室外側の面に、より強く押圧される。一方、左右の縦框材21も室内側に押されるが、左右の縦框材21は左右の内縦枠材12から離れる方向に変位するので左右の縦框材21に設けられた気密材14の弾性部14bは、図6に示すように、縦框材21の室外側面との間に隙間が生じる。このとき、高圧側であるFIX障子20の室外側から室内側に空気が移動して圧力差が解消され、FIX障子20の反りや移動等による変位が解消されて、再びFIX障子20の全周に亘って閉塞された状態となる。このとき、外窓建具1とFIX障子20との間の空間のほうがFIX障子20の室内側の空間より圧力が高い場合には、上下の横框材22に設けられた気密材14が押圧部位に相当し、左右の縦框材21に設けられた気密材14が離間部位に相当する。
【0045】
また、外窓建具1とFIX障子20との間の空間のほうがFIX障子20の室内側の空間より圧力が低くなると、FIX障子20は、室外側に膨らむように反りが生じるか、FIX障子20が室外側に移動する。これにより、左右の縦框材21は室外側に押されるので左右の内縦枠材12に設けられた気密材14の弾性部14bを図7に示すように、より強く押圧する。一方、上下の横框材22も室外側に押されるが、上下の横框材22は上下の内横枠材13の室内突出板状部13cから離れる方向に変位するので上下の横框材22に設けられた気密材14の弾性部14bは、図8に示すように、内横枠材13の室外側面との間に隙間が生じる。このとき、FIX障子20の室内側から室外側、すなわち高圧側から室内側に空気が移動して圧力差が解消され、FIX障子20の反りや移動等による変位が解消されて、再びFIX障子20の全周に亘って閉塞された状態となる。このとき、FIX障子20の下端は、両端が支持部材26に支持されているので、FIX障子20の下方においても2つの支持部材26間にて高圧側から室内側に空気が移動して圧力差が解消される。このとき、外窓建具1とFIX障子20との間の空間のほうがFIX障子20の室内側の空間より圧力が低い場合には、左右の内縦枠材12に設けられた気密材14が押圧部位に相当し、上下の横框材22に設けられた気密材14が離間部位に相当する。
【0046】
本実施形態の内窓建具10によれば、FIX障子20が見込み方向における室外側または室内側のいずれか一方側に変位したときには、他方に押圧される押圧部位と、他方の部位から離れる離間部位とを有する気密材14が内枠体11及びFIX障子20の框体23が見込み方向において対向する縦突出板状部12bおよび室内突出板状部13cに設けられている。このため、FIX障子20により仕切られる2つの空間、すなわち外窓建具1とFIX障子20との間の空間とFIX障子20の室内側の空間との圧力差によりFIX障子20に反りなどが生じた場合であっても、離間部位から2つの空間の間で空気が流れて圧力差が解消されるので、FIX障子20に作用する負荷を軽減することが可能である。
【0047】
また、外窓建具1とFIX障子20との間の空間とFIX障子20の室内側の空間との圧力差が解消された際には、左右の内縦枠材12に設けられた気密材14と、上下の横框材22に設けられた気密材14とがいずれも当接して内枠体11とFIX障子20との間を閉塞することが可能である。このため、気密性を備えつつ風圧等による負荷の作用が小さな建具10を提供することが可能である。
【0048】
また、矩形状をなすFIX障子20の框体23の周縁の四辺において長手方向に沿って各々配置された各気密材14が、押圧部位または離間部位をなすので、気密材14は、四辺の各辺のいずれにおいても分断されることなく設けられている。このため、気密性を低下させることなく押圧部位及び離間部位を設けることが可能である。
【0049】
また、FIX障子20の四辺の上下方向に沿う縦框材21と左右方向に沿う横框材22とのうちの一方が押圧部位をなし、他方が前記離間部位をなすので、上下方向に沿う縦框材21同士および左右方向に沿う横框材22同士は同一の部材である。このため、部材の種類を少なくすることが可能であり、部材の管理および枠体の組立が容易である。また、上下方向に沿う縦框材21、左右方向に沿う横框材22をそれぞれ押圧部位と離間部位とに分ける場合に用いる框材を共通化する場合には気密材嵌合部を各部材に2箇所ずつ設けなければならないが、左右の縦框材21および上下の2横框材22を同一の框材とすると、気密材嵌合部を各部材に1箇所設ければよい。このため、縦框材21および横框材22のサイズを小さくすることが可能である。
【0050】
また、本内窓建具10は、FIX障子20の下端を支持する構造としたが、FIX障子20と下側の内横枠材13との間に、下側の内横枠材13の長手方向における両端側に互いに間隔を隔てて配置した支持部材26を介させることにより、外窓建具1とFIX障子20との間の空間とFIX障子20の室内側の空間の圧力差等によりFIX障子20に反りが生じたとしても、FIX障子20の下側にて空気を流通させて圧力差を解消させることが可能である。このとき、支持部材26の配置は、FIX障子20の両端側に限らず、FIX障子20を適切な姿勢で支持可能であれば、FIX障子20の幅より短い支持部材26を、FIX障子20の幅方向に適宜間隔を隔てて複数配置する、或いは、1つの支持部材26により支持させることにより、FIX障子20の下側にて空気を流通させて圧力差を解消させてもよい。
【0051】
また、FIX障子20の下側の横框材22を全長に亘って支持部材26に当接させて内横枠材13上に載置し、内横枠材13におけるFIX障子20の幅方向における一部に、下側の横框材22と内横枠材13との間にて気密材14が離間したときに外窓建具1とFIX障子20との間の空間とFIX障子20の室内側の空間との間が連通される空隙を形成すべく、凹部等を設けておいても構わない。このとき、支持部材26は必ずしも設けなくともよい。
【0052】
また、本実施形態においては、FIX障子20の下端を支持する構造としたが、例えば、FIX障子20の縦框材における縦外板部の外周側の端部から縦内板部側に規制ピンと交差する壁部を設け、この壁部に規制ピンが挿入される切り欠き部を形成し、FIX障子を内枠体に装着した際に、切り欠き部の縁が規制ピンに支持されることにより、FIX障子の下端が下側の内横枠材の上方に離れた位置に配置されるようにFIX障子を支持させて外窓建具1とFIX障子20との間の空間とFIX障子20の室内側の空間とが連通される構成としてもよい。この場合には、FIX障子20の下端を下側の内横枠材13支持する場合より広い領域にて外窓建具1とFIX障子20との間の空間とFIX障子20の室内側の空間を連通させることが可能である。
【0053】
また、上記実施形態のように、外窓建具1の内側に設けられる内窓の建具として使用することにより、外窓建具1ほどの高い強度及び気密性が求められないので、軽量で安価な建具10を提供することが可能である。
【0054】
上記実施形態においては、矩形状をなすFIX障子20の周縁部にて内枠体11と対向する左右の縦突出板状部12bおよび上下の室内突出板状部13cに設けられた4つの気密材14のうち、左右の縦突出板状部12bに設けられた気密材14同士または上下の室内突出板状部13cに設けられた気密材14同士が、押圧部位または離間部位をなす例について説明したが、これに限るものではない。たとえば、左右の縦突出板状部12bに設けられた気密材14の一方を押圧部位とし他方を離間部位とし、また、上下の室内突出板状部13cに設けられた気密材14のうちの一方を押圧部位とし他方を離間部位としてもよい。この場合には、FIX障子20の周縁部において押圧部位と離間部位との長さが等しくなるので、外窓建具1とFIX障子20との間の空間とFIX障子20の室内側の空間との圧力差等によりFIX障子20に反りが生じた際にはバランス良く空気を流通させて圧力差を解消させることが可能である。
【0055】
また、気密材14の離間部位は、FIX障子20の周縁部にて内枠体11と対向する全周の少なくとも一箇所に設けられていればよく、例えば、矩形状をなすFIX障子20の周縁の四辺のうちの一辺の一部が離間部位であっても構わない。
【0056】
また、上記実施形態においては、内枠体11とFIX障子20とが見込み方向に対向する部位のいずれか一方に気密材14が設けられている例について説明したが、内枠体11とFIX障子20とにそれぞれ気密材14が設けられていても構わない。
【0057】
本発明の建具は、室外側の空間と室内側の空間とに圧力差が生じた場合に離間部位から2つの空間の間で空気を流して圧力差を解消することにより、風圧等により障子に作用する負荷を小さく抑えることができるため、サイズの大きな障子であっても取り付けることが可能となった。しかしながら、サイズの大きな障子は、框を構成する各框材の長さが長くなるため、障子の製造段階において框材に反りが生じてしまい、建物に取り付けた際に障子と枠体との間に隙間が生じてしまう虞がある。
【0058】
このため、サイズが大きく反りが生じてしまった障子を取り付けた場合であっても気密性を保つために、上記実施形態の構成に追加して、框材の反りが生じやすい箇所を見込み方向に付勢して枠体側に押圧する付勢部材を備えていても良い。
製造された状態で反りが生じてしまった障子の反りを抑える付勢部材を備えた上記実施形態の変形例を以下に説明する。以下の説明において、上記実施形態と同一構成については図中で同符号を付して示し、その説明については省略する。
【0059】
図9図10に示すように、FIX障子20の上下の横框材22を室外側から室内側に向かって見込み方向に押圧する付勢部材としての板ばね30が、上下の横框材22の長手方向におけるほぼ中央に位置させてそれぞれ設けられている。
【0060】
板ばね30は、上下の内横枠材13において、外横枠当接部13a、室外突出板状部13bおよび室内突出板状部13cにより形成されて、上側の横框材22の上端部または下側の横框材22の下端部がそれぞれ挿入される框挿入部13e内に設けられ、上側の内横枠材13における外横枠当接部13aの下面と、下側の内横枠材13における外横枠当接部13aの上面とにそれぞれビスにより固定されている。
【0061】
上下の内横枠材13にそれぞれ固定される板ばね30は、同一の部材であり、上下の向きを反転して上下の内横枠材13に固定されている。このため、以下の板ばね30の説明は、上側の内横枠材13に設けられた板ばね30を例に挙げて説明する。すなわち、以下の説明においては、下側の内横枠材13に取り付けられた状態の板ばね30は、上側の板ばね30と上下の方向のみが相違する。
【0062】
上側の板ばね30は、上側の内横枠材13における外横枠当接部13aにビス止めされる固定板部30aと、固定板部30aの室外側の縁から垂設された第1鉛直板部30bと、第1鉛直板部30bの下縁から室内側に向かう傾斜をなす第1傾斜部30cと、第1傾斜部30cの下縁から垂設された第2鉛直板部30dと、第2鉛直板部30dの下縁から室外側に向かう傾斜をなす第2傾斜部30eと、第2傾斜部30eの先端に設けられ当該板ばね30の変形により室外突出板状部13bに沿って摺動する摺動部30fと、を有している。
【0063】
固定板部30aは、上側の内横枠材13における外横枠当接部13aの下面において、室外側の止水材19が設けられている部位を除く平坦な部位に当接されるように形成されている。このため、板ばね30が固定された状態では、固定板部30aの室外側の縁から垂設された第1鉛直板部30bは、室外突出板状部13bとほぼ平行をなすように間隔を隔てて対向している。
また、板ばね30が固定された状態では、第1鉛直板部30bと第2鉛直板部30dとは、見込み方向に間隔を隔ててほぼ平行な面をなすように形成されている。
【0064】
第1傾斜部30cは、下方に向かって漸次、室外突出板状部13bとの間隔が開くように傾斜しており、第2傾斜部30eは、下方に向かって漸次、室外突出板状部13bとの間隔が狭くなるように傾斜されている。そして、第2傾斜部30eの下端は、第1鉛直板部30bより室外側まで延出されており、その下端に設けられた摺動部30fが室外突出板状部13bに当接されるように形成されている。
【0065】
FIX障子20は、図11に示すように、上下の内横枠材13に板ばね30がそれぞれ固定された状態でけんどん式にて取り付けられる。より具体的には、室内側からFIX障子20を、その上部が下部より室外側に位置するように傾斜させ、上方に持ち上げつつ上側の横框材22の横外板部22aと横内板部22bとの間に、上側の内横枠材13の室内突出板状部13cを挿入させる。このとき、上側の横框材22の横外板部22aの上端部が板ばね30の第2傾斜部30eを押圧し、押圧された板ばね30は、摺動部30fが室外突出板状部13bに沿って摺動しつつ伸ばされるように弾性変形する。
【0066】
FIX障子20をさらに上方に持ち上げることにより、横外板部22aの上端部が板ばね30の第2傾斜部30eを摺動した後に第2鉛直板部30dを摺動しつつ通過して第1傾斜部30cの上側の空間に移動する。
【0067】
その後、下側の横框材22の横外板部22aと横内板部22bとの間に下側の内横枠材13の室内突出板状部13cが位置するように、FIX障子20の下部を室外側に移動させて降下させることにより、下側の横框材22の横外板部22aの下端部が板ばね30の第2傾斜部30eを押圧しつつ第2傾斜部30eに案内されて下側の横框材22の横外板部22aの下端部が支持部材26の上面26aに載置されて内枠体11に装着される。
【0068】
FIX障子20が内枠体11に装着された状態では、上下の横框材22に反りが生じていない場合には、上下の板ばね30の第2鉛直板部30dが上下の横框材22の横外板部22aに当接し、上下の横框材22の横外板部22aを室内突出板状部13c側に付勢して押圧している。このため、外窓建具1とFIX障子20との間の空間とFIX障子20の室内側の空間との間にて圧力差が生じていない場合、または、圧力差が小さい場合には、FIX障子20と内枠体11との間が全周に亘って閉塞された状態となる。このとき、上下の横框材22が製造時等に反りが生じていたとしても、板ばね30によりFIX障子20が内横枠材13側に押圧されることによりFIX障子20の全周に亘って閉塞されて気密が保たれる。
【0069】
そして、板ばね30により発生する弾性力は、FIX障子20の室内側の空間の圧力が外窓建具1とFIX障子20との間の空間の圧力より、設定された所望の値以上に大きくなった場合にFIX障子20が室外側に移動するように設定しておく。これにより、外窓建具1とFIX障子20との間の空間よりFIX障子20の室内側の空間のほうが設定した圧力差以上に大きくなった場合には、FIX障子20は、板ばね30の押圧力に抗して上下の横框材22は上下の内横枠材13から離れる方向に変位するので、図12に示すように、上下の横框材22に設けられた気密材14の弾性部14bと内横枠材13の室外側面との間に隙間が生じる。そして、生じた隙間に空気が流れて圧力差が解消されてFIX障子20に作用する負荷を軽減することが可能となる。
【0070】
上述した変形例では、上下の横框材22を室外側から室内側に向かって見込み方向に押圧する板ばね30を設けた例について説明したが、左右の縦框材21を室内側から室外側に向かって見込み方向に押圧する板ばねを設けておいてもよい。例えば、FIX障子20が内枠体11に装着された際に、ピン挿入部21e内に入り込むように板ばねを内縦枠材12に取り付けておき、縦外板部21aを室内側から室外側に向かって見込み方向に押圧する構成としても良い。この場合には、たとえ左右の縦框材21が製造時等に反りが生じていたとしても、板ばねによりFIX障子20が左右の内縦枠材12側に押圧されることによりFIX障子20の全周に亘って閉塞されて気密が保たれる。
【0071】
そして、外窓建具1とFIX障子20との間の空間の圧力がFIX障子20の室内側の空間の圧力より、設定された所望の値以上に大きくなった場合にFIX障子20が室内側に移動するように設定しておく。これにより、外窓建具1とFIX障子20との間の空間の圧力がFIX障子20の室内側の空間の圧力より、設定された所望の値以上に大きくなった場合には、FIX障子20は、板ばねの押圧力に抗して左右の縦框材21は左右の内縦枠材12から離れる方向に変位するので、左右の内縦枠材12に設けられた気密材14の弾性部14bと縦外板部21aの室外側面との間に隙間が生じる。そして、生じた隙間に空気が流れて圧力差が解消されてFIX障子20に作用する負荷を軽減することが可能となる。
【0072】
本変形例においては、板ばね30を上下の内横枠材13のみ又は左右の内縦枠材12のみに設けた例について説明したが、これに限らず、例えば、上下の内横枠材13と左右の内縦枠材12との両方に設けられている形態であっても構わない。
【0073】
上記実施形態においては、付勢部材としての板ばね30を上下の内横枠材13の長手方向におけるほぼ中央に配置した例について説明したが、長手方向におけるいずれかの側に偏らせて配置してもよいし、複数個の板ばねを互いに間隔を隔てて配置しても構わない。また、板ばね30の取り付けはビス止めに限らず接着や形材との係合でも構わない。また、板ばねの形状は、本実施形態にて説明した形状に限らず、FIX障子20の框材21、22を枠材12、13に押圧でき、かつ、FIX障子20の室内側の空間の圧力が外窓建具1とFIX障子20との間の空間の圧力より、設定された所望の値以上に大きくなった際には弾性変形して気密材14の離間部位が設けられる形状であれば構わない。
【0074】
また、上記実施形態においては、框材を内横枠材13側に押圧する付勢部材を板ばね30としたが、弾性変形して框材を内横枠材13側に押圧し装着される障子を案内可能な部材であれば、コイルばねやゴムなどを備えた部材であっても構わない。
【0075】
上記実施形態においては、FIX障子20を備えた内窓建具10を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。たとえば、図13図14に示すように、内障子101および外障子102を備えた引き違い窓用の建具100であっても構わない。この場合には、例えば、各障子の上下端部において框体103内に挿入され、内枠体104が備えるヒレ状のレール104aと上下の框材103aとの間に、レール104aに沿って室外側からレール104aに当接されるように気密材14を備え、各障子101、102の戸先框105内に挿入され、内枠体104が備えるヒレ状の挿入片104bと戸先框105との間に、挿入片104bに沿って室内側から挿入片104bに当接するように気密材14を備えておく。これにより、外窓建具1と内窓建具10との間の空間と内窓建具10の室内側の空間との圧力差等により内障子101と外障子102に反りが生じた際には空気を流通させて圧力差を解消させることが可能である。このとき、内障子101と外障子102を閉じた状態にて、内障子101および外障子102の周縁部にて内枠体104と対向する全周の少なくとも一箇所に気密材14の離間部位が設けられていれば構わない。また、障子は、FIX障子、引き違い障子の他、開閉する開き戸用の障子でも構わない。また、障子の形状は矩形状に限らず、たとえば円形状、三角形状など矩形状以外の形状であっても構わない。
【0076】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0077】
1 外窓建具、10 内窓建具(建具)、11 内枠体、11a 開口、
12 内縦枠材、13 内横枠材、14 気密材、20 障子、21 縦框材、
22 横框材、23 框体、26 支持部材、30 板ばね、100 建具、
101 内障子、102 外障子、103 框体、104 内枠体、105 戸先框 、
S 空隙、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14