(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流入側ナットの前記流出口側の端部には、前記温度検出基板の前記流入口側の端部および前記補強板の前記流入口側の端部がそれぞれ挿入される第1凹所が設けられており、
前記温度検出基板の前記流入口側の端部および前記補強板の前記流入口側の端部が、前記第1凹所に充填された充填材により前記流入側ナットに固定されており、
前記流出側ナットの前記流入口側の端部には、前記温度検出基板の前記流出口側の端部および前記補強板の前記流出口側の端部がそれぞれ挿入される第2凹所が設けられており、
前記温度検出基板の前記流出口側の端部および前記補強板の前記流出口側の端部とが、前記第2凹所に充填された充填材により前記流出側ナットに固定されている請求項5に記載の熱式流量計。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接液部分が全てガラスで構成された流路は、ガラスの主成分である二酸化ケイ素とアルカリ性液体とが中和反応するため、アルカリ性液体に対する耐腐食性が低いという欠点がある。そのため、アルカリ性液体の流量を計測するには、アルカリ性液体に対する耐腐食性が高い樹脂材料により形成された管状の流路を用いるのが好ましい。
しかしながら、樹脂材料により形成された管状の流路は熱により変形し易いため、製造時に管状の流路に生じる熱変形や使用時に管状の流路に生じる熱変形により正確な流量を検出できなくなる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、アルカリ性液体に対する耐腐食性を高めつつ製造時や使用時に加熱されても測定精度を維持することが可能な熱式流量計およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の一態様に係る熱式流量計は、液体が流入する流入口と該流入口から流入した液体を流出させる流出口とを有するとともに軸線に沿って延びる内部流路が形成された樹脂製の測定管と、前記軸線に沿って加熱用抵抗体と温度検出用抵抗体とが検出面に形成された温度検出基板と、補強板とを備え、前記温度検出基板の前記検出面が前記軸線に沿って前記測定管に接着剤で接着されるとともに、前記温度検出基板との間に前記内部流路を挟むように前記補強板が前記軸線に沿って前記測定管に前記接着剤で接着されている。
【0007】
本発明の一態様に係る熱式流量計は、測定管の内部流路を挟むように軸線に沿って温度検出基板の検出面と補強板とが接着剤で測定管に接着されている。熱式流量計が製造時に加熱され、樹脂製の測定管に撓みが生じると、測定管の適切な位置に温度検出基板の加熱用抵抗体および温度検出用抵抗体が取り付けられず、熱式流量計の測定精度が低下してしまう。また、熱式流量計が使用時に加熱され、樹脂製の測定管に撓みが生じると、測定管の適切な位置に温度検出基板の加熱用抵抗体および温度検出用抵抗体が取り付けられない状態となり、熱式流量計の測定精度が低下してしまう。
【0008】
本発明の一態様に係る熱式流量計によれば、測定管の内部流路を挟むように軸線に沿って温度検出基板と補強板とが配置されているため、これらを加熱した場合には、測定管の温度検出基板が接着される部分と補強板が接着される部分とに同程度の熱応力が生じる。そのため、加熱によって測定管に生じる熱応力の大きさが測定管の内部流路を挟む両側で偏ることが抑制される。これにより、測定管に温度検出基板のみを接着する場合に比べ、軸線に沿って延びる測定管が軸線からずれるように撓むことを抑制することができる。
これにより、アルカリ性液体に対する耐腐食性を高めつつ製造時や使用時に加熱されても測定精度を維持することが可能な熱式流量計を提供することができる。
【0009】
本発明の一態様に係る熱式流量計においては、前記測定管の外周面には、前記温度検出基板の前記検出面が対向して配置される第1平坦面と、該第1平坦面との間に前記内部流路を挟むように前記補強板の一面が対向して配置される第2平坦面とが形成されており、前記第1平坦面と前記温度検出基板の前記検出面とが前記接着剤により接着され、前記第2平坦面と前記補強板の一面とが前記接着剤により接着された構成であってもよい。
【0010】
本構成に係る熱式流量計においては、温度検出基板が接着される第1平坦面と補強板が接着される第2平坦面とが、測定管の内部流路を挟むように形成されている。そのため、温度検出基板および補強板の測定管への接着性を高めるとともに接着に必要な接着剤の量を低減することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る熱式流量計においては、前記温度検出基板の前記軸線に沿った第1長さと前記補強板の前記軸線に沿った第2長さとが同一か前記第1長さよりも前記第2長さの方が長いものであってもよい。
このようにすることで、測定管が加熱される際に、加熱によって測定管に生じる熱応力の大きさが測定管の内部流路を挟む両側で偏ることをより確実に抑制することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る熱式流量計においては、前記温度検出基板の前記検出面から前記内部流路の内周面までの第1距離が前記補強板の前記一面から前記内部流路の内周面までの第2距離よりも短いものであってもよい。
このようにすることで、加熱用抵抗体による内部流路内の液体の加熱特性と温度検出用抵抗体による液体の温度検出特性を高めることができる。
【0013】
本発明の一態様に係る熱式流量計においては、前記温度検出基板および前記補強板がガラス製であってもよい。
このようにすることで、樹脂製の測定管よりも強度が高くかつ加熱による変形が少ないガラス製の温度検出基板および補強板を用いて、測定管に温度検出基板および補強板を接着させる際または使用時に生じる撓みを抑制することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る熱式流量計においては、前記測定管の前記流入口が挿入されるとともに第1接続流路が内部に形成された流入側ボディと、前記測定管の前記流出口が挿入されるとともに第2接続流路が内部に形成された流出側ボディと、前記測定管の外周面に沿って前記流入側ボディよりも前記流出口側に挿入されるとともに前記流入側ボディの外周面に形成された雄ねじと締結される雌ねじが内周面に形成された円筒状の流入側ナットと、前記測定管の外周面に沿って前記流出側ボディよりも前記流入口側に挿入されるとともに前記流出側ボディの外周面に形成された雄ねじと締結される雌ねじが内周面に形成された円筒状の流出側ナットと、前記測定管の外周面と前記流入側ボディの前記流出口側の端部の内周面との間に挿入される円筒状に形成されるとともに前記流入側ボディに前記流入側ナットが締結されることによって変形してシール領域を形成する樹脂製の流入側フェルールと、前記測定管の外周面と前記流出側ボディの前記流入口側の端部の内周面との間に挿入される円筒状に形成されるとともに前記流出側ボディに前記流出側ナットが締結されることによって変形してシール領域を形成する樹脂製の流出側フェルールとを備える構成であってもよい。
【0015】
本構成によれば、測定管の流入口が流入側ボディに挿入されて流入側ボディの内部に形成された第1接続流路に接続される。同様に、測定管の流出口が流出側ボディに挿入されて流出側ボディの内部に形成された第2接続流路に接続される。
流入側ボディの外周面に形成された雄ねじと流入側ナットの内周面に形成された雌ねじとを締結させると、測定管の外周面に挿入される円筒状の流入側フェルールが変形してシール領域が形成される。同様に、流出側ボディの外周面に形成された雄ねじと流出側ナットの内周面に形成された雌ねじとを締結させると、測定管の外周面に挿入される円筒状の流出側フェルールが変形してシール領域が形成される。
【0016】
このように測定管の流入口側にシール領域が形成されることにより、測定管の内部流路と流入側ボディの第1接続流路との接続位置における液体の流出が防止される。同様に、測定管の流出口側にシール領域が形成されることにより、測定管の内部流路と流出側ボディの第2接続流路との接続位置における液体の流出が防止される。
【0017】
本構成においては、前記流入側ナットの前記流出口側の端部には、前記温度検出基板の前記流入口側の端部および前記補強板の前記流入口側の端部がそれぞれ挿入される第1凹所が設けられており、前記温度検出基板の前記流入口側の端部および前記補強板の前記流入口側の端部とが、前記第1凹所に充填された充填材により前記流入側ナットに固定されており、前記流出側ナットの流入口側の端部には、前記温度検出基板の前記流出口側の端部および前記補強板の前記流出口側の端部がそれぞれ挿入される第2凹所が設けられており、前記温度検出基板の前記流出口側の端部および前記補強板の前記流出口側の端部が、前記第2凹所に充填された充填材により前記流出側ナットに固定されているようにしてもよい。
【0018】
このようにすることで、温度検出基板および補強板の流入口側の端部が充填材によって流入口側ナットに設けられる第1凹所に固定され、温度検出基板および補強板の流出口側の端部が充填材によって流出口側ナットに設けられる第2凹所に固定される。これにより、測定管を流入口側ナットおよび流出口側ナットのそれぞれに固定するとともに、温度検出基板および補強板をそれぞれ測定管に対して確実に固定することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る熱式流量計においては、前記接着剤が、熱硬化性接着剤である構成であってもよい。
ガラス基板に伝熱手段と温度検出手段とが形成されたセンサ部を樹脂材料により形成された管状の流路に接着させる場合、使用時に高温となってもセンサ部と流路との接着性が保たれるように、熱硬化性の接着剤を用いるのが好ましい。しかしながら、熱硬化性の接着剤は加熱することにより固化する性質があるため、センサ部と管状の流路とを接着させる際には、これらを加熱する必要がある。この加熱の際に、樹脂製の管状の流路に撓みが生じると、センサ部と管状の流路とを適切に接着させることができない。
【0020】
本構成に係る熱式流量計によれば、測定管の内部流路を挟むように軸線に沿って温度検出基板と補強板とが配置されているため、製造時に熱硬化性接着剤とともにこれらを加熱した場合には、測定管の温度検出基板が接着される部分と補強板が接着される部分とに同程度の熱応力が生じる。そのため、加熱によって測定管に生じる熱応力の大きさが測定管の内部流路を挟む両側で偏ることが抑制される。これにより、測定管に温度検出基板のみを接着する場合に比べ、軸線に沿って延びる測定管が軸線からずれるように撓むことを抑制することができる。
【0021】
本発明の一態様に係る熱式流量計の製造方法は、液体が流入する流入口と該流入口から流入した液体を流出させる流出口とを有するとともに軸線に沿って延びる内部流路が形成された樹脂製の測定管と、前記軸線に沿って加熱用抵抗体と温度検出用抵抗体とが検出面に形成された温度検出基板と、補強板とを備える熱式流量計の製造方法であって、前記温度検出基板の前記検出面を前記軸線に沿って前記測定管と熱硬化性接着剤を介して接するように配置する工程と、前記補強板を前記軸線に沿って前記測定管と前記熱硬化性接着剤を介して接するとともに前記温度検出基板との間に前記内部流路を挟むように配置する工程と、前記測定管と前記温度検出基板と前記補強板とを加熱して前記熱硬化性接着剤を固化させる工程とを備える。
【0022】
本発明の一態様に係る熱式流量計の製造方法によれば、測定管の内部流路を挟むように軸線に沿って温度検出基板の検出面と補強板とが熱硬化性接着剤で測定管に接着された熱式流量計が形成される。熱硬化性接着剤は、加熱することにより固化する性質があるため、温度検出基板と補強板とを測定管に接着させる際にはこれらを加熱する必要がある。この加熱の際に、樹脂製の測定管に撓みが生じると、測定管の適切な位置に温度検出基板の加熱用抵抗体および温度検出用抵抗体が取り付けられず、熱式流量計の測定精度が低下してしまう。
【0023】
本発明の一態様に係る熱式流量計の製造方法によれば、測定管の内部流路を挟むように軸線に沿って温度検出基板と補強板とをそれぞれ測定管と熱硬化性接着剤を介して接するように配置し、これらを加熱して熱硬化性接着剤を固化させる。測定管と温度検出基板と補強板とを加熱する工程において、測定管の温度検出基板が接着される部分と補強板が接着される部分とに同程度の熱応力が生じる。そのため、加熱によって測定管に生じる熱応力の大きさが測定管の内部流路を挟む両側で偏ることが抑制される。これにより、測定管に温度検出基板のみを接着する場合に比べ、軸線に沿って延びる測定管が軸線からずれるように撓むことを抑制することができる。
よって、アルカリ性液体に対する耐腐食性を高めつつ製造時や使用時に加熱されても測定精度を維持することが可能な熱式流量計の製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、アルカリ性液体に対する耐腐食性を高めつつ製造時や使用時に加熱されても測定精度を維持することが可能な熱式流量計およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態の熱式流量計100について図面を参照して説明する。
本実施形態の熱式流量計100は、内部流路を流通する液体を加熱し、加熱された液体の温度を検出することで液体の流量を測定する熱式流量計である。本実施形態の熱式流量計100は、例えば、0.1cc/min〜30cc/minの微少流量を測定するのに適している。
【0027】
図1および
図2に示すように、本実施形態の熱式流量計100は、センサ部10と、制御基板20と、中継基板30と、アッパーケース40と、ボトムケース50とを備える。
【0028】
センサ部10は、
図3に示すように、外部の配管(図示略)に接続される流入口10aから流入する液体を外部の配管(図示略)に接続される流出口10bから流出させるとともに内部流路10cを流通する液体の流量を測定するものである。センサ部10は、液体の流量を直接的に算出するものではなく、後述する加熱用抵抗線12a(加熱用抵抗体)により加熱された液体の温度を温度検出用抵抗線12b,12c(温度検出用抵抗体)により検出し、検出した温度を示す温度検出信号を、信号線(図示略)を介して制御基板20へ伝達する。
センサ部10の詳細について後述する。
【0029】
制御基板20は、センサ部10の加熱用抵抗線12aに電圧信号を伝達して加熱用抵抗線12aを加熱させるとともに、温度検出用抵抗線12b,12cから伝達される温度に基づいて液体の流量を算出する装置である。
中継基板30は、制御基板20と外部装置(図示略)との間で各種の信号を送受信するための中継を行う基板である。中継基板30には、外部装置(図示略)との間で各種の信号を送受信するためのケーブル200が接続されるようになっている。
【0030】
アッパーケース40は、熱式流量計100の上部側の筐体となる部材であり、内部に制御基板20を収容する。
ボトムケース50は、熱式流量計100の下部側の筐体となる部材であり、内部にセンサ部10を収容する。ボトムケース50にセンサ部10が挿入された状態で、センサ部10の流入口10a側からストッパー60がボトムケース50とセンサ部10との間に挿入される。
【0031】
同様に、ボトムケース50にセンサ部10が挿入された状態で、センサ部10の流出口10b側からストッパー70がボトムケース50とセンサ部10との間に挿入される。ストッパー60,70により、センサ部10がボトムケース50に固定された状態となる。
ボトムケース50の底面には締結穴50aが形成されており、設置面(図示略)の下方から挿入される締結ボルト(図示略)によって設置面に固定される。
【0032】
次に、
図3〜
図8を参照してセンサ部10について詳細に説明する。
図3および
図4に示すように、センサ部10は、測定管11と、センサ基板12(温度検出基板)と、補強板13と、ガイド14と、ナット15と、流入側ボディ16と、流出側ボディ17と、流入側フェルール18と、流出側フェルール19とを有する。
【0033】
測定管11は、液体が流入する流入口11aと流入口11aから流入した液体を流出させる流出口11bとを有する管である。
図6(
図3のA−A矢視断面図)に示すように、測定管11には軸線Xに沿って延びる断面視が円形の内部流路10cが形成されている。測定管11は、アルカリ性液体に対する耐腐食性が高い樹脂材料(例えば、PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)により形成されている。
【0034】
センサ基板12は、
図8に示すように、軸線Xに沿って加熱用抵抗線12a(加熱用抵抗体)と温度検出用抵抗線12b(温度検出用抵抗体)と温度検出用抵抗線12c(温度検出用抵抗体)とが検出面12dに形成されたガラス製(例えば、二酸化ケイ素の含有率の高い石英ガラス製)の基板である。
加熱用抵抗線12aと、温度検出用抵抗線12bと、温度検出用抵抗線12cとは、それぞれ白金等の金属膜をガラス製の基板上に蒸着させて形成される。
【0035】
測定管11を流通する液体は、
図8における左から右に向けて軸線Xに沿って流れる。そのため、加熱用抵抗線12aを瞬間的に加熱すると、加熱された液体が軸線Xに沿って流れて温度検出用抵抗線12bの位置に到達し、その後に温度検出用抵抗線12cの位置に到達する。
そのため、制御基板20は、加熱用抵抗線12aを瞬間的に加熱したタイミングと、その後に温度検出用抵抗線12bと温度検出用抵抗線12cとが加熱された液体の温度を検出するタイミングとから、測定管11を流通する液体の流通速度を算出することができる。また、制御基板20は、算出した流通速度と測定管11の断面積から、液体の流量を算出することができる。
【0036】
図8においては、温度検出用抵抗線12bおよび温度検出用抵抗線12cを、加熱用抵抗線12aよりも液体の流通方向の下流側に配置するものとしたが、他の態様であってもよい。
例えば、加熱用抵抗線12aよりも液体の流通方向の上流側に温度検出用抵抗線12bを配置し、加熱用抵抗線12aよりも液体の流通方向の下流側に温度検出用抵抗線12cを配置するようにしてもよい。加熱用抵抗線12aが作り出す温度分布は、液体の流通速度に依存し、流通速度が大きくなるに従ってより多くの熱が下流側に運ばれて下流側の温度が高くなる。制御基板20は、温度検出用抵抗線12bにより検出される温度と温度検出用抵抗線12cにより検出される温度との差分と、測定管11の断面積から、液体の流量を算出することができる。
【0037】
補強板13は、測定管11にセンサ基板12を接着剤により接着させる際に、測定管11が軸線Xからずれるように撓むことを抑制する板状部材である。補強板13は、センサ基板12と同様にガラス製(例えば、二酸化ケイ素の含有率の高い石英ガラス製)となっている。
【0038】
図6(
図3のA−A矢視断面図)に示すように、測定管11はセンサ基板12および補強板13が接着される位置において、軸線Xに直交する平面による断面が長方形となっている。測定管11の外周面のうちセンサ基板12の検出面12dが対向して配置される面は、平坦なセンサ基板用平坦面11c(第1平坦面)となっている。また、測定管11の外周面のうち補強板13の接着面13aが対向して配置される面は、平坦な補強板用平坦面11d(第2平坦面)となっている。
一方、
図7(
図5(b)のB−B矢視断面図)に示すように、測定管11はセンサ基板12および補強板13が接着されない位置において、軸線Xに直交する平面による断面が円形となっている。
【0039】
図5および
図6に示すように、測定管11のセンサ基板用平坦面11cはセンサ基板12の検出面12dと対向するように配置されている。センサ基板用平坦面11cと検出面12dとは、接着剤により接着されている。また、
図6に示すように、測定管11の補強板用平坦面11dは補強板13の接着面13aと対向するように配置されている。補強板用平坦面11dと接着面13aとは、接着剤により接着されている。
【0040】
このように、センサ基板12は軸線Xに沿って測定管11に接着剤で接着され、補強板13はセンサ基板12との間に内部流路10cを挟むように補強板13が軸線Xに沿って測定管11に接着剤で接着される。
図5および
図6に示すように、センサ基板12の検出面12dと補強板13の接着面13aとは、互いに平行な状態で配置される。
ここで、接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、紫外線硬化性樹脂系接着剤、熱硬化性樹脂系接着剤(熱硬化性接着剤)、低融点ガラス等を用いることができる。
【0041】
図5(a)に示すように、センサ基板12の軸線Xに沿った長さL1(第1長さ)と補強板13の軸線Xに沿った長さL2(第2長さ)とは、長さL1よりも長さL2の方が長くなっている。これは、センサ基板12が軸線Xに沿って存在する領域の全てと内部流路10cを挟んで対向する位置を補強板13で補強するためである。長さL1と長さL2の長さは、同一としてもよい。つまり、長さL1と長さL2とは、同一か長さL1よりも長さL2の方が長いようにすればよい。
【0042】
図6に示すように、センサ基板12の検出面12dから内部流路10cの内周面10dまでの距離D1(第1距離)は、補強板13の接着面13aから内部流路10cの内周面10dまでの距離D2(第2距離)よりも短くなっている。これは、センサ基板12の検出面12dから内部流路10cの内周面10dまでの距離D1を短くして、加熱用抵抗線12aから液体への熱伝導性を向上させるとともに温度検出用抵抗線12bおよび温度検出用抵抗線12dによる温度検出特性を向上させるためである。
【0043】
ガイド14は、
図6に示すように、断面視が円形でその上方に開口部14aが設けられた金属製(例えば、ステンレス製)の部材である。
ガイド14は、一対のナット15を連結するように案内する部材である。
図3に示すように、一対のナット15は測定管11を介して連結されており、測定管11とナット15が凹所15e(第1凹所)に充填される充填材15iおよび凹所15f(第2凹所)に充填される充填材15jによって固定されている。
【0044】
そのため、
図3に示す製造後のセンサ部10は、一対のナット15の軸線X方向の間隔は固定されたままとなる。一方、充填材15i,15jが充填されない状態では測定管11とナット15が固定されていない。ガイド14は、測定管11とナット15が固定されていない状態で、一方の端部が流入側ナット15aの段部15cに接触するとともに他方の端部が流出側ナット15bの段部15dに接触し、一対のナット15間の距離を一定に保持する。
充填材15i,15jとしては、例えば、エポキシ樹脂,アクリル樹脂,シリコン樹脂による充填材が用いられる。
【0045】
流入側ボディ16は、
図3に示すように、測定管11の流入口11aが挿入されるとともに断面視が円形の接続流路16a(第1接続流路)が内部に形成された部材である。流入側ボディ16の流出口10b側の端部の外周面には、雄ねじ16bが形成されている。
【0046】
流出側ボディ17は、
図3に示すように、測定管11の流出口11bが挿入されるとともに断面視が円形の接続流路16b(第2接続流路)が内部に形成された部材である。流出側ボディ17の流入口10a側の端部の外周面には、雄ねじ17bが形成されている。
流入側ボディ16および流出側ボディ17は、耐腐食性が高い樹脂材料(例えば、PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)により形成されている。
【0047】
ナット15は、流入側ボディ16に取り付けられる流入側ナット15aと流出側ボディ17に取り付けられる流出側ナット15bとからなる。
図3に示すように、流入側ナット15aは、測定管11の外周面に沿って流入側ボディ16よりも流出口11b側に挿入される円筒状の部材である。流入側ナット15aの流入口10a側の端部の内周面には、雌ねじ15gが形成されている。また、流出側ナット15bは、測定管11の外周面に沿って流出側ボディ17よりも流入口11a側に挿入される円筒状の部材である。流出側ナット15bの流出口10b側の端部の内周面には、雌ねじ15hが形成されている。
【0048】
流入側ナット15aの雌ねじ15gと流入側ボディ16の雄ねじ16bが締結されることにより、流入側ナット15aが流入側ボディ16に取り付けられる。同様に、流出側ナット15bの雌ねじ15hと流出側ボディ17の雄ねじ17bが締結されることにより、流出側ナット15bが流出側ボディ17に取り付けられる。
【0049】
流入側ナット15aの流出口10b側の端部には、流入口10aに向けて窪んだ凹所15e(第1凹所)が形成されている。
図3に示すように、凹所15eには、センサ基板12の流入口11a側の端部および補強板13の流入口11a側の端部がそれぞれ挿入されている。また、凹所15eには充填材15iが充填されている。充填材15iによって、センサ基板12の流入口11a側の端部および補強板13の流入口11a側の端部が流入側ナット15aに固定されている。
【0050】
流出側ナット15bの流入口10a側の端部には、流出口10bに向けて窪んだ凹所15f(第2凹所)が形成されている。
図3に示すように、凹所15fには、センサ基板12の流出口11b側の端部および補強板13の流出口11b側の端部がそれぞれ挿入されている。また、凹所15fには充填材15jが充填されている。充填材15jによって、センサ基板12の流出口11b側の端部および補強板13の流出口11b側の端部が流出側ナット15bに固定されている。
【0051】
なお、以上においては充填材をナット15の凹所15eおよび凹所15fのみに充填するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、凹所15eおよび凹所15fに加えて、ガイド14の内周側の領域全体を埋めるように充填材を充填するようにしてもよい。この場合、センサ基板12と補強板13の全体が充填材で固定されるとともに、充填材によって流入側ナット15aと流出側ナット15bとが固定される。
【0052】
流入側フェルール18は、測定管11の外周面と流入側ボディ16の流出口10b側の端部の内周面との間に挿入される円筒状に形成された樹脂製(例えば、PTFE)の部材である。
図4に示すように、流入側フェルール18の流入口10a側の端部には、流入口10aに向けて徐々に内周面と外周面との距離が短くなる先端部18aが形成されている。先端部18aは流入側ボディ16に挿入されると、流入側ボディ16の内部に形成された溝部16cに挿入される。
【0053】
流出側フェルール19は、測定管11の外周面と流出側ボディ17の流入口10a側の端部の内周面との間に挿入される円筒状に形成された樹脂製(例えば、PTFE)の部材である。
図4に示すように、流出側フェルール19の流出口10b側の端部には、流出口10bに向けて徐々に内周面と外周面との距離が短くなる先端部19aが形成されている。先端部19aは流出側ボディ17に挿入されると、流出側ボディ17の内部に形成された溝部17cに挿入される。
【0054】
図4に示すように、流入側ボディ16の溝部16cと流出側ボディ17の溝部17cとは、溝の入口から底部に向けて徐々に溝幅が狭くなる形状となっている。溝部16cと先端部18aの軸線X方向の長さは同じであるが、先端部18aよりも溝部16cの方がより鋭利な形状となっている。そのため、溝部16cに先端部18aを隙間無く収容するためには、先端部18aを溝部16cの形状に合わせて変形させる必要がある。
【0055】
同様に、溝部17cと先端部19aの軸線X方向の長さは同じであるが、先端部19aよりも溝部17cの方がより鋭利な形状となっている。そのため、溝部17cに先端部19aを隙間無く収容するためには、先端部19aを溝部17cの形状に合わせて変形させる必要がある。
【0056】
本実施形態の熱式流量計100のセンサ部10は、流入側ボディ16の流出口10b側の端部に測定管11の流入口11aと流入側フェルール18を挿入した状態で流入側ナット15aの雌ねじ15gを流入側ボディ16の雄ねじ16bに締結し、流出側ボディ17の流入口10a側の端部に測定管11の流出口11bと流出側フェルール19を挿入した状態で流出側ナット15bの雌ねじ15hを流出側ボディ17の雄ねじ17bに締結することにより組み立てられる。
【0057】
流入側フェルール18の先端部18aは、流入側ナット15aの雌ねじ15gを流入側ボディ16の雄ねじ16bに締結するにつれて、流入側ボディ16の溝部16cに押し込まれる。先端部18aよりも溝部16cの方がより鋭利な形状となっているため、先端部18aは溝部16cに押し込まれるに連れて徐々に変形し、最終的には溝部16cに隙間無く収容されるように変形する。
【0058】
先端部18aが変形して測定管11の外周面と流入側ボディ16の内周面との間にシール領域を形成することにより、接続流路16aと内部流路10cとの接続位置から流出する液体が外部へ漏れないように確実に遮断することができる。また、流入側フェルール18の先端部18aが接続流路16aと内部流路10cとの接続位置の近傍に位置しているため、接続位置から流出して滞留してしまう液体の量(デッドボリューム)を少なくすることができる。
【0059】
流入側ナット15aの流入口10a側の先端が流入側ボディ16の突起部16dと接触することにより、流入側ナット15aの雌ねじ15gと流入側ボディ16の雄ねじ16bとの締結が完了する。突起部16dの位置を適切に配置することにより、溝部16cに押し込まれる先端部18aの変形量を適切に維持することができる。
【0060】
流出側フェルール19の先端部19aは、流出側ナット15bの雌ねじ15hを流出側ボディ17の雄ねじ17bに締結するにつれて、流出側ボディ17の溝部17cに押し込まれる。先端部19aよりも溝部17cの方がより鋭利な形状となっているため、先端部19aは溝部17cに押し込まれるに連れて徐々に変形し、最終的には溝部17cに隙間無く収容されるように変形する。
【0061】
先端部19aが変形して測定管11の外周面と流出側ボディ17の内周面との間にシール領域を形成することにより、接続流路17a(第2接続流路)と内部流路10cとの接続位置から流出する液体が外部へ漏れないように確実に遮断することができる。また、流出側フェルール19の先端部19aが接続流路17aと内部流路10cとの接続位置の近傍に位置しているため、接続位置から流出して滞留してしまう液体の量(デッドボリューム)を少なくすることができる。
【0062】
流出側ナット15bの流出口10b側の先端が流出側ボディ17の突起部17dと接触することにより、流出側ナット15bの雌ねじ15hと流出側ボディ17の雄ねじ17bとの締結が完了する。突起部17dの位置を適切に配置することにより、溝部17cに押し込まれる先端部19aの変形量を適切に維持することができる。
【0063】
図5(a)に示すように、測定管11の流入口11aからセンサ基板12の軸線X方向の中央部までの距離L3は、測定管11の流出口11bからセンサ基板12の軸線X方向の中央部までの距離L4よりも長くなっている。
このようにしているのは、接続流路16aと測定管11の流入口11aの接続位置からセンサ基板12の軸線X方向の中央部までの距離L3を長く確保するためである。距離L3を長く確保することにより、接続流路16aと測定管11の流入口11aで液体の流れに乱れが生じたとしても、センサ基板12の中央部に到達するまでに液体の流れを安定させることができる。
【0064】
図3および
図4に示すように、距離L3を距離L4よりも長く確保したことに伴い、流入側フェルール18の軸線Xに沿った長さを流出側フェルール19の軸線Xに沿った長さよりも長くしている。
このようにしているのは、流入側フェルール18の先端部18aが接続流路16aと流入口11aとの接続位置の近傍に位置し、かつ流出側フェルール19の先端部19aが接続流路17aと流出口11bとの接続位置の近傍に位置するように配置するためである。
【0065】
次に、本実施形態の熱式流量計100の製造方法について説明する。
まず始めに、熱式流量計100のセンサ部10の製造方法について説明する。
第1に、センサ基板12の検出面12dと測定管11のセンサ基板用平坦面11cのいずれかに接着剤を塗布し、
図5(b)に示すように、検出面12dとセンサ基板用平坦面11cとが接着剤を介して接するように配置する。
第2に、補強板13の接着面13aと測定管11の補強板用平坦面11dのいずれかに接着剤を塗布し、
図5(b)に示すように、接着面13aと補強板用平坦面11cとが接着剤を介して接するように配置する。
【0066】
第3に、センサ基板12と補強板13とが接着された測定管11を治具(図示略)に取り付けて接着剤を固化させる。接着剤が固化することにより、センサ基板12と補強板13とが測定管11に固定された状態となる。
ここで、接着剤として熱硬化性樹脂系接着剤を用いる場合、センサ基板12と補強板13とが接着された測定管11を治具(図示略)に取り付けてこれらを加熱することにより、熱硬化性樹脂系接着剤を固化させる。
【0067】
第4に、測定管11の流入口11aを、流入側ナット15a、流入側フェルール18、流入側ボディ16の順に挿入する。また、測定管11の流出口11bを、流出側ナット15b、流出側フェルール19、流出側ボディ17の順に挿入する。この際、ガイド14の流入口10a側の端部に流入側ナット15aを取り付け、ガイド14の流出口10b側の端部に流出側ナット15bを取り付け、流入側ナット15aと流出側ナット15bとが適切に保持されるようにする。
【0068】
第5に、流入側ナット15aの雌ねじ15gを流入側ボディ16の雄ねじ16bに挿入し、流入側ナット15aの流入口10a側の端部が突起部16dに接触するまで締結させる。また、流出側ナット15bの雌ねじ15hを流出側ボディ17の雄ねじ17bに挿入し、流出側ナット15bの流出口10b側の端部が突起部17dに接触するまで締結させる。この際、流入側フェルール18の先端部18aと流出側フェルール19の先端部19aとがそれぞれ変形してシール領域が形成される。
【0069】
第6に、流入側ナット15aの流出口10b側の端部に設けられた凹所15eに熱されて軟化した充填材15iを充填し、充填材15iが固化するまで冷却させる。同様に、流出側ナット15bの流入口10a側の端部に設けられた凹所15fに熱されて軟化した充填材15jを充填し、充填材15jが固化するまで冷却させる。
このようにして
図3に示すセンサ部10が製造される。
【0070】
第7に、センサ部10をボトムケース50に挿入し、ストッパー60およびストッパー70をボトムケース50とセンサ部10との間に挿入する。これにより、センサ部10がボトムケース50に固定される。
第8に、制御基板20と中継基板30をアッパーケース40に取り付ける。
最後に、アッパーケース40をボトムケース50に取り付ける。
以上の工程により、本実施形態の熱式流量計100が製造される。
【0071】
以上説明した本実施形態の熱式流量計100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の熱式流量計100は、測定管11の内部流路10cを挟むように軸線Xに沿ってセンサ基板12の検出面12dと補強板13とが接着剤で測定管11に接着されている。接着剤として熱硬化性樹脂系接着剤を用いる場合、熱式流量計100が製造時に加熱され、樹脂製の測定管11に撓みが生じると、測定管11の適切な位置にセンサ基板12の加熱用抵抗線12aおよび温度検出用抵抗線12b,12cが取り付けられず、熱式流量計100の測定精度が低下してしまう。
また、熱式流量計100が使用時に加熱され、樹脂製の測定管11に撓みが生じると、測定管11の適切な位置にセンサ基板12の加熱用抵抗線12aおよび温度検出用抵抗線12b,12cが取り付けられない状態となり、熱式流量計100の測定精度が低下してしまう。
【0072】
本実施形態の熱式流量計100によれば、測定管11の内部流路10cを挟むように軸線Xに沿ってセンサ基板12と補強板13とが配置されているため、これらを加熱した場合には、測定管11のセンサ基板12が接着される部分と補強板13が接着される部分とに同程度の熱応力が生じる。そのため、加熱によって測定管11に生じる熱応力の大きさが測定管11の内部流路10cを挟む両側で偏ることが抑制される。これにより、測定管11にセンサ基板12のみを接着する場合に比べ、軸線Xに沿って延びる測定管11が軸線Xからずれるように撓むことを抑制することができる。
これにより、アルカリ性液体に対する耐腐食性を高めつつ製造時や使用時に加熱されても測定精度を維持することが可能な熱式流量計100を提供することができる。
【0073】
本実施形態の熱式流量計100によれば、センサ基板12と補強板13とが、接着剤により測定管11に接着されている。ガラス基板に伝熱手段と温度検出手段とが形成されたセンサ部を樹脂材料により形成された管状の流路に接着させる場合、使用時に高温となってもセンサ部と流路との接着性が保たれるように、熱硬化性の接着剤を用いるのが好ましい。しかしながら、熱硬化性の接着剤は加熱することにより固化する性質があるため、センサ部と管状の流路とを接着させる際には、これらを加熱する必要がある。この加熱の際に、樹脂製の管状の流路に撓みが生じると、センサ部と管状の流路とを適切に接着させることができない。
【0074】
本実施形態の熱式流量計100によれば、製造時に熱硬化性接着剤を固化させるためにセンサ基板12および補強板13とともに測定管11を加熱した場合には、測定管11のセンサ基板12が接着される部分と補強板13が接着される部分とに同程度の熱応力が生じる。そのため、加熱によって測定管11に生じる熱応力の大きさが測定管11の内部流路10cを挟む両側で偏ることが抑制される。これにより、測定管11にセンサ基板12のみを接着する場合に比べ、軸線Xに沿って延びる測定管11が軸線Xからずれるように撓むことを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態の熱式流量計100によれば、センサ基板12が接着されるセンサ基板用平坦面11cと補強板13が接着される接着面13aとが、測定管11の内部流路10cを挟むように形成されている。そのため、センサ基板12および補強板13の測定管11への接着性を高めるとともに接着に必要な接着剤の量を低減することができる。
【0076】
また、本実施形態の熱式流量計100は、センサ基板12の軸線Xに沿った長さL1と補強板13の軸線Xに沿った長さL2とが同一か長さL1よりも長さL2の方が長い。
このようにすることで、測定管11が加熱される際に、加熱によって測定管11に生じる熱応力の大きさが測定管11の内部流路10cを挟む両側で偏ることをより確実に抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態の熱式流量計100は、センサ基板12の検出面12dから内部流路10cの内周面10dまでの距離D1が補強板13の接着面13aから内部流路10cの内周面10dまでの距離D2よりも短い。
このようにすることで、加熱用抵抗線12aによる内部流路10c内の液体の加熱特性と温度検出用抵抗線12b,12cによる液体の温度検出特性を高めることができる。
【0078】
また、本実施形態の熱式流量計100は、センサ基板12および補強板13がガラス製である。
このようにすることで、樹脂製の測定管11よりも強度が高くかつ加熱による変形が少ないガラス製のセンサ基板12および補強板13を用いて、測定管11にセンサ基板12および補強板13を接着させる際または使用時に生じる撓みを抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態の熱式流量計100によれば、測定管11の流入口11aが流入側ボディ16に挿入されて流入側ボディ16の内部に形成された接続流路16aに接続される。同様に、測定管11の流出口11bが流出側ボディ17に挿入されて流出側ボディ17の内部に形成された接続流路17aに接続される。
【0080】
流入側ボディ16の外周面に形成された雄ねじ16bと流入側ナット15aの内周面に形成された雌ねじ15gとを締結させると、測定管11の外周面に挿入される円筒状の流入側フェルール18の先端部18aが変形してシール領域が形成される。同様に、流出側ボディ17の外周面に形成された雄ねじ17bと流出側ナット15bの内周面に形成された雌ねじ15hとを締結させると、測定管11の外周面に挿入される円筒状の流出側フェルール19の先端部19aが変形してシール領域が形成される。
【0081】
このように測定管の流入口側にシール領域が形成されることにより、測定管の内部流路と流入側ボディの第1接続流路との接続位置における液体の流出が防止される。同様に、測定管の流出口側にシール領域が形成されることにより、測定管の内部流路と流出側ボディの第2接続流路との接続位置における液体の流出が防止される。
【0082】
また、本実施形態の熱式流量計100によれば、センサ基板12および補強板13の流入口10a側の端部が充填材15iによって流入口側ナット15aに設けられる凹所15eに固定され、センサ基板12および補強板13の流出口10b側の端部が充填材15jによって流出口側ナット15bに設けられる凹所15fに固定される。これにより、測定管11を流入口側ナット15aおよび流出口側ナット15bのそれぞれに固定するとともに、センサ基板12および補強板13をそれぞれ測定管11に対して確実に固定することができる。
【0083】
また、本実施形態の熱式流量計100の製造方法によれば、測定管11の内部流路10cを挟むように軸線Xに沿ってセンサ基板12と補強板13とをそれぞれ測定管11と接着剤を介して接するように配置し、接着剤を固化させる。ここで、接着剤として熱硬化性樹脂系接着剤を用いる場合、センサ基板12と補強板13とが接着された測定管11を治具(図示略)に取り付けてこれらを加熱することにより、熱硬化性樹脂系接着剤を固化させる。測定管11とセンサ基板12と補強板13とを加熱する工程において、測定管11のセンサ基板12が接着される部分と補強板13が接着される部分とに同程度の熱応力が生じる。
【0084】
そのため、加熱によって測定管11に生じる熱応力の大きさが測定管11の内部流路10cを挟む両側で偏ることが抑制される。これにより、測定管11にセンサ基板12のみを接着する場合に比べ、軸線Xに沿って延びる測定管11が軸線Xからずれるように撓むことを抑制することができる。
よって、アルカリ性液体に対する耐腐食性を高めつつ製造時や使用時に加熱されても測定精度を維持することが可能な熱式流量計100の製造方法を提供することができる。
【0085】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態の熱式流量計について
図9および
図10を用いて説明する。
第2実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとする。
第1実施形態の熱式流量計は、センサ部10において、流入側ナット15aの流出口10b側に凹所15eを形成し、流出側ナット15bの流入口10a側に凹所15fを形成するものであった。
それに対して本実施形態の熱式流量計は、センサ部10’において、流入側ナット15aの流出口10b側にガイド14’を用いて凹所15’eを形成し、流出側ナット15bの流入口10a側にガイド14’を用いて凹所15’fを形成するものである。
【0086】
ガイド14’は、流入側ナット15’aと流出側ナット15’bとを連結するように案内する部材である。
図9に示すように、流入側ナット15’aと流出側ナット15’bとは、測定管11を介して連結されている。測定管11と流入側ナット15’aとが、凹所15’e(第1凹所)に充填される充填材15iによって固定されている。また、測定管11と流出側ナット15’bとが、凹所15’f(第2凹所)に充填される充填材15jによって固定されている。
【0087】
ガイド14’は、断面視が円形でその上方に開口部14’aが設けられた金属製(例えば、ステンレス製)の部材である。
図10に示すように、ガイド14’は凹所15’eおよび凹所15’fを形成する部分は上方に開口せず、軸線Xに沿った中央部のみに開口部14’aが設けられる形状となっている。
なお、
図10には比較のために、第1実施形態のガイド14の形状を破線で示している。
【0088】
本実施形態によれば、流入側ナット15’aと流出側ナット15’bとを端部に凹所が形成される特別な形状とすることなく、ガイド14’を用いて凹所15’eおよび凹所15’fを形成することができる。
【0089】
〔他の実施形態〕
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。