(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮像レンズ系は複数の前記回折光学素子を有し、一の前記回折光学素子は前記撮像レンズ系の絞りの近傍に配置されており、他の前記回折光学素子は前記絞りから離れた位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
前記撮像レンズ系は、前記特定波長の光線が結像する像のMTFと、波長546nmの光線が結像する像のMTFとの双方が、30%以上になるように調整用レンズの位置を調整する、合焦位置調整機構を有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1に係る撮像装置の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る撮像レンズ系の構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る撮像レンズ系の広角端における縦収差を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る撮像レンズ系の望遠端における縦収差を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る撮像レンズ系の広角端における横収差を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る撮像レンズ系の望遠端における横収差を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る撮像レンズ系の広角端における可視光帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係る撮像レンズ系の広角端における可視光帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係る撮像レンズ系の広角端における赤外線帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る撮像レンズ系の広角端における赤外線帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図11】実施の形態1に係る撮像レンズ系の望遠端における可視光帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図12】実施の形態1に係る撮像レンズ系の望遠端における可視光帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図13】実施の形態1に係る撮像レンズ系の望遠端における赤外線帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図14】実施の形態1に係る撮像レンズ系の望遠端における赤外線帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図15】実施の形態1に係る撮像センサの構成を示す図である。
【
図16】実施の形態1に係る色フィルタの構成を示す図である。
【
図17】実施の形態1に係る色フィルタの構成の第1変形例を示す図である。
【
図18】実施の形態1に係る色フィルタの構成の第2変形例を示す図である。
【
図19】実施の形態1に係る色フィルタの構成の第3変形例を示す図である。
【
図20】実施の形態1に係る光学フィルタの構成を示す図である。
【
図21】実施の形態1に係る光学フィルタの分光透過率を示す図である。
【
図22】実施の形態1に係る監視カメラシステムの構成を示すブロック図である。
【
図23】実施の形態1に係る監視カメラシステムの処理を示すフロー図である。
【
図24】実施の形態2に係る撮像レンズ系の構成を示す図である。
【
図25】実施の形態2に係る撮像レンズ系の広角端における縦収差を示す図である。
【
図26】実施の形態2に係る撮像レンズ系の望遠端における縦収差を示す図である。
【
図27】実施の形態2に係る撮像レンズ系の広角端における横収差を示す図である。
【
図28】実施の形態2に係る撮像レンズ系の望遠端における横収差を示す図である。
【
図29】実施の形態2に係る撮像レンズ系の広角端における可視光帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図30】実施の形態2に係る撮像レンズ系の広角端における可視光帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図31】実施の形態2に係る撮像レンズ系の広角端における赤外線帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図32】実施の形態2に係る撮像レンズ系の広角端における赤外線帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図33】実施の形態2に係る撮像レンズ系の望遠端における可視光帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図34】実施の形態2に係る撮像レンズ系の望遠端における可視光帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図35】実施の形態2に係る撮像レンズ系の望遠端における赤外線帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図36】実施の形態2に係る撮像レンズ系の望遠端における赤外線帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図37】比較例に係る撮像レンズ系の構成を示す図である。
【
図38】比較例に係る撮像レンズ系の広角端における縦収差を示す図である。
【
図39】比較例に係る撮像レンズ系の望遠端における縦収差を示す図である。
【
図40】比較例に係る撮像レンズ系の広角端における横収差を示す図である。
【
図41】比較例に係る撮像レンズ系の望遠端における横収差を示す図である。
【
図42】比較例に係る撮像レンズ系の広角端における可視光帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図43】比較例に係る撮像レンズ系の広角端における可視光帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図44】比較例に係る撮像レンズ系の広角端における赤外線帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図45】比較例に係る撮像レンズ系の広角端における赤外線帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図46】比較例に係る撮像レンズ系の望遠端における可視光帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図47】比較例に係る撮像レンズ系の望遠端における可視光帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【
図48】比較例に係る撮像レンズ系の望遠端における赤外線帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す図である。
【
図49】比較例に係る撮像レンズ系の望遠端における赤外線帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態1]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る撮像装置101は、撮像レンズ系11と、光学フィルタ12と、撮像センサ13と、筐体15と、を有する。筐体15には、撮像レンズ系11と、光学フィルタ12と、撮像センサ13と、が保持されている。
【0017】
図2は、撮像レンズ系11の一例の構成を示す図である。
図2の上側に広角端(Wide)、下側に望遠端(Tele)における撮像レンズ系11を示す。
図2に示すように、撮像レンズ系11は、ズームレンズであり、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)DE1と、合焦位置調整機構14と、を有する。回折光学素子DE1は、赤外線帯域の特定波長の光線の焦点位置と可視光帯域の光線の焦点位置とを近づけるように働く。
【0018】
撮像レンズ系11は、4群ズームレンズであり、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3及び第4レンズ群G4から構成されている。第1レンズ群G1は、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3から構成されている。第2レンズ群G2は、第4レンズL4、第5レンズL5及び第6レンズL6から構成されている。第3レンズ群G3は、回折光学素子DE1、第7レンズL7及び第8レンズL8から構成されている。第4レンズ群G4は、第9レンズL9及び第10レンズL10から構成されている。
【0019】
撮像レンズ系11は、第1レンズ群G1及び第3レンズ群G3を固定したまま、第2レンズ群G2と第4レンズ群G4とを移動させることにより、レンズ系全体の倍率を変更することができる。広角端から望遠端へと変倍するときには、第2レンズ群G2が第1レンズ群G1側から第3レンズ群G3に近づく方向に移動する。それと同時に、第4レンズ群G4は、広角端から望遠端へと変倍するときには、撮像センサ13側から第3レンズ群G3に移動し、ある地点で移動方向を変えて、第3レンズ群G3側から撮像センサ13に近づく方向に移動する。
【0020】
本実施の形態に係る撮像レンズ系11のレンズデータの一例を表1及び表2に示す。レンズデータとしては、各面の曲率半径、面間隔、屈折率、及びアッベ数を載せている。「*」印がついた面は、非球面であることを示している。表2には、広角端(Wide)、中間(Mean)及び望遠端(Tele)における、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔D5、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔D10、及び第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔D15を示している。
【0023】
ここで、レンズ面に採用される非球面形状は、光軸方向のサグ量をY(h)、cを曲率半径の逆数、光軸に直交する方向の光軸からの高さをh、円錐係数をK、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次の非球面係数をそれぞれA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16とすると、次式により表される。なお、各記号の意味及び非球面形状を表す式は、後述の実施例においても同様である。
【0025】
表3に、撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表3において、例えば「−7.309542E−05」は、「−7.309542×10
−5」を意味する。
【0027】
表1から表3に記載された実施の形態1に係る撮像レンズ系11のレンズ全系の焦点距離は、広角端、中間、望遠端の順にそれぞれ5.0mm、24.0mm、48.4mmである。撮像レンズ系11のF値は、広角端、中間、望遠端の順にそれぞれ1.6、1.7、1.9である。撮像レンズ系11の全画角は、広角端、中間、望遠端の順にそれぞれ71.0°、14.0°、6.9°である。
【0028】
回折光学素子DE1は、正のパワーを有し、特定波長において回折効率が最大になるように設計されている。表1の回折光学素子DE1は、特定波長850nmの光線に対して回折効率が最大になるように設計されている。回折光学素子DE1としては、例えば、ホログラムを用いることが好ましく、体積ホログラムやレリーフ型ホログラムを用いることもできる。
【0029】
回折光学素子DE1は、撮像レンズ系11の絞りSTOPの近傍に配置されていることが好ましい。回折光学素子DE1は、その前面(物体側面)が絞りSTOPに接するように配置されている。表1に示す回折光学素子DE1では、特定波長850nmの光線の焦点距離は700mmである。
【0030】
本実施形態に係る撮像装置101によれば、回折光学素子DE1によって、赤外線帯域の特定波長の光線の焦点位置と可視光帯域の光線の焦点位置とを近づけることにより、可視光帯域における通常の撮像時と850nmの波長の赤外線帯域における撮像時とでのピント調整が不要となる。
【0031】
図3は、撮像レンズ系11の広角端における縦収差図である。
図4は、撮像レンズ系11の望遠端における縦収差図である。
図3及び
図4では、e線(0.546μm)、赤外線(0.850μm)の2波長の縦収差を示す。
図3及び
図4において、e線(0.546μm)の縦収差は実線により、赤外線(0.850μm)の縦収差は破線により示されている。
図3及び
図4の縦軸は、撮像レンズ系11の入射瞳半径に対する相対瞳高さを表し、横軸は縦の球面収差(mm)を表わしている。また、撮像レンズ系11の広角端における入射瞳半径の値1.5581mmが
図3の上部に示されており、撮像レンズ系11の望遠端における入射瞳半径の値12.4986mmが
図4の上部に示されている。
【0032】
図5は、撮像レンズ系11の広角端における横収差図である。
図6は、撮像レンズ系11の望遠端における横収差図である。
図5及び
図6では、像高0mm、0.3mm、0.6mm、0.9mm、1.2mm、1.5mm、1.8mm、2.1mm、2.4mm、2.7mm、3.0mmの11個の像高について、e線(0.546μm)、赤外線(0.850μm)の2波長の横収差曲線を示している。
図5及び
図6において、e線(0.546μm)の横収差は実線により示されており、赤外線(0.850μm)の横収差は破線により示されている。
【0033】
図5及び
図6では、像高ごとに、左側にメリディオナル方向(タンジェンシャル方向)の横収差を、右側にサジタル方向の横収差を示している。
図5及び
図6の縦軸は横収差量(μm)を表わしており、
図5及び
図6では、横収差量の最大スケールの値は±50μmである。±50μmとは、縦軸の最上部が+50μmで縦軸の最下部が−50μmということである。また、
図5及び
図6の横軸は相対瞳高さを表わしており、2つずつ並んだ横収差図の左側の図の横軸が、y方向の相対瞳高さyを表わし、右側の図の横軸がx方向の相対瞳高さxを表わしている。
【0034】
撮像レンズ系11は、合焦位置調整機構14を有する。合焦位置調整機構14は、特定波長の光線が結像する像のMTF(Modulation Transfer Function)と、可視光帯域の光線(例えば、波長546nm)が結像する像のMTFとの双方が、特定の値(例えば、30%)以上になるように調整用レンズの位置を調整することが好ましい。撮像レンズ系11は、第4レンズ群G4を移動させることにより合焦位置を調整する。すなわち、第4レンズ群G4の第9レンズ及び第10レンズが調整用レンズとして機能する。
【0035】
次に、
図7から
図14を用いて、撮像レンズ系11の可視光帯域及び赤外線帯域での結像性能について説明する。
【0036】
図7に撮像レンズ系11の広角端における、波長435.8nmから656.3nmの可視光帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す。
図9に撮像レンズ系11の広角端における、波長850nmの赤外線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す。
図11に撮像レンズ系11の望遠端における、波長435.8nmから656.3nmの可視光帯域の光線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す。
図13に撮像レンズ系11の望遠端における、波長850nmの赤外線が結像する像の周波数−MTF曲線を示す。
【0037】
図8に撮像レンズ系11の広角端における、波長435.8nmから656.3nmの可視光帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す。
図10に撮像レンズ系11の広角端における、波長850nmの赤外線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す。広角端では、MTFは周波数60lp/mmで計算されており、像面から±0.05mmの範囲のMTFを示している。
図12に撮像レンズ系11の望遠端における、波長435.8nmから656.3nmの可視光帯域の光線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す。
図14に撮像レンズ系11の望遠端における、波長850nmの赤外線が結像する像のデフォーカス−MTF曲線を示す。望遠端では、MTFは周波数60lp/mmで計算されており、像面から±0.2mmの範囲のMTFを示している。
【0038】
図7から
図10に示すように、撮像レンズ系11では、広角端において、可視光線及び波長850nmの赤外線の双方における周波数60lp/mmのMTFが30%を超えている。そのため、撮像レンズ系11は広角端において可視光線及び赤外線の双方について良好な結像性能を有するといえる。また、
図11及び
図12に示すように、望遠端においては、可視光線における周波数60lp/mmのMTFが30%を超えている。撮像レンズ系11は望遠端において可視光線について良好な結像性能を有するといえる。
【0039】
撮像センサ13は、撮像レンズ系11の焦点位置IMGに配置されている。
図15に示すように、撮像センサ13は、撮像センサ本体24と、色フィルタ26と、カバーガラス27と、を有する。撮像センサ本体24の主面上には、複数の画素に対応する複数の受光素子が配置されている。複数の受光素子上には色フィルタ26が配置されており、色フィルタ26の上にはカバーガラス27が配置されている。さらに、カバーガラス27上には、光学フィルタ12が配置されている。光学フィルタ12は、カバーガラス27から離れて配置されていてもよい。
【0040】
図16に色フィルタ26の画素の構成の一例を示す。
図16に示すように、色フィルタ26は、所定の複数色の可視光用フィルタ部R,G,Bと、赤外線用フィルタ部Irと、を有する。可視光用フィルタ部R,G,Bと赤外線用フィルタ部Irとが、複数の受光素子上に所定の配列で配置されている。本実施の形態における可視光用フィルタ部R,G,B及び赤外線用フィルタ部の配列は、ベイヤ配列の2つの緑色のうち一つを赤外線用に配置したものである。
【0041】
通常のベイヤ配列は、撮像センサ13の水平方向にRとGとが交互に繰り返して配列された第1ラインHL1と、GとBとが交互に繰り返して配列された第2ラインHL2と、を有する。ベイヤ配列では、第1ラインHL1と第2ラインHL2とが、Gの水平方向の位置が重ならないように撮像センサ13の垂直方向に交互に繰り返して配列されている。
【0042】
画素の一つのセットが、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)の可視光用フィルタ部R,G,Bと、赤外線(Ir)を透過させる赤外線用フィルタ部と、の4種類のフィルタ部から構成されている。第1ラインHL1はベイヤ配列と同様である。それに対して、第2ラインHL2では、Gの代わりにIrを配置することにより、IrとBとが交互に繰り返して配列されている。
【0043】
撮像センサ13のそれぞれの画素に対応する受光素子は、対応する各色(R,G,B)の可視光用フィルタ部R,G,B及び赤外線用フィルタ部(Ir)を通過した被写体からの光を光電変換して、電気信号に変換する。
【0044】
上述の構成によって、撮像センサ13は、通常の可視光を光電変換した画像データに加えて、赤外線を光電変換した画像データを出力することができる。これにより、撮像センサ13を有する撮像装置101は、通常の可視光の動画像と、赤外線の動画像とを同時に撮影することができる。
【0045】
図16に示した色フィルタ26の画素構成の他に、
図17〜
図19に示した構成の色フィルタ26を用いてもよい。
図17〜
図19では、Cyはシアン、Yeはイエロー、Wはホワイトを示している。
図17〜
図19に示す色フィルタ26の画素構成では、
図16に示す色フィルタ26の画素構成よりも可視光の信号のS/N比を高く取ることができる。
【0046】
図17に示された配列は、撮像センサ13の水平方向にCyとIrとが交互に繰り返して配列された第1ラインHL1と、WとYeとが交互に繰り返して配列された第2ラインHL2と、を有する。
図17に示された配列では、CyとW、IrとYeの水平方向の位置が重なるように、第1ラインHL1と第2ラインHL2とが撮像センサ13の垂直方向に交互に繰り返して配列されている。
【0047】
図18に示された配列は、撮像センサ13の水平方向にCyとIrとが交互に繰り返して配列された第1ラインHL1と、GとYeとが交互に繰り返して配列された第2ラインHL2と、を有する。
図18に示された配列では、CyとG、IrとYeの水平方向の位置が重なるように、第1ラインHL1と第2ラインHL2とが撮像センサ13の垂直方向に交互に繰り返して配列されている。
【0048】
図19に示された配列は、撮像センサ13の水平方向にWとIrとが交互に繰り返して配列された第1ラインHL1と、CyとYeとが交互に繰り返して配列された第2ラインHL2と、を有する。
図19に示された配列では、WとIr、CyとYeの水平方向の位置が重なるように、第1ラインHL1と第2ラインHL2とが撮像センサ13の垂直方向に交互に繰り返して配列されている。
【0049】
図1に戻って、本実施の形態に係る撮像装置101について説明する。
図1に示すように、撮像装置101では、光学フィルタ12は、撮像センサ13よりも物体側に配置されており、撮像レンズ系11と撮像センサ13との間に配置されている。光学フィルタ12は、可視光帯域の光線と特定波長の近傍の赤外特定帯域の光線とを透過し、可視光帯域及び赤外特定帯域以外の帯域の光線を遮断する。
【0050】
図20に示すように、光学フィルタ12は、光学基板21と、赤外カットフィルタ22と、SWPF(Short-wave-pass-filter)23と、から構成されている。光学フィルタ12は、まず光学基板21の表面に赤外カットフィルタ22が形成され、赤外カットフィルタ22の上にSWPF23が形成される構成になっている。なお、
図20は光学フィルタ12を分かり易く説明するために表した模式図なので、サイズ等は実際と異なっている。
【0051】
赤外カットフィルタ22は、高屈折率膜22Hと低屈折率膜22Lが交互に積層されたものであり、所望の光学特性を得られるように各層の積層数及び膜厚が調整されている。ここで、赤外カットフィルタ22の所望の光学特性とは、人間の視感度の高い可視光帯域(波長400nm〜700nm)の光を透過し、かつ、近赤外帯域の光のうち、夜間撮影用の赤外線照明の発光波長(例えば中心波長850nm、スペクトル半値幅40nm)より短波長側の波長帯の光を遮断する透過率特性である。
【0052】
SWPF23は、赤外カットフィルタ22と同様に、高屈折率膜23Hと低屈折率膜23Lが交互に積層されたもので、所望の光学特性を得られるように、各層の積層数及び膜厚が調整されている。SWPF23の所望の光学特性とは、可視光帯域(波長400nm〜700nm)から赤外帯域(波長850nm、スペクトル半値幅40nm)までを透過し、かつ、これより長波長側で撮像センサ13のフォトダイオードが受光可能な概ね1300nmまで近赤外帯域の光を遮断する、いわゆるエッジフィルタ状の透過率特性である。
【0053】
上述の構成をとることにより、
図21に示すように、光学フィルタ12は、可視光帯域(波長400nm〜700nm)の光線と特定波長の近傍の赤外特定帯域(中心波長850nm、スペクトル半値幅40nm)の光線とを透過させ、可視光帯域及び赤外特定帯域以外の帯域の光線を遮断する。このように2つの帯域に透過特性を持つことから、光学フィルタ12をダブルバンドパスフィルタ(DBPF:Double band pass filter)と称してもよい。
【0054】
また、光学フィルタ12は、可視光帯域(波長400nm〜700nm)に透過特性を有し、可視光帯域の長波長側に隣接する第1波長帯域(波長700nm以上)に遮断特性を有し、第1波長帯域内の一部分である第2波長帯域(波長830nm〜870nm)に透過特性を有するともいえる。
【0055】
さらに、光学フィルタ12の第2波長帯域が、可視光帯域より長波長側で各色の可視光用フィルタ部R,G,Bの透過率が互いに近似する波長帯域である第3波長帯域(波長820nm以上)に含まれることが好ましい。それとともに、光学フィルタ12の第2波長帯域が、赤外線用フィルタ部Irが透過特性を有する波長帯域である第4波長帯域(波長790nm〜990nm)に含まれることが好ましい。
【0056】
撮像レンズ系11は、回折光学素子DE1により赤外線帯域の特定波長の光線の焦点位置と可視光帯域の光線の焦点位置とを近づけることができるので、撮像センサ13上に可視光帯域の像及び赤外線帯域の像の双方を結像させることができる。
【0057】
光学フィルタ12は、撮像センサ13よりも物体側に配置されていて、可視光帯域の光線と特定波長の近傍の赤外特定帯域の光線とを透過し、可視光帯域及び赤外特定帯域以外の帯域の光線を遮断する。これにより、撮像レンズ系11に入射した光線のうち可視光帯域と赤外特定帯域の2種類の光線を選択して撮像センサ13に入射させることができる。
【0058】
撮像センサ13は、所定の複数色の可視光用フィルタ部(R,G,B)及び赤外線用フィルタ部(Ir)が複数の受光素子上に所定の配列で配置された色フィルタ26を有する。これにより、一つの撮像センサで可視光画像及び赤外線画像を同時に取得できる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、高品質の可視光画像及び赤外線画像を同時に取得できる、小型かつ安価な撮像装置101を提供することができる。
【0060】
次に、
図22を用いて、本実施の形態に係る撮像装置101を用いた監視カメラシステム100について説明する。
図22は、本実施の形態に係る監視カメラシステム100の構成の一例を示したブロック図である。
図22に示すように、監視カメラシステム100は、撮像装置101と、画像入力部104と、顔検出部105と、脈拍検出部106と、脈拍異常出力部107と、を有する。
【0061】
図22に示した監視カメラシステム100では、被観察者からの可視光線及び赤外線の画像を撮像装置101が取得する。撮像装置101は、デジタル化された可視光線及び赤外線の画像データを画像入力部104に出力する。画像入力部104は、デジタル化された可視光線の画像データを顔検出部105に出力し、デジタル化された赤外線の画像データを脈拍検出部106に出力する。
【0062】
顔検出部105は、可視光線の画像データの中から被観察者の顔領域を検出する。顔領域を検出には種々の顔検出アルゴリズムを用いることができる。脈拍検出部106は、赤外線の画像データの被観察者の顔領域に対応する領域の信号強度から被観察者の脈拍数を検出する。脈拍異常出力部107は、検出された被観察者の脈拍数から異常を検出したときに異常信号を出力する。
【0063】
図23は、本実施の形態の監視カメラシステム100における異常検出処理の手順を示したフローチャートである。最初に、撮像装置101は撮像センサ13で得た信号から可視光及び赤外線の画像のデジタルデータを生成し、一定期間、連続的(例えば、30フレーム/秒の画像)に画像入力部104へと画像データを入力する(ST10)。
【0064】
次に、顔検出部105は、画像入力部104に入力された可視光の画像データから、フレーム毎に顔領域の検出を行う(ST20)。顔領域の検出には、デジタルカメラやデジタルビデオカメラで使用されている一般的な方法を用いることができる。
【0065】
次に、脈拍検出部106は、フレーム毎に、赤外線の画像データの顔領域における輝度値の積分値を求めた後、周波数分析を行って、得られた最大の周波数を被観察者の脈拍数として検出する(ST30)。次に、脈拍異常出力部107は、検出された被観察者の脈拍数が、予め設定した正常範囲内であるか否かを判断する(ST40)。
【0066】
そして、被観察者の脈拍数が正常範囲から外れる場合(ST40 NO)に、脈拍異常出力部107が異常信号を出力する(ST50)。このとき、画像上にマークを加え、監視者に明確にわかるようにしてもよい。被観察者の脈拍数が正常範囲内の場合(ST40 YES)には、異常なしとして異常検出処理を終了する。
【0067】
[実施の形態2]
本実施の形態に係る撮像装置では、撮像レンズ系の構成が実施の形態1に係る撮像装置101とは異なっている。
図24に示すように、本実施の形態に係る撮像レンズ系31は、2つの回折光学素子DE2,DE3を有し、一の回折光学素子DE3は絞りSTOPの像側に隣接して配置されており、他の回折光学素子DE2は第2レンズ群G2のすぐ後ろの位置に配置されている。すなわち、撮像レンズ系31は、複数の回折光学素子DE2,DE3を有し、一の回折光学素子DE3は撮像レンズ系31の絞りSTOPの近傍に配置されており、他の回折光学素子DE2は絞りSTOPから離れた位置に配置されていることが好ましい。
【0068】
本実施の形態に係る撮像レンズ系31のレンズデータの一例を表4に示す。レンズデータとしては、各面の曲率半径、面間隔、屈折率、及びアッベ数を載せている。撮像レンズ系31における非球面係数は、表3に示した値と同じである。
【0070】
表4に示すように、回折光学素子DE2の特定波長850nmの光線の焦点距離は350mmであり、回折光学素子DE3の特定波長850nmの光線の焦点距離は1400mmである。
【0071】
表4に記載された実施の形態2に係る撮像レンズ系31の焦点距離は、広角端、中間、望遠端の順にそれぞれ5.1mm、24.0mm、48.2mmである。撮像レンズ系31のF値は、広角端、中間、望遠端の順にそれぞれ1.6、1.7、1.9である。撮像レンズ系31の全画角は、広角端、中間、望遠端の順にそれぞれ71.0°、14.0°、6.9°である。
【0072】
図25は、撮像レンズ系31の広角端における縦収差図である。
図26は、撮像レンズ系31の望遠端における縦収差図である。撮像レンズ系31の広角端における入射瞳半径の値1.5640mmが
図25の上部に示されており、撮像レンズ系31の望遠端における入射瞳半径の値12.4986mmが
図26の上部に示されている。
【0073】
図27は、撮像レンズ系31の広角端における横収差図である。
図28は、撮像レンズ系31の望遠端における横収差図である。
【0074】
図29から
図36を用いて、撮像レンズ系31の可視光帯域及び赤外線帯域での結像性能について説明する。周波数−MTF曲線及びデフォーカス−MTF曲線は、実施の形態1と同様にして計算した。
【0075】
図29から
図36に示すように、実施の形態2に係る撮像レンズ系31では、広角端及び望遠端において、可視光線及び波長850nmの赤外線の双方における周波数60lp/mmのMTFが30%を超えている。そのため、撮像レンズ系31は、広角端及び望遠端において、可視光線及び赤外線の双方について良好な結像性能を有するといえる。実施の形態1に係る撮像レンズ系11では、望遠端における赤外線のMTFが低下していたのに対して、本実施の形態に係る撮像レンズ系31では、回折光学素子を2箇所(DE2,DE3)に配置することにより、望遠端における赤外線のMTFを良好に保つことができる。
【0076】
[比較例]
図37に示すように、比較例に係る撮像レンズ系51は、回折光学素子を有しない点において実施の形態1及び2とは異なる。比較例に係る撮像レンズ系51のレンズデータの一例を表5に示す。レンズデータとしては、各面の曲率半径、面間隔、屈折率、及びアッベ数を載せている。撮像レンズ系51における非球面係数は、表3に示した値と同じである。
【0078】
表5に記載された比較例に係る撮像レンズ系51の焦点距離は、広角端、中間、望遠端の順にそれぞれ5.0mm、24.0mm、48.4mmである。撮像レンズ系51のF値は、広角端、中間、望遠端の順にそれぞれ1.6、1.7、1.9である。撮像レンズ系51の全画角は、広角端、中間、望遠端の順にそれぞれ71.0°、14.0°、6.9°である。
【0079】
図38は、撮像レンズ系51の広角端における縦収差図である。
図39は、撮像レンズ系51の望遠端における縦収差図である。撮像レンズ系51の広角端における入射瞳半径の値1.5581mmが
図38の上部に示されており、撮像レンズ系51の望遠端における入射瞳半径の値12.4986mmが
図39の上部に示されている。
【0080】
図40は、撮像レンズ系51の広角端における横収差図である。
図41は、撮像レンズ系51の望遠端における横収差図である。
【0081】
図42から
図49を用いて、撮像レンズ系51の可視光帯域及び赤外線帯域での結像性能について説明する。周波数−MTF曲線及びデフォーカス−MTF曲線は、実施の形態1及び2と同様にして計算した。
【0082】
図42、
図43、
図46及び
図47に示すように、比較例に係る撮像レンズ系51では、広角端及び望遠端において、可視光線における周波数60lp/mmのMTFが30%を超えている。それに対して、
図44、
図45、
図48及び
図49に示すように、波長850nmの赤外線における周波数60lp/mmのMTFは、広角端及び望遠端の双方で低くなっている。そのため、比較例に係る撮像レンズ系51は可視光線について良好な結像性能を有するが、赤外線の結像性能は良好ではない。
【0083】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、撮像レンズ系はズームレンズに限定されるものではなく、固定焦点の撮像レンズ系としてもよい。