(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近時において、血液浄化装置としての透析装置では透析治療(特に、オンラインHDF又はオンラインHF)時においてダイアライザに供給するための透析液を用いてプライミング、返血及び補液(緊急補液)を行う技術や、当該透析液をオンラインHDFやオンラインHFの治療のための置換液として利用する技術が提案されるに至っている。例えば、特許文献1には、一端が透析液導入ラインの所定部位に形成された透析液取出ポート(採取口)に接続されるとともに、他端が血液回路(動脈側血液回路又は静脈側血液回路)に接続された補液ラインと、補液ラインに配設された補液ポンプとを具備した透析装置が開示されている。かかる透析装置により、プライミング、返血又は補液(緊急補液)を行うには、補液ポンプを駆動させることにより、透析液導入ラインの透析液を血液回路(動脈側血液回路又は静脈側血液回路)に供給するようになっている。
【0003】
通常、かかる透析液取出ポートに対してキャップ(開閉手段)が脱着自在とされており、当該キャップを取り外して補液ライン等を接続させるとともに、補液ライン等を接続しない場合は、キャップを取り付けて透析液導入ラインを流れる透析液が外部に漏れ出ないようになっている。例えば、透析液導入ラインや透析液排出ライン等の透析液が流通する配管を洗浄及び消毒するには、採取口にキャップを取り付けた状態として当該配管にて洗浄水や消毒水を流通させることにより、洗浄水や消毒液が外部に漏れ出てしまうのを防止している。
【0004】
しかるに、採取口にシリンジや接続ラインを挿入する際に、細菌が付着する虞があるため、清浄化を図るべく、アルコール等により医療従事者等の作業員が都度消毒作業を行っていた。また、採取口に脱着可能なキャップ(特に、採取口をシールするためのシール手段)においても、採取口と同様に、アルコール等により医療従事者等の作業員が都度消毒作業を行っており、消毒作業に手間がかかっていた。かかる事情により、従来より、細菌の繁殖を抑制するため、キャップが取り付けられた状態の採取口に透析液を常に流通させるものが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の透析液取出装置においては、キャップが取り付けられた状態の採取口に透析液を常に流通させることにより細菌の繁殖を抑制しているものの、採取口を殺菌し得るものではなく、殺菌効果を期待できないという不具合があった。しかして、作業者による殺菌作業を不要としつつ採取口の殺菌を行わせたいというニーズが高まりつつあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、作業者による殺菌作業を不要としつつ採取口を殺菌することができる透析液取出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、液体の流路に接続されて当該液体を流通させ得る導入口及び導出口が形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口が形成された透析液取出手段と、該透析液取出手段の採取口を覆った閉位置及び当該採取口を開放させた開位置の間で移動可能な開閉手段と
、前記採取口をシールするシール手段とを具備した透析液取出装置において、前記開閉手段に取り付けられ、当該開閉手段が閉位置にあるとき前記採取口
及びシール手段に向けて紫外線を照射し得る紫外線照射手段を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項
2記載の発明は、請求項
1記載の透析液取出装置において、前記シール手段は、前記採取口の周縁に形成されたシール部材と、該シール部材に当接して前記採取口をシールするとともに、当該シール部材から離間して前記採取口から液体を採取可能とされた駒部材とを有し、前記紫外線照射手段は、前記シール部材及び駒部材に紫外線を照射可能とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項
3記載の発明は、請求項
2記載の透析液取出装置において、前記駒部材は、前記紫外線照射手段から照射された紫外線を周囲に反射又は透過させ得ることを特徴とする。
【0012】
請求項
4記載の発明は、請求項
3記載の透析液取出装置において、前記駒部材は、前記紫外線照射手段から照射された紫外線の反射又は透過を任意調整可能な調整部が形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項
5記載の発明は、請求項1〜
4の何れか1つに記載の透析液取出装置において、前記紫外線照射手段は、通電により紫外線を照射可能な紫外線LEDから成ることを特徴とする。
【0014】
請求項
6記載の発明は、請求項
5記載の透析液取出装置において、前記紫外線LEDの紫外線発光部には、紫外線を拡散させつつ照射させ得るレンズが取り付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、開閉手段に取り付けられ、当該開閉手段が閉位置にあるとき採取口に向けて紫外線を照射し得る紫外線照射手段を具備したので、作業者による殺菌作業を不要としつつ採取口を殺菌することができる。
【0016】
また、採取口をシールするシール手段が配設されるとともに、紫外線照射手段は、当該シール手段に紫外線を照射可能とされたので、採取口に加え、その採取口に配設されたシール手段の殺菌を行うことができる。
【0017】
請求項
2の発明によれば、シール手段は、採取口の周縁に形成されたシール部材と、該シール部材に当接して採取口をシールするとともに、当該シール部材から離間して採取口から液体を採取可能とされた駒部材とを有し、紫外線照射手段は、シール部材及び駒部材に紫外線を照射可能とされたので、採取口に加え、その採取口に配設されたシール部材及び駒部材の殺菌を行うことができる。
【0018】
請求項
3の発明によれば、駒部材は、紫外線照射手段から照射された紫外線を周囲に反射又は透過させ得るので、駒部材の周囲に位置する所望部位に紫外線を照射させることができる。
【0019】
請求項
4の発明によれば、駒部材は、紫外線照射手段から照射された紫外線の反射又は透過を任意調整可能な調整部が形成されたので、駒部材の周囲に位置する所望部位に紫外線をより確実に照射させることができる。
【0020】
請求項
5の発明によれば、紫外線照射手段は、通電により紫外線を照射可能な紫外線LEDから成るので、小型化が可能とされ、開閉手段に容易に取り付けることができるとともに、メンテナンスも容易である。
【0021】
請求項
6の発明によれば、紫外線LEDの紫外線発光部には、紫外線を拡散させつつ照射させ得るレンズが取り付けられたので、紫外線LEDからの紫外線をより適切な範囲で照射させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、透析用原液(A剤及びB剤)を混合して所定濃度の透析液を作製し、その透析液を透析装置に供給するための透析液供給装置に配設され、B原液及び作製された透析液をそれぞれ採取可能とされたものである。適用される透析液供給装置は、
図1に示すように、水が流動するとともにその水量を計測する水計量手段aが配設された水供給ラインLwと、注入ポンプP1が接続されるとともにA剤を溶解して得られた透析用原液(A原液)を流動させる原液ラインLaと、注入ポンプP2が接続されるとともにB剤を溶解して得られた透析用原液(B原液)を流動させる原液ラインLbと、水供給ラインLwの水と原液ラインLbのB原液とを混合させ得るミキシングチャンバC1と、ミキシングチャンバC1で水と混合されたB原液と原液ラインLaのA原液とを混合させ得るミキシングチャンバC2と、貯槽Dと、送液ポンプP3とを主に有して構成されている。
【0024】
しかして、ミキシングチャンバC1、C2を経て所定濃度に作製された透析液は、貯槽Dに収容されるとともに、送液弁V1を開状態としつつ送液ポンプP3を駆動させることにより、治療室における透析装置に貯槽D内の透析液を送液可能とされている。また、排液弁V2を開状態とすることにより、貯槽D内の透析液を排液として外部に排出可能とされている。なお、図中符号bは流通する液体の濃度を検出するための電導度セルを示している。
【0025】
本実施形態に係る透析液取出装置Aは、ミキシングチャンバC1にて水と混合されたB原液の流路と、貯槽D内の透析液が流通する流路との両方に取り付けられ、それぞれで流通する液体を採取可能とされたもので、
図2、3に示すように、液体(本実施形態においてはB原液及び所定濃度に調製された透析液)の流路に接続されて当該液体を流通させ得る導入口1a及び導出口1bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口1cが形成された透析液取出手段1と、透析液取出手段1の採取口1cを覆った閉位置(
図3参照)及び当該採取口1cを開放させた開位置(
図2参照)の間で移動可能な開閉手段6とを具備して構成されている。
【0026】
また、本実施形態に係る透析液取出装置Aは、透析液取出手段1が取り付けられた基台Mと、該基台Mに摺動自在とされつつ開閉手段6が取り付けられたスライド部材Lとを有して構成されており、スライド部材Lをスライドさせることにより、開閉
手段6が透析液取出手段1の採取口1cを覆った閉位置(
図3の位置)と、採取口1cを開放させた開位置(
図2)との間で摺動し得るようになっている。スライド部材Lには、一対の切り欠きLsが形成されているとともに、基台Mには、開閉
手段6が閉位置のとき当該切り欠きLsと合致して嵌合し得るストッパMaが形成されている。これにより、ストッパMaに切り欠きLsが嵌合されるまでスライド部材Lを摺動させることにより、開閉
手段6が採取口1cを覆うようになっている。なお、本実施形態においては、ストッパMaに切り欠きLsが嵌合されるまでスライド部材Lが摺動して開閉
手段6が閉位置とされたことを検知するセンサsが取り付けられている。
【0027】
さらに、本実施形態に係る透析液取出手段1には、
図4、5に示すように、採取口1cをシールするシール手段Nが配設されている。このシール手段Nは、採取口1cの周縁に形成されたシール部材2と、シール部材2に当接して採取口1cをシールするとともに、当該シール部材2から離間して採取口1cから液体を採取可能とされた駒部材3と、駒部材3をシール部材2に当接させる方向に付勢するバネ4と、バネ4が取り付けられるとともに駒部材3をシール部材2と当接した位置から離間した位置まで摺動させ得る支持部材5とを具備している。
【0028】
シール部材2は、採取口1cと連続して形成されて透析液取出手段1内を流通する液体を外部に導き得る孔の縁部に固定された円環状部材から成り、例えば樹脂やゴム材等にて構成されている。そして、シール部材2の裏面側(
図4、5における下側)に駒部材3の上面(当接面)が当接することにより、採取口1cが閉止されてシールされるようになっている。かかる駒部材3の上面には、
図7に示すように、十字に形成された溝3aが形成されており、
図5(b)〜同図(c)に示すように、シリンジSの先端にて駒部材3が押圧された際、透析液取出手段1内の液体が溝3aを介して採取し得るようになっている。
【0029】
しかして、バネ4の付勢力で駒部材3がシール部材2に押圧されてシールされた状態(
図5(a))において、採取口1cから外部に臨んだ駒部材3の上面にシリンジSの先端を当接させ(同図(b))、当該シリンジSを採取口1cに押し込むことにより、駒部材3がバネ4の付勢力に抗して支持部材5で案内されつつ摺動する(同図(c))。これにより、シール部材2から駒部材3が離間して採取口1cのシールが解かれるので、シリンジSによって透析液取出手段1内の液体を採取することができる。
【0030】
ここで、本実施形態に係る透析液取出装置Aは、
図4、6に示すように、開閉手段6が取り付けられ、当該開閉手段6が閉位置にあるとき採取口1cに向けて紫外線を照射し得る紫外線照射手段7を具備している。かかる紫外線照射手段7は、通電により紫外線を照射可能な紫外線LEDから成り、当該紫外線LEDの紫外線発光部には、紫外線を拡散させつつ照射させ得るレンズ8が取り付けられている。また、紫外線照射手段7は、ガラス等の材質から成るカバー部材Gにて覆われており、防水及び防滴が図られるようになっている。なお、図中符号9は、紫外線LEDが取り付けられた基板を示している。
【0031】
そして、紫外線照射手段7に電圧を付与して紫外線を照射させると、その紫外線がレンズ8を介して採取口1c及びシール手段N(シール部材2及び駒部材3等)に至り、紫外線にて殺菌することができる。紫外線照射手段7による紫外線の照射は、開閉手段6が閉位置にあるとき連続的或いは断続的に行うよう構成するのが好ましいが、開閉手段6が閉位置とされてから所定時間だけ行うようにしてもよい。また、スライド部材Lが摺動して開閉
手段6が閉位置とされたことをセンサが検知したことを条件として、紫外線照射手段7による紫外線の照射を開始するのが好ましい。
【0032】
本実施形態によれば、開閉手段6に取り付けられ、当該開閉手段6が閉位置にあるとき採取口1cに向けて紫外線を照射し得る紫外線照射手段7を具備したので、作業者による殺菌作業を不要としつつ採取口1cを殺菌することができる。また、採取口1cをシールするシール手段Nが配設されるとともに、紫外線照射手段7は、当該シール手段Nに紫外線を照射可能とされたので、採取口1cに加え、その採取口1cに配設されたシール手段Nの殺菌を行うことができる。
【0033】
さらに、本実施形態に係るシール手段Nは、採取口1cの周縁に形成されたシール部材2と、該シール部材2に当接して採取口1cをシールするとともに、当該シール部材2から離間して採取口1cから液体を採取可能とされた駒部材3とを有し、紫外線照射手段7は、シール部材2及び駒部材3に紫外線を照射可能とされたので、採取口1cに加え、その採取口1cに配設されたシール部材2及び駒部材3の殺菌を行うことができる。
【0034】
また、駒部材3は、紫外線照射手段7から照射された紫外線を周囲に反射又は透過させ得るものとするのが好ましい。例えば、駒部材3を石英ガラス等の透明材料から成るものとすれば、紫外線を透過(透過の際に屈折させるものを含む)させることができるとともに、駒部材3を例えば金属等の表面が鏡面とされた紫外線を反射し得る材料から成るものとすれば、紫外線を反射(乱反射させるものを含む)させることができる。これにより、駒部材3の周囲に位置する所望部位(例えば、シール部材2の裏面側や支持部材5における駒部材3の摺動部等)に紫外線を照射させることができる。
【0035】
またさらに、
図8に示すように、上面に円弧状の凸部3’bが形成され、当該凸部3’bに十字の溝3’aが形成された駒部材3’を用いるようにしてもよい。かかる凸部3’bは、紫外線照射手段7から照射された紫外線の反射又は透過を任意調整可能な調整部を構成するもので、表面の弧状によって、例えば紫外線の反射角度を任意に調整し、或いは透過する紫外線を所定角度に屈折させることができる。これにより、駒部材3’の周囲に位置する所望部位(例えば、シール部材2の裏面側や支持部材5における駒部材3の摺動部等)に紫外線をより確実に照射させることができる。
【0036】
特に、本実施形態に係る紫外線照射手段7は、通電により紫外線を照射可能な紫外線LEDから成るので、小型化が可能とされ、開閉手段6に容易に取り付けることができるとともに、紫外線ランプ等に比べて、メンテナンスも容易である。さらに、紫外線LEDの紫外線発光部には、紫外線を拡散させつつ照射させ得るレンズ8が取り付けられたので、紫外線LEDからの紫外線をより適切な範囲で照射させることができる。
【0037】
次に、本発明に係る他の実施形態について説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、血液浄化治療(血液透析治療)で使用される血液浄化装置に配設され、透析液を採取可能とされたものである。適用される血液浄化装置は、
図9に示すように、血液回路(不図示)に接続されるダイアライザ10(血液浄化器)と、ダイアライザ10に透析液を導入可能な透析液導入ラインL1と、ダイアライザ10からの排液を排出可能な透析液排出ラインL2と、複式ポンプ11と、除水ポンプ12とを有して構成されている。同図中符号fは、透析液導入ラインL1に接続された濾過フィルタを示している。
【0038】
ダイアライザ10は、血液回路にて体外循環する血液を浄化するためのもので、血液回路の基端が接続される接続ポート10a、10bと、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2がそれぞれ接続される接続ポート10c、10dとを有している。複式ポンプ11は、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を跨って配設され、透析液導入ラインL1を介してダイアライザ10に透析液を供給しつつ透析液排出ラインL2を介してダイアライザ10からの排液を排出させるものである。なお、透析液排出ラインL2には、複式ポンプ11をバイパスさせるバイパスラインが接続されており、そのバイパスラインに除水ポンプ12が接続されている。
【0039】
ここで、透析液導入ラインL1には、本発明の他の実施形態に係る透析液取出装置Bが接続されている。本実施形態に係る透析液取出装置Bは、
図10、11に示すように、透析液導入ラインL1(液体の流路)に接続されて当該液体(透析液)を流通させ得る導入口13a及び導出口13bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口13cが形成された透析液取出手段13と、開閉手段14と、シール部材15とを具備したものである。
【0040】
より具体的には、透析液取出手段Bは、その導入口13a及び導出口13bのそれぞれに透析液導入ラインL1が接続され、内部に透析液を流通可能とされたもので、その流路(導入口13aから導出口13bに向かって透析液が流れる流路)は、略90度折れ曲がってL字状に延設されているとともに、採取口13cは、導入口13aに対して略同一直線上に位置するよう形成されている。さらに、採取口13cは、開閉手段14を取り外した状態でシリンジや接続ライン(何れも不図示)等が接続されるもので、その周囲に壁部13dが形成されている。
【0041】
開閉手段14は、透析液取出手段13の採取口13cを覆った閉位置(
図11参照)及び当該採取口13cを開放させた開位置(
図10参照)の間で移動可能とされたもので、シール部材15と、紫外線照射手段16を有している。シール部材15は、
図11に示すように、開閉手段14が閉位置にあるとき、壁部13dの外周面を覆って採取口13cの周囲(壁部13dの内側)をシール可能とされたものである。
【0042】
本実施形態においては、開閉手段14が閉位置にあるとき、導入口13aから導入されて採取口13cから吐出した液体は、壁部13dの内側にてシールされた空間に至り、流路gを介して導出口13bから導出されるようになっている。これにより、開閉手段14が閉位置にあるときであっても、採取口13cにて透析液を常に流動させることができ、細菌の繁殖を抑制することができる。
【0043】
本実施形態に係る開閉手段14は、軸部材20を中心として回動することによって、開位置(
図10)と閉位置(
図11)との間を移動可能とされている。なお、開閉手段14には、ロック部材Rが形成されており、開位置にあるとき、当該ロック部材Rが被ロック部材Taに係止して開位置にてロックし得る(
図10参照)とともに、閉位置にあるとき、当該ロック部材Rが被ロック部材Tbに係止して閉位置にてロックし得る(
図11参照)ようになっている。
【0044】
本実施形態に係る紫外線照射手段16は、開閉手段14に取り付けられ、当該開閉手段14が閉位置にあるとき採取口13cに向けて紫外線を照射し得るもので、先の実施形態と同様、通電により紫外線を照射可能な紫外線LEDから成り、当該紫外線LEDの紫外線発光部には、紫外線を拡散させつつ照射させ得るレンズ17が取り付けられている。なお、図中符号18は、紫外線LEDが取り付けられた基板を示している。
【0045】
そして、紫外線照射手段16に電圧を付与して紫外線を照射させると、その紫外線がレンズ17を介して採取口13c及び壁部13dの内側に至り、紫外線にて殺菌することができる。紫外線照射手段16による紫外線の照射は、開閉手段14が閉位置にあるとき連続的或いは断続的に行うよう構成するのが好ましいが、開閉手段14が閉位置とされてから所定時間だけ行うようにしてもよい。
【0046】
さらに、開閉手段14が開位置にあるとき、紫外線照射手段16と対向する位置には、対向部材19が固定されている。かかる対向部材19は、少なくとも紫外線照射手段16と対向する面19aが鏡面加工されており、開閉手段14が開位置にあるとき、紫外線照射手段16から紫外線を照射させると、面19aにて反射し、開閉手段14及びシール部材15に照射可能とされている。これにより、開閉手段14が閉位置にあるときに加え、開位置にあるときも、紫外線照射による殺菌を行うことができる。
【0047】
次に、本実施形態に係る紫外線照射手段による殺菌効果について以下に説明する。
図6で示す先の実施形態における透析液取出手段1の採取口1cに枯草菌を含んだ液体を垂らした後、同図で示す開閉手段6を閉状態とし、紫外線照射手段7から紫外線を照射(1秒照射した後、10秒照射停止する動作を繰り返し)する実験を行い、横軸に紫外線照射経過時間(H)、縦軸に菌発数(個)とした表を作成したところ、
図14に示すような結果となった。これにより、本実施形態の如く紫外線照射による殺菌効果が高いことが分かった。なお、縦軸においては、枯草菌が付着した採取口1cを綿棒にて拭い、培地に入れて培養したときの菌発数を示している。
【0048】
本実施形態によれば、開閉手段14に取り付けられ、当該開閉手段14が閉位置にあるとき採取口13cに向けて紫外線を照射し得る紫外線照射手段16を具備したので、作業者による殺菌作業を不要としつつ採取口を殺菌することができる。特に、紫外線照射手段16は、通電により紫外線を照射可能な紫外線LEDから成るので、小型化が可能とされ、開閉手段に容易に取り付けることができるとともに、メンテナンスも容易である。さらに、紫外線LEDの紫外線発光部には、紫外線を拡散させつつ照射させ得るレンズ17が取り付けられたので、紫外線LEDからの紫外線をより適切な範囲で照射させることができる。
【0049】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、例えば
図12、13に示すように、液体を導入する導入口21a及び液体を導出する導出口21bを有するとともに、採取口21cを有し、当該採取口21cをシールするシール手段22を具備した透析液取出手段21であって、シール手段22がシリコンブロックやゴム材等から成るものとしてもよい。この場合であっても、
図13に示すように、開閉手段6が閉位置にあるとき、開閉手段6に配設された紫外線照射手段7からシール手段22に向けて紫外線を照射し、殺菌するものとされている。
【0050】
また、本実施形態に係る紫外線照射手段は、紫外線LEDから成るものとされているが、紫外線を照射し得る他の手段(紫外線ランプ等)であってもよく、レンズ8、17等を具備しないものであってもよい。さらに、透析液取出手段の形状や取り付けられる部位、開閉手段の形態等、他のものであってもよい。