特許第6563318号(P6563318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6563318-衣料用液体洗浄剤組成物 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563318
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】衣料用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/835 20060101AFI20190808BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20190808BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20190808BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20190808BHJP
   C11D 1/86 20060101ALI20190808BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   C11D1/835
   C11D1/14
   C11D1/62
   C11D1/72
   C11D1/86
   C11D17/08
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-229822(P2015-229822)
(22)【出願日】2015年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-95610(P2017-95610A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】半田 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】岩本 芳浩
(72)【発明者】
【氏名】牧 昌孝
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−088352(JP,A)
【文献】 特開2011−073981(JP,A)
【文献】 特開2002−060788(JP,A)
【文献】 特開2002−060787(JP,A)
【文献】 特開2009−108184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成分10質量%以上70質量%以下、(b)成分0.1質量%以上5質量%以下、(c)成分0質量%超12質量%以下、及び水を含有し、(c)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比である、(c)成分の含有量/(b)成分の含有量が0.3以上10以下である、衣料用液体洗浄剤組成物。
(a)成分:ノニオン界面活性剤を含む界面活性剤(但し、(b)成分及び(c)成分を除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表される化合物
【化1】

〔式中、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に、炭素数8以上10以下の鎖式炭化水素基であり、Rb3及びRb4は、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、Xは炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、又はハロゲンイオンである。〕
(c)成分:下記一般式(c1)で表される化合物
c1−O−(CO)−H (c1)
〔式中、Rc1は炭素数12の直鎖アルキル基であり、xは2以上5以下の整数である。〕
【請求項2】
(a)成分のノニオン界面活性剤以外の界面活性剤が、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基を有するスルホン酸塩、及び炭素数10以上18以下の脂肪族炭化水素基を有する硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である、請求項1に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記ノニオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤である請求項1又は2に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
(a)成分中のノニオン界面活性剤の割合が、10質量%以上100質量%以下である、請求項1〜3の何れかに記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料用液体洗浄剤組成物は、衣料に付着した汚れを洗浄する作用を有する。近年、カチオン界面活性剤を含有する衣料用液体洗浄剤組成物を用いて、衣料を洗浄し脱水した後、衣料が乾燥するまでに衣料から発生する生乾き臭を抑制することが望まれている。更には、乾燥後の衣料を着用中に衣料から発生する臭いを抑制することが望まれている。
特許文献1には、非イオン界面活性剤、炭素数12〜18の鎖式炭化水素基を一つ有する陽イオン界面活性剤、炭素数12の直鎖の第1級アルキル基とエチレンオキシ基を2〜5個有する非イオン性化合物、過酸化水素及び水を含有る液体洗浄剤組成物が開示されている。特許文献1で開示される衣料用液体洗浄剤組成物は、衣料から発生する生乾き臭の生成を抑制することが記載されている。
特許文献2には、カチオン系抗菌剤、陰イオン界面活性剤並びに両性界面活性剤及びアミンオキシド系界面活性剤等の特定の界面活性剤を含有する液体洗浄剤組成物が開示されている。特許文献2はカチオン性化合物による汚れの再付着を抑制する技術が開示されている。
特許文献3には、2種のカチオン性化合物、非イオン界面活性剤、及び水を含有、抗菌性に優れる液体洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献4には、炭素数10の炭化水素基及び炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を平均で2〜4の数有する化合物と4級アンモニウム化合物を併用することで、アニオン界面活性剤を併用しても、殺菌効果が低下せず、液安定性が良好であり、かつ殺菌効果をより高められる繊維製品用の液体洗浄剤の液体洗浄剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−233144号公報
【特許文献2】特開2001−152200号公報
【特許文献3】特開2002−348593号公報
【特許文献4】特開2014−28942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ドラム型洗濯機が普及している。使用者は、ドラム型洗濯機での洗浄工程の直後に、ドラム型洗濯機の前面の窓から、洗濯機内部の泡の状態を見ることができる。窓から見える洗濯機内の泡が少ない方が、次のすすぎが充分に行われると使用者は感じることから好ましい。
また、衣料には種々の菌が付着していることが知られている。衣料上の菌が増殖することで、衣料から臭いが発生することも知られている。従来、衣料上の菌を抑制する為には衣料に抗菌性を付与することに着目されてきた。本発明者らは、衣料に抗菌性を付与する観点とは異なり、洗浄時の洗浄液中に存在する種々の菌を幅広く殺菌することが、衣料からの臭いの発生を抑制する点で効果的となるのではないかと考えた。
本発明は、洗浄液中に存在する種々の菌の殺菌性に優れ、洗浄時の泡立ちが少ない衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)成分10質量%以上70質量%以下、(b)成分0.1質量%以上5質量量%以下、(c)成分0質量%超12質量%以下、及び水を含有し、(c)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比である、(c)成分の含有量/(b)成分の含有量が0.3以上10以下である、衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
(a)成分:ノニオン界面活性剤を含む界面活性剤(但し、(b)成分及び(c)成分を除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表される化合物
【化1】

〔式中、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に、炭素数8以上10以下の鎖式炭化水素基であり、Rb3及びRb4は、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、Xは炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、又はハロゲンイオンである。〕
(c)成分:下記一般式(c1)で表される化合物
c1−O−(CO)−H (c1)
〔式中、Rc1は炭素数12の直鎖アルキル基であり、xは2以上5以下の整数である。〕
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、洗浄液中に存在する種々の菌の殺菌性に優れ、洗浄時の泡立ちが少ない衣料用液体洗浄剤組成物が提供される。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の殺菌性の主たる効果は、「洗浄液中に存在する特定の菌に対する殺菌性が向上する効果」のみならず、「洗浄液中に存在する殺菌可能な菌の種類が増える効果」である。すなわち、本発明の(a)成分、(b)成分及び(c)成分の組み合わせや量の規定により、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は広い殺菌スペクトルを有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例の泡立ち抑制性の評価点の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<(a)成分>
(a)成分は、ノニオン界面活性剤を含む界面活性剤(但し、(b)成分及び(c)成分を除く)である。
【0009】
ノニオン界面活性剤は、ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤が好ましい。
ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤の好ましい例として、下記一般式(a1)で表されるノニオン界面活性剤が挙げられる。
a1(CO)O−(AO)−R (a1)
〔式中、Ra1は炭素数9以上16以下の脂肪族炭化水素基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、mは0又は1の数であり、AO基はエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基であり、nは平均付加モル数であって、2以上30以下の数である。〕
【0010】
一般式(a1)中、Ra1は炭素数9以上16以下の脂肪族炭化水素基である。衣料の防臭効果をより高める点で、Ra1は、炭素数11以上14以下の脂肪族炭化水素基が好ましい。Ra1の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基が挙げられ、アルキル基が好ましい。Ra1は、直鎖の基であることが好ましい。Ra1のCO又はOと結合する炭素原子は、第1級炭素原子であることが好ましい。
【0011】
衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点で、Ra1の全量中、炭素数11以上14以下の脂肪族炭化水素基の割合は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、そして、100質量%以下が好ましく、100質量%であってもよい。
【0012】
一般式(1)中、mは0又は1の数であり、洗浄時の泡立ちを更に抑制できる点で、mは1の数が好ましい。
【0013】
一般式(a1)中、AO基は、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である。衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点で、AO基はエチレンオキシ基を含む基であることが好ましい。また、衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点と、洗浄時の泡立ちを更に抑制できる観点で、AO基はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を含む基であることが好ましい。AO基がエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を含む基である場合の、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の結合様式は、ランダムでも良く、ブロックでも良く、又はランダムとブロックの混合で合っても良い。
【0014】
一般式(a1)中、nは平均付加モル数であって、2以上30以下の数である。衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点で、nは、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、そして28以下が好ましく、26以下がより好ましく、24以下が更に好ましい。
【0015】
(a)成分のうち、ノニオン界面活性剤以外の界面活性剤は、アニオン界面活性剤が好ましい。アニオン界面活性剤の好ましい例として、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基を有するスルホン酸塩、及び炭素数10以上18以下の脂肪族炭化水素基を有する硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
【0016】
炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基を有するスルホン酸塩の好ましい具体例としては、炭素数8以上18以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。炭素数8以上18以下のアルキル基とは、アルキルベンゼンスルホン酸塩のベンゼン環に置換するアルキル基を意味し、ベンゼン骨格は含まない。衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点で、アルキル基の炭素数は10以上が好ましく、11以上がより好ましく、そして16以下が好ましい。
【0017】
炭素数10以上18以下の脂肪族炭化水素基を有する硫酸エステル塩の好ましい例としては、下記一般式(a2)で表される硫酸エステル塩から選ばれる1種以上の硫酸エステル塩が挙げられる。
O−(AO)−SOM (a2)
〔式中、Rは炭素数10以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、AO基はエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基であり、lは平均付加モル数であって、0以上5以下の数である。Mは対イオンである。〕
【0018】
一般式(a2)中、Rは、衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点で、炭素数12以上の脂肪族炭化水素基が好ましく、そして炭素数16以下の脂肪族炭化水素基が好ましい。衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点で、R中の炭素数12以上、16以下の脂肪族炭化水素基の含有割合は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がより好ましい。すなわち、(a2)中、Rが炭素数12以上16以下の脂肪族炭化水素基であるアニオン界面活性剤の割合は、衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点で、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がより好ましい。
の脂肪族炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
【0019】
一般式(a2)中、AO基は、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基である。AO基は、全てエチレンオキシ基であっても良く、また全てプロピレンオキシ基であっても良い。また、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を含んでいても良い。エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を含む場合は、ランダムに含んでいても良く、ブロックであっても良い。衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点で、AO基はエチレンオキシ基を含むことが好ましい。
【0020】
一般式(a2)中、lは、平均付加モル数であり、0以上5以下の数である。平均付加モル数が「0」である硫酸エステル塩の意味は、一般式(a2)中にAO基が含まれない硫酸エステル塩を表す。衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点で、lは0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、1.3以上がより好ましく、1.5以上がより好ましく、2以上がより好ましい。衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の観点で、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。
【0021】
例えば前記一般式(a2)において、lが0を超え5以下の硫酸エステル塩中には、lが0である硫酸エステル塩を含む場合がある。また、lが0である硫酸エステル塩とlが0を超え5以下の硫酸エステル塩の2種類の硫酸エステル塩を配合し、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物中に含有させる場合もある。本発明において、前記一般式(a2)中のlは、本発明の組成物中に含まれる全ての一般式(a2)で表される硫酸エステル塩を合計して算出される値で表すものとする。
【0022】
一般式(a2)中、Mで表される対イオンとしては、アルカリ金属イオン、及び炭素数1以上、6以下のアルカノールアンモニウムイオンから選ばれる対イオンが挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオンが挙げられる。炭素数1以上、6以下のアルカノールアンモニウムイオンとしては、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、N−メチルエタノールアンモニウムイオン、N−メチルジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオンが挙げられる。
【0023】
洗浄液中に存在する菌の殺菌性をより高める点で、(a)成分中のノニオン界面活性剤の割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更により好ましくは40質量%以上、更により好ましくは50質量%以上、更により好ましくは60質量%以上、更により好ましくは70質量%以上、更により好ましくは80質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、100質量%であってもよい。また、衣料に付着した汚れの洗浄性の向上の点で、(a)成分中のノニオン界面活性剤の割合は、100質量%未満であってもよく、95質量%未満であってもよい。
【0024】
<(b)成分>
(b)成分は、前記一般式(b1)で表される化合物である。
一般式(b1)中、Rb1、Rb2は、洗浄液中に存在する菌の殺菌性をより高める点で、それぞれ、炭素数9以上が好ましく、10がより好ましい。Rb1、Rb2の具体例は、それぞれ独立に、オクチル基、ノニル基、デシル基であり、洗浄液中に存在する菌の殺菌性をより高める点で、ノニル基、デシル基が好ましく、デシル基が更に好ましい。Rb3、Rb4は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基である。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基の具体例は、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。XはCHSO、CHCHSO、又はハロゲンイオンである。
【0025】
(b)成分のより具体的な化合物は、N,N−ジオクチル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、N,N−ジノニル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、N,N−ジデシル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、N,N−ジオクチル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩、N,N−ジノニル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩、及びN,N−ジデシル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。これらの塩となる対イオンは、CHSO、CHCHSO、又はクロルイオン等のハロゲンイオンである。
【0026】
洗浄液中に存在する菌の殺菌性をより高める点で、(b)成分は、N,N−ジデシル−N,N−ジメチルアンモニウム塩、及びN,N−ジデシル−N−エチル−N−メチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。これらの塩となる対イオンは、CHSO、CHCHSO、又はクロルイオン等のハロゲンイオンである。
【0027】
<(c)成分>
(c)成分は、前記一般式(c1)で表される化合物である。
一般式(c1)中のRc1は、炭素数12の直鎖アルキルである。また、Rc1−O−の酸素原子に結合するRc1の炭素原子が第1級炭素原子である。
(c)成分の非イオン性化合物は、(b)成分と併用することで、洗浄液中に存在する種々の菌の殺菌性を向上させる。
また(c)成分は、CO基(以下、EO基ともいう)が3、4及び5モルの化合物が、浄液中に存在する種々の菌の殺菌性を向上させる効果に優れることから、一般式(c1)中のxは3、4又は5が好ましい。更に、(c)成分中、一般式(c1)中のxが3、4又は5である化合物の合計が70〜100質量%、更には80〜100質量%を占めることが好ましい。
【0028】
(c)成分は、ポリエチレンオキシ基の付加モル数が単一の化合物を合成して本発明の組成物に配合してもよく、或いはエチレンオキシ基の付加モル数が異なるポリオキシエチレンアルキルエーテルの混合物として製造、入手できるノニオン界面活性剤中の成分として配合することができる。製造上の経済的な観点から、(c)成分は、例えばポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤、更に前記一般式(a1)で表されるノニオン界面活性剤〔以下、(a1)成分という〕由来の成分あってもよい。(a1)成分由来の場合は、一般式(a1)中のRa1は、炭素数12の直鎖のアルキル基であって、Ra1−O−の酸素原子と結合するRa1の炭素原子が第1炭素原子である。(a1)成分の場合、例えばアルカリ触媒又は酸触媒下でラウリルアルコールにエチレンオキシドを平均で2モル以上8モル未満付加させることによって得られたノニオン界面活性剤を(c)成分を含むノニオン界面活性剤として含有することが好ましい。この場合、(a1)成分はエチレンオキシ基の付加モル数が分布を有するポリオキシエチレンラウリルエーテルの混合物として製造され、(c)成分は該混合物中に含まれる。(a1)成分中の(c)成分に相当する化合物の含有量を確認しておき、(a)成分や(c)成分の組成物中の含有量等を調整して配合する必要がある。
【0029】
また、(c)成分を(a)成分中の成分として配合する場合、反応に用いるエチレンオキシドの付加モル数が少ないことから、通常、未反応アルコールを含む混合物として入手される。未反応アルコールが、臭いの問題や組成物の保存安定性に影響する場合は、蒸留などにより低減化したものを用いてもよい。
【0030】
本発明では、未反応アルコール及びEO基が1モルの化合物、例えば炭素数8以上22以下の炭化水素基を有する脂肪族アルコール及び該アルコールにEO基が1モル付加した化合物の割合は、(a)成分のノニオン界面活性剤中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更により好ましい。但し、蒸留工程にかかるエネルギーや環境に配慮した上で、下限値が検討される。
【0031】
<水>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、水を含有する。水は、イオン交換水、蒸留水、水道水、次亜塩素酸塩ナトリウムを1mg/kg以上5mg/kg以下含有する水などを使用することができる。
【0032】
<衣料用液体洗浄剤組成物の組成、任意成分等>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分を10質量%以上、好ましくは12質量%以上、より好ましくは14質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、そして、70質量%以下、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下含有する。
尚、本明細書においてアニオン界面活性剤の質量は対イオンをNaに換算した値とする。
【0033】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b)成分を0.1質量%以上、殺菌性をより向上できる点で、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更により好ましくは1.5質量%以上、更により好ましくは2質量%以上、更により好ましくは2.5質量%以上、そして、5質量量%以下、洗浄時の泡立ちが更に低い点で、好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4質量%以下含有する。
【0034】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(c)成分を0質量%超、すなわち0質量%を超える量で含有し、殺菌性をより向上できる点で、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更により好ましくは1.5質量%以上、更により好ましくは2質量%以上、更により好ましくは2.5質量%以上、更により好ましくは3質量%以上、更により好ましくは3.5質量%以上、そして、洗浄時の泡立ちが更に低い点で、12質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下含有する。
【0035】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(c)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比である、(c)成分の含有量/(b)成分の含有量が0.3以上10以下である。
(c)成分の含有量/(b)成分の含有量の質量比は、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.6以上、更により好ましくは0.8以上、更により好ましくは1以上、更により好ましくは1.2以上、更により好ましくは1.5以上、更により好ましくは2以上、そして10以下、好ましくは9以下、より好ましくは8以下、更により好ましくは7以下、更により好ましくは6以下、更により好ましくは5.9以下である。
複数の菌に対する殺菌性をより高める点で、(c)成分の含有量/(b)成分の含有量の質量比は、好ましくは0.4以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは1.5以上、更により好ましくは2以上、そして10以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。
また、洗浄時の泡立ちをより抑制できる点で、(c)成分の含有量/(b)成分の含有量の質量比は、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.8以上、更により好ましくは1.2以上、そして、好ましくは9以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは7以下、更により好ましくは6以下、更により好ましくは5.9以下である。
【0036】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、任意成分として、下記の(1)〜(11)の成分を含有することが出来る。
(1)アルカリ剤
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗浄力の向上の点からアルカリ剤を含有することが好ましい。アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などの無機アルカリ剤、窒素原子に結合する基のうち、1つ以上、3つ以下が炭素数2以上、4以下のアルカノール基であり、残りが炭素数1以上、4以下のアルキル基又は水素原子であるアルカノールアミンを挙げることができる。このうちアルカノール基はヒドロキシアルキル基、更にヒドロキシエチル基であるものが好ましい。アルカノール基以外は水素原子、又はメチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。アルカノールアミンとしては、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類が挙げられる。本発明では、(1)成分として、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選ばれるアルカノールアミンが好ましく、モノエタノールアミンがより好ましい。
また、上記(1)成分であるアルカリ剤は、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物のpHを所定の値に調整する為にも用いることが出来る。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物では、(1)成分を、後出するpHになるような量を配合しても良い。具体的には、組成物中、0.01質量%以上、更に0.5質量%以上、そして、10質量%以下、更に8質量%以下、含有しても良い。なお、本発明では、(1)成分のアルカリ剤、中でもアルカノールアミンの配合量には、アニオン界面活性剤の対イオンなど、他の成分に由来して組成物中に配合される分も算入するものとする。
【0037】
(2)キレート剤
キレート剤の具体例として、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸又はこれらの塩、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、これらのアルカリ金属又は低級アミン塩等が挙げられる。(2)成分のキレート剤の含有量は、酸型とみなした場合に、組成物中、0.1質量%以上、5質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上、4質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上、3質量%以下である。
【0038】
(3)再汚染防止剤及び/又は分散剤
再汚染防止剤及び/又は分散剤としては、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。再汚染防止剤及び/又は分散剤の含有量は、組成物中、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0039】
(4)漂白剤
漂白剤としては、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過硼酸ナトリウム等が挙げられる。漂白剤の含有量は、組成物中、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0040】
(5)漂白活性化剤
漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6−316700号の一般式(I−2)〜(I−7)で表される漂白活性化剤等が挙げられる。漂白活性化剤の含有量は、組成物中、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0041】
(6)酵素
酵素としては、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ及びリパーゼから選ばれる1種以上の酵素が挙げられる。酵素の含有量は、組成物中、0.001質量%以上2質量%以下が好ましい。(6)成分としては、より速い洗浄速度が得られる点で、アミラーゼを含む酵素が好ましい。皮脂汚れが付着した衣料上に、ミートソースなどの食べこぼ汚れが付着した汚れに対して、より高い洗浄性が得られる点で、アミラーゼ及びプロテアーゼを含む酵素であることが好ましい。
【0042】
(7)蛍光染料
蛍光染料としては、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料が挙げられる。蛍光染料の含有量は、組成物中、0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。
【0043】
(8)酸化防止剤
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、組成物中、0.01質量%以上、2質量%以下が好ましい。
【0044】
(9)色素、香料、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤を適量。
【0045】
(10)水酸基を有する有機溶剤
水酸基を有する有機溶剤としては、以下の(10-1)成分〜(10-6)成分から選ばれる1種以上の化合物が用いられる。
(10-1)成分:炭素数2以上6以下の脂肪族炭化水素基を有する1価のアルコール
(10-1)成分として、例えばエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及び1−ブタノールから選ばれる1価のアルコールが挙げられる。
【0046】
(10-2)成分:炭素数2以上6以下の2価以上6価以下のアルコール
(10-2)成分として、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びグリセリンから選ばれる2価又は3価のアルコールが挙げられる。2−メチル−2,4−ペンタンジオールは、ヘキシレングリコールとも称される。
【0047】
(10-3)成分:炭素数2以上4以下のアルキレングリコール単位を含有するポリアルキレングリコール
(10-3)成分として、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、重量平均分子量400以上4000以下のポリエチレングリコール及び重量平均分子量400以上4000以下のポリプロピレングリコールから選ばれるポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0048】
(10-4)成分:炭素数2以上4以下のアルキレングリコール単位と、炭素数1以上4以下のアルキル基とを有する、(モノ又はポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル
(10-4)成分として、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール及び1−エトキシ−2−プロパノールから選ばれる化合物が挙げられる。
【0049】
(10-5)成分:炭素数1以上8以下のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル
(10-5)成分として、例えば1−メチルグリセリルエーテル、2−メチルグリセリルエーテル、1,3−ジメチルグリセリルエーテル、1−エチルグリセリルエーテル、1,3−ジエチルグリセリルエーテル、トリエチルグリセリルエーテル、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、1−オクチルグリセリルエーテル及び2−エチルヘキシルグリセリルエーテルから選ばれるアルキルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0050】
(10-6)成分:炭素数2又は3のアルキレングリコール単位を有する(モノ又はポリ)アルキレングリコールの芳香族アルキルエーテル
(10-6)成分として、例えば2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、2−ベンジルオキシエタノール及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる化合物が挙げられる。
【0051】
前記(10-4)成分、(10-6)成分において「(モノ又はポリ)アルキレングリコール」なる用語は、モノアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールを意味する。また、「ポリアルキレングリコール」とは、アルキレングリコール単位を2個以上9個以下の量で含有することを意味する。
【0052】
(10)成分は、低温での保存安定性が更に向上できる観点で、(10-1)成分、(10-2)成分、(10-4)成分、及び(10-6)成分から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
より具体的には、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、エタノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル及びトリエチレングリコールモノフェニルエーテルから選ばれる1種以上の化合物を含有することが好ましい。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、水酸基を有する有機溶剤として、エタノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−フェノキシエタノール、ポリエチレングリコールフェニルエーテルから選ばれる1種以上の有機溶剤を含有することが好ましい。
(10)成分の含有量は、組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更により好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更により好ましくは10質量%以下である。
【0053】
(11)ハイドロトロープ剤
衣料用液体洗浄剤組成物の安定性のためにハイドロトロープ剤を配合することができる。本発明のハイドロトロープ剤は、陰イオン性基を有する有機化合物であり、更にはメチル基、エチル基又はプロピル基から選ばれるアルキル基を1〜2つ含み、スルホン酸基又はカルボン酸基を1つ有するアルキルベンゼンカルボン酸又はアルキルベンゼンスルホン酸又はそれらの塩、並びに安息香酸又はその塩を挙げることができる。より具体的にはパラトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、安息香酸であり、塩はアルカリ金属塩が好ましい。本発明ではパラトルエンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩が好ましく、酸として配合し、組成物中のアルカリ剤で中和してもよい。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、ハイドロトロープ剤を、酸型化合物に換算して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更により好ましくは3質量%以下、含有することができる。
【0054】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、20℃におけるpHが2.5以上8.5以下であることが好ましい。該pHは8.0以下が好ましく、7.8以下がより好ましく、7.6以下が更に好ましく、そして3.0以上が好ましく、3.5以上がより好ましく、4.0以上が更に好ましい。該pHは、ガラス電極を用いて20℃で測定した値である。具体的には、以下の方法で測定されたものである。
<pHの測定方法>
堀場製作所製pHメーター D−52にpH電極(型式6367)をあらかじめフタル酸緩衝液(pH4.01)、リン酸標準液(pH6.84)、ホウ酸塩標準液(pH9.18)で校正し、イオン交換水で十分すすいでおく。温度を20℃に調整した衣料用液体洗浄剤組成物に、上記の通り校正、洗浄したpH電極を入れ、pHメーターのAUTO HOLDモードを用いて、測定値が一定になるまで測定する。
【0055】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、衣類、タオル、寝具、寝具用の繊維製品(シーツ、枕カバーなど)などの衣料の洗浄に用いられる。これら以外の洗濯が可能な繊維製品も対象とすることができる。
【実施例】
【0056】
下記成分を用い、表1に示す衣料用液体洗浄剤組成物を調製し、得られた組成物を用いて、下記の方法で殺菌性及び泡立ち抑制性の評価を行った。その結果を表1に示す。pHの調整には水酸化ナトリウム水溶液とクエン酸水溶液を用いた。pHの測定は、ガラス電極を使用したpHメーターを使用した。pH調整時の組成物の温度は20℃で行った。表1中の衣料用液体洗浄剤組成物の20℃のpHは5.0であった。
【0057】
〔(a)成分〕
(a−1):ラウリルアルコールにエチレンオキシドが平均で12モル付加した化合物。(a−1)中に本発明の(c)成分に相当する化合物が7.7質量%含まれる。
(a−2):ポリオキシエチレン(9)ポリオキシプロピレン(2)ポリオキシエチレン(9)アルキルエーテル(カッコ内の数値は平均付加モル数)〔炭素数10〜14の直鎖1級飽和アルコール1モル当りにエチレンオキシドを9モル、プロピレンオキシドを2モル、エチレンオキサイドを9モルの順にブロック付加させた化合物、一般式(a1)中、Ra1が炭素数10〜14の直鎖アルキル基、Rが水素原子、mが0、AO基がEO基及びプロピレンオキシ基(以下、PO基ともいう)、nが合計で20(EO基が9モル、PO基が2モル、EO基が9モル)の化合物、(c)成分は含まれない。〕
(a−3):ソフタノール70(日本触媒(株)製)、炭素数12〜14の2級アルコールにエチレンオキシドが平均7モル付加した化合物。(a−3)成分中に(c)成分は含まれない。
(a−4):R−COO−(CO)−R’で表されるノニオン界面活性剤〔式中のRは炭素数11の直鎖アルキル基、lは15、R’はメチル基、(c)成分は含まれない。〕
(a−5):アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アルキル基は炭素数8以上16以下のアルキル基)
【0058】
〔(b)成分〕
(b−1):N,N−ジデシル−N−エチル−N−メチルアンモニウムエチルサルフェート
【0059】
〔(b’)成分:(b)成分の比較化合物〕
(b’−1):N−アルキル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド(アルキル基は炭素数10以上16以下のアルキル基)
(b’−2):N−ミリスチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド
【0060】
〔(c)成分〕
(c−1):一般式(c1)中、Rc1が炭素数12の直鎖アルキル基、Rc1−O−の酸素原子に結合するRc1の炭素原子が第1級炭素原子、xが3(単一分布)の化合物
(c−2):一般式(c1)中、Rc1が炭素数12の直鎖アルキル基、Rc1−O−の酸素原子に結合するRc1の炭素原子が第1級炭素原子、xが5(単一分布)の化合物
(c−3):ラウリルアルコールにエチレンオキサイドが平均で3モル付加したノニオン界面活性剤。(a)成分と(c)成分の混合物であり、(c−3)中に、一般式(c1)中、x=2、3、4、5の化合物を合計で50質量%、更にx=3、4、5の化合物を合計で32質量%含有する。
(c−4):ラウリルアルコールにエチレンオキサイドが平均で6モル付加したノニオン界面活性剤。(a)成分と(c)成分の混合物であり、(c−3)中に、一般式(c1)中、x=2、3、4、5の化合物を合計で34質量%、更にx=3、4、5の化合物を合計で27質量%含有する。
【0061】
〔(c’)成分:(c)成分の比較化合物〕
(c’−1):ミリスチルアルコールにエチレンオキシドが平均で5モル付加したノニオン界面活性剤。(c’−1)は、本発明の(c)成分に相当する化合物を含まない。
(c’−2):デシルアルコールにエチレンオキシドが平均で5モル付加したノニオン界面活性剤。(c’−2)は、本発明の(c)成分に相当する化合物を含まない。
(c’−3):ラウリルアルコールにエチレンオキシドが8モル付加した化合物(単一品)。便宜的に一般式(c1)の構造で表すと、Rc1が炭素数12の直鎖アルキル基、Rc1−O−の酸素原子に結合するRc1の炭素原子が第1級炭素原子、xが8(単一分布)の化合物。(c’−3)は、本発明の(c)成分に相当する化合物を含まない。
【0062】
〔その他の成分〕
ポリアクリル酸ナトリウム:重量平均分子量4000
酵素:プロテアーゼ(花王(株)製)
香料:特開2005−314559に記載の表1のa−3の香料組成物
蛍光染料:チノパールCBS−X(商品名)(チバスペシャリティケミカルズ製)
【0063】
<殺菌性の試験方法>
(1) 着用済みの衣類から分離されたマイクロコッカス属細菌(Micrococcus sp.)又はモラクセラ属細菌(Moraxella sp.)をSCD−LP寒天培地を平板としたプレートに画線培養し、37℃で24時間培養したものを白金耳でかきとり、滅菌水で希釈してOD600=1.5の菌濃度に調製した。
(2) 試験溶液(表の衣料用液体洗浄剤組成物を0.33g/Lとなるように水で希釈したもの)10mlに対して、(1)の懸濁液を0.1ml添加し、10分間、150rpm、25℃で接触させた。水は全て滅菌済みの水道水を使用した。
(3) (2)で菌を接触させた試験溶液をLP希釈溶液で段階希釈し、混釈法によってSCD−LP寒天培地上に生育したコロニー数をカウントした。以下の式により殺菌活性値を求めた。
殺菌活性値=LogA−LogB
A:試験溶液接触前の菌数の平均値
B:試験溶液接触後の菌数の平均値
殺菌活性値が高い方が殺菌効果に優れる。この評価では、殺菌活性値2.2以上が合格である。
【0064】
<泡立ち抑制性の評価方法>
市販の綿肌シャツ(グンゼYG、男性用、サイズL)4kgを、ドラム式洗濯機(National、NA-V82)に投入し、次いで衣料用液体洗浄剤組成物16gを洗濯槽に投入し、乾燥を含まない洗濯のみのコース(水量20L、洗浄20分間、すすぎ2回、脱水6分間)に設定してスタートボタンを押し、洗濯開始から20分後に洗濯を一次停止し、停止した後30秒後の洗濯槽内の泡立ちの状態を目視により観察した。
泡立ちの状態は、ドラム式洗濯機のフロント扉(円形状)を正面から観察し、フロント扉の面を占める泡の割合を指標として下記評価基準に基づいて泡立ち抑制性を評価した。なお、評価点が1と2を合格と判定した。尚、評価点2よりも評価点1がより優れる。図1に、各評価点における洗濯槽内の泡立ちの状態を示す。
・泡立ち抑制の評価点
評価点1:フロント扉の面を占める泡の割合が1/4未満(図1(a))
評価点2:フロント扉の面を占める泡の割合が1/4以上、1/2未満(図1(b))
評価点3:フロント扉の面を占める泡の割合が1/2以上、3/4未満(図1(c))
評価点4:フロント扉の面を占める泡の割合が3/4以上(図1(d))
評価点4は、フロント扉の面のほとんどを泡が占めた状態である。
【0065】
【表1】
【0066】
表1では、(c’)成分を(c)と、それぞれみなして(c)/(b)の質量比を示した。
図1