特許第6563329号(P6563329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563329
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】広角ズームレンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20190808BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   G02B15/20
   G02B13/18
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-249745(P2015-249745)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-116646(P2017-116646A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100124327
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】李 大勇
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−254160(JP,A)
【文献】 特開2014−219479(JP,A)
【文献】 特開2014−219480(JP,A)
【文献】 特開2015−118214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、当該第3レンズ群に後続する少なくとも一つのレンズ群を含む後群と、いずれかのレンズ群間に配置される絞りとから構成され、
前記後群が、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とから構成され、
各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行うと共に、以下の条件式を満足することを特徴とする広角ズームレンズ。
14 < Ft/F3 < 25 ・・・(1)
3.7 < LST/FiT < 6 ・・・(2)
−1.3 < βw < −0.8 ・・・(3)
但し、
Ftは、望遠端における当該広角ズームレンズ全系の焦点距離であり、
F3は、前記第3レンズ群の焦点距離であり、
LSTは、望遠端における当該広角ズームレンズの最も物体側に配置される面と前記絞りとの間の光軸上の間隔であり、
FiTは、望遠端における、前記絞りから像面までに配置されるレンズ群により構成されるレンズ系の焦点距離であり、
βwは、広角端における、前記絞りから像面までの間に配置されるレンズ群により構成されるレンズ系の横倍率である。
【請求項2】
以下の条件式を満足する請求項1に記載の広角ズームレンズ。
21 < Ft/F2nW <30 ・・・(4)
但し、
F2nWは、広角端における、当該広角ズームレンズにおいて第2レンズ群以降に配置される全レンズ群により構成されるレンズ系の焦点距離である。
【請求項3】
以下の条件式を満足する請求項1又は請求項2に記載の広角ズームレンズ。
4.6 < LST/F3 < 7.0 ・・・(5)
【請求項4】
以下の条件式を満足する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の広角ズームレンズ。
8.0 < |F1/F2| < 12 ・・・(6)
但し、
F1は、前記第1レンズ群の焦点距離であり、
F2は、前記第2レンズ群の焦点距離である。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の広角ズームレンズと、当該広角ズームレンズによって形成される像を受光する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、広角ズームレンズ及び当該広角ズームレンズを備えた撮像装置に関し、特に、一眼レフレックスカメラ(以下、「一眼レフカメラ」と称する。)等のレンズ交換式撮像装置に好適な広角ズームレンズ及び当該広角ズームレンズを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一眼レフカメラ等のレンズ交換式撮像装置の広角ズームレンズに対する小型化、高変倍比、高解像力に対する要求が大きい。小型化に対する要求には、レンズ全長の小型化と、径方向の小型化とがある。これらの要求に応えるレンズとして、例えば、物体側から順に、正、負、正の屈折力を有する第1レンズ群〜第3レンズ群と、これに後続する一つ以上のレンズ群を備えた広角ズームレンズが提案されている(例えば、「特許文献1」〜「特許文献3」参照)。
【0003】
特許文献1に記載の広角ズームレンズは、広角端における画角が72.6°程度、変倍比が10.4〜12.97程度である。特許文献2に記載の広角ズームレンズは、広角端における画角が77.5°〜78°程度、変倍比が15.7程度である。特許文献3に記載の広角ズームレンズは、広角端における画角が74.4°〜79.1°程度、変倍比が14.5程度である。これらの広角ズームレンズはいずれも全長方向及び径方向の小型化が達成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−216440号公報
【特許文献2】特開2011−186159号公報
【特許文献3】特開2011−090190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年の広角ズームレンズに対する一層の広角化に対する要求が大きく、特許文献1〜特許文献3に記載の広角ズームレンズは、広角端における画角が不足している。また、より高い変倍比を実現しようとすると、レンズの大型化或いは結像性能の低下を招くおそれがあり、これら全ての要求を実現することは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、より広い画角及びより高い変倍比を実現すると共に、変倍域全域において高い結像性能を有する小型の広角ズームレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本件発明に係る広角ズームレンズは、物体から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、当該第3レンズ群に後続する少なくとも一つのレンズ群を含む後群と、いずれかのレンズ群間に配置される絞りとから構成され、前記後群が、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とから構成され、各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行うと共に、以下の条件式を満足することを特徴とする。
【0008】
14 < Ft/F3 < 25 ・・・(1)
3.7 < LST/FiT < 6 ・・・(2)
−1.3 < βw < −0.8 ・・・(3)
【0009】
但し、
Ftは、望遠端における当該広角ズームレンズ全系の焦点距離であり、
F3は、前記第3レンズ群の焦点距離であり、
LSTは、望遠端における当該広角ズームレンズの最も物体側に配置される面と前記絞りとの間の光軸上の間隔であり、
FiTは、望遠端における、前記絞りから像面までに配置されるレンズ群により構成されるレンズ系の焦点距離であり、
βwは、広角端における、前記絞りから像面までの間に配置されるレンズ群により構成されるレンズ系の横倍率である。
【0010】
本件発明に係る撮像装置は、上記記載の広角ズームレンズと、当該広角ズームレンズによって形成される像を受光する撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本件発明によれば、より広い画角及びより高い変倍比を実現すると共に、変倍域全域において高い結像性能を有する小型の広角ズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本件発明の実施例1の広角ズームレンズのレンズ断面図である。
図2】実施例1の広角ズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図及び倍率色収差図である。
図3】実施例1の広角ズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図及び倍率色収差図である。
図4】実施例1の広角ズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図及び倍率色収差図である。
図5】本件発明の実施例2の広角ズームレンズのレンズ断面図である。
図6】実施例2の広角ズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図及び倍率色収差図である。
図7】実施例2の広角ズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図及び倍率色収差図である。
図8】実施例2の広角ズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図9】本件発明の実施例3の広角ズームレンズのレンズ断面図である。
図10】実施例3の広角ズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図及び倍率色収差図である。
図11】実施例3の広角ズームレンズの中間焦点距離状態における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図及び倍率色収差図である。
図12】実施例3の広角ズームレンズの望遠端状態における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、歪曲収差図及び倍率色収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本件発明に係る広角ズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。
【0014】
1.広角ズームレンズ
1−1.広角ズームレンズの光学構成
まず、本件発明に係る広角ズームレンズの実施の形態を説明する。本件発明に係る広角ズームレンズは、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、当該第3レンズ群に後続する少なくとも一つのレンズ群を含む後群と、いずれかのレンズ群間に配置される絞りとから構成され、各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行うと共に、後述する所定の条件式を満足することを特徴とする。
【0015】
本件発明の広角ズームレンズは、物体側から順に正・負・正のパワー配置を採用し、第1レンズ群〜第3レンズ群と、第3レンズ群に後続する少なくとも一つのレンズ群を含む後群とから構成される。すなわち、本件発明に係る広角ズームレンズは少なくとも4つのレンズ群を備えるため、変倍時に各レンズ群を移動させる自由度が高く、高変倍比を実現しやすい。これと同時に、ズーム全域における収差の変動を抑制することが容易になるため、結像性能の高いズームレンズを得ることができる。また、後述する各種条件式を満足させることにより、当該広角ズームレンズの一層の広角化を図ったときも、当該広角ズームレンズをコンパクトに構成しつつ、高い結像性能を実現することができる。
【0016】
本件発明に係る広角ズームレンズにおいて、上記後群は少なくとも一つのレンズ群を含めばよく、後群を構成するレンズ群の数は特に限定されるものではない。しかしながら、より高い変倍比と、変倍域全域におけるより高い結像性能を実現するという観点から、当該後群を構成するレンズ群の数は二つ以上であることが好ましい。また、当該広角ズームレンズの小型化を図るという観点から、当該後群を構成するレンズ群の数は三つ以下であることが好ましい。いずれの場合であっても、後述する各種条件式を満足させることにより、上述した効果が得られる。なお、本件発明に係る広角ズームレンズにおいて、各レンズ群の具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。
【0017】
また、本件発明に係る広角ズームレンズにおいて、絞りの配置は特に限定されるものではない。しかしながら、例えば、良好な結像性能を得るという観点から、第2レンズ群と第3レンズ群との間に絞りを配置することがより好ましい。この場合、第2レンズ群から第3レンズ群に入射する光束の光束径は小さいため、絞りの径も小さくすることができ、当該広角ズームレンズの小型化及び軽量化を図る上でも好ましい。
【0018】
1−2.変倍時の各レンズ群の動作
次に、変倍時の各レンズ群の動作について説明する。本件発明に係る広角ズームレンズにおいて、広角端から望遠端への変倍の際に、各レンズ群間の間隔が変化すればよい。各レンズ群間の間隔が変化する限り、各レンズ群は移動群/固定群のいずれであってもよい。移動群の数が多いほど、焦点距離に応じた各レンズ群の位置の調整が容易になるため、高い変倍比及び高い結像性能を実現する上で好ましい。
【0019】
1−3.条件式
次に、各条件式について説明する。本件発明に係る広角ズームレンズは、以下の条件式(1)〜条件式(3)を満足することを特徴とする。
【0020】
条件式(1):14 < Ft/F3 < 25
条件式(2): 3.5 < LST/FiT < 6
条件式(3):−1.3 < βw < −0.8
【0021】
但し、
Ftは、望遠端における当該広角ズームレンズ全系の焦点距離であり、
F3は、第3レンズ群の焦点距離であり、
LSTは、望遠端における当該広角ズームレンズの最も物体側に配置される面と絞りとの間の光軸上の間隔であり、
FiTは、望遠端における、絞りから像面までに配置されるレンズ群により構成されるレンズ系の焦点距離であり、
βwは、広角端における、絞りから像面までの間に配置されるレンズ群により構成されるレンズ系の横倍率である。
【0022】
1−3−1.条件式(1)
まず、条件式(1)について説明する。条件式(1)は、第3レンズ群の焦点距離に対する、望遠端における当該広角ズームレンズ全系の焦点距離の比に関する式である。条件式(1)を満足する場合、第3レンズ群に対する望遠端における当該広角ズームレンズの焦点距離が適正な範囲内となり、当該広角ズームレンズをコンパクトに構成しつつ、より広い画角及び高い変倍比を実現することができる。また、変倍時における収差変動を抑制することができ、変倍域全域において高い結像性能を実現することができる。
【0023】
これに対して、条件式(1)の数値が上限値以上になると、第3レンズ群に対して第1レンズ群の屈折力が弱くなり過ぎ、広角端における当該広角ズームレンズの小型化を図る上で有利であるが、高い変倍比を実現することが困難になる。一方、条件式(1)の数値が下限値以下になると、第3レンズ群に対して第1レンズ群の屈折力が強くなり過ぎ、高い変倍比を実現する上では有利であるが、広角端における当該広角ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。

【0024】
これらの効果を得る上で、当該広角ズームレンズは以下の条件式(1a)を満足することが好ましく、以下の条件式(1b)を満足することがより好ましい。
【0025】
条件式(1a):14 < Ft/F3 < 23
条件式(1b):14 < Ft/F3 < 20
【0026】
1−3−2.条件式(2)
条件式(2)は、望遠端における第1レンズ群と絞りとの間の光軸上の間隔に関する式である。条件式(2)を満足する場合、望遠端における第1レンズ群と絞りとの間の光軸上の間隔が適正な範囲内となり、当該広角ズームレンズの小型化、高い変倍比を実現することができる。また、第1レンズ群の屈折力が適正になるため、変倍域全域において高い結像性能を実現することができる。
【0027】
これに対して、条件式(2)の数値が上限値以上である場合、望遠端における第1レンズ群と絞りとの上記間隔が大きく、高い変倍比を実現する上では有利であるが、当該広角ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。一方、条件式(2)の数値が下限値以下である場合、望遠端における上記間隔が小さく、当該広角ズームレンズの小型化を図る上では有利であるが、第1レンズ群の屈折力が大きく変倍に伴う収差変動が大きくなり、諸収差の補正が困難になる。そのため、変倍域全域において高い結像性能を実現することが困難になる。
【0028】
これらの効果を得る上で、当該広角ズームレンズは以下の条件式(2a)を満足することが好ましく、以下の条件式(2b)を満足することがより好ましい。
【0029】
条件式(2a):3.5 < LST/FiT < 5.5
条件式(2b):3.7 < LST/FiT < 5.0
【0030】
1−3−3.条件式(3)
条件式(3)は、広角端における絞りから像面までの間に配置されるレンズ群により構成されるレンズ系の横倍率を規定した式である。条件式(3)を満足する場合、一眼レフカメラ等に要求される所定のバックフォーカスを確保することができる。そのため、当該広角ズームレンズを一眼レフカメラ等の交換レンズに好適に用いることができる。
【0031】
条件式(3)の数値が上限値以上になると、広角端における当該広角ズームレンズの小型化を図る上では有利であるが、バックフォーカスが短くなるため、一眼レフカメラ等の交換レンズに適用することが困難になる。条件式(3)の数値が下限値以下になると、バックフォーカスが大きく、一眼レフカメラ等の広角ズームレンズに好適であるが、広角端における当該広角ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。
【0032】
これらの効果を得る上で、本件発明に係る広角ズームレンズは、以下の条件式(3a)を満足することが好ましく、条件式(3b)を満足することがより好ましい。
【0033】
条件式(3a):−1.2 < βw < −0.8
条件式(3b):−1.1 < βw < −0.9
【0034】
1−3−4.条件式(4)
本件発明に係るズームレンズは、上記条件式(1)〜条件式(3)に加えて、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
【0035】
条件式(4):21 < Ft/F2nW <30
【0036】
但し、Ftは上述のとおりであり、
F2nWは、広角端における、当該広角ズームレンズにおいて第2レンズ群以降に配置される全レンズ群により構成されるレンズ系の焦点距離である。
【0037】
条件式(4)は、当該広角ズームレンズにおいて絞りよりも像面側に配置されるレンズ群により構成されるレンズ群の望遠端における焦点距離に対して、広角端における上記所定のレンズ群間の光軸上の間隔を規定した式である。条件式(4)を満足する場合、広角端における当該広角ズームレンズの小型化を図ることが容易になると共に、高い変倍比を実現することが容易になる。
【0038】
これに対して、条件式(4)の数値が上限値以上である場合、高い変倍比を実現する上では有利であるが、当該広角ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。一方、条件式(4)の数値が下限値以下である場合、当該広角ズームレンズの小型化を図る上では有利であるが、高い変倍比を実現することが困難になる。
【0039】
これらの効果を得る上で、本件発明に係る広角ズームレンズは以下の条件式(4a)を満足することが好ましく、条件式(4b)を満足することがより好ましい。
【0040】
条件式(4a):21 < Ft/F2nW <28
条件式(4b):21 < Ft/F2nW <26
【0041】
1−3−5.条件式(5)
本件発明に係る広角ズームレンズにおいて、条件式(1)〜条件式(3)に加えて、条件式(5)を満足することも好ましい。
【0042】
条件式(5):4.6 < LST/F3 < 7.0
但し、LST及びF3は上述したとおりである。
【0043】
条件式(5)は、第3レンズ群の焦点距離に対する、望遠端における第1レンズ群と絞りとの間の光軸上の間隔の比に関する式である。条件式(5)を満足する場合、望遠端における第1レンズ群と絞りとの間の距離が適正な範囲内となり、高い変倍比を実現すると共に当該広角ズームレンズをコンパクトに構成することがより容易になる。
【0044】
これに対して、条件式(5)の数値が上限値以上である場合、望遠端における第1レンズ群と絞りとの間の光軸上の間隔が大きく、高い変倍比を実現する上では有利であるが、当該広角ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。一方、条件式(5)の数値が下限値以下である場合、望遠端における第1レンズ群と絞りとの間の光軸上の間隔が小さく、当該広角ズームレンズの小型化を図る上では有利であるが、高い変倍比を実現することが困難になる。
【0045】
これらの効果を得る上で、本件発明に係る広角ズームレンズは、以下の条件式(5a)を満足することが好ましく、条件式(5b)を満足することがより好ましい。
条件式(5a):4.6 < LST/F3 < 6.5
条件式(5b):4.6 < LST/F3 < 6.0
【0046】
1−3−6.条件式(6)
本件発明に係る広角ズームレンズは、条件式(1)〜条件式(3)に加えて以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
【0047】
条件式(6):8.0 < |F1/F2| < 12
【0048】
但し、
F1は、第1レンズ群の焦点距離であり、
F2は、第2レンズ群の焦点距離である。
【0049】
条件式(6)は、第2レンズ群の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離の比に関する式である。条件式(6)を満足する場合、高い変倍比を実現すると共に当該広角ズームレンズをコンパクトに構成することがより容易になる。また、第1レンズ群の屈折力が適正な範囲内となるため、変倍に伴う収差変動を抑制することができ、変倍域全域において高い結像性能を実現することができる。
【0050】
これに対して、条件式(6)の数値が上限値以上になる場合、第1レンズ群の屈折力が弱くなりすぎ、当該広角ズームレンズの小型化を図る上では有利であるが、高い変倍比を実現することが困難になる。一方、条件式(6)の数値が下限値以下になる場合、第1レンズ群の屈折力が強くなりすぎ、当該広角ズームレンズの小型化を図る上では有利であるが、高い変倍比を実現することが困難になる。
【0051】
これらの効果を得る上で、本件発明に係る広角ズームレンズは、以下の条件式(6a)を満足することが好ましく、条件式(6b)を満足することがより好ましい。
【0052】
条件式(6a):8.0 < |F1/F2| < 11
条件式(6b):8.0 < |F1/F2| < 10
【0053】
以上説明した本件発明に係る広角ズームレンズによれば、広角端における画角が75°以上、変倍比が18倍以上であり、変倍域全域において高い結像性能を実現することができる小型の広角ズームレンズを得ることができる。
【0054】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記広角ズームレンズと、当該広角ズームレンズによって形成される像を受光する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子等も用いることができ、本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。しかしながら、本件発明に係る広角ズームレンズのバックフォーカスは比較的長い。このため、本件発明に係る撮像装置は、特に、一眼レフカメラ等のバックフォーカスの比較的長い撮像装置であることが好ましい。
【0055】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例のズームレンズは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置(光学装置)、特に、一眼レフカメラ等のバックフォーカスの比較的長い撮像装置に用いられる広角ズームレンズである。なお、レンズ断面図(図1図5及び図9)において、図面に向かって左方が物体側、右方が像面側である。
【実施例1】
【0056】
(1)広角ズームレンズの構成
図1は、本件発明に係る実施例1の広角ズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。当該広角ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5から構成される。
【0057】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸形状の負の屈折力を有するメニスカスレンズ及び正レンズを接合した接合レンズと、正レンズとの3枚のレンズから構成される。第2レンズ群G2は、物体側から順に、像側面が凹面の負レンズと、両凹レンズ及び正レンズを接合した接合レンズと、像面側に凸形状の負のメニスカスレンズとから構成される。第3レンズ群G3は、物体側から順に正レンズと、両凸レンズと、両凸レンズ及び像側に凸形状の負のメニスカスレンズを接合した接合レンズとから構成される。第4レンズ群G4は、両凹レンズと物体側に凸形状の正のメニスカスレンズとを接合した接合レンズから構成される。第5レンズ群G5は、物体側から順に両凸レンズと、負レンズ及び正レンズを接合した接合レンズとから構成される。
【0058】
当該広角ズームレンズでは、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔を広く、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔を狭く、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔を広く、第4レンズ群G5と第5レンズ群G5との間隔を広くするように、各レンズ群がそれぞれ物体側に移動する。
【0059】
また、当該広角ズームレンズでは、第3レンズ群G3の物体側に開口絞りSが配置され、変倍に際し、当該開口絞りSは第3レンズ群G3と一体に移動する。また、無限遠物体から近距離物体への合焦に際して、負の屈折力を有する第2レンズ群G2が合焦群として移動する。また、当該広角ズームレンズでは、第4レンズ群G4が光軸に対して垂直方向に移動可能に構成されており、手振れ等の際に第4レンズ群G4が上記垂直方向に移動して像面移動を補正する。
【0060】
(2)数値実施例
次に、当該広角ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に当該広角ズームレンズのレンズデータを示す。表1において、「NS」は物体側から数えたレンズ面の順番(面番号)、「R」はレンズ面の曲率半径、「D」はレンズ面の光軸上の間隔、「Nd」はd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、「ABV」はd線に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、レンズ面が非球面である場合には、面番号の次に「ASPH」を付し、曲率半径Rの欄には近軸曲率半径を示している。
【0061】
また、表2は、表1に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の非球面係数及び円錐定数を示す。
【0062】
【数1】
【0063】
また、表3は、表1に示すレンズ面の光軸上の可変間隔であって、広角端、中間焦点距離、望遠端における無限遠合焦時の間隔である。これらの表中の長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。また、各条件式(1)〜条件式(6)の数値を表10に示す。なお、これらの表に関する事項は実施例2及び実施例3で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0064】
また、以下に当該広角ズームレンズの広角端、中間焦点距離及び望遠端における焦点距離(F)、Fナンバー(Fno)、半画角(ω)をそれぞれ順に示す。
【0065】
F :18.5 〜 85 〜 389
Fno:3.4 〜 5.6 〜 6.5
ω :39.63 〜 9.4 〜 2.09
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
また、図2図3及び図4に、それぞれ広角端、中間焦点距離及び望遠端における当該広角ズームレンズの無限遠合焦時の縦収差図を示す。それぞれの縦収差図は、図面に向かって左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を表している。球面収差を表す図では、縦軸は開放F値との割合、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線(波長λ=587.6nm)、破線がC線(波長λ=656.3nm)、一点鎖線がg線(波長λ=435.8nm)における球面収差を表す。非点収差を表す図では、縦軸は像高、横軸にデフォーカスをとり、実線がサジタル面(S)、破線がメリジオナル面(T)での非点収差を表す。歪曲収差を表す図では、縦軸は像高、横軸に%をとり、歪曲収差を表す。倍率色収差を表す図では、縦軸が像高、横軸にデフォーカスをとり、実線がC線、波線がd線における倍率色収差を示す。これらの縦収差図に関する事項は実施例2及び実施例3で示す各縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【実施例2】
【0070】
(1)広角ズームレンズの構成
図5は、実施例2の広角ズームレンズの光学系の構成を示すレンズ断面図である。実施例2の広角ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成される。また、第3レンズ群の物体側に開口絞りSが配置されている。各レンズ群のレンズ構成は実施例1の広角ズームレンズと略同様であり、具体的には図5に示すとおりである。また、変倍時における動作、合焦時における動作、手振れ等の際の動作も実施例1と略同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0071】
(2)数値実施例
次に、当該広角ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表4は、当該広角ズームレンズのレンズデータである。表5は、表4に示す非球面の非球面係数及び円錐定数である。表6は、表4に示すレンズ面の光軸上の可変間隔であって、広角端、中間焦点距離、望遠端における無限遠合焦時の間隔である。また、各条件式(1)〜条件式(6)の数値を表10に示す。
【0072】
また、以下に当該広角ズームレンズの広角端、中間焦点距離及び望遠端における焦点距離(F)、Fナンバー(Fno)、半画角(ω)をそれぞれ順に示す。
【0073】
F :18.5 〜 85 〜 389
Fno:3.4 〜 5.6 〜 6.5
ω :39.63 〜 9.4 〜 2.09
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【実施例3】
【0077】
(1)広角ズームレンズの構成
図9は、実施例3の広角ズームレンズの光学系の構成を示すレンズ断面図である。実施例2の広角ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成される。また、第3レンズ群の物体側に開口絞りSが配置されている。各レンズ群のレンズ構成は実施例1の広角ズームレンズと略同様であり、具体的には図5に示すとおりである。また、変倍時における動作、合焦時における動作、手振れ等の際の動作も実施例1と略同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0078】
(2)数値実施例
次に、当該広角ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表7は、当該広角ズームレンズのレンズデータである。表8は、表7に示す非球面の非球面係数及び円錐定数である。表9は、表7に示すレンズ面の光軸上の可変間隔であって、広角端、中間焦点距離、望遠端における無限遠合焦時の間隔である。また、各条件式(1)〜条件式(6)の数値を表10に示す。
【0079】
また、以下に当該広角ズームレンズの広角端、中間焦点距離及び望遠端における焦点距離(F)、Fナンバー(Fno)、半画角(ω)をそれぞれ順に示す。
【0080】
F :18.5 〜 86 〜 349.12
Fno:3.6 〜 5.82 〜 6.5
ω :39.59 〜 9.3 〜 2.33
【0081】
【表7】
【0082】
【表8】
【0083】
【表9】
【0084】
【表10】
【0085】
なお、上述の実施例では広角ズームレンズが5群構成(n=5)である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、広角ズームレンズが4群構成(n=4)であってもよいし、6群構成(n=6)であってもよいし、7群以上のレンズ群を有する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本件発明によれば、より広い画角及びより高い変倍比を実現すると共に、変倍域全域において高い結像性能を有する小型の広角ズームレンズを提供することができる。
【符号の説明】
【0087】
G1・・・第1レンズ群
G2・・・第2レンズ群
G3・・・第3レンズ群
G4・・・第4レンズ群
G5・・・第5レンズ群
S・・・開口絞り
VC・・・防振群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12