(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリグリセリン脂肪酸エステル中の脂肪アシル基が、炭素数12以上14以下の脂肪アシル基を20質量%以上100質量%以下含む脂肪アシル基である、請求項1又は2に記載の衣料の洗浄方法。
ポリグリセリン脂肪酸エステル中の脂肪アシル基が、炭素数12の脂肪アシル基を20質量%以上100質量%以下含む脂肪アシル基である、請求項1〜3の何れか1項記載の衣料の洗浄方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、特定の構造を有するポリグリセリン脂肪酸エステルを使用前の衣料に付着させることで、洗浄時の、油脂汚れの衣料からの脱離を促進することを見出した。また、当該ポリグリセリン脂肪酸エステルを、使用前の衣料に付着させることで、衣料を使用した後の洗浄において、洗浄基剤の量を低減できる、洗浄に要する時間を短くできる、等の効果が生じるため、洗浄にかかるコストを低減できることを見出した。
特許文献2、3にあるように、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、繊維や布帛の処理に使用することは知られていたが、本発明で選定した特定の構造を有するポリグリセリン脂肪酸エステルによる前記の効果は、本発明により初めて見出されたものである。
【0009】
〔衣料の洗浄方法〕
<ポリグリセリン脂肪酸エステル>
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪アシル基の炭素数が8以上18以下であり、エステル化率が5モル%以上95モル%以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルである。
【0010】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪アシル基の炭素数は、前記効果の更なる向上の点から、9以上が好ましく、10以上が更に好ましく、11以上がより更に好ましく、そして17以下が好ましく、16以下が更に好ましく、15以下が更により好ましく、14以下が更により好ましい。より更に好ましい前記脂肪アシル基の炭素数は12である。
【0011】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル中の脂肪アシル基は、複数種の脂肪アシル基の混合物であることが出来る。前記効果の更なる向上の点から、脂肪アシル基中の炭素数12以上14以下の脂肪アシル基の含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、50質量%以上がより更に好ましく、60質量%以上がより更に好ましく、70質量%以上がより更に好ましく、80質量%以上がより更に好ましく、90質量%以上がより更に好ましく、そして上限は100質量%である。また、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪アシル基のうち、20質量%以上、更に30質量%以上、更に40質量%以上、更に50質量%以上、更に60質量%以上、更に70質量%以上、更に80質量%以上、更に90質量%以上100質量%以下が、炭素数12以上14以下の脂肪アシル基であることが好ましい。
【0012】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、脂肪アシル基中の炭素数12の脂肪アシル基の含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、50質量%以上がより更に好ましく、60質量%以上がより更に好ましく、70質量%以上がより更に好ましく、80質量%以上がより更に好ましく、90質量%以上がより更に好ましく、そして上限は100質量%である。また、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪アシル基のうち、20質量%以上、更に30質量%以上、更に40質量%以上、更に50質量%以上、更に60質量%以上、更に70質量%以上、更に80質量%以上、更に90質量%以上100質量%以下が、炭素数12の脂肪アシル基であることが好ましい。
【0013】
脂肪アシル基は、直鎖の炭化水素基を有する脂肪アシル基、又は分岐鎖の炭化水素基を有する脂肪アシル基であっても良い。脂肪アシル基の炭化水素基とは、脂肪アシル基からカルボニル基を除いた基を言う。本発明の効果を得やすい点で、直鎖の炭化水素基を有する脂肪アシル基が好ましい。直鎖の炭化水素基を有する脂肪アシル基は、飽和の直鎖の炭化水素基を有する脂肪アシル基、又は不飽和基を1以上3以下含有する直鎖の炭化水素基を有する脂肪アシル基であってもよい。本発明の効果を得やすい点で、直鎖の炭化水素基を有する脂肪アシル基が好ましい。
【0014】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率は5モル%以上95モル%以下である。本発明におけるエステル化率とは、ポリグリセロール骨格に含まれるエステル化前の水酸基の全モル数に対する、エステル化された後の脂肪アシル基のモル数である。より具体的には、下記の「エステル化率の測定及び算出方法」によって求められる。
衣料からの油脂の脱離を促進する点で、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率は、5モル%以上であり、9.0モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましく、20モル%以上がより更に好ましく、そして95モル%以下であり、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、70モル%以下が更に好ましく、65モル%以下がより更に好ましい。
【0015】
<エステル化率の測定及び算出方法>
エステル化率(モル%)=〔(SV−AV)/(SV−AV+OHV)〕×100
前記算出式において、SVは、JIS K0070−1992(4.けん化価、4.2 電位差滴定法)に従って測定された、ポリグリセリン脂肪酸エステルのけん化価(mgKOH/g)である。
前記算出式において、AVは、JIS K0070−1992(3.酸価、3.2 電位差滴定法)に従って測定された、ポリグリセリン脂肪酸エステルの酸価(mgKOH/g)である。
前記算出式において、OHVは、JIS K0070−1992(7.水酸基価、7.2 電位差滴定法)を用いて測定されたポリグリセリン脂肪酸エステルの水酸基価(mgKOH/g)である。
尚、本来、ポリグリセリン脂肪酸エステルのそのもののエステル化率(モル%)は、〔エステル価/(エステル価+水酸基価)〕×100で算出することができる。そして、ここでのエステル価は、前記のけん化価及び酸価から、JIS K0070−1992(5.エステル価)に記載の方法で算出することができる。しかしながら、一般に市販されているポリグリセリン脂肪酸エステル、または公知の製造方法によって得られたポリグリセリン脂肪酸エステルには、脂肪酸が微量含まれる場合がある。よって、本明細書において規定するエステル化率は、使用したサンプル中に含まれる微量の脂肪酸の影響を補正した、前記の<エステル化率の測定及び算出方法>で求められる、エステル化率(モル%)を用いる。
【0016】
また、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、衣料からの油脂の脱離をより促進する点で、3以上17以下が好ましい。本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのHLBは、下記に示す「HLBの算出方法」の方法で求められたHLBである。本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、衣料からの油脂の脱離を促進する点で、3以上が好ましく、3.5以上がより好ましく、4.0以上が更に好ましく、4.5以上がより更に好ましく、5.0以上がより更に好ましく、そして17以下が好ましく、16以下がより好ましく、15以下が更に好ましく、14以下がより更に好ましく、13以下がより更に好ましく、12以下がより更に好ましく、11以下がより更に好ましく、10以下がより更に好ましい。
【0017】
<HLBの算出方法>
前記の「エステル化率の測定及び算出方法」で測定された、SVとAVから以下の(式1)で求めることが出来る。脂肪酸の酸価は下記の(式2)で求められた値である。
(式1) HLB=20×(1−(SV−AV)/脂肪酸の酸価)
(式2) 脂肪酸の酸価=56110/脂肪酸の分子量
【0018】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン骨格の平均重合度(n)は、前記効果の更なる向上の点から、2以上が好ましく、そして15以下が好ましく、9以下がより好ましく、8以下が更に好ましい。本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルについてのグリセリン骨格の平均重合度(n)は、下記に示す「ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリン骨格の平均重合度(n)の算出方法」の方法で求められた平均縮合度である。
【0019】
<ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリン骨格の平均重合度(n)の算出方法>
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの平均重合度は、以下の(式3)〜(式7)から算出された(式8)で求められた値である。
下記の(式3)で求められるOHV
1は、サンプル1g中に含まれるポリグリセリン脂肪酸エステルと等モルのポリグリセリンの質量あたりに含まれる水酸基と等価なKOHのmg数である。
(式3) OHV
1(mgKOH)=(SV−AV)+OHV
〔式(3)中、SV、AV及びOHVは前記と同じ意味を示す。〕
下記の(式4)で求められるM
1は、サンプル1g中に含まれる、ポリグリセリン脂肪酸エステルと等モル数のポリグリセリンの質量(g)である。
(式4) M
1(g)=1−(AV×脂肪酸の分子量/56110)−〔(SV−AV)×(脂肪アシル基の分子量)/56110〕+〔(SV−AV)×(水素原子の原子量)/56110〕
〔(式4)中、SV、AVは前記の意味を表す。水素原子の原子量は1を用いた。脂肪アシル基の分子量は、脂肪酸から水酸基を除いた残基の分子量である。〕
下記の(式5)で求められるOHV
2は、サンプル中のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリン骨格の水酸基価(mgKOH/g)である。
(式5) OHV
2(mgKOH/g)=OHV
1/M
1
ポリグリセリンの分子量とOHV
2は、それぞれ(式6)と(式7)から算出される。これらに基づき、ポリグリセリンの平均重合度(n)は、(式8)から求められる。
(式6) ポリグリセリンの分子量=74×n+18
(式7) OHV
2=56110×(n+2)/ポリグリセリンの分子量
(式8) n=〔(18×OHV
2)−(56110×2)〕/〔56110−(74×OHV
2)〕
【0020】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、副生物として環状構造を有するポリグリセリン脂肪酸エステルを含有しても良い。
【0021】
<工程1>
工程1は、使用後に洗浄される衣料の使用前に、脂肪アシル基の炭素数が8以上18以下であり、エステル化率が5モル%以上95モル%以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを、前記衣料に付着させる工程である。
【0022】
工程1では、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルと溶媒とを含有する処理液を、衣料に接触させて、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルを衣料に付着させることが好ましい。
溶媒としては、水、有機溶媒が挙げられる。水としては、イオン交換水、蒸留水、水道水等の水が挙げられる。有機溶媒としては、炭素数1以上8以下で水酸基を1個以上6個以下有するアルコール、流動パラフィン、ハロゲン化アルキル(例えばクロロホルム)等の有機溶媒が挙げられる。なお、ここでの溶媒は、分散媒として機能するものを含む。
処理液中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、衣料へのポリグリセリン脂肪酸エステルの吸着量が向上する点で、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上が好ましく、そして、10質量%以下が好ましい。
処理液中の溶媒以外の成分中、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの占める割合は、洗浄時の油脂汚れの除去がより容易になる観点で、70質量%以上が好ましく、75質量%以上が好ましく、80質量%以上が好ましく、そして、100質量%以下が好ましく、98質量%以下が好ましく、95質量%以下が好ましい。
【0023】
衣料の質量(kg)と処理液の容量(リットル)との比で表される浴比は、衣料により均一にポリグリセリン脂肪酸エステルを吸着できる点で、〔処理液の容量(リットル)〕/〔衣料の質量(kg)〕で、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、そして300以下が好ましく、200以下が好ましく、150以下が好ましい。また、工程1で使用する処理液の量を少なく出来る点で、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。
【0024】
衣料と処理液との接触時間は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの衣料への吸着量をより向上できる点で、2秒以上が好ましく、5秒以上がより好ましく、10秒以上が更に好ましく、30秒以上がより更に好ましく、1分以上が好ましく、そして、衣料の洗浄方法における工程1に要する時間をより短くできる点で、60分以下が好ましく、30分以下が好ましく、10分以下が好ましく、7分以下が好ましく、5分以下が好ましい。
【0025】
衣料と接触させる処理液の温度は、本発明の効果がより向上できる点で、0℃以上が好ましく、3℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、10℃以上が更に好ましく、そして、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下が更に好ましく、35℃以下がより更に好ましい。
【0026】
衣料と処理液とを接触させる方法としては、処理液中に衣料を浸漬し接触させる方法、処理液を衣料に噴霧し接触させる方法が挙げられる。
処理液中に衣料を浸漬し接触させる方法としては、例えば下記の浸漬方法1〜4が挙げられる。
浸漬方法1:処理液に衣料を投入し浸漬する方法。
浸漬方法2:衣料に処理液を投入して浸漬する方法。
浸漬方法3:処理液のための溶媒に衣料を予め浸漬させた浸漬液に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを投入して浸漬する方法。
浸漬方法4:処理液のための溶媒と衣料とポリグリセリン脂肪酸エステルを同時に混合する方法。
【0027】
浸漬方法1〜4において、浸漬中の衣料と処理液は静置しても良く、撹拌しても良い。撹拌する場合には、手で撹拌しても良く、回転型攪拌機を用いても良い。回転型攪拌機とは、衣料と処理液を、ある回転軸の回りに回転させて撹拌を行う機器である。回転型攪拌機は一定方向のみの撹拌を行ってもよく反対方向の撹拌を行っても良い。また、攪拌は、連続又は間欠で行うことができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルをより多く衣料に吸着できる点や、当該化合物の衣料への吸着速度を高める点で、回転速度は10r/min以上が好ましく、20r/min以上がより好ましく、そして200r/min以下が好ましく、100r/min以下がより好ましい。
使用者が入手できる回転型攪拌機として、例えば、パルセーター型洗濯機、アジテータ型洗濯、又はドラム型洗濯機が挙げられる。
また、攪拌には、振とう型攪拌機も用いることができる。振とう型撹拌機とは、ある1軸を定めた時に、その軸に沿って往復運動をする攪拌機である。また撹拌効率を向上し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを衣料に吸着しやすくする為に、互いに並行にならならい複数の軸を定め、複数の軸に沿った往復運動をする攪拌機であっても良い。振とうの速度は、1往復を1回として、ポリグリセリン脂肪酸エステルをより多く衣料に吸着できる点や、当該化合物の衣料への吸着速度を高める点で、振とう速度は10回/min以上が好ましく、20回/min以上が好ましく、そして200回/min以下が好ましく、100回/min以下が好ましい。
【0028】
処理液を衣料に噴霧し接触させる方法としては、下記の噴霧方法1が挙げられる。
噴霧方法1:処理液を、噴霧器を用いて、衣料に噴霧し接触させる方法。
噴霧器としては、ミスト式或いはトリガー式のスプレイヤーを用いることが好ましい。処理液をミスト式又はトリガー式のスプレイヤーを備えたスプレー容器に充填し、一回の噴霧量を0.1ml以上、1ml以下に調整することが好ましい。使用するスプレー容器としては、トリガー式スプレイヤーを備えた容器がより好ましく、スプレイヤーの噴霧方式は、直圧型あるいは蓄圧型を用いることができるが、液滴を均一に発生させ、噴霧後の液だれの少なさから蓄圧式を用いることが好ましい。
本発明で使用するスプレー容器は、液体を微粒子に噴霧することが出来るスプレイヤー部と、液体を充填する容器部から構成されるものが挙げられ、一般的に知れているものを使用することができる。該容器のスプレイヤー部としては、トリガー式のものが好ましく、1回のストロークで0.2g以上、好ましくは0.25g以上、そして、0.7g以下、好ましくは0.5g以下噴出するものが良好である。また、対象物から15cm離れた場所から噴霧したとき、1回のストロークで衣料に処理液が付着する面積が、100cm
2以上、好ましくは150cm
2以上、そして、800cm
2以下、好ましくは600cm
2以下になる容器が好ましい。実開平4−37554号公報に開示されているような蓄圧式トリガーを用いると良好である。
【0029】
工程2の洗浄工程において、使用後に衣料に付着した油脂汚れの脱離を促進できる点で、工程1での使用前の衣料の質量に対する、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの付着量は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.25質量%以上が更に好ましく、0.3質量%以上がより更に好ましく、0.4質量%以上がより更に好ましく、0.5質量%以上がより更に好ましく、0.6質量%以上がより更に好ましく、0.7質量%以上がより更に好ましく、0.8質量%以上がより更に好ましく、0.9質量%以上がより更に好ましく、1質量%以上がより更に好ましく、2質量%以上がより更に好ましく、3質量%以上がより更に好ましく、4質量%以上がより更に好ましく、5質量%以上がより更に好ましく、6質量%以上がより更に好ましく、7質量%以上がより更に好ましく、8質量%以上がより更に好ましく、9質量%以上がより更に好ましく、10質量%以上がより更に好ましい。また、衣料を手で触った時の感触や着心地において油っぽさが少ない点から、工程1での使用前の衣料の質量に対する、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの付着量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がましい。
【0030】
本発明の対象とする衣料としては、例えば、Yシャツ、肌着、Tシャツ、ポロシャツ等の衣料が挙げられる。洗顔、手洗いで使用するタオル、ハンカチ等の衣料が挙げられる。また、枕カバーやシーツ等の寝具に用いられる衣料が挙げられる。
衣料の素材としては、天然繊維、化学繊維の何れでもよい。衣料を構成する繊維は、1種類であっても良く、複数の種類の組み合わせであっても良い。化学繊維としては、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維が挙げられる。天然繊維としては、植物繊維、動物繊維が挙げられる。衣料は、植物繊維、再生繊維、及び合成繊維から選ばれる1種以上の繊維を含むことが好ましい。植物繊維は、綿、麻などが挙げられ、綿が好ましい。再生繊維は、キュプラ、レーヨン、ポリノジックレーヨンなどが挙げられる。合成繊維は、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリウレタンなどが挙げられる。
【0031】
本発明において、使用前の衣料とは、購入後に初めて使用する衣料や、前回の使用後に洗浄し、次に使用する前の衣料を表す。使用前の衣料として、例えばYシャツ、肌着、Tシャツ等の着用前の衣料が挙げられる。別の態様では、洗顔、手洗いで使用する為のタオル、ハンカチ等の衣料が挙げられる。また、枕カバーやシーツ等の寝具に用いられる衣料が挙げられる。
【0032】
これらの衣料は、使用中に油脂汚れが付着する。使用中とは、Yシャツ、肌着やTシャツ等の着用に適した衣料であれば、着用中であることを意味する。洗顔、手洗いで使用する為のタオルであれば、購入後又は前回の使用後に洗浄した後に初めて使用した時から、洗浄前の最後に使用した間を意味する。また、枕カバーやシーツ等の寝具に用いられる衣料であれば、購入後又は前回の使用後に洗浄した後に初めて使用した時から、洗浄前の最後に使用した間を意味する。
【0033】
工程1を行うことにより、衣料の洗浄時に、油脂汚れの衣料からの脱離を促進することができる。
また、工程1を行うことにより、衣料の洗浄時に、油脂汚れに対する洗浄力を向上することができる。
また、工程1を行うことにより、衣料の洗浄時に、洗浄にかかるコストを低減することができる。
【0034】
<工程2>
工程2は、工程1で得られた衣料を使用した後、該衣料を洗浄液で洗浄する工程である。
前記のような衣料を、その目的に応じて使用した後、洗浄に供する。通常、衣料を使用することで、油脂汚れが衣料に付着する。油脂汚れは、皮脂汚れ、食べこぼし汚れに含まれる場合が多い。より本発明の効果を享受できる点で、本発明の対象とする油脂汚れは、融点が25℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは45℃以上、更により好ましくは50℃以上である油脂を含む油脂汚れが好ましい。前記融点の上限値は100℃以下である。油脂としては、脂肪酸、脂肪酸グリセリド及びワックスから選ばれる1種以上の油脂を含む油脂が好ましい。より本発明の効果を享受できる点で、脂肪酸グリセリドは、脂肪酸トリグリセリドを含む脂肪酸グリセリドが好ましい。
【0035】
洗浄液は、溶媒を含有することが好ましい。溶媒としては、水及び有機溶媒から選ばれる1種以上の溶媒が挙げられる。水としては、イオン交換水、蒸留水、水道水等の水が挙げられる。有機溶媒としては、炭素数1以上8以下で水酸基を1個以上6個以下有するアルコール、流動パラフィン等の有機溶媒が挙げられる。洗浄後に環境に排出しやすい点で、溶媒は水が好ましい。
【0036】
洗浄液は、衣料からの汚れの脱離が向上する観点から、界面活性剤を含有することが出来る。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
【0037】
陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩及び脂肪酸塩から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤が好ましい。陰イオン界面活性剤中のアルキル基の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。また、オキシアルキレン基は、好ましくはエチレンオキシ基である。その平均付加モル数は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。陰イオン界面活性剤の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0038】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキシド付加物、アルキルグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、グリセリルモノエーテル等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、アルキル基の炭素数が10以上、20以下であり、エチレンオキシ基の平均付加モル数が5以上、50以下であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルがより好ましい。
【0039】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、具体的には、下記一般式(1)の化合物が挙げられる。
R
1−O[(EO)
p/(PO)
q]−H (1)
〔式中、R
1は炭素数10以上、好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基である。pは平均付加モル数であり0以上、30以下の数、qは平均付加モル数であり0以上、10以下の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。EOとPOはランダム重合でもブロック重合でもいずれでもよい。“/”は、EOとPOとの結合がランダムでもブロックでもよいことを示す記号である。〕
一般式(1)中、R
1は、直鎖又は分岐鎖である。R
1は、1級が好ましい。すなわち、R
1−Oにおいて、Oと結合するR
1の炭素原子が1級炭素原子であることが好ましい。
一般式(1)中、pの平均付加モル数は、好ましくは5以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、そして、好ましくは30以下、より好ましくは27以下、更に好ましくは23以下である。
また、一般式(1)中、qの平均付加モル数は、0以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。また、一般式(1)においては、EOとPOとはランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよい。
一般式(1)中のqが0の場合は、当該化合物は下記一般式(1’)で表され、R1、EO、pの定義は一般式(1)と同じであり、好ましい態様も一般式(1)と同じである。
R
1−O(EO)
p−H (1’)
〔式中、R
1は炭素数10以上、好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基である。pは平均付加モル数であり0以上30以下の数である。〕
【0040】
陽イオン界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、第4級アンモニウム型界面活性剤又は3級アミン型界面活性剤が挙げられ、更にはエーテル結合、オキシアルキレン基、エステル基、又はアミド基で分断されていてもよい炭素数6以上、22以下の炭化水素基を1つ有する第4級アンモニウム型界面活性剤又は3級アミン型界面活性剤が挙げられる。
【0041】
両性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば炭素数8以上、18以下のアルキル基を有するアルキルアミンオキシド、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、ホスホベタイン等が挙げられる。泡立ちの観点から、スルホベタイン、アミドベタイン及びカルボベタインからなる群から選ばれる1種以上の両性界面活性剤が挙げられる。
【0042】
洗浄液中の界面活性剤の含有量は、衣料からの汚れの脱離を促進する観点から、1mg/kg以上が好ましく、5mg/kg以上がより好ましく、10mg/kg以上が更に好ましく、50mg/kg以上がより更に好ましく、100mg/kg以上がより更に好ましく、そして、1000mg/kg以下が好ましく、500mg/kg以下がより好ましい。
また、本発明の洗浄方法によれば、洗浄液中の界面活性剤の含有量が少なくても、衣料からの汚れの脱離を促進することが出来る。洗浄液中の界面活性剤の含有量は、洗浄後に環境中へ排出される界面活性剤量が低減できる点で、100mg/kg以下が好ましく、80mg/kg以下がより好ましく、60mg/kg以下が更に好ましく、40mg/kg以下がより更に好ましく、20mg/kg以下がより更に好ましく、10mg/kg以下がより更に好ましい。0mg/kgでも良い。
【0043】
衣料の質量(kg)と洗浄液の容量(リットル)との比で表される浴比は、衣料からの汚れの脱離をより促進できる点で、〔洗浄液の容量(リットル)〕/〔衣料の質量(kg)〕は、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、そして300以下が好ましく、200以下が好ましく。150以下が好ましい。また、工程2で使用する洗浄液の量を少なく出来る点で、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、40以下が更に好ましく、30以下がより更に好ましい。
【0044】
衣料の洗浄時間は、衣料からの汚れの脱離を促進できる点で、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましく、1分以上が更に好ましく、そして、120分以下が好ましく、60分以下がより好ましく、30分以下が更に好ましく、20分以下がより更に好ましく、10分以下がより更に好ましい。
【0045】
衣料を洗浄する洗浄液の温度は、衣料からの汚れの脱離を促進できる点で、0℃以上が好ましく、3℃以上がより好ましく、5℃以上が更に好ましく、10℃以上がより更に好ましく、そして、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下が更に好ましく、35℃以下がより更に好ましい。
【0046】
洗浄液は、衣料用洗剤と水とを含有することが好ましい。市販の衣料用洗剤を水で希釈して洗浄液とすることが好ましい。
【0047】
<任意の工程>
本発明の衣料の洗浄方法は、前記の工程1と工程2以外にも任意の工程を含んでいても良い。任意の工程として例えば、乾燥工程が挙げられる。前記の工程1と溶媒が接触する、工程2においては衣料の洗浄の為に衣料と溶媒が接触する、工程1と工程2では溶媒の一部又は全部は衣料に付着している。本明細書において「乾燥工程」とは、衣料に付着した溶媒の量を減少させる工程をいう。衣料に付着した溶媒の量を減少させる方法は特に限定されるものではなく、いわゆる自然乾燥でもよく、あるいは人為的な操作、例えば、衣料を加熱したり、衣料に風を当てたり、減圧下又は低湿度下に衣料を置くこと等によって乾燥させてもよい。乾燥工程は工程1の後及び工程2の後の何れかにあっても良いが、両方にあることが好ましい。よって、本発明の衣料の洗浄方法は、工程1、工程1の後に行う第1の乾燥工程、及び第1の乾燥工程の後に行う工程2を有することができる。更に、本発明の衣料の洗浄方法は、工程1、工程1の後に行う第1の乾燥工程、第1の乾燥工程の後に行う工程2、及び工程2の後に行う第2の乾燥工程を有することができる。
【0048】
本明細書において、乾燥工程における衣料の乾燥状態は、官能評価や数値評価で乾燥状態を判断することが出来る。官能評価の場合、例えば衣料の表面と指先等の皮膚が接触した時に乾いたと感じる程度であることで評価することが出来る。
数値評価の場合は、評価試験に用いる大きさが制限された均質の布帛の場合は容易に求められるが、縫製を伴った衣料を用いる場合、衣料は種類の異なる布帛の組合せ、部位による布の厚みの違い、複数の布の重なり、及び縫製部分、を有することから布として均質でなく、部位によって重さが異なる。とりわけ衣料の一部分に工程1を行う場合、衣料の一部に塗布して、塗布量と繊維の関係を測るべくその部分だけを切り取って質量を測定することは現実的ではない。乾燥工程においては、日常的に湿り気が除外され乾いたと思える“状態”にまで乾燥できれば良い。衣料全体に充分に溶媒が接触し、衣料全体の質量を測定できる場合には、数値による測定が可能である。例えば、溶媒と接触する前の衣料の質量をXkg、溶媒と接触した後に乾燥工程の乾燥工程を行った後の衣料の質量をYkgとした時に、(Y/X)で表される値が0.95以上、1.3以下である状態を乾燥した状態と判断できる。(Y/X)が1未満であることは、一見すると矛盾するように思える。しかしながら、工程1や工程2において衣料から、衣料を構成する糸や繊維が抜け落ちることがあり、(Y/X)が1未満になることは現象として観察される場合がある。
【0049】
乾燥工程をより短い時間で行う為に、脱水工程を含んでいても良い、脱水工程は乾燥工程の前に行うことが好ましい。脱水工程とは、処理液ないし洗浄液が付着した衣料から、遠心力、圧力等の外力により、処理液ないし洗浄液の量を減少させる工程を言う。脱水工程は、具体的には、遠心分離により脱水する、衣料を手で絞って脱水する、などの方法が挙げられる。よって、本発明の衣料の洗浄方法は、工程1、工程1の後に行う第1の脱水工程、第1の脱水工程の後に行う第1の乾燥工程、及び第1の乾燥工程の後に行う工程2を有することができる。更に、本発明の衣料の洗浄方法は、工程1、工程1の後に行う第1の脱水工程、第1の脱水工程の後に行う第1の乾燥工程、第1の乾燥工程の後に行う工程2、工程2の後に行う第2の脱水工程、及び第2の脱水工程の後に行う第2の乾燥工程を有することができる。
【実施例】
【0050】
〔実施例1及び比較例1〕
<油脂汚れ>
トリオレイン(融点−4℃)とトリパルミチン(融点63℃)を、トリオレイン/トリパルミチン=9/1の質量比で、55℃で混合したものを油脂汚れとして用いた。
【0051】
<工程1:衣料へのポリグリセリン脂肪酸エステルの付着>
粉末洗剤アタックで5回洗浄し十分に脱水した後乾燥させた木綿メリヤス(綿ニット未シル、綿100%、色染試材株式会社 谷頭商店より購入)を6cm×6cmの大きさに裁断したものを評価用衣料とした。
表1に示す種々のポリグリセリン脂肪酸エステルについて、衣料への吸着量が10〜12質量%o.w.fとなるように、各ポリグリセリン脂肪酸エステルの3質量%または5質量%クロロホルム溶液を処理液として調製し、その100gに、前記の評価用衣料4枚(合計約3.3g)を5秒間浸漬させ、取り出して25℃、35%RHの環境下で6時間放置した。ここで、質量%o.w.fは、評価用衣料の質量に対するポリグリセリン脂肪酸エステルが付着した質量の質量%の意味である。6時間放置した後の衣料を手で触っても、溶媒由来の湿り気は感じられず乾燥していた。
浸漬前の評価用衣料の25℃、35%RHでの質量と、浸漬し乾燥後の評価用衣料の質量とを測定し、増加した質量分から下記の式で、評価用衣料に対するポリグリセリン脂肪酸エステルの付着量を算出した。
付着量(質量%)=〔[(浸漬し乾燥後の評価用衣料4枚の質量の合計)−(浸漬前の評価用衣料4枚の質量の合計)]/浸漬前の評価用衣料4枚の質量の合計〕×100
尚、比較例1は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含まないクロロホルムのみを用いて、前記と同様の操作を行った。
また、本実施例において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの衣料への吸着量は、衣料の質量に対して10〜12質量%の範囲であった。この範囲であれば、ポリグリセリン脂肪酸エステルの吸着量の相違は後述する油脂汚れの脱離率に、ほとんど影響しないと考えられる。そのため、表1における油脂汚れの脱離率は、同量のポリグリセリン脂肪酸エステルが吸着した場合の結果として捉えることができる。
【0052】
<油脂汚れの付着及び洗浄>
衣料の使用を想定して、前記油脂汚れを70℃で溶解させ、上記で工程1の処理をした評価用衣料の中心に、評価用衣料1枚につき100μl付着させた。その後、25℃、35%RHの環境下で18時間放置した。
放置後の評価用衣料を4枚1セットとして洗浄した。上記のように、ポリグリセリン脂肪酸エステルを付着させる際、同じ剤の処理を4枚で行うため、1セットが4枚となる。
洗浄条件は以下の通りであった。
洗浄装置:ターゴトメーター、回転数85rpm
洗浄時間:10分
洗剤:ウルトラアタックNeo(花王株式会社)
洗剤使用量:0.2g
水温:20℃
水の硬度4°DH(Ca:Mg=8:2)
水量:600ml
この条件で洗浄を行った後、水道水で流水すすぎをし、2槽式洗濯機の脱水槽で脱水した後、25℃、35%RHの環境下で12時間放置して乾燥させた。
【0053】
<洗浄力の評価>
上記方法により洗浄された評価用衣料からの油脂汚れの脱離率を測定して洗浄力を評価した。
ガスクロマトグラフ法を用いて検出された油脂由来のピークの面積の合計を油脂汚れの量とした。ガスクロマトグラフ法での油脂汚れの測定は、以下の方法で行った。
洗浄前と洗浄後の評価用衣料をそれぞれメタノール/クロロホルム=1/1の溶媒で抽出した後、下記測定条件におけるガスクロマトグラフィ(GC)を用いて、洗浄前と洗浄後の油脂由来のピーク面積の総和の差から下記の式で脱離率(%)を算出した。結果を表1に示す。比較例1よりも脱離率が大きい例が合格であるが、以下の方法で求められる脱離率が30%以上であることが好ましい。脱離率の値が大きい程、油脂汚れに対する洗浄力に優れると言える。
【0054】
(抽出条件)
高速高圧溶媒抽出器を用いて、下記条件で抽出した。尚、各実施例の評価用衣料からの抽出液の量は常に一定量になるように調整した。また、4枚の評価用衣料をまとめて下記条件で抽出した。
・機器:PSE−916(BUCHI社製)
・抽出溶媒:メタノール/クロロホルム=1/1
・温度:100℃
・圧力:103bar(10.3MPa)
・バイアル:60ml
・セル:40ml
・サイクル:3
・溶媒フラッシュ:1min
・ガスフラッシュ:3min
【0055】
(GC測定条件)
・機器:Agilent 7890A Series GC
・カラム:Agilent J&W GCColumns DB-1HT、15m×250um×0.1um(Length×I.D.×Film)
・検出器:FID(330℃)、H2:30mL/min.、Air:400mL/min.
・キャリヤーガス:He(カラム流量:0.99301mL/min.、平均線速度:30cm/sec)
・注入:スプリット法(19.967:1)、1uL注入
・温度:300℃
・圧力:49.057kPa
・トータルフロー:23.821mL/min.
・オーブン温度:60℃スタート→昇温速度(12℃/min.)→325℃(33min.)
【0056】
脱離率(%)=〔[(洗浄前の評価用衣料から抽出された油脂由来のピーク面積の合計)−(洗浄後の評価用衣料から抽出された油脂由来のピーク面積の合計)]/(洗浄前の評価用衣料から抽出された油脂由来のピーク面積の合計)〕×100
【0057】
【表1】
【0058】
表1で用いたPGE−1〜12は市販品を使用した。阪本薬品工業(株)製のSYグリスターMCA−150、KCI Ltd.製のPGLCP 102KC、理研ビタミン(株)製のポエムDL−100、三菱化学フーズ(株)製のリョートーポリグリエステルCA−F4、L−7D、L−10D、(株)ダイセル製のPGLE ML10、太陽化学(株)製のサンソフトM−12J、サンオイルDDI、サンソフトQ−1710S、サンソフトQ−1810Sを、前記の「エステル化率の測定及び算出方法」に従って、けん化価(SV)、酸価(AV)及び水酸基価(OHV)を測定し、エステル化率、計算HLB又はポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリン骨格の平均重合度(n)を算出し、表1にまとめて記載した。
【0059】
〔実施例2〕
ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、表1のPGE−4を用い、工程1での処理液中のポリグリセリン脂肪酸エステルの濃度を表2のように変更して、実施例1と同様に脱離率を評価した。結果を、ポリグリセリン脂肪酸エステルの評価用衣料への付着量と共に、表2に示した。
【0060】
【表2】