(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凍結管配置ラインと前記測温管との距離が、平面視して前記凍結管の凍結想定半径または前記所定の間隔よりも小さいことを特徴とする請求項3または請求項5記載の凍土方式遮水壁の造成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の凍結促進対策を講じる場合、基本的に凍土が閉合しない箇所でのボーリングが必要となる。しかし、地盤中に支障物が存在し、支障物付近で凍結管の設置間隔が相対的に広くなることにより凍土の形成が遅れて地下水流が集中して凍土が閉合しない場合、当該箇所でのボーリングの実施が不可能であった。また、凍結管を一定間隔に配置したにも関わらず地下水流が集中して凍土が閉合しない場合、閉合しない箇所がどこに生じるのかを事前に予測することが難しいため、凍土方式遮水壁の造成を開始した後に、未閉合箇所の位置を調査する必要があった。
【0007】
また、凍土方式遮水壁と他方式の遮水壁とを組み合わせて一体の遮水壁とする場合にも、接続部が未凍結部となって地下水流が集中し、両者が一体化しない可能性があった。接続部の凍結管と他方式の遮水管との離隔を小さくすれば、接続部に未凍結部が残る可能性が低下するが、離隔が小さすぎると凍結管と他方式の遮水壁とが施工誤差により接触して施工不能となるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、凍土が閉合し難い箇所を事前に予測し、凍結促進対策を早期に確実に講じることができる凍土方式遮水壁の造成方法を提供することである。
【0009】
前述した目的を達成するために第1の発明は、地盤の凍結管配置ライン上に複数の凍結管を設置する工程aと、前記凍結管の設置間隔が所定の間隔より大きい箇所に先行凍土を形成する工程bと、前記凍結管の設置間隔が所定の間隔である箇所に凍土を形成する工程cと、を具備することを特徴とする凍土方式遮水壁の造成方法である。
【0010】
第1の発明では、工程aで地盤の凍結管配置ライン上に複数の凍結管を設置する際に凍結管の設置間隔が所定の間隔より大きい箇所を設けておき、工程bで凍結管の設置間隔が所定の間隔より大きい箇所に先行凍土を形成することにより、凍土の形成が遅れやすい箇所を確実に閉合させることができる。
【0011】
第1の発明では、前記工程cで凍土の形成が遅れている箇所に、凍結促進のための補助工法を適用することが望ましい。
工程cで凍土の形成が遅れている箇所に凍結促進のための補助工法を適用することにより、工期を短縮することができる。
【0012】
第1の発明では、前記工程cの前に、前記凍結管配置ラインと並列に複数の測温管を設置し、前記工程cで、前記測温管を用いて測定した温度の経時曲線の所定の期間の温度低下傾向から地中温度が目標値に達するまでの残日数を推定し、前記残日数に応じて凍結促進のための補助工法を適用する箇所を決定してもよい。
工程cで、地中温度が目標値に達するまでの残日数を推定することにより、凍土が閉合し難い箇所を事前に予測し、凍結促進対策を早期に確実に講じるべき箇所を決定することができる。
【0013】
第1の発明では、前記工程cで、凍土の形成が遅れている箇所を意図的に発生させ、前記工程cの後に、前記凍土の形成が遅れている箇所に後行凍土を形成する工程dをさらに具備してもよい。
工程cで、凍土の形成が遅れている箇所を意図的に発生させれば、地下水の流路が確保され、他の部分の凍土が形成されやすくなる。また、凍土が閉合し難い箇所を事前に予測し、凍結促進対策を早期に確実に講じることができる。
【0014】
第1の発明では、工程cで発生した、前記凍土の形成が遅れている箇所に、隣接して測温管を増設してもよい。
凍土の形成が遅れている箇所に隣接して測温管を増設すれば、凍土の形成状況を把握しやすい。
【0015】
第1の発明では、測温管を設置する場合、前記凍結管配置ラインと前記測温管との距離が、平面視して前記凍結管の凍結想定半径または前記所定の間隔よりも小さいことが望ましい。
凍結管配置ラインと測温管との距離を、平面視して凍結管の凍結想定半径または凍結管の所定の設置間隔よりも小さくすることにより、凍土形成中の地盤の温度を適切に測定することができる。
【0016】
第2の発明は、他方式の遮水壁と連続して造成される凍土方式遮水壁の造成方法であって、平面視で前記他方式の遮水壁の延長上に設けられた第1の凍結管と、平面視で前記他方式の遮水壁に並列に隣接して設けられた第2の凍結管との間隔が、前記凍土方式遮水壁を造成するために設けられた複数の凍結管の設置間隔よりも小さいことを特徴とする凍土方式遮水壁の造成方法である。
【0017】
第2の発明では、例えば、前記他方式の遮水壁は鋼管矢板であり、前記第2の凍結管が、前記鋼管矢板の端部の鋼管内に設けられる。
【0018】
他方式の遮水壁を構成する材料は、一般に地盤よりも熱伝導率が大きいため、平面視で他方式の遮水壁の延長上に設けられた第1の凍結管と、平面視で他方式の遮水壁に並列に隣接して設けられた第2の凍結管との間隔を、凍土方式遮水壁を造成するために設けられた複数の凍結管の設置間隔よりも小さくすれば、他方式の遮水壁と凍土方式遮水壁との間を確実に凍結させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、凍土が閉合し難い箇所を事前に予測し、凍結促進対策を早期に確実に講じることができる凍土方式遮水壁の造成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、凍土方式遮水壁27を造成するための各工程を示す図である。
図1(a)は、地盤2に凍結管1および測温管7を設置する工程を示す図、
図1(b)は、先行凍土17を形成する工程を示す図、
図1(c)は、凍土19を形成する工程を示す図、
図1(d)は、後行凍土23を形成する工程を示す図である。
【0022】
図2は、地盤2の垂直方向の断面を示す図、
図3は、凍結運転日数と温度との関係を示すグラフの例、
図4は、凍土方式遮水壁27の造成方法のフローチャートを示す図である。以下、
図4に示すフローチャートを用いて、凍土方式遮水壁27の造成方法について説明する。
【0023】
凍土方式遮水壁27を造成するには、まず、先行凍結を行う(ステップ101)。ステップ101では、
図1(a)に示すように、地盤2の凍結管配置ライン5上に、複数の凍結管1を設置する。複数の凍結管1は、所定の間隔3をおいて設置される。但し、地盤2中に支障物9が存在する箇所では、支障物9を挟んで凍結管1aを設置するため、凍結管1a同士の間隔3aが所定の間隔3より大きい。凍結管1は、
図2に示すように、下端が不透水層13に達する。
【0024】
また、凍結管配置ライン5と並列に、複数の測温管7を設置する。測温管7は、凍結管配置ライン5より地下水流の例えば上流側に設置される。測温管7は、凍結管配置ライン5と測温管7との距離が、平面視して凍結管1の凍結想定半径または凍結管1が設置される間隔3よりも小さいものとする。測温管7は、
図2に示すように、透水層11に配置される。測温管7には、例えば光ファイバセンサが配置され、測温箇所15で温度の測定が行われる。測温箇所15は、例えば1m間隔で設定され、1mごとの平均値で温度管理が行われる。
【0025】
なお、例えば、凍結管1の間隔3が1mであり、各凍結管1の周囲に造成される凍土の半径が1mと予定される場合、測温管7と凍結管配置ライン5との距離を85cmとし、測温管7を5m間隔で配置すれば、温度差を検知することが可能である。
【0026】
ステップ101では、
図1(a)に示すように地盤2に凍結管1および測温管7を設置した後、凍結管1の設置間隔が所定の間隔3より大きい箇所、すなわち、凍結管1aが支障物9を挟んで間隔3aで設置された箇所の先行凍結を行う。凍結管1aを用いて先行凍結を行うことにより、
図1(b)に示すように、支障物9付近の地盤2に先行凍土17が形成される。
【0027】
ステップ101の後、全体凍結を行い(ステップ102)、凍結完了日を予測する(ステップ103)。ステップ102では、残りの凍結管1を用いて、凍結管1が所定の間隔3で設置された箇所の凍結を行う。なお、ステップ102の開始は、ステップ101の先行凍結の開始から十分な時間が経っていれば、先行凍土17の完成前であってもよい。
【0028】
ステップ103では、測温管7を用いて測定した温度の経時曲線の所定の期間の温度低下傾向から地中温度が目標値に達するまでの残日数を推定する。ステップ103では、各測温管7の複数の測温箇所15(
図2)について経時曲線から凍結完了日を予測し、現在から凍結完了日までの残日数を算出する。そして、複数の測温箇所15の残日数の最大値を、その測温管7の位置における残日数と推定する。
【0029】
温度の経時曲線29は、一般的に
図3に示す例のようになる。
図3に示すグラフの温度の経時曲線29から凍結完了日を予測するには、凍結運転日数13日から20日の期間を着目期間とする。また、地中温度の目標値を0℃とする。そして、着目期間の平均温度低下速度を示す直線31の勾配を1/2倍した直線33を用い、直線33の温度が目標値である0℃になる日数35を凍結完了日と予測する。そして、現在から予測した凍結完了日までの残日数を算出する。
【0030】
なお、凍結完了日を予測する際、経時曲線29の着目期間は13日から20日に限らず、地中温度の目標値は0℃に限らない。また、評価に用いる直線の勾配は、着目期間の平均温度低下速度を示す直線31の勾配の1/2倍に限らない。但し、これらの値を用いれば、予測した凍結完了日が実際の凍結完了日34より早くなることがほぼなく、安全側の評価を実施することができる。
【0031】
ステップ102により、
図1(c)に示すように、凍結管配置ライン5のほぼ全体に凍土19が形成されるが、矢印Aに示すように地下水流が集中する箇所では、凍土の形成が遅れている未閉合箇所21が生じる。未閉合箇所21の位置は、ステップ103により予測される。
【0032】
ステップ103の後、補助工法に着手する(ステップ104)。ステップ104では、まず、ステップ103により予測した残日数に応じて、凍結促進のための補助工法を適用する未閉合箇所21を決定する。例えば、残日数が許容日数以上となった箇所に補助工法を適用してもよいし、相対的にみて凍結が遅い箇所に補助工法を適用してもよい。
【0033】
そして、補助工法を適用すると決定した未閉合箇所21に、凍結促進のための補助工法を適用して、
図1(d)に示すように後行凍土23を形成する。補助工法は、例えば、地下水流の上流側に薬液注入を行うことによる地下水流速の低減、凍結管の追加設置、地下水流の上流側での揚水、下流側への注水などが考えられる。補助工法の適用時には、凍結が遅れている未閉合箇所21(
図1(c))の凍結管1bに隣接して測温管25(
図1(d))を増設し、測温管25により後行凍土23の形成具合を把握してもよい。
【0034】
ステップ104の後、造成完了を確認する(ステップ105)。ステップ105では、凍土方式遮水壁27の造成が完了しているか否かを確認する。
図1(d)に示すように、未閉合箇所21(
図1(c))に後行凍土23が形成され、凍土方式遮水壁27の造成が完了している場合は、最終確認後、維持管理へ移行する(ステップ106)。完了していない場合は、ステップ104に戻る。
【0035】
このように、第1の実施の形態によれば、地盤2の凍結管配置ライン5上に複数の凍結管1を設置する際に凍結管1の設置間隔3aが所定の間隔3より大きい箇所を設け、その箇所に先行凍土17を形成することにより、凍土の形成が遅れやすい箇所を確実に閉合させることができる。
【0036】
また、凍結管配置ライン5に隣接して設置した測温管7を用いて測定した温度の経時曲線29の所定の期間の温度低下傾向から地中温度が目標値に達するまでの残日数を推定することにより、凍土19の形成状況を把握するとともに、凍土19が閉合し難い箇所を事前に予測し、凍結促進対策を講じるべき箇所を適切に決定することができる。そして、未閉合箇所21に凍結促進対策のための補助工法を実施することにより、早期に確実に後行凍土23を形成し、凍土方式遮水壁27を造成することができる。
【0037】
さらに、凍土の形成が遅れている未閉合箇所21に隣接して測温管25を増設すれば、後行凍土23の形成状況を把握しやすい。凍結管配置ライン5と測温管7や測温管25との距離を、平面視して凍結管1の凍結想定半径または凍結管1の所定の設置間隔3よりも小さくすることにより、凍土形成中の地盤2の温度を適切に測定することができる。
【0038】
なお、第1の実施の形態では、
図4に示すように、凍土方式遮水壁27の造成完了を確認する前に凍結促進のための補助工法に着手したが、凍土方式遮水壁27の造成手順はこれに限らない。
【0039】
図5は、凍土方式遮水壁27の他の造成方法のフローチャートを示す図である。
図5に示す造成方法は、
図4に示す造成方法とほぼ同じであるが、ステップ103で凍結完了日を予測した後、ステップ107で造成完了を確認する。そして、凍土方式遮水壁27が完成していれば、最終確認後、維持管理へ移行する(ステップ109)。凍土方式遮水壁27完成しておらず、
図1(c)に示すような未閉合箇所21があれば、補助工法に着手し(ステップ108)、その後、ステップ107に戻る。
【0040】
また、第1の実施の形態では、測温管7、測温管25を設置して凍土19、後行凍土23の形成状況を把握したが、測温管7、測温管25の設置は必須ではない。測温管7を用いた未閉合箇所21の予測を行わず、凍土19の形成が遅れている箇所に凍結促進のための補助工法を適用してもよい。
【0041】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図6は、凍土の形成が遅れている箇所を意図的に発生させる方法を示す図である。第2の実施の形態における凍土方式遮水壁の造成方法は、第1の実施の形態とほぼ同様であるが、第2の実施の形態では、全体凍結を行う際に意図的に凍土の形成が遅れている箇所を発生させる。
【0042】
第2の実施の形態では、
図4に示すステップ102において全体凍結を行う際に、
図6に示すように、一部の凍結管1cの稼働を遅らせて、凍土の形成が遅れている未閉合箇所39を選択的に任意の位置に発生させる。これにより、矢印Bに示すように、地下水の流路が確保され、他の箇所の凍土37が確実に形成される。
【0043】
そして、ステップ103の後、適切な時期に、凍結管1cを稼働させて未閉合箇所39に後行凍土を形成して凍土37を閉合させる。または、薬液注入等の補助工法を実施する。また、ステップ103で未閉合箇所39の他に意図せず発生した未閉合箇所の存在を把握した場合には、ステップ104で補助工法に着手する。そして、凍土37を閉合し、凍土方式遮水壁を完成させる。
【0044】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図7は、凍土の形成が遅れている箇所を意図的に発生させる方法を示す図である。
図7(a)は、凍土41を形成する工程を示す図、
図7(b)は、後行凍土47を形成する工程を示す図である。第3の実施の形態における凍土方式遮水壁の造成方法は、第1の実施の形態とほぼ同様であるが、第3の実施の形態では、全体凍結を行う際に意図的に凍土の形成が遅れている箇所を発生させる。
【0045】
第3の実施の形態では、
図4に示すステップ101で先行凍結を行うために地盤2の凍結管配置ライン5上に複数の凍結管1を設置する際に、
図7(a)に示すように、先行凍土17を形成するための凍結管1a同士の間隔3aのみでなく、凍結管1d同士の間隔3bも所定の間隔3より大きくしておく。凍結管1dの設置位置は、任意である。
【0046】
そして、ステップ101の後、ステップ102において全体凍結を行う際に、
図7(a)に示すように、凍結管1d同士の間隔3bが所定の間隔3より大きい箇所に、凍土の形成が遅れている未閉合箇所43を発生させる。ステップ102では、未閉合箇所43が地下水の流路となることにより、他の箇所の凍土41が確実に形成される。
【0047】
次に、ステップ103の後、適切な時期に、
図7(a)に示す未閉合箇所43の測温管7を凍結管として用いることにより、未閉合箇所43に
図7(b)に示す後行凍土47を形成する。このとき、新たな測温管45を必要な深さまで設置し、後行凍土47の形成状況を把握する。また、ステップ103で未閉合箇所43の他に意図せず発生した未閉合箇所の存在を把握した場合には、ステップ104で補助工法に着手する。そして、凍土41を閉合し、凍土方式遮水壁49を完成させる。
【0048】
第2、第3の実施の形態では、凍結管1cの稼働を遅らせたり、先行凍土17を形成する箇所とは別に凍結管1dの設置間隔3bが広い箇所をあらかじめ設けたりすることにより、凍土の形成が遅れている箇所を意図的に発生させることにより、地下水の流路を確保し、他の部分に凍土を形成しやすくできる。また、意図的に凍土の形成を遅らせることで、凍土が閉合し難い箇所を事前に予測し、凍結促進対策を早期に確実に講じることができる。
【0049】
第3の実施の形態では、凍土の形成が遅れている未閉合箇所43を凍結する際に、既設の測温管7を凍結管として用い、隣接して新たな測温管45を増設することにより、凍土の形成状況を把握しつつ、早期に後行凍土47を形成できる。
【0050】
なお、第2、第3の実施の形態においても、測温管7や測温管45の設置は必須ではない。測温管7を用いた未閉合箇所の予測を行わずに、意図せず凍土の形成が遅れている箇所に凍結促進のための補助工法を適用するとともに、意図的に凍土の形成を遅らせた箇所に後行凍土を形成してもよい。
【0051】
次に、第4の実施の形態について説明する。
図8は、鋼管矢板51の遮水壁と連続して凍土方式遮水壁63を造成する方法を示す図である。
図8(a)は、凍結管53、55を設置する工程を示す図、
図8(b)は、凍土方式遮水壁63を完成する工程を示す図である。
【0052】
地盤62に設置された鋼管矢板51の遮水壁に連続して凍土方式遮水壁63を造成するには、まず、
図8(a)に示すように、平面視で鋼管矢板51の遮水壁の延長上に、第1の凍結管である53を複数本設置する。また、鋼管矢板51の端部の鋼管51a内に、第2の凍結管である凍結管55を設置する。複数の凍結管53のうち鋼管矢板51に隣接する凍結管53aと凍結管55との間隔59は、凍結管53同士の設置間隔57よりも小さい。
【0053】
次に、凍結管53aと凍結管55とを稼働させ、
図8(b)に示すように、鋼管矢板51の端部を含む先行凍土61を形成する。その後、他の凍結管53を稼働させて先行凍土61に連続する凍土を形成し、凍土方式遮水壁63の造成を完了する。
【0054】
第4の実施の形態での鋼管矢板51の遮水壁は、一般に地盤62よりも熱伝導率が大きい。そのため、平面視で鋼管矢板51の遮水壁の延長上に設けられた凍結管53aと、鋼管矢板51の端部の鋼管51a内に設けられた凍結管55との間隔59を、凍土方式遮水壁63を造成するために設けられた複数の凍結管53同士の間隔57よりも小さくすれば、鋼管矢板51の遮水壁と凍土方式遮水壁63との間を確実に凍結させ、鋼管矢板51の遮水壁に連続して凍土方式遮水壁63を造成することができる。
【0055】
なお、第4の実施の形態では、他方式の遮水壁として鋼管矢板51の遮水壁を例示したが、他方式の遮水壁を地盤よりも熱伝導率が大きい鋼矢板、コンクリート、モルタル製等の遮水壁とし、第4の実施の形態と同様の方法で、他方式の遮水壁に連続して凍土方式遮水壁を造成してもよい。
【0056】
図9は、鋼矢板65の遮水壁と連続して凍土方式遮水壁75を造成する方法を示す図である。
図9に示す例において、地盤72に設置された鋼矢板65の遮水壁に連続して凍土方式遮水壁75を造成するには、まず、
図9に示すように、平面視で鋼矢板65の遮水壁の延長上に、第1の凍結管である67を複数本設置する。また、平面視で鋼矢板65の遮水壁に並列に隣接して、第2の凍結管である凍結管69を設置する。複数の凍結管67のうち鋼矢板65に隣接する凍結管67aと凍結管69との間隔73は、凍結管67同士の設置間隔71よりも小さい。
【0057】
次に、凍結管67aと凍結管69とを稼働させ、鋼矢板65の端部を含む先行凍土を形成する。その後、他の凍結管67を稼働させて先行凍土に連続する凍土を形成し、凍土方式遮水壁75の造成を完了する。
【0058】
第4の実施の形態や、
図9に示す例では、第1の凍結管と第2の凍結管とを稼働させて他方式の遮水壁と凍土方式遮水壁との接続部に先行凍土を形成した後に他の凍結管を稼働させたが、全ての凍結管を同時に稼働させてもよい。他方式の遮水壁が地盤よりも熱伝導率の大きい材料で構成され、第1の凍結管と第2の凍結管との間隔が、他の凍結管同士の間隔よりも小さければ、全ての凍結管を同時に稼働させても、他方式の遮水壁と凍土方式遮水壁との接続部を先行して確実に凍結させることができる。
【0059】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。