(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に搭載される、電源、キャパシタ、負荷回路、前記車両のボディ接地のうち、前記電源、前記キャパシタ及び前記ボディ接地を直列接続後、第1の時間だけ充電された前記キャパシタの第1の電圧と、前記第1の時間よりも長い第2の時間だけ充電された前記キャパシタの第2の電圧を計測する計測部と、
前記第2の電圧から前記第1の電圧を差し引いた電圧差を算出し、該電圧差をもとに前記車両の絶縁抵抗が正常か否かを判定する判定部と
を備え、
前記第1の時間は、前記車両において発生する全浮遊容量に対して、前記キャパシタのチャージが定常状態となる時間である
ことを特徴とする絶縁異常検知装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して本願に係る絶縁異常検知装置及び絶縁異常検知方法の実施形態の一例について説明する。なお、以下に示す実施形態は、開示の技術に係る構成及び処理について主に示し、その他の構成及び処理の説明を省略する。また、以下に示す実施形態は、開示の技術を限定するものではない。そして、各実施形態及びその変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせてもよい。また、各実施形態において、同一の構成及び処理には同一の符号を付与し、既出の構成及び処理の説明は省略する。
【0011】
[実施形態1]
(実施形態1に係る車載システムについて)
図1は、実施形態1に係る車載システムの一例を示す図である。車載システム1は、例えば、ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)等の車両に搭載されるシステムである。車載システム1は、車両の動力源であるモータへ電力を供給する電源の充放電を含む制御を行う。
【0012】
車載システム1は、組電池2、SMR(System Main Relay)3a及び3b、モータ4、コンプレッサ5、電池ECU10、PCU20、エアコンECU30、MG_ECU(Motor Generator ECU)40、HV_ECU(Hybrid ECU)50を含む。モータ4、コンプレッサ5、PCU20、エアコンECU30、MG_ECU40等の電装部品は、負荷回路の一例である。なお、PCUは、Power Control Unitの略である。また、ECUは、Electric Control Unitの略である。
【0013】
組電池2は、図示しない車体と絶縁された電源(バッテリ)であり、直列に接続された複数、例えば2個の電池スタック2A、電池スタック2Bを含んで構成される。電池スタック2A、電池スタック2Bは、直列に接続された複数、例えば3個の電池セル2a、電池セル2bをそれぞれ含んで構成される。すなわち、組電池2は、高圧直流電源である。
【0014】
なお、電池スタックの数、電池セルの数は、上記あるいは図示のものに限定されない。また、電池セルは、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0015】
SMR3aは、HV_ECU50の制御によりオン及びオフされ、オンのときに、組電池2の最上位の電圧側とPCU20とを接続する。また、SMR3bは、HV_ECU50の制御によりオン及びオフされ、オンのときに、組電池2の最低位の電圧側とPCU20とを接続する。
【0016】
(実施形態1に係る電池ECUについて)
電池ECU10は、組電池2の状態監視及び制御を行う電子制御装置である。電池ECU10は、監視IC(Integrated Circuit)11a、監視IC11b、電圧検出回路12、A/D(Analog/Digital)変換部13、制御部14、電源IC15を含む。電源IC15は、監視IC11a、監視IC11b、電圧検出回路12、A/D変換部13、制御部14へ電力を供給する。
【0017】
監視IC11aは、複数の電池セル2aそれぞれと接続され、各電池セル2aの電圧を監視する。また、監視IC11aは、電池スタック2Aの最上位の電圧側及び最低位の電圧側と接続され、電池スタック2Aの電圧を監視する。また、監視IC11bは、複数の電池セル2bそれぞれと接続され、各電池セル2bの電圧を監視する。また、監視IC11bは、電池スタック2Bの最上位の電圧側及び最低位の電圧側と接続され、電池スタック2Bの電圧を監視する。
【0018】
なお、1つの電池セルに対してそれぞれ1つの監視ICが設けられるとしてもよいし、組電池2に対して1つの監視ICが設けられるとしてもよい。1つの電池セルに対してそれぞれ1つの監視ICが設けられる場合には、制御部14は、各監視ICが監視する各電池スタックの電圧の合計を、組電池2の総電圧として用いる。また、組電池2に対して1つの監視ICが設けられる場合には、制御部14は、監視ICが監視する組電池2の総電圧を用いる。なお、監視IC11a及び11bは、制御部14に対する外部装置である。
【0019】
(浮遊容量データテーブルについて)
図2は、実施形態1に係る浮遊容量データテーブルの一例を示す図である。実施形態1に係る浮遊容量データテーブル14t−1は、後述する制御部14の絶縁異常判定部14dが有する。浮遊容量データテーブル14t−1は、「浮遊容量発生箇所」と「浮遊容量」とを対応付けて格納する。「浮遊容量発生箇所」は、組電池2及び電池ECU10を含む“バッテリ”、コンプレッサ5及びエアコンECU30を含む“エアコン”、モータ4、PCU20等である。「浮遊容量」は、各「浮遊容量発生箇所」において発生する浮遊容量の値である。
図2に示す例では、例えば“バッテリ”は、“C
S1”の浮遊容量である。なお、「浮遊容量」は、仕様に基づく理論値であってもよいし、実測値であってもよい。
【0020】
(電圧検出回路について)
図3は、実施形態1に係る電圧検出回路の一例を示す図である。なお、
図3は、電圧検出回路の一例を示すに過ぎず、同様の機能を有する他の回路構成も採用できる。
図3に示すように、電圧検出回路12は、第1スイッチ12−1〜第7スイッチ12−7、キャパシタ12c−1、キャパシタ12c−2、第1抵抗12r−1、第2抵抗12r−2を含む。なお、第1スイッチ12−1〜第7スイッチ12−7としては、例えばソリッドステートリレー(SSR:Solid State Relay)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0021】
ここで、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2は、フライングキャパシタとして用いられる。第5スイッチ12−5がオンとされると、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2が並列接続状態となり、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2が共にフライングキャパシタとして機能する。また、第5スイッチ12−5がオフとされると、キャパシタ12c−2が電圧検出回路12から切り離され、キャパシタ12c−1のみがフライングキャパシタとして機能する。
【0022】
なお、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2をフライングキャパシタとして用いるか、キャパシタ12c−1のみをフライングキャパシタとして用いるかは、充電されたフライングキャパシタの電圧に基づく計測対象に応じて適宜変更できる。例えば、キャパシタ12c−1のみをフライングキャパシタとして用いる場合には、フライングキャパシタの容量を相対的に小さくできるため、充電時間が相対的に短時間となる。以下では、第5スイッチ12−5がオフとされ、キャパシタ12c−1のみがフライングキャパシタとして機能する場合を説明する。しかし、これに限らず、第5スイッチ12−5がオンとされ、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2が共にフライングキャパシタとして機能する場合も同様である。
【0023】
また、
図1に示すように、電池スタック2Aの正極側がSMR3aを介してPCU20の抵抗23a−1と接続され、電池スタック2Bの負極側がSMR3bを介してPCU20の抵抗23a−2と接続される。抵抗23a−1及び23a−2の抵抗値は、等しい。
【0024】
電圧検出回路12では、キャパシタ12c−1が、電池スタック2Aの電圧、電池スタック2Bの電圧、組電池2の総電圧のそれぞれにより充電される。そして、電圧検出回路12では、充電されたキャパシタ12c−1の電圧が、電池スタック2Aの電圧、電池スタック2Bの電圧、組電池2それぞれの総電圧として検出される。
【0025】
具体的には、電圧検出回路12は、キャパシタ12c−1を介して充電側経路と放電側経路とに分かれる。充電側経路は、組電池2の電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2それぞれに対してキャパシタ12c−1が並列接続され、電池スタック2Aの電圧、電池スタック2Bの電圧、組電池2の総電圧それぞれでキャパシタ12c−1を充電する経路を含む。また、放電側経路は、充電されたキャパシタ12c−2が放電する経路を含む。
【0026】
そして、第1スイッチ12−1〜第4スイッチ12−4、第6スイッチ12−6〜第7スイッチ12−7のオン及びオフが制御されることで、キャパシタ12c−1への充電及び放電が制御される。
【0027】
電圧検出回路12の充電側経路には、電池スタック2Aの正極側とキャパシタ12c−1との間に、第1スイッチ12−1が直列に設けられ、電池スタック2Aの負極側とキャパシタ12c−1との間に、第2スイッチ12−2が直列に設けられる。
【0028】
また、電圧検出回路12の充電側経路には、電池スタック2Bの正極側とキャパシタ12c−1との間に、第3スイッチ12−3が直列に設けられ、電池スタック2Bの負極側とキャパシタ12c−1との間に、第4スイッチ12−4が直列に設けられる。
【0029】
電圧検出回路12の放電側経路には、電池スタック2A及び電池スタック2Bの正極側の経路に第6スイッチ12−6が設けられ、第6スイッチ12−6の一端がキャパシタ12c−1と接続される。また、電池スタック2A及び電池スタック2Bの負極側の経路には、第7スイッチ12−7が設けられ、第7スイッチ12−7の一端がキャパシタ12c−2と接続される。
【0030】
そして、第6スイッチ12−6の他端は、A/D変換部13に接続されると共に、分岐点Aで分岐して第1抵抗12r−1を介して車体GNDに接続される。また、第7スイッチ12−7の他端は、A/D変換部13に接続されると共に、分岐点Bで分岐して第2抵抗12r−2を介して車体GNDに接続される。なお、車体GNDは、接地点の一例であり、かかる接地点の電圧を以下では「ボディ電圧」という。
【0031】
A/D変換部13は、電圧検出回路12の分岐点Aにおける電圧を示すアナログ値をデジタル値へ変換し、変換されたデジタル値を制御部14へ出力する。
【0032】
ここで、電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2それぞれの電圧を検出する、いわゆるスタック二重監視を行うために行われるキャパシタ12c−1の充放電について説明する。なお、第5スイッチ12−5をオンとされ、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2が並列に接続されて用いられる場合も同様である。
【0033】
電圧検出回路12では、電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2毎にキャパシタ12c−1が充電される。以下、電池スタック2A、電池スタック2Bそれぞれの電圧でキャパシタ12c−1を充電し、充電されたキャパシタ12c−1の電圧から電池スタック2A、電池スタック2Bそれぞれの電圧を計測する処理を「スタック計測」という。また、スタック計測は、組電池2の総電圧でキャパシタ12c−1を充電し、キャパシタ12c−1の電圧から組電池2の総電圧を計測する処理を含む場合もある。以下、スタック計測により行う電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2の充放電を含む状態監視を、「スタック二重監視」という。
【0034】
電池スタック2Aの電圧でキャパシタ12c−1を充電する場合は、
図3において、第1スイッチ12−1及び第2スイッチ12−2がオンとされ、第3スイッチ12−3〜第4スイッチ12−4、第6スイッチ12−6〜第7スイッチ12−7がオフとされる。これにより、電池スタック2A及びキャパシタ12c−1を含む経路(以下「第1経路」という)が形成され、電池スタック2Aの電圧によりキャパシタ12c−1が充電される。
【0035】
そして、第1経路が形成されてから所定時間の経過後、キャパシタ12c−1を放電させる。具体的には、第1スイッチ12−1及び第2スイッチ12−2がオフとされ、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンとされる。これにより、キャパシタ12c−1、第1抵抗12r−1及び第2抵抗12r−2を含む経路(以下「第2経路」という)が形成され、キャパシタ12c−1が放電する。
【0036】
そして、第6スイッチ12−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ12c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電池スタック2Aの電圧が検出されることとなる。
【0037】
また、電池スタック2Bの電圧でキャパシタ12c−1を充電する場合は、
図3において、第3スイッチ12−3〜第4スイッチ12−4がオンとされ、第1スイッチ12−1〜第2スイッチ12−2、第6スイッチ12−6〜第7スイッチ12−7がオフとされる。これにより、電池スタック2B及びキャパシタ12c−1を含む経路が形成(以下「第3経路」という)され、電池スタック2Bの電圧によりキャパシタ12c−1が充電される。
【0038】
そして、第3経路が形成されてから所定時間の経過後、キャパシタ12c−1を放電させる。具体的には、第3スイッチ12−3及び第4スイッチ12−4がオフとされ、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンとされる。これにより、第2経路が形成され、キャパシタ12c−1が放電する。
【0039】
そして、第6スイッチ12−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ12c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンしたときに入力されたアナログ値の電圧をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電池スタック2Bの電圧が検出されることとなる。
【0040】
また、組電池2の総電圧でキャパシタ12c−1を充電する場合は、
図3において、第1スイッチ12−1及び第4スイッチ12−4がオンとされ、第2スイッチ12−2〜第3スイッチ12−3、第6スイッチ12−6〜第7スイッチ12−7がオフとされる。これにより、組電池2及びキャパシタ12c−1を含む経路(以下「第4経路」という)が形成され、組電池2の総電圧によりキャパシタ12c−1が充電される。
【0041】
そして、第4経路が形成されてから所定時間の経過後、キャパシタ12c−1を放電させる。具体的には、第1スイッチ12−1及び第4スイッチ12−4がオフとされ、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンとされる。これにより、第2経路が形成され、キャパシタ12c−1が放電する。
【0042】
そして、第6スイッチ12−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ12c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、組電池2の総電圧が検出されることとなる。
【0043】
また、電圧検出回路12には、第1抵抗12r−1と、第2抵抗12r−2とが設けられる。また、電圧検出回路12の様々な部分に分布する、車体との間の漏れ抵抗の総和が、
図3に示す絶縁抵抗Rp及びRnと等価になる。絶縁抵抗Rpは、組電池2の総正電圧とボディ電圧との間の絶縁抵抗である。また、絶縁抵抗Rnは、組電池2の総負電圧とボディ電圧との間の絶縁抵抗である。車両絶縁抵抗の劣化は、後述のように電圧検出回路12の各スイッチのオン及びオフを制御することによりキャパシタ12c−1が充電された際の電圧をもとに判定される。実施形態1では、車両絶縁抵抗の計測は、DC(Direct Current)電圧印加方式を採用する。
【0044】
なお、実施形態1において、絶縁抵抗Rp及びRnは、実装された抵抗と、車体GNDに対する絶縁を仮想的に表した抵抗との合成抵抗値を示すが、実装した抵抗、仮想的な抵抗のいずれであるかは問わない。
【0045】
絶縁抵抗Rp及びRnの各抵抗値は、正常時にはほとんど通電することが無い程度に十分に大きい値、例えば数MΩとされる。しかし、絶縁抵抗Rp、絶縁抵抗Rnが劣化した異常時には、例えば組電池2が車体GND等と短絡して、あるいは短絡に近い状態となって通電してしまう程度の抵抗値に低下する。
【0046】
ここで、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化を検出するために行われる、キャパシタ12c−1の充電及び放電について説明する。絶縁抵抗Rpの劣化を検出する計測処理を「Rp計測」という。Rp計測において、第4スイッチ12−4及び第6スイッチ12−6がオンとされ、第2スイッチ12−2〜第3スイッチ12−3、第7スイッチ12−7がオフとされる。これにより、絶縁抵抗Rp、電池スタック2Bの負極側、第4スイッチ12−4、キャパシタ12c−1、第6スイッチ12−6、第1抵抗12r−1、車体GNDが接続される。
【0047】
すなわち、絶縁抵抗Rp、電池スタック2Bの負極側、第4スイッチ12−4、キャパシタ12c−1、第6スイッチ12−6、第1抵抗12r−1、車体GNDを結ぶ経路(以下「第5経路」という)が形成される。この際、絶縁抵抗Rpの抵抗値が正常である場合には、第5経路はほとんど導通せず、キャパシタ12c−1は充電されない。一方、絶縁抵抗Rpが劣化して抵抗値が低下していた場合には、第5経路は導通し、キャパシタ12c−1が充電される。
【0048】
そして、第5経路が形成されてから所定時間、例えばキャパシタ12c−1の満充電に要する時間よりも短い所定時間の経過後、第4スイッチ12−4がオフとされる。そして、第4スイッチ12−4がオフされると共に、第7スイッチ12−7がオンとされて第2経路が形成され、キャパシタ12c−1を放電させる。
【0049】
そして、第6スイッチ12−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ12c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第4スイッチ12−4がオフとされ第7スイッチ12−7がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧(以下「電圧VRp」という)をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電圧VRpが検出されることとなる。制御部14は、電圧VRpに基づいて絶縁抵抗Rpの劣化を検出する。
【0050】
また、絶縁抵抗Rnの劣化を検出する計測処理を「Rn計測」という。Rn計測において、第1スイッチ12−1及び第7スイッチ12−7がオンとされ、第2スイッチ12−2〜第4スイッチ12−4、第6スイッチ12−6がオフとされる。これにより、絶縁抵抗Rn、電池スタック2Aの正極側、第1スイッチ12−1、キャパシタ12c−1、第7スイッチ12−7、第2抵抗12r−2、車体GNDが接続される。
【0051】
すなわち、絶縁抵抗Rn、電池スタック2Aの正極側、第1スイッチ12−1、キャパシタ12c−1、第7スイッチ12−7、第2抵抗12r−2、車体GNDを結ぶ経路(以下「第6経路」という)が形成される。この際、絶縁抵抗Rnの抵抗値が正常である場合には、第6経路はほとんど導通せず、キャパシタ12c−1は充電されない。一方、絶縁抵抗Rnが劣化して抵抗値が低下していた場合には、第6経路は導通し、キャパシタ12c−1が充電される。
【0052】
そして、第6経路が形成されてから所定時間、例えばキャパシタ12c−1の満充電に要する時間よりも短い所定時間の経過後、第1スイッチ12−1がオフとされる。そしてて、第1スイッチ12−1がオフとされると共に、第6スイッチ12−6がオンとされて第2経路が形成され、キャパシタ12c−1を放電させる。
【0053】
そして、第6スイッチ12−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ12c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第1スイッチ12−1がオフとされ第6スイッチ12−6がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧(以下「電圧VRn」という)をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電圧VRnが検出されることとなる。制御部14は、電圧VRnに基づいて絶縁抵抗Rnの劣化を検出する。
【0054】
(A/D変換部について)
A/D変換部13は、電圧検出回路12から出力されたアナログの電圧を分岐点A(
図3)において検知し、デジタルの電圧へ変換する。そして、A/D変換部13は、変換したデジタルの電圧を、制御部14へ出力する。なお、A/D変換部13は、入力電圧を所定範囲の電圧へ変換して検出する。
【0055】
(実施形態1に係る制御部について)
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有するマイクロコンピュータ等の処理装置である。制御部14は、監視IC11a、監視IC11b、電圧検出回路12、A/D変換部13等を含む電池ECU10全体を制御する。制御部14は、充電経路形成部14a、放電経路形成部14b、計測部14c、絶縁異常判定部14dを含む。
【0056】
充電経路形成部14aは、電圧検出回路12が有する第1スイッチ12−1〜第7スイッチ12−7(
図3参照)のオン及びオフを制御し、電圧検出回路12において充電経路を形成する。また、放電経路形成部14bは、電圧検出回路12が有する第1スイッチ12−1〜第7スイッチ12−7のオン及びオフを制御し、電圧検出回路12において放電経路を形成する。
【0057】
なお、第1スイッチ12−1〜第7スイッチ12−7のスイッチングパターンは、RAM及びROM等の記憶部に予め記憶させておくものとする。そして、充電経路形成部14a及び放電経路形成部14bは、適切なタイミングで記憶部からスイッチングパターンを読み出すことによって、充電経路又は放電経路を形成する。
【0058】
計測部14cは、充電されたキャパシタ12c−1の電圧に基づいて電圧VRp及びVRnを計測する。計測部14cは、1つのRp計測において、2つの異なる時間T1及びT2だけフライングキャパシタを充電し、各充電時間で充電されたフライングキャパシタの電圧VRp1及びVRp2を検出する。
【0059】
すなわち、計測部14cは、1回目の検出において、放電経路形成部14bにより充電経路が形成されてから時間T1だけキャパシタ12c−1が充電されたのち放電経路が形成されると、キャパシタ12c−1の電圧VRp1をA/D変換部13を介して検出する。さらに、計測部14cは、2回目の検出において、放電経路形成部14bにより充電経路が形成されてから時間T2だけキャパシタ12c−1が充電されたのち放電経路が形成されると、キャパシタ12c−1の電圧VRn1をA/D変換部13を介して検出する。
【0060】
同様に、計測部14cは、1つのRn計測において、2つの異なる時間T1及びT2だけフライングキャパシタを充電し、各充電時間で充電されたフライングキャパシタの電圧VRn1及びVRn2を検出する。
【0061】
すなわち、計測部14cは、1回目の検出において、放電経路形成部14bにより充電経路が形成されてから時間T1だけキャパシタ12c−1が充電されたのち放電経路が形成されると、キャパシタ12c−1の電圧VRp2をA/D変換部13を介して検出する。さらに、計測部14cは、2回目の検出において、放電経路形成部14bにより充電経路が形成されてから時間T2だけキャパシタ12c−1が充電されたのち放電経路が形成されると、キャパシタ12c−1の電圧VRn2をA/D変換部13を介して検出する。
【0062】
なお、上記の時間T1は、下記の(1)式により算出される、車両に存在する浮遊容量に蓄えられていた電荷がフライングキャパシタに充電される所要時間である。つまり、時間T1は、車両において発生する全浮遊容量がフライングキャパシタのチャージへ与える影響が十分小さくなって定常状態となる時間である。下記の(1)式において、浮遊容量C
Sは、車両に搭載される電装機器や負荷回路毎の浮遊容量の和である。例えば、車両に“バッテリ”“エアコン”“モータ”“PCU”が搭載され、各浮遊容量が
図2に示す値である場合に、下記の(1)式における浮遊容量C
Sは、C
S1+C
S2+C
S3+C
S4と等しくなる。しかし、時間T1は、下記の(1)式に基づき算出される値に限らず、仕様に基づく固定値、例えば、数msec〜180msec程度の値であってもよい。また、下記の(1)式における“所定の自然数:n”は、仕様に基づく4〜7程度の固定値である。
【0064】
上記の時間T2は、仕様に基づく、時間T1と比較して十分大きな固定値である。また、時間T2は、フライングキャパシタを略満充電するに十分な時間である。
【0065】
絶縁異常判定部14dは、計測したキャパシタ12c−1の電圧VRp1、VRp2、VRn1、VRn2、組電池2の総電圧等に基づいて、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化を検出する。なお、組電池2の総電圧等は、計測値であっても、HV_ECU50や監視IC11a及び11bから取得した値であってもよい。ここで、組電池2の総電圧及び昇圧電圧を取得する場合は、この取得は電圧VRp及びVRnの計測とタイミング同期している。そして、絶縁異常判定部14dは、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化の判定結果(絶縁異常検知)を示す情報を、上位装置であるHV_ECU50(
図1参照)へ出力する。
【0066】
すなわち、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化が生じると、キャパシタ12c−1に充電される電圧が増加する。これにより、充電されたキャパシタ12c−1の電圧が増加した場合に、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化を検出する。
【0067】
例えば、計測部14cが、第5経路及び第6経路が形成されて充電されたキャパシタ12c−1の電圧VRp1、VRp2、VRn1、VRn2を計測したとする。このとき、絶縁異常判定部14dは、電圧差ΔV={(VRp2+VRn2)−(VRp1+VRn1)}が所定判定閾値以上であれば、絶縁抵抗Rp又はRnの劣化が発生したと判定する。また、絶縁異常判定部14dは、電圧VRp+VRnが所定判定閾値未満であれば、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化が発生していない正常状態であると判定する。そして、絶縁判定部14dは、判定結果をHV_ECU50へ通知する。
【0068】
なお、上記の閾値判定は、差の判定に限らず、比の判定であってもよい。また、上記の所定閾値は、予め定められた固定の仕様値であってもよいし、異常の誤検知が発生しない電圧VRp+VRnの値の範囲の統計を取り、統計処理した結果に基づいた値であってもよい。
【0069】
(PCUについて)
PCU20は、モータ4や車両の電装機器等へ供給する電源電圧を昇圧すると共に、直流から交流の電圧に変換する。
図1に示すように、PCU20は、組電池2の正極側及び負極側と接続される。PCU20は、DCDCコンバータ21、3相インバータ22、低圧側平滑用キャパシタ23a、高圧側平滑用キャパシタ23bを含む。
【0070】
(エアコンECUについて)
エアコンECU30は、図示しない制御装置を含むとともに、コンプレッサ5へ供給する電源電圧を、直流から交流の電圧に変換するインバータ31を含む。
【0071】
(MG_ECUについて)
MG_ECU40は、PCU20の状態監視及び制御を行う電子制御装置である。具体的には、MG_ECU40は、DCDCコンバータ21及び3相インバータ22の各動作状態や、低圧側平滑用キャパシタ23a及び高圧側平滑用キャパシタ23bの充電状態を監視する。そして、MG_ECU40は、PCU20における昇圧の有無や昇圧電圧に関する情報を取得し、上位装置であるHV_ECU50へ通知する。また、MG_ECU40は、HV_ECU50の指示に応じて、PCU20の動作を制御する。
【0072】
(HV_ECUについて)
HV_ECU50は、電池ECU10からの組電池2の充電状態等の監視結果の通知、及び、MG_ECU40からのPCU20における昇圧の有無や昇圧電圧に関する情報に応じて、電池ECU10及びMG_ECU40の制御を含む車両制御を行う。
【0073】
(実施形態1に係る絶縁検知処理について)
図4Aは、実施形態1に係る絶縁検知処理の一例を示すフローチャートである。実施形態1に係る絶縁検知処理は、電池ECU10の制御部14により、車両始動時や車両停止時、所定時間間隔や所定走行距離毎等の、所定周期又は所定契機で実行される。
【0074】
なお、以下では、
図3に示す、第1スイッチ12−1を“SW1”、第2スイッチ12−2を“SW2”、第3スイッチ12−3を“SW3”、第4スイッチ12−4を“SW4”と、それぞれ略記する。同様に、以下では、
図3に示す、第5スイッチ12−5を“SW5”、第6スイッチ12−6を“SW6”、第7スイッチ12−7を“SW7”と略記する。
【0075】
先ず、
図4Aに示すように、計測部14cは、フライングキャパシタ(すなわちキャパシタ12c−1)の電圧Vcが0(もしくは略0)、つまり十分放電された状態であるか否かを判定する(ステップS11)。計測部14cは、フライングキャパシタの電圧Vcが0である場合に(ステップS11:Yes)、ステップS13へ処理を移す。一方、計測部14cは、フライングキャパシタの電圧Vcが0でない場合に(ステップS11:No)、ステップS12へ処理を移す。
【0076】
ステップS12では、放電経路形成部14bは、放電経路を形成し、フライングキャパシタ(すなわちキャパシタ12c−1)の放電処理を行う。ステップS12が終了すると、制御部14は、ステップS13へ処理を移す。なお、充電経路形成部14aは、ステップS13の前に、SW5をオフにし、キャパシタ12c−2を電圧検出回路12から切り離し、キャパシタ12c−1のみによりフライングキャパシタを構成するとしてもよい。この切り替え処理により、相対的に小容量の、速やかに充電されるフライングキャパシタを用いて、迅速に処理を行うことができる。なお、この切り替え処理は、フライングキャパシタの切り替え構成がない場合は、省略される。
【0077】
次に、ステップS13では、計測部14cは、
図4Bを参照して後述するRp計測を実行する。計測部14cは、ステップS13の処理により、電圧VRp1及びVRp2、組電池2の総電圧であるスタック電圧V11及びV12を取得する。
【0078】
次に、ステップS14では、計測部14cは、
図4Cを参照して後述するRn計測を実行する。計測部14cは、ステップS14の処理により、電圧VRn1及びVRn2、組電池2の総電圧であるスタック電圧V21及びV22を取得する。
【0079】
次に、ステップS15では、絶縁異常判定部14dは、
図4Dを参照して後述する絶縁判定処理を実行する。ステップS15が終了すると、制御部14は、実施形態1に係る絶縁検知処理を終了する。
【0080】
なお、ステップS13のRp計測の処理と、ステップS14のRn計測の処理とは、各処理内の処理順序を変えずに、処理を入れ替えてもよい。つまり、Rn計測後にRp計測を行うとしてもよい。
【0081】
(実施形態1に係るRp計測処理について)
図4Bは、実施形態1に係る絶縁検知処理におけるRp計測処理の一例を示すフローチャートである。
図4Bは、
図4Aに示すステップS13で実行されるサブルーチンである。
【0082】
先ず、制御部14は、組電池2の総電圧であるスタック電圧V11を取得する(ステップS13−1)。次に、充電経路形成部14aは、SW4及び6をオンにする(ステップS13−2)。ステップS13−2により、上記した第5経路の充電経路が形成され、Rp計測が実行され、フライングキャパシタが時間T1だけ充電される(ステップS13−3)。
【0083】
次に、充電経路形成部14aは、SW4及び6をオフにする(ステップS13−4)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオンにする(ステップS13−5)。次に、計測部14cは、A/D変換部13がサンプリングしたフライングキャパシタの電圧をもとに、電圧VRp1を取得する(ステップS13−6)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオフにする(ステップS13−7)。
【0084】
次に、制御部14は、組電池2の総電圧であるスタック電圧V12を取得する(ステップS13−8)。次に、充電経路形成部14aは、SW4及び6をオンにする(ステップS13−9)。ステップS13−9により、上記した第5経路の充電経路が形成され、Rp計測が実行され、フライングキャパシタが時間T2だけ充電される(ステップS13−10)。
【0085】
次に、充電経路形成部14aは、SW4及び6をオフにする(ステップS13−11)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオンにする(ステップS13−12)。次に、計測部14cは、A/D変換部13がサンプリングしたフライングキャパシタの電圧をもとに、電圧VRp2を取得する(ステップS13−13)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオフにし(ステップS13−14)、フライングキャパシタの放電処理を行う(ステップS13−15)。ステップS13−15の処理が終了すると、制御部14は、
図4Aの絶縁検知処理へ処理を戻す。
【0086】
なお、フライングキャパシタの充電中の昇圧電圧や組電池2の総電圧の変動等を平準化するために、ステップS13−1〜S13−15を所定回数繰り返して取得した各電圧の平均を最終的な電圧VRp2としてもよい。また、スタック電圧V11、V12の取得タイミングは、適宜設計変更可能である。また、スタック電圧V11、V12のいずれかの取得を省略してもよい。
【0087】
(実施形態1に係るRn計測処理について)
図4Cは、実施形態1に係る絶縁検知処理におけるRn計測処理の一例を示すフローチャートである。
図4Cは、
図4Aに示すステップS14で実行されるサブルーチンである。
【0088】
先ず、制御部14は、組電池2の総電圧であるスタック電圧V21を取得する(ステップS14−1)。次に、充電経路形成部14aは、SW1及び7をオンにする(ステップS14−2)。ステップS14−2の結果、上記した第6経路の充電経路が形成され、Rn計測が実行され、フライングキャパシタが時間T1だけ充電される(ステップS14−3)。
【0089】
次に、充電経路形成部14aは、SW1及び7をオフにする(ステップS14−4)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオンにする(ステップS14−5)。次に、計測部14cは、A/D変換部13がサンプリングしたフライングキャパシタの電圧をもとに、電圧VRn1を取得する(ステップS14−6)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオフにする(ステップS14−7)。
【0090】
次に、制御部14は、組電池2の総電圧であるスタック電圧V22を取得する(ステップS14−8)。次に、充電経路形成部14aは、SW1及び7をオンにする(ステップS14−9)。ステップS14−9の結果、上記した第6経路の充電経路が形成され、Rn計測が実行され、フライングキャパシタが時間T2だけ充電される(ステップS14−10)。
【0091】
次に、充電経路形成部14aは、SW1及び7をオフにする(ステップS14−11)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオンにする(ステップS14−12)。次に、計測部14cは、A/D変換部13がサンプリングしたフライングキャパシタの電圧をもとに、電圧VRn2を取得する(ステップS14−13)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオフにし(ステップS14−14)、フライングキャパシタの放電処理を行う(ステップS14−15)。ステップS14−15の処理が終了すると、制御部14は、
図4Aの絶縁検知処理へ処理を戻す。
【0092】
なお、フライングキャパシタの充電中の昇圧電圧や組電池2の総電圧の変動等を平準化するために、ステップS14−1〜S14−15を所定回数繰り返して取得した各電圧の平均を最終的な電圧VRn2としてもよい。また、スタック電圧V21、V22の取得タイミングは、適宜設計変更可能である。また、スタック電圧V21、V22のいずれかの取得を省略してもよい。
【0093】
また、ステップS14−13が終了すると、ステップS14−14〜S14−15の処理と、
図4AのステップS15の処理と並行して実行してもよい。この場合、処理効率が向上し、処理時間が短縮される。
【0094】
(実施形態1に係る絶縁判定処理について)
図4Dは、実施形態1に係る絶縁検知処理における絶縁判定処理の一例を示すフローチャートである。
図4Dは、
図4Aに示すステップS15で実行されるサブルーチンである。
【0095】
先ず、制御部14の絶縁異常判定部14dは、
図4Aに示すステップS13〜S14で取得された電圧VRp1、VRp2、VRn1、VRn2から、電圧V1=VRp1+VRn1、V2=VRp2+VRn2を算出する(ステップS15−1)。次に、絶縁異常判定部14dは、電圧差ΔV=V2−V1を算出する(ステップS15−2)。次に、絶縁異常判定部14dは、
図4Aに示すステップS13〜S14で取得されたスタック電圧V11、V12、V21、V22から、電圧差ΔVを閾値判定するための判定閾値Vthを決定する(ステップS15−3)。
【0096】
次に、絶縁異常判定部14dは、電圧差ΔVが判定閾値Vth未満か否かを判定する(ステップS15−4)。絶縁異常判定部14dは、電圧差ΔVが判定閾値Vth未満である場合(ステップS15−4:Yes)に、ステップS15−5へ処理を移す。一方、絶縁異常判定部14dは、電圧差ΔVが判定閾値Vth以上である場合(ステップS15−4:No)に、ステップS15−6へ処理を移す。ステップS15−5では、絶縁異常判定部14dは、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化が発生していない絶縁抵抗正常であると判定する。ステップS15−6では、絶縁異常判定部14dは、絶縁抵抗Rp又はRnの劣化が発生している絶縁抵抗異常であると判定する。ステップS15−6又はステップS15−6が終了すると、絶縁異常判定部14dは、絶縁判定処理を終了し、
図4Aの絶縁検知処理へ処理を戻す。
【0097】
(実施形態1に係る絶縁検知処理のタイミングチャート)
図5は、実施形態1に係る絶縁検知処理の一例を示すタイミングチャートである。
図5に示すように、電池ECU10は、タイミングt1〜t3において、1回目のRp計測を行う。すなわち、電池ECU10は、1回目のRp計測中に、タイミングt1〜t2において、SW4及び6をオンにしてフライングキャパシタの電荷チャージ(充電)を時間T1だけ行う。そして、電池ECU10は、タイミングt3において、SW6及び7をオンにして、フライングキャパシタの電圧のA/Dサンプリングにより、電圧VRp1を計測する。
【0098】
また、電池ECU10は、タイミングt4〜t6において、2回目のRp計測を行う。すなわち、電池ECU10は、2回目のRp計測中に、タイミングt4〜t5において、SW4及び6をオンにしてフライングキャパシタの電荷チャージ(充電)を時間T2だけ行う。そして、電池ECU10は、タイミングt6において、SW6及び7をオンにして、フライングキャパシタの電圧のA/Dサンプリングにより、電圧VRp2を計測する。
【0099】
電池ECU10は、タイミングt7〜t9において、1回目のRn計測を行う。すなわち、電池ECU10は、1回目のRn計測中に、タイミングt7〜t8において、SW1及び7をオンにしてフライングキャパシタの電荷チャージ(充電)を時間T1だけ行う。そして、電池ECU10は、タイミングt9において、SW6及び7をオンにして、フライングキャパシタの電圧のA/Dサンプリングにより、電圧VRn1を計測する。
【0100】
また、電池ECU10は、タイミングt10〜t12において、2回目のRn計測を行う。すなわち、電池ECU10は、2回目のRn計測中に、タイミングt10〜t11において、SW1及び7をオンにしてフライングキャパシタの電荷チャージ(充電)を時間T2だけ行う。そして、電池ECU10は、タイミングt12において、SW6及び7をオンにして、フライングキャパシタの電圧のA/Dサンプリングにより、電圧VRn2を計測する。
【0101】
(実施形態1と従来技術との比較)
図6Aは、従来技術に係る絶縁検知処理の概要の一例を示す図である。また、
図6Bは、実施形態1に係る絶縁検知処理の概要の一例を示す図である。
図6A及び
図6Bにおいて、曲線c1及びc3は、車両の絶縁抵抗が大、つまり絶縁抵抗正常の場合におけるフライングキャパシタの充電電圧の経時変化の一例を示す。また、
図6A及び
図6Bにおいて、曲線c2は、車両の絶縁抵抗が低、つまり絶縁抵抗異常の場合におけるフライングキャパシタの充電電圧の経時変化の一例を示す。
図6A及び
図6Bにおいて、曲線c1〜c3は、タイミングT1以降は、略直線状であり、曲線c1及びc3の傾きは略一致する。また、
図6A及び
図6Bにおいて、タイミングT1において曲線c3と曲線c1がそれぞれ取るフライングキャパシタの充電電圧の電圧差は、「浮遊容量による変動分」(不確定な部分)である。
【0102】
図6Aに示すように、タイミングT2において、フライングキャパシタの充電電圧を異常判定閾値Vth0と単純比較する場合を考える。この場合、
図6Aに示す曲線c3のように、「浮遊容量による変動分」の影響によりフライングキャパシタの充電電圧が偶然高くなっていると、「絶縁抵抗大(絶縁抵抗正常)」であるにもかかわらず「絶縁抵抗異常」と誤判定(誤検知)されてしまうことがある。
【0103】
一方、
図6Bに示すように、タイミングT1及びT2におけるフライングキャパシタの充電電圧の電圧差ΔVを閾値判定する場合を考える。この場合、
図6Bに示す曲線c3のように、「絶縁抵抗大(絶縁抵抗正常)」であるが、「浮遊容量による変動分」の影響によりフライングキャパシタの充電電圧が偶然高くなっていても、浮遊容量の影響がなくなるタイミングT1以降の電圧の上昇分(変化分)を閾値比較する。このため、「絶縁抵抗大」であれば、「絶縁抵抗異常」と誤判定(誤検知)されてしまうことがない。よって、実施形態1では、絶縁抵抗が十分大きく劣化がない場合もしくは絶縁抵抗が低下しているが異常ではない場合のいずれであっても、簡易な制御処理及び回路構成で、絶縁抵抗異常が誤検知されることを防止できる。
【0104】
(実施形態1の変形例1)
実施形態1では、PCU20、エアコンECU30等の負荷回路のオンオフに関わらず、電圧V1と電圧V2の電圧差ΔVを閾値判定して絶縁異常判定する。しかし、フライングキャパシタのチャージへの浮遊容量の影響は、負荷回路のオン時(動作時)がより大きくなる。このことから、実施形態1の変形例として、負荷回路のオン時に、電圧V1と電圧V2の電圧差ΔVを閾値判定して絶縁異常判定するとしてもよい。
【0105】
(実施形態1の変形例2)
実施形態1では、Vp計測及びVn計測を行って取得した電圧VRp1、VRn1、VRp2、VRn2をもとに、電圧V1=VRp1+VRn1、電圧V2=VRp2+VRn2として、電圧差ΔV=V2−V1を閾値判定して絶縁異常判定する。しかし、これに限らず、Vp計測のみを行って取得した電圧VRp1、VRp2をもとに、電圧V1=VRp1、電圧V2=VRp2として、電圧差ΔV=V2−V1を閾値判定して絶縁異常判定してもよい。あるいは、Vn計測のみを行って取得した電圧VRn1、VRn2をもとに、電圧V1=VRn1、電圧V2=VRn2として、電圧差ΔV=V2−V1を閾値判定して絶縁異常判定してもよい。
【0106】
(実施形態1の変形例3)
また、上記の電圧V1及びV2から絶縁抵抗値を算出し、絶縁抵抗値と基準抵抗値との比較結果に基づいて絶縁異常を判定してもよい。
【0107】
[実施形態2]
実施形態1では、
図4Dに示す絶縁判定処理において、電圧V2に関わらず電圧差ΔVを算出して電圧差ΔVを閾値判定することにより、絶縁抵抗異常を検出する。しかし、これに限らず、電圧V2が閾値未満の場合に、絶縁抵抗正常と判定して絶縁判定処理を終了し、電圧V2が閾値以上の場合に、電圧差ΔVを算出して電圧差ΔVを閾値判定するとしてもよい。以下、この例を実施形態2として説明する。
【0108】
実施形態2に係る車載システム1−2は、電池ECU10−2を含む(
図1参照)。電池ECU10−2は、制御部14−2を含む(
図1参照)。制御部14−2は、絶縁異常判定部14d−2を含む(
図1参照)。車載システム1−2のその他の構成は、実施形態1と同様である。
【0109】
(実施形態2に係る絶縁判定処理について)
図7は、実施形態2に係る絶縁検知処理における絶縁判定処理の一例を示すフローチャートである。
図7は、
図4Aに示すステップS15で実行されるサブルーチンである。
図7に示す実施形態2に係る絶縁検知処理は、
図4Dに示す実施形態1に係る絶縁判定処理と比較して、ステップS15−1とステップS15−2の間に、ステップS15−1aが実行される点が異なる。
【0110】
すなわち、絶縁異常判定部14d−2は、ステップS15−1の次に、電圧V2が所定閾値Vth1以上であるか否かを判定する(ステップS15−1a)。なお、所定閾値Vth1は、絶縁異常判定部14d−2により、
図4Aに示すステップS13〜S14で取得されたスタック電圧V11、V12、V21、V22から決定されるとしてもよい。あるいは、所定閾値Vth1は、予め定められた固定の仕様値であってもよい。
【0111】
絶縁異常判定部14d−2は、電圧V2が所定閾値Vth1以上である場合(ステップS15−1a:Yes)に、ステップS15−2へ処理を移す。一方、絶縁異常判定部14d−2は、電圧V2が所定閾値Vth1未満である場合(ステップS15−1a:No)に、ステップS15−5へ処理を移す。
【0112】
実施形態2によれば、ステップS15−2〜S15−4の処理を省略できる場合があることから、処理の効率化、迅速化を図ることができる。
【0113】
[実施形態3]
実施形態2では、
図7に示す絶縁判定処理において、電圧V2が所定閾値Vth1未満である場合(ステップS15−1a:No)に、絶縁抵抗正常と判定する。しかし、これに限らず、電圧V2が所定閾値Vth1未満である場合(ステップS15−1a:No)に、さらに電圧V2を閾値判定し、絶縁抵抗が正常か否かを判定してもよい。以下、この例を実施形態3として説明する。
【0114】
実施形態3に係る車載システム1−3は、電池ECU10−3を含む(
図1参照)。電池ECU10−3は、制御部14−3を含む(
図1参照)。制御部14−3は、計測部14c−3、絶縁異常判定部14d−3を含む(
図1参照)。車載システム1−3のその他の構成は、実施形態1又は2と同様である。
【0115】
(実施形態3に係る絶縁判定処理について)
図8は、実施形態3に係る絶縁検知処理における絶縁判定処理の一例を示すフローチャートである。
図8は、
図4Aに示すステップS15で実行されるサブルーチンである。
図8に示す実施形態3に係る絶縁検知処理は、
図6に示す実施形態2に係る絶縁判定処理と比較して、ステップS15−1a:Noの場合に、ステップS15−1bが実行される点が異なる。
【0116】
すなわち、絶縁異常判定部14d−3は、ステップS15−1a:No場合に、電圧V2が所定閾値Vth2以上であるか否かを判定する(ステップS15−1b)。ここで、Vth2<Vth1である。なお、所定閾値Vth2は、絶縁異常判定部14d−2により、
図4Aに示すステップS13〜S14で取得されたスタック電圧V21、V22から決定されるとしてもよい。あるいは、所定閾値Vth2は、予め定められた固定の仕様値であってもよい。
【0117】
絶縁異常判定部14d−3は、電圧V2が所定閾値Vth2未満である場合(ステップS15−1b:Yes)に、ステップS15−5へ処理を移す。一方、絶縁異常判定部14d−3は、電圧V2が所定閾値Vth2以上である場合(ステップS15−1b:No)に、ステップS15−6へ処理を移す。
【0118】
そして、計測部14c−3は、ステップS15−1aで電圧V2<Vth1(ステップS15−1a:No)と判定されると、次回以降のRp計測及びRn計測において電圧V1の計測をキャンセルし、電圧V2のみ計測する。そして、絶縁異常判定部14d−3は、計測した電圧V2をもとに、絶縁異常判定を行う。そして、計測部14c−3は、ステップS15−1aで電圧V2≧Vth1(ステップS15−1a:Yes)と判定されると、Rp計測及びRn計測における電圧V1の計測キャンセルを解除し、電圧V1及びV2の計測へ復帰する。
【0119】
なお、電圧V2とVth1との比較結果に関わらず、Rp計測及びRn計測における電圧V1の計測キャンセル及び計測キャンセル解除は行わないとしてもよい。
【0120】
実施形態3によれば、電圧VRp及びVRnを2回ずつ計測するルーチンと、電圧VRp及びVRnを1回だけ計測するルーチンとを、浮遊容量の影響の程度に応じて適宜切り替えることにより、処理の迅速化と、絶縁検知の精度向上との両立を図ることができる。
【0121】
[実施形態4]
実施形態1〜3では、絶縁異常判定対象を絶縁抵抗Rp及びRnとし、これらの抵抗値が正常か否かを判定する。しかし、これに限らず、絶縁異常判定対象とする各負荷回路を電源である組電池2及び電圧検出回路12と順次接続して
図4A〜
図4Bに示す絶縁検知処理を実行し、絶縁異常を検知した負荷回路を特定するとしてもよい。例えば、絶縁抵抗Rp及びRnに異常がない場合に、エアコンECU30を絶縁異常判定対象として絶縁検知処理を実行したとき、絶縁異常が検知されると、エアコンECU30において絶縁異常が発生したと特定できる。すなわち、2つのタイミングで計測したフライングキャパシタの電圧差を用いて絶縁抵抗を計測することにより絶縁異常の精度を高めて対象を広げて絶縁異常検知ができるので、絶縁異常の発生箇所を特定することができる。
【0122】
上記の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともできる。もしくは、上記の実施形態において説明した各処理のうち、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記及び図示の処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて適宜変更することができる。
【0123】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、開示の技術のより広範な態様は、上記のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。