特許第6563354号(P6563354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563354
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20190808BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B60R11/02 B
   H05K5/03 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-46014(P2016-46014)
(22)【出願日】2016年3月9日
(65)【公開番号】特開2017-159795(P2017-159795A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山野辺 真人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和徳
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−177734(JP,A)
【文献】 特開2007−091033(JP,A)
【文献】 実開昭60−029907(JP,U)
【文献】 特開昭60−117798(JP,A)
【文献】 米国特許第07123885(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側面に取付板部を有する箱形形状の筐体と、前記取付板部に出没自在に取り付けられる板ばねからなるロック部材とを備えた電子機器において、
前記取付板部は、外側へ突出する係合突起と、前記係合突起を挟んで前後方向に離反した位置に設けられた前側開口部および後側開口部とを有し、
前記ロック部材は、前記後側開口部の後側に位置する前記取付板部の裏面に当接可能な後側抜止部と、前記後側抜止部の前側から外方に向かって起立する立設部と、前記立設部の外側端部から前方に向かって延びる固定部と、前記固定部に形成されて前記係合突起に嵌合可能な位置決め孔と、前記固定部の前側から斜め前方に向かって延びる弾性変形部と、前記弾性変形部の前側から内方に向かって延びる剛性部と、前記剛性部の内側端部から前方に延びて前記前側開口部の前側に位置する前記取付板部の裏面に当接可能な前側抜止部とを有し、
前記位置決め孔から前記後側抜止部の後端までの距離D3が前記係合突起から前記後側開口部の後端までの距離D4よりも大きく設定されていると共に、前記位置決め孔から前記前側抜止部の前端までの距離D5が前記係合突起から前記前側開口部の前端までの距離D6よりも大きく設定されており、かつ、前記立設部から前記前側抜止部の前端までの距離D1が前記後側開口部の後端から前記前側開口部の前端までの距離D2よりも小さく設定されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記後側抜止部に半球状の突起が形成されていると共に、前記取付板部の裏面に前記突起と係脱可能な凹部が形成されていることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用音響機器などの電子機器に係り、特に、コンソールなどの設置母材に着脱可能に設置される電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に記載されているように、電子機器に備えられる筐体の外側面にロック部材を取り付けておき、このロック部材を筐体の外側面に対して出没可能とすることにより、筐体をコンソール等の設置母材に設けられた凹所内に挿入するだけで、電子機器を設置母材の所定位置に自動的に固定するようにした取付構造が提案されている。ロック部材は板ばねを所定形状に折曲加工したものからなり、図8に示すような手順によって筐体の外側面に取り付けられるようになっている。
【0003】
図8において、符号100は電子機器の外殻を構成する筐体を示し、符号200は筐体100に取り付けられるロック部材を示している。なお、以下の説明では、筐体100を設置母材の凹所(図示せず)内に挿入する方向を後、筐体100を凹所から引き抜く方向を前、筐体100の内部の収納空間側を内、筐体100の外方の外部空間側を外とし、これらの方向を図中に矢印で示してある。
【0004】
筐体100は内側に収納空間を有する箱形形状の部材であり、この筐体100の外側面の取付板部100aには、外側へ突出する係合突起101と、係合突起101を挟んで前後方向に離反する前側開口部102および後側開口部103が設けられている。ロック部材200には、舌片状の後側抜止部201と、後側抜止部201の前側から外方に向かって起立する立設部202と、立設部202の外側端部から前方に向かって延びる固定部203と、固定部203の前側から外側斜め前方に向かって延びる弾性変形部205と、弾性変形部205の前方の幅方向両側から内方に向かって延びる剛性部206と、剛性部206の内側端部から前方に延びる前側抜止部207とが形成されており、固定部203には位置決め孔204が形成されている。
【0005】
ロック部材200を筐体100の取付板部100aに取り付ける場合は、図8(a)に示すように、まず、前側抜止部207を前側開口部102に対して後方から前方へ挿入することにより、前側抜止部207を取付板部100aの裏側に潜り込ませると共に、後側抜止部201を後側開口部103に対向させる。このとき、固定部203は係合突起101に当接して取付板部100aの表面から浮いた状態となっている。
【0006】
次に、図8(b)に示すように、固定部203の後端側を矢印A方向へ押し込んで、後側抜止部201を後側開口部103の内方へ撓ませながら、剛性部206を矢印B方向へ強い力で押してロック部材200を後方へスライド移動することにより、後側抜止部201を取付板部100aの裏側に潜り込ませる。なお、予め後側抜止部201の後端部が内方へ大きく折り曲げられている場合は、矢印A方向への押し込み力を省略し、矢印B方向のみの押し込み力でロック部材200を後方へスライドさせることも可能である。
【0007】
その際、固定部203は係合突起101上を摺動しながら後方へ移動し、図8(c)に示すように、立設部202が後側開口部103の後端近傍まで移動すると、位置決め孔204が係合突起101に嵌まり込んで位置決めされ、この時点でロック部材200が筐体100の取付板部100aに取り付けられる。
【0008】
そして、このようにロック部材200が取り付けられた筐体100を設置母材の凹所内に挿入して固定する場合は、ロック部材200の弾性変形部205が挿入途中で凹所の開口端に当接して内側に撓められた後、さらなる挿入によって弾性変形部205が突出姿勢に復帰して凹所内のブラケット等に係止されるため、筐体100を凹所内に挿入するだけで自動的に固定することができる。また、修理やメンテナンス時に筐体100を凹所から取り外す場合は、設置母材に設けられた治具挿入孔から治具を挿入して弾性変形部205を内方へ撓めれば、弾性変形部205とブラケットの係合が解除されるため、そのまま筐体100を凹所から抜き取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7123885号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に記載された電子機器では、ロック部材200を筐体100の取付板部100aに取り付ける際に、前側抜止部207を前側開口部102に挿入して取付板部100aの裏側に潜り込ませた後、剛性部206を押して後方へスライドさせることにより、前側抜止部207と後側抜止部201の両方を取付板部100aの裏面に係止させるようになっており、かかるスライド操作時に非常に強力な押圧荷重を必要とするため、ロック部材200の取付作業を容易に行うことが難しいという問題があった。
【0011】
すなわち、図8(b)に示すように、後側抜止部201を後側開口部103の内部に挿入した状態で、剛性部206を矢印B方向へ押してロック部材200を後方へスライド移動させるとき、後側開口部103の後端エッジ部と後側抜止部201との当接部分に大きな摩擦力が発生すると共に、固定部203と係合突起101との摺動面にも大きな摩擦力が発生するため、押し治具等を用いて強力な荷重で剛性部206を矢印B方向へ押さないと、ロック部材200を筐体100の取付板部100aに取り付けることができなくなる。
【0012】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ロック部材の筐体に対する取付作業を容易に行うことができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明は、外側面に取付板部を有する箱形形状の筐体と、前記取付板部に出没自在に取り付けられる板ばねからなるロック部材とを備えた電子機器において、前記取付板部は、外側へ突出する係合突起と、前記係合突起を挟んで前後方向に離反した位置に設けられた前側開口部および後側開口部とを有し、前記ロック部材は、前記後側開口部の後側に位置する前記取付板部の裏面に当接可能な後側抜止部と、前記後側抜止部の前側から外方に向かって起立する立設部と、前記立設部の外側端部から前方に向かって延びる固定部と、前記固定部に形成されて前記係合突起に嵌合可能な位置決め孔と、前記固定部の前側から斜め前方に向かって延びる弾性変形部と、前記弾性変形部の前側から内方に向かって延びる剛性部と、前記剛性部の内側端部から前方に延びて前記前側開口部の前側に位置する前記取付板部の裏面に当接可能な前側抜止部とを有し、前記位置決め孔から前記後側抜止部の後端までの距離が前記係合突起から前記後側開口部の後端までの距離よりも大きく設定されていると共に、前記位置決め孔から前記前側抜止部の前端までの距離が前記係合突起から前記前側開口部の前端までの距離よりも大きく設定されており、かつ、前記立設部から前記前側抜止部の前端までの距離が前記後側開口部の後端から前記前側開口部の前端までの距離よりも小さく設定されていることを特徴としている。
【0014】
このように構成された電子機器では、ロック部材の後側抜止部を取付板部の後側開口部に挿入した後に、前側抜止部を前側開口部の内方へ撓めた状態で前側にスライド移動することにより、後側抜止部と前側抜止部の両方を取付板部の裏側に係止させることができるが、その際に、取付板部の係合突起から前側抜止部の前端までの距離が長いため、軽い力で前側抜止部を前側開口部の内方へ撓めた状態で取付板部の裏側に潜り込ませることができる。
【0015】
上記の構成において、後側抜止部に半球状の突起が形成されていると共に、取付板部の裏面に突起と係脱可能な凹部が形成されていると、前側抜止部を取付板部の裏側に潜り込ませた状態で前側へスライド移動するとき、後側抜止部の突起が取付板部の裏面と点接触しながら摺動するため、当該部分に発生する摩擦力を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電子機器によれば、筐体の取付板部に対するロック部材の取付作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態例に係る電子機器の要部を示す斜視図である。
図2図1からロック部材を取り外した状態を示す斜視図である。
図3】該ロック部材の斜視図である。
図4】該ロック部材の平面図である。
図5】該ロック部材の側面図である。
図6】該ロック部材を筐体の取付板部に取り付ける手順を示す説明図である。
図7】本発明の変形例に係るロック部材の組立手順を示す説明図である。
図8】従来例に係るロック部材の組立手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1図2に示すように、本発明の実施形態例に係る電子機器は、内部に収納空間を有する箱形形状の筐体1と、この筐体の外側面の取付板部1aに取り付けられたロック部材2とを備えており、筐体1の収納空間にはディスプレイ装置などの図示せぬ機構部品が収納されている。筐体1はコンソール等の図示せぬ設置母材の凹所内に設置されるようになっており、以下の説明では、筐体1を凹所内に挿入する方向を後、筐体1を凹所から引き抜く方向を前、筐体1の内部の収納空間側を内、筐体1の外方の外部空間側を外とし、これらの方向を図中に矢印で示してある。
【0019】
図2に示すように、筐体1の取付板部1aには一対の係合突起3と前側開口部4および後側開口部5が設けられており、後側開口部5の後側には円形孔6が設けられている。前側開口部4と後側開口部5は係合突起3を挟んで前後方向に離反しており、これら係合突起3と後側開口部5の延長線上に円形孔6が配置されている。また、一対の係合突起3は前後方向に所定間隔を存して近接配置されており、これら係合突起3の前面と後面には上窄まり形状のテーパ3aが付けられている。なお、後側開口部5の後端から前側開口部4の前端までの距離をD2、両係合突起3の中心から後側開口部5の後端までの距離をD4、両係合突起3の中心から前側開口部4の前端までの距離をD6とし、これらの距離D2,D4,D6を図2中に表記してある。
【0020】
ロック部材2はステンレス鋼や圧延銅などからなる板ばねを所定形状に折曲加工したものであり、図3図5に示すように、このロック部材2は、舌片状の後側抜止部7と、後側抜止部7の前側から外方に向かって起立する立設部8と、立設部8の外側端部から前方に向かって延びる固定部9と、固定部9の前側から外側斜め前方に向かって延びる弾性変形部10と、弾性変形部10の前方の幅方向両側から内方に向かって延びる一対の剛性部11と、これら剛性部11の内側端部から前方に延びる一対の前側抜止部12とを有している。後側抜止部7には半球状の突起7aが形成されており、この突起7aは取付板部1aに設けられた円形孔6と係合可能となっている。また、固定部9には一対の位置決め孔13が前後方向に所定間隔を存して対向するように形成されており、両位置決め孔13の間隔は筐体1の取付板部1aに設けられた一対の係合突起3の間隔とほぼ同じに設定されている。
【0021】
なお、立設部8から前側抜止部12の前端までの距離をD1、両位置決め孔13の中心から後側抜止部7の後端までの距離をD3、位置決め孔13の中心から前側抜止部12の前端までの距離をD5とし、これらの距離D1,D3,D5を図5中に表記してある。
【0022】
次に、このように構成されたロック部材2を筐体1の取付板部1aに取り付ける組立手順について、図6を参照しつつ説明する。
【0023】
図6(a)に示すように、まず、ロック部材2の後側抜止部7を取付板部1aの後側開口部5に対して前方から後方へ挿入することにより、後側抜止部7を取付板部1aの裏側に潜り込ませる。
【0024】
次に、図6(b)に示すように、剛性部11を矢印P方向へ押し込んで弾性変形部10を内方へ撓ませながら、剛性部11を矢印Q方向へ押してロック部材2を前方へスライド移動させる。その際、弾性変形部10は固定部9と係合突起3との当接箇所を支点として内側へ弾性変形し、両係合突起3の中心から前側抜止部12の前端までの距離が長く設定されているため、剛性部11を軽い力で矢印P方向へ押し込むことにより、前側抜止部12を前側開口部4の内方へ簡単に撓めることができる。また、剛性部11を矢印P方向へ押し込むと、それに伴って後側抜止部7が固定部9と係合突起3との当接箇所を支点に図中の反時計回りに回動するため、後側抜止部7の突起7aが取付板部1aの裏面に圧接される。
【0025】
このようにしてロック部材2を前方へスライド移動させると、固定部9が係合突起3上を摺動しながら前方へ移動すると共に、突起7aが取付板部1aの裏面上を摺動しながら前方へ移動する。そして、図6(c)に示すように、突起7aが円形孔6に係合する位置までロック部材2を前方へスライド移動させると、固定部9に形成された位置決め孔13が係合突起3に嵌まり込み、この時点で後側抜止部7と前側抜止部12の両方が取付板部1aの裏面に係合してロック部材2の組立作業が完了する。
【0026】
ここで、筐体1の取付板部1aに設けられた各部の寸法関係とロック部材2に形成された各部の寸法関係は、図6(c)に表記されるように設定されている。すなわち、両位置決め孔13の中心から後側抜止部7の後端までの距離D3は両係合突起3の中心から後側開口部5の後端までの距離D4よりも大きく設定されていると共に、両位置決め孔13の中心から前側抜止部12の前端までの距離D5が両係合突起3の中心から前側開口部4の前端までの距離D6よりも大きく設定されており、かつ、立設部8から前側抜止部12の前端までの距離D1が後側開口部5の後端から前側開口部4の前端までの距離D2よりも小さく設定されている。
【0027】
その結果、本実施形態例に係る電子機器では、ロック部材2の後側抜止部7を取付板部1aの後側開口部5に挿入した後に、前側抜止部12を前側開口部4の内方へ撓めた状態で前側にスライド移動することにより、後側抜止部7と前側抜止部12の両方を取付板部1aの裏側に係止させることができ、その際、位置決め孔13の中心から前側抜止部12の前端までの距離D5が長いため、軽い力で前側抜止部12を前側開口部4の内方へ撓めた状態で取付板部1aの裏側に潜り込ませることができる。
【0028】
これに対し、図8に示した従来例の場合、ロック部材200の位置決め孔204から後側抜止部201の後端までの距離D3が取付板部100aの係合突起101から後側開口部103の後端までの距離D4よりも大きく設定されていると共に、位置決め孔204から前側抜止部207の前端までの距離D5が係合突起101から前側開口部102の前端までの距離D6よりも大きく設定されているが、ロック部材200の立設部202から前側抜止部207の前端までの距離D1が取付板部100aの後側開口部103の後端から前側開口部102の前端までの距離D2よりも大きく設定されているため、後側抜止部201を取付板部100aの裏側に潜り込ませる前に前側抜止部207を前側開口部102に挿入すると、立設部202が前側開口部102に当接して後側抜止部201を後側開口部5の内部に挿入することができなくなる。
【0029】
また、本実施形態例に係る電子機器では、ロック部材2の後側抜止部7に半球状の突起7aが形成されていると共に、取付板部1aの裏面に突起7aと係脱可能な凹部(円形孔6)が形成されているため、前側抜止部12を取付板部1aの裏側に潜り込ませた状態でロック部材2を前方へスライド移動するとき、突起7aが取付板部1aの裏面と点接触しながら摺動することで、当該部分に発生する摩擦力を低減することができる。さらに、一対の係合突起3の前面と後面に上窄まり形状のテーパ3aが付けられているため、固定部9に形成された一対の位置決め孔13を係合突起3にスムーズに嵌め込むことができ、この点からもロック部材2の組立作業を容易に行うことができる。
【0030】
そして、ロック部材2が取り付けられた筐体1を設置母材の凹所内に挿入して固定する場合は、ロック部材2の弾性変形部10が挿入途中で凹所の開口端に当接して内方へ撓められた後、さらなる挿入によって弾性変形部10が元の突出姿勢に復帰して凹所内のブラケット等に係止されるため、筐体1を凹所内に挿入するだけで自動的に固定することができる。また、修理やメンテナンス時に筐体1を凹所から取り外す場合は、設置母材に設けられた治具挿入孔から治具を挿入して弾性変形部10を内方へ撓めれば、弾性変形部10とブラケットの係合が解除されるため、そのまま筐体1を凹所から抜き取ることができる。
【0031】
なお、上記実施形態例では、筐体1の取付板部1aに一対のテーパ3a付き係合突起3を設け、これら係合突起3にロック部材2の固定部9に形成した一対の位置決め孔13を嵌め込むようにしているが、図7に示す変形例のように、従来例と同様の係合突起3を用いることも可能である。
【0032】
図7に示す変形例が上記実施形態例と相違する点は、筐体1の取付板部1aに円柱状の係合突起3と前側開口部4および後側開口部5が設けられていると共に、ロック部材2の固定部9に円形状の位置決め孔13が形成されていることにあり、それ以外の構成や組立順序は基本的に同様である。
【0033】
したがって、図7に示す変形例においても、ロック部材2の後側抜止部7を取付板部1aの後側開口部5に挿入した後に、前側抜止部12を前側開口部4の内方へ撓めた状態で前側にスライド移動することにより、後側抜止部7と前側抜止部12の両方を取付板部1aの裏側に係止させることができ、その際、位置決め孔13から前側抜止部12の前端までの距離が長く設定されているため、軽い力で前側抜止部12を前側開口部4の内方へ撓めた状態で取付板部1aの裏側に潜り込ませることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 筐体
1a 取付板部
2 ロック部材
3 係合突起
3a テーパ
4 前側開口部
5 後側開口部
6 円形孔(凹部)
7 後側抜止部
7a 突起
8 立設部
9 固定部
10 弾性変形部
11 剛性部
12 前側抜止部
13 位置決め孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8