特許第6563356号(P6563356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563356
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】スライドスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 15/02 20060101AFI20190808BHJP
   H01H 15/16 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H01H15/02 H
   H01H15/16 Z
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-52551(P2016-52551)
(22)【出願日】2016年3月16日
(65)【公開番号】特開2017-168304(P2017-168304A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】下村 尚登
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−309991(JP,A)
【文献】 特開平2−121217(JP,A)
【文献】 特開2007−157644(JP,A)
【文献】 特開2009−70671(JP,A)
【文献】 米国特許第5660272(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 − 13/88
H01H 15/00 − 15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点と当該固定接点に対向して接離自在な可動接点とが収納されたケースと、前記固定接点と前記可動接点を覆うように前記ケースに設けられた防水シートと、前記ケースにスライド移動自在に組み込まれた操作ツマミとを備え、前記操作ツマミのスライド移動により前記固定接点と前記可動接点との導通状態が切り換えられるスライドスイッチであって、
前記ケースにおいて、前記防水シートの内側に設けられ前記可動接点を駆動する第1駆動体と、
前記ケースにおいて、前記防水シートの外側に設けられ前記防水シートを介して前記第1駆動体を駆動する第2駆動体と、
を有し、
前記第1駆動体は、前記ケースに回動自在に支持された軸部と、前記第2駆動体によって押圧される被押圧部と、前記軸部に対して前記被押圧部よりも離れた位置に設けられ前記可動接点を駆動する作用部とを有し、
前記第2駆動体は、先端が前記防水シート上を摺動自在となるように基端が前記操作ツマミに取り付けられ、前記操作ツマミのスライド移動操作により、前記第2駆動体の先端が前記防水シートを介して前記第1駆動体の被押圧部を押圧して、前記第1駆動体が回転させられるとともに、前記第1駆動体の作用部が駆動させられることにより、前記可動接点と前記固定接点との導通状態が切り換えられることを特徴とするスライドスイッチ。
【請求項2】
前記第2駆動体は、前記ケースに設けられた弾性腕部によって前記第1駆動体の方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載のスライドスイッチ。
【請求項3】
前記弾性腕部には、前記第2駆動体と当接する押圧部が設けられており、前記押圧部が前記第1駆動体の上方に位置していることを特徴とする請求項2に記載のスライドスイッチ。
【請求項4】
前記弾性腕部は、前記ケースを構成する蓋部材に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のスライドスイッチ。
【請求項5】
前記第1駆動体の被押圧部は、前記軸部の軸心を挟んで前記作用部側に位置している第1被押圧部と前記作用部の反対側に位置している第2被押圧部を有し、
前記第2駆動体の先端が前記第2被押圧部上に位置しているとき、前記作用部は前記可動接点の非駆動位置に退避され、前記第2駆動体の先端が前記第1被押圧部上に位置しているとき、前記第1駆動体の作用部が前記可動接点を駆動していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のスライドスイッチ。
【請求項6】
前記第2駆動体は、前記基端から前記操作ツマミのスライド移動方向に沿うように延出した延出部を備え、前記第1駆動体の作用部は、前記第1駆動体の軸部と前記第2駆動体の基端との間の位置において、前記延出部の下方に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のスライドスイッチ。
【請求項7】
前記第2駆動体の基端には、前記操作ツマミに回動自在に組み付けられた軸部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のスライドスイッチ。
【請求項8】
前記操作ツマミには、上方が開放された軸受部を有し、前記軸受部に前記第2駆動体の軸部が回動自在に組み込まれ、前記軸受部の開放側が前記ケースを構成する蓋部材に覆われていることを特徴とする請求項7に記載のスライドスイッチ。
【請求項9】
前記可動接点には、前記固定接点側に延びる弾性を有する接続端子部を有し、前記第1駆動体の作用部が前記可動接点を駆動していないときには、前記接続端子部が前記固定接点と当接しており、前記第1駆動体の作用部が前記可動接点を駆動しているときには、前記接続端子部が前記固定接点から離れていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のスライドスイッチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のモード切換スイッチ等に適用されるスライドスイッチに関し、特に防水性を備えたスライドスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、防水性を備えたスライドスイッチとして、特許文献1に開示されたものが知られている。
特許文献1に開示されたスライドスイッチは、基板上に設けられた固定接点と、前記基板上に配置され前記固定接点に対応する開口が設けられたスペーサと、前記固定接点と対向するように前記開口に配置された舌片部を有する可動接点と、前記可動接点と上記スペーサを覆う防水機能を有する弾性シートと、前記弾性シート上を摺動し、前記可動接点の舌片部を加圧して前記固定接点と上記舌片部を接触させるダボを有するツマミにより構成されている。
そして、前記ツマミのスライド操作により、前記ダボを前記弾性シート上で摺動させ、そして押圧することにより、前記固定接点と前記可動接点の導通状態を切り替える構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−210728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のスライドスイッチによれば、ツマミのダボが、弾性シートを介して可動接点の舌片部を押し込み加圧し、可動接点を駆動させたとき、弾性シートが大きく変形させられる。このスライドスイッチの駆動操作を繰り返し行うと、弾性シートが疲労して、最悪の場合、弾性シートが破れてしまい、防水性を確保することができない恐れがある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、長期間にわたって防水性を確保できるスライドスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係るスライドスイッチは、固定接点と当該固定接点に対向して接離自在な可動接点とが収納されたケースと、前記固定接点と前記可動接点を覆うように前記ケースに設けられた防水シートと、前記ケースにスライド移動自在に組み込まれた操作ツマミとを備え、前記操作ツマミのスライド移動により前記固定接点と前記可動接点との導通状態が切り換えられるスライドスイッチであって、前記ケースにおいて、前記防水シートの内側に設けられ前記可動接点を駆動する第1駆動体と、前記ケースにおいて、前記防水シートの外側に設けられ前記防水シートを介して前記第1駆動体を駆動する第2駆動体とを有し、前記第1駆動体は、前記ケースに回動自在に支持された軸部と、前記第2駆動体によって押圧される被押圧部と、前記軸部に対して前記被押圧部よりも離れた位置に設けられ前記可動接点を駆動する作用部とを有し、前記第2駆動体は、先端が前記防水シート上を摺動自在となるように基端が前記操作ツマミに取り付けられ、前記操作ツマミのスライド移動操作により、前記第2駆動体の先端が前記防水シートを介して前記第1駆動体の被押圧部を押圧して、前記第1駆動体が回転させられるとともに、前記第1駆動体の作用部が駆動させられることにより、前記可動接点と前記固定接点との導通状態が切り換えられることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、可動接点を駆動する第1駆動体の作用部が、被押圧部よりも軸部に対して離れているので、第2駆動体の先端が防水シートを変形させる量(ストローク)を小さくすることできる。したがって、スライドスイッチのスライド移動操作を繰り返し行い、第2駆動体を防水シート上で摺動させても、防水シートの疲労を抑制することができる。よって、防水シートが破損しにくくなり、長期間にわたって、スライドスイッチの防水性を確保することができる。
【0008】
好適には、前記第2駆動体は、前記ケースに設けられた弾性腕部によって前記第1駆動体の方向に付勢されていることを特徴とする。
このような構成によれば、弾性腕部により、第2駆動体が第1駆動体を確実に駆動することができる。
【0009】
好適には、前記弾性腕部には、前記第2駆動体と当接する押圧部が設けられており、前記押圧部が前記第1駆動体の上方に位置していることを特徴とする。
このような構成によれば、弾性腕部の付勢力を確実に第1駆動体に作用させて、固定接点と可動接点との導通状態を切り換えることができる。
【0010】
好適には、前記弾性腕部は、前記ケースを構成する蓋部材に設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、蓋部材の一部を切り起こすだけで弾性腕部を形成することができ、弾性腕部として別部材を使用する必要はなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0011】
好適には、前記第1駆動体の被押圧部は、前記軸部の軸心を挟んで前記作用部側に位置している第1被押圧部と前記作用部の反対側に位置している第2被押圧部を有し、前記第2駆動体の先端が前記第2被押圧部上に位置しているとき、前記作用部は前記可動接点の非駆動位置に退避され、前記第2駆動体の先端が前記第1被押圧部上に位置しているとき、前記第1駆動体の作用部が前記可動接点を駆動していることを特徴とする。
このような構成によれば、操作ツマミのスライド移動に伴って、第2駆動体の先端が、第1駆動体の回動中心を挟んだ一方側と他方側を押圧するので、固定接点と可動接点との導通状態を確実に切り換えることができる。
【0012】
好適には、前記第2駆動体は、前記基端から前記操作ツマミのスライド移動方向に沿うように延出した延出部を備え、前記第1駆動体の作用部は、前記第1駆動体の軸部と前記第2駆動体の基端との間の位置において、前記延出部の下方に設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、第1駆動体の作用部と第2駆動体の延出部とがオーバーラップするように配置されるので、操作ツマミのスライド移動方向における寸法が大きくなるのを抑制できる。
【0013】
好適には、前記第2駆動体の基端には、前記操作ツマミに回動自在に組み付けられた軸部が設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、第2駆動体に第1駆動体側への付勢力が加わったとき、第2駆動体の先端側には、軸部の軸心を中心として、第1駆動体を押圧する方向に力が加わる。したがって、第2駆動体に加えられた付勢力を第1駆動体に十分に作用させることができる。
【0014】
好適には、前記操作ツマミには、上方が開放された軸受部を有し、前記軸受部に前記第2駆動体の軸部が回動自在に組み込まれ、前記軸受部の開放側が前記ケースを構成する蓋部材に覆われていることを特徴とする。
このような構成によれば、第2駆動体の軸部を上方から軸受部に嵌合させることができ、組立作業が良好なものとなる。
【0015】
好適には、前記可動接点には、前記固定接点側に延びる弾性を有する接続端子部を有し、前記第1駆動体の作用部が前記可動接点を駆動していないときには、前記接続端子部が前記固定接点と当接しており、前記第1駆動体の作用部が前記可動接点を駆動しているときには、前記接続端子部が前記固定接点から離れていることを特徴とする。
このような構成によれば、第1駆動体が可動接点を駆動しているときは、可動接点が固定接点と離間しているので、この状態で電子機器に振動等が加えられても、接触不良を起こすことが無く、信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、長期間にわたって防水性を確保できるスライドスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るスライドスイッチの斜視図である。
図2】スライドスイッチの構成部品の分解斜視図である。
図3】スライドスイッチの主要構成部品の分解斜視図である。
図4】スライドスイッチのオン状態を模式的に示した縦断面図である。
図5】固定接点と可動接点の分解斜視図である。
図6】ケース本体にスライドスイッチの主要構成部品を組み込んだ状態を示す平面図である。
図7】スライドスイッチのオフ状態を模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るスライドスイッチについて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスライドスイッチの斜視図であり、スライドスイッチがオフ状態のときの位置に置かれている図である。図2は、スライドスイッチの構成部品の分解斜視図である。図3は、スライドスイッチの主要構成部品の分解斜視図であり、第1駆動体、第2駆動体及び固定接点を分解した状態を示す図である。図4は、スライドスイッチのオン状態を模式的に示した縦断面図である。図5は、固定接点と可動接点の分解斜視図である。図6は、ケース本体にスライドスイッチの主要構成部品を組み込んだ状態を示す平面図であり、操作ツマミはスライドスイッチがオフ状態のときの位置に置かれている図である。
【0019】
スライドスイッチ1は、小型の電子機器の電気回路のオン・オフ動作を切換えるモード切換スイッチとして使用される。
スライドスイッチ1は、ケース本体2と蓋部材3を有するケース4と、ケース本体2内に収納された固定接点5と、固定接点5と接離自在に対向して配置された可動接点6と、固定接点5と可動接点6を覆うようにケース本体2内に設けられた防水シート7と、ケース本体2にスライド移動操作自在に組み込まれ可動接点6を駆動する操作ツマミ8を備えている。
【0020】
ケース本体2は、底板部20を備えた箱型の形状をなし、合成樹脂により成形されている。ケース本体2の上方側には開口部21が形成されており、開口部21より操作ツマミ8等のスライドスイッチ1の構成部品が組み込まれるようになっている。ケース本体2の開口部21は蓋部材3により蓋閉めされている。
図2に示すように、固定接点5は互いに電気的に接続された第1固定接点部9と第2固定接点部10より構成されている。
【0021】
第1固定接点部9は、略コ字状に形成されており、ケース本体2の底板部20にインサート成形により水平に組み込まれている。第1固定接点部9には所定間隔をおいて対向する一対の側片部9A、9Aを有している。第1固定接点部9の側片部9A、9Aは基端にて連結され、基端には外部の電気回路に接続される一対の第1ターミナル部9B、9Bが外方に張り出すように形成されている。第1ターミナル部9B、9Bは、その先端9b、9bがケース本体2の側面から外部に露出するようにケース本体2内に組み込まれている。
【0022】
第2固定接点部10は略四角形状に形成されており、四隅部には第2固定接点部10をケース本体2に位置決めするための位置決め片部10A、10A、10A、10Aがそれぞれ設けられている。各位置決め片部10Aには絶縁材10Bがインサート成形により取り付けられている。ケース本体2の底板部20には位置決め片部10Aを受け止め支持するための受け止め用突起20Aが四本突出形成されている。位置決め片部10Aが絶縁材10Bを介して受け止め用突起20A上に設置されることにより、第2固定接点部10は第1固定接点部9の両側片部9A、9Aを跨ぐようにケース本体2の底板部20に位置決めされている。なお、絶縁材10Bは接着剤等によって、受け止め用突起20Aに固定されている。
【0023】
図3に示すように、第2固定接点部10の対向する両側には、一対の接続端子部10C、10Cが突出形成されている。各接続端子部10C、10Cは、下方に折り曲げられ先端は第1固定接点部9の両側片部9A、9A上に付勢力をもって接触されている。したがって、第1固定接点部9と第2固定接点部10は接続端子部10Cを介して電気的に接続された状態となっている。
【0024】
可動接点6は、略T字状に形成されており、ケース本体2の底板部20にインサート成形により水平に組み込まれている。
可動接点6の基端には外部の電気回路に接続される一対の第2ターミナル部6A、6Aが外方に張り出すように形成されており、第2ターミナル部6A、6Aは、その先端6a、6aがケース本体2の側面から外部に露出するようにケース本体2内に組み込まれている。
【0025】
図5に示すように、可動接点6には第1固定接点部9の側片部9A、9A間に位置するとともに、第2固定接点部10の下方に所定の空間をおいて位置するように、中央端子部6Bが設けられている。中央端子部6Bには弾性を有する舌状の接続端子部6Cが形成されている。接続端子部6Cは二股に分割形成され、先端が第2固定端子部10側に突出するように中央端子部6Bから切り起こし形成されている。
【0026】
図4に示すスライドスイッチ1がオン状態のとき、可動接点6の接続端子部6Cの先端は接続端子部6C自体が持つ付勢力をもって第2固定接点部10に接触(弾接)し、可動接点6と第2固定接点部10(固定接点5)は電気的に接続される状態になる。
このように、可動接点6の接続端子部6Cが付勢力をもって第2固定接点部10に接触しているので、可動接点6と固定接点5の電気的接続状態は安定したものとなっている。
【0027】
防水シート7は、例えばポリイミドからなり、矩形状に形成されている。防水シート7は固定接点5と可動接点6を覆うようにケース本体2の開口部21側からケース本体2内に組み込まれ、ケース本体2の底板部20に設けられ固定接点5と可動接点6を収納する接点収納部22の縁部22Aに設置され取り付けられている。したがって、固定接点5と可動接点6を収納した接点収納部22は防水シート7により、密閉された状態となり、防水性は確保される。また、防水シート7は防水機能のみならず絶縁機能も兼ね備えている。なお、防水シート7の下面には、少なくとも固定接点5および可動接点6を囲むように形成された縁部22Aに対応して粘着剤が設けられており、この粘着剤によって防水シート7は縁部22Aに貼り付けられている。
【0028】
操作ツマミ8は、合成樹脂により成形され、ケース本体2の底板部20に設けられたツマミ収納部23内に組み込まれている。操作ツマミ8は、ツマミ収納部23内で接点収納部22側に位置する前方側壁23Aの位置と後方側壁23Bの位置との間でスライド自在となっている。
【0029】
操作ツマミ8が前方側壁23Aに当接しているとき、スライドスイッチ1はオン状態となり、操作ツマミ8が後方側壁23Bに当接しているとき、スライドスイッチ1はオフ状態となる。
【0030】
ケース本体2の接点収納部22内には、可動接点6を駆動する第1駆動体30が収納されている。
第1駆動体30の基端側の両側部に軸部31、31が突出形成されるとともに先端側には可動接点6を駆動するための作用部32が突出形成されている。
図4に示すように、第1駆動体31の作用部32は可動接点6の接続端子部6Cを押圧する位置に配置されている。第1駆動体30の軸部31、31は接点収納部22の前方側(図6中右側)に設けられ上方が開放された軸受部22B、22Bに回動自在に嵌合されている。
【0031】
このような構成によれば、第1駆動体30をケース本体2の開口部21側、すなわち上方から組み込み可能であるとともに、軸部31、31を上方から軸受部22B、22Bに嵌合させることができ、組立作業が良好なものとなる。
【0032】
第1駆動体30は、先端側に形成された作用部32が第2固定接点部10に形成された切り欠き部10D内に位置するとともに作用部32が可動接点6の接続端子部6Cの上方に位置するようにケース本体2の接点収納部22内に組み込まれている。
図4に示すように、第1駆動体30の上面には後述する第2駆動体40の押圧突起部41によって押圧される被押圧部33が形成されている。被押圧部33は軸部31の軸心を間に挟み作用部32側に形成された第1被押圧部33Aと反対側に形成された第2被押圧部33Bを有している。なお、作用部32は、軸部31の軸心に対して、第1被押圧部33Aよりも離れた位置に設けられている。また、作用部32は、軸部31の軸心に対して、第2被押圧部33Bよりも離れた位置に設けられたものとなっている。
【0033】
第1駆動体30を駆動する第2駆動体40は、防水シート7の上方側、すなわち接点収納部22の外側に設けられている。第2駆動体40の基端側の両側部には軸部42、42が突出形成されるとともに基端側から操作ツマミ8のスライド移動方向に沿うように延出部43が形成されている。第1駆動体30の作用部32は、第1駆動体30の軸部31と前記第2駆動体40の軸部42との間の位置において、延出部43の下方に設けられた構成となっている。
【0034】
このような構成によれば、第1駆動体30の作用部32と第2駆動体40の延出部43とがオーバーラップするように配置されているので、操作ツマミ8のスライド移動方向における寸法が大きくなることを抑制でき、寸法を小さくすることができる。したがって、小型の電子機器に好適なものとなる。
【0035】
第2駆動体40の先端側には、防水シート7上を摺動して第1駆動体30を押圧するための断面が円弧形状の押圧突起部41が形成されている。第2駆動体40の軸部42、42は操作ツマミ8に設けられ上方が開放された軸受部8A、8Aに回動自在となるように嵌合されている。
【0036】
このような構成によれば、第2駆動体40をケース本体2の開口部21側から、すなわち上方から組み込み可能であるとともに、軸部42、42を上方から軸受部8A、8Aに嵌合させることができ、組立作業が良好なものとなる。
【0037】
第2駆動体40の押圧突起部41が第2被押圧部33B上に位置しているとき、第1駆動体30の作用部32は可動接点6の接続端子部6Cから離れ、非駆動位置に退避している(図4を参照)。第2駆動体40の押圧突起部41が第1被押圧部33A上に位置するとき、第1駆動体30の作用部32が可動接点6の接続端子部6Cを付勢力に抗して押し下げ駆動している(図7を参照)。
【0038】
このような構成によれば、操作ツマミ8のスライド移動操作に伴って、第2駆動体40の押圧突起部41が、第1駆動体30の軸部31の軸心を間に挟んだ一方側(第1被押圧部33A)と他方側(第2被押圧部33B)を後述する弾性腕部3Bの付勢力を受けて押圧するので、固定接点5と可動接点6との導通状態を確実に切り換えることができる。また、押圧突起部41は断面が円弧形状となっているので、防水シート7上を摺動する際の抵抗を小さくすることができる。
【0039】
ケース本体2の開口部21を蓋閉めする蓋部材3は板金により矩形状に形成されている。蓋部材3において、操作ツマミ8が位置する部分には操作ツマミ8の操作部である先端8Bが外部に突出するように開口部3Aが形成されている。蓋部材3は、ケース本体2と一体化されて、ケース本体2とともに、ケース4を構成している。具体的には、蓋部材3に形成された複数の孔に、ケース本体2の複数の突起が挿通されて、その先端が熱かしめ等の手段でつぶされることによって、蓋部材3とケース本体2とは一体化されている。
【0040】
蓋部材3において、第2駆動体40が位置する部分には第2駆動体40を押圧するための弾性腕部3Bが設けられている。弾性腕部3Bは蓋部材3の一部を切り起こすことにより形成されている。弾性腕部3Bの先端には第2駆動体40の延出部43に当接し押圧する押圧部である押圧突片部3bが湾曲形成されている。また、押圧突片部3bは第1駆動体30の上方に位置する構成となっている。
【0041】
このように第2駆動体40は弾性腕部3Bの付勢力によって第1駆動体30側に押圧されているので、第1駆動体30を確実に駆動することができる。また、押圧突片部3bは第1駆動体30の上方に位置する構成となっているので、弾性腕部3Bの付勢力を確実に第1駆動体30に作用させて、固定接点5と可動接点6の導通状態の切り換えを行うことができる。
【0042】
また、第2駆動体40は軸部42、42が操作ツマミ8の軸受部8A、8Aで回動自在に支持されているので、第2駆動体40に弾性腕部3Bの付勢力が加わったとき、第2駆動体40の先端側には、軸部42の軸心を中心として、第1駆動体30を押圧する方向に力が加わる。したがって、弾性腕部3Bの付勢力を押圧突起部41を介して第1駆動体30に十分に作用させることができる。
【0043】
また、押圧突片部3bが湾曲形成されているので、第2駆動体40が駆動し、押圧突片部3bが第2駆動体40の接触面で摺動したときでも、押圧突片部3bの摺動抵抗は小さく、押圧突片部3bを滑らかに摺接させることができる。
【0044】
また、弾性腕部3Bは、蓋部材3の一部を切り起こすだけで形成することができ、弾性腕部3Bとして別部材を使用する必要はなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0045】
次に、図4及び図7を参照して、スライドスイッチの作用について説明する。図4はスライドスイッチのオン状態を模式的に示す縦断面図である。図7はスライドスイッチのオフ状態を模式的に示す縦断面図である。
スライドスイッチ1がオン状態のとき、操作ツマミ8はツマミ収納部23の前方側壁23Aに当接あるいは近接している。このとき、第2駆動体40の押圧突起部41は、図4に示すように、弾性腕部3Bの付勢力を受けて防水シート7を介して第1駆動体30の第2被押圧部33Bを押圧している。第2駆動体40の押圧突起部41が第1駆動体30の第2被押圧部33Bを押圧することにより、第1駆動体30は軸部31の軸心を中心として、図4中矢印A方向に回転させられており、第1駆動体30は、作用部32が可動接点6の接続端子部6Cから離れた位置(非駆動位置)に支持されている。
【0046】
図4に示すスライドスイッチ1のオン状態からスライドスイッチ1をオフ状態に切り換えるときは、操作ツマミ8をスライド操作し、操作ツマミ8をツマミ収納部23の後方側壁23Bに当接あるいは近接させる。このとき、第2駆動体40は操作ツマミ8とともに図7中左方向に引き込まれる。そうすると、第2駆動体40の押圧突起部41は防水シート7上を摺動し、図7に示すように防水シート7を撓ませながら、第2被押圧部33Bから第1被押圧部33Aに移動する。このとき、第1駆動体30は図7中矢印B方向に回転し、可動接点6の接続端子部6Cが作用部32によって押し下げられる。そうすると、可動接点6の接続端子部6Cと第2固定接点部10との接触状態は解かれ、固定接点5と可動接点6との導通がオフ状態に切り換えられる。
【0047】
なお、スライドスイッチ1がオフ状態のとき、第2駆動体40の押圧突起部41は第1被押圧部33Aを押圧し、可動接点6の接続端子部6Cを押し下げ、第1駆動体30を可動接点6の接続端子部6Cと第2固定接点部10が離間する位置に支持している。したがって、この状態で電子機器に振動が加えられても固定接点5と可動接点6の接触不良を起こすことは無く、スライドスイッチ1の信頼性を向上させることができる。
【0048】
このように、本実施形態によれば、操作ツマミ8のスライド移動操作により、第2駆動体40が防水シート7を介して第1駆動体30を駆動することにより、固定接点5と可動接点6との導通状態を切り換えることができる。
そして、可動接点6を駆動する第1駆動体30の作用部32が、第1被押圧部33Aよりも軸部31から離れているので、第2駆動体40の押圧突起部41が防水シート7を変形させる量(ストローク)を小さくできる。したがって、スライドスイッチ1のスライド移動操作を繰り返し行い、第2駆動体40の押圧突起部41を防水シート7上で繰り返し摺動させても、防水シート7の疲労を抑制することができる。よって、防水シート7が破損しにくくなり、長期間にわたって、スライドスイッチ1の防水性を確保することができる。
【0049】
本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0050】
本実施形態では、第2駆動体40が操作ツマミ8に回動自在に取り付けられているが、本発明は第2の駆動体40は操作ツマミ8と一体に成形されたものであっても良い。
【0051】
また、本実施形態では、弾性腕部3Bが蓋部材3を切り起こすことにより形成されたものであるが、本発明は第2駆動体自体に弾性力を持たせ、第1駆動体を押圧する構成のものであっても良い。
【0052】
また、本実施形態では、弾性腕部3Bは蓋部材3を切り起こし形成されたものであるが、本発明の弾性腕部は、蓋部材3とは別部材で構成されているものであってもよく、例えば圧縮コイルばね等であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、防止性を備えたスイッチに適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1・・・・・・・・・スライドスイッチ
2・・・・・・・・・ケース本体
3・・・・・・・・・蓋部材
3B・・・・・・・・弾性腕部
3b・・・・・・・・押圧突片部(押圧部)
4・・・・・・・・・ケース
5・・・・・・・・・固定接点
6・・・・・・・・・可動接点
6C・・・・・・・・接続端子部
7・・・・・・・・・防水シート
8・・・・・・・・・操作ツマミ
8A・・・・・・・・軸受部
30・・・・・・・・第1駆動体
31・・・・・・・・軸部
32・・・・・・・・作用部
33・・・・・・・・被押圧部
33A・・・・・・・第1被押圧部
33B・・・・・・・第2被押圧部
40・・・・・・・・第2駆動体
41・・・・・・・・押圧突起部
42・・・・・・・・軸部
43・・・・・・・・延出部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7