(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加熱筒から前樹脂を排出した後に後樹脂を供給して樹脂替えを行う際の成形機の樹脂替え支援方法であって、予め、樹脂の種類毎に、成形機における所定の動作物理量に相関性を有する粘度(以下、見掛粘度)を求めて設定したデータベースにおける樹脂替え対象となる後樹脂の見掛粘度から前樹脂の見掛粘度を減じて得られる粘度差に係わる指数(以下、粘度差指数)を演算処理により求め、かつ当該粘度差指数に対して樹脂替え時に必要となる前記後樹脂又は前記中間材に係わるパージ所要量を実測により求めるとともに、当該パージ所要量と前記粘度差指数間の変換処理手段を求めて前記成形機コントローラに設定し、成形機の樹脂替え時に、成形機コントローラにより、樹脂替え対象となる後樹脂と前樹脂における前記粘度差指数を演算処理により求め、求めた粘度差指数の正負判定を行うことにより、少なくとも負の判定時には中間材を要する旨の判定結果を出力し、かつ求めた粘度差指数と前記変換処理手段からパージ所要量を求め、求めたパージ所要量により樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件を設定することを特徴とする成形機の樹脂替え支援方法。
前記粘度差指数が負のときは、前記中間材を使用する中間材使用モードを実行するとともに、前記粘度差指数が正又は0のときは、前記中間材を使用しない中間材非使用モードを実行することを特徴とする請求項1記載の成形機の樹脂替え支援方法。
加熱筒から前樹脂を排出した後に後樹脂を供給して樹脂替えを行う際の成形機の樹脂替え支援装置であって、樹脂の種類毎に求めた、成形機における所定の動作物理量に相関性を有する粘度(以下、見掛粘度)に係わるデータベースと、このデータベースにおける樹脂替え対象となる後樹脂の見掛粘度から前樹脂の見掛粘度を減じて得られる粘度差に係わる指数(以下、粘度差指数)を演算処理により求める粘度差指数演算機能と、前記データベースから求めた粘度差指数とこの粘度差指数に対する樹脂替え時に必要となる前記後樹脂又は前記中間材に係わる実測により求めたパージ所要量間の変換処理手段と、前記粘度差指数演算機能により得られた粘度差指数の正負判定を行う判定機能と、この判定機能による判定結果が少なくとも負の判定時には中間材を要する旨の判定結果を出力する判定結果出力機能と、前記粘度差指数演算機能から得られた前記粘度差指数と前記変換処理手段から樹脂替え対象のパージ所要量を求めるパージ所要量演算機能と、求めたパージ所要量により樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件を設定するパージ条件設定機能と、を成形機コントローラに設けてなることを特徴とする成形機の樹脂替え支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来における樹脂替えに係わる技術は、必ずしも十分な樹脂替え機能を有しているとは言えず、特に、中間材を用いた樹脂替えを最適化する観点からは更なる改善の余地があった。
【0006】
即ち、樹脂替え工程は、樹脂の供給及び排出を繰り返すため、無用な時間と材料を消費することになり、樹脂替え工程を如何に効率的かつ効果的に行うかは、材料コストの削減、更にはパージ処理時間を短縮して生産効率を高める上で重要なポイントとなる。一方、前樹脂から後樹脂に切替える場合、各樹脂の物理的特性及び化学的特性が異なるため、例えば、前樹脂に合わせたパージ条件により樹脂を排出し、この後、後樹脂を供給すれば、後樹脂を劣化させてしまうなどの不具合を生じるため、通常、前樹脂を排出し、後樹脂を供給する前に、中間材を介在させる場合も少なくない。この場合、中間材は種類が多く、また、使用できる中間材が一つではないとともに、前樹脂と後樹脂の双方との関係で選択する必要があるため、中間材を要するか否かの判断や最適な中間材を選択したか否かの見極め、更には、樹脂替えに要する後樹脂又は中間材の総量をどの程度に選定すれば最も望ましいかなどの判断は、経験を積んだベテランのオペレータであっても容易でない。
【0007】
このように、中間材が実際に必要か否か、或いは使用する場合はどの中間材の望ましいかなどの判断は、樹脂替え工程を短時間に終了させ、かつ後樹脂を良好な状態で使用する観点から重要な技術的事項となるが、従来の樹脂替えに係わる装置(方法)は、データベースから決められた条件に従って単に選択するに過ぎないため、材料コストの削減及び樹脂替え時間の短縮を推進し、更には無用な不良品の発生を抑制する観点からは必ずしも十分とはいえない。
【0008】
しかも、樹脂替えは、後樹脂又は中間材の供給及び排出を繰り返すため、十分なレベルまで繰り返すには、供給する後樹脂又は中間材の総量をどの程度に設定すればよいかなど不確実性の要素も存在するため、従来の方法では、ある程度の予測的な設定は可能であるとしても、最終的には、オペレータ(ユーザー)が、排出される樹脂を目視で確認し、樹脂替え工程の終了タイミングを判断する必要があるなど、オペレータの介在に頼らざるを得ないのが実情である。結局、後樹脂の無駄をなくしつつ、オペレータの経験や判定基準などに左右されることなく一定の成形品質を確保する観点からも更なる改善の余地があった。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した成形機の樹脂替え支援方法及び装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る成形機の樹脂替え支援方法は、上述した課題を解決するため、加熱筒2から前樹脂Rfを排出した後に後樹脂Rsを供給して樹脂替えを行うに際し、予め、樹脂R…の種類毎に、成形機における所定の動作物理量に相関性を有する粘度(以下、見掛粘度)V…を求めて設定したデータベースDmにおける樹脂替え対象となる後樹脂Rsの見掛粘度Vsから前樹脂Rfの見掛粘度Vfを減じて得られる粘度差に係わる指数(以下、粘度差指数)Eを演算処理により求め、かつ当該粘度差指数Eに対して樹脂替え時に必要となる後樹脂Rs又は中間材Rmに係わるパージ所要量Wsを実測により求めるとともに、当該パージ所要量Wsと粘度差指数E間の変換処理手段Fcsを求めて成形機コントローラ3に設定し、成形機Mの樹脂替え時に、成形機コントローラ3により、樹脂替え対象となる後樹脂Rsと前樹脂Rfにおける粘度差指数Eを演算処理により求め、求めた粘度差指数Eの正負判定を行うことにより、少なくとも負の判定時には中間材Rmを要する旨の判定結果を出力し、かつ求めた粘度差指数Eと変換処理手段Fcsからパージ所要量Wsを求め、求めたパージ所要量Esにより樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件を設定することを特徴とする。
【0011】
他方、本発明に係る成形機の樹脂替え支援装置1は、上述した課題を解決するため、加熱筒2から前樹脂Rfを排出した後に後樹脂Rsを供給して樹脂替えを行う際の成形機の樹脂替え支援装置を構成するに際して、樹脂R…の種類毎に求めた、成形機における所定の動作物理量に相関性を有する見掛粘度V…に係わるデータベースDmと、このデータベースDmにおける樹脂替え対象となる後樹脂Rsの見掛粘度Vsから前樹脂Rfの見掛粘度Vfを減じて得られる粘度差に係わる粘度差指数Eを演算処理により求める粘度差指数演算機能Feeと、データベースDmから求めた粘度差指数Eとこの粘度差指数Eに対する樹脂替え時に必要となる後樹脂Rs又は中間材Rmに係わる実測により求めたパージ所要量Ws間の変換処理手段Fcsと、粘度差指数演算機能Feeにより得られた粘度差指数Eの正負判定を行う判定機能Fjと、この判定機能Fjによる判定結果が少なくとも負の判定時には中間材Rmを要する旨の判定結果を出力する判定結果出力機能Foと、粘度差指数演算機能Feeから得られた粘度差指数Eと変換処理手段Fcsから樹脂替え対象のパージ所要量Wsを求めるパージ所要量演算機能Fpsと、求めたパージ所要量Wsにより樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件を設定するパージ条件設定機能Fsと、を成形機コントローラ3に設けてなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、発明の好適な態様により、変換処理手段Fcsには、変換関数又は変換データテーブルを含ませることができる。一方、所定の動作物理量には、所定の試験条件により加熱筒2から樹脂Rを排出する際における圧力Piを含ませることができるとともに、所定の試験条件には、加熱筒2に対する異なる複数の加熱温度Tc…を含ませることができる。なお、パージ所要量Wsは、成形機コントローラ3に付属するディスプレイ4に表示することが望ましい。さらに、粘度差指数Eが負のときは、中間材Rmを使用する中間材使用モードを実行するとともに、粘度差指数Eが正又は0のときは、中間材Rmを使用しない中間材非使用モードを実行することができる。このため、適用する成形機Mとしては、射出成形機が最適となる。
【発明の効果】
【0013】
このような構成を有する本発明に係る成形機の樹脂替え支援方法及び装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0014】
(1) 成形機Mの樹脂替え時には、データベースDmにおける樹脂替え対象となる後樹脂Rsの見掛粘度Vsから前樹脂Rfの見掛粘度Vfを減じて得られる粘度差指数Eを演算処理により求め、求めた粘度差指数Eの正負判定を行うことにより、少なくとも負の判定時には中間材Rmを要する旨の判定結果を出力するようにしたため、樹脂替え対象となる後樹脂Rsと前樹脂Rfの粘度差に基づく粘度差指数Eを用いた中間材Rmの必要性が判定される。したがって、オペレータは中間材Rmの必要性を的確(正確)に知ることができ、材料コストの削減及び樹脂替え時間の短縮、更には無用な不良品発生の抑制に寄与できる。
【0015】
(2) 予め、データベースDmから求めた粘度差指数Eに対して樹脂替え時に必要となる後樹脂Rsに係わるパージ所要量Wsを実測により求め、かつ粘度差指数Eとパージ所要量Ws間の変換処理手段Fcsを求めて成形機コントローラ3に設定するとともに、成形機Mの樹脂替え時に、成形機コントローラ3の粘度差指数演算機能Feeにより、樹脂替え対象となる後樹脂Rsと前樹脂Rfに基づく粘度差指数Eを演算処理し、かつパージ所要量演算機能Fpsを用いて、得られた粘度差指数Eと変換処理手段Fcsからパージ所要量Wsを求め、パージ条件設定機能Fsを用いて、求めたパージ所要量Wsにより樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件を設定するようにしたため、オペレータの判断を介在させることなく、樹脂替え時におけるパージ回数等のパージ条件を的確に設定できる。この結果、後樹脂Rsの無駄を排除しつつ、効率的かつ能率的な樹脂替え工程を行うことができるとともに、オペレータの経験や判定基準などに左右されることなく一定の成形品質(樹脂替え品質)を確保できる。
【0016】
(3) 好適な態様により、変換処理手段Fcsに、変換関数又は変換データテーブルを含ませれば、複雑な演算処理を伴うことなく単純な変換処理により実現できるため、成形機Mに備える成形機コントローラ3を利用することにより、必要とするパージ所要量Wsを容易かつ迅速に求めることができる。
【0017】
(4) 好適な態様により、所定の動作物理量に、所定の試験条件により加熱筒2から樹脂Rを排出する際における圧力Piを含ませれば、様々な成形機における成形時の圧力Piを利用できるため、必要とする見掛粘度Vを容易に得ることができる。
【0018】
(5) 好適な態様により、所定の試験条件に、加熱筒2に対する異なる複数の加熱温度Tc…を含ませれば、実際の成形機(射出成形機)Mの動作状態に、より近い動作状態をつくり出すことができるため、より的確な判定を行うことができるとともに、より正確なパージ所要量Wsを求めることができる。
【0019】
(6) 好適な態様により、パージ所要量Wsを、成形機コントローラ3に付属するディスプレイ4に表示するようにすれば、オペレータは、必要となるパージ所要量Ws、更にはこれに基づくパージ回数等を容易に把握できるため、例えば、成形機Mから離れた作業や最終的な確認時期等について判断しやすくなるなど、樹脂替え工程に対して、より柔軟かつ的確に対応することができる。
【0020】
(7) 好適な態様により、粘度差指数Eが負のときに、中間材Rmを使用する中間材使用モードを実行するとともに、粘度差指数Eが正又は0のときに、中間材Rmを使用しない中間材非使用モードを実行するようにすれば、中間材Rmの必要性に係わる判定結果に対応した樹脂替え工程(モード)に直接繋げることができるため、より効率的な樹脂替え工程を実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
まず、本実施形態に係る樹脂替え支援方法を実施できる射出成形機M(成形機)の構成について、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0024】
図3中、Mは射出成形機、特に、型締装置を省略した射出装置Miを示す。射出装置Miにおいて、2は加熱筒であり、この加熱筒2の前端部にはヘッド部2hを介してノズル2nを取付固定するとともに、加熱筒2の後端上部にはホッパー11を備える。ノズル2nは加熱筒2の内部における溶融した樹脂を金型(型締装置)に対して射出する機能を有するとともに、ホッパー11は、樹脂R…、即ち、後述する前樹脂Rf,中間材(パージ剤)Rm,後樹脂Rsとなる樹脂材料を加熱筒2の内部に供給する機能を有する。
【0025】
また、加熱筒2の内部にはスクリュ12を回転自在及び進退自在に装填する。このスクリュ12は、螺旋状のフライト部12mpが形成されたスクリュ本体部12mを備えるとともに、このスクリュ本体部12mの前端にトピード部12t及びスクリュ先端部12sを備える。スクリュ本体部12mは、前側から後側に、メターリングゾーンZm,コンプレッションゾーンZc,フィードゾーンZfを有する。一方、スクリュ12の後端部はスクリュ駆動部13に結合する。スクリュ駆動部13は、スクリュ12を回転させるスクリュ回転機構13r及びスクリュ12を前進及び後退させるスクリュ進退機構13mを備える。なお、スクリュ回転機構13r及びスクリュ進退機構13mの駆動方式は、油圧回路を用いた油圧方式であってもよいし電動モータを用いた電気方式であってもよく、その駆動方式は問わない。
【0026】
さらに、加熱筒2は、前側から後側に、加熱筒前部2f,加熱筒中部2m,加熱筒後部2rを有し、各部2f,2m,2rの外周面には、前部加熱部14f,中部加熱部14m,後部加熱部14rをそれぞれ付設する。同様に、ヘッド部2hの外周面には、ヘッド加熱部14hを付設するとともに、ノズル2nの外周面には、ノズル加熱部14nを付設する。これらの各加熱部14f,14m,14r,14h,14nはバンドヒータ等により構成できる。
【0027】
一方、3は、射出成形機M全体の制御を司る成形機コントローラを示す。成形機コントローラ3は、CPU及び付属する内部メモリ15m等のハードウェアを内蔵したコンピュータ機能を有するコントローラ本体15を備えるとともに、このコントローラ本体15に接続したディスプレイ4を備える。ディスプレイ4は、タッチパネルが付属するため、ディスプレイ4を用いて、設定,選択,入力等の各種操作を行うことができるとともに、各種表示を行うことができる。特に、本実施形態に関連して、
図4に示す樹脂替え設定画面Hcを表示することができる。
【0028】
さらに、コントローラ本体15には、ドライバ16を介して前述したスクリュ回転機構13r及びスクリュ進退機構13mを接続するとともに、各加熱部14f,14m,14r,14h,14nを接続する。これにより、コントローラ本体15はドライバ16を通してスクリュ回転機構13r及びスクリュ進退機構13mを駆動制御できるとともに、各加熱部14f,14m,14r,14h,14nを通電制御できる。
【0029】
したがって、成形機コントローラ3は、HMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)制御系及びPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)制御系を包含し、内部メモリ15mには、PLCプログラムとHMIプログラムを格納する。なお、PLCプログラムは、射出成形機Mにおける各種工程のシーケンス動作や射出成形機Mの監視等を実現するためのソフトウェアであり、HMIプログラムは、射出成形機Mの動作パラメータの設定及び表示,射出成形機Mの動作監視データの表示等を実現するためのソフトウェアである。そして、この成形機コントローラ3が本実施形態に係る樹脂替え支援装置1を構成する。
【0030】
次に、本実施形態に係る樹脂替え支援装置1について、
図2〜
図8を参照して具体的に説明する。
【0031】
樹脂替え支援装置1は、基本的な構成として、前樹脂Rf…及び後樹脂Rs…を含む樹脂R…の種類毎に求めた、成形機Mにおける所定の動作物理量に相関性を有する見掛粘度V…に係わるデータベースDmを備える。上述した内部メモリ15mは、このデータベースDmを構成する。
【0032】
このデータベースDmの作成処理手順について、
図2に示すフローチャートを参照して説明する。まず、各種樹脂R…の見掛粘度V…を求めるための試験機を準備し、この試験機に基本的な試験条件を設定する(ステップSF1)。
【0033】
なお、試験機には、標準的な射出成形機Mを利用できる。したがって、試験機専用の射出成形機Mを別途準備して用いてもよいし、実際に樹脂替えを行うユーザー(オペレータ)の所有する射出成形機Mを試験機として用いることも可能である。本実施形態では、
図3に示す射出成形機Mを試験機として用いるものとする。
【0034】
また、基本的な試験条件には、加熱筒2に対する複数の加熱温度Tc…,計量時のスクリュ回転速度,射出時の射出速度等の基本的な動作条件(成形条件)を含めることができる。試験条件として、特に、加熱筒2に対する異なる複数の加熱温度Tc…を含ませれば、実際の射出成形機Mの動作状態に、より近い動作状態をつくり出すことができるため、より的確な判定を行うことができるとともに、より正確なパージ所要量Ws又はWmを求めることができる利点がある。本実施形態では、複数の加熱温度Tc…として、200〔℃〕,220〔℃〕,250〔℃〕を使用し、最初に200〔℃〕を設定した。
【0035】
さらに、見掛粘度Vとは、所定の動作物理量に相関性を有する試験機(射出成形機M)によって具現化される相対的な粘度である。本実施形態では、所定の動作物理量として、上述した試験条件により加熱筒2から樹脂Rを排出する際における圧力(射出圧力)Piを用いた。所定の動作物理量として、このような圧力Piを用いれば、様々な射出成形機Mにおける成形時の圧力(射出圧力)Piを利用できるため、必要とする見掛粘度Vを容易に得ることができる利点がある。
【0036】
試験機(射出成形機M)に対して基本的な試験条件を設定したなら、試験機(射出成形機M)を作動させる(ステップSF2)。そして、射出成形機Mの加熱筒2に、最初の樹脂RとなるA樹脂(材料)を供給する(ステップSF3)。これにより、スクリュ12を回転させれば、A樹脂に対する可塑化計量が行われる。この際、加熱筒2における最大値を計量する(ステップSF4)。計量が終了したなら、設定した一定の射出速度によりスクリュ12を前進させる(ステップSF5)。この結果、ノズル2nから溶融状態のA樹脂が射出されるため、射出中、即ち、スクリュ12の前進時における射出圧力Piを計測する(ステップSF6)。
【0037】
射出が終了したなら、A樹脂の見掛粘度Vを演算処理により求める(ステップSF7)。見掛粘度V〔Pa・s〕は、以下に示す[数1]式から求めることができる。なお、[数1]中、Rはノズル孔の半径〔m〕、ΔPiは計測した射出圧力〔Pa〕の平均、r
sはスクリュ半径〔m〕、vは射出速度〔m/s〕、Lはノズル孔の長さ〔m〕である。したがって、このようなスクリュ12及び加熱筒2に係わるディメンションは、予め、成形機コントローラ3に入力することにより登録しておく。
【0040】
次に、加熱温度Tcを220〔℃〕に設定変更する(ステップSF8,SF9,SF10)。そして、上述した計量及び射出に係わる一連の処理を同様に行うことにより、加熱温度Tcを220〔℃〕に設定したときのA樹脂の見掛粘度Vを求める(ステップSF4,SF5…)。さらに、加熱温度Tcを250〔℃〕に設定変更し、同様の処理を行うことにより、加熱温度Tcを250〔℃〕に設定したときのA樹脂の見掛粘度Vを求める(ステップSF8,SF9,SF10,SF4,SF5…)。これにより、A樹脂に対する異なる加熱温度Tc…毎の見掛粘度V…を求める処理(試験)が終了する。
【0041】
次いで、B樹脂に変更し、B樹脂の見掛粘度V…を求める同様の処理(試験)を行う。したがって、この場合、A樹脂に対する十分な排出処理を行った後、B樹脂を加熱筒2に供給する(ステップSF8,SF9,SF3…)。この際、加熱温度Tcを200〔℃〕に設定変更する。そして、A樹脂の場合と同様に、各加熱温度Tc…における一連の処理(試験)を行うことにより、B樹脂に対する見掛粘度V…を求める。このような見掛粘度V…を求める処理は、残りの樹脂、即ち、C樹脂,D樹脂,E樹脂,F樹脂に対しても同様に行う。
【0042】
これにより、全ての樹脂R…、即ち、A樹脂〜F樹脂についての見掛粘度V…を得ることができるため、得られた見掛粘度V…に係わる全データによりデータベースDmを作成する(ステップSF11)。得られたデータベースDmは内部メモリ15mに登録する。
図5は、A樹脂〜F樹脂までの六種類の異なる樹脂R…について、加熱温度Tc…を、200〔℃〕,220〔℃〕,250〔℃〕に設定したときの見掛粘度V…を一覧表により示している。
【0043】
ところで、ノズル2nを含む加熱筒2は、前述したように、前側から後側に、ノズル2n,ヘッド部2h,加熱筒前部2f,加熱筒中部2m,加熱筒後部2rを有するため、ノズル2n,ヘッド部2h及び加熱筒前部2fを高温領域(250〔℃〕)に設定し、加熱筒中部2m及び加熱筒後部2rを低温領域(200〔℃〕)に設定した場合、高温領域に残留する粘度(見掛粘度Vf)の低い前樹脂Rfは、後方から前進する粘度(見掛粘度Vs)の高い低温領域の後樹脂Rsによって排出されやすい状態になり、特に、前樹脂Rfに対する後樹脂Rsの相対的な見掛粘度差が大きいほど、前樹脂Rfが、より排出されやすいと考えられる。即ち、200〔℃〕における見掛粘度Vsから250〔℃〕における見掛粘度Vfを減じた値[Vs(200)−Vf(250)]が正又は0となり、その絶対値が大きいほど、排出されやすいと考えられる。
【0044】
また、前樹脂Rfと後樹脂Rsが共に低温領域(200〔℃〕)に存在する場合、前樹脂Rfに対する後樹脂Rsの相対的な見掛粘度差が大きいほど、前樹脂Rfが、より排出されやすいと考えられる。即ち、200〔℃〕における見掛粘度Vsから200〔℃〕における見掛粘度Vfを減じた値[Vs(200)−Vf(200)]が正又は0となり、その絶対値が大きいほど、排出されやすいと考えられる。
【0045】
このように、前樹脂Rfと後樹脂Rsにおける見掛粘度Vfと見掛粘度Vsの関係は、パージ性能に密接に関係することが考えられるため、前樹脂Rfの見掛粘度Vfに対する後樹脂Rsの見掛粘度Vsの差に着目し、上述した[Vs(200)−Vf(250)]の値に対して[Vs(200)−Vf(200)]の値を加算した値を、「排出しやすさ」が反映(推定)される粘度差指数Eとし、この粘度差指数Eを求めることにより、中間材Rmの必要性の判定するとともに、必要となる後樹脂Rs(又は中間材Rm)のパージ所要量Wを導出するようにした。
【0046】
また、粘度差指数Eが負となる場合は、前樹脂Rfの見掛粘度Vfに対して、後樹脂Rsの見掛粘度Vsが低いことを意味するため、実質的な排出処理は困難となる。したがって、この場合には、中間材Rmの使用を推奨するようにした。
【0047】
以下、検証を含めた具体的な処理手順について、
図2に示したフローチャートの後段を参照して説明する。
【0048】
まず、上述した粘度差指数Eを得ることができる演算式を[数2]に改めて示す。なお、[数2]中、Vf(x)はx〔℃〕における前樹脂Rfの見掛粘度、Vs(x)はx〔℃〕における後樹脂Rsの見掛粘度を示す。
【0050】
図6に、各種樹脂R…の組合わせに基づく粘度差指数E…の演算結果を一覧表で示す。この場合、各種樹脂R…の組合わせは、
図5の試験結果をベースにしたものである。したがって、各種樹脂R…の組合わせとなる前樹脂Rfと後樹脂Rsのそれぞれに、
図5に示したA樹脂〜F樹脂を適用し、実際に、パージ処理の実験を行うことにより、後樹脂Rsのパージ所要量Wsを求めた。具体的には、A樹脂〜F樹脂の組合わせに基づき、前樹脂Rfが完全に無くなるまでに要する後樹脂Rsの総量(パージ所要量W)を実測した(ステップSF12)。この実測に基づくパージ所要量Wsを
図6に一覧表で示す。
【0051】
そして、
図7に示すように、パージ所要量Ws…と粘度差指数E…の関係をプロットした。
図7から明らかなように、パージ所要量Ws…と粘度差指数E…の間には、一定の相関関係が存在することを確認できる。
【0052】
なお、参考例として、樹脂R…の濡れ性に着目し、高温濡れ性試験機により、スクリュ鋼材と各樹脂R…の濡れ角度を測定することにより、各樹脂R…の接着仕事差U〔mJ/m
2〕…を求め、上述した粘度差指数E…の場合と同様に、パージ所要量Ws…を実測するとともに、
図8に示すように、パージ所要量Ws…と接着仕事差U…の関係をプロットした。しかし、
図8から明らかなように、パージ所要量Ws…と接着仕事差U…の間には、明確な相関性は認められなかった。
【0053】
したがって、パージ所要量Ws…と粘度差指数E…の相関関係を関数式又はデータテーブル形式により表せば、所定の粘度差指数Eから必要とするパージ所要量Wsを求めることができる。即ち、粘度差指数Eをパージ所要量Wsに変換する変換処理手段Fcsを構築することができる(ステップSF13,14)。
【0054】
本実施形態では、変換処理手段Fcsとして変換関数を用いた。この変換関数を[数3]に示す。なお、[数3]中、Quは、実際に樹脂替えを行う対象となる射出成形機Mにおける最大射出容量〔cc〕、Ka,Kbは、
図7の相関関係から得られる定数であり、例示の場合、Kaは「40」前後,Kbは「90」前後の数値を適用できる。また、Vf(x)は加熱筒中部2m及び加熱筒後部2rがx〔℃〕のときの前樹脂Rfの見掛粘度、Vf(y)はノズル2n〜加熱筒前部2fがy〔℃〕のときの前樹脂Rfの見掛粘度、Vs(x)は加熱筒中部2m及び加熱筒後部2rがx〔℃〕のときの後樹脂Rsの見掛粘度、Qtは試験機における最大射出容量〔cc〕である。
【0056】
このため、樹脂替え支援装置1を構成する内部メモリ15mには、
図3に示すように、前述したデータベースDmに加えて、[数3]の変換関数を登録する(ステップSF15)。したがって、この変換関数が、データベースDmから求めた粘度差指数E…とこの粘度差指数E…に対して樹脂替え時に必要となる後樹脂Rsに係わる実測により求めたパージ所要量Wsの変換関数となり、樹脂替え支援装置1における変換処理手段Fcsを構成する。なお、変換処理手段Fcsとして、[数3]式の変換関数を示したが、同様に機能させることができる変換データテーブルとして構築してもよい。
【0057】
このように、変換処理手段Fcsとして、変換関数又は変換データテーブルを用いれば、複雑な演算処理を伴うことなく単純な変換処理により実現できるため、射出成形機Mに備える成形機コントローラ3を利用することにより、必要とするパージ所要量Wsを容易かつ迅速に求めることができる利点がある。
【0058】
上述したデータベースDmと変換関数又は変換データテーブル(変換処理手段Fcs)は、試験機として用意した射出成形機から求めることができるため、これらのデータは予め用意し、実際に樹脂替えを行うユーザーの所有する射出成形機Mにおける成形機コントローラ3に転送することができる。これにより、ユーザー(オペレータ)は、このデータベースDmと変換処理手段Fcsを利用して、後述する樹脂替え対象となる射出成形機Mにおける樹脂替え工程を行うことができる。
【0059】
また、樹脂替えの対象となる射出成形機Mの成形機コントローラ3(樹脂替え支援装置1)には、[数2]式により粘度差指数Eを演算処理により求める粘度差指数演算機能Feeを備えるとともに、変換処理手段Fcsと粘度差指数Eからパージ所要量Wsを求める後樹脂量(パージ所要量)演算機能Fpsを備えている。この後樹脂量演算機能Fpsは、中間材非使用モードの実行時に用いることができる。
【0060】
さらに、樹脂替え支援装置1には、上述した粘度差指数演算機能Feeにより得られた粘度差指数Eの正負判定を行う判定機能Fjと、この判定機能Fjによる判定結果が少なくとも負の判定時に中間材Rmを要する旨の判定結果を出力する判定結果出力機能Foと、求めたパージ所要量Wsにより樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件を設定するパージ条件設定機能Fsと、を備えている。したがって、内部メモリ15mには、これらの各機能を実行するためのソフトウェア(処理プログラム)が格納されている。
【0061】
次に、本実施形態に係る樹脂替え支援装置1を用いた樹脂替え支援方法について、
図3〜
図11を参照しつつ
図1に示すフローチャートに基づき具体的に説明する。
【0062】
今、所定の樹脂(前樹脂Rf)を用いた一連の生産が終了し、次の樹脂(後樹脂Rs)に樹脂替えすることにより、次の生産に移行する場合を想定する。オペレータは、前樹脂Rfを用いた生産が終了したことに伴い、
図4に示す樹脂替え設定画面Hcをディスプレイ4に表示させる(ステップS1)。この樹脂替え設定画面Hcは、基本的に、パージ条件等の樹脂替えに係わる各種動作条件を設定する画面である。
【0063】
樹脂替えを行う際には、樹脂替え設定画面Hcにおける「多段パージ」キー30をONにする(ステップS2)。次いで、自動設定部21の「前樹脂」設定キー31fをONにする。これにより、
図9に示す選択可能な多数の前樹脂Rf…を表示した樹脂リスト51がウィンドウ表示されるため、対応する前樹脂Rfを選択し、「確認」キー33をONにする(ステップS3)。この結果、選択された前樹脂Rfが「前樹脂」設定キー31fに表示される。また、自動設定部21における「後樹脂」設定キー31sをONにする。これにより、
図9に示す選択可能な多数の前樹脂Rs…を表示した樹脂リスト51が再表示されるため、対応する後樹脂Rsを選択し、「確認」キー33をONにする(ステップS4)。この結果、選択された後樹脂Rsが「後樹脂」設定キー31sに表示される。
【0064】
ところで、前述したデータベースDmは、いわば標準的な樹脂R…について構築されるため、実際にユーザーが使用する例えば特殊な樹脂R…に係わるデータ(見掛粘度V)は含まれていない場合も想定される。この場合、前述したように、見掛粘度Vは、各種射出成形機Mにより容易に求めることができるため、ユーザーは、データベースDmに無い樹脂R…については、所有する射出成形機Mを利用して事前に求め、データベースDmに追加しておくことが望ましい。したがって、射出成形機Mには、このためのカスタマイズ機能を備えている。
【0065】
そして、本実施形態に係る樹脂替え支援方法を利用する場合には、「診断」キー34における「する」を選択する(ステップS5)。なお、本実施形態に係る樹脂替え支援方法を利用することなく、通常パージを実行することも可能である(ステップS6)。この場合には、「診断」キー34における「しない」を選択する。また、「診断」キー34における「しない」を選択した場合、「判定」キー35をONにすることにより、選択した前樹脂Rfと後樹脂Rsの適合性の判定が従来方式により行われ、この判定結果は、図示を省略したメッセージ表示部により表示される。
【0066】
一方、「診断」キー34における「する」を選択すれば、前述した粘度差指数演算機能Feeにより[数2]式による演算処理が行われる(ステップS7)。これにより、選択した前樹脂Rfと後樹脂Rsに基づく粘度差指数Eが得られる。次いで、判定機能Fjを用いて、得られた粘度差指数Eに対する正負判定を行う(ステップS8)。即ち、判定機能Fjにより、粘度差指数Eの値が、負「−」であるか、或いは正「+」又は0であるか、の判定を行う。
【0067】
そして、判定結果出力機能Foにより、この判定機能Fjによる判定結果を出力する。判定結果を出力する態様は、判定結果を直接メッセージとして出力したり、判定結果に対応する使用モードに切換えるなど、出力の形式は問わない。例示の場合、
図11に示すメッセージ表示部25,26による表示出力が行なわれる。したがって、判定結果が正又は0の場合、
図11(a)に示すメッセージ表示部25による適合メッセージが表示される(ステップS9)。これに対して、判定結果が負の場合、
図11(b)に示すメッセージ表示部26による不適合メッセージが表示される(ステップS10)。
【0068】
本実施形態に係る樹脂替え支援装置1は、判定機としても利用できるため、以上のメッセージ表示部25又は26の表示出力により終了させることもできる。この場合、メッセージ表示部25の「終了」キー62をONにすることにより終了させることができるとともに、メッセージ表示部26の「終了」キー64をONにすることにより終了させることができる。
【0069】
このように、射出成形機Mの樹脂替え時に、データベースDmにおける樹脂替え対象となる後樹脂Rsの見掛粘度Vsから前樹脂Rfの見掛粘度Vfを減じて得られる粘度差指数Eを演算処理により求め、求めた粘度差指数Eの正負判定を行うことにより、少なくとも負の判定時には中間材Rmを要する旨の判定結果を出力するようにすれば、粘度差指数Eを用いた中間材Rmの必要性が判定される。したがって、オペレータは中間材Rmの必要性を的確(正確)に知ることができ、材料コストの削減及び樹脂替え時間の短縮、更には無用な不良品発生の抑制に寄与できる利点がある。
【0070】
一方、本実施形態では、パージ所要量演算機能Fpsを設けることにより、粘度差指数演算機能Feeから得られた粘度差指数Eと変換処理手段Fcsからパージ所要量Wsを求めるとともに、パージ条件設定機能Fsを設けることにより、求めたパージ所要量Wsにより樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件を設定するようにした。
【0071】
今、
図11(a)のメッセージ表示部25が表示された場合、「確認」キー61をONにすれば、中間材Rmを使用しない中間材非使用モードを実行させることができる。中間材非使用モードでは、選択された前樹脂Rfと後樹脂Rsに基づく粘度差指数Eからパージ所要量演算機能Fpsを用いて、パージ所要量(後樹脂量)Wsを演算処理する。即ち、粘度差指数Eを、[数3](変換処理手段Fc)を用いて変換処理する(ステップS11)。そして、パージ所要量となる後樹脂量Wsが得られれば、この後樹脂量Wsは、
図4に示す後樹脂量表示部36に表示される(ステップS12)。このように、パージ所要量Wsを、成形機コントローラ3に付属するディスプレイ4に表示するようにすれば、オペレータは、必要となるパージ所要量Ws、更にはこれに基づくパージ回数等を容易に把握できるため、例えば、射出成形機Mから離れた作業や最終的な確認時期等について判断しやすくなるなど、樹脂替え工程に対して、より柔軟かつ的確に対応することができる利点がある。
【0072】
また、パージ条件設定機能Fsにより、求めたパージ所要量Wsにより樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件が設定される(ステップS13)。この後、設定されたパージ条件により、中間材非使用モードによる樹脂替え工程を行うことができる。この場合、パージ条件には、特に、後樹脂量Wsから求めることができるパージ回数を含ませることができる。また、このパージ回数に関連して、
図4に示す樹脂替え設定画面Hcには、計量停止位置設定部38に計量停止位置が、多段パージ回数設定部39に多段パージ回数が、パージ速度設定部41にパージ速度が、パージ圧力設定部42にパージ圧力が、計量回転速度設定部43に計量回転速度が、背圧設定部44に背圧が、それぞれ設定される。これらの設定は、前樹脂Rfの種類,後樹脂Rsの種類,後樹脂量Wsのボリューム等により自動で設定されるようにしてもよいし、一部が自動で設定され、残りがマニュアルで設定されるようにしてもよい。その他、
図4において、符合40は温度設定部を示している。
【0073】
このように、予め、データベースDmから求めた粘度差指数Eに対して樹脂替え時に必要となる後樹脂Rsに係わるパージ所要量Wsを実測により求め、かつ粘度差指数Eとパージ所要量Ws間の変換処理手段Fcsを求めて成形機コントローラ3に設定するとともに、成形機Mの樹脂替え時に、成形機コントローラ3の粘度差指数演算機能Feeにより、樹脂替え対象となる後樹脂Rsと前樹脂Rfに基づく粘度差指数Eを演算処理し、かつパージ所要量演算機能Fpsを用いて、得られた粘度差指数Eと変換処理手段Fcsからパージ所要量Wsを求め、パージ条件設定機能Fsを用いて、求めたパージ所要量Wsにより樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件を設定するようにすれば、オペレータの判断を介在させることなく、樹脂替え時におけるパージ回数等のパージ条件を的確に設定できるため、後樹脂Rsの無駄を排除しつつ、効率的かつ能率的な樹脂替え工程を行うことができるとともに、オペレータの経験や判定基準などに左右されることなく一定の成形品質(樹脂替え品質)を確保できる利点がある。
【0074】
一方、
図11(b)のメッセージ表示部26が表示された場合、「確認」キー63をONにすれば、中間材Rmを使用する中間材使用モードを実行させることができる。例示の場合、オペレータが自動設定部21の中間材設定キー31mをONにする。これにより、
図10に示す複数の適合可能な中間材Rm(Rms)…を含む多数の中間材Rm…を表示した適合中間材リスト52がウィンドウ表示される。適合中間材リスト52では、予め設定した判定基準に基づいて、前樹脂Rf及び後樹脂Rsに適合する中間材Rm(Rms)…が、色変え表示等により表示され、他の中間材Rm…に対して区別される。
【0075】
そして、オペレータが適合する所望の中間材Rm(Rms)を選択すれば、選択した中間材Rm(Rms)が中間材設定キー31mに表示される(ステップS14)。また、樹脂替え設定画面Hcには、選択した中間材Rm(Rms)に基づく動作条件(パージ条件)が自動表示されるため、オペレータは動作条件の確認を行い、選択した中間材Rm(Rms)を使用する場合には、「確認」キー33をONにする(ステップS15)。これに対して、選択した中間材Rm(Rms)を使用しない場合、即ち、変更したい場合は、再度、中間材設定キー31mをONにする。これにより、適合中間材リスト52が再表示されるため、適合する他の中間材Rm(Rms)を再選択することができる(ステップS15,S14)。
【0076】
適合する中間材Rm(Rms)を決定し、「確認」キー33をONにすれば、成形機コントローラ3(樹脂替え支援装置1)に設けたパージ所要量演算機能Fpmにより、当該中間材Rm(Rms)に係わるパージ所要量(中間材量)Wmを演算処理する(ステップS16)。この場合、パージ所要量Wmは、[数4]式の変換式により求めることができる。なお、[数4]中、Quは、実際に樹脂替えを行う対象となる射出成形機Mにおける最大射出容量〔cc〕、Kcは定数であり、例示の場合、「0.5」前後の数値を適用できる。また、Qtは、試験機における最大射出容量〔cc〕である。
【0078】
そして、パージ所要量となる中間材量Wmが得られれば、この中間材量Wmは、
図4に示す中間材量表示部37に表示される(ステップS17)。このように、パージ所要量Wmを、成形機コントローラ3に付属するディスプレイ4に表示するようにすれば、オペレータは、必要となるパージ所要量Wmを容易に把握できるため、例えば、成形機Mから離れた作業や最終的な確認時期等について判断しやすくなるなど、樹脂替え工程に対して、より柔軟かつ的確に対応することができる利点がある。
【0079】
また、パージ条件設定機能Fsにより、求めたパージ所要量Wsにより樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件が設定される(ステップS18)。この後、設定されたパージ条件により、中間材使用モードによる樹脂替え工程を行うことができる。この場合、パージ条件には、特に、中間材量Wmから求めることができるパージ回数を含ませることができる。
【0080】
なお、[数4]は、前述した[数3]と同様の試験(実測)により求めたものではないが、中間材Rm(Rms)…と前樹脂Rf…の関係は、前述した後樹脂Rs…と前樹脂Rf…の関係と見做すことができるため、後樹脂Rs…を中間材Rm(Rms)…に置換することにより、
図5及び
図6と同様の試験結果を得るようにすれば、[数3]と同様の原理に基づく[数4]を得、より正確なパージ所要量Wmを得ることも可能である。
【0081】
即ち、予め、樹脂R…及び中間材Rm…の種類毎に、射出成形機における所定の動作物理量に相関性を有する粘度(以下、見掛粘度)V…を求め、求めた見掛粘度V…をデータベースDmとして設定するとともに、このデータベースDmから求めた粘度差指数Eに対して樹脂替え時に必要となる中間材Rmに係わるパージ所要量Wmを実測により求め、かつ粘度差指数Eとパージ所要量Wm間の変換処理手段Fcmを求めて成形機コントローラ3に設定するとともに、成形機Mの樹脂替え時に、成形機コントローラ3の粘度差指数演算機能Feeにより、樹脂替え対象となる中間材Rmと前樹脂Rfに基づく粘度差指数Eを演算処理し、かつパージ所要量演算機能Fpmを用いて、得られた粘度差指数Eと変換処理手段Fcmからパージ所要量Wmを求め、パージ条件設定機能Fsを用いて、求めたパージ所要量Wmにより樹脂替え時における少なくとも一部のパージ条件を設定することができる。
【0082】
この場合、前樹脂Rfと中間材Rmの関係を、前樹脂Rfと後樹脂Rsの関係に見做したものであるが、中間材Rmと後樹脂Rsの関係を、前樹脂Rfと後樹脂Rsの関係に見做すことにより、中間材Rmを使用した際における後樹脂Rsのパージ所要量Wsを同様に求めることも可能である。
【0083】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,材料,数量,数値,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0084】
例えば、粘度差指数Eを演算処理により求める方法として[数2]式を例示したが、要は後樹脂Rsの見掛粘度Vsから前樹脂Rfの見掛粘度Vfを減じた結果を基本として、より正確性を高めることができるように変形した各種演算式を適用することができる。また、所定の動作物理量として、加熱筒2から樹脂Rを排出する際における圧力Piを用いる場合を示したが、圧力を一定にした射出速度等、他の動作物理量の使用を排除するものではない。中間材Rmの使用を判断する粘度差指数Eの正負判定は、必ずしも厳密なものではなく、例えば、負であっても0として扱ってもよいし、0に対してやや正に振れた状態であっても負と見做すなど、一定の効果を得ることができることを条件としてその判定基準を設定可能である。一方、実施形態で示した前樹脂Rf,後樹脂Rs,中間材Rmは、例示に限定されるものではなく、各種樹脂素材及び各種中間材(パージ専用剤)を利用できる。また、成形機コントローラ3は必ずしも射出成形機Mに一体に備えることを条件とするものではなく、例えば、無線等により通信するタイプであってもよい。