(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る作業機の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図15は、本発明に係る作業機1の側面図を示している。
図15では、作業機の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0012】
作業機1は、機体2と、この機体2に装着した作業装置3と、機体2を支持する走行装置4とを備えている。尚、本発明において、作業機の運転席に着座した運転者の前側(
図15の左側)を前方、運転者の後側(
図15の右側)を後方、運転者の左側(
図15の手前側)を左方、運転者の右側(
図15の奥側)を右方として説明する。機体の前及び後に直交する方向を機体幅方向(幅方向)として説明することがある。
【0013】
機体2の上部であって前部には、キャビン5が搭載されている。キャビン5の後部は、機体2のブラケット11に支持軸12回りに揺動自在に支持されている。キャビン5の前部は、機体2の前部に載置可能となっている。
キャビン5内には運転席13が設けられている。運転席13の一側(例えば、左側)には、走行装置4を操作するための走行用操作装置が配置されている。
【0014】
走行装置4は、クローラ式走行装置により構成されている。走行装置4は、機体2の左の及び機体2の右に設けられている。走行装置4は、油圧駆動で作動する第1走行部21Lと、第2走行部21Rとを有し、第1走行部21L及び第2走行部21Rによって走行可能である。
作業装置3は、ブーム22Lと、ブーム22Rと、ブーム22L、22Rの先端に装着したバケット23(作業具)とを備える。ブーム22Lは、機体2の左に配置されている。ブーム22Rは、機体2の右に配置されている。ブーム22Lとブーム22Rとは、連結体によって相互に連結されている。ブーム22L及びブーム22Rは、第1リフトリンク24及び第2リフトリンク25に支持されている。ブーム22L及びブーム22Rの基部側と機体2の後下部との間には、複動式の圧シリンダからなるリフトシリンダ26が設けられている。リフトシリンダ26を同時に伸縮させることによりブーム22L及びブーム22Rが上下に揺動する。ブーム22L及びブーム22Rの先端側には、それぞれ装着ブラケット27が横軸回りに回動自在に枢支され、左及び右に設けられた装着ブラケット27にバケット23の背面側が取り付けられている。
【0015】
また、装着ブラケット27とブーム22L及びブーム22Rの先端側中途部との間には、複動式の油圧シリンダからなるチルトシリンダ28が介装されている。チルトシリンダ28の伸縮によってバケット23が揺動(スクイ・ダンプ動作)する。
バケット23は、装着ブラケット27に対して着脱自在とされている。バケット23を
取り外して装着ブラケット27に各種のアタッチメント(後述する油圧アクチュエータを有する油圧駆動式の作業具)を取り付けることで、掘削以外の各種の作業(又は他の掘削作業)を行えるように構成されている。
【0016】
次に、機体について説明する。
図1に示すように、機体2は、右枠部30と、左枠部31と、前枠部32と、底枠部33と、上枠部34とを有する。
右枠部30は、機体2の右部を構成する。左枠部31は、機体2の左部を構成する。前枠部32は、機体2の前部を構成し、右枠部30と左枠部31の前部同士を連結している。底枠部33は、機体2の底部を構成し、右枠部30と左枠部31の下部同士を連結している。上枠部34は、機体2の後部寄りの上部を構成し、右枠部30と左枠部31の後部寄りの上部同士を連結している。
【0017】
右枠部30及び左枠部31は、それぞれメインフレーム40と、トラックフレーム41と、モータ取付部42と、フレーム43とを有している。トラックフレーム41は、メインフレーム40の外側面の下部に取付部材44を介して取り付けられている。モータ取付部42は、メインフレーム40の外側面の後部寄りの上部に設けられている。フレーム43は、メインフレーム40の後部に取り付けられている。
【0018】
フレーム43は、ブーム22L、22R等を揺動自在に支持する。フレーム43は、内壁43aと、外壁43bと、前壁43cと、後壁43dとを有している。内壁43aと外壁43bは、機体幅方向で間隔をおいて対向して設けられている。外壁43bは、内壁43aの機体外方に位置している。前壁43cは、メインフレーム40の機体幅方向の中途部に設けられることで、当該メインフレーム40の機体内方だけでなく、機体外方にも突出している。前壁43cの機体外方に突出する部分が、走行装置5の後部を覆うフェンダを構成している。前壁43cは、内壁43aの前部と外壁43bの前部とを連結している。後壁43dは、内壁43aの後部と外壁43bの後部とを連結している。
【0019】
上枠部34は、第1板材34aと、第2板材34bとを有している。第1板材34aは、右側の内壁43aの上部と左側の内壁43aの上部とを連結する。第1板材34aは、開口部35を形成する環状の縁部を有しており、キャビン3の後方に設けられている。開口部35を形成する環状の縁部は、略長方形状である。
第2板材34bは、第1板材34aの左側の後端及び右側の後端から後方に延びる板材である。左側の第2板材34bは、左側の内壁43aに沿って後方に延びていて、機体外方が左側の内壁43aに連結している。右側の第2板材34bは、右側の内壁43aに沿って後方に延びていて、機体外方が右側の内壁43aに連結している。左側の第2板材34b及び右側の第2板材34bは、後方に向かうにつれて下がるように下向きに傾斜している。上枠部34は、第3板材34cを有している。第3板材34cは、第1板材34aの前端から下方に延びる部材である。
【0020】
図2、3に示すように、機体2には、ディーゼルエンジン(エンジン)50、粒子除去装置51、冷却ファン52、ラジエータ53、回転電機54、駆動装置55が設けられている。説明の便宜上、冷却ファン52のことを「第2冷却ファン52」、ラジエータ53のことを「第2ラジエータ53」ということがある。
粒子除去装置53は、エンジン50からの排気(排出ガス)中の有害物質を含む微粒子を捕捉する装置であって、例えば、DPF(Diesel Particulate Filter)である。粒子除去装置53は、エンジン50の前上部に配置されている。エンジン50の前上部にはブラケット等の支持部材60が設けられ、当該支持部材60に粒子除去装置53が横向き(長手方向が機体幅方向に向いている)に支持されている。粒子除去装置53は微粒子を燃焼して除去可能であって、燃焼時には少なくとも内部の温度は、600℃以上になる。第2冷却ファン52は、エンジン50の駆動により回転する装置である。第2冷却ファン52は、回転することによって、当該第2冷却ファン52の前方から後方に向けて気流を発生させ、エンジン50を空冷することが可能である。第2ラジエータ53は、第2冷却ファン52の後方に設けられ、エンジン50の冷却水を冷却する。
【0021】
回転電機54は、発電機、電動機、電動発電機(モータ・ジェネレータ)のいずれかで
ある。この実施形態では、モータ・ジェネレータを採用している。回転電機54は、エンジン50の前方に設けられている。
駆動装置55は、エンジン50及び/又は回転電機54によって駆動する装置で、主に作業のための動力を出力する。具体的には、駆動装置55は、油圧装置である。油圧装置55は、作業機に搭載された油圧機器に作動油を供給するための複数のポンプを含んでいる。油圧装置55は、回転電機54の前方に設けられている。油圧装置55は、例えば、複数の油圧ポンプは、第1ポンプ55aと、第2ポンプ55bと、第3ポンプ55cと、第4ポンプ55dである。
【0022】
第1ポンプ55aは、HST(静油圧無段変速機)の一部を構成する油圧ポンプである。第2〜4ポンプ55b,55c,55dは、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第2ポンプ55bは、作業装置3に装備された油圧アクチュエータや作業装置3に取り付けられる油圧アタッチメントの油圧アクチュエータを駆動するための油圧ポンプである。第3ポンプ55cは、油圧アクチュエータに供給する作動油を増量するための油圧ポンプである。第4ポンプ55dは、パイロット油を供給するため、及びHSTの油圧回路に作動油を補充するための油圧ポンプである。
【0023】
また、機体2には、バッテリ56、電力制御装置57が設けられている。バッテリ56は、回転電機54で発電した電力を充電したり、充電した電力を回転電機54等に供給する。バッテリ56は、エンジン50の左側方、右側方、上方、下方、後方等のいずれかに設けられている。即ち、バッテリ56は、エンジン50から発生した熱を受けることができる周囲に設けられる。この実施形態では、バッテリ56は、エンジン50の直上に設けられている。電力制御装置57は、直流を交流に変換するインバータ、及び、交流を直流に変換するコンバータとを含んでいる。電力制御装置タ57は、エンジン50の上方に設けられている。
【0024】
図3〜5に示すように、エンジン50及び回転電機54は、複数のマウント装置61により、機体2の底枠部33に支持されている。マウント装置61は、第1マウント(第1マウント装置)61Aと、第2マウント61B(第2マウント装置)と、第3マウント61C(第3マウント装置)とを有する。
第1マウント61Aは、エンジン50の後部の下方に配置されている。また、第1マウント61Aは、エンジン50の幅方向の中央部に配置されている。第1マウント61Aは、支持板61a1と、上弾性体61a2と、下弾性体61a3と、支持片(スタッドボルト)61a4とを有している。支持板61a1は、エンジン50の後部に固定され、後方に突出している。上弾性体61a2は、弾性体で構成され、支持板61a1の上側に設けられている。下弾性体61a3は、弾性体で構成され、支持板61a1の下側に設けられている。支持片61a4は、エンジン50の後方の底枠部33から立設していて、上弾性体61a2及び下弾性体61a3が取り付けられている。これによって、第1マウント61Aは、エンジン50の後部を支持している。
【0025】
第2マウント61Bは、回転電機54のハウジング(モータハウジングということがある)54aの左に配置されている。第2マウント61Bは、支持板61b1と、上弾性体61b2と、下弾性体61b3と、支持片(スタッドボルト)61b4とを有している。支持板61b1は、ハウジング54aの左側面に固定され、左方に突出している。上弾性体61b2は、弾性体で構成され、支持板61b1の上側に設けられている。下弾性体61b3は、弾性体で構成され、支持板61b1の下側に設けられている。支持片61b4は、ハウジング54aの左方の底枠部33から立設した左ブラケット62Lに支持されている。支持片61b4には、上弾性体61b2及び下弾性体61b3が取り付けられている。これによって、第2マウント61Bは、ハウジング54の一方(左側)ブーム22L、22Rを支持している。
【0026】
第3マウント61Cは、回転電機54のハウジング54aの右に配置されている。第3マウント61Cは、支持板61c1と、上弾性体61c2と、下弾性体61c3と、支持片(スタッドボルト)61c4とを有している。支持板61c1は、ハウジング54aの右側面に固定され、右方に突出している。上弾性体61c2は、弾性体で構成され、支持
板61c1の上側に設けられている。下弾性体61c3は、弾性体で構成され、支持板61c1の下側に設けられている。支持片61c4は、ハウジング54aの右方の底枠部33から立設した右ブラケット62Rに支持されている。支持片61c4には、上弾性体61c2及び下弾性体61c3が取り付けられている。これによって、第3マウント61Cは、ハウジング54の一方を支持している。
【0027】
したがって、第1マウント61Aによりエンジン50の後部が支持され、第2マウント61B及び第3マウント61Cによって回転電機54が支持されることになる。即ち、エンジン50及び回転電機54の構造体が、第1マウント61A、第2マウント61B及び第3マウント61Cによって支持される。
さて、作業機1は、エンジン50の動力で油圧装置55を駆動したり、エンジン50及び回転電機54の両方で油圧装置55を駆動したり、エンジンン50の動力で回転電機54を作動させて発電することが可能である。即ち、作業機の動力の伝達は、パラレルハイブリッド式である。エンジン50及び回転電機54の動力伝達構造について説明する。
【0028】
図6に示すように、エンジン50の前部には、略円板状のフライホイール50aを収容するフライホイールハウジング50bが設けられている。フライホイールハウジング50bは、フライホイール50aの外周を覆う外周部50b1と、フライホイール50aの後部を覆い且つエンジン50に固定された側壁50b2とを有している。側壁50b2の反対側(前部)には、ハウジング54aが位置し、当該ハウジング54aが外周部50b1に取り付けられている。フライホイール50aの後部には、エンジン50のクランク軸50cが連結されている。
【0029】
回転電機54は、モータ・ジェネレータであって、駆動式として、永久磁石埋込式の三相交流同期モータが採用されている。
回転電機54は、ハウジング54aと、フライホイール50aに連結する連結部54bと、連結部54bに固定されたロータ54c、ロータ54cに設けられた固定子54dと、固定子54dの外側に設けられたウォータジャケット54eとを有している。
【0030】
連結部54bは、筒状に形成されていて後端がフライホイール50aに取り付けられている。連結部54bの内部には、中間軸63が設けられている。中間軸63の後端には、カップリング64が設けられ、カップリング64の外側は、フライホイール50aに接続されている。また、中間軸63の前端は、油圧装置55の駆動軸55eが接続されている。
【0031】
したがって、エンジン50を駆動した場合、エンジン50のクランク軸50cの回転動力は、フライホイール50aに伝達され、フライホイール50aを回転させる。
図6の矢印P1に示すように、フライホイール50aの回転動力は、カップリング64から中間軸63に伝達された後、中間軸63から油圧装置55の駆動軸55eに伝達して、当該油圧装置55を駆動することができる。
【0032】
また、
図6の矢印P2に示すように、フライホイール50aの回転動力は、連結部54bを介してロータ54cに伝達される。したがって、エンジン50の回転動力をロータ54c(連結部54b)に伝達することによって、回転電機54を発電機として作動させることができる。一方、バッテリ56に蓄電した電力を、固定子54dに供給することによって、ロータ54cを回転させることができる。
図6の矢印P3に示すように、ロータ54cの回転動力は、連結部54bを介してフライホイール50aに伝達することができる。したがって、回転電機54を電動機として作動させ、エンジン50の補助をすることができる。
【0033】
図7は、回転電機54の冷却構造の一部を示している。
図7に示すように、ウォータジャケット54eは、冷却水を通すことで、回転電機54の内部を冷却するものである。ウォータジャケット54eは、円筒であって、ハウジング54aと、固定子54dとの間に設けられている。
ウォータジャケット54eは、例えば、高熱伝導率のアルミニウム合金で環状に形成されている。ウォータジャケット54eの内部には、周方向及び軸方向にジクザク形状の流路54e1が形成されている。流路54e1は、ウォータジャケット54eを軸方向に貫
通すると共に、ウォータジャケット54eに流通する部分を形成することによって構成されている。ハウジング54aの前面には、ウォータジャケット54eの流路54e1に連通する供給部54fが設けられると共に、排出部54gが設けられる。供給部54f及び排出部54gには、冷却水を通す管材(配管)66が取り付けられている。したがって、管材66内の冷却水を通し、ウォータジャケット54eの流路54e1に冷却水を通過させることによって、回転電機54を水冷することができる。なお、
図7に示した回転電機54の冷却構造は、一例であって、回転電機54の内部を冷却する構造であれば、どのような構造であってもよい。
【0034】
次に、バッテリ56及び電力制御装置57等の電気機器の支持構造について説明する。
図2,3に示すように、機体2の後部に支持フレーム70が設けられている。即ち、機体2の上枠部34には、支持フレーム70が設けられている。支持フレーム70は、バッテリ56及び電力制御装置57をエンジン50の上方で支持するフレームである。
図8,9に示すように、支持フレーム70は、上枠部34(第1板材34a)の下面に取り付けられた第1枠体70aと、第1枠体70aに吊り下げられる第2枠体70bとを有している。
【0035】
第1枠体70aは、前板70a1と、後板70a2と、左板70a3と、右板70a4とを有している。前板70a1は、左側の内壁43aと右側の内壁43aとの間に配置され且つ、第1板材34aの前部に取り付けられている。後板70a2は、左側の内壁43aと右側の内壁43aとの間に配置され且つ、第1板材34aの後部に取り付けられている。左板70a3は、前板70a1の左部と、後板70a2の左部とを連結する。右板70a4は、前板70a1の右部と、後板70a2の右部とを連結する。
【0036】
第2枠体70bは、第1前板70b1と、第2前板70b2と、第1後板70b3と、第2後板70b4と、第1連結板70b5と、第2連結板70b6とを有している。第1前板70b1の上端は、前板70a1の一方(左部)に固定され、第2前板70b2の上端は、前板70a1の他方(右部)に固定されている。第1後板70b3の上端は、後板70a2の一方(左部)に固定され、第2後板70b4の上端は、後板70a2の他方(右部)に固定されている。第1連結板70b5は、第1前板70b1の下端と第1後板70b3の下端とを連結する。第2連結板70b6は、第2前板70b2の下端と第2後板70b4とを連結する。したがって、第1前板70b1、第2前板70b2、第1後板70b3、第2後板70b4、第1連結板70b5及び第2連結板70b6によって、支持フレーム70が籠型になっている。
【0037】
なお、第2枠体70bは、底上げ部材(第1底上部70b7及び第2底上部70b8)を有していることが望ましい。第1底上部70b7は、第1連結板70b5と、第2連結板70b6とを連結している。第2底上部70b8は、第1底上部70b7とは離れた位置で、第1連結板70b5と、第2連結板70b6とを連結している。
第2枠体70bには、バッテリ56とエンジン50の上部とを遮蔽する遮蔽板71が取り付けられている。遮蔽板71は、板材で構成されていて、第2枠体70bの下部に取り付けられている。この遮蔽板71は、エンジン50で発生した熱(輻射熱)がバッテリ56のケース56aに直接熱が伝わることをある程度弱めるために設けられたものである。また、遮蔽板71は、電力制御装置57のケース57aと粒子除去装置53との間にも設けられていて、粒子除去装置53で発生した熱を電力制御装置57に伝わるのを抑制する。
【0038】
遮蔽板71は、底板71aと、起立板71bと、上板71cとを有している。底板71aは、支持フレーム70の底部、即ち、第2枠体70bの第1連結板70b5及び第2連結板70b6に固定されている。起立板71bは、底板71aの幅方向の端部から上方に立ち上がる板である。上板71cは、起立板71bに連結する板である。底板71a、起立板71b及び上板71cの前後の長さは、第1連結板70b5及び第2連結板70b6の前後の長さと略同じである。
【0039】
電力制御装置57は、外観が矩形状であって、籠型の支持フレーム70に支持されている。言い換えれば、電力制御装置57は、籠型の支持フレーム70に収容されている。電
力制御装置57のケース57aが、粒子除去装置53の直上に位置する第1連結板70b5と第2連結板70b6とに跨って載置されている。電力制御装置57が支持フレーム70に支持されている状態では、当該電力制御装置57のコネクタ(接続部)57bは、支持フレーム70の前部に位置している。また、コネクタ57bは、回転電機54に向けて下向きに突出している。電力制御装置57のコネクタ57bの下方には、回転電機54のコネクタ54hが設けられていている。回転電機54のコネクタ54hに接続したケーブル59は、コネクタ57bに下方から差し込むことが可能である。したがって、コネクタ57bが下向きにしているため、コネクタ57bの内部に塵や埃が入ることを抑制することができる。また、電力制御装置57のコネクタ57bの下方に回転電機54のコネクタ54hを設けているため、接続長さを短くでき、配線も比較的簡単に行うことができる。
【0040】
図10、
図11に示すように、バッテリ56は、外観が矩形状であって、電力制御装置57と同様に籠型の支持フレーム70に支持されている。言い換えれば、バッテリ56は、籠型の支持フレーム70に収容されている。また、バッテリ56の少なくとも一部は、電力制御装置57の上方に設置されている。即ち、バッテリ56において、粒子除去装置53の上方に位置する部分は、電力制御装置57の上方に位置している。
【0041】
図12に示すように、バッテリ56は、本体56aと、本体56aを収容するケース56bとを有している。本体56aは、電力の充電又は放電が可能な蓄電機であって、ニッケル水素充電池である。なお、本体56aは、リチウムイオン充電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
図10〜
図12に示すように、ケース56bは、矩形状であって、底部56b1と、第1壁56b2と、第2壁56b3と、第3壁56b4、第4壁56b5、上部56b6とを有している。
【0042】
第1壁56b2は、底部56b1の左端から上方に起立している(
図11等参照)。第2壁56b3は、底部56b1の右端から上方に起立している(
図10等参照)。第3壁56b4は、底部56b1の前端から上方に起立している。第4壁56b5は、底部56b1の後端から上方に起立している。上部56b6は、第2壁56b3、第3壁56b4及び第4壁56b5の上方に位置していて、第2壁56b3、第3壁56b4及び第4壁56b5を覆っている。上部56b6は、上枠部34から上方に突出している。上部56b6には、開口部を形成する環状の縁部58が形成されている。この縁部によって、外気をケース56b内に取り入れたり、ケース56bの空気を外部に放出することが可能である。
【0043】
図13に示すように、ケース56bの厚み(高さ)は、部位によって異なっている。詳しくは、ケース56bにおいて、幅方向の中央部で且つ後部である中央後部位81は、最も厚みが有り、第1底上部70b7及び第2底上部70b8に設置(載置)されている。ケース56bの中央後部位81よりも左側の左部位82は、中央後部位81よりも厚みは薄く、遮蔽板71の上板71cに設置(載置)されている。中央後部位81よりも前方で且つ左部位82よりも右側の中央前部位83は、中央後部位81よりも厚みは薄く、電力制御装置57の上方(ケース57aの上方)に設置されている。
【0044】
図3、
図4、
図9、
図11に示すように、バッテリ56のケース56bの周囲には、冷却ファン90が設けられている。この実施形態では、冷却ファン90は、ケース56bの後方に設けられている。以降、説明の便宜上、冷却ファン90のことを、「第1冷却ファン90」という。
図13、
図14に示すように、第1冷却ファン90は、ケース56bの中央後部位81であって、第4壁56b5の後方に設けられている。第1冷却ファン90は、ファン90aと、ファン90aを回転自在に支持するファン支持部90bと、ファン支持部90bに設けられ且つファン90aを回転駆動する駆動部90cとを備えている。ファン90aは、回転することによって前方(ケース56b側)から後方に向けて気流を発生させる。駆動部90cは、例えば、モータである。したがって、ファン90aを回転させることによって、前方から後方に向かう気流を発生させることで、バッテリ56のケース56bを外側から強制的に冷却することができる。
【0045】
第1冷却ファン90とバッテリ56との間には、ラジエータ91が設けられている。ラジエータ91は、回転電機54の内部を冷却水を冷却する。以降、説明の便宜上、ラジエータ91のことを、「第1ラジエータ91」という。
第1ラジエータ91には、冷却水を供給する供給部91aと、冷却水を排出する排出部91bが設けられている。供給部91aには、ハウジング54aの排出部54gに接続された管材66が接続されている。排出部91bには、ハウジング54aの供給部54fに接続された管材66が接続されている。したがって、第1冷却ファン90、管材66、ハウジング54a(ウォータジャケット54e)内を、冷却水で循環させることができ、ハウジング54aを冷却するための冷却水を、第1ラジエータ91によって冷却することができる。
【0046】
なお、
図3に示すように、管材66の中途部には、冷却水を強制的に循環させるためのポンプ67が設けられている。また、管材66の中途部を電力制御装置57に接続して、電力制御装置57の内部も水冷してもよい。
第1冷却ファン90は、第1ラジエータ91に支持され、第1ラジエータ91は支持フレーム70に支持されている。即ち、第1冷却ファン90は、第1ラジエータ91を介して支持フレーム70に支持されている。
【0047】
支持フレーム70は、第1ラジエータ91を支持する第3枠体70cを有している。第3枠体70cは、ブラケット70c1と、第1縦材70c2と、第2縦材70c3と、連結材70c4と、支持板70c5とを有している。
ブラケット70c1は、第1枠体70aの後板70a2に取り付けられている。第1縦材70c2及び第2縦材70c3は縦(上下)に延びる部材であって、第1縦材70c2の上端は、ブラケット70c1の左に固定され、第2縦材70c3の上端は、ブラケット70c1の右に固定されている。連結材70c4は、第1縦材70c2の中途部と第2縦材70c3の中途部とを連結している。支持板70c5は、幅方向に延びていて、左部に第1縦材70c2の下端が固定され、右部に第2縦材70c3の下端が固定されている。
【0048】
第1ラジエータ91の上部は、接続金具92を介してブラケット70c1に支持され、第1ラジエータ91の下部は接続金具93を介して支持板70c5に支持されている。第1ラジエータ91の後面に、接続金具を介してファン支持部90bが接続されている。
したがって、第1冷却ファン90は、バッテリ56のケース56bを冷却するだけでなく、第1ラジエータ91を介して回転電機54の冷却水を冷却することが可能である。
【0049】
なお、支持フレーム70には、第1ラジエータ91の付近で管材66を支持するブラケット94が設けられている。ブラケット94には、管材66内の冷却水の温度を測定する測定装置95が固定され、当該測定装置95及び管材66がブラケット94により支持されている。
次に、第2冷却ファン52及び第1冷却ファン90による気流の流れについて説明する。
図3に示すように、第2冷却ファン52を作動させると、機体2の前部から機体2の後部に向けて、気流Aが発生する。即ち、油圧装置55、回転電機54、エンジン50、第2ラジエータ53を通過する気流Aを発生させることができる。これにより、回転電機54、エンジン50、第2ラジエータ53を気流Aによって空冷することが可能である。上述したように、例えば、作業機1の駆動はパラレルハイブリッド式を採用していることから、回転電機54では、数百アンペアの電流が発生するため発熱しやすい。そのため、回転電機54の冷却構造は、水冷式を採用している。この実施形態では、第2冷却ファン52によって回転電機54を空冷しているため、即ち、空冷と水冷との両者を採用しているため、水冷の構造を簡素化することができる。なお、回転電機54の冷却について説明するために、パラレルハイブリッド式を例にあげたが、作業機1の駆動は、パラレルハイブリッド式に限定されない。つまり、機体2の前部から後部にかけて流れる気流Aを発生させる構造にすることにより、回転電機54の冷却を、空冷と水冷との両方で行うことができるものであれば、水冷の構造を簡素化することができる。
【0050】
また、第1冷却ファン90を作動させると、機体2の中央部から後部に向けて、気流Bが発生する。即ち、バッテリ56のケース56b、第1ラジエータ91を通過する気流B
を発生させることができる。これにより、バッテリ56のケース56bの冷却と、第1ラジエータ91内の冷却水の冷却とを行うことができる。ここで、気流Bの流れは、上述した気流Aの流れと同じである。即ち、第1冷却ファン90による気流の発生させる向きと、第2冷却ファン52による気流の発生させる向きとを同じにしているので、機体2内の冷却を向上させることができる。
【0051】
以上によれば、エンジン50の周囲にバッテリ56を設けているため、エンジン50から発生した熱(輻射熱)によって、バッテリ56の雰囲気温度をバッテリ56が効率よく動く温度域まで上昇させることができる。即ち、バッテリ56の雰囲気温度を適温まで上昇させるためのヒータ等を備えなくても、エンジン50によって温度を上昇させることができる。特に、寒冷地等で作業機を駆動させる場合は、バッテリ56の雰囲気温度が低く、十分にバッテリ56を作動させるために時間が掛かることがあるが、これにより、作動適正温度までの時間を短縮することができる。また、エンジン50の周囲のうち、当該エンジン50の上方にバッテリ56を設けることにより、温度の上昇を早めることができると共に、バッテリ56を作業時における粉塵等がバッテリ56に付着することを抑制することができる。
【0052】
また、遮断板71を設けているため、バッテリ56の雰囲気温度を上昇させる構成でありながら、エンジン50の輻射熱が直接、バッテリ56にあたってしまうことを抑制して適度な温度にすることができる。また、バッテリ56の少なくとも一部、即ち、粒子除去装置53の上方に対応する位置には、電力制御装置57の上方に設けられているため、粒子除去装置53が作動した場合の輻射熱は、直接、バッテリ56に伝わらないため、バッテリ56の寿命を向上させることができる。また、バッテリ56の周囲に第1冷却ファン90を設けているため、バッテリ56の温度が上昇しすぎることも防止することができる。 第1冷却ファン90は、エンジン50の周囲にバッテリ56を設けない場合にも適用可能であり、エンジン50とは離れた場所において、バッテリ56の温度が上昇した場合には、適正な温度域までバッテリ56の温度を下げることができる。特に、第1冷却ファン56は、ケース56bの外方に設けているため、簡単な構成で、バッテリ56(ケース56a)を適度に冷却することができる。また、第1ラジエータ91を、第1冷却ファン90とバッテリ57との間に設けているため、回転電機54の冷却水を冷却する機構を別途設けなくてもよく、バッテリ57及び冷却水の冷却を兼用することができる。
【0053】
作業機1にエンジン50、回転電機54及び電力制御装置57を備えたハイブリッド式の作業機において、回転電機54よりも耐環境性の低い電力制御装置57を回転電機54の上方に設けている。そのため、電力制御装置57に対して特別に耐環境性を高める措置を行わなくても、作業時の粉塵等が電力制御装置57にかかることを簡単に抑制することができる。
【0054】
また、電力制御装置57は、回転電機54に接続されたケーブルが接続可能なコネクタ(接続部)57bを下向きにしているため(下方に位置する回転電機54)、コネクタ56b内に粉塵等か侵入することを抑制することができる。
通常、エンジン50を支持する場合は、フライホイールハウジング50bをマウント装置で支持することが一般的である。しかしながら、エンジン50、回転電機54及び駆動装置55が一連に並べられて、駆動装置55は、エンジン50及び/又は回転電機54からの動力により駆動する装置である場合、駆動装置55は、片持ち状態になることが多く、フライホイールハウジング50bで支持した場合には、当該支持箇所から駆動装置55の先端までの距離が長くなる。上述したように、フライホイールハウジング50bをマウント装置で支持するのではなく、モータハウジング54bにマウント装置で支持して、エンジン50及び回転電機54を支持している。そのため、エンジン50及び回転電機54を一体として強固に支持できるだけでなく、マウント装置における支持位置から駆動装置55の先端までの距離を短くすることができるため、支持構造による動力伝達の低下を抑制することができる。
【0055】
以上本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく
て特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。