(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、出願人が試作した水素ガス冷却装置(上記の特許文献に開示の水素冷却装置と同様の構成の冷却装置)には、以下のような改善すべき課題が存在する。すなわち、出願人が試作した水素ガス冷却装置では、冷凍回路における圧縮機の冷媒吐出圧を利用して冷却水の流量を調整する構成を採用することにより、冷凍回路の動作状態(負荷の状態)に応じた冷却水が凝縮器に導入されるように構成されている。
【0008】
この場合、水素ガスの冷却を目的とした冷却装置では、例えば、水素ガスステーションの営業時間外などにブラインの冷却を継続して実行する必要がなくなるため、不要な電力消費を回避するために、冷凍回路を停止させた状態とすることがある。かかる状態において、出願人が試作した水素ガス冷却装置では、冷媒吐出圧の低下に伴って機械式調整弁が閉弁状態となり、冷却水供給源から凝縮器への冷却水の導入が停止した状態となる。しかしながら、冷凍回路を停止させた状態であっても、冬期間においては、冷却水の凍結を防止するために冷却水流路の全体において冷却水を循環させ続ける(冷却水を移動させ続ける)必要がある。
【0009】
したがって、出願人が試作した水素ガス冷却装置では、機械式調整弁が閉弁状態に移行していても少量の冷却水が凝縮器に導入されるように、機械式調整弁の上流側および下流側を相互に接続するバイパス用配管を配設し、これにより、冷凍回路を停止させている状態において、凝縮器内や、凝縮器の近傍の配管内において冷却水が凍結するのを回避している。このため、出願人が試作した水素ガス冷却装置では、バイパス用配管を配設した分だけ冷却水の配管構造が複雑となっており、これに起因して、製造コストがやや高騰しているという現状がある。
【0010】
また、水素ガスステーションにおいて使用する装置のうち、高圧の流体を使用する装置(例えば、フロンを使用する冷凍回路)では、高圧の流体に接する部品等について、安全性が確保されているか否かの試験や、規格を満たす部品を使用していることを提示する申請を行う必要がある。このため、冷媒吐出圧を利用して上記の機械式調整弁を動作させる構成においては、試験や申請を必要とする部品数が多い分だけ、その製造コストの低減が困難となっている。
【0011】
さらに、周囲温度が高い夏期と、周囲温度が低い冬期とでは、水素ガスの温度やブラインの温度が相違する。また、同じ季節であっても、周囲温度が高い地域に設置したときと、周囲温度が低い地域に設置したときとでは、水素ガスの温度やブラインの温度が相違する。したがって、この種の冷却装置の使用に際しては、設置する地域や使用する季節に応じて凝縮器における冷媒の凝縮量を調整するのが好ましい。このため、出願人が試作した水素ガス冷却装置では、冷媒吐出圧を調整するレギュレータを配設したり、機械式調整弁の開度初期値を変更したりして、必要十分な量の冷却水が凝縮器に供給されるように調整する構成が採用されている。これにより、周囲温度に応じた必要十分な量の冷媒を凝縮させることができるものの、調整作業が煩雑となっているという現状がある。
【0012】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、製造コストの低減を図り、かつ煩雑な調整作業を不要とし得る水素ガス冷却装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の水素ガス冷却装置は、冷却液供給源に接続された液冷式の凝縮器を有する冷凍回路を備え、前記冷凍回路の蒸発器によって熱媒液を冷却する熱媒液冷却処理と、当該熱媒液冷却処理によって冷却した前記熱媒液によって水素ガスを冷却する水素ガス冷却処理とを実行可能に構成された水素ガス冷却装置であって、前記冷凍回路内の冷媒圧力および冷媒温度の少なくとも一方を検出するセンサ部と、前記冷却液供給源から前記凝縮器への冷却液の導入量を調整可能な調整弁と、前記調整弁を制御して前記冷却液の導入量を調整する制御部と
、前記冷凍回路、前記センサ部、前記調整弁および前記制御部を収容する筐体と、前記冷却液供給源の冷却処理部における供給源側冷却液排出口および供給源側冷却液導入口を相互に接続する冷却液循環路と前記凝縮器における凝縮器側冷却液導入口とを相互に接続する第1の配管、並びに冷却液循環路と前記凝縮器における凝縮器側冷却液排出口とを相互に接続する第2の配管とを備え、
前記冷凍回路は、前記筐体内において前記第1の配管に接続された第3の配管を介して前記冷却液を導入すると共に、当該筐体内において前記第2の配管に接続された第4の配管に当該冷却液を排出する液冷式の動力源を有する圧縮機を備え、当該第3の配管を介して当該冷却液供給源から当該動力源に当該冷却液が常時供給されて当該動力源が冷却されるように構成され、前記調整弁は、前記第1の配管における前記第3の配管の接続部位と前記凝縮器側冷却液導入口との間、および前記凝縮器側冷却液排出口と前記第2の配管における前記第4の配管の接続部位との間のいずれかに配設され、前記制御部は、前記熱媒液冷却処理の実行時に前記センサ部からのセンサ信号に応じて前記調整弁を制御して前記冷却液の導入量を調整することで前記凝縮器における冷媒の凝縮量を調整する第1の処理と、前記熱媒液冷却処理の非実行時に予め規定された第1の条件が満たされたときに前記調整弁を制御して前記凝縮器への前記冷却液の導入量を増加させると共に、当該熱媒液冷却処理の非実行時に予め規定された第2の条件が満たされたときに当該調整弁を制御して当該凝縮器への当該冷却液の導入量を減少させる第2の処理とを実行可能に構成されている。
【0014】
請求項2記載の水素ガス冷却装置は、請求項1記載の水素ガス冷却装置において、前記センサ部は、前記冷媒圧力として、前記冷凍回路における圧縮機からの冷媒吐出圧を検出可能に配設され、前記制御部は、前記第1の処理において、前記センサ信号に基づいて特定した前記冷媒吐出圧に応じて前記調整弁を制御する。
【0015】
請求項3記載の水素ガス冷却装置は、請求項1または2記載の水素ガス冷却装置において、前記調整弁は、前記冷却液の通過量を多段階または無段階に変更可能な通過量可変型の電動弁で構成されている。
【0016】
請求項4記載の水素ガス冷却装置は、請求項1から3のいずれかに記載の水素ガス冷却装置において、
前記調整弁は、前記凝縮器側冷却液排出口と前記第2の配管における前記第4の配管の接続部位との間に配設されている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の水素ガス冷却装置では、制御部が、熱媒液冷却処理の実行時にセンサ部からのセンサ信号に応じて調整弁を制御して冷却液の導入量を調整することで凝縮器における冷媒の凝縮量を調整する第1の処理と、熱媒液冷却処理の非実行時に予め規定された第1の条件が満たされたときに調整弁を制御して凝縮器への冷却液の導入量を増加させると共に、熱媒液冷却処理の非実行時に予め規定された第2の条件が満たされたときに調整弁を制御して凝縮器への冷却液の導入量を減少させる第2の処理とを実行可能に構成されている。
【0019】
したがって、請求項1記載の水素ガス冷却装置によれば、冷凍回路の動作状態(例えば、冷凍回路内の冷媒吐出圧の高低)に拘わらず、必要に応じて調整弁を任意に開閉させることができるため、調整弁が閉状態(または、極く小さな開弁率の状態)に移行しているときに冷却液の通過を許容するためのバイパス用配管を配設することなく、例えば冷却液の凍結や過剰な温度上昇を回避する必要があるときに調整弁を開弁して冷却液の通過を許容することで凝縮器に冷却液を導入させることができる結果、水素ガス冷却装置の製造コストを十分に低減することができる。また、例えば冷媒吐出圧を利用して機械式調整弁を開閉させることで冷却液の通過を許容/規制する構成とは異なり、冷媒吐出圧を利用するための冷媒配管等が不要となるだけでなく、高圧の流体に接する部品についての試験や申請を要する部品点数が少なくなるため、水素ガス冷却装置の製造コストを一層低減することができる。さらに、機械式調整弁の開度等を使用環境に応じて調整する調整作業も不要となるため、その運用コストも十分に低減することができる。また、凝縮器に対する冷却液の供給量を手動で変更する操作弁が不要のため、水素ガス冷却装置の各構成要素を筐体内に収容してユニット化する際に、そのような操作弁の操作を考慮して各構成要素の配置を規定しなくて済む結果、水素ガス冷却装置の設計の自由度を十分に高くすることができる。
また、冷却液供給源における冷却液循環路と凝縮器における凝縮器側冷却液導入口とを相互に接続する第1の配管、および冷却液循環路と凝縮器における凝縮器側冷却液排出口とを相互に接続する第2の配管のいずれかに調整弁を配設したことにより、例えば、冷却液供給源の熱媒液循環路に調整弁を配設する構成とは異なり、凝縮器以外の各種の被冷却対象への冷却液の供給を阻害することなく、調整弁の開閉状態を任意に変更することができる。さらに、冷凍回路が、第1の配管に接続された第3の配管を介して冷却液を導入すると共に、第2の配管に接続された第4の配管に冷却液を排出する液冷式の動力源を有する圧縮機を備え、第1の配管における第3の配管の接続部位と凝縮器側冷却液導入口との間、および凝縮器側冷却液排出口と第2の配管における第4の配管の接続部位との間のいずれかに調整弁を配設したことにより、例えば、調整弁を閉状態(または、極く小さな開弁率の状態)に移行させて凝縮器への冷却液の導入を停止(または、極く少量に減少)させたとしても、圧縮機に対する必要量の冷却液の供給を継続させることができる。また、液冷式の動力源を有する圧縮機を採用したことにより、空冷式の動力源を有する圧縮機を採用した構成とは異なり、圧縮機を筐体内に収容した状態において動力源から発せられる熱によって筐体内の温度が過剰に上昇する事態を好適に回避することができると共に、筐体内が高温となる地域(空冷が困難な地域)、および筐体内が極低温となる地域(空冷の場合に動力源の暖機が必要となる地域)においても好適に使用することができる。
【0020】
請求項2記載の水素ガス冷却装置によれば、冷凍回路における圧縮機からの冷媒吐出圧を冷媒圧力として検出可能にセンサ部を配設すると共に、制御部が、第1の処理において、センサ信号に基づいて特定した冷媒吐出圧に応じて調整弁を制御することにより、熱媒液冷却処理の実行時に行う第1の処理において、冷凍回路の動作状態に応じた必要十分な量の冷媒を凝縮器において凝縮させることができるように必要十分な量の冷却液を凝縮器に導入させることができる。このため、第1の処理において、必要以上に大量の冷媒が凝縮されたり、必要な量の冷媒が凝縮されなかったりする事態を好適に回避できる結果、蒸発器において熱媒液を好適に冷却することができる。
【0021】
請求項3記載の水素ガス冷却装置によれば、冷却液の通過量を多段階または無段階に変更可能な通過量可変型の電動弁で調整弁を構成したことにより、開状態および閉状態のいずれかだけ(小さな開弁率の状態および大きな開弁率の状態のいずれかだけ)に制御可能な調整弁を採用した構成とは異なり、第1の処理において、熱媒液の冷却に必要十分な量の冷媒を的確に凝縮させることができ、第2の処理においても、必要以上に大量の冷却液が凝縮器の導入される事態を好適に回避することができる。
【0022】
請求項4記載の水素ガス冷却装置によれば、
凝縮器側冷却液排出口と第2の配管における第4の配管の接続部位との間に調整弁が配設されている。したがって、請求項4記載の水素ガス冷却装置によれば、凝縮器の上流側に調整弁を配設した場合には、調整弁の通過に時に冷却液に生じた乱流が凝縮器内に到達して凝縮器内における冷却液と冷媒との熱交換効率が悪化するおそれがあるのに対し、凝縮器の下流側に調整弁を配設したことで、調整弁の通過時に乱流が発生したとしても、その乱流が凝縮器における冷却液と冷媒との熱交換の妨げとなる事態を回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、水素ガス冷却装置の実施の形態について説明する。
【0026】
最初に、水素ガス冷却装置1の構成について、添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1に示す水素ガス給気システム100は、水素ガス燃料電池自動車等の給気対象に水素ガスを供給(給気)する水素ガスステーション用の設備であって、水素ガス冷却装置1、ガスタンク2、ディスペンサー3および冷却水供給源4などを備えて構成されている。なお、同図では、水素ガス冷却装置1に関する理解を容易とするために、水素ガス給気システム100における水素ガス冷却装置1以外の構成要素に関して、ガスタンク2、ディスペンサー3および冷却水供給源4だけを図示し、その他の構成要素についての図示を省略している。
【0028】
この場合、冷却水供給源4は、「冷却液供給源」の一例であって、水素ガス冷却装置1や、水素ガス給気システム100における水素ガス冷却装置1以外の各種の装置に対して「冷却液」の一例である冷却水を供給可能に構成されている。具体的には、冷却水供給源4は、冷却水を冷却処理する冷却処理部31と、冷却処理部31の排出口H31o(「供給源側冷却液排出口」の一例)から排出される冷却水を導入口H31i(「供給源側冷却液導入口」の一例)に導入させることで冷却水を循環させる循環用配管32とを備えている。なお、本例の冷却水供給源4では、冷却処理部31の排出口H31oから循環用配管32を介して導入口H31iに至る冷却水流路が「冷却液循環路」に相当する。
【0029】
一方、水素ガス冷却装置1は、「水素ガス冷却装置」の一例であって、冷凍回路11、ブラインタンク12、水素ガス冷却用熱交換器13、ブライン配管14a〜14d、液送ポンプ15a,15b、温度センサ16、冷却水配管17a〜17d、電動弁18、温度センサ19および制御部20を備え、「熱媒液」としてのブラインを冷却すると共に、冷却したブラインを水素ガス冷却用熱交換器13に供給して水素ガスを冷却することができるように構成されている。この場合、本例の水素ガス冷却装置1では、上記の各構成要素11〜20が図示しない筐体内に収容されてユニット化(モジュール化)されている。これにより、水素ガス冷却装置1の設置場所において各構成要素を組み立てる作業を行うことなく、ガスタンク2、ディスペンサー3および冷却水供給源4等に接続して使用を開始することが可能となっている。
【0030】
冷凍回路11は、「冷凍回路」の一例である一元冷凍回路であって、圧縮機21、凝縮器22、膨張弁23および蒸発器24を備え、後述するように、「冷媒」としてのフロンと「熱媒液」としてのブラインとの熱交換によってブラインを冷却することができるように構成されている。この場合、圧縮機21は、「圧縮機」の一例であって、水冷式モータ(「液冷式の動力源」の一例)を動力源とする圧縮量可変型の圧縮機で構成されている。また、凝縮器22は、「液冷式の凝縮器」の一例である水冷式の凝縮器であって、後述するように冷却水供給源4から供給される冷却水とフロンとの熱交換によってフロンを冷却して凝縮させる構成が採用されている。
【0031】
さらに、膨張弁23は、一例として、蒸発器24に供給するフロンの量を変更可能な「電子膨張弁」で構成され、制御部20の制御に従い、ブラインの冷却に必要かつ十分な量のフロンを蒸発器24に供給する。なお、上記の膨張弁23に代えて、「冷凍回路」における「膨張弁」としてキャピラリーチューブを配設することもできる(図示せず)。また、蒸発器24は、「蒸発器」の一例であって、膨張弁23を通過させられたフロンとブラインとの熱交換によってブラインを冷却可能に構成されている。
【0032】
また、本例の水素ガス冷却装置1(冷凍回路11)では、一例として、圧縮機21と凝縮器22とを接続する冷媒配管に、圧縮機21からの冷媒の吐出圧力を検出してセンサ信号S25を出力する圧力センサ25(「冷凍回路内の冷媒圧力および冷媒温度の少なくとも一方」としての「冷媒吐出圧」を検出可能な「センサ部」の一例)が配設されている。なお、実際の冷凍回路11には、各種の冷媒バイパス回路、再熱回路、および圧縮機21からフロンと共に排出された潤滑油を圧縮機21に戻す潤滑油配管等の各種の構成要素が配設されているが、水素ガス冷却装置1についての理解を容易とするために、これらの構成要素についての図示および説明を省略する。
【0033】
ブラインタンク12は、冷凍回路11(蒸発器24)によって冷却されて水素ガス冷却用熱交換器13に供給されるブラインを貯留可能に構成されている。水素ガス冷却用熱交換器13は、水素ガス給気システム100のガス配管におけるガスタンク2とディスペンサー3との間に配設されている。この水素ガス冷却用熱交換器13は、ブラインタンク12から供給されるブライン(「熱媒液冷却処理によって冷却した熱媒液」の一例)と、ガスタンク2から供給される水素ガスとを相互に熱交換させることにより、ディスペンサー3から給気対象に充填される直前の水素ガスを予め規定された温度(一例として、−33℃〜−40℃の温度範囲内の温度)まで冷却する(「水素ガス冷却処理」の一例)。なお、本例の水素ガス冷却装置1では、水素ガス冷却用熱交換器13を一体的に備えて構成されているが、水素ガス冷却装置1の構成から水素ガス冷却用熱交換器13を除外して、外部機器で構成された「水素ガス冷却用熱交換器」にブライン(熱媒液)を供給する構成を採用することもできる。
【0034】
ブライン配管14a,14bは、ブラインタンク12と冷凍回路11の蒸発器24とを相互に接続する。この場合、本例の水素ガス冷却装置1では、ブラインタンク12内のブラインがブライン配管14aを介して蒸発器24に供給されて冷却された後に、ブライン配管14bを介してブラインタンク12に案内されることにより、ブラインタンク12と蒸発器24との間をブラインが循環させられる構成が採用されている。また、本例の水素ガス冷却装置1では、ブライン配管14aに配設されている液送ポンプ15aが制御部20の制御に従ってブラインタンク12内のブラインを蒸発器24に圧送することにより、蒸発器24内のブライン(蒸発器24において冷却されたブライン)がブラインタンク12に案内される構成が採用されている。
【0035】
ブライン配管14c,14dは、ブラインタンク12と水素ガス冷却用熱交換器13とを相互に接続する。この場合、本例の水素ガス冷却装置1では、ブラインタンク12内のブラインがブライン配管14cを介して水素ガス冷却用熱交換器13に供給されて水素と熱交換させられた後に、ブライン配管14dを介してブラインタンク12に案内されることにより、ブラインタンク12と水素ガス冷却用熱交換器13との間をブラインが循環させられる構成が採用されている。また、本例の水素ガス冷却装置1では、ブライン配管14cに配設されている液送ポンプ15bが制御部20の制御に従ってブラインタンク12内のブラインを水素ガス冷却用熱交換器13に圧送することにより、水素ガス冷却用熱交換器13内のブラインがブラインタンク12に案内される構成が採用されている。
【0036】
温度センサ16は、一例として、ブラインタンク12内のブラインを水素ガス冷却用熱交換器13に供給するための上記のブライン配管14cに配設されてブライン配管14c内のブラインの温度(すなわち、水素ガスと熱交換させられるブラインの温度)を検出してセンサ信号S16を出力する。
【0037】
冷却水配管17a,17bは、冷却水供給源4と冷凍回路11の凝縮器22とを相互に接続する。この場合、本例の水素ガス冷却装置1では、冷却水供給源4の循環用配管32における上流側の部位(排出口H31o寄りの部位)と凝縮器22の導入口H22i(「凝縮器側冷却液導入口」の一例)とを相互に接続する冷却水配管17a(「第1の配管」の一例)を介して冷却水供給源4から凝縮器22に冷却水が供給されると共に、凝縮器22の排出口H22o(「凝縮器側冷却液排出口」の一例)と冷却水供給源4の循環用配管32における下流側の部位(導入口H31i寄りの部位)とを相互に接続する冷却水配管17b(「第2の配管」の一例)を介して凝縮器22から冷却水供給源4に冷却水が戻される構成が採用されている。
【0038】
また、本例の水素ガス冷却装置1では、上記の冷却水配管17bに「調整弁」の一例である電動弁18が配設されている。この電動弁18は、「冷却液の通過量を無段階に変更可能な通過量可変型の電動弁」であって、一例として、全閉状態(開弁率が「0%」の状態)から全開状態(開弁率が「100%」の状態)までの範囲において開弁率を無段階に変化させることが可能な電動ボール弁で構成されている。なお、本例では、後述するように、この電動弁18が制御部20の制御に従って開弁率を「10%」、「50%」、「100%」の3段階(多段階)に変化させられることによって凝縮器22からの冷却水の排出量を調整し、これにより、冷却水供給源4から凝縮器22に新たに導入される冷却水の量(導入量)を調整する構成が採用されている。
【0039】
この場合、流量調整対象の液体が上記の電動弁18のような「流量調整弁」を通過する際には、「流量調整弁」の下流側に乱流が生じることがある。このため、「凝縮器」の上流側(本例の水素ガス冷却装置1における冷却水配管17a)に「流量調整弁」を配設したときに、冷却液(冷却水)の流速によっては、「流量調整弁」の通過によって生じた乱流が「凝縮器」内に到達し、これに起因して、「凝縮器」内における冷却液(冷却水)と冷媒(フロン)との熱交換効率が悪化するおそれがある。したがって、本例の水素ガス冷却装置1では、凝縮器22から排出された冷却水が通過する冷却水配管17b(凝縮器22の下流側)に電動弁18を配設することで、仮に、電動弁18において乱流が発生したとしても、その乱流が凝縮器22における冷却水とフロンとの熱交換の妨げとなる事態を回避する構成を採用している。
【0040】
冷却水配管17cは、「第3の配管」の一例であって、上記の冷却水配管17aと冷凍回路11の圧縮機21(圧縮機21のモータ)とを相互に接続し、冷却水配管17aを介して冷却水供給源4から供給される冷却水を圧縮機21に導入する。また、冷却水配管17dは、「第4の配管」の一例であって、圧縮機21(圧縮機21のモータ)と上記の冷却水配管17bとを相互に接続し、圧縮機21から排出された冷却水を冷却水供給源4に戻す。この場合、本例の水素ガス冷却装置1では、上記の電動弁18が、排出口H22oと冷却水配管17bにおける冷却水配管17dの接続部位との間に配設された状態となっている。温度センサ19は、水素ガス冷却装置1の設置場所の外気温を検出してセンサ信号S19を出力する。
【0041】
制御部20は、水素ガス冷却装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部20は、冷凍回路11(蒸発器24)によってブラインを冷却するブライン冷却処理(「熱媒液冷却処理」の一例)の実行時に、冷凍回路11の圧縮機21を制御してブラインの冷却に必要かつ十分な量の冷媒を圧縮させると共に、膨張弁23を制御してブラインの冷却に必要かつ十分な量の冷媒を蒸発器24に供給させる。また、制御部20は、圧力センサ25からのセンサ信号S25や温度センサ19からのセンサ信号S19に応じて電動弁18を制御することにより、凝縮器22に対する冷却水の導入量を調整する。
【0042】
この場合、制御部20による電動弁18の制御処理としては、ブラインの冷却処理の実行時に実行する「通常制御処理」と、ブラインの冷却処理の非実行時に実行する「特殊制御処理」との2種類が存在する。具体的には、「通常制御処理」としては、ブラインの冷却処理の実行時に圧力センサ25からのセンサ信号S25に応じて電動弁18を制御することで、凝縮器22に対する冷却水の導入量を調整し、ブラインの冷却に必要かつ十分な量の冷媒を凝縮器22において凝縮させる制御処理(「凝縮器における冷媒の凝縮量を調整する処理:「第1の処理」の一例)を実行する。
【0043】
また、「特殊制御処理」としては、ブラインの冷却処理の非実行時に温度センサ19からのセンサ信号S19に基づいて特定される外気温が低温側設定温度よりも低いとき(冷却水が凍結するおそれがあるとき)や、特定される外気温が高温側設定温度よりも高いとき(凝縮器22内や冷却水配管17a内の冷却水の温度が高温となって冷凍回路11の運転再開時に凝縮器22内において冷媒を好適に凝縮できる状態となるまでに長い時間を要する状態となったとき)に、電動弁18の開弁率を上昇させて凝縮器22に冷却水を導入させ、ブラインの冷却処理の非実行時に特定される外気温が低温側設定温度以上で高温側設定温度以下のときに、電動弁18の開弁率を低下させて凝縮器22への冷却水の導入量を減少させる(本例では、冷却水の導入を規制する)制御処理(「第2の処理」の一例)を実行する。
【0044】
さらに、制御部20は、冷凍回路11によるブラインの冷却処理と並行して液送ポンプ15aを制御することにより、ブラインタンク12と蒸発器24との間でブラインを循環させてブラインタンク12内のブラインの温度を規定温度(水素ガスの冷却に適した温度)に維持させる。また、制御部20は、液送ポンプ15bを制御してブラインタンク12と水素ガス冷却用熱交換器13との間でブラインを循環させることにより、ガスタンク2からディスペンサー3に向かって移動させられている水素ガスを、水素ガス冷却用熱交換器13においてブラインと熱交換させて冷却させる。
【0045】
次に、水素ガス冷却装置1の動作原理について説明する。
【0046】
この水素ガス冷却装置1では、水素ガス冷却用熱交換器13において水素ガスを冷却する水素ガス冷却処理を実行していないときに、ブラインタンク12と水素ガス冷却用熱交換器13との間で少量のブラインを循環させる構成が採用されている。具体的には、制御部20は、水素ガス冷却処理の非実行時に、液送ポンプ15bを制御することにより、予め規定された時間間隔でブラインタンク12から水素ガス冷却用熱交換器13に少量のブラインを断続的に供給させる。これにより、後述するブライン冷却処理によって冷却された低温のブラインがブラインタンク12からブライン配管14cを介して水素ガス冷却用熱交換器13に供給され、水素ガス冷却用熱交換器13内のブラインがブライン配管14dを介してタンク12に戻される結果、地熱等で温度上昇したブラインがブライン配管14cや水素ガス冷却用熱交換器13内に滞留した状態、すなわち、水素ガス冷却処理の開始時に水素ガスを好適に冷却可能な状態となるまでに長い時間を要する状態となるのを好適に回避することが可能となっている。
【0047】
また、制御部20は、ブラインタンク12と水素ガス冷却用熱交換器13との間でブラインを循環させる上記の処理と並行して、ブラインタンク12内のブラインを冷凍回路11によって冷却するブライン冷却処理を実行することでブラインタンク12内のブラインの温度を水素ガスの冷却に適した温度範囲内の温度に維持する。具体的には、上記のようなブラインの循環処理を実行することにより、ブラインタンク12から水素ガス冷却用熱交換器13に供給されるブラインの温度、すなわち、ブラインタンク12内のブラインの温度が温度センサ16によって検出される。したがって、制御部20は、温度センサ16からのセンサ信号S16に基づいて特定したブラインの温度が規定温度範囲内の温度(一例として、目標温度範囲内の温度を維持可能に規定した−38℃±0.2℃の温度範囲内の温度)であるか否かを判別する処理を繰り返し実行する(ブライン温度の監視処理)。
【0048】
また、制御部20は、特定したブラインの温度が上記の規定温度範囲の上限値よりも高温であると判別したときに、冷凍回路11によるブライン冷却処理を開始すると共に、液送ポンプ15aを制御してブラインタンク12と冷凍回路11(蒸発器24)との間でブラインを循環させる。この際に、本例の水素ガス冷却装置1では、制御部20が、一例として、特定したブライン温度に応じて圧縮機21の回転数を変化させることにより、蒸発器24においてブラインを好適に冷却するのに必要な量のフロンを圧縮させる。この場合、本例の水素ガス冷却装置1では、一例として、水素ガス冷却処理を実行しているか否かを問わず、冷却水配管17a,17cを介して冷却水供給源4から圧縮機21に冷却水が常時供給されている。したがって、上記のブライン冷却処理の実行時に圧縮機21が好適に冷却される。
【0049】
また、地熱等の影響で僅かに温度上昇したブラインを冷却することを目的とするこの時点においては、大量のブラインを短時間で冷却する必要がないため、圧縮機21が低速運転させられる結果、圧力センサ25によって検出される冷媒吐出圧が、やや低めの圧力となる。したがって、制御部20は、圧力センサ25からのセンサ信号S25に基づいて特定される冷媒吐出圧に応じて、一例として、電動弁18の開弁率を50%に制御する(「第1の処理」の一例)。この結果、冷却水供給源4から冷却水配管17aを介して凝縮器22に供給された冷却水によって凝縮器22内のフロンが好適に凝縮される。
【0050】
これにより、圧縮機21から吐出されて凝縮器22において凝縮されたフロンが膨張弁23を介して蒸発器24に供給され、気化したフロンとの熱交換によってブラインが冷却される。なお、本例の水素ガス冷却装置1では、圧縮機21の運転状態の変更や凝縮器22への冷却水の導入量の変更と並行して膨張弁23の開弁率を変更する公知の処理(蒸発器24へのフロンの供給量を変化させる処理)が行われるが、水素ガス冷却装置1の動作に関する理解を容易とするために、膨張弁23の開弁率を変更する処理についての説明を省略する。このような処理を、センサ信号S16に基づいて特定されるブラインの温度が規定温度範囲内の温度となるまで継続することにより、ブラインタンク12内のブラインの温度が水素ガスの冷却に適した目標温度範囲内の温度に維持される。
【0051】
また、給気対象の自動車等に水素ガスを充填する(給気する)際には、一例として、水素ガス給気システム100の主制御装置(図示せず)から水素ガス冷却装置1の制御部20に給気開始信号が出力され、これに伴い、制御部20が、液送ポンプ15bを制御してブラインタンク12から水素ガス冷却用熱交換器13へのブラインの供給量を増加させる。これにより、水素ガスの冷却に必要な量のブラインがブラインタンク12からブライン配管14cを介して水素ガス冷却用熱交換器13に供給される。
【0052】
この結果、ガスタンク2からディスペンサー3に向かって移動させられる水素ガスが水素ガス冷却用熱交換器13の通過時にブラインと熱交換させられて冷却され、十分に温度低下した水素ガス(一例として、−33℃〜−40℃の温度範囲内の温度の水素ガス)が給気対象の燃料タンク(ガスタンク)内に充填される。これにより、給気対象の燃料タンクへの水素ガスの充填効率を十分に向上させることができる。また、水素ガス冷却用熱交換器13において水素ガスを冷却することで温度上昇したブラインは、ブライン配管14dを介してブラインタンク12に回収される。
【0053】
また、水素ガスの給気が完了したときには、水素ガス給気システム100の主制御装置から水素ガス冷却装置1の制御部20に給気終了信号が出力される。これに伴い、制御部20は、水素ガス冷却処理を終了し、液送ポンプ15bを制御して前述したブラインの循環処理を開始する(ブラインタンク12から水素ガス冷却用熱交換器13へのブラインの供給量を減少させる)。この場合、本例の水素ガス冷却装置1では、複数の給気対象に水素ガスを連続して給気する際に水素ガスを好適に冷却し得る低温のブラインが不足する事態を招くことがないように、十分な量のブラインを貯留可能に十分な容量のブラインタンク12が設けられている。このため、1回の給気程度では、ブラインタンク12内のブラインの温度が急減に温度上昇することはないが、水素ガスの給気が連続して実行されたときには、大量の水素ガスの冷却によって高温のブラインがブラインタンク12に大量に流入する結果、ブラインタンク12内のブラインの温度が短時間で上昇する。
【0054】
したがって、温度センサ16からのセンサ信号S16に基づいて特定されるブラインの温度が前述した規定温度よりも高い温度となるため、制御部20は、液送ポンプ15aを制御してブラインタンク12内のブラインを蒸発器24に供給させつつ、圧縮機21を制御して高速運転させることで十分な量のフロンを圧縮させて冷凍回路11の冷凍能力(ブラインを冷却する能力)を上昇させる。この際には、圧縮機21の高速運転に伴い、圧力センサ25からのセンサ信号S25に基づいて特定される冷媒吐出圧が高い圧力となる。したがって、制御部20は、特定した冷媒吐出圧に応じて電動弁18の開弁率を100%に制御する(「第1の処理」の他の一例)。これにより、冷却水供給源4から冷却水配管17aを介して凝縮器22に供給された冷却水によって凝縮器22内のフロンが好適に凝縮される。
【0055】
この結果、圧縮機21から吐出されて凝縮器22において凝縮されたフロンが膨張弁23を介して蒸発器24に供給され、気化したフロンとの熱交換によってブラインが冷却される。このような処理を、センサ信号S16に基づいて特定されるブラインの温度が規定温度範囲内の温度となるまで継続することにより、ブラインタンク12内のブラインの温度が水素ガスの冷却に適した温度範囲内の温度まで低下させられる。
【0056】
また、本例の水素ガス冷却装置1では、冷凍回路11によるブライン冷却処理の非実行時に、圧縮機21内、凝縮器22内および冷却水配管17a〜17d内の冷却水の凍結や過剰な温度上昇が生じるのを回避可能に構成されている。なお、本例の水素ガス冷却装置1では、凝縮器22において必要とされる冷却水の最大量に対して、圧縮機21において必要とされる冷却水の量が少量であるため、以下に説明する「冬期運転モード」、「夏期運転モード」および「通常モード」への切り替えの状態を問わず、圧縮機21に対して冷却水供給源4からの冷却水が常時供給されて、圧縮機21内および冷却水配管17c,17d内の冷却水の凍結や過剰な温度上昇が回避されている。したがって、以下、凝縮器22内および冷却水配管17a,17b内の冷却水の凍結や過剰な温度上昇の回避について説明する。
【0057】
例えば、外気温の低下に伴って凝縮器22内や冷却水配管17a,17b内の冷却水の温度が低下する冬期においては、電動弁18が小さな開弁率に制御された状態(開弁率を10%にした状態:凝縮器22内や冷却水配管17a,17b内で冷却水が滞留する状態)のまま長時間が経過すると、凝縮器22内や冷却水配管17a,17b内において冷却水が凍結するおそれがある。したがって、制御部20は、一例として、図示しない操作部の操作による「冬期運転モード」への切替え操作が行われた状態において、温度センサ19からのセンサ信号S19に基づいて特定される外気温が予め規定された温度を下回ったときに(「第1の条件が満たされたとき」の一例)、冷却水配管17a,17b内および凝縮器22内における冷却水の凍結を防止する運転状態に移行する。
【0058】
この「冬期動作モード」において、制御部20は、ブライン冷却処理の非実行時、すなわち、凝縮器22において冷媒を凝縮させる必要がないときに、センサ信号S25に基づいて特定される冷媒吐出圧に拘わらず、電動弁18を制御して開弁率を50%に変更させることにより、冷却水供給源4から凝縮器22に冷却水を継続的に供給させる(凝縮器22への冷却水の導入量を増加させる「第2の処理」の一例)。これにより、冷却水配管17a内、凝縮器22内および冷却水配管17b内を冷却水が移動させられる結果、これらの内部において冷却水が凍結する事態が好適に回避される。
【0059】
なお、この「冬期動作モード」や、後述する「夏期動作モード」においても、制御部20は、冷凍回路11によるブライン冷却処理の実行時には、圧力センサ25からのセンサ信号S25に基づいて特定される冷媒吐出圧に応じて電動弁18の開弁率を変更する処理(第1の処理)を実行するが、この「通常制御処理」については、前述した処理と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0060】
また、外気温の上昇に伴って凝縮器22内や冷却水配管17a,17b内の冷却水の温度が上昇する夏期においては、電動弁18が小さな開弁率に制御された状態(開弁率を10%にした状態:凝縮器22内や冷却水配管17a,17b内で冷却水が滞留する状態)のまま長時間が経過すると、冷凍回路11の再稼働時(ブライン冷却処理の再開時)に凝縮器22においてフロンを好適に凝縮させることができる状態となるまでに長い時間を要する状態(凝縮器22に低温の冷却液が導入されるまでに長い時間を要する状態)となるおそれがある。したがって、制御部20は、一例として、図示しない操作部の操作による「夏期運転モード」への切替え操作が行われた状態において、温度センサ19からのセンサ信号S19に基づいて特定される外気温が予め規定された温度を超えたときに(「第1の条件が満たされたとき」の他の一例)に従い、冷却水配管17a,17b内および凝縮器22内における冷却水の温度上昇を防止する運転状態に移行する。
【0061】
この「夏期動作モード」において、制御部20は、ブライン冷却処理の非実行時、すなわち、凝縮器22において冷媒を凝縮させる必要がないときに、センサ信号S25に基づいて特定される冷媒吐出圧に拘わらず、電動弁18を制御して開弁率を50%に変更させることにより、冷却水供給源4から凝縮器22に冷却水を継続的に供給させる(凝縮器22への冷却水の導入量を増加させる「第2の処理」の他の一例)。これにより、冷却水配管17a内、凝縮器22内および冷却水配管17b内を冷却水が移動させられて冷却水供給源4から低温の冷却水が順次供給されるため、冷凍回路11の再稼働時(ブライン冷却処理の再開時)に、凝縮器22内のフロンを直ちに凝縮させ得る状態を維持することができる。
【0062】
さらに、上記の「冬期動作モード」において外気温が規定温度以上のとき、「夏期動作モード」において外気温が規定温度以下のとき、および「冬期動作モード」および「夏期動作モード」のいずれにも移行させられていないときのいずれかのとき、すなわち、冷却水の凍結や過剰な温度上昇が生じるおそれがないときに(「第2の条件が満たされたとき」の一例)、制御部20は、凝縮器22への冷却水の供給量を極く少量とする「通常動作モード」に移行する。
【0063】
この「通常動作モード」において、制御部20は、ブライン冷却処理の非実行時、すなわち、凝縮器22において冷媒を凝縮させる必要がないときに、センサ信号S25に基づいて特定される冷媒吐出圧に拘わらず、電動弁18を制御して開弁率を10%に変更させることにより、冷却水供給源4から凝縮器22への冷却水の供給量を減少させる(凝縮器22への冷却水の導入量を減少させる「第2の処理」の他の一例)。これにより、凝縮器22における冷却水の消費量が低減される。
【0064】
このように、この水素ガス冷却装置1では、制御部20が、ブライン冷却処理の実行時に圧力センサ25からのセンサ信号S25に応じて電動弁18を制御して冷却液の凝縮器22への導入量を調整することで凝縮器22におけるフロンの凝縮量を調整する「第1の処理」と、ブライン冷却処理の非実行時に予め規定された「第1の条件」が満たされたときに電動弁18を制御して凝縮器22への冷却液の導入量を増加させると共に、ブライン冷却処理の非実行時に予め規定された「第2の条件」が満たされたときに電動弁18を制御して凝縮器22への冷却液の導入量を減少させる「第2の処理」とを実行可能に構成されている。
【0065】
したがって、この水素ガス冷却装置1によれば、冷凍回路11の動作状態(例えば、冷凍回路11内の冷媒吐出圧の高低)に拘わらず、電動弁18を必要に応じて任意に開閉させることができるため、「調整弁」が極く小さな開弁率の状態(本例では、開弁率が10%の状態)に移行しているときに冷却水の通過を許容するためのバイパス用配管を配設することなく、例えば冷却水の凍結や過剰な温度上昇を回避する必要があるときに電動弁18を開弁して冷却水の通過を許容することで凝縮器22に冷却水を導入させることができる結果、水素ガス冷却装置1の製造コストを十分に低減することができる。また、例えば冷媒吐出圧を利用して機械式調整弁を開閉させることで冷却水の通過を許容/規制する構成とは異なり、冷媒吐出圧を利用するための冷媒配管等が不要となるだけでなく、高圧の流体に接する部品についての試験や申請を要する部品点数が少なくなるため、水素ガス冷却装置1の製造コストを一層低減することができる。さらに、機械式調整弁の開度等を使用環境に応じて調整する調整作業も不要となるため、その運用コストも十分に低減することができる。また、凝縮器22に対する冷却水の供給量を手動で変更する操作弁が不要のため、水素ガス冷却装置1の各構成要素を筐体内に収容してユニット化する際に、そのような操作弁の操作を考慮して各構成要素の配置を規定しなくて済む結果、水素ガス冷却装置1の設計の自由度を十分に高くすることができる。
【0066】
また、この水素ガス冷却装置1によれば、冷凍回路11における圧縮機21からの冷媒吐出圧を「冷媒圧力」として検出可能に圧力センサ25を配設すると共に、制御部20が、「第1の処理」において、センサ信号S25に基づいて特定した冷媒吐出圧に応じて電動弁18を制御することにより、ブライン冷却処理の実行時に行う「第1の処理」において、冷凍回路11の動作状態に応じた必要十分な量のフロンを凝縮器22において凝縮させることができるように必要十分な量の冷却水を凝縮器22に導入させることができる。このため、「第1の処理」において、必要以上に大量のフロンが凝縮されたり、必要な量のフロンが凝縮されなかったりする事態を好適に回避できる結果、蒸発器24においてブラインを好適に冷却することができる。
【0067】
さらに、この水素ガス冷却装置1によれば、冷却液の通過量を多段階または無段階に(本例では、「10%」、「50%」、「100%」の3段階に)変更可能な通過量可変型の電動弁18で「調整弁」を構成したことにより、小さな開弁率の状態および大きな開弁率の状態のいずれかだけ、または、開状態および閉状態のいずれかだけに制御可能な「調整弁」を採用した構成とは異なり、「第1の処理」において、ブラインの冷却に必要十分な量のフロンを的確に凝縮させることができ、「第2の処理」においても、必要以上に大量の冷却水が凝縮器22の導入される事態を好適に回避することができる。
【0068】
また、この水素ガス冷却装置1によれば、冷却水供給源4における循環用配管32と凝縮器22における導入口H22iとを相互に接続する冷却水配管17a、および循環用配管32と凝縮器22における排出口H22oとを相互に接続する冷却水配管17bのいずれか(本例では、冷却水配管17b)に電動弁18を配設したことにより、例えば、冷却水供給源4の循環用配管32等に「調整弁」を配設する構成とは異なり、凝縮器22以外の各種の被冷却対象への冷却水の供給を阻害することなく、電動弁18の開閉状態を任意に変更することができる。
【0069】
さらに、この水素ガス冷却装置1によれば、冷凍回路11が、冷却水配管17aに接続された冷却水配管17cを介して冷却液を導入すると共に、冷却水配管17bに接続された冷却水配管17dに冷却液を排出する液冷式の動力源を有する圧縮機21を備え、冷却水配管17aにおける冷却水配管17cの接続部位と凝縮器22における導入口H22iとの間、および凝縮器22における排出口H22oと冷却水配管17bにおける冷却水配管17dの接続部位との間のいずれかに(本例では、冷却水配管17bに)電動弁18を配設したことにより、例えば、電動弁18を極く小さな開弁率の状態(本例では、開弁率が「10%」の状態)に移行させて凝縮器22への冷却水の供給量を極く少量に減少させたとしても、圧縮機21に対する必要量の冷却水の供給を継続させることができる。また、液冷式の動力源を有する圧縮機21を採用したことにより、空冷式の動力源を有する「圧縮機」を採用した構成とは異なり、圧縮機21を筐体内に収容した状態において動力源から発せられる熱によって筐体内の温度が過剰に上昇する事態を好適に回避することができると共に、筐体内が高温となる地域(空冷が困難な地域)、および筐体内が極低温となる地域(空冷の場合に動力源の暖機が必要となる地域)においても好適に使用することができる。
【0070】
なお、「水素ガス冷却装置」の構成は、上記の水素ガス冷却装置1の構成に限定されない。例えば、開弁率を無段階に変更可能な電動弁18を「調整弁」として配設して、「10%」、「50%」、「100%」の3段階のいずれかに開弁率を変更する(「冷却液」としての冷却水の通過量を3段階に変更する)例について説明したが、開弁率を無段階に変更可能な「電動弁」の開弁率を4段階以上の多段階に変更する構成や、「冷却水」の通過量を多段階に調整可能な「電動弁」を「調整弁」として配設する構成を採用することもできる。このような構成を採用することにより、必要かつ十分な量の「冷却液」を「凝縮器」に対して的確に導入させることができる。
【0071】
また、開弁率を任意の2段階(一例として、「10%」および「100%」の2段階)だけに調整可能な「電磁弁」を「調整弁」として配設する構成を採用することもできる。さらに、「冷却液の通過量を減少させた状態」は、凝縮器22への「冷却液」の導入量が極少量となる状態(開弁率が「10%」の状態)の例に限定されず、凝縮器22への「冷却液」の導入量が「0」となる状態(開弁率が「0%」となる状態)となるように制御することもできる。
【0072】
また、「第2の配管」の凝縮器22の排出口H22oと冷却水配管17bにおける冷却水配管17dの接続部位との間に「調整弁」としての電動弁18を配設した構成を例に挙げて説明したが、冷却水配管17aにおける冷却水配管17cの接続部位と凝縮器22における導入口H22iとの間に電動弁18のような「調整弁」を配設することで凝縮器22への冷却水(冷却液)の導入量を調整する構成を採用することもできる。さらに、「冷却液」の一例である冷却水を凝縮器22に供給する構成を例に挙げて説明したが、「冷却液」としてのオイルを「凝縮器」に供給する構成を採用することもできる。また、「冷媒」としてのフロンを用いて「熱媒液」としてのブラインを冷却する構成を例に挙げて説明したが、フロン以外の各種の「冷媒」(例えば、二酸化炭素)を用いてブライン以外の各種の「熱媒液」(例えば、オイル)を冷却する構成を採用することもできる。
【0073】
さらに、圧力センサ25からのセンサ信号S25に基づいて特定される「冷媒吐出圧」に応じて「調整弁」としての電動弁18を制御する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、「冷媒吐出圧」以外の各種の「冷媒圧力」(例えば、圧縮機21への「冷媒吸入圧力」や、任意の2箇所の「冷媒圧力」の「差圧」)に基づいて「調整弁」を制御可能に「圧力センサ」を「センサ部」として配設したり、冷媒流路内の任意の位置における「冷媒温度」や、任意の2箇所の「冷媒温度」の「差温」に基づいて「調整弁」を制御可能に「温度センサ」を「センサ部」として配設したりすることができる。このような構成を採用した場合においても、ブライン冷却処理(熱媒液冷却処理)の非実行時には、それらの「センサ部」からのセンサ信号に基づく「第1の処理」とは別個に、任意の「第2の処理」を実行させることにより、上記の水素ガス冷却装置1と同様の効果を奏することができる。
【0074】
また、冷凍回路11によって冷却したブラインをブラインタンク12に貯留する(ブラインタンク12と冷凍回路11との間でブラインを循環させる)と共に、ブラインタンク12内のブラインを水素ガス冷却用熱交換器13に供給する(ブラインタンク12と水素ガス冷却用熱交換器13との間でブラインを循環させる)ことで水素ガスを冷却する構成を例に挙げて説明したが、「熱媒液」を貯留する「貯留部」の配設位置は、上記のブラインタンク12の配設位置の例に限定されない。例えば、「貯留槽(ブラインタンク)」内のブラインを冷凍回路11(蒸発器24)に供給して冷却した後に水素ガス冷却用熱交換器13に直接供給して水素ガスを冷却すると共に、水素ガスの冷却によって温度上昇したブラインを「貯留槽」に回収するように「貯留槽」を配設することができる。また、大量の水素ガスを連続して冷却する可能性がない環境下、すなわち、大量のブラインを備えている必要がない環境下で使用するときには、「貯液層(ブラインタンク)」を不要とすることもできる。
【0075】
さらに、「一元冷凍回路」の一例である冷凍回路11によって「熱媒液」の一例であるブラインを冷却する構成を例に挙げて説明したが、第1冷凍回路(高温側冷凍回路)の蒸発器によって第2冷凍回路(低温側冷凍回路)の凝縮器を冷却することで第2冷凍回路の凝縮器において十分な量の冷媒を短時間で凝縮させると共に、第2冷凍回路の蒸発器によって「熱媒液」を冷却することで、水素ガスの冷却に適した十分に低い温度まで「熱媒液」の温度を低下させ得る「二元冷凍回路」を採用することもできる(図示せず)。このような構成を採用したときには、第1冷凍回路(高温側冷凍回路)の凝縮器を「液冷式凝縮器」で構成し、「冷却液供給源」から供給される「冷却液」の「凝縮器」への導入量を「調整弁」によって変化させることで、上記の水素ガス冷却装置1と同様の効果を奏することができる。
【0076】
また、水素ガス給気システム100の主制御装置からの給気開始信号の出力に連動してブラインタンク12から水素ガス冷却用熱交換器13に水素ガスの冷却に必要な量のブラインを供給させ、給気終了信号の出力に連動して水素ガス冷却用熱交換器13へのブラインの供給量を減少させる(または、ブラインの供給を停止させる)構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、例えば、水素ガスの給気の有無に拘わらず、常に一定量のブラインを水素ガス冷却用熱交換器13に供給させると共に水素ガス冷却用熱交換器13から流出するブラインの温度を監視し、水素ガスの給気開始に伴って水素ガス冷却用熱交換器13から流出するブラインの温度が規定温度以上になったときに水素ガス冷却用熱交換器13へのブラインの供給量を増加させ、水素ガスの給気終了に伴って水素ガス冷却用熱交換器13から流出するブラインの温度が規定温度を下回ったときに水素ガス冷却用熱交換器13へのブラインの供給量を減少させる構成を採用することもできる。