【文献】
TONDREAU, A. M. et al.,Science,2012年,Vol. 335,pp. 567-570
【文献】
BART, S. C. et al.,Journal of the American Chemical Society,2004年,Vol. 126,pp. 13794-13807
【文献】
ATIENZA, C. C. H. et al.,ACS Catalysis,2012年,Vol. 2,2169-2172
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一つの第一の反応物と少なくとも一つの第二の反応物を、触媒の存在下で反応させて、一般式R
1R
2R
3R
4Si、R
1R
2R
3Si(Q)SiR
1R
2R
3、R
5R
6R
7R
8Si、R
5R
6R
7Si(Q)SiR
5R
7R
8、(R
1)
2Si[QSi(R
1)
3]
2、R
1Si[QSi(R
1)
3]
3、もしくはSi[QSi(R
1)
3]
4のシラハイドロカーボンを産生することを含み、
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8が、1〜30個の炭素原子を持つ脂肪族、アリール、アルカリール、アラルキルおよび脂環式の、一価のヒドロカルビル基からなる群より選択され、ここで、少なくとも1つのR
5、R
6、R
7もしくはR
8がアルケニル官能基を持つという条件であり、そしてQが2〜20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分岐の、アルキレン基であり、
ここで第一の反応物が2〜30個の炭素原子のオレフィン、または一般式(R
1)
2Si(R
k)
2、(R
1)
3Si(R
k)、(R
1)Si(R
k)
3もしくはSi(R
k)
4のアルケニルシラン、またはそれらの2以上の組合せからなる群から選択され、式中R
kが2〜30個の炭素のアルケニル基であり、そしてR
1が1〜30個の炭素原子を持つ脂肪族、アリール、アルカリール、アラルキルおよび脂環式の、一価のヒドロカルビル基であり、
ここで第二の反応物が(i)モノシラン(SiH
4)、ならびに一般式R’SiH
3、(R’)
2SiH
2、もしくは(R’)
3SiH、もしくは(R’)
nH
3−nSiQSi(R’)
yH
3−yのヒドリドシランを含み、式中nが0、1、2もしくは3であり、yが0、1、2もしくは3であり、n+y≧1であり、nおよびyの両方ともが3でないものであり、そしてR’が1〜30個の炭素原子を持つ脂肪族、アリール、アルカリール、アラルキルおよび脂環式の、一価のヒドロカルビル基であり、または(ii)式(R
1)(R
k)
2SiH、(R
1)
2(R
k)SiH、もしくはそれらの組合せのアルケニルシラン、式中、R
kが2〜30個の炭素のアルケニル基であり、そしてR
1が1〜30個の炭素原子を持つ、脂肪族、アリール、アルカリール、アラルキルおよび脂環式の、一価のヒドロカルビル基であり、またはそれらの2以上の組合せからなる群から選択され、そして
触媒が式(I)の鉄錯体、式(II)の鉄錯体
、式(III)のコバルト錯体
、または(MesPDI)CoClからなる群から選択され、
【化27】
【化28】
【化29】
式中、GがFeであり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9の各々が独立して、水素、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリール、もしくは置換アリールであり、ここで水素以外のR
2〜R
9が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、
R
23の各々が独立して、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリールもしくは置換アリールであり、ここでR
23が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、任意選択で、互いに近接したR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
23の任意の二つが共に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、環状構造である環を形成してもよく、
ここでL
1−L
2が、
【化30】
【化31】
【化32】
、もしくは
【化33】
であり、
式中、R
10、R
11、R
13、R
14、R
15およびR
16の各々が独立して、水素、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、もしくはC2〜C18アルキニルであり、ここで水素以外のR
10、R
11、R
13、R
14、R
15およびR
16が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そして水素以外のR
10、R
11、R
13、R
14、R
15およびR
16が任意選択で置換され、
R
12の各々が独立してC1〜C18アルキレン、C1〜C18置換アルキレン、C2〜C18アルケニレン、C2〜C18置換アルケニレン、C2〜C18アルキニレン、C2〜C18置換アルキニレン、アリーレンもしくは置換アリーレンであり、ここでR
12は任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、
任意選択で、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15およびR
16の任意の二つが共に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、環状構造である環を形成し、
R
17およびR
18の各々が独立して、アルキル、置換アルキル、アリールもしくは置換アリールであり、ここでR
17およびR
18の各々が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そしてここで、任意選択でR
17およびR
18が共に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、環状構造である環を形成し、
R
19およびR
20の各々が独立してSiとCとを結合する共有結合、アルキレン、置換アルキレン、もしくはヘテロ原子であり、ここでR
19およびR
20が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、
ここで、L
1−L
2が不飽和部位S
1およびS
2を介してGと結合し、
Arの各々が独立してC1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリールもしくは置換アリールであり、ここでArが任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、
Zが独立して水素、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリール、もしくは置換アリールであり、
式(III)のR
7、R
8およびR
9が独立して、水素、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリール、もしくは置換アリールであり、
XがN
2、CO、アルキル、OH、SH、SeH、−
H、もしくはSiR
3であり、式中Rがアルキル、アリールもしくはシロキサニルであり、
但し、(1)式(I)中のR
1が水素、メチル、エチルもしくはn−プロピルという条件、
(2)触媒が式(III)の化合物のとき、第二の反応物が(i)または(ii)のシランから選択されるという条件、および
(3)触媒が式(I)または(II)の化合物のとき、第二の反応物が(ii)のシランから選択されるという条件を満たす、
シラハイドロカーボンの産生のためのプロセス。
プロセスによって産生されるシラハイドロカーボンが、メチルトリ(オクチル)シラン、ジメチル(ジオクチル)シラン、メチル(ヘキシル)(デシル)オクタデシルシラン、テトラ(オクチル)シラン、フェニルトリ(オクチル)シラン、フェニル(ジペンチル)ドデシルシラン、フェニル(ジノニル)ブチルシラン、オクチルトリデシルシラン、オクチルトリス(オクタデシル)シラン、ヘキシルデシルビス(テトラデシル)シラン、フェニルオクチルジデシルシラン、オクチルジヘキシルオクタデシルシラン、オクチルトリエチルシラン、および/もしくはオクタデシルトリエチルシランから選択される、請求項1に記載のプロセス。
プロセスによって産生されるシラハイドロカーボンが、ジメチルジ(デセニル)シラン、ジオクチルジ(テトラデセニル)シラン、メチル(オクチル)ジ−(ヘキセニル)シラン、フェニル(ノニル)ジ(ドデセニル)シラン、オクチル(デシル)(オクテニル)−(デセニル)シラン、トリエチルオクテイルシラン、フェニル(ヘプチル)(ノネニル)(ウンデセニル)シラン、トリ(オクチル)(ヘキサデセニル)シラン、シクロヘキシル(フェネチル)(ヘプチル)(ノネニル)シラン、メチル(ヘキシル)(デシル)(ドデセニル)シラン、エチルジ(ペンチル)(テトラデセニル)シラン、フェニルヘキシルビス(2−オクテニル)シラン、フェニルデシルビス(2−オクテニル)シラン、フェニルオクタデシルビス(2−オクテニル)シラン、および/もしくはフェニオクチルビス(2−オクテニル)シランから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
典型的にシリルヒドリドと不飽和有機基との間の反応を含むハイドロシリル化の化学は、シリコーンカイメン活性剤、シリコーン流体およびシラン、ならびにシーラント、接着剤のような付加硬化型製品およびシリコーン系コーティング製品のような、市販のシリコーン系製品の合成における一つの基本的な経路である。これまで、ヒドロシリル化反応は、典型的に白金もしくはロジウム金属錯体のような貴金属触媒によって触媒されてきた。
【0004】
さまざまな貴金属錯体触媒が当技術分野において公知である。例えば、米国特許第3,775,452号は、不飽和シロキサンを配位子として含む白金錯体を開示する。この型の触媒はKarstedt触媒として知られる。文献に記載される他の例示的な白金系ヒドロシリル化触媒は、米国特許第3,159,601号に開示されるAshby触媒、米国特許第3,220,972号に開示されるLamoreaux触媒、Speier,J.L、Webster,J.A.およびBarnes,G.H.のJ.Am.Chem.Soc.79、974(1957)に開示されるSpeierの触媒含む。
【0005】
これらの貴金属錯体触媒はヒドロシリル化反応のための触媒として広く受け入れられているが、それらはいくつかの明確な欠点を持っている。一つの欠点は、貴金属錯体触媒が特定の反応の触媒において非効率的であるというものである。例えば、アリルポリエーテルとシリコーンヒドリドとの貴金属錯体触媒を用いるヒドロシリル化の場合、シリコーンヒドリドの有用な産物への完全な転換を確かにするために、シリコーンヒドリドの量と比較して過剰量のアリルポリエーテルの使用が触媒の効率の欠如を補うために必要とされる。ヒドリシリル化反応が完了したとき、この過剰量のアリルポリエーテルは、(A)これはコスト効率が良くない追加のステップによって除去される必要があるか、または(B)産物に残されてしまい最終使用の用途におけるこの産物の減少した性能という結果となるかのいずれか一方となる。さらに、過剰量のアリルポリエーテルの使用は、典型的にはかなりの量のオレフィンイソマーのような望まれない副産物を生じ、これは結果として望ましくない臭気を放つ副産物の化合物の生成を導く。
【0006】
貴金属錯体触媒の他の欠点は、しばしばそれらは特定の型の反応物を含むヒドロシリル化反応の触媒において効率的ではないということである。貴金属錯体触媒が、リン化合物およびアミン化合物のような触媒毒の影響を受けやすいことは知られている。従って、不飽和のアミン化合物を含むヒドロシリル化において、当分野に知られる貴金属触媒は、それらの不飽和アミン化合物とSiヒドリド基質との間の直接的な反応を促進する点において通常、効率が劣り、そしてしばしば望ましくない異性体の混合物の生成を導く。
【0007】
さらに、貴金属が高価であるので、貴金属含有触媒はシリコーン配合物のコストの大きな割合を構成し得る。昨今、白金を含む貴金属に対する世界的な需要が増加し、白金の値段が高値を記録するように駆り立て、効率的でかつ低コストの代替的な触媒への必要性を生み出す。
【0008】
シラハイドロカーボンは炭素、水素およびケイ素原子のみを含み、さまざまな工業用途において有用である。例えば、2つもしくはそれ以上のアルキル基が8〜12個の炭素原子を持つテトラアルキルシランが、特に航空宇宙および宇宙船において有用でかつ効果的な作動油や潤滑剤であることが示されてきた。Pettigrew(Synthetic Lubricants and High Performance Fluids (second edition)、L.R.Rudnick and L.R.Shubkin(Editors),Marcel Dekker、NY 1999、PP287〜296))は、その多くがヒドロシリル化に頼るような、1級、2級および3級シランによるアルファオレフィンのヒドロシリル化のための貴金属触媒(Rh、Pt、Pd)によって触媒されるこれらの流体の合成のさまざまな方法を概説してきた。そのような貴金属触媒を用いる合成の具体的な開示は、以下のものを含む。
【0009】
米国特許4,572,971号は、アルファオレフィンとジアルキルシランおよび/もしくはトリアルキルシランとからの飽和および不飽和のシラハイドロカーボンのロジウム触媒のヒドロシリル化合成を開示した。完全に飽和したシラハイドロカーボン産物は、不飽和シラハイドロカーボン副産物の水素添加によって得られた。
【0010】
米国特許第4,578,497号は、未反応のSiH官能性を含む反応混合物を産生し、そしてテトラアルキルシランへの転換を完全にするために空気もしくは酸素を後続的に導入するようなアルファオレフィンの1級(−SiH
3)、2級(=SiH
2)および3級(≡SiH)シランによる白金触媒のヒドロシリル化を開示した。
【0011】
Lewisら(Organometallics 9(1990)621−625)は、ロジウムおよび白金のコロイドが、CH
3(C
10H
21)SiH
2および1−オクテンからのCH
3(C
10H
21)Si(C
8C
17)
2のヒドロシリル化合成を触媒することを報告した。ロジウムは白金よりも高活性であり、空気もしくは酸素の注入が、開始物質からシラハイドロカーボンへの完全な転換を得るために重要であった。1級(−SiH
3)および2級(=SiH
2)シランが、白金触媒を阻害したが、ロジウムにおいて阻害は観察されなかった。
【0012】
LePointeら(J.Amer.Chem.Soc.、119(1997)906〜917)は、3級シランおよびオレフィンからのテトラアルキルシランのパラジウム触媒のヒドロシリル化合成を報告した。
【0013】
Bartら(J.Amer.Chem.Soc.、126(2004)13794〜13807)は、ビス(イミノ)ピリジン鉄ジ−窒素化合物(
iPrPDI)Fe(N
2)
2[
iPrPDI=2,6−(2,6−(iPr)
2−C
6H
3N=CMe)
2C
5H
3N]が、アルケンおよびアルキンの1級および2級シランによるヒドロシリル化において効果的な触媒であったことを報告した。しかしながら、反応産物は常に一つもしくは二つのSiH結合を持ち、テトラアルキルシランはまったく観察されなかった。
【0014】
米国特許第8,236,915号は、ヒドロシリル化触媒としての、三座ピリジンジイミン配位子のマンガン、鉄、コバルトおよびニッケル錯体の使用を開示する。しかしながら、この参照は、不飽和シラハイドロカーボンの産生におけるこれらの触媒の使用を開示しない。
【0015】
トリシラハイドロカーボン化合物は米国特許第4,788,312号に開示される。それらは、(1)大幅にモル過剰の4〜16個の炭素原子のアルファ、オメガジエンの、ジハロシランによるPt触媒ヒドロシリル化によってビス(アルケニル)ジハロシランを得ること、ならびに(2)ビス(アルケニル)ジハロシランのトリアルキルシランによるさらなるヒドロシリル化、または(3)ビス(アルケニル)ジハロシランのトリハロシランによるさらなるヒドロシリル化、ならびに(4)Grignard、オルガノリチウムもしくは有機亜鉛による反応によるハロゲン原子の置換を含む方法によって合成される。
【0016】
米国特許第5,026,893号および米国特許第6,278,011号は、アルキルトリビニルシラン、フェニルトリビニルシランもしくはトリビニルシクロヘキサンのような基質のトリアルキルシランによるPt触媒ヒドロシリル化を含む方法によるポリシラハイドロカーボンを開示する。開示されるヒドロシリル化方法は内部オレフィンとは非反応性である(米国特許第6,278,011号の第4カラム、2〜6行目を参照)。
【0017】
昨今、貴金属の代替として、ヒドロシリル化触媒としての使用に、特定の鉄錯体が注目を集めてきている。例示的に、技術誌の記事は、Fe(CO)
5が高温でのヒドロシリル化反応を触媒することを開示した(Nesmeyanov,A.N.、Tetrahedron、1962、17、61)、(Corey,J.Y.ら、J.Chem.Rev.1999、99、175)、(C.Randolph、M.S.、Wringhton、J.Am.Chem.Soc.108(1986)3366)。しかしながら、脱水素シリル化の結果として不飽和シリルオレフィンのような望まれない副産物も同様に産生された。
【0018】
ピリジンジ−イミン(PDI)配位子を含み、アニリン環のオルト位におけるイソプロピル置換を持つ五配位Fe(II)錯体は、PhSiH
3もしくはPh
2SiH
2のような1級および2級シランによって不飽和炭化水素(1−ヘキサン)をヒドロシリル化するのに使用された(Bartら、J.Am.Chem.Soc.2004、126、13794)(Archer,A.M.ら、Organometallics、2006、25、4629)。しかしながら、これらの触媒の制限の一つは、それらが上述の1級および2級フェニル置換シランにおいてのみ効果的であり、そして、Et
3SiHのような3級もしくはアルキル置換シランにおいて、または(EtO)
3SiHのようなアルコキシ置換シランにおいては効果的ではないということである。
【0019】
他のFe−PDI錯体もまた開示されてきた。米国特許第5,955,555号は、特定の鉄もしくはコバルトのPDIジアニオン錯体の合成を開示する。好ましいアニオンは塩化物、臭化物およびテトラフルオロボラートである。米国特許第7,442,819号は、2つのイミノ基によって置換された「ピリジン」環を含む特定の三環配位子を開示する。米国特許第6,461,994号および米国特許第6,657,026号および米国特許第7,148,304号は、特定の遷移金属−PDI錯体を含むいくつかの触媒系を開示する。米国特許第7,053,020号は、とりわけ、一つもしくはそれ以上のビスアリールイミノ鉄もしくはコバルトの触媒を含む触媒系を開示する。しかしながら、これらの参照文献に開示される触媒および触媒系は、ヒドロシリル化反応と関連したものではなく、オレフィン重合化および/もしくはオリゴマー化と関連した使用について記載される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
ここで定義されるとき、シラハイドロカーボンは、炭素、水素およびケイ素原子のみを含む。飽和シラハイドロカーボンは、R
1R
2R
3R
4SiもしくはR
1R
2R
3Si(Q)SiR
1R
2R
3のような一般式を持ち、式中R
1、R
2、R
3、R
4は、メチル、エチル、オクチル、オクタデシル、フェニル、フェニルエチル、およびシクロヘキシルプロピルのような1〜30個の炭素原子を持つ、脂肪族、アリール、アルカリール、アラルキル、および脂環式の、一価のヒドロカルビル基である。
【0024】
ポリシラハイドロカーボン化合物は、分子当たり1つより多いケイ素原子を含む。Qはポリシラハイドロカーボン中のはケイ素原子間の架橋基である。このようにQは、2〜20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分岐の、アルキレン基であり得る。
【0025】
不飽和のシラハイドロカーボンは、R
5R
6R
7R
8SiもしくはR
5R
6R
7Si(Q)SiR
5R
7R
8のような一般式を持ち、式中、少なくとも一つのR基(R
5〜R
8)は、ビニル、アリルもしくはプロペニルのようなアルケニル(−C=C−)官能性を持つ。Qは上に定義されるものと同一の意味を持つ。
【0026】
本発明のアルキルアルケニルシランおよびフェニルアルケニルシランは、R’SiHR
2、R’
2SiHRもしくはR’SiH
2Rと定義され、式中、R’は、メチル、エチル、オクチル、オクタデシル、フェニル、トリル、フェニルエチル、メシチルおよびシクロヘキシルプロピルのような1〜30個の炭素原子を持つ、脂肪族、アリール、アルカリール、アルキレンおよび脂環式の、一価のヒドロカルビル基である。Rは、鎖中に一つの炭素二重結合(−C=C−)を持つ3〜30個の炭素原子の一価のヒドロカルビル基である。
【0027】
ヒドロシリル化は、アルケン、アルキン、ケトンもしくはニトリルのような不飽和基へのSiH官能性の付加である。アルケンのヒドロシリル化は、飽和産物の形成をもたらす。アルケンへのSiHが、ビニルシランもしくはアリルシランのような不飽和産物、ならびに水素および/もしくはアルカンのような水素化副産物をもたらすとき、当該プロセスは脱水素シリル化と呼ばれる。ヒドロシリル化および脱水素シリル化の両方は、同一の反応中で同時に起こり得る。
【0028】
本出願において用いられるとき、「アルキル」は、直鎖、分岐および環状の、アルキル基を含む。アルキルの非限定的な具体例は、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、オクチルおよびイソブチルを含むがそれらには限定されない。ある実施態様において、アルキル基は、C1〜C18アルキルである。他の実施態様において、それはC1〜C10アルキルもしくはC1〜C30アルキルである。
【0029】
ここでは「置換アルキル」によって、一つもしくはそれ以上の置換基を含むアルキル基であって、それらの基を含む化合物が供されるプロセスの条件下で不活性であるアルキル基を意味する。置換基はまた、ここに記載されるヒドロシリル化および脱水素シリル化プロセスと実質的に干渉しない。ある実施態様において、置換アルキル基は、C1〜C18置換アルキルである。一実施態様において、それはC1〜C10置換アルキルである。アルキルの置換基は、ここに記載される不活性官能基を含むがそれらに限定されない。
【0030】
ここでは「アリール」によって、一つの水素原子が除去されている芳香族炭化水素という非限定的な基を意味する。アリールは一つもしくはそれ以上の芳香族環を含んで良く、それは縮合していても、単結合もしくは他の基と結合していてもよい。アリールの非限定的な具体例は、トリル、キシリル、フェニルおよびナフタレニルを含むがそれらに限定されない。
【0031】
ここでは「置換アリール」によって、置換基であってそれらの置換基を含む化合物が供されるプロセスの条件下で不活性である置換基を一つもしくはそれ以上含む芳香族基を意味する。置換基はまた、ここに記載されるヒドロシリル化および脱水素プロセスと実質的に干渉しない。アリールと同様に、置換アリールは一つもしくはそれ以上の芳香族環を含んで良く、それは縮合していても、単結合もしくは他の基と結合していてもよいが、置換アリールがヘテロ芳香族環を持つとき、置換アリール基における自由原子価は、炭素の代わりのヘテロ芳香族環のヘテロ原子(窒素のような)に対するものであってよい。他に示されない限り、ここでの置換アリール基の置換基は、0〜30個の炭素原子、具体的に0〜20個の炭素原子、より具体的に0〜10個の炭素原子を含むことが好ましい。一実施態様において、置換基はここに記載される不活性基である。
【0032】
ここでは「アルケニル」によって、1つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖、分岐、もしくは環状の、アルケニル基の任意のものを意味し、ここで置換の位置は炭素−炭素二重結合もしくは基内の他の場所のいずれでもあり得る。アルケニルの非限定的な具体例は、ビニル、プロペニル、アリル、メタリルおよびエチリデニルノボルナンを含むがそれらに限定されない。
【0033】
ここでは「アラルキル」によって、一つもしくはそれ以上の水素原子が同一の数のアリール基によって置換されているアルキル基を意味し、このアリール基は、同一であっても互いに異なっていてもよい。アラルキルの非限定的例は、ベンジルおよびフェニルエチルを含む。
【0034】
上述のように、本発明は、一般式R
1R
2R
3R
4Si、R
1R
2R
3Si(Q)SiR
1R
2R
3、R
5R
6R
7R
8Si、R
5R
6R
7Si(Q)SiR
5R
7R
8、(R
1)
2Si[QSi(R
1)
3]
2、R
1Si[QSi(R
1)
3]
3、もしくはSi[QSi(R
1)
3]
4であり、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8が、1〜30個の炭素原子を持つ、脂肪族、アリール、アルカリール、アラルキルおよび脂環式の、一価のヒドロカルビル基(メチル、エチル、オクチル、オクタデシル、フェニル、フェニルエチル、シクロヘキシルプロピルなど)であり、但し、少なくとも一つのR基(R
5〜R
8)がアルケニル(−C=C−)官能基を持つという条件であり、Qが2〜20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、1より多いケイ素原子を持つシラハイドロカーボン中のケイ素原子を架橋する、シラハイドロカーボンの産生のためのプロセスである。本発明のプロセスは、少なくとも一つのオレフィンもしくはアルケニルシランを、モノシランもしくはヒドリドシランと、式(I)もしくは(II)
【化8】
【化9】
に描かれるような三座ピリジンジイミン配位子の鉄錯体の存在下で反応させることを含む。
【0035】
式(I)および(II)において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9の各々が独立して、水素、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリール、置換アリールもしくは不活性置換基であり、ここで水素以外のR
2〜R
9が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、
R
23の各々が独立して、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリールもしくは置換アリールであり、ここでR
23が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、任意選択で、互いに近接したR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
23の任意の二つが共に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、環状構造である環を形成してもよく、
ここでL
1−L
2が、
【化10】
【化11】
【化12】
、もしくは
【化13】
であり、
式中、R
10、R
11、R
13、R
14、R
15およびR
16の各々が独立して、水素、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、もしくはC2〜C18アルキニルであり、ここで水素以外のR
10、R
11、R
13、R
14、R
15およびR
16が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そして水素以外のR
10、R
11、R
13、R
14、R
15およびR
16が任意選択で置換され、
R
12の各々が独立してC1〜C18アルキレン、C1〜C18置換アルキレン、C2〜C18アルケニレン、C2〜C18置換アルケニレン、C2〜C18アルキニレン、C2〜C18置換アルキニレン、アリーレンもしくは置換アリーレンであり、ここでR
12は任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、
任意選択で、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15およびR
16の任意の二つが共に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、環状構造である環を形成し、
R
17およびR
18の各々が独立して、アルキル、置換アルキル、アリールもしくは置換アリールであり、ここでR
17およびR
18の各々が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そしてここで、任意選択でR
17およびR
18が共に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、環状構造である環を形成し、
R
19およびR
20の各々が独立してSiとCとを結合する共有結合、アルキレン、置換アルキレン、もしくはヘテロ原子であり、ここでR
19およびR
20が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、
ここで、L
1−L
2が不飽和部位S
1およびS
2を介してGと結合し、
但し、(1)式(I)中のR
1が水素、メチル、エチルもしくはn−プロピルという条件、および
(2)式(A)のL
1−L
2が1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ブタジエン、1,5−シクロロオクタジエン、ジシクロペンタジエンおよびノルボルナジエンからなる群より選択されるという条件を満たす。
【0036】
好ましくは、反応するオレフィンもしくはアルケニルシランは、2〜30個の炭素原子のオレフィン、一般式(R
1)
2Si(R
k)
2、(R
1)
3Si(R
k)、(R
1)Si(R
k)
3もしくはSi(R
k)
4のアルケニルシランを含み、式中R
kが2〜30個の炭素のアルケニル基である。
【0037】
好ましくは、モノシランもしくはヒドリドシランは、モノシラン(SiH
4)、ならびに一般式R’SiH
3、(R’)
2SiH
2、(R’)
3SiH、もしくは(R’)
nH
3−nSiQSi(R’)
yH
3−yのヒドリドシランを含み、式中nが0、1、2もしくは3であり、yが0、1、2もしくは3であり、n+y≧1であり、そしてR’が、メチル、エチル、オクチル、オクタデシル、フェニル、トリル、フェニルエチル、メシチルおよびシクロヘキシルプロピルのような1〜30個の炭素原子を持つ脂肪族、アリール、アルカリール、アラルキルおよび脂環式の、一価のヒドロカルビル基である。
【0038】
一つの好ましい実施態様において、本発明は、一般式R’SiH
3の1級シラン、一般式(R’)
2SiH
2の2級シランもしくは一般式(R’)
3SiHの3級シラン、ならびにC2〜C30オレフィンから一般式R
1R
2R
3R
4Siのシラハイドロカーボンを合成する触媒的ヒドロシリル化プロセスであり、式(I)もしくは式(II)による三座ピリジンジイミン配位子の鉄錯体の使用によって特徴付けられる。シラハイドロカーボンの式中、R
1、R
2、R
3、R
4は、メチル、エチル、オクチル、オクタデシル、フェニル、フェニルエチルおよびシクロヘキシルプロピルのような1〜30個の炭素原子を持つ脂肪族、アリール、アルカリール、アラルキルおよび脂環式の、一価のヒドロカルビル基である。R’は、メチル、エチル、オクチル、オクタデシル、フェニル、トリル、フェニルエチル、メシチルおよびシクロヘキシルプロピルのような1〜30個の炭素原子を持つ脂肪族、アリール、アルカリールおよび脂環式の、一価のヒドロカルビル基である。R’ラジカルは2級および3級のシランの一般式において、全てが同一ではない。C2〜C30オレフィン中の不飽和は、末端でも内部でもよい。
【0039】
式(I)および式(II)において、GはFeであり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9の各々が独立して、水素、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリール、置換アリールもしくは不活性置換基であり、ここで水素以外のR
2〜R
9が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、R
23の各々が独立して、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリールもしくは置換アリールであり、ここでR
23が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含む。
【0040】
任意選択で、互いに近接したR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
23の任意の二つが共に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、環状構造である環を形成してもよい。
【化14】
【化15】
【0041】
L
1−L
2は、
【化16】
【化17】
【化18】
、もしくは
【化19】
であり、
式中、R
10、R
11、R
13、R
14、R
15およびR
16の各々が独立して、水素、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、もしくはC2〜C18アルキニルであり、ここで水素以外のR
10、R
11、R
13、R
14、R
15およびR
16が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そして水素以外のR
10、R
11、R
13、R
14、R
15およびR
16が任意選択で置換され、
R
12の各々が独立してC1〜C18アルキレン、C1〜C18置換アルキレン、C2〜C18アルケニレン、C2〜C18置換アルケニレン、C2〜C18アルキニレン、C2〜C18置換アルキニレン、アリーレンもしくは置換アリーレンであり、ここでR
12は任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、
任意選択で、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15およびR
16の任意の二つが共に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、環状構造である環を形成し、
R
17およびR
18の各々が独立して、アルキル、置換アルキル、アリールもしくは置換アリールであり、ここでR
17およびR
18の各々が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そしてここで、任意選択でR
17およびR
18が共に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、環状構造である環を形成し、
R
19およびR
20の各々が独立してSiとCとを結合する共有結合、アルキレン、置換アルキレン、もしくはヘテロ原子であり、ここでR
19およびR
20が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、
ここで、L
1−L
2が不飽和部位S
1およびS
2を介してGと結合し、
但し、(1)式(I)中のR
1が水素、メチル、エチルもしくはn−プロピルという条件、および
(2)式(A)のL
1−L
2が1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ブタジエン、1,5−シクロロオクタジエン、ジシクロペンタジエンおよびノルボルナジエンからなる群より選択されるという条件を満たす。
【0042】
第二の好ましい実施態様において、式(III)のコバルト含有化合物が、C2〜C30オレフィンと一般式R’SiH
3の1級シランもしくはモノシラン(SiH
4)とからの、式R
1(R
k)
2SiHのアルキルビス(アルケニル)−シランおよびアリールビス(アルケニル)シラン、式(R
1)
2R
kSiHのアルケニルビス(アルキル)シランおよびアリールアルケニルアルキルシラン、ならびに一般式Si(R
k)
4のテトラアルケニルシランのヒドロシリル化/脱水素シリル化合成において使用される。R
1およびR’は、上に定義されるのと同一の意味を持つ。R
kは、2〜30個の炭素のアルケニル基である。
【化20】
【0043】
式(III)において、Arの各々は独立してC1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリールもしくは置換アリールであり、ここでArが任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含む。Zは独立して水素、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリール、置換アリールもしくは不活性官能基である。Zは任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み得る。R
7、R
8およびR
9は式(I)について上に定義されるのと同一の意味を持つ。XはN
2、CO、メチルのようなアルキル、OH、SH、SeH、−HもしくはSiR
3であってよく、式中Rはアルキル、アリールもしくはシロキサニル基である。
【0044】
第三の好ましい実施態様において、式(I)もしくは式(II)の鉄含有化合物が、式R
1(R
k)
2SiHのアルキルビス(アルケニル)シランおよびアリールビス(アルケニル)シラン、式(R
1)
2R
kSiHのアルケニルビス(アルキル)シランおよびアリールアルケニルアルキルシランとC2〜C30オレフィンとからの飽和および不飽和のシラハイドロカーボンのヒドロシリル化合成において使用される。これらのヒドロシリル化反応の産物の式は、それぞれ(R
1)
2(R
k)
2Siおよび(R
1)
3R
kSiである。
【0045】
第四の好ましい実施態様において、分子当たり一つより多いケイ素原子を持つ飽和および不飽和のシラハイドロカーボンの合成は、式(R
1)
2Si(R
k)
2および/もしくは(R
1)
3Si(R
k)および/もしくは(R
1)Si(R
k)
3および/もしくはSi(R
k)
4の不飽和化合物と式(R
1)
3SiHおよび/もしくは(R
1)(R
k)
2SiHおよび/もしくは(R
1)
2(R
k)SiHとの式(I)、(II)もしくは(III)のピリジンジイミン錯体の存在下における反応によって実施される。この実施態様における(R
1)
3SiH由来の分子当たり一つより多いケイ素原子を含む飽和シラハイドロカーボン産物は、一般式(R
1)
3SiQSi(R
1)
3、(R
1)
2Si[QSi(R
1)
3]
2、R
1Si[QSi(R
1)
3]
3およびSi[QSi(R
1)
3]
4を持つ。ここに上述して定義されるように、Qは、2〜20個の炭素原子を持つ直鎖もしくは分岐のアルキレン基である。飽和ポリシラハイドロカーボンは、オレフィンの一般式(R’)
3−nH
nSiQSi(R’)
3−yH
y(n=0、1、2、3;y=0、1、2、3、n+y≧1)のヒドリドによる上述のピリジンジイミン錯体の存在下におけるヒドロシリル化によって合成できる。不飽和ポリシラハイドロカーボンは、(R
1)
nSi(R
k)
4−n(n=1、2、3)および(R
1)
m(R
k)
3−mSiH(m=1、2)のヒドロシリル化/脱水素シリル化反応において、ならびに(R
1)
m(R
k)
3−mSiH(m=1、2)の自己反応において形成される。
【0046】
本発明は、一般式R
1R
2R
3R
4Siのシラヒドロカーボン(テトラアルキルシランとしても知られる)のヒドロシリル化を介する合成を開示する。R
1、R
2、R
3、R
4は、メチル、エチル、オクチル、オクタデシル、フェニル、フェニルエチル、およびシクロヘキシルプロピルのような1〜30個の炭素原子を持つ、脂肪族、アリール、アルカリール、アラルキル、および脂環式の、一価のヒドロカルビル基である。これらのシラハイドロカーボンの例は、メチルトリ(オクチル)シラン、ジメチル(ジオクチル)シラン、メチル(ヘキシル)(デシル)オクタデシルシラン、テトラ(オクチル)シラン、フェニルトリ(オクチル)シラン、フェニル(ジペンチル)ドデシルシランおよびフェニル(ジノニル)ブチルシランである。
【0047】
化合物は、C2〜C30オレフィンの、モノシラン(SiH
4)、一般式R’SiH
3の1級シラン、一般式(R’)
2SiH
2の2級シラン、一般式(R’)
3SiHの3級シランもしくはそれらの組み合わせによるヒドロシリル化によって合成される。R’は、メチル、エチル、オクチル、オクタデシル、フェニル、トリル、フェニルエチル、メチシルおよびシクロヘキシルプロピルのような1〜30炭素原子を持つ、脂肪族、アリール、アルカリール、アラルキルおよび脂環式の、一価のヒドロカルビル基である。R’ラジカルは、2級シランおよび3級シランの一般式において、全てが同一ではない。1級シランの例は、メチルシラン、ブチルシラン、アミルシラン、ヘキシルシラン、オクチルシラン、フェニルシラン、フェニルエチルシラン、オクタデシルシラン、シクロヘキシルシランおよびそれらの混合物である。好適な2級シランは、ジメチルシラン、メチル(デシル)シラン、エチル(ノニル)シラン、フェニル(フェネチル)シラン、ジオクチルシラン、ヘキシルテトラデシルシランおよびそれらの組み合わせである。3級シランの例は、トリオクチルシラン、メチル(ジヘプチル)シラン、ブチル(ノニル)ドデシルシラン、フェニル(ジオクチル)シラン、トリ(ドデシル)シランおよびそれらの混合物である。
【0048】
C2〜C30オレフィンが単独の純粋化合物である必要もなく、また不飽和が末端にある必要もない。内部不飽和を持つものを含むオレフィンの混合物は、本発明のヒドロシリル化合成に好適である。従って、好適な例は、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、ノネン、ドデセン、テトラデセン、トリアコンテン、およびそれらの混合物の全ての位置異性体および幾何異性体を含む。式(I)および式(II)で描かれる本発明の鉄ピリジンジイミン触媒は、内部炭素−炭素二重結合を持つオレフィンのヒドロシリル化を達成できる。
【0049】
式(I)および式(II)において、GはFeであり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9の各々が独立して、水素、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリール、置換アリールもしくは不活性置換基であり、ここで水素以外のR
2〜R
9が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含み、R
23の各々が独立して、C1〜C18アルキル、C1〜C18置換アルキル、アリールもしくは置換アリールであり、ここでR
23が任意選択で少なくとも一つのヘテロ原子を含む。任意選択で、互いに近接したR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
23の任意の二つが共に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の、環状構造である環を形成してもよい。
【0050】
式(I)の好ましい組成物は、[(
2,6−(R’’)PDI)Fe(N
2)]
2(μ
2−N
2)であって、PDI=2,6−(2,6−(R’’)
2−C
6H
3N=CMe)
2C
5H
3NでありR’’が独立してMe、Etおよびメシチルであるもの、ならびにPDI=2,6−(2,6−(R’’)
2−C
6H
3N=Cフェニル)
2C
5H
3Nであり、R’’が独立してMe、Etおよびメシチルであるものを含む。R’’が式(I)におけるR
1および/もしくはR
2を表すこともまた理解されるであろう。
【0051】
式(II)の好ましい組成物は、[(
2,6−(R’’)2PDI)Fe(M
viM
vi)であって、PDI=2,6−(2,6−(R’’)
2−C
6H
3N=CMe)
2C
5H
3Nであり、R’’が独立してMe、Etおよびメシチルであり、M
viM
vi=1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンであるもの、[(
2,6−(R’’)2PDI)Fe(H
2C=CHCH=CH
2)であって、PDI=2,6−(2,6−(R’’)
2−C
6H
3N=Cフェニル)
2C
5H
3Nであり、R’’が独立してMe、Etおよびメシチルであるものを含む。R’’が式(II)におけるR
1および/もしくはR
2を表すこともまた理解されるであろう。
【0052】
式(I)および式(II)の鉄含有化合物はまた、飽和および不飽和のシラハイドロカーボンをもたらすような、一般式R
1(R
k)
2SiHのアルキルビス(アルケニル)シランおよびアリールビス(アルケニル)シラン、ならびに一般式(R
1)
2R
kSiHのアルケニルビス(アルキル)シランおよびアリールアルケニルアルキルシラン、ならびにそれらの混合物によるC2〜C30オレフィンのヒドロシリル化に有効である。さらに、ポリシラハイドロカーボンをもたらすような、(R’)
3−nH
nSiQSi(R’)
3−yH
y(n=0、1、2、3、y=0、1、2、3、n+y≧1)によるC2〜C30オレフィンのヒドロシリル化に有効である。
【0053】
R
1(R
k)
2SiHおよび(R
1)
2R
kSiHにおいて、R
1およびR’は、上に定義されるものと同一の意味を持つ。R
kは、3〜30個の炭素のアルケニル基である。R
kにおける不飽和は、炭素鎖に沿った任意の位置であり得る。S
1(R
k)
2SiHの好適な例は、メチルビス(オクテニル)シラン、オクチルビス(ブテニル)シラン、デシルビス(ノネニル)シラン、メチルビス(テトラデセニル)シラン、フェニルビス(オクテニル)シラン、フェニルビス(ドエセニル)シラン、オクチルビス(オクテニル)シラン、フェニル(オクテニル)デセニルシランおよびそれらの混合物の全ての異性体を含む。
【0054】
C2〜C30オレフィンのR
1(R
k)
2SiHによるヒドロシリル化の不飽和シラハイドロカーボン産物は、一般式(R
1)
2(R
k)
2Siを持つ。例は、ジメチルジ(デセニル)シラン、ジオクチルジ(テトラデセニル)シラン、メチル(オクチル)ジ−(ヘキセニル)シラン、フェニル(ノニル)ジ(ドデセニル)シラン、オクチル(デシル)(オクテニル)−(デセニル)シランおよびフェニル(ヘプチル)(ノネニル)(ウンデセニル)シランである。
【0055】
(R
1)
2R
kSiHの好適な例は、ジメチル(テトラデエセニル)−シラン、ジドデシル(デセニル)シラン、ジエチル(オクテニル)シラン、プロピル(デシル)(ヘプテニル)シラン、フェニル(デシル)(ノネニル)シラン、フェニル(テトラデシル)(ドデセニル)シランおよびそれらの混合物の全ての異性体を含む。
【0056】
C2−C30オレフィンの(R
1)
2R
kSiHによるヒドロシリル化の不飽和シラハイドロカーボン産物は一般式(R
1)
3(R
k)Siを持つ。例は、トリ(オクチル)(ヘキサデセニル)シラン、シクロヘキシル(フェネチル)(ヘプチル)(ノネニル)シラン、メチル(ヘキシル)(デシル)(ドデセニル)シランおよびエチルジ(フェニル)(テトラデセニル)シランである。
【0057】
一般式R
1(R
k)
2SiHおよび(R
1)
2R
kSiHの化合物は、触媒として式(III)のコバルトピリジンジイミン錯体を伴う、C2〜C30オレフィンの1級シランR’SiH3(上に既に定義される)によるヒドロシリル化/脱水素シリル化を介して合成される。対応するC2〜C30アルカンは脱水素シリル化の副産物である。
【0058】
式(III)の触媒の好適な例は、(
MesPDICoCH
3)であって、式中R
7〜R
9およびZが水素であり、Arがメスチルであり、そしてXがCH
3であるもの、(
MesPDIMeCoCH
3)であって、式中R
7〜R
9が水素であり、Zがメチルであり、Arがメスチルであり、そしてXがCH
3であるもの、(
2,6−iPrPDICoN
2)であって、式中R
7〜R
9およびZが水素であり、Arが2,6−ジイソプロピル−フェニルであり、そしてXがN
2であるもの、(
2,6−iPrPDIMeCoN
2)であって、式中R
7〜R
9が水素であり、Zがメチルであり、Arが2,6−ジイソプロピルフェニルであり、そしてXがN
2であるもの、(
2,6−iPrPDIPhCoN
2)であって、式中R
7〜R
9が水素であり、Zがフェニルであり、Arが2,6−ジシソプロピルフェニルであり、そしてXがN
2であるもの、(
2,6−iPrPDIMeCoOH)であって、式中R
7〜R
9が水素でありZがメチルであり、Arが2,6−ジイソプロピルフェニルであり、そしてXがOHであるもの、(
MesPDI)CoOHであり、式中R
7〜R
9およびZが水素であり、Arがメスチルあり、そしてXがOHであるもの、(
MesPDI)CoClであり、式中R
7〜R
9およびZが水素であり、Arがメスチルであり、そしてXがClであるもの、(
2,6−EtPDI)CoN
2であり、式中R
7〜R
9およびZが水素であり、Arが2,6−ジエチルフェニルであり、そしてXがN
2であるもの、ならびに(
2,6−iPrBPDI)CoN
2であり、式中R
7〜R
9が水素であり、Zがイソプロピルであり、Arがメチルであり、そしてXがN
2であるものを含む。
【0059】
分子当たり二個のケイ素原子を持つシラハイドロカーボンは、(R
1)
3(R
k)Si化合物の(R
1)
3SiHによるヒドロシリル化を介して合成される。代替的に、それらは、C2〜C30オレフィンのビスシリルヒドリド(R’)
3−nH
nSiQSi(R’)
3−yH
y(n=0、1、2、3、y=0、1、2、3、n+y≧1)によるヒドロシリル化を介して合成される。分子当たり3個のケイ素原子を持つものは、一般式(R
1)
2Si(R
k)
2の化合物の一般式(R
1)
3SiHを持つものによるヒドロシリル化を介して合成される。式(I)もしくは式(II)の鉄触媒は両方の場合に利用される。
【0060】
本発明のヒドロシリル化および脱水素シリル化のプロセスは、溶媒を伴って、もしくは溶媒を伴わずに実施され得るが、有利には溶媒なしに実施される。ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような炭化水素溶媒が使用できる。
【0061】
概して、オレフィンとヒドリドシランの化学量論的な量は、所望の産物を産生する両方の官能性の完全な転換を可能にする。しかしながら、例えばビス(アルケニル)シランとオレフィンからの不飽和シラハイドロカーボンの合成のような、化学量論的に過剰なオレフィンが好ましい例がある。
【0062】
ヒドロシリル化および脱水素シリル化のための有効な触媒の使用は、反応させるアルケンのモル量に基づいて、0.001モルパーセント〜10モルパーセントの範囲である。好ましいレベルは、0.1〜5モルパーセントである。さらに他の実施態様において、触媒のレベルは0.2モルパーセント〜1モルパーセントである。反応は、アルケン、シリルヒドリドおよび具体的なピリジンジイミン索外の熱安定性に応じて、約0℃から300℃までの温度で実施してもよい。20〜100℃の範囲の温度は、多くの反応において効果的であると見出されてきた。脱水素シリル化の選択性は、この範囲の温度より低いときにより顕著であった。反応混合物の加熱は、従来の方法ならびにマイクロ波装置を用いて実施できる。
【0063】
本発明のヒドロシリル化および脱水素シリル化は、大気圧以下および大気圧以上において実施できる。典型的に約1気圧(0.1MPa)〜約50気圧(5.1MPa)が好適である。より高い圧は、高い転換を可能にするために封じ込めを必要とするような揮発性および/もしくはより低い反応性の、アルケンにおいて有効である。
【0064】
さまざまな反応器が本発明のプロセスにおいて使用できる。選択は、試薬および産物の揮発性のような要素によって決定される。試薬が周囲温度および反応温度において液体であるとき、連続的な攪拌バッチ反応器が通常使用される。気体オレフィンと共に使用するとき、固定床反応器およびオートクレーブ反応器がより好適であり得る。
【0065】
以下の実施例は、例示を意図し、本発明の範囲を限定することは決してない。他に明示的に述べられない限り、全ての部およびパーセントは重量によるものであり、全ての温度は摂氏の温度である。本出願において参照される全ての出版物および米国特許は、参照によりそのすべてをここに組み入れられる。
【実施例】
【0066】
一般的な考察
すべての大気感受性および湿気感受性の操作は、標準的な真空ラインSchlenkおよびカニューレ技術を用いて、または精製窒素の雰囲気を持つMBraun負活性雰囲気ドライボックス中において実施された。大気感受性および湿気感受性操作のための溶媒は、文献(Pangborn、ABら、Organometallics 15、1518(1996))の手順を用いて最初に乾燥され、そして脱酸素化された。クロロホルム−dおよびベンゼン−d
6は、Cambridge Isotope Laboratoriesから購入された。
【0067】
[(
2,6−Et2PDI)Fe(N
2)]
2[μ−(N
2)]、[(
2,6−Me2PDI)Fe(N
2)]
2[μ−(N
2)]、[(
2−Me,6−iPrPDI)Fe(N
2)]
2[μ−(N
2)]、[
2,4,6−Me3PDIFe(N
2)]
2[(μ−N
2)]および[
2,6−iPr2PDIFe(ブタジエン)]の合成は、米国特許第8,236,915号に開示される。
【0068】
錯体(
iPrPDI)CoN
2(Browman ACら、JACS132:1676(2010))、(
EtPDI)CoN
2(Browman ACら、JACS132:1676(2010))、(
iPrBPDI)CoN
2(Browman ACら、JACS132:1676(2010))、(MesPDI)CoCH
3(Humphries、MJ Organometallics24:2039.2(2005))、(Humphries、MJ Organometallics24:2039.2(2005))、[(
MesPDI)CoN
2][MeB(C
6F
5)
3](Gibson,VCら、J.Chem.Soc.Comm.2252(2001)、および[(
MesPDI)CoCH
3][BArF
24](Atienza、CCHら、Angew.Chem.Int.Ed.50:8143(2011))は、既報の文献の手順に従って調製された。フェニルシラン、n−オクチルシランおよびEt
3SiHは、Gelestから購入され、使用前にカルシウムヒドリドから蒸留された。オレフィン基質は、カルシウムヒドリド上で乾燥し、使用前に減圧下で蒸留した。
【0069】
1H NMRスペクトラは、それぞれ399.78MHzおよび500.62Hzで操作するInova400および500の分光計において記録された。
13C NMRスペクトラは、125.893MHzで操作するInova500分光計において記録された。
1Hおよび
13CNMRの全ての化学シフトは、第二の標準として溶媒の
1H(残留)および
13Cの化学シフトを用いてSiMe
4に対して記録された。以下の略語よび術語が使用される:bs−ブロードシングレット、s−シングレット、t−トリプレット、bm−ブロードマルチプレット、GC−ガスクロマトグラフィー、MS−質量分析法、THF−テトラヒドロフラン。
【0070】
GC分析は、Shimadzu AOC−20sオートサンプラーおよびShimadzu SHRXI−5MSキャピラリーカラム(15m×250μm)を備えたShimadzu GC−2010ガスクロマトグラフを用いて実施された。装置は、1μlの注入容量、20:1のインレットスプリット比、およびそれぞれ250℃および275℃のインレット温度および検出器温度に設定された。UHPグレードのヘリウムが担体ガスとして1.82ml/分の流速で使用された。全ての分析に使用される温度プログラムは、以下の60℃1分、250℃まで15℃/分、2分であった。
【0071】
以下の文章おける触媒充填は、コバルト錯体もしくは鉄錯体のモル%で報告される(モル
錯体/モル
オレフィン)×100。
【0072】
ヒドロシリル化手順:シンチレーションバイアルが、秤量された量のオレフィンおよびシラン試薬により充填された。秤量された量の鉄ピリジンジイミン錯体もしくはコバルトピリジンジイミン錯体が、バイアルへと添加され、そして反応混合物は室温もしくは他の選択された温度において攪拌された。GCおよびNMRの分光法による反応の定期的な観察は、オレフィンの完全な転換を確立するために使用された。
【0073】
実施例1A、1Bおよび比較例A:1−オクテンのフェニルシランによるヒドロシリル化
全ての3つの例は、1−オクテンのフェニルシランによるヒドロシリル化に基づく。比較例Aは、Bartら(J.Amer.Chem.Soc.、126(2004)13794〜13807)から予測される、フェニルジオクチルシランを産生するための、(
iPrPDI)Fe(N
2)
2によるヒドロシリル化触媒を例示する。実施例1Aは、シラハイドロカーボン、フェニルトリオクチルシランを産生するための[(
MePDI)FeN
2]
2(μ
2−N
2)によるヒドロシリル化触媒を例示する。実施例1Bは、比較例Aによって産生されるフェニルジオクチルシランによる1−オクテンの反応からのシラハイドロカーボンの合成を例示する。
【0074】
比較例A
反応は、0.050g(0.46mmol)のフェニルシラン、0.156g(1.36mmol、3当量)の1−オクテン、および0.002g(0.003mmol(0.2モル%))の(
iPrPDI)Fe(N
2)
2を用い、上述される一般的なヒドロシリル化の手順に従って実施された。反応混合物は1時間室温で攪拌され、空気への曝露によって停止された。反応混合物はGCおよびNMR(
1Hおよび
13C)分光法によって分析された。反応からの産物は、フェニルジオクチルシランであると同定された。
【化21】
フェニルジオクチルシラン、
1H NMR(500MHz、CDCl
3):δ=0.86(m、4H、SiCH
2)、0.89(t、6H、CH
3)、1.24−1.42(m、24H、CH
2)、4.27(五重線、1H、SiH)、7.34−7.39(m、3H、p−Phおよびm−Ph)、7.54(d、2H、o−Ph)。{
1H}
13C NMR(125MHz、CDCl
3):δ=12.05(SiCH
2);14.30(CH
3);22.85、24.65、29.40、32.07、33.44(CH
2);127.90(m−Ph);129.19(p−Ph);134.77(o−Ph);136.28(i−Ph)。
【0075】
実施例1A
反応は、0.050g(0.46mmol)のフェニルシラン、0.156g(1.36mmol、3当量)の1−オクテン、および0.002mmol(0.1モル%)の[(
MePDI)FeN
2]
2(μ
2−N
2))を用い、上述の一般的なヒドロシリル化の手順に従って実施された。反応混合物は1時間室温で攪拌され、空気への曝露によって停止された。反応混合物はGCおよびNMR(
1Hおよび
13C)分光法によって分析された。反応からの産物は、フェニルトリオクチル−シランであると同定された。
【化22】
フェニルトリオクチルシラン、
1H NMR(500MHz、CDCl
3):δ=0.78(m、6H、SiCH
2)、0.89(t、9H、CH
3)、1.25−1.38(m、36H、CH
2)、7.34−7.37(m、3H、p−Phおよびm−Ph)、7.49(d、2H、o−pH)。{
1H}
13C NMR(125MHz、CDCl
3)、δ=12.54(SiCH
2);14.30(CH
3);22.85、23.92、29.38、29.44、32.10、33.99(CH
2);127.73(m−Ph);128.71(p−Ph);134.23(o−Ph);138.39(i−Ph)。
【0076】
実施例1B
実施例1Aの反応と同様の様式により、比較例Aにおいて産生されたフェニルジオクチルシランを、0.1モル%の[(
MePDI)FeN
2]
2(μ
2−N
2)を用いて1当量の1−オクテンと反応させた。反応混合物は、GCおよびNMR(
1Hおよび
13C)分光法によって分析され、反応産物は、フェニルトリオクチルシランであると同定された。
【0077】
実施例1A、1Bおよび比較例Aにおいて例示される反応は、以下に図解されるシーケンスによって要約できる。
【化23】
連続的ヒドロシリル化によるフェニルトリオクチルシランの合成。
【0078】
実施例2A、2Bおよび比較例B:1−オクテンのオクチルシランによるヒドロシリル化
全ての3つの例は、1−オクテンのオクチルシランによるヒドロシリル化に基づく。比較例Bは、Bartら(J.Amer.Chem.Soc.、126(2004)13794〜13807)から予測される、トリオクチルシランを産生するための、(
iPrPDI)Fe(N
2)
2によるヒドロシリル化触媒を例示する。実施例2Aは、シラハイドロカーボン、テトラオクチルシランを産生するための[(
MePDI)FeN
2]
2(μ
2−N
2)によるヒドロシリル化触媒を例示する。実施例2Bは、比較例Bによって産生されるトリオクチルシランによる1−オクテンの反応からのテトラオクチルシランの合成を例示する。
【0079】
比較例B
反応は、0.066g(0.46mmol)のオクチルシラン、0.156g(1.36mmol、3当量)の1−オクテン、および0.002g(0.003mmol(0.2モル%))の[(
iPrPDI)FeN
2]
2(μ
2−N
2))を用い、上述の一般的なヒドロシリル化の手順に従って実施された。反応混合物は1時間65℃で攪拌され、空気への曝露によって停止された。反応混合物はGCおよびNMR(
1Hおよび
13C)分光法によって分析された。産物は、トリオクチルシランであると同定された。
【化24】
トリオクチルシラン:
1H NMR(500MHz、CDCl
3):δ=0.60(m、6H、SiCH
2)、0.91(t、9H、CH
3)、1.28−1.34(m、36H、CH
2)、3.71(SiH)、{
1H}
13C NMR(125MHz、CDCl
3):δ=11.53(SiCH
2);14.32(CH
3);22.95、24.94、29.56、29.59、32.22、33.68(CH
2)。
【0080】
実施例2A
反応は、0.066g(0.46mmol)のオクチルシラン、0.156g(1.36mmol、3当量)の1−オクテン、および0.002mmol(0.1モル%)の[(
MePDI)FeN
2]
2(μ
2−N
2))を用い、上述の一般的なヒドロシリル化の手順に従って実施された。反応混合物は1時間65℃で攪拌され、空気への曝露によって停止された。反応混合物はGCおよびNMR(
1Hおよび
13C)分光法によって分析された。産物は、テトラオクチルシランであると同定された。
【化25】
テトラオクチルシラン、
1H NMR(500MHz、CDCl
3):δ=0.50(m、8H、SiCH
2)、0.91(t、12H、CH
3)、1.28−1.34(m、48H、CH
2)、{
1H}
13C NMR(125MHz、CDCl
3):δ=12.66(SiCH
2);14.34(CH
3);22.96、24.16、29.56、29.58、32.23、34.21(CH
2)。
【0081】
実施例2B
実施例2Aの反応と同様の様式により、比較例Bにおいて産生されたトリオクチルシランを、0.1モル%の[(
MePDI)FeN
2]
2(μ
2−N
2)を用いて1当量の1−オクテンと65℃で反応させた。反応混合物は、GCおよびNMR(
1Hおよび
13C)分光法によって分析され、反応産物は、テトラオクチルシランであると同定された。
【0082】
実施例3−10:シラハイドロカーボンのヒドロシリル化合成
以下の実施例は、鉄ピリジンジイミン錯体によって触媒されるさまざまなシラハイドロカーボンのヒドロシリル化合成を例示する。使用される手順は実施例1および2におけるものである。表1は、用いられる原料の量および合成される産物を要約する。以下の触媒の略語、
EtPDI=[(
2,6−Et2PDI)Fe(N
2)]
2[μ−(N
2)]
MePDI=[(
2,6−Me2PDI)Fe(N
2)]
2[μ−(N
2)]
MesPDI=[
2,4,6−Me3PDIFe(N
2)]
2[μ−(N
2)]
PrBtdPDI=[
2,6−iPr2PDIFe(ブタジエン)]
が表中で使用される。
【表1】
トリエチルオクチルシラン、
1H NMR(C6D6、22℃):1.39−1.28(m、12H)、0.99(t、9H、J=7.9Hz)、0.93(t、3H、8.6Hz)、0.97(t、9H、8Hz)、0.59−0.51(m、8H)、
13C NMR:34.83、32.79、30.21、30.19、24.73、23.53、14.77、12.08、8.16、4.08。
【0083】
実施例11A−11B:不飽和シラハイドロカーボンの触媒合成
これらの実施例は、式(III)のコバルト含有化合物を用いる不飽和シラハイドロカーボンの触媒合成を例示する。
【0084】
実施例11A 1−トリエチルシリル−2−オクテン(C
2H
5)
3Si(CH
2CH=CHC
5H
11)の合成
窒素を満たした乾燥箱において、シンチレーションバイアルに、0.100g(0.891mmol)の1−オクテン、および0.449mmol(0.5当量)の0.052gのEt
3SiHが充填された。0.001g(0.002mmol、0.5モル%)の(
MesPDI)CoMeがその後混合物へと添加され、反応は室温(23℃)で24時間攪拌された。反応は空気へと曝露することにより停止され、産物混合物は、ガスクロマトグラフィーならびに
1Hおよび
13C NMR分光法によって分析された。SiHおよびオレフィン官能基の転換は99%より多かった。GC分析は、46%のアルケニルシランおよび52%のオクタンを示した。1−トリエチルシリル−2−オクテンのEおよびZ異性体の両方が生じた。アルケニルシラン産物は、混合物をヘキサンと共にシリカゲルカラムを通過させることによって精製され、真空中での揮発性物質の除去が後に続いた。他の実験において、実験中に反応の進捗がNMRによって観察され、23℃で30分以内で37%の転換が生じた。その時点での産物の分布は、36%E異性体、21%Z異性体および41%オクタンであった。1−トリエチルシリル−2−オクテンの
1Hおよび
13C NMRの詳細は以下に示される。
【化26】
1−トリエチル−2−オクテン、
1H(ベンゼン−d
6):δ=0.55(t、6H、Si(CH
2CH
3)
3)、0.91(t、3H、H
h)、0.97(t、9H、Si(CH
2CH
3)
3)、1.28(m、2H、H
f)、1.32(m、2H、H
g)、1.36(m、2H、H
e)、1.50(d、2H{75%}、H
a−トランス異性体)、1.54(d、2H{25%}、H
a−シス異性体)、2.03(m、2H{75%}、H
d−トランス異性体)、2.08(m、2H{25%}、H
d−シス異性体)、5.47(m、1H{75%}、H
c−トランス異性体)、5.50(m、1H{25%}、H
c−シス異性体)、5.36(m、1H{75%}、H
b−トランス異性体)、5.38(m、1H{25%}、H
b−シス異性体)。
13C{
1H}NMR(ベンゼン−d
6):δ=2.82(Si(CH
2CH
3)
3)、7.70(Si(CH
2CH
3)
3)、14.42(C
h)、17.70(C
a−トランス)、17.71(C
a−シス)、23.04(C
g)、23.19(C
e)、29.24(C
f)、32.40(C
d−トランス)、32.47(C
d−シス)、126.41(C
b−トランス)、126.46(C
b−シス)、129.31(C
c−トランス)、129.33(C
c−シス)。
【0085】
実施例11B
この実施例は、触媒としての(
MesPDI)CoN
2を伴う、1−トリエチルシリル−2−オクテンの合成を例示する。実施例11の実験が、0.447mmol(0.052g)の(C
2H
5)
3SiH、0.89mmolの1−オクテンおよび0.004gの(
MesPDI)CoN
2によって繰り返された。23℃で24時間後、反応混合物が分析され、45%のアルケニルシランおよび43%のオクタンを含むことが見出された。転換は88%であった。
【0086】
実施例12:内部オレフィンからのビス(アルケニル)シランの合成
この実施例は、内部オレフィンからのビス(アルケニル)シランの合成を例示する。実験は、0.100g(0.891mmol)のシス−およびトランス−の4−オクテンおよび0.009mmol(1モル%)のコバルト錯体(0.004gの(
MesPDI)CoCH
3)、ならびに0.447mmol(0.5当量)の(C
2H
5)
3SiH(0.052g)を伴い、実施例11Aと同様の様式で実施された。反応は24時間室温で攪拌され、空気への曝露によって停止され、産物混合物は、ガスクロマトグラフィーおよびNMR分光法によって分析された。結果は、シス−4−オクテンの70%の転換、およびトランス−4−オクテンの85%の転換を示した。NMRは、両方の反応において、シリル化は末端の炭素において主に起きていたことを示した。
【0087】
実施例13:コバルトピリジンジイミン錯体の使用
この実施例は、1級シランおよびアルファオレフィンからのビス(アルケニル)シランの合成するためのコバルトピリジンジイミン錯体の使用を例示する。
【0088】
C
6H
5SiH
3による脱水素シリル化。
この反応は、実施例11に記載される1−オクテンのシリル化の一般的な手順を用いて実施された。0.002g(0.004mmol、1モル%)の(
MesPDI)CoMe、0.050g(0.46mmol)のPhSiH
3および0.207g(1.85mmol、4当量)の1−オクテンが使用され、反応は23℃で1時間実施された。C
6H
5(2−オクテニル)
2SiHの完全な転換(2:1 E/Z)がGCおよびNMR分光法によって観察された。
ビス(2−オクテニル)フェニルシラン、
1H NMR(500MHz、CDCl
3):δ=0.88(t、3H、C
8H
3)、1.16−1.35(m、6H、C
5H
2C
6H
2C
7H
2)、1.81(d、7.3Hz、4H{67%}、C
1H
2−E異性体)、1.84(d、8.3Hz、4H{33%}、C
1H
2−Z異性体)、1.94(m、2H、C
4H
2)、4.15(s、1H、SiH)、5.30(m、1H、C
3H)、5.40(m、1H、C
2H)、7.33−7.44(m、3H、p−Phおよびm−Ph)、7.53(d、2H、o−Ph)。{
1H}
13C NMR(125MHz、CDCl
3):=14.42(C
8−E)、15.11(C
8−Z)、16.13(C
1−Z)、16.36(C
1−E)、22.67(C
7−Z)、22.84(C
7−E)、29.47(C
5−E)、29.53(C
5−Z)、31.77(C
6−Z)、31.99(C
6−E)、32.66(C
4−Z)、32.84(C
4−E)、124.46(C
2−Z)、125.25(C
2−E)、127.79(m−Ph)、127.82(p−Ph)、129.04(C
3−Z)、129.29(C
3−E)、134.65(i−Ph)、135.29(o−Ph)。
【0089】
実施例14A−14D:不飽和シラハイドロカーボンの合成
この実施例は、米国特許第8,236,915号の鉄ピリジンジイミン触媒の存在下における化学量論的に過剰なオレフィンと実施例13Aのビス(アルケニル)シランの反応による不飽和シラハイドロカーボンの合成を例示する。触媒の源は1モル%の[(
2,6−Me2PDI)Fe(N
2)]
2[μ−(N
2)]である。反応および産物は以下の表に要約される。
【表2】
【0090】
実施例15A−15G:ポリシラハイドロカーボン化合物の合成
この実施例は、触媒源として鉄ピリジンジイミン錯体[(
2,6−Me2PDI)Fe(N
2)]
2[μ―(N
2)]を伴うポリシラハイドロカーボン化合物の合成を例示する。実験の一般的な手順は実施例1および2に記載される。シラン、不飽和基質および産物は表3に同定される。実施例15A−15Dおよび15Fにおいて、不飽和は内部であるが、実施例15Eおよび15Gにおいては末端である。
【表3】
【0091】
上の記載は多くの詳細を含むが、それらの詳細は、本発明の範囲の限定と解釈されるべきではなく、その好ましい実施態様の単なる例示として解釈されるべきである。当業者なら、ここに添付される請求項によって定義される発明の範囲および精神の範囲に含まれる多くの他の可能性のある変更を想到し得るであろう。