【実施例】
【0079】
以下、実施例と比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定解釈されるものではない。
【0080】
<透明スクリーン用フィルムの作製>
[実施例1]
1.無機粒子を添加した熱可塑性樹脂ペレットの作製 まず、無機粒子として酸化ジルコニウム(ZrO
2)粒子のメタノール分散液(ZrO
2濃度:30質量%、堺化学工業(株)製、商品名:SZR−M)を用意した。該ZrO
2粒子の粒度分布を動的光散乱法により粒度分布測定装置(大塚電子(株)製、商品名:DLS−8000)を用いて測定した結果、メジアン径は2nmであり、最大粒径は23nmであった。この分散液を、霧吹きを用いてポリメタクリル酸メチルの樹脂ペレット(PMMAペレット)(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)に吹きかけ、PMMAペレット表面にZrO
2粉末を均一に付着させた。ZrO
2分散液を吹き付けたPMMAペレットを真空クリーンオーブンで真空度2torr、70℃で24時間乾燥して、ZrO
2粒子添加PMMAペレットを得た。得られたZrO
2粒子添加PMMAペレットの質量を測定した結果、ZrO
2粒子の添加量は、PMMAペレットに対して1質量%であった。
【0081】
2.フィルムの作製(混練および製膜工程) 上記1で得られたZrO
2粒子添加PMMAペレットを二軸スクリュー式混練押出機(テクノベル(株)製、商品名:KZW−30MG)のホッパーに投入して、100μmの厚さのフィルム(未延伸)を製膜した。なお、二軸スクリュー式混練押出機のスクリュー径は20mmであり、スクリュー有効長(L/D)は30であった。また、二軸スクリュー式混練押出機にはアダプタを介し、ハンガーコートタイプのTダイを設置した。押出温度は270℃とし、スクリュー回転数は500rpmとし、せん断応力は、300KPaとした。使用したスクリューは、全長670mmであり、スクリューのホッパー側から160mmの位置から185mmの位置までの間にミキシングエレメントを含み、かつ185mmから285mmの位置の間にニーディングエレメントを含み、その他の部分がフライト形状であった。
【0082】
[実施例2]
上記2(フィルムの作製)において、ZrO
2粒子を1質量%添加したPMMAペレットとZrO
2を添加していないPMMAペレットを50:50の割合でビニール袋の中にいれ、その袋を十分に振ることで均一に混合したペレットを得た。この混合ペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。得られたフィルム中のZrO
2粒子の含有量は、混合ペレットに対して0.5質量%である。
【0083】
[実施例3]
上記2(フィルムの作製)において、ZrO
2粒子を1質量%添加したPMMAペレットとZrO
2を添加していないPMMAペレットを10:90の割合でビニール袋の中にいれ、その袋を十分に振ることで均一に混合したペレットを得た。この混合ペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。得られたフィルム中のZrO
2粒子の含有量は、混合ペレットに対して0.1質量%である。
【0084】
[実施例4]
上記2(フィルムの作製)において、ZrO
2粒子を1質量%添加したPMMAペレットとZrO2を添加していないPMMAペレットを2:98の割合でビニール袋の中にいれ、その袋を十分に振ることで均一に混合したペレットを得た。この混合ペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。得られたフィルム中のZrO
2粒子の含有量は、混合ペレットに対して0.02質量%である。
【0085】
[実施例5]
まず、無機粒子として、ZrO
2粒子(関東電化工業(株)製)をメタノールに分散させた。該ZrO
2粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定した結果、メジアン径は11nmであり、最大粒径は120nmであった。次に、PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)が入ったビニール袋に、PMMAペレットに対して0.1質量%の該ZrO
2粒子を入れ、その袋を十分振ることでPMMAペレット表面に均一にZrO
2粒子が付着したPMMAペレットを得た。このZrO
2粒子添加PMMAペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0086】
[実施例6]
まず、無機粒子として、チタン酸バリウム(BaTiO
3)粒子(関東電化工業(株)製)をメタノールに分散させた。該BaTiO
3粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定した結果、メジアン径は26nmであり、最大粒径は135nmであった。次に、PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)が入ったビニール袋に、PMMAペレットに対して0.1質量%の該BaTiO
3粒子を入れ、その袋を十分振ることで、PMMAペレット表面に均一にBaTiO
3が付着したPMMAペレットを得た。このBaTiO
3粒子添加PMMAペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0087】
[実施例7]
PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)の代わりに、ポリエチレンテレフタレートペレット((株)ベルポリエステルプロダクツ製、銘柄IPI121B)を用いた以外は実施例5と同様にしてフィルムを作製した。
【0088】
[実施例8]
ZrO
2粒子の添加量を1質量%に変更した以外は実施例7と同様にしてフィルムを作製した。
【0089】
[実施例9]
PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)の代わりに、ポリカーボネートペレット(住化スタイロンポリカーボネート(株)製、銘柄SD2201W)を用いた以外は実施例5と同様にしてフィルムを作製した。
【0090】
[実施例10]
ZrO
2粒子の添加量を1質量%に変更した以外は実施例9と同様にしてフィルムを作製した。
【0091】
[実施例11]
PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)の代わりに、ポリスチレンペレット(PSジャパン(株)製、銘柄HF77)を用い、かつ押し出し温度を250℃に変更した以外は実施例5と同様にしてフィルムを作製した。
【0092】
[実施例12]
ZrO
2粒子の添加量を1質量%に変更した以外は実施例11と同様にしてフィルムを作製した。
【0093】
[実施例13]
PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)の代わりに、セルロースアセテートプロピオネートペレット(Eastman Chemical社製、銘柄CAP−482−0.5)を用い、かつ押し出し温度を220℃に変更した以外は実施例5と同様にしてフィルムを作製した。
【0094】
[実施例14]
ZrO
2粒子の添加量を1質量%に変更した以外は実施例13と同様にしてフィルムを作製した。
【0095】
[実施例15]
PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)の代わりに、ポリプロピレンペレット(サンアロマー(株)製、銘柄PL−400A)を用い、かつ押し出し温度を240℃に変更した以外は実施例5と同様にしてフィルムを作製した。
【0096】
[実施例16]
ZrO
2粒子の添加量を1質量%に変更した以外は実施例15と同様にしてフィルムを作製した。
【0097】
[実施例17]
PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)の代わりに、ポリエチレンナフタレートペレット(帝人(株)製、銘柄テオネックスTN−8065S)を用い、かつ押し出し温度を290℃に変更した以外は実施例5と同様にしてフィルムを作製した。
【0098】
[実施例18]
ZrO
2粒子の添加量を1質量%に変更した以外は実施例15と同様にしてフィルムを作製した。
【0099】
[実施例19]
PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)の代わりに、シクロオレフィンポリマーペレット(日本ゼオン(株)製、銘柄ZEONOR 1020R)を用い、かつ押し出し温度を260℃に変更した以外は実施例5と同様にしてフィルムを作製した。
【0100】
[実施例20]
ZrO
2粒子の添加量を1質量%に変更した以外は実施例19と同様にしてフィルムを作製した。
【0101】
[実施例21]
PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)の代わりに、ポリビニルブチラール粉末((株)クラレ製、銘柄Mowital B30H)を用い、かつ押し出し温度を170℃に変更した以外は実施例5と同様にしてフィルムを作製した。
【0102】
[実施例22]
ZrO
2粒子の添加量を1質量%に変更した以外は実施例21と同様にしてフィルムを作製した。
【0103】
[実施例23]
まず、無機粒子として、酸化チタン(TiO
2)粒子(テイカ(株)製)をメタノールに分散させた。該TiO
2粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定した結果、メジアン径は13nmであり、最大粒径は165nmであった。次に、PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)が入ったビニール袋に、PMMAペレットに対して0.3質量%の該TiO
2粒子を入れ、その袋を十分振ることでPMMAペレット表面に均一にTiO
2粒子が付着したPMMAペレットを得た。このTiO
2粒子添加PMMAペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0104】
[実施例24]
まず、無機粒子として、硫酸バリウム(BaSO
4)粒子(堺化学工業(株)製、銘柄BF−40)をメタノールに分散させた。該BaSO
4粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定した結果、メジアン径は13nmであり、最大粒径は265nmであった。次に、PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)が入ったビニール袋に、PMMAペレットに対して0.3質量%の該BaSO
4粒子を入れ、その袋を十分振ることでPMMAペレット表面に均一にBaSO
4粒子が付着したPMMAペレットを得た。このBaSO
4粒子添加PMMAペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0105】
[実施例25]
まず、無機粒子として、酸化セリウム(CeO
2)粒子を水に分散させた。該CeO
2粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定した結果、メジアン径は22nmであり、最大粒径は305nmであった。次に、PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)が入ったビニール袋に、PMMAペレットに対して0.3質量%の該CeO
2粒子を入れ、その袋を十分振ることでPMMAペレット表面に均一にCeO
2粒子が付着したPMMAペレットを得た。このCeO
2粒子添加PMMAペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0106】
[実施例26]
まず、無機粒子として、銀ナノ粒子水分散液(シグマアルドリッチジャパン(株)製、銘柄:730785)を用意した。該銀ナノ粒子水分散液中の該銀ナノ粒子の粒度分布を、動的光散乱法で測定した結果、メジアン径は11nmであり、最大粒径は205nmであった。次に、該分散液を、霧吹きを用いて三菱レーヨン(株)製のPMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)に吹きかけ、PMMAペレット表面に銀ナノ粒子を均一に付着させた。銀ナノ粒子を付着させたPMMAペレットを真空クリーンオーブンで真空度2torr、70℃で24時間乾燥して銀ナノ粒子添加PMMAペレットを得た。該銀ナノ粒子添加PMMAペレットの重量を測定した結果、添加した銀ナノ粒子はPMMAペレットに対し1質量%であった。この銀ナノ粒子添加PMMAペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同じ方法でフィルムを作製した。
【0107】
[実施例27]
ZrO
2粒子(メジアン径:11nm、最大粒径:120nm)の含有量を0.15質量%に変更した以外は実施例7と同様にして、透明スクリーン用フィルムを作製した。
【0108】
[実施例28]
ZrO
2粒子(メジアン径:11nm、最大粒径:120nm)の含有量を0.5質量%に変更した以外は実施例7と同様にして、透明スクリーン用フィルムを作製した。
【0109】
[実施例29]
厚さ(延伸前)を150μmに変更した以外は実施例7と同様にして、未延伸フィルムを製膜した。製膜した未延伸フィルムを、延伸機を用いて、延伸倍率:1.5倍および延伸温度:Tg(80℃)+20℃の延伸条件で一軸延伸して、厚さ100μmのフィルムを作製した。
【0110】
[実施例30]
厚さ(延伸前)を144μmに変更した以外は実施例7と同様にして、未延伸フィルムを製膜した。製膜した未延伸フィルムを、延伸機を用いて、延伸倍率:1.2×1.2倍および延伸温度:Tg(80℃)+20℃の延伸条件で二軸延伸して、厚さ100μmのフィルムを作製した。
【0111】
[実施例31]
実施例7で使用したZrO
2粒子粉末とポリエチレンテレフタレートペレットを、ZrO
2粒子の添加量が0.6質量%となるように容器回転式混合器((株)加藤理機製作所製のKRT−50T)を用いて混合した。容器の回転数は30rpm、処理時間は30分として、ZrO
2粒子が表面に均一に付着したペレットを得た。得られたペレットを、ストランドダイスを備えた単軸スクリュー式混練押出機((株)GMエンジニアリング社製、型番GM50)のホッパーに投入して、ZrO
2粒子が0.6質量%練り込まれたペレットを得た。このペレットとポリエチレンテレフタレートペレット((株)ベルポリエステルプロダクツ製、商品名IPI121B)を1:5の質量比で、前記容器回転式混合器を用いて混合した。容器の回転数は30rpm、処理時間は15分とした。得られたペレットを、Tダイを備えた前記単軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入して、100μmの厚さのフィルム(未延伸)を製膜した。なお、単軸スクリュー式混練押出機のスクリュー径は50mmであり、スクリュー有効長(L/D)は32であった。また、単軸スクリュー式混練押出機にはアダプタを介し、ハンガーコートタイプのTダイを設置した。押出温度は250℃とし、スクリュー回転数は30rpmとした。使用したスクリューは、全長が搬送エレメントであるフルフライト形状のものを使用した。得られたフィルム内のZrO
2粒子濃度は0.1質量%であった。
【0112】
[実施例32]
実施例31において使用した単軸スクリュー式混練押出機((株)GMエンジニアリング社製、型番GM50)を、二軸スクリュー式混練押出機(テクノベル(株)製、商品名:KZW−30MG)に変更した以外は実施例31と同様にして、フィルムを作製した。
【0113】
[比較例1]
上記1(ZrO
2粒子添加PMMAペレットの作製)において、ZrO
2粒子の添加量をPMMAペレットに対して1.5質量%とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0114】
[比較例2]
上記2(フィルムの作製)において、ZrO
2粒子を1質量%添加したPMMAペレットとZrO
2を添加していないPMMAペレットを1:99の割合でビニール袋の中にいれ、その袋を十分に振ることで均一に混合したペレットを得た。この混合ペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。得られたフィルム中のZrO
2粒子の含有量は、PMMAペレットに対して0.01質量%である。
【0115】
[比較例3]
ZrO
2粒子(第一稀元素化学工業(株)製、商品名:UEP酸化ジルコニウム)をメタノールに分散させた。該ZrO
2粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定した結果、メジアン径は400nmであり、最大粒径は1.1μmであった。次に、PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)が入ったビニール袋に、PMMAペレットに対して0.1質量%の該ZrO
2粒子を入れ、その袋を十分振ることでペレット表面に均一にZrO
2粒子が付着したPMMAペレットを得た。このZrO
2粒子添加PMMAペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0116】
[比較例4]
まず、カーボンブラック粒子(旭カーボン(株)製、銘柄 旭#78)をメタノールに分散させた。該カーボンブラック粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定した結果、メジアン径は23nmであり、最大粒径は325nmであった。次に、PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)が入ったビニール袋に、PMMAペレットに対して0.3質量%の該カーボンブラック粒子を入れ、その袋を十分振ることでペレット表面に均一にカーボンブラック粒子が付着したPMMAペレットを得た。このカーボンブラック粒子添加PMMAペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0117】
[比較例5]
まず、カーボンブラック粒子(旭カーボン(株)製、銘柄SB935)をメタノールに分散させ。該カーボンブラック粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定した結果、メジアン径は13nmであり、最大粒径は225nmであった。次に、PMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)が入ったビニール袋に、PMMAペレットに対して0.3質量%の該カーボンブラック粒子を入れ、その袋を十分振ることでペレット表面に均一にカーボンブラック粒子が付着したPMMAペレットを得た。このカーボンブラック粒子添加PMMAペレットを2軸スクリュー式混練押出機のホッパーに投入した以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0118】
[比較例6]
ZrO
2粒子(メジアン径:11nm、最大粒径:120nm)の代わりに、シリカ粒子(メジアン径:3000nm、最大粒径:4200nm)を0.15質量%添加した以外は実施例7と同様にして、透明スクリーン用フィルムを作製した。
【0119】
[比較例7]
ZrO
2粒子(メジアン径:11nm、最大粒径:120nm)の代わりに、アクリル系樹脂微粒子(メジアン径:3000nm、最大粒径:3600nm)を0.5質量%添加した以外は実施例7と同様にして、透明スクリーン用フィルムを作製した。
【0120】
[比較例8]
シリカ粒子(メジアン径:3000nm、最大粒径:4200nm)の含有量を0.5質量%に変更した以外は比較例6と同様にして、透明スクリーン用フィルムを作製した。
【0121】
[比較例9]
アクリル系樹脂微粒子(メジアン径:3000nm、最大粒径:3600nm)の含有量を0.5質量%に変更した以外は比較例7と同様にして、透明スクリーン用フィルムを作製した。
【0122】
[比較例10]
ZrO
2粒子(メジアン径:11nm、最大粒径:120nm)の含有量を0.01質量%に変更した以外は実施例7と同様にして、透明スクリーン用フィルムを作製した。
【0123】
[比較例11]
ZrO
2粒子(メジアン径:11nm、最大粒径:120nm)の含有量を1.8質量%に変更した以外は実施例7と同様にして、透明スクリーン用フィルムを作製した。
【0124】
[比較例12]
ZrO
2粒子(メジアン径:11nm、最大粒径:120nm)の代わりに、ZrO
2粒子(メジアン径:400nm、最大粒径:1100nm)を0.15質量%添加した以外は実施例7と同様にして、透明スクリーン用フィルムを作製した。
【0125】
<透明スクリーン用フィルムの評価>
上記の実施例および比較例で作製したフィルムの光学特性を下記の通り評価した。まず、フィルムの透明性を下記の基準に基づいて目視で評価した。評価結果を表2に示す。
[評価基準]
○:フィルムは透明であった。
×:フィルムは白濁していて、透明性に劣るものであった。
××:フィルムは灰色に着色していて、透明性に非常に劣るものであった。
【0126】
次に、フィルムの全光線透過率(%)、平行線透過率(%)、およびヘイズ(%)を、ヘイズメータ(日本電色工業(株)製、商品名:NDH−5000)を用いてJIS−K−7361およびJIS−K−7136に準拠して測定した。また、写像性測定器(スガ試験機(株)製、品番:ICM−1T)を用い、JIS K7374に準拠して、光学くし幅0.125mmで測定した時の像鮮明度(%)の値を写像性とした。像鮮明度の値が大きい程、透過写像性が高いことを示す。測定結果を表2に示す。
【0127】
<透明スクリーンの作製と評価>
透明スクリ−ンとして上記の実施例および比較例で作製したフィルムを、モバイルLEDミニプロジェクター(オンキョーデジタルソリューションズ(株)製、商品名:PP−D1S)の映像投射レンズから50cm離れた位置に設置した。次に、スクリーンの位置に焦点が合うようにプロジェクターの焦点つまみを調整した。続いて、スクリーンから斜め45°後方に1mと斜め45°前方1mの2か所からスクリーンに映像を投射した。スクリーンの映像視認性を下記の基準に基づいて目視で評価した。評価結果を表2に示す。[評価基準]
○:スクリーンの映像が鮮明であり、フィルムは透明スクリーンとして好適であった。
×:スクリーンの映像が不鮮明であり、フィルムは透明スクリーンとして不適であった。
【0128】
実施例および比較例で用いた無機粒子および樹脂の詳細を表1に示す。また、上記の評価結果を表2に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】