(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
防曇スポーツ用ゴーグル、ダイビングマスク、およびその他の携帯性の高く透明で防曇性保護眼鏡からハンドヘルドGPS装置、無線機、電話機、およびその他ディスプレイ装置を有する携帯型電子機器に至るまでの様々な製品が、これら機器に電力供給するだけではなく前記機器を加熱して保護眼鏡またはビューイングスクリーンの曇りを防止するために電池を使用する。そしてこれら機器の中には前記機器に電力供給するためにリチウムイオン電池を普通に使用してきたものもあるが、リチウムイオン電池の使用は加熱式保護眼鏡への電力供給のようなその他の用途においてはそれほどよく知られていない。にもかかわらず、さらにより多くのこのような機器にリチウムイオン電池技術の恩恵を使用してこれら機器に電力を供給することが望ましいように見受けられるが、但し、リチウムイオン電池について既知の問題点は、使用時間の経過に伴ってその充電量が低下するに従って、その提供する電圧出力もまた使用時間の経過に伴って低下することである。
【0004】
このような携帯型機器の一般的な特徴は、これら機器をユーザーの身体(例えばユーザーの頭部)に着けて持ち運ぶことができるほど十分に軽量なことである。冬季の活動時に使用する目的の曇りやすいスポーツ用ゴーグルの例としては、滑降スキー、クロスカントリースキー、スノーボード、スノーモービル運転、そり滑り、チュービング、アイスクライミングなどの用途のゴーグルが挙げられるが、これらは広く知られており、スポーツファンならびに、その任務または活動の必要上雪およびその他過酷な寒冷気象条件下で屋外に出るその他の人々によって広く利用されている。曇りやすいダイビングマスクの例としては、呼吸具から独立した眼マスクおよび鼻マスクならびにマスク内に前記呼吸具が組み込まれているフルフェースのマスクが挙げられる。曇りやすい保護眼鏡の例としては、病原体が使用者の口または眼に入ることを防止するために医師または歯科医が着用するであろうフェイスシールドまたはオートバイ用ヘルメットの透明なフェイスシールド部分が挙げられる。見通しを悪くする曇りは、このようなゴーグル、ダイビングマスク、および保護眼鏡に共通した問題である。
【0005】
機器のディスプレイを加熱して前記ディスプレイの曇りを防止するために一貫した電力を必要とするハンドヘルド型機器の例としては、ハンドヘルドGPS装置、無線機、電話機、医療機器(EKG読み取り)、リーダー、タブレット、ポータブルコンピュータ、POS端末装置などが挙げられる。
【0006】
保護眼鏡およびこのようなハンドヘルド型機器のビューイングスクリーン上の結露を防止するための様々な導電装置が考案されている。これらの導電装置の目的は、ユーザーが何かを見ようとしているときに見通しおよび閲覧が邪魔されないように結露のない状態を維持できる保護眼鏡およびビューイングスクリーンを提供することにある。電子システムを備えた従来のスポーツ用ゴーグルおよびハンドヘルド型電子機器は、主として高い携帯性を必要とする環境下、即ち、McCullochによって為されたModular Anti−fog Goggle Systemに関する同時係属米国特許出願第61/563,738号に示され記載されているように、前記機器の電子回路に電力供給する電源が前記ゴーグルのストラップまたは前記機器自体に取り付けられて都合よく持ち運びされる環境下で使用されている。このような電池駆動式機器、特に電池から非常に大きな電力を消費する加熱装置は、一般にアンペア時で計測される総電源の使用について、電源寿命を持続させるために慎重である必要があり、また、このようなシステムの電源回路は、前記機器の電池が使用時間の経過に伴ってだんだんと消耗するかもしれなくても、前記機器に一貫したレベルの電力を供給することが重要となっている。したがって、前記機器の抵抗素子に供給される電流の量を調整して、電池の充電量が消耗するに従って低下する電圧を補償する機能もまた、望ましくなっている。
【0007】
したがって、電池寿命を最大化することが依然として重要である一方、そしてこの場合、PWM Heating System for Eye Shieldに関する同時係属米国特許出願第13/397,691号、米国特許公開番号第2013−0212765−1号に記載されているように、パルス幅変調(pulse−width modulation:PWM)の使用が有用であることが証明されているが、リチウムイオン電池の消耗による制約およびこれに対応する電圧の低下は依然として問題となっている。このように、ゴーグルまたはハンドヘルド型機器に対して加熱動作を実施するために十分に利用可能な電池残量があるときに、前記電池の消耗サイクル全体を通じて前記機器に供給される電力をより一貫性のあるものにするために、適切な量の追加的に利用できる電力が有用である場合があることが認識されている。
【0008】
電池の充電量の消耗にも拘わらず電池電源を使用して前記機器に一貫した電力を供給する従来技術のゴーグルまたはハンドヘルド型電子機器はない。Curcioに付与されたElectrically Heated Ski Gogglesに関する米国特許第4,868,929号明細書は、切り換え装置を介して外部電源パックに動作可能に接続され、曇り防止の目的で保護眼鏡を加熱するようになっている抵抗線を埋め込んだ前記保護眼鏡を有する。Welchel他に付与されたEyewear With Heating Elementsに関する米国特許第7,648,234号明細書は、保護眼鏡を加熱するために使用するニクロム素子および薄膜加熱素子の使用を開示しており、前記保護眼鏡に対する熱をオン/オフする制御機構の使用を開示している。PWM回路を使用して充電量の消耗に関わらずに前記機器により一様な電力を供給するための前述の電力の調整、節約、および分配の概念についてはいずれも論述していない。
【0009】
電気式加熱を採用したスポーツ用ゴーグルの問題は、前記保護眼鏡の全表面にわたって加熱が一様ではないことである。ゴーグルおよびゴーグル型保護眼鏡は着用者の顔近くの位置を維持し、鼻のための切り欠きおよび周辺視野のための延長縁部を考慮に入れることを必要とする不規則な形状で製造される。従来技術では、この不規則な形状を一様に加熱することは達成できていない。
【0010】
不規則な形状の保護眼鏡を有する従来技術の機器は過熱点を生じやすく、充電量に限界のある電池駆動の用途にこのような機器を使用すると、前記電池を過度に放電させてしまっていた。前記過熱点が発生する理由は、前記保護眼鏡上の抵抗素子の両端の電気接続点間の電気抵抗率が前記保護眼鏡上の異なる場所でより大きかったりより小さかったりするので、接続端子間の距離のより短いエリアで消費される電流量はより大きく、接続端子間の距離のより長いエリアで消費される電流量はより小さいからである。例えば、抵抗線の応用において端子がレンズの両側にある場合、鼻梁の上側を越えて眼の下側を渡る線については一方の端子から他方の端子まで移動しなければならない距離が前記レンズの中央部分を渡ってより短い距離を移動するその他の線よりも長いので、前記レンズを一様に加熱する上で問題であった。曇り状態を克服するためには、端子接続点間の距離が最長であるエリアの曇りを克服するのに十分な電力を印加しなければならず、端子接続点間の距離がより短いエリアが過熱し、その結果電力が無駄になる。このように、前記問題がゴーグル型保護眼鏡を加熱する有用性を限定的なものとしている。保護眼鏡の前記不規則な形状のために、抵抗線の応用を検討するにせよまたは抵抗薄膜の応用を検討するにせよ、これらの問題は存在する。
【0011】
したがって、必要量を超える過剰な電力を与えずに負荷全体にわたる電池の消耗にも拘らず一貫した電力を提供しながらも、機器の曇りを防ぎまたはその他の理由により前記機器を加熱するための要件を満たすのに十分な電流を供給することのできる、好ましくは自動調整式の可変電源を提供する必要が生まれた。また、過剰な電力を使用せず、即ち各領域に過熱点を生じさせずに、電池の消耗にも拘らず各領域(即ち負荷)全域にわたって一貫した電力を供給しながらゴーグル型保護眼鏡の表面全体にわたって保護眼鏡の一様な加熱を可能とするために、複数の加熱要素領域に対する複数の電流源を提供する必要が生まれた。
【0012】
曇り状態を経験したときにゴーグルの電源スイッチを入れ、次にもう必要ないであろうとユーザーが推測したときにスイッチを切り、あるいはハンドヘルド機器に所望の熱または電力を供給するためにこれを行うのは、曇りを克服し、あるいは機器を加熱しまたはこれに電力を供給する上で効率的な方法ではない。これは、前記機器がオンとなっているときにはそれが全出力を使用しており、このことは電池資源の非効率な使用法だからである。また、前記ユーザーはそれをオフにすべきときを本当に厳密には知らないので、前記ユーザーはそれをオフにする最善の時を、せいぜい推測しているのである。さらに、ユーザーが取り組み中の活動に夢中になって集中しているときに電源をオン/オフして前記保護眼鏡またはその他のハンドヘルド機器を加熱しなければならないことは、多くの場合不便である。保護眼鏡またはその他のハンドヘルド機器の電源を手動で切り換えるのでは、前記ユーザーは、曇りを低減させ、またはその他の目的で加熱するのに十分でありながら併せて電池寿命も節約する中間の熱の値を設定することができない。さらに、電池の消耗にも拘らず一貫した電力を供給するように補償しながら保護眼鏡またはハンドヘルド機器上の薄膜またはその他の抵抗素子の均衡のとれた加熱をし、併せて前記機器上の加熱素子の可変制御をも提供する、従来技術に開示された既知のシステムは存在しない。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 国際公開第2013/123262号
(特許文献2) 米国特許出願公開第2010/0141185号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2003/0234778号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2010/0087778号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2004/0021444号明細書
(特許文献6) 米国特許出願公開第2011/0133655号明細書
(特許文献7) 米国特許出願公開第2012/0194141号明細書
(特許文献8) 米国特許第8,566,962号明細書
(特許文献9) 米国特許第4,027,231号明細書
(特許文献10) 米国特許第6,040,660号明細書
(特許文献11) 米国特許第3,160,735号明細書
(特許文献12) 米国特許第5,319,397号明細書
(特許文献13) 米国特許第5,363,153号明細書
(特許文献14) 米国特許第5,471,036号明細書
(特許文献15) 米国特許第4,868,929号明細書
(特許文献16) 米国特許第4,942,629号明細書
(特許文献17) 米国特許第6,704,944号明細書
(特許文献18) 米国特許第7,648,234号明細書
(特許文献19) 米国特許第6,927,368号明細書
(特許文献20) 米国特許第7,387,022号明細書
(特許文献21) 米国特許出願公開第2008/0290081号明細書
(特許文献22) 米国特許第5,778,689号明細書
(特許文献23) 米国特許第5,105,067号明細書
(特許文献24) 米国特許第6,896,366号明細書
(特許文献25) 米国特許第4,584,721号明細書
(特許文献26) 米国特許第6,470,696号明細書
(特許文献27) 米国特許第5,351,339号明細書
(特許文献28) 米国特許出願公開第2004/0050072号明細書
(特許文献29) 米国特許出願公開第2003/0091089号明細書
(特許文献30) 米国特許出願公開第2006/0289458号明細書
(特許文献31) 米国特許出願公開第2004/0050076号明細書
(特許文献32) 中国特許出願公開第1886709号明細書
(特許文献33) 中国特許出願公開第102157744号明細書
(特許文献34) 中国実用新案第201015510号明細書
(特許文献35) 中国特許出願公開第102087234号明細書
(特許文献36) 米国特許出願公開第2004/0074897号明細書
(特許文献37) 特開2002−237371号公報
(特許文献38) 米国特許出願公開第2011/169409号明細書
(特許文献39) 米国特許出願公開第2013/113388号明細書
(特許文献40) 米国特許出願公開第2008/144862号明細書
(特許文献41) 特開平04―359688号公報
(特許文献42) 米国特許出願公開第2006/033459号明細書
(特許文献43) 米国特許出願公開第2012/187762号明細書
(特許文献44) 中国実用新案第202160302号明細書
(特許文献45) 米国特許出願公開第2008/190912号明細書
(特許文献46) 独国特許出願公開第1951643号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点によれば、ユーザーの眼を保護するようになっており、前記ユーザーの眼と保護眼鏡(eye shield)との間の少なくとも部分的に囲まれた空間を画定するように構成されている前記保護眼鏡と、電源と、パルス幅変調器(Pulse−Width Modulatior:PWM)と、前記パルス幅変調器に応答する切り換え手段と、前記保護眼鏡上の加熱素子と、前記電源、前記パルス幅変調器、前記切り換え手段、および前記加熱素子を相互接続して前記保護眼鏡の加熱を制御する回路とを有する保護眼鏡結露防止システム(eye−shield condensation preventing system)が提供されている。好ましくは、前記切り換え手段は金属酸化物半導体電界効果トランジスタを有する。
【0014】
本発明のこの観点の装置は、電力が印加されている前記特定のゴーグルレンズに特に適合するオン対オフのサイクルの割合を有する出力にPWMを事前設定することができるので、電池寿命を最大化するような前記保護眼鏡またはレンズの効率的な加熱を可能とする単一PWM、単一加熱領域型の保護眼鏡防曇装置(eye−shield fog prevention device)を提供する。
【0015】
本発明の別の観点によれば、保護眼鏡の分割可能な加熱を容易にする1もしくはそれ以上のサイズの複数の領域に分割可能な表面積を有する不規則な形状の前記保護眼鏡であって、該保護眼鏡は、ユーザーの眼を保護するのに適しており、かつ前記ユーザーの眼と前記保護眼鏡との間の少なくとも部分的に囲まれた空間を画定するように構成されている、前記シールドを有する保護眼鏡結露防止システムが提供されている。前記システムは、電源と、各々が前記電源に動作可能に接続されている複数のPWMと、各々がそれぞれに対応するPWMに応答する複数の切り換え手段とをさらに有する。本発明のこの観点では、各々が前記保護眼鏡のそれぞれ対応するサイズの領域に広がる前記保護眼鏡上の複数の加熱素子と、各々が前記PWMのうちの1つを前記切り換え手段のうちの対応する1つおよび対応する前記加熱素子のうちの1つと相互接続している複数の回路とがある。前記PWMの各々は、前記対応する加熱素子に、前記保護眼鏡の各領域の電力出力が前記保護眼鏡の前記領域に望まれる出力に対応するような量の電流を提供するデューティサイクルを生成する。
【0016】
本発明の上述の観点によれば、ユーザーの眼を保護するようになっており、かつ前記ユーザーの眼と保護眼鏡との間の少なくとも部分的に囲まれた空間を画定するように構成されている前記保護眼鏡であって、該保護眼鏡は、前記保護眼鏡の所望の温度への領域加熱を容易にするために少なくとも1つの領域に分割可能な表面積を有する、前記保護眼鏡と、電源と、少なくとも1つのPWMと、前記保護眼鏡の領域加熱を容易にするための前記少なくとも1つの領域上にありかつこれに対応し、前記少なくとも1つのPWMに対応する少なくとも1つの加熱素子とを有する保護眼鏡結露防止システムが提供されている。この実施形態において、前記電源、前記少なくとも1つのPWM、および前記保護眼鏡を加熱するための前記対応する少なくとも1つの加熱素子を相互接続している少なくとも1つの回路があり、前記少なくとも1つのPWMは前記少なくとも1つの加熱素子領域の温度を動作環境の予期される露点よりも高い温度に維持するように電流を制御する。
【0017】
本発明の前記複数領域型の観点の前記装置は、前記保護眼鏡またはレンズの表面上に、例えば、眼の真正面に対して鼻梁の真上などの前記レンズの不規則なおよび異なる形状の部分に従った領域のような複数の領域に分割された、異なる形状またはサイズの領域の一様な加熱を可能とするための複数PWM抵抗薄膜加熱システムを提供する。このように、例えば、前記領域を使用して、前記レンズを隣接する領域が各々同様な面積の複数の領域に分割して前記保護眼鏡全体にわたってより一様な加熱を可能とすることができる。または、反対に、この分割を使用して、例えば、前記レンズの電子表示部の適正な機能を確実とするために、前記保護眼鏡の特定のエリアの特定の加熱を可能とすることができる。
【0018】
本発明の複数領域型の観点に基づく本発明の別の観点によれば、前記保護眼鏡の各領域の平方単位当たりの電力、即ち電力密度が、各領域の大きさに関係なく前記領域全体にわたって実質的に等しく一様に分布していることを確実にすることができるようなプロファイルに従って、前記PWMを動作させることができる。または、別の方法として、前記領域の加熱を独立して調整して、様々な所定の気象条件、様々な活動、または保護眼鏡の種類、形状およびサイズを考慮するために特定の保護眼鏡に望まれる特定のプロファイルを作成することができる。
【0019】
好ましくは、本発明のこの観点の前記複数のPWMは、前記複数のPWMに対応する複数の様々なPWMの内部機能を同時実行することのできるマイクロコンピュータを有し、該マイクロコンピュータは、前記PWMの内部機能を前記複数の回路と相互接続している複数のI/Oポートを有する。さらに、好ましくは、本発明のこの観点による前記切り換え手段の各々は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(metal−oxide−semiconductor field−effect transistor:MOSFET)を有する。
【0020】
本発明の別の観点によれば、前記単一領域、単一PWM型の装置を含むか、前記複数領域、複数PWM型の装置を含むかに拘わらず、前述に要約したような保護眼鏡結露防止システムであって、該システムは、各PWM(単一PWM型の実施形態であるか複数PWM型の実施形態であるかに拘わらず)を介して前記電源のデューティサイクルを変化させることで結果的に各加熱素子に供給する電流の量を変化させるために各PWMに動作可能に接続されている電流調整手段(current adjustment means:CAM)をさらに有するものである、前記保護眼鏡結露防止システムが提供されている。
【0021】
本発明のこの観点の装置は、前記ユーザーによる最低限の注意によって曇りを効果的に防止するように前記保護眼鏡レンズの温度を前記露点温度よりもわずかに高い温度で効率的に管理するための前記CAMの機能を提供する。この結果、より長い電池寿命を可能とする電力の節約ができる。
【0022】
本発明の別の観点によれば、複数領域、複数PWM型の実施形態であるか単一領域、単一PWM型の実施形態であるかに拘わらず前述したような保護眼鏡結露防止システムであって、該装置は、周囲温度および相対湿度を計測する手段と、露点を計算する手段とをさらに有するものである、前記保護眼鏡結露防止システムが提供されている。本発明のこの観点における前記露点を計算する手段は、好ましくは、前記CAM(好ましくは、マイクロコンピュータ手段をさらに有する)と動作可能に接続されており、前記保護眼鏡による前記空間内の温度が前記露点温度閾値よりも下がると前記CAMが前記電気回路への電力を増加し、前記保護眼鏡によって画定された前記空間内の温度が前記露点温度閾値よりも上がると前記CAMが前記電気回路への電力を低減するように構成されている。したがって、本発明は、例えば前記薄膜加熱素子のような前記加熱抵抗素子に、効果的にかつ自動的に曇りを防止し、電池寿命を節約するように、前記温度を前記露点よりもわずかに高く保つのに丁度十分なパルスを供給することができる。前記露点を計算する手段は、好ましくは、前記温度および相対湿度を検知する手段と動作可能に接続されているマイクロコンピュータ手段を有する。
【0023】
本発明のこの観点の前記保護眼鏡結露防止システムは、各センサーが前記保護眼鏡によって画定された前記空間内に位置する相対温度センサーと温度センサーとをさらに有することができる。このようなシステムは、前記相対湿度および温度センサーと動作可能に接続されている、例えばマイクロコンピュータ手段のような、露点温度を定期的に計算する手段をさらに有する。さらに、前記少なくとも1つのパルス幅変調器は前記露点温度を定期的に計算する手段に応答して、前記少なくとも1つの加熱素子が長時間にわたって曇りを確実に防止するように露点よりも高い温度に維持されるように、前記少なくとも1つの加熱素子を制御する。
【0024】
本発明の別の観点によれば、本発明の複数領域型の実施形態に関する本発明の前述2つの観点の保護眼鏡結露防止システムは、各領域に他の領域に対して比例調整を行うように前記可変電流調整機構による単一調整を可能とする領域プロファイル論理回路をさらに有することができる。したがって、本発明は、保護眼鏡のプロファイルに基づいて各セグメントに供給される電力を調整することにより前記保護眼鏡全体にわたって加熱を一様に分配する目的で、前記保護眼鏡の複数の抵抗領域に電力を供給するために整合のとれたデューティサイクルを変化させるステップを提供する。さらに、本発明のこの観点の前記装置は、前記レンズに供給される加熱電力の手動または自動調整に基づいて、前記レンズ全体にわたる複数領域間にまたがる一様な加熱であれ、または所定の特定加熱パターンであれ、前記レンズの異なる領域を使用した加熱フットプリントであれ、前記レンズの所望の加熱を維持することができるように、前記防曇システム内に組み込まれた自動化されたプロファイル特性を提供する。
【0025】
本発明のさらに別の観点によれば、上述の本発明の前記単一領域または前記複数領域型の観点において上述した、さらに本発明の前述の観点に係る保護眼鏡結露防止システムであって、複数の所定のデータプロファイルと、これに対応して該データプロファイルのうちのユーザー選択による1つに従って前記保護眼鏡の各領域の制御を可能とする選択手段とを有する前記保護眼鏡結露防止システムが提供されている。
【0026】
本発明のこの観点の前記装置は、気象条件および活動レベル条件、またはビデオ録画、ヘッドアップディスプレイ、全地球測位システムなどを用いた保護眼鏡の機能次第で前記ユーザーが適切な加熱を選択できるように、前記保護眼鏡結露防止システム内に組み込まれた選択可能なプロファイル特性を提供する。
【0027】
本明細書内で開示する前記保護眼鏡の各々は、風、塵、雪、雨、極端な温度、および眼に損傷を与えあるいはその他何らかの形で視力を損なわせる可能性のある自然の力からユーザーの眼を保護するのに適している。各保護眼鏡はまた、眼の周りおよび前方の少なくとも部分的な囲みを形成し画定するように構成されている。この囲みは、前記保護眼鏡によって画定された前記空間内に伝達される体温の結果、前記囲みの外側の条件と比較して温かくなり、前記囲みはまた、発汗の結果、外側の条件と比較して相対湿度も高くなる。前記保護眼鏡の温度が前記保護眼鏡内の温度よりも下がり前記保護眼鏡の内側に露または結露が形成されると、前記保護眼鏡の曇りが発生する。
【0028】
本発明の1つの目的は、気象条件に拘わらずに前記保護眼鏡の曇りを効果的に防止する保護眼鏡防曇システムを提供することである。本発明の別の目的は、電力およびエネルギーを節約し、電池寿命を延長するような方法でPWMを用いる保護眼鏡防曇システムを提供することである。本発明の別の目的は、現在の露点条件に従って前記レンズ上の前記加熱器への電力を手動でまたは自動的に調整し、保護眼鏡内の温度が前記露点温度よりも低いかまたはそれよりも下がると前記保護眼鏡への電力を増加し、または前記保護眼鏡内の温度が前記露点温度よりも高いと電力を減少させる、前記保護眼鏡防曇システムを提供することである。本発明の別の目的は、保護眼鏡の加熱を少なくとも部分的に自動化するプロファイルを提供することにより、複数の異なるサイズおよび形状の保護眼鏡の様々な気象条件下および活動条件下での曇りの発生しない使用の達成を確実にし簡略化する保護眼鏡防曇システムを提供することである。本発明のさらに別の目的は、ユーザー選択可能なプロファイルを提供することである。前述のリストは、本発明の目的の排他的なリストとして意図されておらず、列挙されていないが本発明に好適な他の目的があるかもしれず、本明細書内のこのような任意の目的の有無は、本明細書内でさらに定義し特許請求する本発明の趣旨および範囲を必ずしも限定するものではない。
【0029】
本発明の前述の観点のうちのいずれかのシールド結露防止システムは、スキー、チュービング、トボガン、アイスクライミング、スノーモービルの運転、サイクリング、ランニング、患者相手の作業、その他の医療または検査環境でなど、防曇スポーツ用ゴーグルまたは任意の保護眼鏡を加熱するために使用するのに適している。さらに、本発明の前述の観点のうちのいずれかのシステムは、ダイビングマスクに使用するのに適しているかもしれない。
【0030】
本発明の別の観点によれば、前述の電池によって電力供給されるPWM駆動式保護眼鏡のいずれかまたはその他の携帯型電子機器に使用して、電池の消耗によって電池電圧が低下した場合においても、前記機器の負荷に一貫した電力を供給することを可能とするのに適した補償システムが提供されている。本発明のこの観点に係る前記補償システムは、前記電圧を所定の測定可能範囲(measurable range)に比例調整する分圧回路と、前記分圧器からの出力を受け取りデジタル電圧値に変換するアナログ/デジタル変換器と、デジタル電圧入力およびユーザーが決定する電力設定の入力を受け取って、前記パルス幅変調器に適用する補償デューティサイクルを決定することにより、電池の消耗によって電池電圧が低下した場合においても、ユーザーが決定した電力設定で一貫して前記負荷を駆動する手段とを有する。好ましくは、本発明のこの観点に係る実施形態の前記分圧回路は、前記電池の正端子と負端子との間に前記電圧を所定の測定可能範囲に比例調整する2つの精密な直列抵抗器を有し、前記分圧回路は、好ましくは、前記2つの抵抗器間に、アナログ/デジタル変換器上のI/Oピンに前記比例電圧測定値を提供するように構成されているタップを有する。好ましくは、本発明のこの観点および別の観点のためにユーザーによって決定または提供される前記電力設定は、ダイアル、ノブ、またはプッシュボタンシステムによって設定される電力レベル設定と共に、前記設定の選択をさらに効果的にする前記ユーザーに対する何らかの形態の視覚的フィードバックを有する。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、ユーザーが電池節約モードまたは一貫した電力出力モードを選択するためのモード切り換え手段を提供することができる。前記電池節約モードは前記補償システムのオフスイッチを提供する一方、前記一貫した電力モードは前記補償システムのオンスイッチを提供する。前記電池節約モードは前記一貫した電力モードよりも少ない電池電力を使用するものの、前記一貫した電力モードを使用するだけの十分な電池残量がある場合には、この後者のモードでのユーザーの決定による電力レベルはユーザーがあるいは完全充電された電池に期待するであろうものと一致する結果をもたらすので、ユーザーにとってはそのようにすることが好ましいかもしれない。電池節約モードまたは一貫した電力モードの選択は、利用可能な全充電量、前記ユーザーが経験する特定の電池の寿命、および前記ユーザーが予期する使用時間のために必要であると予期される加熱レベルに依存する。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、前記電池補償システムは、少なくとも1つのリチウムイオン電池によって電力供給されるPWM駆動式携帯型電子機器に使用するのに適している。このような携帯型機器としては、例えば、スキーゴーグル、ダイビングマスク、オートバイもしくはスノーモービル用ヘルメットバイザー、または医療もしくは検査用バイザーなどの防曇保護眼鏡(anti−fog eye shield)を挙げることができる。あるいは、このような携帯型機器としては、ハンドヘルド型GPS装置、ハンドヘルド型無線機、またはセルラー電話機を挙げることができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、本発明の前記補償システムは、前記パルス幅変調器に応答する金属酸化物半導体電界効果トランジスタ切り換え手段をさらに有する。さらに、本発明の一実施形態によれば、本発明の補償システムは、前記パルス幅変調器に動作可能に接続され、前記パルス幅変調器を介して電源のデューティサイクルを変化させることにより前記負荷に供給される電流の量を変化させる電流調整手段をさらに有する。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、前記補償デューティサイクルを決定するための電圧入力およびユーザーの決定による電力設定入力を受け取る手段は、電圧入力およびユーザーの決定による電力設定の入力を受け取り、ソフトウェアコードを実行して、前記ソフトウェアによって前記PWMに適用する補償デューティサイクルを決定するマイクロプロセッシング装置を有し、これにより、電池の消耗によって電池電圧が低下した場合においても、前記ユーザーが決定した電力設定で一貫して前記負荷が駆動される。本発明のこの実施形態について、前記マイクロプロセッシング装置は、好ましくは電池駆動式マイクロプロセッシング装置である。当業者であれば、本発明には、オンボードのアナログ/デジタル変換手段を有する入手の容易なマイクロプロセッシング装置を使用できることを理解するであろう。
【0035】
さらにまた、補償デューティサイクルを決定するステップは、電力設定および電池消耗による電圧低下に従って構成され、パルス幅変調器デューティサイクル値に関するデータルックアップテーブルを有してもよく、当該データルックアップテーブルは、電力設定および電池消耗による電圧低下に従って構成され、前記パルス幅変調器に適用する補償デューティサイクルを選択するソフトウェアコードのステップで使用されるものであり、当該ステップにより電池の消耗によって電池電圧が低下した場合においても、前記ユーザーが決定した電力設定で一貫して前記負荷が駆動される。ルックアップテーブルを含む本発明のこの実施形態は、浮動小数点計算を使用するよりも概してより高速の動作を提供し、コーディングがより容易であるものの、本発明の厳密な範囲および趣旨に従って本発明を実施するためには、いずれも使用できることが理解されるであろう。さらに、ディスクリート論理回路を使用して本発明の補償システムの機能を実行することも考えられるが、このような方法は実施する上で不必要に高価であり、本発明にとって好ましい前記ソフトウェアおよびデータ表の参照機能よりも効果的なわけではない。
【0036】
代替の実施形態において、電池の消耗によって電池電圧が低下した場合においても、前記ユーザーの決定による電力設定で一貫して前記負荷を駆動するための前記PWMに適用する補償デューティサイクルを計算するために、前記ソフトウェアのステップ自体を使用することができる。本発明のこの実施形態のための補償デューティサイクルを決定する式は前述のソフトウェアの実施形態において使用したデータ表のデューティサイクル値(ユーザー入力による電力設定および測定電圧)を決定するために使用された式と同じであるが、これは以下の通りである。
【0037】
デューティサイクル=(所望の電力×負荷抵抗)/(電池電圧)
2×100
本発明のこの観点に係る前記補償システムは、前記システムによって補償された電力出力を維持するために十分な充電量がある限り、機器の電池の部分的な消耗にも拘らず、防曇ゴーグルまたはハンドヘルド型GPS、無線機または電話機などの携帯型機器を一貫して加熱するように負荷を駆動するためにユーザーが選択しおよび/または所望する電力設定の維持を可能とする。したがって、使用時間の経過に伴う電池の消耗の結果前記電池の電圧が低下すると、前記システムが前記機器のPWMのドライバのデューティサイクルを増加することにより補償を行う。
【0038】
本発明の別の観点によれば代替実施形態の補償システムが提供される。この補償システムは、電池によって電力供給され、複数の負荷を有する複数チャネルPWM駆動式携帯型電子機器に使用されるものであり、前記機器はPWMチャネルの各チャネルに対応する複数の負荷を有するものであり、当該補償システムは、電池の消耗によって電池電圧が低下した場合においても前記機器の負荷に一貫した電力供給を行うことができるように構成されている。本発明のこの観点に係る前記補償システムは、前記電圧を所定の測定可能範囲に比例調整する分圧回路と、前記分圧器からの前記出力を受け取りデジタル電圧値に変換するアナログ/デジタル変換器と、各負荷のためのデジタル電圧入力およびユーザーが決定する電力設定の入力を受け取って、ソフトウェアにより前記パルス幅変調器の各チャネルに適用する補償デューティサイクルを決定するソフトウェアコードのステップを実行するマイクロプロセッシング装置であって、当該ステップにより、電池の消耗によって電池電圧が低下した場合においても、前記ユーザーが決定した電力設定で一貫して対応する各負荷が駆動されるものである、前記マイクロプロセッシング装置とを有する。
【0039】
本発明のこの観点に係る前記補償システムは、複数チャネルPWMシステムを使用し、複数領域を有する防曇性保護眼鏡全体にわたる前記領域の各々を一貫した温度に一様に加熱するために前記システムによって電力供給される前記保護眼鏡のような携帯型機器の複数の負荷の各々対して長期間にわたって一貫した電力を(前記機器を駆動するのに十分な電池充電量が残っている限り)維持するための、消耗する電池電源の補償を可能とする。あるいは、本発明のこの観点に係るこのようなシステムを使用して、複数の加熱素子領域を有する保護眼鏡を加熱して前記保護眼鏡に適用するカスタム加熱プロファイルに従って前記領域の各々の曇りを防止するために時間の経過に伴う電池の消耗にも拘らず一貫した加熱を提供することができる。
【0040】
したがって、好ましくは、本発明のこの観点に係る前記補償システムは、前記複数の負荷の各々が保護眼鏡上の加熱素子領域を有し、これに対応する各PWMチャネルが各加熱素子領域に同一の電力密度を提供して前記保護眼鏡全体にわたって一様に加熱するように実施される。本発明のこの一様に加熱する実施形態は、好ましくは、さらに、PWMデューティサイクル値に関するデータルックアップテーブルを有し、当該データルックアップテーブルは、電力設定および電池消耗による電圧低下に従って構成され、各PWMに適用する補償デューティサイクルを選択する前記ソフトウェアコードのステップで使用されるものであり、当該ステップにより電池の消耗によって電池電圧が低下した場合においても、前記ユーザーが決定した電力設定で一貫して各負荷が駆動される。
【0041】
さらに、好ましくは、カスタムプロファイルに従って一貫した加熱を提供するための本発明のこの観点に係る前記補償システムは、前記複数の負荷の各々が保護眼鏡上に加熱素子領域を有し、対応する各PWMチャネルが前記保護眼鏡全体にわたる前記カスタム加熱プロファイルに従って各加熱素子領域に電力密度を提供するように実施される。このカスタム加熱の実施形態は、各々が電力設定および電池の消耗による電圧の低下に従って構成され、電池の消耗が招く電池電圧の低下にも拘らず対応する電力設定で一貫して各負荷を駆動するように各PWMに適用する補償デューティサイクルを選択するための前記コードのステップによって使用される、前記カスタム加熱プロファイルによって指定される異なる電力密度毎に1つの、PWMデューティサイクル値の複数のデータルックアップテーブルをさらに有する。
【0042】
本発明の観点の各々は、単一チャネルPWM駆動式であれ複数チャネルPWM駆動式であれ、使用時間の経過に伴う前記電池の充電量または電力、消耗または消失に拘わらず、携帯型電子機器の負荷に一貫した電力を供給する。したがって、本発明のこれらの観点は、2ワット、4ワット、6ワット、8ワット、または10ワットのような一連の電力設定から選択される前記機器上の特定の電力設定が予期される気象条件下で所望の電力レベルで前記携帯型機器を効果的に加熱するであろうとの期待が補強され裏打ちされるユーザーに一貫したフィードバックを提供する。
【0043】
本発明の補償システムは、本発明の単一チャネルPWM型の実施形態であれ複数チャネルPWM型の実施形態であれ、好ましくは、電力設定および電池の消耗による電圧の低下に従って構成され、電池の消耗が招く電池電圧の低下にも拘らず前記ユーザーの決定による電力設定で前記負荷を一貫して駆動するように前記PWMに適用する補償デューティサイクルを選択するための前記コードのステップによって使用される、PWMデューティサイクル値のデータルックアップテーブルをさらに有する。
【0044】
本発明の主題は、本明細書の結論部分に具体的に指摘され、明白に特許請求されている。しかし、その構成および操作の方法は、そのさらなる利点および目的と共に、同様の参照文字が同様の構成要素を指す添付図面に関連してなされる以下の説明を参照することにより、よりよく理解できる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
パルス幅変調
パルス幅変調(Pulse−Width Modulation:PWM)は、主にモーターの速度を変えるためのモーター速度制御用途に使用される。
図1を参照すると、PWMは、
図1に数字1〜9によって図示されている通りに例えば10%、20%、30%、および最大90%以上のような割合でオンとなり、これに対応する90%、80%、30%、および10%以下までの割合でオフとなる可変デューティサイクルを供給するアナログ発振器またはデジタル論理素子などのパルス幅変調器によって生成されるアナログ信号またはデジタル信号のいずれかによって特徴づけられる。破線10は前記PWMの波長を指示するために使用され、破線11はオン(高)状態の一定電圧振幅およびオフ(低)状態の一定電圧振幅を指示するために使用されている。したがって、例えば、12ボルト電池に接続されているPWM回路が40%オンおよび60%オフである場合、前記PWM信号は40%電力での12ボルトPWM回路を表すと言うことができる。したがって、前記PWM回路は、定電圧電源を用いてかつ電圧を調整せずにその最大速度の40%でモーターを運転し、あるいはモーターの最大速度の別の割合で運転することができ、これにより前記モーターに供給される電流を調整することによって連続したより低い電圧を供給する効果が提供される。PWM信号は、通常、
図1に示すものがそうであるように固定周波数を有し、通常、全電圧レベルでは一定全電圧でありまたは低電圧レベルでは一定ゼロ電圧であるが、このことは絶対的に必要ではない。
【0047】
単一領域、単一PWM型の実施形態
図2を参照すると、本発明の第1の実施形態の一部に従って、ユーザーの眼の周囲の囲いを少なくとも部分的に画定し、単一領域の透明な抵抗導電性薄膜の加熱部材202をその上に有するように構成されている保護眼鏡レンズまたは保護アイウェア200が提供されている。前記薄膜加熱部材202の上縁部に沿って、リード線212を介して電源(図示せず)と相互接続されたバスバー加熱素子204がある。前記薄膜加熱部材202は、インジウム・スズ酸化物(indium−tin oxide:ITO)または電気回路に接続されると熱を発生させる抵抗素子の形態で設計されたその他の材料で構成することができる。
【0048】
前記薄膜加熱部材202の下縁部に沿って下側バスバー加熱素子206が提供されており、別のリード線214を介して電源と相互接続されている。ウィンタースポーツ用ゴーグルの場合などの多くの保護眼鏡では一般的なように、前記保護眼鏡200は、使用中にはユーザーの眼の直前にある2つのより広い同様の形状の正方形、長方形、円形、または長円形のエリア209、210、および使用中には前記ユーザーの鼻梁の上方にあるより狭いエリア208を有する不規則な形状である。前記レンズ200のこれら各領域の異なる形状のため、および鼻梁の上のエリアが眼の直前のエリアよりも小さいので、鼻梁の上のエリアの電気抵抗がより小さく計測されるので、前記レンズにはこのエリアがより熱くなる傾向があると考えられる。
【0049】
図5に示すように、本発明の第1の実施形態が、本発明の前記第1の観点に係る単一PWM、単一領域型の防曇システム500として提供されている。システム500は、一定比率のPWM信号503を生成する単一PWM502と、好ましくは
図6に示すようなMOSFETスイッチなどの切り換え手段504と、レンズ200上に配置した加熱素子202と、 正および負の電極510、512を有する電源505とを有する。前述の構成要素は、正のリード線212および負のリード線214を介して回路内で相互接続されている。PWM信号503は、前記加熱素子202への電力を制御する切り換え手段504を制御する。本発明のこの実施形態では前記PWM502への入力電圧を変化させる手段がないので、前記PWMでは、前記レンズ200上の単一領域加熱素子202の一定温度での加熱を可能とするオン対オフの比率が一定に設定されている。
図6を参照すると、正および負の端子510、512を有する電池電源505と、回路導線212、214と、PWM502(これは信号503を生成)と、保護眼鏡200と、加熱素子202とを有する、一般的な切り換え手段をMOSFETスイッチ602で置き換えたことを除いてはシステム500と同様な単一PWM、単一領域型の防曇システム600が図示されている。現行の発明にはMOSFETスイッチを用いることが好ましいものの、リレー、パワートランジスタ、またはその他の現時点で既知のスイッチをはじめとするその他の切り換え手段を、本発明の厳密な範囲および趣旨から逸脱せずに使用することができる。
【0050】
電流調整手段(CAM)
ここで
図7を参照すると、正および負の端子510、512を有する電池電源505と、回路導線212、214と、PWM502(これは信号503を生成)と、MOSFET602と、保護眼鏡200と、加熱素子202とを有する、電流調整手段(CAM)702をさらに有することを除いてはシステム600と同様の単一PWM、単一領域型の防曇システム700が図示されている。本発明のこの実施形態において、前記CAM702は、ポテンショメータを有し、前記電池の最低使用可能電圧よりも低くかつ出力電圧(前記PWMへの入力電圧)を提供する内部基準電圧(vref)を有する機器として図示されており、前記CAMからの前記出力電圧(前記PWMへの入力)は、前記ポテンショメータの設定に基づくゼロと前記基準電圧(vref)との間のある電圧である。前記PWM502は、前記CAM702に応答して、前記CAMからの出力の結果として変化することのできる、対応する割合のオン/オフ信号を生成する。
図11に示し、これに関連して下記にさらに説明されるデジタル論理回路を使用する好適なシステムにおいて、MORE(増加)ボタンに応答し、LESS(減少)ボタンに応答するソフトウェア制御CAMは、前記PWMのデューティサイクルを直接変化させることにより、中間電圧基準を必要とせずに前記加熱素子202に供給される電流の量を変化させる。
【0051】
前記CAM702の出力電圧を伝える出力線704は、前記CAMと前記PWM502との間に動作可能に接続されている。前記PWM502は前記CAM702からの前記出力電圧を前記PWMに入力される電圧の振幅に対応しかつ比例するデューティサイクルを有する信号に変換する。したがって、前記PWM502の出力のデューティサイクルは前記CAM702からの入力電圧に関して変化し、前記CAMから前記PWMへのほぼゼロの入力電圧が前記PWMのほぼゼロ%オン/ほぼ100%オフのデューティサイクルの出力となる。対照的に、前記CAM702から前記PWM502への電圧が前記CAMのほぼ最大電圧(vref)の場合、結果として前記PWMのほぼ100%オン/ほぼゼロ%オフのデューティサイクルの出力が得られるであろう。さらに、かつしたがって、前記CAM702の前記PWM502への最低出力電圧と最高出力電圧との間の各中間設定について、前記PWMの対応する中間比率でのオン/オフのデューティサイクルの出力が得られるであろう。このように、前記CAM702は、前記PWM502の出力のデューティサイクルが変化することを可能とする。
【0052】
下記にさらに説明するように、CAM702のような電流調整手段は、
図9に示すような本発明の複数領域型の実施形態にもまた使用することができる。
【0053】
露点の計算および自動化
ここで
図8を参照すると、露点を計算する、好ましくはマイクロコンピュータである、手段802(露点計算機またはdew point calculator:DPC)と、信号手段807、809を介して前記DPCに動作可能に接続されかつ本発明の別の観点に係る温度センサー804および相対湿度センサー806とをさらに有することを除けばシステム700と同様である、正および負の端子510、512を有する電源505と、回路導線212、214と、PWM502(これは信号503を生成)と、MOSFET602と、保護眼鏡またはレンズ200と、加熱素子202とを有する単一PWM、単一領域型の防曇システム800が示されている。本発明のこの観点は、前記保護眼鏡200の前記加熱素子202付近と前記ユーザーの眼との間に画定される前記空間内の環境条件を検知することにより採取される温度センサー804および相対湿度センサー806の入力に基づいて、前記CAMの調整の自動化を可能とする。
【0054】
図示のように、前記DPC802は、電流の増加を合図する電気信号手段803および電流の減少を合図する信号手段805を介して前記CAM702と動作可能に接続されており、前記保護眼鏡200によって画定された前記空間内の環境条件が変化し、したがって前記システム800による前記加熱素子202対する調整が必要となったときに、前記DPCが前記CAMに合図をするように構成されている。前記システム800が最初に始動すると、前記DPC802が前記露点温度を計算し、それを前記保護眼鏡200によって画定された前記空間内の実際の温度と比較し、前記CAM702に然るべく合図する。前記DPC802によって計算された前記露点温度が前記保護眼鏡200とユーザーの眼との間で画定された空間内の温度よりも高い場合、前記DPC内の論理回路が前記PWM502への出力電圧を上昇させるように前記CAM700に合図し、その結果前記PWMの出力のデューティサイクルが上昇し、その結果前記加熱素子への電力が増加して前記保護眼鏡200および前記保護眼鏡とユーザーの眼との間の前記空間の温度が上昇する。したがって、前記温度センサー804、前記相対湿度センサー806、および前記DPC802による計算から前記システム800へのその後の知覚入力のすべては、周囲条件の変化だけではなく前述の前記システム800からの上昇要求の結果もたらされる温度変化をも反映するであろう。前記DPC802による前記システム800に対するさらなる調整は、前記保護眼鏡200によって画定された前記空間内の温度が前記露点温度閾値よりも下がると、前記システム800が回路導線212、214を介して前記加熱素子202への電力を増加させ、前記保護眼鏡によって画定された前記空間内の温度が前記露点温度閾値よりも上がると前記システムが前記回路導線を介して前記加熱素子への電力を減少させるといった方法で、一定間隔で行われる。前述の動作には、前記システム800の増加状態と減少状態との間に、一般的なサーモスタットに使用されるようなヒステリシスを用いて、不要な急激な切り換えを回避することができる。
【0055】
複数領域、複数PWM型の実施形態
図3を参照すると、本発明の別の第2の実施形態の一部に従って、ユーザーの眼の周囲の囲いを少なくとも部分的に画定し、その上に抵抗薄膜加熱素子または部材からなる複数の領域またはゾーン302、304、306を有するように構成されている保護眼鏡レンズまたは保護アイウェア300が提供されている。使用中にユーザーの右眼を覆って位置する薄膜加熱素子302は、前記薄膜の上縁部に沿って位置するバスバー308によって前記電源(図示せず)に接続されており、前記薄膜と前記電源の端子に至るリード線310との間に電気的に接続されている。使用中にユーザーの鼻の真上で前記保護眼鏡レンズ300の中央に位置する薄膜加熱素子304は、前記薄膜の上縁部に沿って位置するバスバー312によって前記電源に接続されており、前記薄膜と前記電源の端子に至るリード線314との間に電気的に接続されている。使用中にユーザーの左眼を覆って位置する薄膜加熱素子306は、前記薄膜の上縁部に沿って位置するバスバー316によって前記電源に接続されており、前記薄膜と前記電源の端子に至るリード線318との間に電気的に接続されている。前記薄膜素子302、304、306の各々の下縁部に沿って位置するバスバー320は、前記薄膜素子を前記電源の接地端子と相互接続している。
【0056】
図示のように、前記薄膜部材302、306の表面積は前記薄膜部材304の表面積よりも広く、前記薄膜部材304の抵抗がその他の薄膜部材の抵抗よりも小さくなっている。したがって、前記レンズ300全体にわたって一様に加熱するためには、前記薄膜部材304にはその他の薄膜部材よりも小さな電流を適用すべきである。あるいは、前記薄膜部材間の分割が、1もしくはそれ以上の薄膜部材をその他の薄膜部材よりも強くまたは弱く、独立して加熱することを可能とするであろう。
【0057】
図4を参照すると、本発明の第2の実施形態に係る保護眼鏡レンズ400が提供されている。前記保護眼鏡400は、前記ユーザーの眼の前方の囲いを少なくとも部分的に画定するようになっており、その上に配置された複数の(
図4には24個を図示)加熱抵抗薄膜のゾーンまたは領域402A〜Xを有する。前記加熱抵抗薄膜は、本発明の厳密な範囲および趣旨から逸脱せずに、図示されているよりも大きなまたは小さな領域に分割できることが理解されるであろう。各抵抗薄膜領域402A〜Xは、リード線および別々のバスバー404a〜xを介して電源の端子に接続されている。各抵抗薄膜402A〜Xの下縁部に沿って位置する単一バスバー406が、薄膜領域の下端部の各々を前記電源の接地端子と相互接続している。
【0058】
本発明の防曇システムの抵抗薄膜領域は、ポリカーボネートレンズ上イオンスパッタリングとして知られる処理により、保護眼鏡200、300、400の内側表面上に蒸着することが好ましいが、本発明の厳密な範囲および趣旨から逸脱せずに、スプレー塗装およびその他の方法ならびに当該技術分野で既知の材料を使用することもできる。前記バスバーは箔押もしくは粘着性裏材によって前記レンズ200、300、400上に配置され、または導電性銀エポキシ製のバスバーの場合であればポリカーボネート基材に貼付することができる。ダイビングマスクの場合、前記マスクの内側ガラス面に対する前記抵抗薄膜およびバスバーの取り付けを採用できるものの、代替策として、これらを前記マスク内の内側ポリカーボネート基材に貼付することが好ましいであろう。様々な基材に前記抵抗薄膜加熱器および前記バスバーを貼付する方法およびシステムは、当該技術分野において既知である。各バスバーおよびそれに対応する抵抗薄膜領域は、各々の縁部部分で重なり合い、当該技術分野において既知のように前記電源との間で電気を相互に伝導する。
【0059】
複数領域型の実施形態におけるCAMおよびDPC
図3に示す本発明の複数領域型の実施形態におけるより多くの抵抗薄膜領域302、304、306、および別の方法として
図4に示す本発明の複数領域型の実施形態におけるより多くの領域402A〜Xは、より広範囲に及ぶ様々な形状およびサイズの保護眼鏡300あるいは400をより一様に加熱することを可能とし、これに対応して
図9および10に示すような複数領域、複数PWM型の保護眼鏡防曇システムにおいてより多くのパルス幅変調器(Pulse−Width Modulators:PWMs)またはPWMチャネルを必要とする。したがって、
図9および10には3チャネルのPWMシステムを示しているものの、このような複数の加熱素子領域に適応する適切な数のPWMチャネルを使用することにより同様の数の抵抗薄膜領域に適応するように、より少数またはより多数のチャネルを提供できることが理解されるであろう。
【0060】
図9および10に示すように、本発明の複数領域型の実施形態に電流調整手段(CAM)を採用することができ、
図10に示すように、本発明の複数領域型の実施形態に露点計算手段(DPC)をも組み込んで上述のように各領域の自動調整を可能とすることができる。前記CAMの場合、下記にさらに説明するように、前記CAMの単一出力電圧が領域プロファイル制御(region profile control:RPC)手段によって受信され、その実施形態内の複数のPWMの各々への入力電圧を調整するために使用され、これによりユーザーによるセレクタの調整に基づく前記PWMの電流出力の変化が可能となり、または下記にさらに説明するように自動化が可能となる。本発明の複数領域型の実施形態のDPCは、本発明の単一領域型の実施形態におけるDPCについて上述した方法と同様に機能する。
【0061】
均衡プロファイルおよびカスタムプロファイル
ここで
図9を参照すると、正および負の端子510'、512'を有する電源505'と、回路導線212'、214'とチャネルa、b、およびc上にそれぞれ信号503a、503b、および503cを生成することが示されている複数チャネルPWM502'と、CAM702と、前記複数チャネルPWMの各チャネルに1つのMOSFETを割り当てた複数のMOSFET602'と、保護眼鏡レンズ300と、加熱要素領域302、304、306とを有する、システム900が主として前記保護眼鏡300または400上のそれぞれ異なるサイズおよび形状の加熱抵抗薄膜領域(302、304、306、あるいは402A〜X)に供給される電力を均衡させるための領域プロファイル制御装置902をさらに有することを除けば上述の単一PWMシステムと同様である、複数PWM、複数領域型の防曇システム900が図示されている。
【0062】
異なる形状の保護眼鏡レンズ300、400は、前記レンズの形状およびその個々の領域を反映して、各領域に対して適正な量の電力が保証され他の領域との均衡が保たれるように各領域の電気特性が適切に重みづけされるようになっている、それぞれに対応する領域プロファイルを必要とするであろう。このように、領域プロファイルは領域の形状(およびその結果としてもたらされるその領域の電気抵抗率)ならびに前記ゴーグルの全体的な形状に結び付けられる。レンズの形状を変更する場合は、そのレンズに合わせた異なるプロファイルが必要となるであろう。
【0063】
領域の抵抗の計算
Rtがオームを単位とする前記領域の全抵抗、Riがオームを単位とする抵抗薄膜の平方インチ当たりの抵抗、Hがインチを単位とする前記領域の高さ、およびWがインチを単位とする前記領域の幅であるとき、前記領域302、304、および306の各々は、使用される抵抗性被覆の種類および前記領域の面積を考慮した式によって決定される計算上の総電気抵抗(Rt)を有する。Rtは、以下の式を使用して計算することができる。
【0065】
例えば、Riが10オーム、Hが3インチ、およびWが3インチである場合の前記領域302および306について検討する。各領域302および306の全抵抗(Rt)は(10×3)/3として計算でき、これは10オームに等しい。ここで、Riが10オーム、Hが2インチ、およびWが1.6インチである領域304について検討すると、前記領域304の全抵抗(Rt)は、(10×1.6)/2として計算でき、これは8オームに等しい。したがって、領域302、306よりも低い304の全抵抗に起因して与えられる電圧について、領域304内では領域302および306内よりも大きな電力が消費され、下記にさらに検証するように、領域304内に過熱点が生じるであろう。
【0066】
領域の電力密度の計算
各領域302、304、306は、前記領域に印加される実効電圧(E)、オームを単位とする抵抗薄膜の平方インチ当たりの抵抗(Ri)、およびインチを単位とする前記領域の幅を考慮した式によって決定される計算上の電力密度(Pd)を有する。Pdは、以下の式を使用して計算することができる。
【0068】
例えば、各領域の動作電圧が10ボルトである領域302および306について検討すると、Pdは10
2/(10×3
2)に等しいであろうし、これは1.11ワット/平方インチに等しい。領域304について検討すると、動作電圧が同じく10ボルトである場合、領域304のPdは10
2/(10×2
2)に等しいであろうし、これは2.5ワット/平方インチに等しい。これらの計算は、すべての領域の実効電圧が等しい場合、前記中央領域304が前記外側領域302および306よりも熱くなることを示している。
【0069】
領域プロファイルの比例制御の決定
前述の通り決定した前記ユーザーの鼻の上の過熱点を考慮すれば、前記領域の比例均衡が望ましい。このような均衡には、領域302および306に10ボルトで電力供給したときに領域302および306と同じ電力レベルの出力を提供する、領域304に適切な電圧レベルを決定する必要がある。既述の下記式に従って、
【数3】
【0070】
および下記式に従ってEの解を求め、
【数4】
【0071】
既知の値を代入すると、Eは以下に等しくなる。
【0072】
【数5】
これは、6.66ボルトに等しい。
【0073】
したがって、領域302および306に使用するのと同じ材料の幅と高さに基づいて同等の電力密度を生成するためには、領域304は領域302および304に印加する電圧の0.666倍(即ち、66.6%)が必要となる。この結果は、領域304の電力密度(Pd)を6.66
2/(10×2
2)再計算することにより確認され、これは1.11ワット/平方インチと等しい。
【0074】
領域302および306にそれぞれ供給されるチャネルaおよびc上に前記CAM702'によって生成される基準出力電圧にこれらの計算を適用し直すには、チャネルb上の基準出力電圧もまた、チャネルaおよびcに印加した値と比較して66.6%に低減することが必要となる。アナログ回路の場合、この比例制御は、当業者であれば理解するであろう通りに、抵抗ネットワークの使用によって達成することができる。デジタルでの実施の場合、前記値はデータ表から検索され、その結果得られる電力レベルが、当業者には明白となるであろう通りに、マイクロコンピュータまたは同等なデジタル回路を使用して計算され、前記PWMチャネルに直接印加される。
【0075】
形状または領域に合致した領域プロファイル
したがって、より大きな1つの領域または複数の領域が印加された前記実効電圧の100%を受けるとき、より小さな領域は、すべての前記領域の電力密度を均衡させるために、印加された前記実効電圧の比例的により小さな割合を受けるべきであることを理解すべきである。特定の形状のゴーグルに関する特定の例を提供したものの、異なる形状のレンズ領域が同様の計算および均衡プロファイルの決定を必要とすることが理解されるであろう。湾曲した縁部または不規則な形状の領域の場合、上述の計算に使用するための領域面積を決定するために、前記領域面積の決定は既知の数学的方法の応用を必要とするかもしれない。
【0076】
均衡プロファイルおよびカスタムプロファイル
前述の例の結果は、均衡プロファイルを開示する。より厳密には、これらの結果は、特定のゴーグル上の異なるサイズの領域に同じ電力密度となる電力を供給するために必要な比率のアナログまたはデジタル入力電圧をもたらす。
【0077】
領域のカスタムプロファイルのスイッチおよび自動化
図10を参照すると、正および負の端子510'、512'を有する電源505'と、回路導線212'、214'と、チャネルa、b、およびc上にそれぞれ信号503a、503b、および503cを生成するように示された複数チャネルPWM502'と、CAM702'と、前記複数チャネルPWMの各チャネルに1つのMOSFETを割り当てた複数のMOSFET602'と、保護眼鏡またはレンズ300と、加熱素子領域302、304、306とを有する、システム900と同様な複数PWM、複数領域型の防曇システム1000が図示されている。システム1000では前記RCP902が、均衡プロファイルか、または下記にさらに説明するように前記保護眼鏡300または400上の異なるサイズおよび形状の前記加熱抵抗薄膜領域(302、304、306あるいは402A〜X)に合わせてそれぞれカスタム化された電力供給のためのいくつかのカスタムプロファイルのうちの1つをユーザーが選択できるユーザー選択可能な領域プロファイル制御スイッチ1002をさらに有する点において、システム1000はシステム900とは異なる。
【0078】
所望の電力密度のパターンを達成するために必要な1もしくはそれ以上の特定の抵抗薄膜領域に対する所定の比率の入力電圧を可能とするためにカスタムプロファイルを使用して、1もしくはそれ以上の領域302、304、306、あるいは402A〜Xを特定の目的のために他の領域よりも意図的に高温にまたは低温にすることができる。前記CAM702'は、前記DPC802'およびセンサー804'、806'と共に、前記領域302、304、306、あるいは領域402A〜Xの各々について最も低温の点と最も高温の点との間の全体的な自動可変性を提供し、前記RPC902'の役目は、前記プロファイルを認識して前記全体的な調整に従って前記領域の各々にどのくらいの電力を比例的に印加するべきかを知ることである。例えば、前記CAM702'を電力印加またはデューティサイクル全体の50%に設定できる所与の露点の計算について、前記RPCは特定の所定のプロファイルに従って最も大きな領域302、304、306(あるいは402A〜X)に対して50%の調整を行い、より小さな領域に対しては比例的により小さな出力を出す。
【0079】
カスタムプロファイルの例として、スノーボーダーが通常どちらの足を前にして滑降するかによってゴーグルのレンズのそちら側の曇りを防止しまたは着氷を低減するために熱を加える必要があるかもしれない前記スノーボーダーのためのプロファイルが挙げられ、または別の例として、特定のレンズまたはゴーグルの形状および構成の故に、曇りまたは着氷を防止するために前記ゴーグルの縁部に熱を加える必要があるかもしれない。あるいは、雨の日、雪の日、晴れた日などの特定の気象条件、またはダイビングマスクについては異なる深さおよび水温などに関するカスタム設定を提供することがさらに望ましいであろう。プロファイルのカスタム化は、カスタム・プロファイル・スイッチ1002によってユーザー選択可能とすることができる。
【0080】
図10に示す複数PWM、複数領域型の防曇システム1000はまた、前記システム1000の自動制御のための、露点を計算する手段802'(前記露点計算機またはDPCとしても知られる)と、温度センサー804'と、信号手段807'、809'を介して前記DPCに動作可能に接続された相対湿度センサー806'とをさらに有する。前記PWM502'への複数の信号線a、b、cのマスター制御を提供するために前記DPC802'からの信号が前記CAMおよびRPCによって使用されることを除いて、前記DPC802'およびセンサー804'、806'は、本発明の第1の実施形態に関連して上記に示し説明した前記DPC802およびセンサー804、806と同様の目的のためであり、同様に機能する。
【0081】
前述より、露点計算、自動化、および電流調整の手段などの本発明の観点の多くを本発明の第1または第2の実施形態のいずれかに用いることができる一方、前記RPCは主に前記保護眼鏡上の複数の領域を用いる本発明の第2の実施形態に適していることが分かる。
【0082】
システムの概要
本発明のいずれかの実施形態のPWM、および露点計算、プロファイル表参照、可変電流調整機構、切り換え手段などの関連する機能を好ましくはマイクロコンピュータで達成することができるものの、これらの機能のうちのいずれかを、本発明の厳密な範囲および趣旨から逸脱せずに、プログラマブル論理アレイ(programmable logic array:PLA)、状態機械、アナログ回路、またはその他のデジタル論理回路のような他の技術で実行することもできる。
【0083】
図11を参照すると、複数チャネルPWM、複数領域型の防曇システム1100のデジタル版の好適な実施形態が提供されている。システム1100は、充電式電池1102、オン/オフ・スイッチ1104、熱制御スイッチ1106、プロファイルセレクタ1108、および充電器ジャック1110などの電源を有する。充電器ジャック1110は、当該技術分野において既知のミニUSB充電器ジャックまたはその他の好適な充電システムを有することができる。システム1100は、好ましくは選択された電力レベルを指示するバーグラフとして構成された複数のLEDを有する電力レベル指示ディスプレイ1112と、好ましくは電池残量を指示するバーグラフとして構成された複数のLEDを有する電池寿命指示ディスプレイ1114とをさらに有する。システム1100は、その上に配置された複数の薄膜加熱素子1118、1120、1222を有する保護眼鏡1116をさらに有する。前記保護眼鏡1116は、ユーザーの眼の前方に少なくとも部分的な囲いを画定するように構成されている。温度センサー1124および相対温度センサー1126は、露点温度の計算を支援するために、前記保護眼鏡1116によって画定される前記部分的な囲い内に配置されている。
【0084】
前記システム1100は、好ましくはPWM論理回路、その他のプログラマブル論理回路、およびマイクロエレクトロニクスの技術分野において既知のRAM/ROM/フラッシュメモリーのなんらかの組み合わせ1130をさらに有する低電力マイクロコントローラ1128をさらに有することが好ましい。前記マイクロコンピュータコントローラ1128は、充電回路1132に動作可能に接続されている。前記充電回路1132は、充電器ジャック1110および充電式電池1102に接続されている。前記充電回路1132は、主として、必要に応じて充電の前記充電器ジャック1110から前記充電式電池への経路設定および遮断、前記電池が完全に充電されたときの前記電池からの前記充電器の切断、および前記マイクロコントローラ1128への充電レベルの報告を含め、前記充電式電池1102を維持する役割を担う。前記システム1100は、電池寿命指示ディスプレイ論理回路1143をさらに有し、前述したように前記マイクロコントローラ1128が前記充電回路から充電レベル情報を受信すると、ユーザーの求めに応じてまたはその他の方法で、前記マイクロコントローラが前記電池寿命指示ディスプレイ論理回路に合図することができる。前記電池寿命指示ディスプレイ論理回路1134は、前記マイクロコントローラ1128から受信した信号を前記電池寿命指示ディスプレイ1114を駆動するために必要な論理に変換する。前記電池寿命指示ディスプレイ論理回路1134は、前記ディスプレイ上の最新の値を保持し、前記マイクロコンピュータが他のタスクに取り掛かれるようにこれを解放するためのラッチ回路を含むことができる。
【0085】
前記システム1100は、各々が領域1118、1120、1122などの薄膜加熱素子領域またはゾーンにそれぞれ対応する複数の駆動チャネル1138、1140、1142を有する保護眼鏡加熱器ドライバ1136をさらに有する。前記マイクロコントローラ1128の主な役割は、電池寿命を節約する一方で、前記加熱器ドライバ1136および関連するチャネル1138、1140、1142を、曇りを除去し防止するための最適かつ好ましくは均衡したレベルで動作するように保つことである。前記マイクロコントローラ1128は、手動加熱制御モードまたは自動加熱制御モードで動作することができる。前記手動加熱制御モードでは、前記マイクロコントローラ1128が前記加熱/減熱スイッチ1106からの入力に応答して、マイクロコントローラのメモリー1130内に収容された所定のプロファイルに従って前記保護眼鏡加熱器ドライバ1136への電力を調整し、各個別のPWMチャネル上のデューティサイクル信号を、関連付けられる各加熱素子1118、1120、1122のサイズ、形状および電気抵抗率に合致する方法で制御して電力密度の均衡を提供する。
【0086】
電力密度の均衡以外のその他何らかのカスタムプロファイルが望まれる状況では、前記システム1100は、プロファイル選択スイッチ1108からの入力に応答して、同様にマイクロコントローラのメモリー1130内に格納されているカスタムプロファイルを関わらせて前記加熱器ドライバ1136にカスタム電力密度プロファイルを適用し、前記保護眼鏡1116の所望の部分に別の部分よりも大きな電力を受け取らせることができる。
【0087】
前記システム1100は、温度センサー1124および相対湿度センサー1126に基づいて露点温度を計算する露点計算機(DPC)1144をさらに有する。前記システムは、前記システム1100の加熱レベルの自動モードによる均衡中に、前記DPC1144から計算した露点に従って前記領域の熱を調整する。前記システム1100が最初に始動すると、前記DPC1144が前記露点温度を計算し、それを前記保護眼鏡1116によって画定された前記空間内の実際の温度と比較し、前記マイクロコントローラ1128に然るべく合図する。前記DPC1144によって計算された前記露点温度が前記保護眼鏡1116とユーザーの眼との間で画定された前記空間内の温度よりも高い場合、有効なプロファイルに従って前記PWMチャネルのデューティサイクルを増加させて前記保護眼鏡1116および前記保護眼鏡とユーザーの眼との間の前記空間の温度を上昇させるように、前記マイクロコントローラ内の論理回路が前記保護眼鏡加熱器ドライバ1136に合図する。したがって、前記温度センサー1124、前記相対湿度センサー1126、および前記マイクロコントローラ1128による計算から前記DPC1144へのその後の知覚入力のすべては、周囲条件の変化だけではなく前述の前記システム1100からの上昇要求の結果もたらされる温度変化をも反映するであろう。前記DPC1144による前記システム1100に対するさらなる調整は、前記保護眼鏡1116によって画定された前記空間内の温度が前記露点温度閾値よりも下がると、前記システム1100がPWMチャネル1138、1140、1142を介して前記加熱素子1118、1120、1122への電力を増加させ、前記保護眼鏡によって画定された前記空間内の温度が前記露点温度閾値よりも上がると前記システムが前記PWMチャネルを介して前記加熱素子への電力を減少させるといった方法で、前記マイクロコントローラ1128によって一定間隔で行われる。前述の動作には、前記システム1100の増加状態と減少状態との間で、一般的なサーモスタットに使用されるようなヒステリシスを用いて、不要な急激な切り換えを回避することができる。
【0088】
前記システム1100の手動動作モードおよび自動動作モードの双方において、前記ユーザーが前記システムの加熱素子に供給されている電力レベルを知らされていることが好ましい。このことは、前記ユーザーが前記電力レベルディスプレイからの視覚的フィードバックに従って前記電力を所定のレベルに設定することのできる前記手動モードにおいて特に便利である。前記マイクロコントローラ1128は、前記加熱/減熱スイッチ1106を通じた手動による変化および/または一定間隔での変化に応答して、前記加熱器ドライバ1136に供給されている現在の動作電力レベルをメモリー1130から決定し、前記電力レベルディスプレイ論理回路1146に電力レベル信号を送り、その結果前記電力レベルディスプレイ論理回路が前記マイクロコントローラ1128から受信した信号を前記電力レベル指示ディスプレイ1112を駆動するために必要な論理に変換する。前記電力レベル指示ディスプレイ論理回路1146は、前記ディスプレイ上の最新の値を保持し、前記マイクロコンピュータが他のタスクに取り掛かれるようにこれを解放するためのラッチ回路を含むことができる。
【0089】
従来の電圧調整システム
ここで
図12を参照すると、リチウムイオン電池1205と、指定された通りの使用により時間の経過に伴って充電量が消耗している3.7〜3.2ボルトDCを電圧調整器1225に伝える正の回路導線1210とを含む、セルラー電話機(負荷1235によって表現)などのハンドヘルド型電子機器に対する一定に調整された電圧を維持する電池調整システムのブロック図が図示されている。前記電圧調整器1225は、一定に調整された3.0ボルトDCを線1230を介して前記負荷1235に指定された通りに供給するように設定されている。一般的な電圧調整器は、前記電池からの実際の供給電圧が所望の出力電圧よりも幾分高い場合にのみ、前記所望の出力レベルでの電圧を供給する。したがって、例えば、前記所望の出力電圧が3.0ボルトDCである場合、前記電圧調整器が前記所望の3.0ボルトDCを生成するためには、前記電池電圧は少なくとも3.2ボルトDCでなければならないであろう。前記電池1205の負端子に戻る回路は回路導線1220によって完結し、前記システムは1240において接地されている。このようなシステムは、セルラー電話機が効率的に機能するために必要な一定電圧を供給する上で重要であることが知られている。
【0090】
PWMを使用した電池補償システム
上記に示し説明した前述の電池調整システム1200とは異なり、PWMを使用した電池補償システムは、前記電池が放電してしまうまで一定電圧を維持するのではなく、前記電池が放電してしまってその電力レベルを維持できなくなるまで、前記電圧の降下にも拘わらず前記負荷に対する一定電力を維持するように、前記PWMサイクルを変化させる点が異なる。
【0091】
したがって、ここで
図13を参照すると、パルス幅変調(PWM)1340)を使用した電池補償システム1300が図示されており、当該システムは、電圧を所定の測定可能範囲に比例調整する分圧回路1310、1315に接続された正の並列回路導線1380を有する電池1305(好ましくはリチウムイオン電池)と、前記分圧器からの出力を受け取り、これをデジタル電圧値に変換するアナログ/デジタル変換器1335と、マイクロプロセッシング装置(microprocessing unit:MPU)1330と、単一チャネルパルス幅変調器(PWM)1340とを有する。好ましくは、前記分圧回路1310、1315は、前記電池1305の正端子と負端子との間の、前記電圧を所定の測定可能範囲に比例調整する2つの直列抵抗器1310、1315を有し、前記分圧回路は、好ましくは、前記2つの抵抗器間に、前記アナログ/デジタル変換器1335上のI/Oピンに比例電圧測定値を提供するように構成されているタップ(前記2つの抵抗器1310、1315間の線の交点として図示)を有する。好ましくは、ユーザーによって決定または提供される前記電力設定は、ダイアル、ノブ、またはプッシュボタンシステム1325によって設定される電力レベル設定と共に、前記設定の選択をさらに効果的にする前記ユーザーに対する何らかの形態の視覚的フィードバック(例えば、
図16の1612)を有する。
【0092】
前記PWM1340は、携帯型電子機器、または例えば、防曇スキーゴーグル、加熱式ダイビングマスク、加熱式医療用または工業用保護眼鏡上の加熱素子のような携帯型電子機器の構成要素を表す前記負荷1345を駆動する。あるいは、前記負荷1345は、ハンドヘルド型GPS装置、セルラー電話機、無線機、電子タブレット、リーダー、またはその他のポータブルコンピュータなどの携帯型電子機器上の、前記機器のPWM回路および電池によって駆動される加熱器を表している場合もある。電力レベルセレクタ1325は、電源供給されている前記電子機器(例えば、防曇ゴーグル)上の加熱器(例えば、
図5の加熱素子202)を駆動する電力について、例えば2ワット、4ワット、6ワット、8ワット、および10ワットであるそれぞれ1350、1355、1360、1365、1370にそれぞれ対応する20%、40%、60%、80%、100%などの所望の電力設定のユーザー選択を可能とする増加/減少制御装置を備えている。前記MPU1330は、補償デューティサイクル1350、1355、1360、1365、1370を決定するための電圧入力およびユーザーによって決定される電力設定の入力を受信するいくつかの可能な手段のうちの1つであり、当該入力がPWM1340に印加されることにより、電池の消耗によって電池1305からの電圧が低下した場合においてもユーザーが決定した電力設定で一貫して負荷が駆動される。
【0093】
ここで
図14も併せて参照すると、前記MPU1330は、フローチャートに示したソフトウェアコードのステップ1400を実行して、前記ソフトウェアにより前記PWM1340に適用する補償デューティサイクル1350、1355、1360、1365、1370を決定し、電池の消耗によって電池1305からの電圧が低下した場合においてもユーザーが決定した電力設定で一貫して負荷を駆動することが可能となる。本発明のこの実施形態について、MPU1330は好ましくは電池駆動式であり、本発明には、アナログ/デジタル変換手段1335を搭載した入手の容易なマイクロプロセッシング装置を使用することができる。
【0094】
1405で示す本発明の動作のためのソフトウェアのステップは、1405から開始後、電池電圧を読み取るステップ1410と、電力レベル1415のユーザー設定を読み取るステップ1415と、PWM回路1425に適用するPWMデューティサイクルに関する電池電圧補償値を参照するステップ1420とを含む。前記プロセスは1430で終了し、前記ステップ1400は、本発明に係る補償電力を維持するために、前記システムの動作中に必要に応じて度々繰り返される。前記携帯型電子機器1345(例えば、
図5の200)に電源が入っているとき、本発明の補償システムは継続的に操作することができ、または電池節約モードと電池補償モードとの間でトグルするようにオン/オフ・スイッチで制御することができる。ライン1430で示すように、前記機器の電源が入っており、前記電池が十分に充電され、電池補償モードで前記機器を駆動するために必要な電力を供給することができる限り。電池節約モードはより小さな電池電力を使用するものの、余剰な電池電力が利用可能な場合は、本発明に係る電池補償モードを採用し、前記PWM1340に適用する前記デューティサイクル1350、1355、1360、1365、1370を増加して電池の消耗による電圧の低下を補償することにより、そのような補償がない場合に起こると考えられる消耗した電池1305に関連する電力の低下を克服することができる。
【0095】
さらにまた、
図14および15に示すように、補償デューティサイクル1350、1355、1360、1365、1370の決定において、PWMデューティサイクル値のデータルックアップテーブル1500が含まれてもよく、当該データルックアップテーブルは、電力設定(表1500の上部にわたってワットで表示)および電池消耗による電圧低下(
図15の左側の列に表示)に従って構成され、前記マイクロプロセッサによって実行される前記コードのステップ1410、1415、1420、1425で使用されるものであり、それにより、前記PWMに適用する補償デューティサイクルが選択され、電池の消耗によって電池1305からの電圧が低下した場合においてもユーザーが決定した電力設定で一貫して負荷1345が駆動される。本発明のこの実施形態は、好ましくは、概してソフトウェアのデータ表管理に関して事実であるように、浮動小数点計算を使用するよりも概してより高速の動作を提供しコーディングが容易な、マイクロプロセッサのメモリー(例えば、
図16の1630)に格納されているルックアップテーブル1500を有することができるものの、厳密な範囲および趣旨に従って本発明を実施するためには、いずれを使用してもよいことは理解されるであろう。さらに、ディスクリート論理回路を使用して本発明の補償システムの機能を実行することも考えられるが、このような方法は実施する上で不必要に高価となるであろうし、本発明にとって好ましい前記ソフトウェアおよびデータ表の参照機能よりも効果的なわけではない。
【0096】
図15に示すデータルックアップテーブル1500は、ユーザーによる加熱器レベル設定(前記表1500の上部にわたってワットで表示)および8.4ボルトDC(各々3.7ボルトDCの2つの直列リチウムイオン電池を仮定)から6.8ボルトDC(前記表1500の左側の列に表示)まで消耗した範囲の所与の電池電圧に関する実際の加熱器の電力によって構成されている。したがって、例えば、前記電池1305が完全充電(即ち、まだ充電量の消耗がない状態)にあるときにユーザーが2ワットの総電力を選択した場合、11.3回のオンサイクル(全部で100.0サイクルのうち)がオンである必要がある。
図15から分かるように、図示のように、前記ユーザーがより大きなワット数を指定するほどデューティサイクル数が増加し、だんだんと消耗する前記電池内充電量を補償するためにより多くのデューティサイクル数が必要となる。したがって、例えば、86.5デューティサイクル(即ち、PWW)が100サイクル毎に86.5サイクルで前記電力をオンに切り換える、換言すれば、前記PWMが、100サイクル中86.5サイクルで前記負荷に電力を与えるように、または86.5サイクル、オンで13.5サイクル、オフとなるように電力の伝送を制御する)。したがって、このように、前記電池がさらに消耗するに従って、および前記ユーザーがより高い前記電力レベルを選択するほど、必要なデューティサイクル数が増加する。前記データルックアップテーブルの例1500は各々3.7ボルトDCの2個の直列リチウムイオン電池を使用したシステムに基づいているものの、本発明は2個の電池またはそれ以外の複数の電池に限定されることはなく、本発明のシステムおよび電池補償システムは、適切に調整されたデータ表または場合によっては計算を用いた単一電池に使用することができる。さらに、デューティサイクル数は小数部分を伴う整数として表されているものの、実際のPWMの実施においてはこれらの数字を四捨五入した整数とすることができる。
【0097】
代替の実施形態において、前記PWM1340に適用する補償デューティサイクル1350、1355、1360、1365、1370を計算するために、前記ソフトウェアのステップ1410、1415、1420、1425自体を使用することができ、それにより、電池の消耗によって電池1305からの電圧が低下した場合においてもユーザーが決定した電力設定で一貫して負荷1345が駆動される。本発明のこの実施形態のための補償デューティサイクル1350、1355、1360、1365、1370を決定する式はデータ表1500に使用された前記表のデューティサイクル値(表1500の上部にわたるワット設定によって表されたユーザー入力による電力設定および測定電圧)を決定するために使用された式と同じであるが、これは以下の通りである。
【0098】
デューティサイクル=(所望の電力×負荷抵抗)/(電池電圧)
2×100
本発明に係る補償システム1300は、前記システムによって補償された電力出力を維持するために十分な充電量がある限り、機器の電池1305の部分的な消耗にも拘らず、防曇ゴーグルまたはハンドヘルド型GPS、無線機または電話機などの携帯型機器(例えば、
図5のゴーグルレンス200)を一貫して加熱するために前記負荷1345を駆動するためにユーザーが選択しおよび/または所望する電力設定の維持を可能とする。したがって、使用時間の経過に伴う電池の消耗の結果前記電池1305の電圧が低下すると、前記システム1300が前記機器1345のPWM1340のドライバのデューティサイクル1350、1355、1360、1365、1370を増加することにより補償を行う。
【0099】
ここで
図16を参照すると、好ましくは複数の機器、例えば、携帯型電子機器1616の複数の負荷1618、1620、1622を加熱するために使用するのに適した補償システム1600が図示されている。前記複数の負荷1618、1620、1622は、携帯型電子機器、携帯型電子機器の構成要素、または、防曇スキーゴーグル、加熱式ダイビングマスク、加熱式医療用または工業用保護眼鏡などの上の加熱素子のような、複数のこのような装置を表す。あるいは、前記負荷1345は、ハンドヘルド型GPS装置、セルラー電話機、無線機、電子タブレット、リーダー、またはその他の携帯型コンピュータなどの携帯型電子機器のPWM回路および電池によって駆動される、前記機器上の加熱器またはPWMによって適切に駆動されるその他の構成要素を表している場合もある。補償システムの例1600は、充電式電池1602、オン/オフ・スイッチ1604、電力レベル制御装置1606、および充電器ジャック1610などの電源を有する。充電器ジャック1610は、当該技術分野において既知であるように、ミニUSB充電器ジャックまたはその他の好適な充電システムを有することができる。システム1600は、好ましくは選択された電力レベルを指示するバーグラフとして構成された複数のLEDを有する電力レベル指示ディスプレイ1612と、好ましくは電池残量を指示するバーグラフとして構成された複数のLEDを有する電池寿命指示ディスプレイ1614とをさらに有する。システム1600は、共に図示された複数の負荷1618、1620、1622を有する携帯型電子機器1616をさらに有する。
【0100】
前記システム1600は、好ましくはPWM論理回路、その他のプログラマブル論理回路、およびマイクロエレクトロニクスの技術分野において既知のRAM/ROM/フラッシュメモリーのなんらかの組み合わせ1630をさらに有する低電力マイクロコントローラ1628をさらに有することが好ましい。前記マイクロコンピュータコントローラ1628は、充電回路1632に動作可能に接続されている。前記充電回路1632は、前記充電器ジャック1610および充電式電池1602に接続されている。前記充電回路1632は、主として、必要に応じて充電の前記充電器ジャック1610から前記充電式電池への経路設定、前記電池が完全に充電されたときの充電器の切断、および前記マイクロコントローラ1628への充電レベルの報告を含め、前記充電式電池1602を維持する役割を担う。前記システム1600は、電池寿命指示ディスプレイ論理回路1634をさらに有し、前述したように前記マイクロコントローラ1628が前記充電回路から充電レベル情報を受信すると、ユーザーの求めに応じてまたはその他の方法で、前記マイクロコントローラが前記電池寿命指示ディスプレイ論理回路に合図をすることができる。前記電池寿命指示ディスプレイ論理回路1634は、前記マイクロコントローラ1628から受信した信号を前記電池寿命指示ディスプレイ1614を駆動するために必要な論理に変換する。前記電池寿命指示ディスプレイ論理回路1634は、前記ディスプレイ上の最新の値を保持し、前記マイクロコンピュータが他のタスクに取り掛かれるようにこれを解放するためのラッチ回路を含むことができる。
【0101】
前記システム1600は、各々が負荷1618、1620、1622などの負荷にそれぞれ対応する複数の駆動チャネル1638、1640、1642を有するドライバ1636をさらに有する。好ましくは、前記ドライバ1636にはシステム1600のためのMOSFETが収容されている。前記マイクロコントローラ1628の主な役割は、電池寿命を節約する一方で、前記ドライバ1636および関連するチャネル1638、1640、1642を最適かつ好ましくは均衡したレベルで動作するように保つことである。前記マイクロコントローラ1628は、前記電力レベル制御装置1606からの入力に応答して、マイクロコントローラのメモリー1630内に収容された所定のプロファイルに従って前記機器のドライバ1636への電力を調整し、各個別のPWMチャネル上のデューティサイクル信号を、関連付けられる各負荷1618、1620、1622のサイズ、形状および電気抵抗率に合致する方法で制御して電力密度の均衡を提供する。
【0102】
電力密度の均衡以外のその他何らかのカスタムプロファイルが望まれる状況では、前記システム1600は、マイクロコントローラ1630内に格納することのできるカスタムプロファイルを関わらせて前記ドライバ1636にカスタム電力レベルプロファイルを適用し、前記携帯型電子機器1616の所望の部分に別の部分よりも大きなまたはより小さな電力を受け取らせることができる。
【0103】
パルス幅変調(PWM)(前記マイクロコントローラ1628内に収容)を使用した前記システム1600は、前記電圧を所定の測定可能範囲に比例調整する分圧回路1610と、前記分圧器からの出力を受け取りデジタル電圧値に変換する、好ましくは前記マイクロコントローラ1628内に収容された、アナログ/デジタル変換器(analog to digital converter:ADC)1605とを有する。好ましくは、前記分圧回路1610は、1もしくはそれ以上の電池1602の正端子と負端子との間に前記電圧を所定の測定可能範囲に比例調整する2つの精密な直列抵抗器(
図13に関連して上述の通り)を有し、前記分圧回路は、好ましくは、前記2つの抵抗器間に、前記アナログ/デジタル変換器1605を収容するマイクロコントローラ1628上のI/Oピンに前記比例電圧測定値を提供するように構成されているタップを有する。好ましくは、ユーザーによって決定または提供される前記電力設定は、ダイアル、ノブ、またはプッシュボタンシステム(例えば、1606)によって設定される電力レベル設定と共に、前記設定の選択をさらに効果的にする前記ユーザーに対する何らかの形態の視覚的フィードバック(例えば、1612)を有する。
【0104】
前記システム1600の一部として、前記ユーザーが前記システムの負荷構成要素に供給されている電力レベルを知らされていることが好ましい。このように、ユーザーは、前記電力レベルディスプレイ1612からの視覚的フィードバックに従って所望の電力レベルを選択することができる。前記マイクロコントローラ1628は、前記電力レベル制御装置1606を通じた手動による変化および/または一定間隔での変化に応答して、前記ドライバ1636に供給されている現在の動作電力レベルをメモリー1630から決定し、前記電力レベルディスプレイ論理回路1646に電力レベル信号を送り、その結果前記電力レベルディスプレイ論理回路が前記マイクロコントローラ1628から受信した信号を前記電力レベル指示ディスプレイ1612を駆動するために必要な論理に変換する。前記電力レベル指示ディスプレイ論理回路1646は、前記ディスプレイ上の最新の値を保持し、前記マイクロコンピュータが他のタスクに取り掛かれるようにこれを解放するためのラッチ回路を含むことができる。
【0105】
ここで
図17を参照すると、例えば、携帯型電子機器に対して全電力よりも小さな電力が望ましい場合に、前記機器内の、例えば、複数の異なる負荷の各負荷のカスタム電力レベルプロファイルに対応して適用されるデューティサイクルのソフトウェアによる決定を可能とする、マイクロプロセッサのメモリー1630内に格納された別の方法のデータルックアップテーブル1700が示されている。
図17に示すデータルックアップテーブル1700は、ユーザーによる加熱器レベル設定(前記表1700の上部にわたってワットで表示)および8.4ボルトDC(各々3.7ボルトDCの直列接続された2つのリチウムイオン電池を仮定)から6.8ボルトDC(前記表1700の左側の列に表示)まで消耗した範囲の所与の電池電圧に関する実際の加熱器の電力によって構成されている。したがって、例えば、前記電池602が完全充電(即ち、まだ充電量の消耗がない状態)にあるときにユーザーが1.5ワットの総電力を選択した場合、8.5回のオンサイクル(全部で100.0サイクルのうち)がオンである必要がある。
図17から分かるように、図示のように、前記ユーザーがより大きなワット数を指定するほどデューティサイクル数が増加し、だんだんと消耗する前記電池内充電量を補償するためにより多くのデューティサイクル数が必要となる。したがって、例えば、64.9デューティサイクル(即ち、PWWが100サイクル毎に64.9サイクルで電力をオンに切り換える、換言すれば、前記PWMが、100サイクル中64.9サイクルで前記負荷に電力を与えるように、または64.9サイクル、オンで35.1サイクル、オフとなるように電力の伝送を制御する)。したがって、このように、前記電池がさらに消耗するに従って、および前記ユーザーがより高い前記電力レベルを選択するほど、必要なデューティサイクル数が増加する。前記データルックアップテーブルの例1700は各々3.7ボルトDCの2個の直列リチウムイオン電池を使用したシステムに基づいているものの、本発明は2個の電池またはそれ以外の複数の電池に限定されることはなく、本発明のシステムおよび電池補償システムは、適切に調整されたデータ表または場合によっては計算を用いた単一電池に使用することができる。さらに、デューティサイクル数は小数部分を伴う整数として表されているものの、実際のPWMの実施においてはこれらの数字を四捨五入した整数とすることができる。
【0106】
前記表1700はより包括的なデータ表の一部であることもでき、依然として本発明の厳密な範囲および趣旨内に収まることができるが、前記システム1600は前記電池電圧および前記ユーザーの決定による電力レベル入力を確認し、それら入力に従って、かつ、例えば
図11に関連して前述した、例えば一様に加熱された保護眼鏡機器またはカスタム加熱された保護眼鏡機器がそうであろう通りに、一様な電力レベルプロファイルあるいはカスタム電力レベルプロファイルのいずれかと調和して、適切なデューティサイクルを決定するであろうと考えられる。
【0107】
本発明の好適な実施形態を示し、これらについて説明したが、当業者にとっては、本発明から逸脱せずに、本発明のより広い観点に多くの変更および修正を施すことができることが明白となるであろう。例えば、当業者が、特許請求された本発明の厳密な趣旨から逸脱せずに、本発明の様々な実施形態の様々な構成要素を組み合わせることができることが理解されるであろう。したがって、例として、前記システム1100が本発明の目的を達成する好適な方法を開示している一方、当業者であれば、マイクロコントローラおよび/またはマイクロコントローラのその他の組み合わせを使用して、本発明の厳密な範囲および趣旨から逸脱せずに本明細書の目的を達成することができることを理解するであろうことが理解されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、このようなすべての変更および修正が本発明の厳密な趣旨および範囲内に収まるものとして網羅することが意図されている。