【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的を達成するため、本発明の弁設計方法は、以下のステップを備える:
a)一般的にはコンピュータ計算により、弁の流れ断面の望ましい変動関係(S*(t))を決定し、少なくとも時間間隔(Δt)にわたって、時間関数として弁の流れ断面(S)における望ましい変動を定義する、ステップと、
b)弁部材が前記間隔の間に従うことが望ましい所定の移動関係(P(t))を設定するステップと、
c)前記所定移動関係に従って前記間隔の間に弁部材が移動する場合に、前記時間間隔の間の各瞬間(t)において、流れ断面(S(t))がその瞬間に望ましい断面(S*(t))と等しいままとなるように、前記流体流れオリフィスの形状を定義するステップ。
【0016】
弁の流れ断面の望ましい変動関係S*(t)を決定するステップa)は好ましくは、たとえばタイムソルバを用いて、物理的シミュレーションモデルに基づいて、数理最適化法によって、実行される。
【0017】
ステップc)は具体的にはコンピュータによって実行されてもよい。
【0018】
変動関係S*(t)は好ましくは、弁がその一部を形成するシステムにおいて、変動関係S*(t)が、システムの少なくとも1つの動作モードにおいて弁の選択の変動にとって望ましい関係となるように、選択される。
【0019】
移動関係は一次関数であってもよい(X=at+bのタイプであって、aおよびbは定数であり、tは時間を表し、Xは位置(具体的には軸位置または角度位置)である)。
【0020】
これはまた、上記で定義された一次関数以外の関数であってもよい。
【0021】
流体流れオリフィスの形状を定義するために、一例として、検討される時間間隔の最初の瞬間に弁部材の対応する位置における弁の流れ断面の面積を決定することが、可能である;その後、検討される間隔にわたって漸進的に時間パラメータが変動する可能性があり、各瞬間において弁の流れ断面が望ましい断面と等しいままとなるように、この時間間隔の間に弁部材によって採用される様々な位置について弁の様々な対応する流れ断面が連続して決定される。
【0022】
本発明により、弁部材の移動が所定の制御関係に従うように、システム設計段階の間に制御弁が設計される。このため、移動関係は十分に単純になるように選択され、これにより、弁の制御手段の複雑さを低減することができる。たとえば、移動関係は、一定速度での移動の関係性であってもよい。
【0023】
方法を実施することで、変則的な、すなわち標準的ではない流体流れオリフィスを呈する弁の作成につながる。このため、流体流れオリフィスの形状(すなわち、オリフィスの縁または出口の形状)は、従来の幾何形状である必要もなければ、複数の従来の幾何形状の組み合わせである必要もなく、ここで「従来の幾何形状」は、円、楕円、直線、および放物線を含む。したがって上記の意味での従来の幾何形状は、具体的には多角形を含む。このような従来の形状は一般的に、流れ断面が線形または放物線形となるように変化する必要があるときはいつも使用される。
【0024】
具体的には、流体流れオリフィスの形状(すなわち、オリフィスの縁または外形)は、従来の幾何形状である必要もなければ、従来の幾何形状の最大10箇所の組み合わせである必要もなく、ここで従来の幾何形状は、円、楕円、直線、および放物線である。
【0025】
弁の流れ断面に望ましい変動関係は、具体的には計算によって得られるが、これは様々なやり方で行われることが可能である。
【0026】
一実施例において、弁がその一部を形成するシステムのパラメータについて、望ましい変動関係(F*(t))が設定される;次に弁の断面に望ましい変動関係(S*(t))が、パラメータの望ましい変動関係(F*(t))に応じて決定される。
【0027】
別の実施例において、弁の断面に望ましい変動関係を決定するために、弁の断面に望ましい変動関係(S*(t))、および弁がその一部を形成するシステムのパラメータに望ましい変動関係(F*(t))が、計算によって一緒に決定される。
【0028】
この計算は一般的に、システムの動作のシミュレーションを含む。
【0029】
弁の断面に望ましい変動関係S*はその後、システムが望ましい機能または挙動を呈することができるようにする変動関係(または最適な変動関係)として、決定される。
【0030】
必要であれば、この計算は、上流に位置するシステムの部分と弁に対して下流に位置するシステムの部分との相互作用を考慮に入れる;これらの相互作用は場合により、弁が組み込まれるパイプ内の圧力および/または流量に影響を及ぼす可能性がある。
【0031】
望ましい変動関係が設定されるシステムパラメータは、具体的には弁の流量、すなわち弁が中に配置されるパイプ内の流量であってもよい。
【0032】
このパラメータはより一般的には、弁の断面がそのパラメータに影響を及ぼすのであれば、システムのいずれのパラメータであってもよい。
【0033】
本発明は当然ながら、弁を製造する方法であって、上記で定義された弁設計方法によって弁を設計するステップに続いて、このようにして設計された弁を製造するステップを含む、方法にも及ぶ。
【0034】
本発明はまた弁装置も提案し、これは、
・可変断面(S)の流体流れオリフィスを呈する弁であって、前記断面は弁の弁部材の位置に依存する、弁と、
・前記弁部材の位置を制御するのに適したアクチュエータと、を備え、
弁装置は、
・アクチュエータはある時間間隔にわたって一定の速度で弁部材を駆動するのに適しており、
・流れオリフィスの断面は、アクチュエータが前記時間間隔にわたって一定の速度で前記弁部材を駆動するときに非線形に変化し、
・流体流れオリフィスの形状は、従来の幾何形状ではなく、従来の幾何形状の部分の組み合わせでもなく、従来の幾何形状は円、楕円、直線、または放物線であることを、特徴とする。
【0035】
流体流れオリフィスの形状は、具体的にはその縁、またはその外形の形状である。
【0036】
非限定例として示される2つの実施形態の以下の詳細な説明を読むと、本発明がよく理解され、その利点がより明らかとなる。説明は、以下の添付図面を参照する。