【文献】
Synthetic studies towards the antiviral pyrazine derivative T-705,13th Electronic Conference on Synthetic Organic Chemistry 1-30 November 2009,2009年
【文献】
Removal of Fluorine from and Introduction of Fluorine into Polyhalopyridines: An Exercise in Nucleophilic Hetarenic Substitution,Chemistry A European Journal,2005年,Vol. 11, P1903-1910
【文献】
Tetramethylammonium chloride as a selective and robust phase transfer catalyst in a solid-liquid halex reaction: the role of water,Chemical Communications,1996年,P297-298
【文献】
A general procedure for the fluorodenitration of aromatic substrates,The Journal of Organic Chemistry,1991年,Vol. 56, P6406-6411
【文献】
J. Org. Chem.,2014年 5月28日,79,5827−5833
【文献】
Org. Process Res. Dev.,2014年 7月 4日,18,1045-1054
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、スルホラン、またはそれらの重水素化類似体の1種または複数種を含む、請求項10に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に記載された材料、化合物、組成物、物品、および方法は、開示される主題の特定の態様の以下の詳細な記載、ならびにそこに含まれる実施例および図面を参照することによって、より容易に理解され得る。
【0018】
本材料、化合物、組成物、および方法が、開示され、記載される前に、下に記載されている態様は、もちろん変えてもよいので、特定の合成方法または特定の試薬に限定されないことが理解されるべきである。本明細書に使用されている用語は、特定の態様のみを記載する目的のためにあり、限定することを意図していないこともまた、理解されるべきである。
【0019】
また、本明細書全体を通じて、様々な公表文献が参照される。これらの公表文献全体としての開示は、開示内容が属する技術の現状をより完全に説明するために、ここ本出願に、参照により組み込まれる。開示される参考文献はまた、参考文献が依拠する文章において検討される、参考文献中に含有される材料のために、本明細書に参照により、個別におよび具体的に組み込まれる。
【0020】
一般的定義
本明細書および次の特許請求の範囲において、いくつかの用語が言及され、以下の意味を有すると定義される。
【0021】
本明細書の記載および特許請求の範囲の全体を通じて、語「含む(comprise)」ならびにこの語のその他の変化形、例えば、「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、例えば、その他の添加剤、成分、整数またはステップを含むが限定されないことを意味し、それらを除外することを意図しない。
【0022】
本記載および添付の特許請求の範囲で使用されている通り、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a composition(組成物)」への言及は、2つ以上のかかる組成物の混合物を含み、「the compound(化合物)」への言及は、2つ以上のかかる化合物の混合物を含み、「an agent(剤)」への言及は、2つ以上のかかる剤の混合物を含む、等である。
【0023】
「任意の」または「任意選択で」は、その後に記載される現象または状況が、起こり得るまたは起こり得ないこと、ならび現象または状況が起こる場合および起こらない場合を、記載が含むことを意味する。
【0024】
範囲は、「約」を付した1つの特定の値から、および/または「約」を付した別の特定の値までとして、本明細書に表すことができる。かかる範囲が表される場合、別の態様は、一方の特定の値からおよび/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が、近似値として表される場合、先行語「約」の使用によって、特定の値が、別の態様を形成すると理解されることになる。
【0025】
化学的定義
本明細書に使用されている通り、用語「置換(置換されている)」は、有機化合物の全ての許容できる置換基を含むことが想定される。広い態様において、許容できる置換基は、有機化合物の非環状および環状、分枝状および非分枝状、炭素環式およびヘテロ環式、ならびに芳香族および非芳香族の置換基を含む。例となる置換基は、例えば、下に記載されている置換基を含む。許容できる置換基は、好適な有機化合物にとって、1つまたは複数であり、同じまたは異なり得る。この開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載された有機化合物の水素置換基および/またはいずれかの許容できる置換基を有することができる。この開示は、有機化合物の許容できる置換基によって、どのような形でも限定されることを意図されない。また、用語「置換」または「で置換されている」は、かかる置換が、置換原子および置換基の許容される原子価に従い、置換が、安定した化合物を、例えば、転位、環化、脱離等などによって自然に転換しない化合物をもたらすという暗黙の条件を含む。
【0026】
「Z
1」、「Z
2」、「Z
3」、および「Z
4」は、様々な特定の置換基を表す包括記号として、本明細書で使用されている。これらの記号は、いずれの置換基でもあり得、本明細書に開示されている置換基に限定されず、これらの記号は、1つの例で、ある置換基であると定義されるとき、別の例では、いくつかのその他の置換基として定義され得る。
【0027】
本明細書に使用されている用語「脂肪族の」は、非芳香族の炭化水素基を指し、分枝状および非分枝状、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基を含む。
【0028】
本明細書に使用されている用語「アルキル」は、1から24個の炭素原子の分枝状または非分枝状飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等である。アルキル基はまた、置換または非置換であり得る。アルキル基は、下に記載されている通り、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。
【0029】
明細書全体を通じて、「アルキル」は、非置換アルキル基と置換アルキル基の両方を指すために一般に使用されているが、しかし、置換アルキル基はまた、アルキル基上の特定の置換基(1つまたは複数)を特定することによって、本明細書中で特定して表す。例えば、用語「ハロゲン化アルキル」は、1つまたは複数のハライド、例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素で置換されているアルキル基を特に指す。用語「アルコキシアルキル」は、下に記載されている通り、1つまたは複数のアルコキシ基で置換されているアルキル基を特に指す。用語「アルキルアミノ」は、下に記載されている通り、1つまたは複数のアミノ基等で置換されているアルキル基を特に指す。「アルキル」が1つの例で使用され、「アルキルアルコール」などの特定の用語が別の例で使用されている場合、用語「アルキル」はまた、「アルキルアルコール」等などの特定の用語を指さないと暗示することを意味しない。
【0030】
この慣行はまた、本明細書に記載されたその他の基についても使用される。つまり、「シクロアルキル」などの用語は、非置換シクロアルキル部分と置換シクロアルキル部分の両方を指し、さらに、置換部分は、本明細書で具体的に特定できる。例えば、特定の置換シクロアルキルは、例えば、「アルキルシクロアルキル」と称することができる。同様に、置換アルコキシは特に、例えば、「ハロゲン化アルコキシ」と称することができ、特定の置換アルケニルは、例えば、「アルケニルアルコール」であり得る、等である。この場合も先と同様に、「シクロアルキル」などの一般的な用語および「アルキルシクロアルキル」などの特定の用語を使用する慣行は、一般的な用語がまた、特定の用語を含まないと暗示することを意味しない。
【0031】
本明細書に使用されている用語「アルコキシ」は、単一の、末端のエーテル結合によって結合しているアルキル基である。つまり、「アルコキシ」基は、−OZ
1として定義でき、式中、Z
1は、上に定義されているアルキルである。
【0032】
本明細書に使用されている用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する構造式を有する、2から24個の炭素原子の炭化水素基である。(Z
1Z
2)C=C(Z
3Z
4)などの非対称の構造は、E異性体とZ異性体の両方を含むことが意図される。これは、非対称のアルケンが存在する、または結合記号C=Cによって明確に示すことができる、本明細書中の構造式で推定できる。アルケニル基は、下に記載されている通り、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。
【0033】
本明細書に使用されている用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する構造式を有する、2から24個の炭素原子の炭化水素基である。アルキニル基は、下に記載されている通り、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。
【0034】
本明細書に使用されている用語「アリール」は、ベンゼン、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼン等を含むが、これらに限定されない、いずれかの炭素をベースとする芳香族基を含有する基である。用語「ヘテロアリール」は、芳香族基の環中に組み込まれた少なくとも1つのヘテロ原子を有する、芳香族基を含有する基として定義される。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄、およびリンが挙げられるが、これらに限定されない。用語「アリール」中に含まれる、用語「非ヘテロアリール」は、ヘテロ原子を含有しない芳香族基を含有する基を定義する。アリールまたはヘテロアリール基は、置換または非置換であり得る。アリールまたはヘテロアリール基は、本明細書に記載された、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。用語「ビアリール」は、特定の種類のアリール基であり、アリールの定義に含まれる。ビアリールは、ナフタレンのように、縮合環構造によって一緒に結合している、またはビフェニルのように、1つまたは複数の炭素−炭素結合によって付着している、2種のアリール基を指す。
【0035】
本明細書に使用されている用語「シクロアルキル」は、少なくとも3個の炭素原子から成る、非芳香族の炭素をベースとする環である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヘテロシクロアルキル」は、環の炭素原子の少なくとも1個が、限定されるものではないが、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどのヘテロ原子で置換されている、上に定義されているシクロアルキル基である。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、置換または非置換であり得る。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、本明細書に記載された、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。ある特定の例において、シクロアルキルは、C
3〜
8シクロアルキルである。
【0036】
本明細書に使用されている用語「シクロアルケニル」は、少なくとも3個の炭素原子から成り、少なくとも1つの二重結合、すなわち、C=Cを含有する、非芳香族の炭素をベースとする環である。シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヘテロシクロアルケニル」は、上に定義されているシクロアルケニル基の一種であり、用語「シクロアルケニル」の意味の中に含まれ、環の炭素原子の少なくとも1つが、限定されるものではないが、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどのヘテロ原子で置換されている。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、置換または非置換であり得る。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、本明細書に記載された、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。
【0037】
用語「環状基」は、アリール基、非アリール基(すなわち、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニル基)のいずれか、または両方を指すために本明細書で使用されている。環状基は、置換もしくは非置換であり得る、1つまたは複数の環系を有する。環状基は、1つもしくは複数のアリール基、1つもしくは複数の非アリール基、または1つもしくは複数のアリール基および1つもしくは複数の非アリール基を含有し得る。
【0038】
本明細書に使用されている用語「アルデヒド」は、式−C(O)Hによって表される。本明細書全体を通じて、「C(O)」または「CO」は、C=Oの簡便な表記法であり、これは本明細書で「カルボニル」とも称する。
【0039】
本明細書に使用されている用語「アミン」または「アミノ」は、式−NZ
1Z
2によって表され、式中、Z
1およびZ
2は、それぞれ、本明細書に記載された置換基、例えば、上に記載された、水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。「アミド」は、−C(O)NZ
1Z
2である。
【0040】
本明細書に使用されている用語「カルボン酸」は、式−C(O)OHによって表される。本明細書に使用されている「カルボキシレート」または「カルボキシル」基は、式−C(O)O
−によって表される。
【0041】
本明細書に使用されている用語「エステル」は、式−OC(O)Z
1または−C(O)OZ
1によって表され、式中、Z
1は、上に記載された、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0042】
本明細書に使用されている用語「エーテル」は、式Z
1OZ
2によって表され、式中、Z
1およびZ
2は、独立して、上に記載された、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0043】
本明細書に使用されている用語「ケトン」は、式Z
1C(O)Z
2によって表され、式中、Z
1およびZ
2は、独立して、上に記載された、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0044】
本明細書に使用されている用語「ハライド」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。対応する用語「ハロ」、例えば、本明細書に使用されている、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードは、対応する基またはイオンを指す。
【0045】
本明細書に使用されている用語「ヒドロキシル」は、式−OHによって表される。
【0046】
本明細書に使用されている用語「シアノ」は、式−CNによって表される。シアン化物は、シアン化物イオンCN
−を指すために使用される。
【0047】
本明細書に使用されている用語「ニトロ」は、式−NO
2によって表される。
【0048】
本明細書に使用されている用語「シリル」は、式−SiZ
1Z
2Z
3によって表され、式中、Z
1、Z
2およびZ
3は、独立して、上に記載された、水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0049】
用語「スルホニル」は、式−S(O)
2Z
1によって表されるスルホオキソ基を指すために本明細書で使用され、式中、Z
1は、上に記載された、水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0050】
本明細書に使用されている用語「スルホニルアミノ」または「スルホンアミド」は、式−S(O)
2NH−によって表される。
【0051】
本明細書に使用されている用語「チオール」は、式−SHによって表される。
【0052】
本明細書に使用されている用語「チオ」は、式−S−によって表される。
【0053】
本明細書に使用されている、「R
1」、「R
2」、「R
3」、nが何らかの整数である「R
n」等は、独立して、上の掲載された基の1つまたは複数を有し得る。例えば、R
1が直鎖アルキル基である場合、アルキル基の水素原子の1個は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミン基、アルキル基、ハライド等で、任意選択で置換され得る。選択される基に応じて、第一の基は、第二の基の中に組み込まれることができる、または、代替として、第一の基は、第二の基につり下がる(つまり、付着する)ことができる。例えば、句「アミノ基を含むアルキル基」によって、アミノ基は、アルキル基の骨格中に組み込まれることができる。代替として、アミノ基は、アルキル基の骨格に付着することができる。選択される基(1つまたは複数)の性質によって、第一の基は、包埋されるのか、または第二の基に付着するのかが決まることになる。
【0054】
反対の記述がない限り、くさび形または破線でなく、実線のみで示される化学結合を有する式は、それぞれのあり得る異性体、例えば、それぞれの鏡像異性体、ジアステレオマー、およびメソ化合物、ならびに異性体の混合物、例えばラセミまたはスケールミック(scalemic)混合物を想定する。
【0055】
開示されている材料、化合物、組成物、物品、および方法の特定の態様について、詳細にわたって今ここで言及されることになり、その例は、添付の実施例および図面において例証される。
【0056】
方法
本明細書に開示されているのは、フッ化カリウム(KF)と組み合わせて特定の第四級アンモニウム塩を使用し、対照物CsFとしばしば同様またはよりよい収率で、所望のフッ素化生成物を生成する基質をフッ素化する方法である。開示される方法は、KF、1つまたは複数の第四級アンモニウム塩、および少なくとも1つのクロロ、ブロモ、スルホニル、またはニトロ基で置換されている基質を組み合わせ、それによってフッ素化基質を生成することを含む。
【0057】
開示される方法において、KFおよび基質を組み合わせ、続いて、第四級アンモニウム塩を添加できる。代替として、第四級アンモニウム塩および基質を組み合わせ、続いて、KFを添加できる。別の代替方法において、KF、基質、および第四級アンモニウム塩を、同時に組み合わせることができる。これらの材料を組み合わせることは、当技術分野において既知の方法によって達成できる。例えば、KFを基質に、または逆に、基質にKFを添加できる。典型的には、添加に、混合、撹拌、振動またはかき混ぜるその他の形態を伴うことができる。代替として、第四級アンモニウム塩を基質に、または逆に、基質に第四級アンモニウム塩を添加できる。この場合もまた、この添加に、混合、撹拌、振動またはかき混ぜるその他の形態を伴うことができる。さらに別の例において、第四級アンモニウム塩をKFに、または逆に、KFに第四級アンモニウム塩を添加でき、添加に、混合、撹拌、振動またはかき混ぜるその他の形態を伴うことができる。
【0058】
さらに、これらの材料の組合せは、高温で、例えば、約30℃〜約225℃、約50℃〜約200℃、約100℃〜約150℃、約100℃〜約225℃、約150℃〜約225℃、約30℃〜約100℃、約50℃〜約100℃、約30℃〜約50℃、または約75℃〜約200℃で行うことができる。ある例において、材料は、室温で組み合わせることができる。
【0059】
またさらに、いったん組み合わされると、KF、基質、第四級アンモニウム塩、および任意の溶媒の結果として生じた組合せは、加熱できる。熱量は、基質および反応の進行に応じて調整でき、当技術分野において既知の方法によってモニターできる。一般に、組合せは、約50℃〜約250℃、約75℃〜約225℃、約100℃〜約200℃、約125℃〜約175℃、約50℃〜約150℃、約75℃〜約125℃、約150℃〜約250℃、または約100℃〜約150℃に加熱できる。
【0060】
KFの量は、特定の基質に応じて変えることができる。ある例において、基質1当量当たり約0.5〜約10当量のKFを使用できる。例えば、基質1当量当たり、約0.5〜約9当量、約0.5〜約8当量、約0.5〜約7当量、約0.5〜約6当量、約0.5〜約5当量、約0.5〜約4当量、約0.5〜約3当量、約0.5〜約2当量、約1〜約10当量、約1〜約9当量、約1〜約8当量、約1〜約7当量、約1〜約6当量、約1〜約5当量、約1〜約4当量、約1〜約3当量、約2〜約10当量、約2〜約9当量、約2〜約8当量、約2〜約7当量、約2〜約6当量、約2〜約5当量、約2〜約4当量、約2〜約3当量、約3〜約10当量、約3〜約9当量、約3〜約8当量、約3〜約7当量、約3〜約6当量、約3〜約5当量、約3〜約4当量、約4〜約10当量、約4〜約9当量、約4〜約8当量、約4〜約7当量、約4〜約6当量、約4〜約5当量、約5〜約10当量、約5〜約9当量、約5〜約8当量、約5〜約7当量、約5〜約6当量、約6〜約10当量、約6〜約9当量、約6〜約8当量、約6〜約7当量、約7〜約10当量、約7〜約9当量、約7〜約8当量、約8〜約10当量、約8〜約9当量、約9〜約10当量、または約0.5〜約1当量のKFを使用できる。
【0061】
第四級アンモニウム塩
開示される方法において、様々な第四級アンモニウム塩が使用できる。ある例において、第四級アンモニウム塩は、式
+N(R
20)(R
21)(R
22)(R
23)(式中、R
20〜R
23は、互いに独立して、置換もしくは非置換C
1〜C
40アルキル、置換もしくは非置換C
2〜C
40アルケニル、置換もしくは非置換C
2〜C
40アルキニル、置換もしくは非置換C
3〜C
8シクロアルキル、または置換もしくは非置換C
3〜C
8シクロアルケニルである)を有するテトラアルキルアンモニウムカチオンを含むことができる。特定の例において、それぞれのR
20〜R
23は、互いに独立して、置換もしくは非置換C
1〜C
6アルキルまたは置換もしくは非置換C
3〜C
8シクロアルキルであり得る。その他の例において、それぞれのR
20〜R
23は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、2−エチルブチル、または2−メチルペンチルであり得る。特定の例において、テトラアルキルアンモニウムカチオンは、ジ−ドデシルジメチルアンモニウム、ジ−テトラデシルジメチルアンモニウム、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ミリスチルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、アラキジルトリメチルアンモニウム、セチルジメチルエチルアンモニウム、ラウリルジメチルエチルアンモニウム、ミリスチルジメチルエチルアンモニウム、ステアリルジメチルエチルアンモニウム、もしくはアラキジルジメチルエチルアンモニウム、またはそれらの混合物であり得る。その他の例において、テトラアルキルアンモニウムカチオンは、テトラブチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、またはテトラメチルアンモニウムである。
【0062】
さらなる例において、第四級アンモニウム塩は、式III
【0063】
【化4】
(式中、R
10〜R
12は、互いに独立して、置換または非置換C
1〜C
40アルキル、置換または非置換C
2〜C
40アルケニル、置換または非置換C
2〜C
40アルキニル、置換または非置換C
3〜C
8シクロアルキル、置換または非置換C
3〜C
8シクロアルケニルである)
を有するトリアルキルベンジルアンモニウムカチオンを含むことができる。その他の例において、それぞれのR
10〜R
12は、互いに独立して、置換もしくは非置換C
1〜C
40アルキルまたは置換もしくは非置換C
3〜C
8シクロアルキルであり得る。その他の例において、それぞれのR
10〜R
12は、互いに独立して、置換または非置換C
1〜C
18アルキルであり得る。
【0064】
さらにその他の例において、式IIIのトリアルキルベンジルアンモニウムカチオンは、長鎖アルキル基(すなわち、C
11〜C
40)としてのR
10ならびに短鎖アルキル基(すなわち、C
1〜C
10)としてのR
11およびR
12を有することができる。例えば、式III中のR
10は、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(パルミチルもしくはセチル)、オクタデシル(ステアリル)、またはエイコシル(アラキジル)基であり得、R
11〜R
12はそれぞれ、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシル基であり得る。特定の例において、トリアルキルベンジルアンモニウムカチオンは、セチルジメチルベンジルアンモニウム、ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、アラキジルジメチルベンジルアンモニウム、セチルメチルエチルベンジルアンモニウム、ラウリルメチルエチルベンジルアンモニウム、ミリスチルメチルエチルベンジルアンモニウム、ステアリルメチルエチルベンジルアンモニウム、またはアラキジルメチルエチルベンジルアンモニウムであり得る。
【0065】
第四級アンモニウム塩は、アンモニウムカチオンと組み合わせて、様々なアニオンを有することができる。例えば、第四級アンモニウム塩は、Cl
−、Br
−、およびC
1〜C
6CO
2−から選択されるアニオンを有することができる。その他の適切なアニオンとしては、OH
−、I
−、CN
−、SCN
−、OCN
−、CNO
−、N
3−、CO
32−、HCO
3−、HS
−、NO
2−、NO
3−、SO
42−、PO
43−、PF
6−、ClO
−、ClO
2−、ClO
3−、ClO
4−、CF
3CO
2−、CF
3SO
3−、BF
4−、およびC
6H
6CO
2−が挙げられるが、これらに限定されない。特定の例において、第四級アンモニウム塩は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、乳酸、およびピルビン酸から選択される1つまたは複数のC
1〜C
6CO
2−アニオンを含む。硫酸アニオン、例えば、トシル酸、メシル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、ジ−トリフルオロメタンスルホニルアミノはまた、イミダゾリウム塩中で、適切なアニオンとして使用できる。
【0066】
ある例において、第四級アンモニウム塩は、テトラブチルアンモニウムクロリドである。
【0067】
第四級アンモニウム塩の量は、特定の基質に応じて変えることができる。ある例において、基質1当量当たり約0.5〜約10当量の第四級アンモニウム塩を使用できる。例えば、基質1当量当たり、0.5〜約9当量、約0.5〜約8当量、約0.5〜約7当量、約0.5〜約6当量、約0.5〜約5当量、約0.5〜約4当量、約0.5〜約3当量、約0.5〜約2当量、約1〜約10当量、約1〜約9当量、約1〜約8当量、約1〜約7当量、約1〜約6当量、約1〜約5当量、約1〜約4当量、約1〜約3当量、約2〜約10当量、約2〜約9当量、約2〜約8当量、約2〜約7当量、約2〜約6当量、約2〜約5当量、約2〜約4当量、約2〜約3当量、約3〜約10当量、約3〜約9当量、約3〜約8当量、約3〜約7当量、約3〜約6当量、約3〜約5当量、約3〜約4当量、約4〜約10当量、約4〜約9当量、約4〜約8当量、約4〜約7当量、約4〜約6当量、約4〜約5当量、約5〜約10当量、約5〜約9当量、約5〜約8当量、約5〜約7当量、約5〜約6当量、約6〜約10当量、約6〜約9当量、約6〜約8当量、約6〜約7当量、約7〜約10当量、約7〜約9当量、約7〜約8当量、約8〜約10当量、約8〜約9当量、約9〜約10当量、または約0.5〜約1当量の第四級アンモニウム塩を使用できる。
【0068】
基質
開示される方法の利点は、この方法が、広範な種類の基質をフッ素化するのに有効であり得ることである。この方法は、アリールおよびヘテロアリール基質をフッ素化するのに、特によく適している。開示される方法の特定の例において、基質は、式IAまたはIB
【0069】
【化5】
(式中、
Aは、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
Bは、H、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
Cは、H、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
R
1は、H、CN、またはCO
2R
3であり、それぞれのR
3が、互いに独立して、任意選択で置換されているC
1〜C
12アルキル、C
2〜C
12アルケニル、C
2〜C
12アルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはアリールであり、
R
2は、H、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである)
を有することができる。
【0070】
結果として生じるフッ素化生成物は、式IIAまたはIIB
【0071】
【化6】
(式中、Dは、上に定義されているB、またはFであり、Gは、上に定義されているB、またはFである)
を有することができる。
【0072】
開示される方法は、競合する生成物、二フッ素化またはパラフッ素化生成物が、式IIAまたはIIBの生成物の量より少ない量で存在するという点で、選択的であり得る。例えば、ビスフッ素化またはパラフッ素化生成物の量は、上に定義されている通り、DがBであり、GがBである場合、式IIAまたはIIBの生成物の量より少ない。
【0073】
溶媒
溶媒もまた、開示される方法において使用できる。溶媒は、基質、KF、第四級アンモニウム塩、またはこれらのいずれかの組合せに添加できる。適切な溶媒は、極性非プロトン性溶媒であり得る。ある例において、溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、スルホラン、およびそれらの重水素化類似体の1種または複数種であり得る。特定の例において、溶媒は、アセトニトリルまたはその重水素化類似体であり得る。その他の例において、溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはその重水素化類似体であり得る。これらの溶媒のいずれも、単独でまたはその他の溶媒と組み合わせて、本明細書に開示される方法において使用できる。
【0074】
開示される方法において使用される場合、溶媒の量は、特定の基質に応じて変えることができる。ある例において、基質1当量当たり約0.5〜約5当量の溶媒を使用できる。例えば、基質1当量当たり、約0.5〜約4.5当量、約0.5〜約4当量、約0.5〜約3.5当量、約0.5〜約3当量、約0.5〜約2.5当量、約0.5〜約2当量、約0.5〜約1.5当量、約0.5〜約1当量、約1〜約5当量、約1〜約4.5当量、約1〜約4当量、約1〜約3.5当量、約1〜約3当量、約1〜約2.5当量、約1〜約2当量、約1〜約1.5当量、約1.5〜約5当量、約1.5〜約4.5当量、約1.5〜約4当量、約1.5〜約3.5当量、約1.5〜約3当量、約1.5〜約2.5当量、約1.5〜約2当量、約2〜約5当量、約2〜約4.5当量、約2〜約4当量、約2〜約3.5当量、約2〜約3当量、約2〜約2.5当量、約2.5〜約5当量、約2.5〜約4.5当量、約2.5〜約4当量、約2.5〜約3.5当量、約2.5〜約3当量、約3〜約5当量、約3〜約4.5当量、約3〜約4当量、約3〜約3.5当量、約3.5〜約5当量、約3.5〜約4.5当量、約3.5〜約4.0当量、約4〜約5当量、約4〜約4.5当量、または約4.5〜約5当量の溶媒を使用できる。
【0075】
開示される方法の特定の例において、フッ素化ヘテロアリール基質は、KF、1種または複数種のテトラアルキルアンモニウム塩、溶媒、および式IAまたはIB
【0076】
【化7】
(式中、
Aは、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
Bは、H、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
Cは、H、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
R
1は、H、CN、またはCO
2R
3であり、それぞれのR
3が、互いに独立して、任意選択で置換されているC
1〜C
12アルキル、C
2〜C
12アルケニル、C
2〜C
12アルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはアリールであり、
R
2は、H、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである)
を有する基質を混合することを含むステップによって調製できる。
【0077】
式
+N(R
20)(R
21)(R
22)(R
23)(式中、R
20〜R
23が、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、2−エチルブチル、または2−メチルペンチルである)を有するテトラアルキルアンモニウムカチオン、ならびにCl
−、Br
−、C
1〜C
6CO
2−、OH
−、I
−、CN
−、SCN
−、OCN
−、CNO
−、N
3−、CO
32−、HCO
3−、HS
−、NO
2−、NO
3−、SO
42−、PO
43−、ClO
−、ClO
2−、ClO
3−、ClO
4−、CF
3CO
2−、CF
3SO
3−、およびC
6H
6CO
2−から選択されるアニオンを有するテトラアルキルアンモニウム塩が、方法において使用できる。
【0078】
結果として生じるフッ素化生成物は、式IIAまたはIIB
【0079】
【化8】
(式中、Dは、上に定義されているB、またはFであり、Gは、上に定義されているB、またはFである)
を有することができる。
【実施例】
【0080】
以下の実施例は、開示される主題による、方法、組成物、および結果を例証するために、下に記述されている。これらの実施例は、本明細書に開示される主題の全ての態様を包括することを意図せず、むしろ、代表となる方法、組成物、および結果を例証するためにある。これらの実施例は、当業者にとって明白である、本発明の均等物および変更例を除外することを意図しない。
【0081】
数字(例えば、量、温度等)に関して正確性を保証する努力がなされてきたが、いくつかの誤りおよび偏差は、説明されるはずである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、温度は℃または周囲温度であり、圧力は、大気圧またはほぼ大気圧である。反応条件、例えば、成分濃度、温度、圧力、ならびに記載されたプロセスから得られた、生成物の純度および収率を最適化するために使用できる、その他の反応範囲および条件の多数の変更例および組合せがある。合理的で通例の実験方法のみが、かかる方法の条件を最適化するために必要となるであろう。
【0082】
別段の指示がない限り、全ての反応材料/溶媒は、窒素(N
2)雰囲気下、グローブボックス中で検量した。全ての基質/溶媒を、使用前に乾燥させた。収率は、内部標準物質としてトリフルオロトルエン(反応当たり10マイクロリットル(μL/rxn))を使用する核磁気共鳴(NMR)分光法によって測定した。DS−1/DS−2についての収率を、内部標準物質として2−フェニルピリジン(20μL/rxn)および較正曲線を使用するガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。NMRスペクトルを、Varian500(
19Fについて470.56MHz)またはVarian MR400(
19Fについて376MHz)分光計で得た。ガスクロマトグラフィーを、Restek Rtx−5(Crossbond5%ジフェニル−95%ジメチルポリシロキサン;15メートル(m)、0.25ミリメートル(mm)ID、0.25ミクロン(μm)df(膜厚))カラムを使用するShimadzu17Aで実行した。
【0083】
イソプロピル5,6−ジクロロピコリネート
【0084】
【化9】
四つ口500ミリリットル(mL)丸底フラスコに、熱電対/J−KEMコントローラー、機械式撹拌機、ノックアウトポットへ、次に12%水酸化ナトリウム(NaOH)スクラバーへの通気孔を付けたコンデンサー、および栓を取り付けた。この容器に、濃硫酸(H
2SO
4;27.0グラム(g)、0.28モル(mol))およびスルホラン(28.9g)を添加した。この混合物を、130℃に加温して、次に、固体トリクロロメチル−ピリジン(70.2g、0.26mol)を、約1時間(h)かけて小分けで添加した。腐食トラップへの活発な脱気を観察した。添加が完了した後、混合物を、2h、130℃で撹拌し、次に、一晩、撹拌しながら室温に冷却させ、濃いタフィー状物を結果として得た。混合物を70℃に加温し、試料を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析のために取り出し、この分析は、対応するカルボン酸への非常にきれいな変換を示した。70℃でポットへ、イソプロピルアルコール(IPA;83.2g、1.39mol)を、約45分(min)かけて小分けで慎重に添加した。最初は、NaOH/腐食トラップへの活発な脱気があった。添加が完了した後、透明な茶色の溶液を、1h、70℃で撹拌した。70℃の溶液を、フラスコを旋回させながら、砕いた氷(361g)に添加した。添加の終わりに、スラリー中にはほとんど氷がなかった。スラリーを、1h、冷蔵庫で冷却し、固体を、濾過を通じて収集した。ケークを、IPA/水(31g/31g)で、次に水(65g)で洗浄した。材料を、一定重量まで、フード中で風乾させて、淡いベージュの固体としての生成物を得た(55g、約89%)。HPLC純度は、98.5%であった;EIMS(70eV)m/z235、233(M
+、1%、2%)、220、218、194、192、176、174、149、147(100%);
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.98, 7.91 (ABq, J=8.0Hz, 2H), 5.30 (m, 1H), 1.41(d, J=4.0Hz, 6H).
【0085】
イソプロピル5−クロロ−6−フェニルピコリネート(DS−2)
【0086】
【化10】
機械式オーバーヘッド撹拌機を装備した500mLの三つ口丸底フラスコに、フッ化カリウム二水和物(KF・2H
2O;18.1g、192.6ミリモル(mmol)、水道水(70mL)、およびアセトニトリル(280mL)を充填した。混合物を、全ての固体が溶解するまで撹拌した。この二相性混合物に、フェニルボロン酸(9.39g、77.1mmol)を、次に、イソプロピル5,6−ジクロロピコリネート(15.0g、64.2mmol)を添加した。結果として得られた懸濁液に、15min、N
2ガスを散布し、次に、ビス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(1.13g、1.61mmol)を添加した。鮮やかな黄色の懸濁液に、さらに15min、N
2を散布し、次に、混合物を、65℃に加熱した。6h、混合物を撹拌後、HPLC分析により、反応が完了したとみなした。加熱マントルを取り除き、混合物を、周囲温度に冷却した。混合物を、酢酸エチル(150mL)および水(50mL)で希釈した。層を分離させて、有機層にシリカゲル(EMDシリカゲル60;48g)を添加した。次に、溶媒を、ロータリーエバポレーターによって取り除いた。生成物を、溶出溶媒としてヘキサン/酢酸エチルを使用するCombiFlashクロマトグラフィー(勾配条件:15分以内でヘキサン/酢酸エチル95/5から80/20)によって精製して、クロマトグラフィー溶媒の蒸発後、濃い油状物(15.63g、88%)を得た。結晶試料(crystalline spec)を添加し、生成物を、HPLCによる見積もりによると純度99%超、重量(15.03g、85%)の乳白色のロウ様の結晶性固体として単離した。先の実験からの濃い油状物の少量を引っかき、試験管中で冷却し、最終的に白色の固体を形成した。この固体を、IPA(15mL)中に溶解した油状物(4g)の溶液に添加した。引っかいて結晶化を誘発した後で、濃い混合物を、冷蔵庫で1h冷却し、濾過し、低温のIPA(3mL)で洗浄して、白色の固体(3.30g)を得た。固体を、一晩、フード中で風乾させて、白色の固体(3.16g)を得た:mp43〜45℃;
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 7.97 (d, J=8.4Hz, 1H), 7.88 (d, J=8.0Hz, 1H), 7.80-7.77 (m, 2H), 7.49-7.44 (m, 3H), 5.31 (七重線, J=6.4Hz, 1H), 1.41 (d, J=6.4Hz, 6H, CH
3);
13C NMR (100.6MHz, CDCl
3) δ 163.9, 156.6, 146.7, 138.7, 137.4, 133.4, 129.6, 129.1, 128.0, 124.0, 69.7, 21.8;EIMS(70eV)C
15H
14ClNO
3についてのm/z計算値:(M
+)275.7。検出値:275(M
+)、216[(M
+−OiPr)]、189[(M
+−CO
2iPr)]。
【0087】
比較例1
CsFによるイソプロピル5−クロロ−6−フェニルピコリネートのフッ素化
【0088】
【化11】
反応は、グローブボックス中で実行した。撹拌子を装備したガラスビンに、イソプロピル5−クロロ−6−フェニルピコリネート(DS−2;1.103g、4mmol)、フッ化セシウム(CsF;1.215g、8mmol)およびジメチルスルホキシド(DMSO、無水グレード;8.5g)を添加した。混合物を、19h加熱ブロックで120℃に加熱した。試料を取り出し、この反応が完了したことを示したGCによって分析した。混合物を、室温に冷却した。塩を、濾過によって取り除き、少量のDMSOによって洗浄した。混合物を、水と分液ロートに注ぎ、酢酸エチルによって抽出した。次に、有機相を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO
4)上で乾燥させた。溶媒を、ロータリーエバポレーターによって取り除いた。濃縮された粗生成物を、溶出剤として酢酸エチル/ヘキサン混合物(1/5)を有するカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、MP SiliTech32−63D)を使用して精製し、淡黄色の液体として所望の生成物を得た(0.86g、81%、約100%GC純度、98%LC純度):
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 8.06 (m, 3H), 7.56 (dd, J=10.4, 8.5Hz, 1H), 7.53-7.41 (m, 3H), 5.32 (七重線, J=6.3Hz, 1H), 1.43 (d, J=6.3Hz, 6H);
13C NMR (101MHz, CDCl
3) δ 163.78 (s), 160.42 (s), 157.77 (s), 146.28 (d, J=11.7Hz), 144.49 (d, J=4.8Hz), 134.58 (d, J=5.6Hz), 129.66 (s), 129.08 (s), 129.03 (s), 128.49 (s), 125.32 (d, J=5.5Hz), 124.55 (d, J=21.4Hz), 69.58 (s), 21.90 (s);
19F NMR (376MHz, CDCl
3) δ -117.82 (s);EIMS(70eV)m/z259(8.3%)、174(12.5%)、173(100%)、172(35.4%)、145(9.4%)。ポット内収率(in-pot yield)は、標準として精製されたイソプロピル5−フルオロ−6−フェニルピコリネートおよび対照としてフタル酸ジプロピルを使用することにより測定された、83%(GC)であった。
【0089】
比較例2
KFによるイソプロピル5−クロロ−6−フェニルピコリネートのフッ素化
【0090】
【化12】
反応は、グローブボックス中で実行した。撹拌子を装備したガラスビンに、イソプロピル5−クロロ−6−フェニルピコリネート(DS−2;0.551g、2mmol)、18−クラウン−6(0.106g、0.4mmol)、KF(0.232g、4mmol)およびDMSO(無水グレード;4g)を添加した。18−クラウン−6のないフッ素化を、並行して同じ規模で用意した。混合物を、23h加熱ブロックで120℃に加熱した。試料を取り出し、LCおよび/またはGCによって分析した。LCは、18−クラウン−6を有する反応が、9%の生成物(イソプロピル5−フルオロ−6−フェニルピコリネート)および91%の出発材料(イソプロピル5−クロロ−6−フェニルピコリネート)によって、完了しなかったことを示した。GCは、18−クラウン−6のない反応が、5%の生成物(イソプロピル5−フルオロ−6−フェニルピコリネート)および95%の出発材料(イソプロピル5−クロロ−6−フェニルピコリネート)によって、完了しなかったことを示した。
【0091】
比較例3および4
エチル5−クロロ−6−フェニルピコリネートのフッ素化
基質イソプロピル5−クロロ−6−フェニルピコリネート(DS−2)を、エチル5−クロロ−6−フェニルピコリネート(DS−1)で置き換えたことを除いて、比較例1および2と類似の反応を実施した。比較例1〜4についての結果を
図1に示す。
【0092】
DS−1より高いDS−2の反応性を観察した。CsF(2当量(equiv))による反応は、所望のフッ素化ピリジンの収率80%まで進み、KF(2equiv)は、収率10%を超えなかった(
図1)。
【0093】
実施例5
テトラブチルアンモニウムクロリドおよびKFを使用するフッ素化
【0094】
【化13】
CsFおよびKFについて確認された基準のフッ素化によって、DS−2の効率的なフッ素化を、KFとテトラブチルアンモニウムクロリド(NBu
4Cl)との組合せを使用して実証した。特に、DS−2(50mg)、および全てのその他の固体(金属フッ化物/第四級アンモニウム塩/添加剤)を、マイクロ撹拌子を装備した4mLのバイアルに、計量して入れた。DMSO(0.5mL)を添加し、バイアルを、テフロンライナー付きねじキャップで密封した。反応用バイアルを、N
2ドライボックスから取り出し、アルミニウム加熱ブロックを装備した、温度プローブ付きのIKA(登録商標)加熱/撹拌プレートに載せた。反応物を、所与の時間(一般に24h)、特定の温度(一般に130℃または150℃)で加熱/撹拌した。反応が完了した後、反応物を室温に冷却させ、ジクロロメタン(DCM)で希釈し、内部標準物質(1つまたは複数)を添加した。収率を、
19F NMR分光法およびGCによって測定した。
【0095】
この方法は、フッ化カリウムより著しく高価なフッ化セシウムを使用する方法に匹敵することが分かった。NBu
4Clの化学量論的量(2.0equiv、収率86%)でも準化学量論的量(0.5equiv、収率71%)でも、130℃で高収率を達成した(
図2)。
【0096】
実施例6
様々なテトラブチルアンモニウム塩およびKFを使用するフッ素化
例5と同様の手順で、KF(2.0equiv)による様々なテトラブチルアンモニウム塩(2.0equiv)を、CsFによるDS−2の反応性に見合うまたは超えるように、スクリーニングした。テトラブチルアンモニウムクロリド(NBu
4Cl)が、スクリーニングしたテトラブチルアンモニウム塩の全てに対して最高の結果をもたらした(
図3)。
【0097】
実施例7
様々な当量のテトラブチルアンモニウムクロリドおよびKFを使用するフッ素化
次に、NBu
4Clの当量を評価した。
図2に示した通り、NBu
4Clの当量が低下するにつれて、所望のフッ素化ピリジンの収率は減少した。しかし、130℃で、DMSO中、KF(2.0equiv)と一緒のわずか0.5equivのNBu
4Clによって、収率50%超を達成することができると分かった(
図4)。
【0098】
実施例8
様々なテトラメチルアンモニウム塩およびKFを使用するフッ素化
テトラメチルアンモニウム塩を使用したことを除いて、上の例6に類似する手順を実施した。テトラメチルアンモニウム塩をDS−2のフッ素化のために試験した場合、塩化物塩が、より優秀であると再び分かった。NMe
4X(X=F、Cl、Br、I)を見ると、テトラメチルアンモニウムクロリド(NMe
4Cl)が、最高の活性を示したが、しかし、2.0equivの投入で収率54%を生成しただけであった。その他のハロゲン対アニオンは、20%を超える収率でフッ素化することができなかった(
図5)。
【0099】
実施例9
様々な溶媒を使用するフッ素化
DMSOの代わりに、様々な溶媒を使用したことを除いて、例5と同様の手順を実施した。例えば、ねじキャップおよび磁気撹拌子付きの30mLのガラスバイアルに、イソプロピル5−クロロ−6−フェニルピコリネート(DS−2;約280mg、1.02mmol)、KF(約118mg、2.03mmol)、および乾燥テトラブチルアンモニウムクロリド(約564mg、2.03mmol)、続いて、DMF(約3.3g、45.15mmol)を充填した。混合物を、120℃に加熱し、一定時間、撹拌した。約4hで、反応混合物のLC分析は、72.5%(相対面積)の出発物質DS−2および26.8%(相対面積)の所望のイソプロピル5−フルオロ−6−フェニルピコリネートを示した(
図6A参照)。24h後、反応混合物のLC分析は、20.4%(相対面積)の出発物質DS−2および74.9%(相対面積)の所望のイソプロピル5−フルオロ−6−フェニルピコリネートを示した(
図6B参照)。反応混合物を、フィルターディスクを通じて濾過し、ケークを、未使用のアセトニトリルですすいで、淡い黄色の溶液(5.4g)を得た。単離された混合物のLC分析(内部標準物質としてフタル酸ジプロピルを使用する)は、イソプロピル5−フルオロ−6−フェニルピコリネートのポット内収率78%を示した。
【0100】
したがって、その他の極性非プロトン性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルアセトアミド(DMAc)が、130℃でのテトラブチルアンモニウムクロリド/KF(それぞれ2.0equiv)による所望のフッ素化にかなり効率的に影響を与えることが分かった。DMFとDMAcの両方とも、24h以内で、所望のフッ素化生成物へDS−2を完全に変換させた(
図7)。
【0101】
評価した第四級アンモニウム塩の全てにおいて、塩化物アニオンを有する第四級アンモニウム塩は、他の全てより優れていた。さらに、3種類の塩、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、およびビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムクロリドは、2.0equivおよび130℃で、75%超の収率をもたらした。0.1equivの塩のスクリーニングは、いずれの場合も130℃で25%超の収率をもたらさなかった。温度が上昇した場合、収率は、低い投入量で上昇したが(0.1equivの塩の投入で約40%)、しかし、1.0〜2.0equivの間の投入量で、全ての3種の塩について、収率の減少を観察した。
【0102】
添付の特許請求の範囲の材料および方法は、本明細書に記載された特定の材料および方法によって範囲を限定されず、特許請求の範囲の少数の態様の例証として意図され、機能的に同等であるいずれの材料および方法も、この開示の範囲内にある。本明細書に示され、記載された材料および方法に加えて、材料および方法の様々な改変例が、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。さらに、ある代表的な材料、方法、ならびにこれらの材料および方法の態様のみが、特に記載されているが、特に述べられていないとしても、その他の材料および方法ならびに材料および方法の様々な特徴の組合せは、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。したがって、ステップ、要素、成分、または構成物の組合せは、本明細書に明確に言及できるが、しかし、明確に述べられていないとしても、ステップ、要素、成分、および構成物の全てのその他の組合せが含まれる。