【文献】
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【文献】
SUN, H. et al.,Chemical Communications,2007年,p.528-529
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第四級アンモニウムシアニドが、テトラヘキシルアンモニウムシアニド、テトラペンチルアンモニウムシアニド、テトラプロピルアンモニウムシアニド、テトラエチルアンモニウムシアニド、トリブチル(メチル)アンモニウムシアニド、トリブチル(エチル)アンモニウムシアニド、ベンジルトリメチルアンモニウムシアニド、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムシアニド、トリエチル(メチル)アンモニウムシアニド、およびトリメチル(エチル)アンモニウムシアニド、ジメチルピロリジニウムシアニド、ならびにジエチルピロリジニウムシアニドから選択される、請求項1に記載の方法。
前記溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、スルホラン、またはそれらの重水素化類似体の1種または複数種である、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に記載された材料、化合物、組成物、物品、および方法は、開示される主題の特定の態様の以下の詳細な記載、ならびにそこに含まれる実施例および図面を参照することによって、より容易に理解され得る。
【0017】
本材料、化合物、組成物、および方法が、開示され、記載される前に、下に記載されている態様は、もちろん変えてもよいので、特定の合成方法または特定の試薬に限定されないことが理解されるべきである。本明細書に使用されている用語は、特定の態様のみを記載する目的のためにあり、限定することを意図していないこともまた、理解されるべきである。
【0018】
また、本明細書全体を通じて、様々な公表文献が参照される。これらの公表文献全体としての開示は、開示内容が属する技術の現状をより完全に説明するために、ここ本出願に、参照により組み込まれる。開示される参考文献はまた、参考文献が依拠する文章において検討される、参考文献中に含有される材料のために、本明細書に参照により、個別におよび具体的に組み込まれる。
【0019】
一般的定義
本明細書および次の特許請求の範囲において、いくつかの用語が言及され、以下の意味を有すると定義される。
【0020】
本明細書の記載および特許請求の範囲の全体を通じて、語「含む(comprise)」ならびにこの語のその他の変化形、例えば、「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、例えば、その他の添加剤、成分、整数またはステップを含むが限定されないことを意味し、それらを除外することを意図しない。
【0021】
本記載および添付の特許請求の範囲で使用されている通り、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a composition(組成物)」への言及は、2つ以上のかかる組成物の混合物を含み、「the compound(化合物)」への言及は、2つ以上のかかる化合物の混合物を含み、「an agent(剤)」への言及は、2つ以上のかかる剤の混合物を含む、等である。
【0022】
「任意の」または「任意選択で」は、その後に記載される現象または状況が、起こり得るまたは起こり得ないこと、ならび現象または状況が起こる場合および起こらない場合を、記載が含むことを意味する。
【0023】
範囲は、「約」を付した1つの特定の値から、および/または「約」を付した別の特定の値までとして、本明細書に表すことができる。かかる範囲が表される場合、別の態様は、一方の特定の値からおよび/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が、近似値として表される場合、先行語「約」の使用によって、特定の値が、別の態様を形成すると理解されることになる。
【0024】
化学的定義
本明細書に使用されている通り、用語「置換(置換されている)」は、有機化合物の全ての許容できる置換基を含むことが想定される。広い態様において、許容できる置換基は、有機化合物の非環状および環状、分枝状および非分枝状、炭素環式およびヘテロ環式、ならびに芳香族および非芳香族の置換基を含む。例となる置換基は、例えば、下に記載されている置換基を含む。許容できる置換基は、好適な有機化合物にとって、1つまたは複数であり、同じまたは異なり得る。この開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載された有機化合物の水素置換基および/またはいずれかの許容できる置換基を有することができる。この開示は、有機化合物の許容できる置換基によって、どのような形でも限定されることを意図されない。また、用語「置換」または「で置換されている」は、かかる置換が、置換原子および置換基の許容される原子価に従い、置換が、安定した化合物を、例えば、転位、環化、脱離等などによって自然に転換しない化合物をもたらすという暗黙の条件を含む。
【0025】
「Z
1」、「Z
2」、「Z
3」、および「Z
4」は、様々な特定の置換基を表す包括記号として、本明細書で使用されている。これらの記号は、いずれの置換基でもあり得、本明細書に開示されている置換基に限定されず、これらの記号は、1つの例で、ある置換基であると定義されるとき、別の例では、いくつかのその他の置換基として定義され得る。
【0026】
本明細書に使用されている用語「脂肪族の」は、非芳香族の炭化水素基を指し、分枝状および非分枝状、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基を含む。
【0027】
本明細書に使用されている用語「アルキル」は、1から24個の炭素原子の分枝状または非分枝状飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等である。アルキル基はまた、置換または非置換であり得る。アルキル基は、下に記載されている通り、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。
【0028】
明細書全体を通じて、「アルキル」は、非置換アルキル基と置換アルキル基の両方を指すために一般に使用されているが、しかし、置換アルキル基はまた、アルキル基上の特定の置換基(1つまたは複数)を特定することによって、本明細書中で特定して表す。例えば、用語「ハロゲン化アルキル」は、1つまたは複数のハライド、例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素で置換されているアルキル基を特に指す。用語「アルコキシアルキル」は、下に記載されている通り、1つまたは複数のアルコキシ基で置換されているアルキル基を特に指す。用語「アルキルアミノ」は、下に記載されている通り、1つまたは複数のアミノ基等で置換されているアルキル基を特に指す。「アルキル」が1つの例で使用され、「アルキルアルコール」などの特定の用語が別の例で使用されている場合、用語「アルキル」はまた、「アルキルアルコール」等などの特定の用語を指さないと暗示することを意味しない。
【0029】
この慣行はまた、本明細書に記載されたその他の基についても使用される。つまり、「シクロアルキル」などの用語は、非置換シクロアルキル部分と置換シクロアルキル部分の両方を指し、さらに、置換部分は、本明細書で具体的に特定できる。例えば、特定の置換シクロアルキルは、例えば、「アルキルシクロアルキル」と称することができる。同様に、置換アルコキシは特に、例えば、「ハロゲン化アルコキシ」と称することができ、特定の置換アルケニルは、例えば、「アルケニルアルコール」であり得る、等である。この場合も先と同様に、「シクロアルキル」などの一般的な用語および「アルキルシクロアルキル」などの特定の用語を使用する慣行は、一般的な用語がまた、特定の用語を含まないと暗示することを意味しない。
【0030】
本明細書に使用されている用語「アルコキシ」は、単一の、末端のエーテル結合によって結合しているアルキル基である。つまり、「アルコキシ」基は、−OZ
1として定義でき、式中、Z
1は、上に定義されているアルキルである。
【0031】
本明細書に使用されている用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する構造式を有する、2から24個の炭素原子の炭化水素基である。(Z
1Z
2)C=C(Z
3Z
4)などの非対称の構造は、E異性体とZ異性体の両方を含むことが意図される。これは、非対称のアルケンが存在する、または結合記号C=Cによって明確に示すことができる、本明細書中の構造式で推定できる。アルケニル基は、下に記載されている通り、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。
【0032】
本明細書に使用されている用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する構造式を有する、2から24個の炭素原子の炭化水素基である。アルキニル基は、下に記載されている通り、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。
【0033】
本明細書に使用されている用語「アリール」は、ベンゼン、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼン等を含むが、これらに限定されない、いずれかの炭素をベースとする芳香族基を含有する基である。用語「ヘテロアリール」は、芳香族基の環中に組み込まれた少なくとも1つのヘテロ原子を有する、芳香族基を含有する基として定義される。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄、およびリンが挙げられるが、これらに限定されない。用語「アリール」中に含まれる、用語「非ヘテロアリール」は、ヘテロ原子を含有しない芳香族基を含有する基を定義する。アリールまたはヘテロアリール基は、置換または非置換であり得る。アリールまたはヘテロアリール基は、本明細書に記載された、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。用語「ビアリール」は、特定の種類のアリール基であり、アリールの定義に含まれる。ビアリールは、ナフタレンのように、縮合環構造によって一緒に結合している、またはビフェニルのように、1つまたは複数の炭素−炭素結合によって付着している、2種のアリール基を指す。
【0034】
本明細書に使用されている用語「シクロアルキル」は、少なくとも3個の炭素原子から成る、非芳香族の炭素をベースとする環である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヘテロシクロアルキル」は、環の炭素原子の少なくとも1個が、限定されるものではないが、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどのヘテロ原子で置換されている、上に定義されているシクロアルキル基である。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、置換または非置換であり得る。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、本明細書に記載された、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。ある特定の例において、シクロアルキルは、C
3〜
8シクロアルキルである。
【0035】
本明細書に使用されている用語「シクロアルケニル」は、少なくとも3個の炭素原子から成り、少なくとも1つの二重結合、すなわち、C=Cを含有する、非芳香族の炭素をベースとする環である。シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられるが、これらに限定されない。用語「ヘテロシクロアルケニル」は、上に定義されているシクロアルケニル基の一種であり、用語「シクロアルケニル」の意味の中に含まれ、環の炭素原子の少なくとも1つが、限定されるものではないが、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどのヘテロ原子で置換されている。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、置換または非置換であり得る。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、本明細書に記載された、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、またはチオールを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の基で置換され得る。
【0036】
用語「環状基」は、アリール基、非アリール基(例えば、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニル基)のいずれか、または両方を指すために本明細書で使用されている。環状基は、置換もしくは非置換であり得る、1つまたは複数の環系を有する。環状基は、1つもしくは複数のアリール基、1つもしくは複数の非アリール基、または1つもしくは複数のアリール基および1つもしくは複数の非アリール基を含有し得る。
【0037】
本明細書に使用されている用語「アルデヒド」は、式−C(O)Hによって表される。本明細書全体を通じて、「C(O)」または「CO」は、C=Oの簡便な表記法であり、これは本明細書で「カルボニル」とも称する。
【0038】
本明細書に使用されている用語「アミン」または「アミノ」は、式−NZ
1Z
2によって表され、式中、Z
1およびZ
2は、それぞれ、本明細書に記載された置換基、例えば、上に記載された、水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。「アミド」は、−C(O)NZ
1Z
2である。
【0039】
本明細書に使用されている用語「カルボン酸」は、式−C(O)OHによって表される。本明細書に使用されている「カルボキシレート」または「カルボキシル」基は、式−C(O)O
−によって表される。
【0040】
本明細書に使用されている用語「エステル」は、式−OC(O)Z
1または−C(O)OZ
1によって表され、式中、Z
1は、上に記載された、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0041】
本明細書に使用されている用語「エーテル」は、式Z
1OZ
2によって表され、式中、Z
1およびZ
2は、独立して、上に記載された、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0042】
本明細書に使用されている用語「ケトン」は、式Z
1C(O)Z
2によって表され、式中、Z
1およびZ
2は、独立して、上に記載された、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0043】
本明細書に使用されている用語「ハライド」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。対応する用語「ハロ」、例えば、本明細書に使用されている、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードは、対応する基またはイオンを指す。
【0044】
本明細書に使用されている用語「ヒドロキシル」は、式−OHによって表される。
【0045】
本明細書に使用されている用語「シアノ」は、式−CNによって表される。シアン化物は、シアン化物イオンCN
−を指すために使用される。
【0046】
本明細書に使用されている用語「ニトロ」は、式−NO
2によって表される。
【0047】
本明細書に使用されている用語「シリル」は、式−SiZ
1Z
2Z
3によって表され、式中、Z
1、Z
2およびZ
3は、独立して、上に記載された、水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0048】
用語「スルホニル」は、式−S(O)
2Z
1によって表されるスルホオキソ基を指すために本明細書で使用され、式中、Z
1は、上に記載された、水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であり得る。
【0049】
本明細書に使用されている用語「スルホニルアミノ」または「スルホンアミド」は、式−S(O)
2NH−によって表される。
【0050】
本明細書に使用されている用語「チオール」は、式−SHによって表される。
【0051】
本明細書に使用されている用語「チオ」は、式−S−によって表される。
【0052】
本明細書に使用されている、「R
1」、「R
2」、「R
3」、nが何らかの整数である「R
n」等は、独立して、上の掲載された基の1つまたは複数を有し得る。例えば、R
1が直鎖アルキル基である場合、アルキル基の水素原子の1個は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミン基、アルキル基、ハライド等で、任意選択で置換され得る。選択される基に応じて、第一の基は、第二の基の中に組み込まれることができる、または、代替として、第一の基は、第二の基につり下がる(つまり、付着する)ことができる。例えば、句「アミノ基を含むアルキル基」によって、アミノ基は、アルキル基の骨格中に組み込まれることができる。代替として、アミノ基は、アルキル基の骨格に付着することができる。選択される基(1つまたは複数)の性質によって、第一の基は、包埋されるのか、または第二の基に付着するのかが決まることになる。
【0053】
反対の記述がない限り、くさび形または破線でなく、実線のみで示される化学結合を有する式は、それぞれのあり得る異性体、例えば、それぞれの鏡像異性体、ジアステレオマー、およびメソ化合物、ならびに異性体の混合物、例えばラセミまたはスケールミック(scalemic)混合物を想定する。
【0054】
開示されている材料、化合物、組成物、物品、および方法の特定の態様について、詳細にわたって今ここで言及されることになり、その例は、添付の実施例および図面において例証される。
【0055】
方法
本明細書に開示されているのは、予備形成を必要とせず、無水テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF
*)のその場生成によって、アリールまたはヘテロアリール基質をフッ素化する方法である。これらの方法は、様々な溶媒において要求にかない、伝統的なハレックス法によって合成するのが難しいクロロピリジンをフッ素化するために、有効に使用できる。この技術の別の利点は、室温でフッ素化を実施する能力である。
【0056】
特に、本明細書に開示されているのは、フッ素化アリールまたはヘテロアリール基質を調製する方法であって、第四級アンモニウムシアニドおよび少なくとも1つのクロロ、ブロモ、スルホニル、またはニトロ基で置換されている、アリールまたはヘテロアリール基質を組み合わせ、それによって混合物を生成することと、ヘキサフルオロベンゼンおよび混合物を組み合わせ、それによってフッ素化アリールまたはヘテロアリール基質を生成することとを含む、方法である。また開示されているのは、少なくとも1つのクロロ、ブロモ、スルホニル、またはニトロ基で置換されている、アリールまたはヘテロアリール基質を、ヘキサフルオロベンゼンと組み合わせること、ならびに結果として得られた混合物を第四級アンモニウムシアニドと組み合わせることを含む、フッ素化アリールまたはヘテロアリール基質を調製する方法である。これらの方法によって、TBAF
*は、事前に生成され、次に基質と組み合わせるのではなく、その場で基質の存在下で生成される。したがって、開示される方法は、TBAF
*の予備形成を伴わない。添加の順序は、活性化されたクロロピリジンの望まれない反応性を抑制してシアノピリジンを形成するために、変えることができる。
【0057】
様々な第四級アンモニウムシアニドが、開示される方法において使用できる。これらの塩は、式(R’)
4NCNによって表すことができる。R’置換基の4つ全てが同じ場合、第四級アンモニウムシアニドは、「対称第四級アンモニウムシアニド」と呼ぶことができる。R’置換基の1つまたは複数が、その他のR’置換基と異なる場合、第四級アンモニウムシアニドは、「非対称第四級アンモニウムシアニド」と呼ぶことができる。本明細書に使用できる対称第四級アンモニウムシアニドの例は、式(R’)
4NCNによって表すことができ、式中、全てのR’置換基が、置換もしくは非置換C
1〜C
12アルキル、置換もしくは非置換C
2〜C
12アルケニル、置換もしくは非置換C
2〜C
12アルキニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。置換されている場合、上述のR’置換基は、以下の置換基の1つまたは複数で置換され得る:アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、およびチオール。特定の例において、対称第四級アンモニウムシアニドは、テトラC
1〜6アルキルアンモニウムシアニド、例えば、テトラヘキシルアンモニウムシアニド、テトラペンチルアンモニウムシアニド、テトラブチルアンモニウムシアニド、テトラプロピルアンモニウムシアニド、テトラエチルアンモニウムシアニド、およびテトラメチルアンモニウムシアニドであり得る。
【0058】
本明細書に使用できる非対称第四級アンモニウムシアニドの例は、式(R’)
4NCNによって表すことができ、式中、それぞれのR’置換基は、置換もしくは非置換C
1〜C
12アルキル、置換もしくは非置換C
2〜C
12アルケニル、置換もしくは非置換C
2〜C
12アルキニル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換ヘテロアリールから独立して選択され、式中、少なくとも1つのR’は、その他のR’置換基と異なる。置換されている場合、上述のR’置換基は、以下の置換基の1つまたは複数で置換され得る:アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、およびチオール。R’のための1つの特定の置換基は、フェニルで置換されているメチル、すなわち、ベンジルである。特定の例において、それぞれのR’は、他とは独立して、いずれかの、任意選択で置換されているC
1〜12アルキルであり、式中、少なくとも1つのR’は、その他のR’置換基と異なる。非対称第四級アンモニウムシアニドの特定の例としては、トリブチル(メチル)アンモニウムシアニド、トリブチル(エチル)アンモニウムシアニド、ベンジルトリメチルアンモニウムシアニド、トリエチル(メチル)アンモニウムシアニド、およびトリメチル(エチル)アンモニウムシアニドが挙げられる。非対称第四級アンモニウムシアニドのさらなる例は、組み合わさって環状部分を形成する、2つのR’置換基、例えば、ピロリジンまたはピペリジンを有することができ、その他の2つのR’置換基は、いずれかのC
1〜12アルキルであり得る。これらの塩の特定の例としては、ジメチルピロリジニウムシアニドおよびジエチルピロリジニウムシアニドが挙げられる。さらなるその他の例において、第四級アンモニウム塩は、ホスホラニリデン置換基を有することができ、その中の1つの例としては、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムシアニドが挙げられる。
【0059】
本明細書に開示される第四級アンモニウムシアニドは、アセトニトリル中、水性シアン化ナトリウムで、対応する第四級アンモニウムハライドを処理することによって調製できる。
【0060】
開示される方法において、第四級アンモニウムシアニドおよびアリールまたはヘテロアリール基質は、溶媒の存在下で組み合わせることができる。代替として、第四級アンモニウムシアニドおよび基質は、いずれの溶媒もなく、そのままで、組み合わせることができ、次に、溶媒を、ヘキサフルオロベンゼンと組み合わせる前に、結果として生じた混合物に添加できる。代替としてまたは追加として、ヘキサフルオロベンゼン、および第四級アンモニウムシアニドと基質との混合物を、溶媒の存在下で組み合わせる。
【0061】
様々な、適切な溶媒が使用できる。例えば、溶媒は、極性非プロトン性溶媒であり得る。特定の例において、溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、スルホラン、またはそれらの重水素化類似体の1種または複数種であり得る。ある例において、溶媒は、アセトニトリルまたはその重水素化類似体であり得る。その他の例において、溶媒は、ジメチルスルホキシドまたはその重水素化類似体であり得る。本明細書に開示される方法は、単独でまたはその他の溶媒と組み合わせて、これらの溶媒のいずれかを使用できる。
【0062】
開示される方法において使用される場合、溶媒の量は、特定のアリールまたはヘテロアリール基質に応じて変えることができる。ある例において、アリールまたはヘテロアリール基質1当量当たり約0.5〜約5当量の溶媒を使用できる。例えば、アリールまたはヘテロアリール基質1当量当たり、約0.5〜約4.5当量、約0.5〜約4当量、約0.5〜約3.5当量、約0.5〜約3当量、約0.5〜約2.5当量、約0.5〜約2当量、約0.5〜約1.5当量、約0.5〜約1当量、約1〜約5当量、約1〜約4.5当量、約1〜約4当量、約1〜約3.5当量、約1〜約3当量、約1〜約2.5当量、約1〜約2当量、約1〜約1.5当量、約1.5〜約5当量、約1.5〜約4.5当量、約1.5〜約4当量、約1.5〜約3.5当量、約1.5〜約3当量、約1.5〜約2.5当量、約1.5〜約2当量、約2〜約5当量、約2〜約4.5当量、約2〜約4当量、約2〜約3.5当量、約2〜約3当量、約2〜約2.5当量、約2.5〜約5当量、約2.5〜約4.5当量、約2.5〜約4当量、約2.5〜約3.5当量、約2.5〜約3当量、約3〜約5当量、約3〜約4.5当量、約3〜約4当量、約3〜約3.5当量、約3.5〜約5当量、約3.5〜約4.5当量、約3.5〜約4当量、約4〜約5当量、約4〜約4.5当量、または約4.5〜約5当量の溶媒を使用できる。
【0063】
第四級アンモニウムシアニドおよびアリールまたはヘテロアリール基質を組み合わせることは、当技術分野において既知の方法によって達成できる。例えば、第四級アンモニウムシアニドを、アリールまたはヘテロアリール基質に添加できる。典型的には、添加に、混合、撹拌、振動またはかき混ぜるその他の形態を伴うことができる。代替として、アリールまたはヘテロアリール基質を、第四級アンモニウムシアニドに添加できる。この場合も先と同様に、この添加に、混合、撹拌、振動またはかき混ぜるその他の形態を伴うことができる。さらに別の例において、第四級アンモニウムシアニドおよびアリールまたはヘテロアリール基質を、同時に一緒に添加できる。さらに、これらの材料の添加は、高温で、例えば、約30℃〜約225℃、約50℃〜約200℃、約100℃〜約150℃、約100℃〜約225℃、約150℃〜約225℃、約30℃〜約100℃、約50℃〜約100℃、または約30℃〜約50℃で行うことができる。しかし、開示される方法の1つの特別な利点は、方法が、室温で実施できることである。したがって、ある例において、第四級アンモニウムシアニドおよびアリールまたはヘテロアリール基質は、室温で組み合わせることができる。
【0064】
第四級アンモニウムシアニドの量は、特定のアリールまたはヘテロアリール基質に応じて変えることができる。ある例において、アリールまたはヘテロアリール基質1当量当たり約0.5〜約10当量の第四級アンモニウムシアニドを使用できる。例えば、アリールまたはヘテロアリール基質1当量当たり、約0.5〜約9当量、約0.5〜約8当量、約0.5〜約7当量、約0.5〜約6当量、約0.5〜約5当量、約0.5〜約4当量、約0.5〜約3当量、約0.5〜約2当量、約1〜約10当量、約1〜約9当量、約1〜約8当量、約1〜約7当量、約1〜約6当量、約1〜約5当量、約1〜約4当量、約1〜約3当量、約2〜約10当量、約2〜約9当量、約2〜約8当量、約2〜約7当量、約2〜約6当量、約2〜約5当量、約2〜約4当量、約2〜約3当量、約3〜約10当量、約3〜約9当量、約3〜約8当量、約3〜約7当量、約3〜約6当量、約3〜約5当量、約3〜約4当量、約4〜約10当量、約4〜約9当量、約4〜約8当量、約4〜約7当量、約4〜約6当量、約4〜約5当量、約5〜約10当量、約5〜約9当量、約5〜約8当量、約5〜約7当量、約5〜約6当量、約6〜約10当量、約6〜約9当量、約6〜約8当量、約6〜約7当量、約7〜約10当量、約7〜約9当量、約7〜約8当量、約8〜約10当量、約8〜約9当量、約9〜約10当量、または約0.5〜約1当量の第四級アンモニウムシアニドを使用できる。
【0065】
次に、第四級アンモニウムシアニドおよびアリールまたはヘテロアリール基質を添加することによって得られた、結果として生じる混合物を、ヘキサフルオロベンゼンと組み合わせる。この組み合わせることは、当技術分野において既知の方法によって達成できる。例えば、混合物を、ヘキサフルオロベンゼンに添加できる。典型的には、添加に、混合、撹拌、振動またはかき混ぜるその他の形態を伴うことができる。代替として、ヘキサフルオロベンゼンを、混合物に添加できる。この場合も先と同様に、この添加に、混合、撹拌、振動またはかき混ぜるその他の形態を伴うことができる。さらに別の例において、混合物およびヘキサフルオロベンゼンを、同時に一緒に添加できる。
【0066】
さらに、これらの材料の添加は、高温で、例えば、約30℃〜約225℃、約50℃〜約200℃、約100℃〜約150℃、約100℃〜約225℃、約150℃〜約225℃、約30℃〜約100℃、約50℃〜約100℃、または約30℃〜約50℃で行うことができる。しかし、開示される方法の1つの特別な利点は、方法が、室温で実施できることである。したがって、ある例において、第四級アンモニウムシアニドおよびアリールまたはヘテロアリール基質を含む混合物は、室温でヘキサフルオロベンゼンと組み合わせることができる。
【0067】
ヘキサフルオロベンゼンの量は、特定のアリールまたはヘテロアリール基質に応じて変えることができる。ある例において、アリールまたはヘテロアリール基質1当量当たり約0.1〜約5当量のヘキサフルオロベンゼンを使用できる。例えば、アリールまたはヘテロアリール基質1当量当たり、約0.5〜約4.5当量、約0.5〜約4当量、約0.5〜約3.5当量、約0.5〜約3当量、約0.5〜約2.5当量、約0.5〜約2当量、約0.5〜約1.5当量、約0.5〜約1当量、約1〜約5当量、約1〜約4.5当量、約1〜約4当量、約1〜約3.5当量、約1〜約3当量、約1〜約2.5当量、約1〜約2当量、約1〜約1.5当量、約1.5〜約5当量、約1.5〜約4.5当量、約1.5〜約4当量、約1.5〜約3.5当量、約1.5〜約3当量、約1.5〜約2.5当量、約1.5〜約2当量、約2〜約5当量、約2〜約4.5当量、約2〜約4当量、約2〜約3.5当量、約2〜約3当量、約2〜約2.5当量、約2.5〜約5当量、約2.5〜約4.5当量、約2.5〜約4当量、約2.5〜約3.5当量、約2.5〜約3当量、約3〜約5当量、約3〜約4.5当量、約3〜約4当量、約3〜約3.5当量、約3.5〜約5当量、約3.5〜約4.5当量、約3.5〜約4当量、約4〜約5当量、約4〜約4.5当量、または約4.5〜約5当量のヘキサフルオロベンゼンを使用できる。
【0068】
開示される方法の特定の例において、第四級アンモニウムシアニドを式IAまたはIB
【0069】
【化3】
(式中、
Aは、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
Bは、H、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
Cは、H、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
R
1は、H、CN、またはCO
2R
3であり、それぞれのR
3が、互いに独立して、任意選択で置換されているC
1〜C
12アルキル、C
2〜C
12アルケニル、C
2〜C
12アルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはアリールであり、
R
2は、H、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである)
のヘテロアリール基質と組み合わせることができ、フッ素化生成物は、式IIAまたはIIB
【0070】
【化4】
(式中、Dは、上に定義されているBまたはFであり、Gは、上に定義されているBまたはFである)
を有する。
【0071】
開示される方法は、競合する生成物、二フッ素化またはパラフッ素化生成物が、式IIAまたはIIBの生成物の量より少ない量で存在するという点で、選択的であり得る。例えば、ビスフッ素化またはパラフッ素化生成物の量は、上に定義されている通り、DがBであり、GがBである場合、式IIAまたはIIBの生成物の量より少ない。
【0072】
さらなる例において、フッ素化へテロアリール基質は、第四アンモニウムシアニド、ヘキサフルオロベンゼン、溶媒および式IAまたはIB
【0073】
【化5】
(式中、
Aは、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
Bは、H、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
Cは、H、Cl、Br、SO
2R
3、またはNO
2であり、
R
1は、H、CN、またはCO
2R
3であり、それぞれのR
3が、互いに独立して、任意選択で置換されているC
1〜C
12アルキル、C
2〜C
12アルケニル、C
2〜C
12アルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはアリールであり、
R
2は、H、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである)
を有するヘテロアリール基質を混合することによって調製できる。この方法において、試薬は、TBAF
*が、事前ではなくその場で、基質の存在下で生成されるように組み合わせる。この方法において使用できる第四級アンモニウムシアニドは、上に開示されている通りであり、例えば、第四級アンモニウムシアニドは、テトラブチルアンモニウムシアニドまたはテトラメチルアンモニウムシアニドであり得る。同様に、ここで使用される溶媒は、上に開示された、1種または複数種の溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、またはそれらの重水素化類似体であり得る。さらにまた、これらの試薬を、上に述べたのと同じ方法、同じ温度、同じ量で混合できる。しかし、この方法の利点は、混合することが、室温で実施できることである。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、開示される主題による、方法、組成物、および結果を例証するために、下に記述されている。これらの実施例は、本明細書に開示される主題の全ての態様を包括することを意図せず、むしろ、代表となる方法、組成物、および結果を例証するためにある。これらの実施例は、当業者にとって明白である、本発明の均等物および変更例を除外することを意図しない。
【0075】
数字(例えば、量、温度等)に関して正確性を保証する努力がなされてきたが、いくつかの誤りおよび偏差は、説明されるはずである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、温度は摂氏(℃)または周囲温度であり、圧力は、大気圧またはほぼ大気圧である。反応条件、例えば、成分濃度、温度、圧力、ならびに記載されたプロセスから得られた、生成物の純度および収率を最適化するために使用できる、その他の反応範囲および条件の多数の変更例および組合せがある。合理的で通例の実験方法のみが、かかる方法の条件を最適化するために必要となるであろう。
【0076】
予備形成されたTBAF
*によるフッ素化のための一般的手順
12時間(h)、40℃、真空下で乾燥させたテトラブチルアンモニウムシアニド(TBACN;2.0〜4.0当量(equiv))を、4ミリリットル(mL)のバイアル(バイアル1)に、計量して入れた。ジメチルスルホキシド(DMSO;x mL)を添加し、混合物を、全てのTBACNが溶解するまで(5分(min)未満)、室温で撹拌した。ヘキサフルオロベンゼン(C
6F
6;0.033〜0.0667equiv)を添加し、急速な色の変化を観察した。この溶液を、1h、室温(rt)で撹拌した。クロロピリジン基質(1.0equiv)を、マイクロ撹拌子を装備した別の4mLのバイアルに計量して入れ、好適な量の予備形成されたTBAF
*(バイアル1から)を、シリンジによって添加した。バイアルを、テフロンライナー付きねじキャップで密封し、反応用バイアルを、窒素(N
2)ドライボックスから取り出した。反応物を、IKA(登録商標)加熱/撹拌プレートに載せ、所与の時間(24h)、室温で撹拌した。反応が完了した後、反応物をジクロロメタン(DCM)で希釈し、内部標準物質を添加した。収率を、
19F核磁気共鳴(NMR)分光法によって測定した。
【0077】
その場生成されたTBAF
*による複素環のフッ素化のための一般的手順
クロロピリジン基質(1.0equiv)およびTBACN(2.0〜4.0equiv)を、マイクロ撹拌子を装備した4mLのバイアルに添加した。DMSOを添加し、混合物を、全ての固体が溶解するまで(5min未満)、室温で撹拌した。C
6F
6(0.033〜0.0667equiv)を添加し、急速な色の変化を観察した。バイアルを、テフロンライナー付きねじキャップで密封し、反応用バイアルを、N
2ドライボックスから取り出した。反応物を、IKA(登録商標)加熱/撹拌プレートに載せ、所与の時間(24h)、室温で撹拌した。反応が完了した後、反応物をDCMで希釈し、内部標準物質を添加した。収率を、
19F NMR分光法によって測定した。アリール基質による手順は、類似のステップに従う。
【0078】
DS−2による予備形成されたTBAF
*
クロロピコリネート核を含む基質DS−2を、モデル基質として使用した。DiMagnoら(J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 2050-2051; Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 2720-2725)に類似した条件を適用して、24h以内に、フルオロピコリネートDS−2への完全な転換をもたらした。収率の増加を、予備形成されたTBAF
*の当量を増加することで観察した(
図1)。
【0079】
DS−2によるその場TBAF
*
TBAF
*の予備備形成は、室温でのフッ素化を推進するのに必要でないことが分かった。基質およびTBACN、続いて、DMSOおよび好適な量のC
6F
6を、計量して反応容器に入れることで、優秀な収率で所望の生成物を得た(表1)。
【0080】
【化6】
【0081】
スキーム1に関して:(1.)TBACN(2.0〜4.0equiv);DMSO(0.72mL);5min、rtで撹拌。(2.)C
6F
6(0.33〜0.66equiv);24h、rtで撹拌。
【0082】
【表1】
【0083】
様々な溶媒によるその場TBAF
*
DMSOに加えて、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびアセトニトリル(MeCN)は、上に記載された、その場TBAF
*方法によって、室温で高い反応性を有する所望のフッ素化を促進した(表2)。
【0084】
スキーム1に関して:(1.)TBACN(2.0equiv);溶媒;5min、rtで撹拌。(2.)C
6F
6(0.33〜0.66equiv);24h、rtで撹拌。
【0085】
【表2】
【0086】
様々な基質によるその場TBAF
*
モデル基質DS−2に加えて、その他のクロロピコリネート、および単純なクロロピリジンが、開示された方法によってフッ素化を起こした。5−クロロピコリネートは、スキーム2(上段)において実証された通り完全な転換に進んだ。しかし、5−フルオロピコリン酸は、フッ化物により脱プロトン化し、それによって、求核芳香族置換に対して基質を不活化したことにおそらく起因して、少量で形成されただけであった。より単純なクロロピリジンは、DiMagnoらによって観察された反応性によるこの方法のための基質ほど有効でなかった。全収率は、望まれないビス−シアノピコリネート生成物の生成に起因して減少したが、4,5−ジクロロ−6−アリールピコリネート(スキーム2、下段)は、最初に、より活性化されている4位でのフッ素化、続いて、それほど活性化されていない5位でのフッ素化を実証した。
【0087】
【化7】
【0088】
望まれないビス−シアノピコリネートの形成を避けるために、添加の順番を、逆にした。テトラブチルアンモニウムシアニドを、DMSO(またはMeCN)中に溶解し、続いて、C
6F
6を添加した(スキーム3)。次に、4,5−ジクロロ−6−アリールピコリネート基質を添加し、反応物を、24h、室温で撹拌した。この方法は、予備形成を必要すらせず、R=Hについて全収率95%、R=4−OMeについて90%、およびR=Clについて75%という、先の方法に対する改善をもたらした(表3)。
【0089】
【化8】
【0090】
【表3】
【0091】
添付の特許請求の範囲の材料および方法は、本明細書に記載された特定の材料および方法によって範囲を限定されず、特許請求の範囲の少数の態様の例証として意図され、機能的に同等であるいずれの材料および方法も、この開示の範囲内にある。本明細書に示され、記載された材料および方法に加えて、材料および方法の様々な改変例が、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。さらに、ある代表的な材料、方法、ならびにこれらの材料および方法の態様のみが、特に記載されているが、特に述べられていないとしても、その他の材料および方法ならびに材料および方法の様々な特徴の組合せは、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。したがって、ステップ、要素、成分、または構成物の組合せは、本明細書に明確に言及できるが、しかし、明確に述べられていないとしても、ステップ、要素、成分、および構成物の全てのその他の組合せが含まれる。
【0092】
対照のための要約例:
表4について、反応スキームに示された通り、その場生成されたTBAF
*についての収率を、1番の実験項目において示す。記述された最初のパーセント収率は、フッ素NMRによるものであり、カッコ内のパーセント収率は、単離収率である。これらの結果を、記述の通り、様々なその他の条件を使用するフッ素化に関して、表4に示す。反応の全てを、DMSO中で行った。
【0093】
【化9】
【0094】
【表4】
【0095】
非対称第四級アンモニウム塩
*
非対称第四級アンモニウムシアニド、すなわちテトラブチル(メチル)−アンモニウムシアニドを、スキーム4に示された通り、対応するアンモニウムクロリドおよびシアン化ナトリウムから調製した。室温で、DMSO中、ヘキサフルオロベンゼンでの処理による、その場生成されたフッ化物塩は、収率80%でスキーム4のフッ素化基質をもたらす。
【0096】
【化10】
本発明は以下を提供する。
[1] フッ素化アリールまたはヘテロアリール基質を調製する方法であって、
(a)第四級アンモニウムシアニドおよび少なくとも1つのクロロ、ブロモ、スルホニル、またはニトロ基で置換されている、アリールまたはヘテロアリール基質を組み合わせ、それによって混合物を生成することと
(b)ヘキサフルオロベンゼンおよび前記混合物を組み合わせ、それによってフッ素化アリールまたはヘテロアリール基質を生成することと
を含む、方法。
[2] 前記第四級アンモニウムシアニドが、テトラブチルアンモニウムシアニドである、上記[1]に記載の方法。
[3] 前記第四級アンモニウムシアニドが、テトラメチルアンモニウムシアニドである、上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記第四級アンモニウムシアニドが、テトラヘキシルアンモニウムシアニド、テトラペンチルアンモニウムシアニド、テトラプロピルアンモニウムシアニド、テトラエチルアンモニウムシアニド、トリブチル(メチル)アンモニウムシアニド、トリブチル(エチル)アンモニウムシアニド、ベンジルトリメチルアンモニウムシアニド、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムシアニド、トリエチル(メチル)アンモニウムシアニド、およびトリメチル(エチル)アンモニウムシアニド、ジメチルピロリジニウムシアニド、ならびにジエチルピロリジニウムシアニドから選択される、上記[1]から[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記第四級アンモニウムシアニドおよび前記アリールまたはヘテロアリール基質を、溶媒の存在下で組み合わせる、上記[1]から[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記ヘキサフルオロベンゼンおよび前記混合物を、溶媒の存在下で組み合わせる、上記[1]から[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記混合物をヘキサフルオロベンゼンと組み合わせる前に、溶媒を前記混合物に添加することをさらに含む、上記[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記溶媒が、極性非プロトン性溶媒である、上記[5]から[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 前記溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、スルホラン、またはそれらの重水素化類似体の1種または複数種である、上記[5]から[7]のいずれか一項に記載の方法。
[10] 前記溶媒が、アセトニトリルまたはその重水素化類似体である、上記[5]から[7]のいずれか一項に記載の方法。
[11] 前記溶媒が、ジメチルスルホキシドまたはその重水素化類似体である、上記[5]から[7]のいずれか一項に記載の方法。
[12] 前記アリールまたはヘテロアリール基質1当量当たり約0.5〜約5当量の前記溶媒が使用される、上記[5]から[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13] 前記第四級アンモニウムシアニドおよび前記アリールまたはヘテロアリール基質を、ほぼ室温で組み合わせる、上記[1]から[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14] 前記ヘキサフルオロベンゼンおよび前記混合物を、ほぼ室温で組み合わせる、上記[1]から[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15] 前記アリールまたはヘテロアリール基質1当量当たり約0.5〜約10当量の前記第四級アンモニウムシアニドが使用される、上記[1]から[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16] 前記アリールまたはヘテロアリール基質1当量当たり約0.1〜約5当量のヘキサフルオロベンゼンが使用される、上記[1]から[15]のいずれか一項に記載の方法。
[17] 前記第四級アンモニウムシアニドを、前記ヘテロアリール基質と組み合わせ、前記ヘテロアリール基質が、式IAまたはIB
【化11】
(式中、
Aは、Cl、Br、SO2R3、またはNO2であり、
Bは、H、Cl、Br、SO2R3、またはNO2であり、
Cは、H、Cl、Br、SO2R3、またはNO2であり、
R1は、H、CN、またはCO2R3であり、それぞれのR3が、互いに独立して、任
意選択で置換されているC1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12
アルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはアリール
であり、
R2は、H、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリール
である)
を有し、
前記フッ素化生成物が、式IIAまたはIIB
【化12】
(式中、Dは、BまたはFであり、Gは、BまたはFである)
を有する、上記[1]から[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18] 二フッ素化またはパラフッ素化生成物が、式IIAまたはIIBの量よりより少ない量で存在する、上記[17]に記載の方法。
[19] フッ素化ヘテロアリール基質を調製する方法であって、第四級アンモニウムシアニド、ヘキサフルオロベンゼン、溶媒、および式IAまたはIB
【化13】
(式中、
Aは、Cl、Br、SO2R3、またはNO2であり、
Bは、H、Cl、Br、SO2R3、またはNO2であり、
Cは、H、Cl、Br、SO2R3、またはNO2であり、
R1は、H、CN、またはCO2R3であり、それぞれのR3が、互いに独立して、任
意選択で置換されているC1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12
アルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはアリール
であり、
R2は、H、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリール
である)
を有するヘテロアリール基質を混合することを含む、方法。
[20] 前記第四級アンモニウムシアニドが、テトラブチルアンモニウムシアニドまたはテトラメチルアンモニウムシアニドである、上記[19]に記載の方法。
[21] 前記第四級アンモニウムシアニドが、テトラヘキシルアンモニウムシアニド、テトラペンチルアンモニウムシアニド、テトラプロピルアンモニウムシアニド、テトラエチルアンモニウムシアニド、トリブチル(メチル)アンモニウムシアニド、トリブチル(エチル)アンモニウムシアニド、ベンジルトリメチルアンモニウムシアニド、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムシアニド、トリエチル(メチル)アンモニウムシアニド、およびトリメチル(エチル)アンモニウムシアニド、ジメチルピロリジニウムシアニド、ならびにジエチルピロリジニウムシアニドから選択される、上記[19]に記載の方法。
[22] 前記溶媒が、極性非プロトン性溶媒である、上記[19]または[20]に記載の方法。
[23] 前記溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、またはそれらの重水素化類似体の1種または複数種である、上記[19]から[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24] 混合することが、ほぼ室温で行われる、上記[19]から[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25] 上記[1]から[24]のいずれか一項に記載の方法によって形成される、化合物。