(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用者を収容する発汗室と、この発汗室の空気を加熱する空気加熱手段と、マイナスイオンを含むミストを生成するミスト発生装置と、前記ミストを前記発汗室に供給して当該発汗室内の空気を循環させる送風機と、動作を制御する制御装置と、を有する無効発汗促進装置であって、
前記発汗室の室温を計測する温度センサと、
前記発汗室の相対湿度を計測する湿度センサと、を有し、
前記制御装置は、
前記室温と前記相対湿度から前記発汗室の露点温度を求める露点温度判定手段と、
前記使用者の体温を設定する体温設定手段と、を備え、
前記露点温度判定手段によって求めた露点温度が前記体温よりも高くなり、かつ前記相対湿度が90から98%になるように前記空気加熱手段、および前記ミスト発生装置を制御すること、
を特徴とする無効発汗促進装置。
【背景技術】
【0002】
腎臓機能の低下した腎不全患者では人工腎臓による透析によって、第1に、タンパク質の終末産物(腎毒性物質)の除去、第2に、電解質の補正、第3に、尿量減少や無尿によってもたらされる溢水状態を除去するために、体内の過剰な水分を排出させなければならない。
人工腎臓関連機器の驚くほどの進化によってBUN、Crなどの腎毒性物質の除去は短時間にほぼ正常値まで除去できるようになっているが溢水については透析療法以外にいまだに解決方法はない。
【0003】
図12を参照しながら、透析患者における透析と体内の余剰水分量(透析患者の適正な標準体重における水分量に対して増加した水分量)との関係を説明する。
図11は従来の透析患者の曜日ごとの体重の推移を示すグラフであり、縦軸が体内の余剰水分量(kg)、横軸が曜日ごとの経過(day)を示す。
【0004】
一般に透析は、
図12に示すように、隔日に必要とされ月・水・金曜日または火・木・土曜日のように1回あたり約6時間かけて実施されているが、日曜日は病院の透析担当スタッフの都合などからやむをえず透析が実施できない施設が多いのが現状である。
このため日曜日をはさんで中2日透析ができなければ隔日透析に比べ水分が蓄積されて月曜日朝まで徐々にうっ血性心不全発症リスクが高くなる(
図12のハッチング部分が余剰水分量を示す)。
この状態に至らないようにするために透析患者は日曜日から月曜日にかけて水分の摂取を極度に制限しなければならない過酷な生活環境を強いられている。
【0005】
透析ではあらかじめ設定している個々の患者の標準体重を目指して除水をするが、無尿のため透析後は徐々に体内の水分量は増加していく。
【0006】
データでは隔日透析(透析間隔42時間)で体重は標準体重より2.1kg(水分量
2,100ml)に増加している。透析間隔が中2日あいた場合(透析間隔66時間)には3.15kg(水分量3,150ml)増加するために土、日曜日に増加する水分量、つまり、3,150ml−2,100ml=1,050mlがうっ血性心不全のリスクを高めるおそれがある。
(体内水分量の変動は成人 男58名:女31名 計89名のデータによる。)
【0007】
他方、一般に、温熱感を感じて体が温まる浴槽での入浴、高温のドライサウナ装置や中高温のミストサウナ装置等によって発汗が促されることが知られている(例えば、特許文献1等)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、入浴や中高温サウナ等では、水圧や室温が高く好適な無効発汗環境を持続するものではないので、使用者の負担が大きくなり、透析患者のように基本的に常時肺うっ血があり呼吸や心臓に負荷をかかえているような体力的な弱者が使用するのはサウナ室内の熱さによってほぼ不可能な状況であった。
【0010】
ここで、汗が蒸発する気化熱によって体温を下げる働きをする発汗を有効発汗というが、無効発汗とは、汗が蒸発せずに、そのまま結露して玉のような水滴になるので体温を下げる働きがない発汗をいう。
【0011】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、使用者の体力的な負担を軽減して快適な無効発汗を促進し、特に透析患者などの体力的な弱者が容易に使用することができる無効発汗促進装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、請求の範囲第1項に記載の発明は、使用者を収容する発汗室と、この発汗室の空気を加熱する空気加熱手段と、マイナスイオンを含むミスト(ナノミスト)を生成するミスト発生装置と、前記ミストを前記発汗室に供給して当該発汗室内の空気を循環させる送風機と、動作を制御する制御装置と、を有する無効発汗促進装置であって、前記発汗室の室温を計測する温度センサと、前記発汗室の相対湿度を計測する湿度センサと、を有し、前記制御装置は、前記室温と前記相対湿度から前記発汗室の露点温度を求める露点温度判定手段と、前記使用者の体温を設定する体温設定手段と、を備え、前記露点温度判定手段によって求めた露点温度が前記体温よりも高くなるように前記空気加熱手段、および前記ミスト発生装置を制御すること、を特徴とする。
【0013】
かかる構成により、本発明に係る無効発汗促進装置は、前記使用者の体温を設定する体温設定手段を備えたことで、使用者の体温を適正に設定することができるため、使用者の体温に合わせて、使用者の負担を軽減好適な露点温度を判定する。
【0014】
そして、前記露点温度判定手段によって求めた露点温度が前記体温よりも高くなるように前記空気加熱手段、および前記ミスト発生装置を制御することで、体温よりも発汗室の露点温度が少し高くなるように制御することができるため、使用者の体力的な負担を軽減しながら無効発汗を促進することができる快適な環境に制御する。
【0015】
このため、本発明に係る無効発汗促進装置は、透析患者のような体力的な弱者であっても快適な無効発汗を促進することができるため、体内の水分量を好適に調整して、溢水状態になるのを予防することができる。
【0016】
請求の範囲第2項に記載の発明は、請求の範囲第1項に記載の無効発汗促進装置であって、前記体温設定手段は、前記使用者が入力して設定する申告体温、または予め設定したみなし体温を前記使用者の体温であると判定すること、を特徴とする。
【0017】
かかる構成により、請求の範囲第2項に記載の発明は、前記使用者が入力して設定する申告体温または予め設定したみなし体温を使用者の体温として設定することで、簡易な構成により利用者の体温を適正に設定することができる。
使用者の申告体温は、入浴等の条件を考慮して使用者が使用時に入力して設定する。みなし体温は、使用者が使用条件等を考慮して予め初期設定条件として設定することができる。
【0018】
請求の範囲第3項に記載の発明は、請求の範囲第1項または請求の範囲第2項に記載の無効発汗促進装置であって、前記制御装置は、前記使用者が設定した前記室温が37〜42℃の範囲における所定の設定温度に基づいて、前記空気加熱手段によって前記室温を前記所定の設定温度に制御し、前記設定温度に基づいて、前記ミスト発生装置を制御して前記露点温度が前記体温よりも高くなるように前記発汗室の相対湿度を調整すること、を特徴とする。
【0019】
かかる構成により、請求の範囲第3項に記載の発明は、前記室温を使用者の好みで設定した37〜42℃の範囲内において、露点温度が前記体温よりも高くなるように前記発汗室の相対湿度を調整することで、体力的な弱者やより温熱感を好む使用者まで幅広く快適な無効発汗環境を提供することができる。
【0020】
請求の範囲第4項に記載の発明は、請求の範囲第1項または請求の範囲第2項に記載の無効発汗促進装置であって、前記露点温度判定手段は、前記室温および前記相対湿度に基づいて予め設定した露点温度算出式または露点温度テーブルから前記露点温度を求めること、を特徴とする。
【0021】
かかる構成により、請求の範囲第4項に記載の発明は、発汗室の使用条件等を考慮して実験式等を使用して設定した露点温度算出式や露点温度算出式から求めた前記室温および前記相対湿度に基づいて作成した露点温度テーブルを記憶装置等に読み込んで、露点温度を求めることができる。
【0022】
請求の範囲第5項に記載の発明は、請求の範囲第1項または請求の範囲第2項に記載の無効発汗促進装置であって、前記制御装置は、前記露点温度が前記体温よりも高くなり、かつ予め設定した所定の温度差以内になるように前記空気加熱手段、および前記ミスト発生装置を制御すること、を特徴とする。
【0023】
かかる構成により、請求の範囲第5項に記載の発明は、体温と露点温度が所定の温度差以内になるように制御することで、できるだけ露点温度を下げて使用者の体力的な負担をより軽減しながら快適な無効発汗を促進することができる。
【0024】
このため、本発明に係る無効発汗促進装置は、透析患者に対して好適な無効発汗を促進することができるため、体内の水分量を適正に調整して、溢水状態になるのを確実に予防することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る無効発汗促進装置は、使用者の体力的な負担を軽減して快適な無効発汗を促進することができる。このため、透析患者に対しては、体力的な負担を軽減しながら体内の水分量を適正に調整して、溢水状態になるのを確実に予防することができるため、特に好適に使用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態に係る無効発汗促進装置100の構成について適宜
図1から
図5を参照しながら詳細に説明する。
無効発汗促進装置100は、
図1に示すように、低温の発汗室2と、発汗室2のベンチ3下に備えられた微細水滴及びマイナスイオンを含むナノミスト(以下、「ミスト」という。)を生成するミスト発生装置1と、発汗室2の室温を計測する温度センサ46aと、発汗室の相対湿度を計測する湿度センサ46bと、発汗室2の空気を加熱する空気加熱手段である空気ヒータ43(
図3参照)と、ミストを発汗室2に供給して発汗室2内の空気を循環させる送風機35(
図2参照)と、動作を制御する制御装置61と、を備えている。
【0028】
無効発汗促進装置100は、発汗室2内の上部まで延びた吸引ダクト4を介して該発汗室2内の空気を吸引し、塵や細菌を除去した後に、加熱昇温した微細水滴及びマイナスイオンをベンチ3下方に形成した放出口5から発汗室2に供給して発汗室2の空気を加湿する。そして、順次これを繰り返して発汗室2の空気を循環させることで、発汗室2を使用室温37〜42℃、相対湿度90%以上の無効発汗環境とするものである。
【0029】
〈ミスト発生装置〉
ミスト発生装置1について、
図2〜4に基づいて説明する。ミスト発生装置1は、マイナスイオンを含むナノミストを生成して、発汗室2内を加湿する装置である。
ミスト発生装置1は、
図2と
図3に示すように、水を一定量貯留する貯水部6と、貯水部6の一側壁に接続され貯水部6に給水する給水管7と、給水管7の途中に設けられ給水管7の開閉を行う自動給水弁8と、貯水部6に貯められた水を加熱し、貯水部6の水面下で貯水部6底部近傍に単相200V、2KWで平面視M字状に水平に取り付けられてU字部10を3箇所有した加熱ヒータ9と、貯水部6の一側壁に設けたオーバーフロー管11と、貯水部6の底部に接続され貯水部6に貯められた水または加熱ヒータ9に加熱された加熱水を排水する排水管12と、排水管12の途中に設けられ排水管12の開閉を行う自動排水弁13と、貯水部6内を処理室15と分離室16の2室に仕切る仕切壁14と、を備えている。
【0030】
仕切壁14は、下端を分離室16側に屈曲し水面との間の連通路17を水面近傍まで下げることにより、処理室15から分離室16へ向かう空気中の大粒のミスト(水滴)を水面にぶつけて落下させる気液分離器の役目も果たすようにしている。
処理室15には、貯水部6の蓋体18に設けた挿通穴19に、防水カバー20の凹部21に回転用モータ22の下半分を収容して挿通し、回転用モータ22と支軸23とを連結し、下部を水没させ上方に向かって径が拡大した擂り鉢状の回転体24が、加熱ヒータ9の給水管7から一番離れた方のU字部10中に垂下して設けられ、この回転体24は前記回転用モータ22による駆動で回転し、その遠心力で加熱ヒータ9で加熱された貯水部6内の温水を回転体24表面及びむしろ裏面に沿って吸い上げ、上端に形成した複数の細孔25から周囲に飛散させるものである。
【0031】
分離室16には、仕切壁14の下端を分離室16下方に向かって傾斜屈曲させた第1の邪魔板26と、この仕切壁14と対向する側壁に、下方に向かって傾斜して取り付けた第2の邪魔板27とで交互に突出させて、中央部に下部の連通路17から上部の放出口5に向かう蛇行路28が形成されている。
【0032】
回転体24の外周には、円筒状の多孔体29が配設されている。
多孔体29は、回転体24に対して所定間隔を保持して位置し、該回転体24と共に回転する。
ミスト発生装置1は、回転体24の回転による遠心力で貯水部6内の水を汲み上げると共に空気を飛散させ、そして多孔体29全周壁に形成した多数のスリットや金網やパンチングメタル等から成る多孔部30を、通過させたり、ぶつけたりして破砕させることで、水の粒子を微細化してナノメートル(nm)サイズの微細水滴を生成すると共に、この水の粒子の微細化によるレナード効果でマイナスイオンを発生させるものであり、回転体24を回転させる回転用モータ22と、回転体24と、回転体24と共に回転する多孔体29とから水破砕手段が構成されているものである。
【0033】
多孔体29の外周には、楕円形状の空気案内筒31が配設されている。
空気案内筒31は、多孔体29に対して所定の間隔を置いて多孔体29を覆うように配置されている。空気案内筒31には、空気案内筒31と円筒状の多孔体29との間に一対の大流通路32、32と一対の小流通路33、33とが形成されるように、処理室15の上方を塞ぐ中蓋34が設けられている。
【0034】
ミスト発生装置1は、分離室16の上部で該分離室16と放出口5(
図1参照)とを連通する位置に備えられた送風機35の駆動によって、吸引ダクト4を介し蓋体18と中蓋34との間の給気口36から吸引された発汗室2内の空気を、一側壁に吸引ダクト4が接続される給気口36を有し蓋体18と中蓋34との間の空間で形成される給気室37に流入させ、処理室15上部の給気室37から処理室15に向かって回転体24の上方から空気案内筒31内に流入させることで、水の粒子の破砕回数を増やすと共に、空気のマイナス帯電も増加させ結果としてナノメートルサイズの微細水滴及びマイナスイオンを大量に発生させることができるものであり、例えばマイナスイオンでは発汗室2の中央部中間位置で約7000個/CCを検出するものである。なお、送風機35は回転数可変のクロスフローファンであり、回転数の高い強運転と回転数の低い弱運転とを行うことができるものである。
【0035】
空気案内筒31には、その内周縁に内方に突出したフランジ部38が設けられ、このフランジ部38は、回転体24の回転による遠心力により水が貯水部6から汲み上げられ多孔体29を介して飛散し空気案内筒31を跳ね返った水が、意図しない箇所、例えば、蓋体18に固定された回転用モータ22と支軸23との接続部近傍や、給気室37内に飛散するのを防止するために、回転体24の上面よりも上方の高さ位置に設けられているものである。
【0036】
水位検出手段39は、貯水部6内の底部に備えられ貯水部6内の水または温水があるときに検出信号を出力する2つのフロートスイッチ40、41を備えている。フロートスイッチ40は、貯水部6に貯められる水の低水位を検出するもので、加熱ヒータ9が水面上に露呈しない所定水位まで水があるときに検出信号を出力する。フロートスイッチ41は、貯水部6に貯められる水の高水位を検出する。フロートスイッチ40が水あり(低水位)を検出する水位よりも高い所定水位(高水位)に達したときに、検出信号を出力する。
【0037】
つまり、貯水部6の水位が加熱ヒータ9が水面上に露呈しない所定水位(低水位)に低下すると、低水位検出用のフロートスイッチ40がOFFとなり、自動給水弁8を開弁して一定水位まで給水を行う。そして、貯水部6内が所定水位(高水位)に達して、高水位検出用のフロートスイッチ41がONとなると、自動給水弁8を閉弁する。このようにして、水位検出手段39は、無効発汗促進装置100の運転中は常に貯水部6を所定水位範囲内に保持するものである。
【0038】
2つのフロートスイッチ40、41には、貯水部6の水面変動の影響を受けないように保護する断面コ字状の保護枠42が設けられている。保護枠42は、正面及び両側方を水面上まで突出させた枠体とし、貯水部6の一側壁とで2つのフロートスイッチ40、41を囲ったものであり、上面で2つのフロートスイッチ40、41を垂下して固定している。
【0039】
空気ヒータ43は、吸引ダクト4と共に給気経路を構成する給気口36に取り付けられたU字状の、100V、340Wの空気加熱手段であり、給気口36の側壁から突出し該側壁に対して上方をやや後側に寝かせて傾斜させた状態にし、U字状のヒータ部分が重ならずに小さな面で発汗室2内からの送風空気と効率良く接するよう配置し発汗室2内からの空気を加熱するものであり、無効発汗促進装置100の運転開始時に送風機35を駆動させると共に、空気ヒータ43に通電して発汗室2を循環させる空気を加熱し、発汗室2の雰囲気温度を上昇させて、立ち上がり時間の短縮を図るものであり、さらに、無効発汗促進装置100の運転終了後には送風機35を駆動すると共に空気ヒータ43に通電させ、温風によってミスト発生装置1内を乾燥させ、衛生状態を良好に保つようにしたものである。
【0040】
ミスト発生装置1は、貯水部6の下部外壁で所定水位に設けられた貯水温度センサ44と、貯水部6の下部外壁で所定水位に設けられた過熱防止センサ45と、を備えている。貯水温度センサ44は、貯水部6内の貯水温度を検出する貯水温度検出手段として機能する。過熱防止センサ45は、貯水部6が異常過熱状態になった時、全駆動を停止させて安全を確保するものである。
【0041】
〈温度センサと湿度センサ〉
温度センサ46aは、発汗室2内の上部に取り付けられ発汗室2内の室温を検出する室温検出手段である。湿度センサ46bは、発汗室2内の上部に取り付けられ発汗室2内の相対湿度を検出する相対湿度検出手段である。
【0042】
〈発汗室〉
無効発汗促進装置100は、発汗室2の換気用の換気扇47と、発汗室2への出入り用のドア48と、ドア48上部に設けられた覗き窓49と、ドア48下部に設けられ発汗室2外から発汗室2内に空気を取り込む空気取入口50と、を備えている。この空気取入口50は、換気扇47が駆動すると開いて発汗室2外から発汗室2内に空気を供給する構造となっている。
【0043】
無効発汗促進装置100は、緊急スイッチ51を備え、発汗室2内で入浴者である使用者に異常が発生した場合に、使用者によりこの緊急スイッチ51が操作されると、ブザーを鳴らす等によって発汗室2内で異常が発生したことを発汗室2外に報知し、自動排水弁13を開弁して貯水部6内の温水を排水させると共に、換気扇47を作動させることで、発汗室2内の温度及び湿度を低下させて発汗室2内を平常状態に戻す動作が為されるものである。
【0044】
無効発汗促進装置100は、無効発汗促進装置100を遠隔操作するリモコン52(
図5参照)を備え、このリモコン52には、発汗室2内の室内設定温度を表示する室内設定温度表示部53と、温度センサ46aの検出する発汗室2内の温度を表示する室内温度表示部54aと、湿度センサ46bの検出する発汗室2内の相対湿度を表示する湿度表示部54bと、発汗室2内の設定温度、例えば37℃〜42℃を1℃刻みで設定する室温設定スイッチ55と、無効発汗促進装置100の運転開始及び停止を指示する運転スイッチ(不図示)と、運転スイッチのON/OFFを表示する運転ランプと、換気扇47を駆動させ発汗室2内の換気運転等を行わせる換気スイッチと、換気スイッチのON/OFFを表示する換気ランプと、発汗室2内が室温設定スイッチで設定した設定温度に達したら点灯し、発汗室2への入室許可を報知する入浴ランプとが設けられているものである。
【0045】
〈制御装置〉
制御装置61は、
図5に示すように、記憶、演算、時間カウント等の機能を有し、この無効発汗促進装置100の動作を制御する制御手段である。
制御装置61とリモコン52とは無線または有線により通信可能に接続されている。制御装置61の入力側には、フロートスイッチ40、41と、貯水温度センサ44と、過熱防止センサ45と、温度センサ46aおよび湿度センサ46bと、緊急スイッチ51とが接続されており、出力側には、自動給水弁8と、加熱ヒータ9と、自動排水弁13と、回転用モータ22と、送風機35と、空気ヒータ43と、換気扇47が接続されているものである。
【0046】
制御装置61は、発汗室2の室温を制御する室温制御手段61aと、発汗室2の相対湿度を制御する湿度制御手段61bと、発汗室2の露点温度を求める露点温度判定手段61cと、使用者の体温を設定する体温設定手段61dと、を備えている。
室温制御手段61aは、空気ヒータ43を制御して発汗室2の室温を制御する。
【0047】
湿度制御手段61bは、ミスト発生装置1の回転体24を回転させる回転用モータ22の回転速度を制御したり、貯水部6内の温水を加熱する加熱ヒータ9を制御したりして発汗室2の湿度を制御する。相対湿度を上昇させる場合には、回転用モータ22の回転速度を増大させたり、貯水部6内の温水の温度を上昇させたりする。
制御装置61は、露点温度判定手段61cによって求めた露点温度が使用者の体温よりも高くなるように空気加熱手段である空気ヒータ43、およびミスト発生装置1を制御する。
【0048】
露点温度判定手段61cは、温度センサ46aで計測した発汗室2の室温、および湿度センサ46bで計測した発汗室2の相対湿度に基づいて予め設定した露点温度算出式から発汗室2における使用者が放散する汗の露点温度を求める。
「露点温度」は、使用者の汗が蒸発せずに水分が結露する温度であり、使用者の体温よりも露点温度が高くなるように室温と相対湿度を管理することで、無効発汗が促進される。室温が過度に高くならないようにすることで、使用者の負担を軽減できる。
【0049】
このため、露点温度は、使用者の体温に対して例えば、4℃以内になるようにすることが望ましい。例えば、使用者の体温が37℃であれば、露点温度が37℃を超え41℃以内になるように、相対湿度を制御する。
【0050】
〈露点温度判定手段〉
発汗室2の露点温度td[℃]は、露点温度算出式(実験式)から近似させて求めることができ、種々の条件によって補正係数等を使用しているので特に限定されるものではないが、例えば、露点温度判定手段は、以下のようにして発汗室2の露点温度td[℃]を演算する。
【0051】
発汗室2の室温をt[℃]とすると、絶対温度T[K]は、T=t+273.15 である。発汗室2の相対湿度をRH[%]とする。
飽和水蒸気圧Pws[kPa]は、
Pws=exp{−5800.2206/T+1.3914993−0.048640239×T+0.000041764768×T
2−0.000000014452093×T
3+6.5459673×In(T)}/1000 である。
【0052】
水蒸気圧力Pw[kPa]は、 Pw=Pws×RH/100 である。
露点温度td[℃]は、
td=237.3/{7.5/log(Pw/0.61078)−1}
として求められる。
【0053】
具体的には、発汗室2の室温をt[℃]=39[℃]とすると、T[K]=312.5[K]である。発汗室2の相対湿度をRH[%]=90[%]とする。
飽和水蒸気圧Pws[kPa]=6.998944[kPa]
水蒸気圧力Pw[kPa]=6.298869[kPa]
露点td[℃]=37.07238[℃]
【0054】
〈露点温度テーブル〉
以上のようにして求めた露点温度を
図6(露点温度テーブル)に示す。
図6に示すように、室温が39℃で相対湿度が90%の発汗室2内の露点温度tdは、37.1℃である。
【0055】
なお、本実施形態においては、露点温度判定手段61cは、予め設定した実験式から発汗室の露点温度td[℃]を演算して求めたが、露点温度テーブル(
図6参照)として記憶装置に記憶させておくこともできる。
【0056】
体温設定手段61dは、使用者が入力して設定する申告体温、または予め設定したみなし体温を使用者の体温であると判定することができるが、使用者の体温を接触式センサ(不図示)や非接触式センサ(不図示)で検知して使用者の体温を判定してもよい。
申告体温は、使用者が自己の体温をリモコン52(
図5参照)から入力するが、入浴後や発汗室2の設定温度を考慮して申告することができる。みなし体温は、使用者がその都度入力して申告するのではなく、予め初期設定として記憶された体温である。
【0057】
接触式センサ(不図示)は、使用者が座るベンチ3(
図1参照)の座面に装着したり、使用者の体表面に貼り付けたりして使用者の体温を検知する温度検知手段である。非接触式センサ(不図示)は、赤外線を使用者に照射して使用者の体温を検知する温度検知手段である。
【0058】
以上のように構成された本発明の実施形態に係る無効発汗促進装置100の動作、および無効発汗促進装置100を使用して無効発汗を促進させる入浴方法について主として
図7から
図10を参照しながら説明する。
参照する
図7から
図10において、ナノミストを発生させる無効発汗促進装置100による無効発汗を適宜、無効発汗またはナノミストと表示し、高温サウナや湯につかる入浴(風呂と表示)と対比しながら説明する。
【0059】
図7は、無効発汗促進装置100の作用を説明するためのグラフであり、縦軸は使用者の体温(℃)、横軸は経過時間(分)を示す。発汗室2内は、温度40℃、相対湿度90%と98%の2種類である。
発汗室2の温度は、使用者が、室温設定スイッチ55(
図5参照)によって、例えば38℃〜42℃の範囲から好みで設定した設定温度である。制御装置61は、室温制御手段61aによって空気ヒータ43を制御して発汗室2の室温を使用者が設定した設定温度(40℃)に制御する。
【0060】
無効発汗促進装置100は、制御装置61によって、使用者が設定した温度(40℃)、または温度センサ46aによって計測した室温(40℃)を基準として、発汗室2の露点温度が使用者の体温に対して例えば、プラス4℃以内、より好ましくはプラス2℃以内になるように相対湿度(90〜98%)を制御する。
【0061】
対比するための高温サウナは、温度90℃、相対湿度10%であり(露点温度は、39.1℃)、風呂は、湯温が40℃である。
図8は、
図7における吸熱速度(W)の経過を示すグラフである。
図9は、
図7における積算熱量(kJ)の経過を示すグラフである。
【0062】
図7に示すように、高温サウナや風呂では、入浴後の体温の上昇が急激であり、5分程経過すると、37.7℃まで上昇し、その後も比例的に体温が上昇するため、10分経過すると、高温サウナでは体温が38.6℃まで上昇し、風呂では38.2℃まで上昇する。高温サウナや風呂では、吸熱速度(
図8参照)や積算熱量(
図9参照)の推移からもわかるように、使用者の体に対する負担が大きいことがわかる。
【0063】
無効発汗促進装置100では、15分経過時において、相対湿度98%の場合には37.6℃程度、相対湿度90%の場合には37.3℃程度であるから、使用者の体に対する負担が小さいことがわかる。このとき、露点温度は、相対湿度98%の場合には39.6℃(
図6参照)であり、相対湿度90%の場合には38.1℃(
図6参照)であるから、温度上昇のない穏やかな加温により、無理のない無効発汗を促進させることができる。
【0064】
続いて、無効発汗促進装置100を使用して無効発汗を促進させる入浴方法について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、縦軸は使用者の体温、横軸は経過時間を示す。
図7に示すように、無効発汗を促進する無効発汗促進装置100による発汗(低温ナノミスト発汗)の前に、40℃程度の風呂に5分間入浴するのが望ましい(経過時間0〜5分)。
【0065】
5分間程度の入浴をすると、使用者の表面体温は37.7℃程度まで上昇するので、毛穴が開いて低温ナノミスト発汗による無効発汗がより促進するものと考えられる。ただし、風呂の入浴では、表面体温は上昇するが、体表面下10mmにおける内部体温の変化は特に見られないことが確認されている。
【0066】
その後、無効発汗促進装置100において、低温ナノミスト発汗(室温40℃、湿度90%)を15分間行うと(経過時間5〜20分)、表面体温は、37.9℃(経過時間7分)程度まで上昇してから次第に37.8℃(経過時間20分)まで下がるが、これは入浴の液体との接触から低温ナノミストの気体との接触に変化した接触対象の相違からくるものである。低温ナノミスト発汗(室温40℃、湿度90%)では、露点温度38.1℃(
図6参照)であるから、体温との差がプラス4℃以内(0.2〜0.3℃)であり、無理なく無効発汗を促進させることができる。
【0067】
低温ナノミスト発汗(室温40℃、湿度98%)では、表面体温は、37.9℃(経過時間7分)からさらに38.1℃(経過時間20分)まで上がる。この条件では、露点温度39.6℃(
図6参照)であるから、湿度90%の場合よりも露点温度は高いが、体温との差がプラス4℃以内(1.5〜1.7℃)であるからこの場合でも無理なく無効発汗を促進させることができる。
【0068】
ナノミスト入浴後は、10分間の休憩をとるのが望ましい(経過時間20〜30分)。
10分間の休憩をとることで、ナノミスト入浴(室温40℃、湿度90%)では、表面体温は、37.9℃から次第に37.3℃(経過時間30分)まで下がり、ナノミスト入浴(室温40℃、湿度98%)では、38.1℃から次第に37.5℃まで下がる。
【0069】
このようにして、5分間の入浴(風呂)後に、15分間の低温ナノミスト発汗、および10分間の休憩をすることで、低温ナノミスト発汗(室温40℃、湿度90,98%)だけではなく、10分間の休憩中にも体重の減少が見られることが確認された。例えば、体重が60〜80kg代の男性では、合計0.5〜0.8kgの体重減少(発汗量にして、500〜800ml)が計測された。また、発汗量が不足する場合には、無効発汗2回目と休憩2回目を行うこともできる。
【0070】
具体的には、
図12に示すように、データでは隔日透析(透析間隔42時間)で体重は標準体重より2.1kg(水分量2,100ml)に増加している。透析間隔が中2日あいた場合(透析間隔66時間)には3.15kg(水分量3,150ml)増加するために土、日曜日に増加する分、つまり3,150ml−2,100ml=1,050mlを525ml/日×2日間、無効発汗促進装置100を利用することで溢水状態は隔日透析時以上に軽減し、うっ血による心不全リスクをさけ得る可能性が高まることになる。
このようにして、透析患者の場合には、透析の間隔が2日間(土と日)あいてしまう場合には、2日間(土と日)の間に、1,050mlの低温ナノミスト発汗を実施することで、うっ血性心不全のリスクがある溢水状態に陥るのを効果的に回避することができる。
【0071】
以上のように動作する無効発汗促進装置100は、以下のような作用効果を奏する。
つまり、本発明の実施形態に係る無効発汗促進装置100は、露点温度判定手段61cによって求めた露点温度tdが使用者の体温よりも高くなるように空気加熱手段である空気ヒータ43、およびミスト発生装置1を制御することで、体温よりも発汗室2の露点温度tdが少し高くなるように制御することができるため、使用者の体力的な負担を軽減しながら無効発汗を促進することができる。
【0072】
このため、無効発汗促進装置100は、透析患者のような体力的な弱者であっても快適な無効発汗を促進することができるため、体内の水分量を好適に調整して、溢水状態になるのを予防することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されず、適宜変形して実施することが可能である。例えば、本実施形態においては、無効発汗促進装置100による低温ナノミスト発汗の前に風呂で入浴するようにしたが、これに限定されるものではなく、無効発汗促進装置100による低温ナノミスト発汗だけで構成してもよい。
【0074】
また、本実施形態においては、空気ヒータ43を発汗室2の空気加熱用として使用したが、これに限定されるものではなく、空気ヒータ43は運転終了後の乾燥用として使用し、加熱ヒータ9による貯水部6内の貯水加熱で発生するミスト温度によって間接的に発汗室2の室温を制御する空気加熱手段として使用してもよい。