【実施例】
【0078】
例
本発明を以下の例においてさらに説明するが、これらは特許請求の範囲にかかる発明の範囲を限定しない。
【0079】
〔例1:N-(3-ヨードベンジル)マレイミドの調製〕
【化36】
【0080】
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(12 mmol, 2.43 g, 2.40 mL, 1.2当量)を、100 mLのTHF中の3-ヨードベンジルアルコール(10 mmol, 2.34 g, 1.0当量)、PPh
3(11 mmol, 2.88 g, 1.1当量)、及びマレイミド(11 mmol, 1.07 g, 1.1当量)の溶液に、1時間にわたって添加した。得られた黄色い溶液を夜通し撹拌した後、溶媒を除去し、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:5、R
f = 0.3)によって精製し、ヘキサンで洗って、1.79 g(57%)の生成物を白色固体として得た。
1H NMR (CD
3CN, 400 MHz): δ7.64 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.09 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 6.78 (s, 6H), 4.56 (s, 2H)。
【0081】
〔例2:[3-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)フェニル]-(4’-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレートの調製〕
【化37】
【0082】
N
2で満たしたグローブボックス中で、50 mLの無水CH
3CN中のTMSOAc(10.4 mmol, 1.37 g, 2.6当量)の溶液を、50 mLの無水CH
3CN中のSelectfluor(登録商標)(5.2 mmol, 1.84 g, 1.3当量)の溶液に滴下により添加した。次に、得られた無色の混合物を、無水CH
3CN(150 mL)中のN-(3-ヨードベンジル)マレイミド(4 mmol, 1.25 g, 1.0当量)の溶液に滴下により添加した。得られた溶液を室温で1日撹拌した後、カリウム4-メトキシフェニルトリフルオロボレート(856 mg, 4 mmol, 1.0当量)を添加した。その後直ちに、50.0 mLの無水CH
3CN中のTMSOTf(764 mg, 3.4 mmol, 0.8当量)の溶液を滴下法によって添加し、混合物を室温で30分間置いておいた。アセトニトリルを減圧下で除去した。脱イオン水(200 mL)を、残った固体に添加し、混合物をCH
2Cl
2で抽出した(3×50 mL)。一緒にした有機層を水(50 mL)で洗い、得られた水層をCH
2Cl
2(50 mL×2)で再び抽出した。一緒にした有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターによって除去した。この化合物を1 mLアセトニトリル/水(体積で9:1)溶液に溶かし、Amberlite IRA-400イオン交換カラム(トリフレート対イオン(カウンターイオン))に上から下へゆっくり通過させた。減圧下で溶媒を除去した後、透明な残留物をEtOAcで洗って有機不純物を除去することにより、精製したヨードニウムトリフレート生成物(1.06 g, 47%)を得た。
1H NMR (CD
3CN, 400 MHz): δ7.98 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.90 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.86 (s, 1H), 7.58 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.47 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.83 (s, 2H), 4.64 (s, 2H), 3.85 (s, 3H);
19F NMR (CD
3CN, 376 MHz): δ -79.3 (s, 3F)。
【0083】
〔例3:[4-((2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)メチル)フェニル]-(4’-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレートの調製〕
【化38】
【0084】
この化合物は、例2に記載したものと同じ方法を用いて、N-(4-ヨードベンジル)マレイミドから調製した。A(3 mmolスケールの反応で910 mgの生成物が得られた(53%)。
1H NMR (CD
3CN, 400 MHz): δ7.99 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.97 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.40 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.05 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 6.80 (s, 2H), 4.67 (s, 2H), 3.84 (s, 3H);
19F NMR (CD
3CN, 376 MHz): δ -79.3 (s, 3F)。
【0085】
〔例4:4-(4-ヨードベンジル)安息香酸の調製〕
【化39】
【0086】
アルミニウムホイルで光を遮った500 mL丸底フラスコ中で、CH
3CN(100 mL)中の4-ベンジル安息香酸(1.06 g, 5 mmol, 1.0当量)、NIS(1.24 g, 5.5 mmol, 1.1当量)、及びYb(OTf)
3(310 mg, 0.50 mmol, 0.1当量)の撹拌溶液を75〜80℃に12時間加熱した。12時間後、NISの追加分(0.56 g, 2.5 mmol, 0.5当量)を追加して、反応を完了させた。さらに1時間後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残留物を水と酢酸エチルの間に分配させた。混合物を酢酸エチルで抽出し(3×50 mL)、一緒にした有機抽出液を水で洗い、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、Rf = 0.2)によって精製して、4-(4-ヨードベンジル)安息香酸を白色固体として得た(1.28 g, 76%)。
1H NMR (CD
3CN, 400 MHz): δ 7.91 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.31 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.03 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.99 (s, 2H)。
【0087】
〔例5:2,5-ジオキソピロリジン-1-イル 4-(4-ヨードベンジル)ベンゾエートの調製〕
【化40】
【0088】
4-(4-ヨードベンジル)安息香酸(3.8 mmol, 1.28 g, 1.0当量)及びN-ヒドロキシコハク酸イミド(5.7 mmol, 0.66 g, 1.5当量)を無水CH
2Cl
2(20 mL)に溶かした。混合物を0℃に冷やした後、10 mLのCH
2Cl
2に溶かしたN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC, 5.7 mmol, 1.18 g, 1.5当量)を滴下により添加した。混合物を12時間、室温で撹拌し、ろ過して、沈殿したN,N'-ジシクロヘキシル尿素を除去した。残留物を追加のCH
2Cl
2で洗い、一緒にした濾液を減圧下で蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:5、Rf = 0.6)によって精製した。イソプロパノール又はトルエン/ヘキサンを用いた再結晶により、表題化合物を無色固体として得た(0.60 g, 36%)。
1H NMR (CD
3CN, 400 MHz): δ 8.04 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.67 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.42 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.04 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.05 (s, 2H), 2.83 (s, 4H)。
【0089】
〔例6:[4-(4-(((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)カルボニル)ベンジル)フェニル]- ]-(4’-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレートの調製〕
【化41】
【0090】
N
2で満たしたグローブボックス中で、20 mLの無水CH
3CN中のTMSOAc(3.90 mmol, 516 mg, 2.6当量)の溶液を、20 mLの無水CH
3CN中のSelectfluor(登録商標)(1.95 mmol, 691 mg, 1.3当量)の溶液に滴下により添加した。得られた無色の混合物を次に40 mLの無水CH
3CN中の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル 4-(4-ヨードベンジル)ベンゾエート(1.5 mmol, 653 mg, 1.0当量)の溶液にゆっくり添加した(滴下による)。混合物を室温で2日撹拌し、その後、カリウム4-メトキシフェニルトリフルオロボレート(320 mg, 1.5 mmol, 1.0当量)を添加した。その後直ちに、20.0 mLの無水CH
3CN中のTMSOTf(267 mg, 1.2 mmol, 0.8当量)の溶液をゆっくり(滴下により)添加し、混合物を室温に30分間置いておいた。アセトニトリルをロータリーエバポレーターによる蒸発によって除去し、100 mLの脱イオン水を添加し、混合物をCH
2Cl
2で抽出した(3×30 mL)。一緒にした有機抽出液を水(50 ml)で洗い、水層をCH
2Cl
2で再び抽出した(2×50 mL)。一緒にした有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をメチルt-ブチルエーテル(MTBE)で洗った。この化合物を1 mLのアセトニトリル/水(体積で9:1)溶液に溶かし、Amberlite IRA-400イオン交換カラム(トリフラート対イオン)に上から下へゆっくり通過させた。減圧下で溶媒を除去した後、無色の残留物をペンタンで洗うことによって有機不純物を除去して、精製されたヨードニウムトリフラート生成物を得た(540 mg, 52%)。
1H NMR (CD
3CN, 400 MHz): δ 8.05 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.99 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.95 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.42 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.05 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 4.16 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 2.84 (s, 4H);
19F NMR (CD
3CN, 376 MHz): δ -79.3 (s, 3F)。
【0091】
〔例7:5-ベンジル-1,3-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン-2-オンの調製〕
【化42】
【0092】
ベンジルアミン(5 mL, 45.8 mmol)、ホルムアルデヒド(37% w/w溶液, 7.5 mL, 91.6 mmol)、及びN,N’-ジメチル尿素(4.03 g, 45.8 mmol)を、還流コンデンサを備えた反応フラスコ中で混合し、窒素雰囲気下で100℃に16時間加熱した。それを室温まで冷やした後、反応混合物を水(50 mL)で失活させ、CH
2Cl
2(50 mL×2)で抽出した。一緒にした有機層をブラインで洗い、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, 溶出液としてEtOH)によって精製して、無色固体として単離された5-ベンジル-1,3-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン-2-オン(8.28 g, 82%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.40-7.27 (m, 5 H), 4.12 (s, 4 H), 3.93 (s, 2 H), 2.86 (s, 6 H)。
【0093】
〔例8:1,3-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン-2-オンの調製〕
【化43】
【0094】
5-ベンジル-1,3-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン-2-オン(3.25 g, 14.8 mmol)をEtOH(90 mL)に溶かした。この溶液に、Pd/C(10%)(500 mg)を添加し、得られた混合物をH
2(750 psi)下で65℃に7日間加熱した。混合物を室温まで冷やした後、セライトを通してその懸濁液をろ過し、溶離液をロータリーエバポレーターで濃縮して、無色固体として単離された1,3-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン-2-オン(1.80 g, 94%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.14 (s, 4 H), 2.84 (s, 6 H), 2.52 (brs, 1 H)。
【0095】
【化44】
【0096】
〔例9:tert-ブチル (イミノ(1H-ピラゾール-1-イル)メチル)カルバメートの調製〕
【化45】
【0097】
アセトン(45 mL)中のジ-tert-ブチルジカーボネート(13.4 g, 61.5 mmol)の溶液に、1H-ピラゾール-1-カルボキサミジン塩酸塩(9.0 g, 61.5 mmol, 1.0当量)及び9.0 mLの水を添加した。H
2O(12.0 mL)中のK
2CO
3(4.24 g, 30.6 mmol, 0.5当量)を、室温にて30分間にわたり滴下により添加した。2時間後、別部分のジ-tert-ブチルジカーボネート(1.35 g, 6 mmol, 0.1当量)を添加し、溶液を夜通し撹拌した。アセトンを減圧下で除去し、得られた白色固体を30.0 mLの水に溶かし、0℃にて30分間撹拌した。沈殿したtert-ブチル (イミノ(1H-ピラゾール-1-イル)メチル)カルバメートをろ過によって集め、水で洗い、ヘキサンで洗い、減圧下で乾燥させて、無色固体として表題化合物を得た(11.37 g, 88%収率)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 9.06 (brs, 1H), 8.45 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.59 (brs, 1H), 6.39 (dd, J = 2.8, 1.6 Hz, 1H), 1.54 (s, 9H)。
【0098】
〔例10:tert-ブチル tert-ブトキシカルボニル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(1H-ピラゾール-1-イル)メチル)カルバメートの調製〕
【化46】
【0099】
4-(ジメチルアミノ)ピリジン(660 mg, 5.41 mmol)を、ジクロロメタン(60 mL)中のtert-ブチル(((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(1H-ピラゾール-1-イル)メチル)カルバメート(11.37 g, 54.1 mmol, 1.0当量)の溶液に添加した。THF(40.0 mL)中のジ-tert-ブチルジカーボネート(23.61 g, 108.2 mmol, 2.0当量)を、シリンジポンプを使用して、8時間にわたってゆっくり添加した。その溶液を室温で夜通し撹拌した後、溶媒を減圧下で除去した。得られた無色固体を、希薄な酢酸溶液(0.52 g, 8.66 mmol, 60 mLの水中の酢酸)中で撹拌した。沈殿したtert-ブチルtert-ブトキシカルボニル(((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(1H-ピラゾール-1-イル)メチル)カルバメートを集め、水、ヘキサンで洗い、減圧下で乾燥させて無色の固体を得た(20.21 g, 91%収率)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 8.20 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 6.45 (dd, J = 2.8, 1.6 Hz, 1H), 1.54 (s, 9H), 1.39 (s, 18H)。
【0100】
〔例11:tert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(1H-ピラゾール-1-イル)メチル)カルバメートの調製〕
【化47】
【0101】
例10で調製した化合物(tert-ブチル tert-ブトキシカルボニル(((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(1H-ピラゾール-1-イル)メチル)カルバメート)(20.21g, 49.2 mmol, 1.0当量)、Mg(ClO
4)
2(823 mg, 3.69 mmol, 0.075当量)、及びTHF(70 mL)を、極度に乾燥させた丸底フラスコに入れ、その混合物を50〜60℃で5時間撹拌した。反応の終了後(TLCによる観察による)、溶媒を減圧下で蒸発させて、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン, 1:10)で精製して、無色固体として単離されたtert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(1H-ピラゾール-1-イル)メチル)カルバメートを得た(14.58 g, 95%収率)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 8.94 (brs, 1H), 8.31 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.42 (dd, J = 2.8, 1.6 Hz, 1H), 1.56 (s, 9H), 1.50 (s, 9H)。
【0102】
〔例12:tert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)カルバメートの調製〕
【化48】
【0103】
例11で調製した化合物(tert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(1H-ピラゾール-1-イル)メチル)カルバメート)(1.15 g, 3.7 mmol, 1.0当量)及び1,3-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン-2-オン(0.57 g, 4.4 mmol, 1.2当量)を、極度に乾燥させたフラスコ中で無水THF(15 mL)にアルゴン下で溶かした。この溶液を70℃にて22時間加熱した。その混合物を室温まで冷やし、溶媒を減圧下で除去し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル, 溶出液としてEtOAc)によって精製して、無色固体として生成物を得た(0.51 g, 37%収率)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.5 (brs, 1H), 4.70 (s, 4 H), 2.92 (s, 6 H), 1.51 (s, 9H), 1.50 (s, 9H)。
【0104】
〔例13:tert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)(3-ヨードベンジル)カルバメートの調製〕
【化49】
【0105】
CH
2Cl
2/H
2Oの1.4/1.0混合物(24.0 mL)中のtert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)カルバメート(1.04 g, 2.8 mmol, 1.0当量)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.11 g, 0.3 mmol, 0.10当量)、及びKOH(85%, 0.37 g, 5.6 mmol, 2.0当量)の2相溶液に、THF(4.0 mL)中の3-ヨードベンジルブロマイド(102 mg, 71 ul, 0.60 mmol, 1.2当量)を1.5時間にわたって滴下により添加した。反応物を室温で12時間撹拌した。反応が終了したときに、有機層を分離し、水層をCH
2Cl
2(20 mL×2)で抽出した。一緒にした有機抽出液をブラインで洗い、Na
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル, 溶離液としてEtOAc)で精製して、無色固体として生成物(1.0 g, 61%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.71 (s, 1H), 7.66 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.07 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 4.46 (brs, 6H), 2.74 (brs, 6H), 1.53 (s, 9H), 1.47 (s, 9H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 158.7, 156.2, 151.9, 150.2, 135.8, 135.4, 134.3, 132.1, 128.1, 83.8, 81.7, 79.3, 60.8, 50.9, 32.1, 27.4, 24.3。
【0106】
〔例14:tert-ブチル ベンジル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)カルバメートの調製〕
【化50】
【0107】
このモデル化合物は、例13に記載した方法を用いて、ベンジルブロマイドから調製した。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 7.40-7.27 (m, 5H), 4.43 (brs, 6H), 2.67 (brs, 6H), 1.53 (s, 9H), 1.46 (s, 9H);
13C NMR (75 MHz, CDCl
3) δ 158.6, 156.9, 152.1, 150.6, 136.2, 129.2, 128.9, 128.4, 82.7, 80.6, 77.4, 77.0, 76.6, 60.8, 51.2, 32.9, 28.2, 28.1; HRMS (ESI) C
23H
35N
5O
5に対する計算値: 461.2638; 測定値: [M+Na] = 484.2536。
【0108】
〔例15:tert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)(3-フルオロベンジル)カルバメートの調製〕
【化51】
【0109】
この化合物は、例13に記載した方法を用いて、3-フルオロベンジルブロマイドから調製した(90%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3CN) δ 7.40-7.32 (m, 1H), 7.19-7.03 (m, 3H), 4.45 (brs, 6H), 2.66 (brs, 6H), 1.48 (s, 9H), 1.43 (s, 9H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 163.8, 161.4, 158.8, 156.4, 152.0, 150.6, 138.9, 138.8, 130.6, 130.5, 125.3, 125.3, 116.1, 115.9, 115.0, 114.8, 82.2, 79.9, 60.7, 50.4, 32.1, 27.3, 27.3。
【0110】
〔例16:カリウム tert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)(3-(トリフルオロボリル)ベンジル)カルバメートの調製〕
【化52】
【0111】
例13で調製したヨードアレーン(1.20 g, 2.0 mmol, 1.0当量)、PdCl
2(PhCN)
2(39 mg, 0.10 mmol, 0.05当量)、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(55 mg, 0.10 mmol, 0.05当量)、ビスピナコラートジボロン(1.02 g, 4.0 mmol, 2.0当量)、及びKOAc(1.96 g, 20.0 mmol, 10.0当量)を仕込んだフラスコに窒素を勢いよく流し(フラッシュし)、脱気したDMSO(20 mL)を添加した。その混合物を80℃で加熱し、12時間撹拌した後、その混合物を室温まで冷やした。その混合物を酢酸エチルで抽出し、水で洗い、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル, シリカへの暴露時間を最小にするための溶離液としてEtOAc)の後、粗製tert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンジル)カルバメートを無色固体として得た(1.05 g)。
1H NMR (400 MHz, アセトン-d
6) δ 7.76 (s, 1H), 7.70 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.38 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 4.50 (brs, 6H), 2.66 (brs, 6H), 1.52 (s, 9H), 1.47 (s, 9H), 1.33 (s, 12H);
13C NMR (100 MHz, アセトン-d
6) δ 158.6, 157.0, 152.1, 150.6, 138.5, 138.1, 137.4, 130.6, 128.4, 94.5, 83.1, 80.7, 61.0, 50.6, 33.0, 28.2, 28.1。
【0112】
上のピナコールエステル(1.05 g)をMeOH(20 mL)に溶かし、そこへKHF
2(aq)(1.24 g, 15.9 mmol, 4.5 M溶液)の溶液を1.0時間にわたって添加した。この混合物をさらに1時間撹拌した後、ジクロロメタンを添加して白色沈殿物を生じさせた。その沈殿物をろ過によって除去し、DCMで洗った。母液を濃縮して、1.22 gの粗製生成物を白色固体として得た。この白色固体をヘキサンで洗って、純粋なトリフルオロボレート塩を得た(0.69 g, 2工程で61%)。
1H NMR (500 MHz, CD
3CN) δ 7.38 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.14 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 4.91 (brs, 1H), 4.46 (brs, 3H), 4.01 (brs, 2H), 2.60 (brs, 6H), 1.94 (s, 9H), 1.44 (s, 9H);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 158.9, 156.6, 152.0, 151.1, 133.9, 132.3, 131.3, 126.9, 126.2, 81.7, 79.7, 60.6, 51.6, 32.1, 27.4, 24.3。
【0113】
〔例17:1-(ジアセトキシヨード)-4-メトキシベンゼンの調製〕
【化53】
【0114】
4-ヨードアニソール(2.34 g, 10 mmol)を90 mLの氷酢酸に溶かし、その撹拌溶液を40〜45℃に温めた。過ホウ酸ナトリウム四水和物(15.4 g, 110 mmol)を3時間にわたって分けて添加した。添加が終了した後、反応混合物の温度を夜通し40℃に保った後、室温まで冷やした。酢酸(〜30 mL)を減圧下で蒸留によって除去した。残った溶液を100 mLの脱イオン水で処理し、水層をジクロロメタンで抽出した(40 mL×3)。一緒にした有機画分を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。その白色固体をヘキサンで洗い、次に氷酢酸2滴を添加し、減圧下40℃で夜通し乾燥させて1.60 g(45%)の1-(ジアセトキシヨード)-4-メトキシベンゼンを得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3CN): δ 8.06 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.05 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 3.86 (s, 3H), 1.91 (s, 6H)。
【0115】
〔例18:(3-((N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-カルボキシイミドアミド)メチル)フェニル)(4-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレートの調製〕
【化54】
【0116】
N
2で満たしたグローブボックス中で、1-(ジアセトキシヨード)-4-メトキシベンゼン(224 mg, 0.64 mmol, 1.0当量)を7.0 mLの無水CH
3CNに溶かした。この溶液を、7.0 mLの無水CH
3CN中のトリフルオロボレート塩(397 mg, 0.70 mmol, 1.1当量)の溶液と混ぜた。トリメチルシリルトリフレート(155 mg, 0.70 mmol, 1.1 mmol)を滴下により添加し、混合物を室温に30分間置いておいた。飽和酢酸ナトリウム水溶液(20 mL)を添加し、混合物をCH
2Cl
2で抽出した(3×20 mL)。一緒にした有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。この化合物を1 mLのアセトニトリル/水(体積で9:1)溶液に溶かし、Amberlite IRA-400イオン交換カラム(トリフレート対イオン)に上から下へゆっくり通過させた。減圧下で溶媒を除去した後、無色の残留物をペンタンで洗って有機不純物を除去することにより、精製されたヨードニウムトリフレート生成物を得た。その残留物をジクロロメタンから再結晶して、350 mg(66%)の表題ヨードニウムトリフレートを得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3CN) δ 8.05 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 8.01-7.99 (m, 1H), 7.69 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.50 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 4.40 (brs, 6H), 3.83 (s, 3H), 2.60 (brs, 6H), 1.48 (s, 9H), 1.43 (s, 9H);
19F NMR (CD
3CN, 376 MHz): δ -79.3 (s, 3F)。
【0117】
〔例19: ベンゼン中での(3-((N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-カルボキシイミドアミド)メチル)フェニル)(4-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレートのヨウ素化〕
【化55】
【0118】
窒素雰囲気のグローブボックス中で、0.020 mmol(17 mg)のヨードニウムトリフレートを0.5 mLの無水アセトニトリル-d
3に溶かした。0.2 mLの無水アセトニトリル-d
3中の0.020 mmol(2 mg)のTMAIの溶液をゆっくり添加した。この混合物をJ-Young NMRチューブ中に移し、封じ、グローブボックスから取り出した。溶媒を蒸発させ、チューブをグローブボックスに戻した。無水ベンゼン-d
6(0.6 mL)を添加し、J-Young NMRチューブ中に移し、封じ、グローブボックスから取り出した。チューブをアルミニウムホイルで包み、80℃のオイルバス中においた。1時間後、残っている出発物質は
1H NMRスペクトルによって観察されず、tert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)(3-ヨードベンジル)カルバメートの特徴的なシグナルが見られた。
【0119】
〔例20: CD
3CN中での(3-((N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-カルボキシイミドアミド)メチル)フェニル)(4-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレートのヨウ素化〕
【化56】
【0120】
窒素雰囲気のグローブボックス中で、0.020 mmol(17 mg)のヨードニウムトリフレートを0.5 mLの無水アセトニトリル-d
3に溶かした。0.2 mLの無水アセトニトリル-d
3中の0.020 mmol(2 mg)のTMAIの溶液をゆっくり添加した。この混合物をJ-Young NMRチューブ中に移し、封じ、グローブボックスから取り出し、チューブをアルミニウムホイルで包み、80℃のオイルバス中においた。反応の進行を
1H NMRスペクトルによって観察した。24時間後、残っている出発物質は
1H NMRスペクトルによって観察されず、tert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)(3-ヨードベンジル)カルバメートの特徴的なシグナルが見られた。この試験は、化学量論条件下でさえ、極性溶媒がヨウ素化の速度を顕著に遅くすることを示した。
【0121】
〔例21: CD
3CN中での(3-((N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-カルボキシイミドアミド)メチル)-2,6-ジフロロフェニル)(4-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレートのヨウ素化〕
【化57】
【0122】
窒素雰囲気のグローブボックス中で、0.020 mmol(17 mg)のヨードニウムトリフレートを0.5 mLの無水アセトニトリル-d
3に溶かした。0.2 mLの無水アセトニトリル-d
3中の0.020 mmol(2 mg)のTMAIの溶液をゆっくり添加した。この混合物をJ-Young NMRチューブ中に移し、封じ、グローブボックスから取り出し、チューブをアルミニウムホイルで包み、80℃のオイルバス中においた。反応の進行を
1H NMRスペクトルによって観察した。90分後、残っている出発物質は
1H NMRスペクトルによって観察されず、(E)-tert-ブチル (((tert-ブトキシカルボニル)イミノ)(3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)(2,4-ジフルオロ-3-ヨードベンジル)カルバメートの特徴的なシグナルが見られた。この試験は、ジフルオロ置換パターンは極性溶媒中でさえ、ヨウ素化の速度を顕著に高めることを示した。
【0123】
〔例22: トルエン中での(3-((N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-カルボキシイミドアミド)メチル)フェニル)(4-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレートの
125I-放射性ヨウ素化〕
【化58】
【0124】
ボロシリケート瓶中で、200uLのアセトニトリル中の(3-((N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-カルボキシイミドアミド)メチル)フェニル)(4-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレート(15 mg)を、200μLのアセトニトリル中に溶かしたNa
125I水溶液(1 uLのヨウ化ナトリウム溶液, 比放射能: ~17Ci(629GBq)/mg, 10
-5M NaOH (pH 8-11), 300 uCi全放射能)水溶液で処理した。溶媒を減圧下で除去した。トルエン(250 uL)を添加し、その混合物を85℃に30分間加熱した。その溶液を瓶から取り出し、真正な標準品(例13で調製したもの)とともにシリカゲルTLCプレート上に点状に付着させた。100%酢酸エチル中での生成物の溶出は、放射能の全体の94%が生成物中にあり、6%がNa
125Iとしてプレート上になお存在することを示した。しかし、放射能の全内訳は、初期放射能(270 uCi)の90%が瓶に残り、生成物中に組み込まれていないことを示した。生成物の全放射化学収率は9.4%だった。この例は、従来の市販されているナトリウム塩を用いた場合には、非極性溶媒が、放射性ヨウ素の比較的低い組み込みをもたらすことを示している。
【0125】
〔例23: 10%アセトニトリル/トルエン中での(3-((N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-カルボキシイミドアミド)メチル)フェニル)(4-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレートの
125I-放射性ヨウ素化〕
【化59】
【0126】
ボロシリケート瓶中で、200 uLのアセトニトリル中の(3-((N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-カルボキシイミドアミド)メチル)フェニル)(4-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレート(15 mg)を、200 uLのアセトニトリルに溶かしたNa
125I水溶液(1 uLのヨウ化ナトリウム溶液, 比放射能: ~17Ci(629GBq)/mg, 10
-5M NaOH (pH 8-11), 300 uCi全放射能)で処理した。溶媒を減圧下で除去した。トルエン(225 uL)中のアセトニトリル(25 uL)の溶液を添加し、混合物を85℃で30分間加熱した。溶液を瓶から取り出し、真正な標準品(例13で調製したもの)とともにシリカゲルTLCプレート上に点状に付着させた。100%酢酸エチル中での生成物の溶出は、残ったNa
125Iがなく、生成物中への放射能のほとんど定量的な組み込みを示した。放射能の全内訳は、瓶中にはほとんど残る放射能はなく、生成物溶液中に291 uCiを示した。生成物の全放射化学収率は97%だった。この例は、非極性溶媒中に少量の極性溶媒を混ぜた混合物が、従来の市販されているナトリウム塩を用いて、放射性ヨウ素の優れた組み込みをもたらすことを示している。さらに、少量の極性溶媒を添加した場合でも、反応の速度は顕著な影響を受けない。
【0127】
〔例24: 少量の前駆体を用いる、10%アセトニトリル/トルエン中での(3-((N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-カルボキシイミドアミド)メチル)フェニル)(4-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレートの
125I-放射性ヨウ素化〕
【化60】
【0128】
ボロシリケート瓶中で、200 uLのアセトニトリル中の(3-((N,N'-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-3,5-ジメチル-4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-カルボキシイミドアミド)メチル)フェニル)(4-メトキシフェニル)ヨードニウム トリフレート(1 mg)を、200 uLのアセトニトリルに溶かしたNa
125I水溶液(1 uLのヨウ化ナトリウム溶液, 比放射能: ~17Ci(629GBq)/mg, 10
-5M NaOH (pH 8-11), 300 uCi全放射能)で処理した。溶媒を減圧下で除去した。トルエン(225 uL)中のアセトニトリル(25 uL)の溶液を添加し、混合物を85℃で30分間加熱した。溶液を瓶から取り出し、真正な標準品(例13で調製したもの)とともにシリカゲルTLCプレート上に点状に付着させた。100%酢酸エチル中での生成物の溶出は、生成物中への放射能の90%の組み込みと、5%の残留Na
125Iと、5%の
125I-4-ヨードアニソールを示した。放射能の全内訳は、瓶中にはほとんど残る放射能はなく、生成物溶液中の約290 uCiを示した。生成物の全放射化学収率は87%だった。この例は、低減した量の物質でも、標識の良好な組み込みをもたらしたけれども、これらの条件下で選択性及び収率はより低いことを示している。
【0129】
〔例25: ジアリールヨードニウム塩のヨウ素化の、フッ素化、塩素化、及び臭素化との比較〕
4つのビス(4-メトキシフェニル)ヨードニウムハライド(フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイド)のそれぞれ(10 mg)をC
6D
6に懸濁させ、J. Young NMRチューブ中に封じ、次に示す時間、120℃に加熱した:(フルオライド、2.5時間;クロライド、5日;ブロマイド、5時間;アイオダイド、2.5時間)。反応を
1H NMRスペクトルによって追跡し、ジアリールヨードニウム塩出発物質のいかなる痕跡も含まない均一な溶液が得られたときに完了したものと判断した。反応が完了したときに得られた代表的な
1H NMRを
図1に示している。
【0130】
異なる反応性の様子が一連のハロゲン化物を通して観察される。d
6-ベンゼン中でのジアリールヨードニウムフルオライドの熱分解は、大部分の4-フルオロアニソールと少量の3-フルオロアニソールを与える。この副生成物は、これらの条件下でハードな塩基であるフルオライドによるオルト位プロトン引き抜きによって形成されるベンザイン中間体が関与する競合する機構からおそらく生じている。対照的に、クロライド及びブロマイドは反応して、定量的収率で対応する4-ハロアニソールをもたらし、3-ハロ位置異性体は全く生成しなかった。これは以下のように容易に説明することができる。すなわちクロライド及びブロマイドの塩基性は、プロトン引き抜きによるベンザイン形成を促進するほどには十分高くない。2電子中間体を通して進むように思われるこれら3つの反応とは対照的に、ビス(4-メトキシフェニル)ヨードニウムアイオダイドの熱分解は、4,4’-ジメトキシビフェニル、I
2、及び4-ヨードアニソールに加えて未だ特定されていないアレーン生成物を生成する。このビフェニルとI
2は、おそらくフリーラジカル中間体の形成から生じている。
【0131】
〔例26:
124I-放射性ヨウ素化−
124Iで標識されたベンジルグアニジン誘導体の調製のための一般的な方法〕
【化61】
【0132】
アイオダイド溶液の調製:
Na
124I水溶液を0.1M NaOHに溶かした。1μLのNa
124I(Na*I; 約1 mCi)を1μLの1.0 M AcOHとともに反応瓶に添加して、酸性の、わずかに緩衝された溶液を調製した。水の体積は非常に小さかったので、Na*I溶液の初期乾燥は必要なかった。(より多くの水が関与するより大きなスケールでの反応については、400μLのCH
3CNを用いた共沸乾燥法を、標識化工程の前に行った。)
【0133】
標識化:
保護されたジアリールヨードニウム前駆体5 mgを400μLのCH
3CNに溶かした。その混合物を10分間置いておき、結晶性の反応原料の全てが解けていることを確実にした。その溶かした前駆体を反応瓶に入れ、その溶液を90℃にて乾燥アルゴン流で蒸発させた(約2分)。溶媒が完全に除去された後、125μLのCH
3CNを添加して(浸透又は撹拌とともに)、その塩を溶かした。トルエン(125μL)を添加し、その溶液を90℃に30分間加熱した。シリカTLC(100%酢酸エチル)を行って、標識化効率を決定した。
【0134】
中間体の精製:
シリカゲルsep-pak plusをヘキサン(2×2 mL)で処理し、それによってヘキサンがsep-pak上に残った(sep-pakはブローイングによる乾燥はしなかった)。反応混合物をsep-pakに導入し、次に3 mLの1:1のトルエン:アセトニトリルを導入した。溶出液を集め、放射TLC分析(シリカ、100%酢酸エチル)は、ほとんど全てのヨウ化物塩が混合物から除去されていることを示した。溶媒を蒸発させた(90℃においてアルゴン流を用いて減圧下)。4 mLの反応瓶から溶媒を完全に蒸発させるには約30分かかった。
【0135】
脱保護
反応瓶中の残留物を200μLの6M HClに溶かし、100℃に10分間加熱した。その溶液を1分間冷えるようにさせておき、120μLの10M NaOHで中和した。逆相(C18)sep-pakをエタノール(10 mL)及び水(10 mL)ですすぎ、ブローイングして乾燥させた。中和した溶液(pH約2)をそのsep pakを通し、sep pakを2 mLの水ですすぎ(残る塩類を溶出させるため)、ブローイングして乾燥させた。エタノール(0.8 mL)をsep pakに通して、放射性標識されたベンジルグアニジン誘導体を溶出した。窒素流を用いてエタノールを除去した後、その物質をHPLCによって精製した。
【0136】
粗製反応混合物のセミプレパラティブHPLC
分析及び最終的なHPLCを、Alltech Econosphere C18クロマトグラフィーカラム(250×4.6 mm)を使用して行い、生成物は、1.5 mL/分の流速で50%アセトニトリル/50% 20 mmol酢酸アンモニウムを用いて溶出した。
【0137】
HPLC単離後:
集めた画分を20 mLのH
2Oで希釈し、放射性標識された生成物を第二のC18 sep pakの上に捕捉させた。そのカートリッジを蒸留水ですすぎ、ブローイングして乾燥させ、生成物を0.8 mLのエタノール中に溶出させた。
【0138】
〔例27:
124I-MIBGの調製〕
【化62】
【0139】
例26に概略を示した方法を用いて、1-2 mCiスケールにて、
124I-MIBGを74±5%の放射化学収率(n = 8)で調製した。標識された最終生成物のセミプレパラティブHPLC精製についての滞留時間(リテンションタイム)は7.3分だった。単離の後、HPLCによって分析して、生成物は99%より高い化学的及び放射化学的純度だった。
【0140】
〔例28:
124I-2,4-ジフルオロ-3-ヨードベンジルグアニジンの調製〕
【化63】
【0141】
例26に概略を示した方法を用いて、1-2 mCiスケールにて、
124I-2,4-ジフルオロ-3-ヨードベンジルグアニジンを80±6%の放射化学収率(n = 4)で調製した。単離の後、HPLCによって分析して、生成物は99%より高い化学的及び放射化学的純度だった。MIBGと比較して、このジフルオロ化化合物は、脱保護反応中のヨウ素喪失に対してより大きな熱安定性を示し、そのため、得られた最終生成物の収率は有意により高かった。
【0142】
〔例29:
124I-4-ヨードベンジルグアニジンの調製〕
【化64】
【0143】
例26に概略を示した方法を用いて、1-2 mCiスケールにて、
124I-4-ヨードベンジルグアニジンIBGを62±6%の放射化学収率(n = 4)で調製した。単離の後、HPLCによって分析して、生成物は99%より高い化学的及び放射化学的純度だった。
【0144】
〔例30:
124I-4-ヨード-3,5-ジフルオロベンジルグアニジンの調製〕
【化65】
【0145】
例26に概略を示した方法を用いて、1-2 mCiスケールにて、
124I-4-ヨード-3,5-ジフルオロベンジルグアニジンを70±7%の放射化学収率(n = 4)で調製した。単離の後、HPLCによって分析して、生成物は99%より高い化学的及び放射化学的純度だった。
【0146】
〔例31:2つの方法を用いて調製した124-MIBGの造影及び生体内分布研究〕
MIBGの調製方法がその化合物の生体内分布に影響を及ぼしたかどうか決定するために、高い比放射能の
124I-MIBGを、ジアリールヨードニウム塩法(例27)と従来のスタニル化された樹脂前駆体を用いて調製した。これらの化合物をげっ歯動物モデルにおいて造影した。
【0147】
8頭のオスのスプラーグ-ドーリーラットをこの研究のために使用した。研究室に到着したときに、各動物を検査し、それらの尾の上に書いた動物の番号によって一意的に特定し、体重を測定した。動物が良好な健康状態にあることを判断し、直ちに順化に置いた。動物は6〜14週齢であり、440.5±36.4 gだった。
【0148】
ジアリールヨードニウム塩前駆体によって調製した
124I-MIBG又は従来法を用いて調製した
124I-MIBGの単回静脈内投与の後、スプラーグ-ドーリーラットを放射性トレーサーの注入後1、4、及び24時間においてPET/CTスキャンした。生体内分布分析を行って、各動物の心臓、肝臓、腎臓、甲状腺、大腿四頭筋の筋肉、及び全身に取り込まれた量を時間の関数として定量化した。データはμCi、μCi/mm
3、%ID、及び%ID/gの単位で表されている。HPLCによって分析して、全ての化合物の放射化学的純度は、投与の1時間内で97%より高かった。ジアリールヨードニウム塩前駆体によって調製した
124I-MIBGと従来法によって調製した
124I-MIBGの生体内分布には、顕著な定性的又は定量的違いは全くなかった。
【0149】
その他の態様
本発明をその詳細な説明と併せて記載しているが、上述した記載は説明することを意図しており、本発明も範囲を限定せず、本発明は添付した特許請求の範囲によって規定されている。その他の側面、利点、及び変形は、以下の特許請求の範囲内にある。