(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ニコチアナ種が、ニコチアナ・アラタ、ニコチアナ・スアベオレンス、ニコチアナ・シルベストリス、またはニコチアナ・タバカムである、請求項1に記載の前記方法。
前記1つ以上の官能陽性エステル風味剤が、1つ以上のエチルエステル、1つ以上のイソプロピルエステル、1つ以上のイソアミルエステル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の前記方法。
前記1つ以上の官能陽性エステル風味剤が、以下の組の化合物(a)エチルオクタノエート、エチルヘキサノエート、及びエチルデカノエート、(b)イソプロピルオクタノエート、イソプロピルヘキサノエート、及びイソプロピルデカノエート、(c)イソアミルオクタノエート及びイソアミルヘキサノエートのうちの少なくとも1つの構成員を含む、請求項1に記載の前記方法。
【背景技術】
【0003】
人気のある喫煙物品、例えば紙巻きタバコなどは、実質的に円筒ロッド形状構造を有し、かつ、喫煙可能材料の充填物、ロール部、または円柱部、例えば、包装紙により囲まれた(例えば、カットフィラー(cut filler)形態である)断片状タバコなどを含み、それによりいわゆる「タバコロッド」を形成する。通常、紙巻きタバコは、タバコロッドとの端と端を付けた関係で位置合わせされる円筒形フィルタ要素を有する。典型的には、フィルタ要素が、「プラグラップ(plug wrap)」として知られる紙材料によって封じ込められた可塑化セルロースアセテートトウを含む。一定の紙巻きタバコは、複数の区分を有するフィルタ要素を組み込んでおり、それらの区分のうちの1つが、活性炭粒子を備え得る。典型的には、フィルタ要素は、「チッピング(tipping)紙」として知られる取り囲む包装材料を使用してタバコロッドの一端に付けられる。また、周囲空気を用いて吸い込まれる主流煙の希釈をもたらすために、チッピング材料及びプラグラップに穴を開けることが望ましくなってきている。紙巻きタバコは、喫煙者によってその一端に火をつけて、タバコロッドを燃やすことにより利用される。喫煙者は、次いで、紙巻きタバコの反対端(例えば、フィルタ端)で吸い込むことによって主流煙を彼/彼女の口の中に入れる。
【0004】
紙巻きタバコの製造に使用されるタバコは、典型的には、ブレンドされた形態で使用される。例えば、一定の人気のあるタバコのブレンドは、通常、「アメリカンブレンド」と称され、熱風乾燥(flue−cured)タバコ、バーレー種タバコ、及びオリエンタルタバコの混合物、ならびに多くの場合において、一定の加工タバコ、例えば、再構成タバコ及び加工タバコ茎などを含む。特定の紙巻きタバコ銘柄の製造のために使用されるタバコのブレンド内の各種類のタバコの正確な量は、銘柄に応じて変動する。しかしながら、多くのタバコブレンドの場合、熱風乾燥タバコが、ブレンドの比較的大きな割合を構成する一方で、オリエンタルタバコは、ブレンドの比較的小さな割合を構成する。例えば、Tobacco Encyclopedia、Voges(Ed.)p.44−45(1984)、Browne、The Design of Cigarettes、3rd Ed.、p.43(1990)、及びTobacco Production、Chemistry and Technology、Davis et al.(Eds.)p.346(1999)を参照されたい。
【0005】
長年にわたり、様々な処理方法及び添加物が、タバコ製品に利用されるタバコ材料の全体的な特徴または性質を変えるために提案されている。例えば、添加物または取扱いプロセスが、タバコ材料の化学的特性または官能特性を変えるために、あるいは喫煙可能タバコ材料の場合には、タバコ材料を含む喫煙物品によって生成される主流煙の化学的特性または官能特性を変えるために利用されている。紙巻きタバコの煙の官能特性は、風味付け材料を紙巻きタバコの様々な成分に組み込むことによって増大され得る。例示的な風味付け添加物は、メントール及びメイラード反応の生成物、例えば、ピラジン、アミノ糖、及びアマドリ化合物などを含む。また、Leffingwell et al.、Tobacco Flavoring for Smoking Products、R.J.Reynolds Tobacco Company(1972)を参照して、それは、参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの場合では、熱の使用を含む処理プロセスが、加工されたタバコに所望の色もしくは外観特徴、所望の官能特性、または所望の物理的性質もしくは構造を付与することができる。タバコ組成物中の使用のための風味豊かな及び芳香族組成物を準備するための様々なプロセスは、Rookerに対する米国特許第3,424,171号、Luttichに対する米国特許第3,476,118号、Osborne、Jr.et al.に対する米国特許第4,150,677号、Roberts et al.に対する米国特許第4,986,286号、White et al.に対する米国特許第5,074,319号、White et al.に対する米国特許第5,099,862号、Sensabaugh,Jr.に対する米国特許第5,235,992号、Raymond et al.に対する米国特許第5,301,694号、Coleman,III et al.に対する米国特許第6,298,858号、Coleman,III et al.に対する米国特許第6,325,860号、Coleman,III et al.に対する米国特許第6,428,624号、Dube et al.に対する米国特許第6,440,223号、Coleman,IIIに対する米国特許第6,499,489号、White et al.に対する米国特許第6,591,841号、及びDube et al.に対する米国特許第6,695,924号、及びColeman,IIIに対する米国特許出願公開第2004/0173228号、Coleman,III et al.に対する米国特許出願公開第2010/0037903号、及びColeman,III et al.に対する米国特許出願公開第2013/0014771号に規定されており、それらのそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。更に、タバコ製品におけるいわゆる天然タール希釈剤として利用され得る代表的な成分の実施例が、Lipowiczに対するPCT WO07/012980に規定され、それは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0006】
タバコはまた、いわゆる「無煙」形態で楽しまれることがある。特に人気のある無煙タバコ製品は、加工タバコまたはタバコを含有する配合物のいくらかの形態を使用者の口の中に入れることによって利用される。様々な種類の無煙タバコ製品は、Schwartzに対する米国特許第1,376,586号、Leviに対する米国特許第3,696,917号、Pittman et al.に対する米国特許第4,513,756号、Sensabaugh,Jr.et al.に対する米国特許第4,528,993号、Story et al.に対する米国特許第4,624,269号、Townsendに対する米国特許第4,987,907号、Sprinkle,III et al.に対する米国特許第5,092,352号、White et al.に対する米国特許第5,387,416号、及びKumar et al.に対する米国特許第8,336,557号、Strickland et al.に対する米国特許出願公開第2005/0244521号及びEngstrom et al.に対する米国特許出願公開第2008/0196730号、Arnarp et al.に対するPCT WO04/095959、Atchley et al.に対するPCT WO05/063060、Bjorkholmに対するPCT WO05/016036、及びQuinter et al.に対するPCT WO05/041699に規定されており、それらのそれぞれが、参照によって本明細書に組み込まれる。例えば、Atchley et al.に対する米国特許第6,953,040号及びAtchley et al.に対する米国特許第7,032,601号に規定された無煙タバコ配合物の種類、原料、及び加工方法論を参照して、それらのそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0007】
無煙タバコ製品の1つの種類は、「かぎタバコ」と称される。「スヌース」と通常称される湿性かぎタバコ製品のうちの代表的な種類は、例えば、Swedish Match AB、Fiedler&Lundgren AB、Gustavus AB、Skandinavisk Tobakskompagni A/S、及びRocker Production ABなどの企業によってまたはそれらの企業を通して、欧州、特にスウェーデンで製造されている。米国で利用可能なスヌース製品は、R.J.Reynolds Tobbaco Companyによって商品名Camel Snus Frost、Camel Snus Original、及びCamel Snus Spiceの下で市販されている。また、例えば、Bryzgalov et al.、1N1800 Life Cycle Assessment、Comparative Life Cycle Assessment of General Loose and Portion Snus(2005)を参照されたい。更に、スヌースの製造と関連付けられた一定の品質基準は、いわゆるGothiaTek基準として組み立てられている。代表的な無煙タバコ製品はまた、House of Oliver Twist A/Sによって商品名Oliver Twist、U.S.Smokeless Tabacco Co.によって商品名Copenhagen、Skoal、SkoalDry、Rooster、Red Seal、Husky、及びRevel、Philip Morris USAによって商品名「taboka」、Conwood Company,LLCによって商品名Levi Garrett、Peachy、Taylor’s Pride、Kodiak、Hawken Wintergreen、Grizzly、Dental、Kentucky King、及びMammoth Cave、ならびにR.J.Reynolds Tobacco Companyによって商品名Camel Orbs、Camel Sticks、及びCamel Stripsの下で市販されている。
【0008】
無煙タバコの官能特性はまた、一定の風味付け材料の組み込みによって増大され得る。例えば、Williamsに対する米国特許第6,668,839号、Williamsに対する米国特許第6,834,654号、Atchley et al.に対する米国特許第7,032,601号、Atchley et al.に対する米国特許第7,694,686号、Holton,Jr.et al.に対する米国特許第7,861,728号、Strickland et al.に対する米国特許第7,819,124号、Dube et al.に対する米国特許第7,810,507号、及びNielsen et alに対する米国特許第8,168,855号、Williamsに対する米国特許出願公開第2004/0020503号、Strickland et al.に対する米国特許出願公開第2006/0191548号、Holton,Jr.et al.に対する米国特許出願公開第2007/0062549号、Robinson et al.に対する米国特許出願公開第2008/0029116号、Mua et al.に対する米国特許出願公開第2008/0029117号、及びRobinson et al.に対する米国特許出願公開第2008/0173317号を参照して、それらのそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0009】
タバコは長年、世界中で栽培されているので、タバコバイオマスの完全利用は未だ達成されていないけれども、とりわけ、喫煙物品及び/または無煙タバコ製品の製造において、タバコから、あるいは、より一般的には、ニコチアナ属の任意の1つ以上の部材の任意の1つ以上の部分から、風味剤として有用な材料を準備するためのプロセスの長年にわたる要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,424,171号明細書
【特許文献2】米国特許第3,476,118号明細書
【特許文献3】米国特許第4,150,677号明細書
【特許文献4】米国特許第4,986,286号明細書
【特許文献5】米国特許第5,074,319号明細書
【特許文献6】米国特許第5,099,862号明細書
【特許文献7】米国特許第5,235,992号明細書
【特許文献8】米国特許第5,301,694号明細書
【特許文献9】米国特許第6,298,858号明細書
【特許文献10】米国特許第6,325,860号明細書
【特許文献11】米国特許第6,428,624号明細書
【特許文献12】米国特許第6,440,223号明細書
【特許文献13】米国特許第6,499,489号明細書
【特許文献14】米国特許第6,591,841号明細書
【特許文献15】米国特許第6,695,924号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2004/0173228号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2010/0037903号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2013/0014771号明細書
【特許文献19】国際公開第2007/012980号
【特許文献20】米国特許第1,376,586号明細書
【特許文献21】米国特許第3,696,917号明細書
【特許文献22】米国特許第4,513,756号明細書
【特許文献23】米国特許第4,528,993号明細書
【特許文献24】米国特許第4,624,269号明細書
【特許文献25】米国特許第4,987,907号明細書
【特許文献26】米国特許第5,092,352号明細書
【特許文献27】米国特許第5,387,416号明細書
【特許文献28】米国特許第8,336,557号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2005/0244521号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2008/0196730号明細書
【特許文献31】国際公開第2004/095959号
【特許文献32】国際公開第2005/063060号
【特許文献33】国際公開第2005/016036号
【特許文献34】国際公開第2005/041699号
【特許文献35】米国特許第6,953,040号明細書
【特許文献36】米国特許第7,032,601号明細書
【特許文献37】米国特許第6,668,839号明細書
【特許文献38】米国特許第6,834,654号明細書
【特許文献39】米国特許第7,694,686号明細書
【特許文献40】米国特許第7,861,728号明細書
【特許文献41】米国特許第7,819,124号明細書
【特許文献42】米国特許第7,810,507号明細書
【特許文献43】米国特許第8,168,855号明細書
【特許文献44】米国特許出願公開第2004/0020503号明細書
【特許文献45】米国特許出願公開第2006/0191548号明細書
【特許文献46】米国特許出願公開第2007/0062549号明細書
【特許文献47】米国特許出願公開第2008/0029116号明細書
【特許文献48】米国特許出願公開第2008/0029117号明細書
【特許文献49】米国特許出願公開第2008/0173317号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Tobacco Encyclopedia,Voges(Ed.)p.44−45(1984)
【非特許文献2】Browne,The Design of Cigarettes,3rd Ed.,p.43(1990)
【非特許文献3】Tobacco Production,Chemistry and Technology,Davis et al.(Eds.)p.346(1999)
【非特許文献4】Leffingwell et al.,Tobacco Flavoring for Smoking Products,R.J.Reynolds Tobacco Company(1972)
【非特許文献5】Bryzgalov et al.,1N1800 Life Cycle Assessment,Comparative Life Cycle Assessment of General Loose and Portion Snus(2005)
【発明の概要】
【0012】
例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスは、例えば喫煙物品及び無煙タバコ製品などの種々のタバコ製品に利用されるタバコ組成物への組み込み、またはより一般的には風味剤を含み得る組成物への組み込みに有用なニコチアナ種の植物から単離された成分を含むニコチアナ種からの材料(例えば、タバコ由来材料)を提供する。例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスはまた、ニコチアナ種(例えば、タバコ材料)から成分を単離するためのプロセスと、それらの成分及びそれらの成分を組み込むタバコ材料を加工するためのプロセスと、を提供する。例えば、タバコ由来材料は、タバコ植物(例えば、葉、幹、根、または茎)の少なくとも一部に分離プロセスを受けさせることによって準備され得、その分離プロセスは、典型的には、タバコ材料の所望成分を単離するために、複数の連続した抽出ステップを含むことができる。例えば、タバコ由来材料は、タバコ植物(例えば、葉、幹、根、または茎)の少なくとも一部に分離プロセスを受けさせることによって準備され得、その分離プロセスは、典型的には、タバコ材料の所望成分を単離するために、複数の連続した抽出ステップを含むことができる。
【0013】
例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスに関して使用される際、用語「バイオマス」は、植物の任意の1つ以上の部分を意味し、特に、植物の地表部分の全体を実質的に意味し、任意選択的に植物の地下部分のうちのいくらかまたは全てを含む。したがって、用語「バイオマス」は、植物の花または葉または種子または任意の他の地表部分、あるいはそれらの任意の組み合わせのことを言い得、任意選択的に植物の地下部分のうちのいくらかまたは全てを含む。したがって、用語「バイオマス」及びその関連用語、例えば、「バイオマター(biomatter」」及び「植物源」などは、それらから興味のある成分を抽出、分離、または単離するために加工され得る収穫された植物の任意の1つ以上の部分のことを言うように適切に理解され得る。
【0014】
例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスに関して使用される際、用語「ニコチアナ属の1つ以上の植物」は、ナス科(family Solanaceae)のニコチアナ属の任意の1つ以上の植物を意味し、例えば、ニコチアナ・アラタ、ニコチアナ・アレントシイ、ニコチアナ・エクセルシオル、ニコチアナ・フォルゲチアナ、ニコチアナ・グラウカ、ニコチアナ・グルチノザ、ニコチアナ・ゴッセイ、ニコチアナ・カワカミイ、ニコチアナ・クニグチアナ(knightiana)、ニコチアナ・ラングスドルフィ、ニコチアナ・オトフォラ、ニコチアナ・セッチェルリイ、ニコチアナ・シルベストリス、ニコチアナ・トメントサ、ニコチアナ・トメントシフォルミス、ニコチアナ・ウンドゥラタ、及びニコチアナ・xサンデラエ、ニコチアナ・アフリカナ、ニコチアナ・アンプレキシカウリス、ニコチアナ・ベナビデシイ、ニコチアナ・ボナリエンシス、ニコチアナ・デブネイ、ニコチアナ・ロンギフロラ、ニコチアナ・マリチナ、ニコチアナ・メガロシフォン、ニコチアナ・オッキデンタリス、ニコチアナ・パニクラタ、ニコチアナ・プルムバギニフォリア、ニコチアナ・ライモンディイ、ニコチアナ・ロスラタ、ニコチアナ・ルスティカ、ニコチアナ・シムランス、ニコチアナ・ストックトニイ、ニコチアナ・スアベオレンス、ニコチアナ・タバカム、ニコチアナ・ウンブラティカ、ニコチアナ・ベルチナ、及びニコチアナ・ウィガンディオイデス、ニコチアナ・アカウリス、ニコチアナ・アクミナータ、ニコチアナ・アッテヌアタ、ニコチアナ・ベンサミアナ、ニコチアナ・カヴィコラ、ニコチアナ・クレヴェランディイ、ニコチアナ・コルディフォリア、ニコチアナ・コリボサ、ニコチアナ・フラグランス、ニコチアナ・グッドスピーデイ(goodspeedii)、ニコチアナ・リネアリス、ニコチアナ・ミエルシイ、ニコチアナ・ヌディカウリス、ニコチアナ・オブツシフォリア、ニコチアナ・オッキデンタリス亜種ヘルスペリス(Hersperis)、ニコチアナ・パウシフロラ、ニコチアナ・ペツニオイデス、ニコチアナ・クアドリバルビス、ニコチアナ・レパンダ、ニコチアナ・ロツンディフォリア、ニコチアナ・ソラニフォリア、ニコチアナ・スペガッジニイ(spegazzinii)のうちの任意の1つ以上を含む。
【0015】
例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスによって生産されたニコチアナ由来(例えば、タバコ由来)材料の使用は、ニコチアナ材料に実質的にもしくは完全に由来する喫煙物品のためのタバコ組成物または無煙タバコ組成物の準備を可能にする。例えば、タバコ組成物は、そのタバコ組成物の(乾燥重量をベースとして)少なくとも約80重量%、より典型的には、少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%がタバコ由来材料から成るように、ニコチアナ種から単離された成分を含む、いくらかの形態のタバコまたはタバコ由来材料を組み込み得る。
【0016】
タバコからの、特にニコチアナ種からの植物もしくは植物の一部からの材料または物質をより十分に使用する要求があることが長い間認識されている。ニコチアナ種からの植物もしくは植物の一部からの容易に利用可能な出発材料または投入物は、プロセスにおける出発材料または投入物としての包含物に特に有用であり、それによりタバコからの材料または物質が、より十分に利用され得、かかる出発材料または投入物は、とりわけ、タバコバイオマスを含む。タバコバイオマスは、例えば、丸ごと収穫されたタバコ植物の物質の全体を含むことができる。タバコバイオマスは、例えば、タバコ植物の地表部分の本質的に全てを含むことができ、任意選択的には、タバコ植物の地下部分のうちのいくらかまたは全てを含むことができる。タバコバイオマスは、例えば、丸ごと収穫されたタバコ植物の固形部分、またはタバコ植物の地表部分の本質的に全ての固形部分を含むことができ、それらから、いわゆる「青汁(green juice)」が、例えばねじプレスの動作によって排出されている。タバコバイオマスは、例えば、かかる固形部分を含むことができ、そこから水の少なくとも一部が乾燥によって除去されている。
【0017】
タバコからの、特にニコチアナ種からの植物もしくは植物の一部からの材料または物質の、より十分な使用がなされ得る手法の中には、ニコチアナ種からの植物もしくは植物の一部が供され得る様々な物理的及び/または化学的変換がある。かかる物理的及び/または化学的変換は、1つ以上の所望のまたは好ましい特性を有する産出物または生成物を結果としてもたらし得る。かかる産出物または生成物は、それら自体が、更なる有用なプロセスのための出発材料または投入物として有用であり得る。ニコチアナ種からの植物または植物の一部が供され得る物理的変換の中には、タバコバイオマスの物理的完全性の分断、例えば、ある量のタバコバイオマスに対するねじプレスの動作の結果として生じる分断などがある。ニコチアナ種からの植物または植物の一部が供され得る物理的変換の中には、例えば、固定母材の場合、粒子サイズ、比重、沈殿速度、または親和性に従う分溜がある。
【0018】
ある態様では、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスが、ニコチアナ種の花に由来する添加物を含む喫煙物品または無煙タバコ組成物における使用のための材料を提供する。材料は、微粒子形態またはニコチアナ種の花に由来する花派生物の形態のニコチアナ種の花もしくはその一部であり得る。花派生物は、ニコチアナ種の花からの抽出物の形態であり得るか、または化学的に変換された花派生物の形態であり得、例示的な化学的変換は、酸/塩基反応、加水分解、熱処理、酵素処理、及びかかるステップの組み合わせを含む。化学的変換は、典型的には、タバコ派生物の化学組成における変化、例えば、望ましい官能特徴(例えば、芳香族または風味豊かな化合物)を有する一定の化合物の量における増加などを結果としてもたらす。一定の実施形態では、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスは、バイオマスから、例えば花からまたは種子からの脂質の搾り出しに適合した技法、例えば高圧搾出または冷間圧縮などを提供する。あるいは、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスに従うタバコ油を含有する成分は、適切な抽出技法及び溶媒を使用して、バイオマスから、例えば花からまたは種子からの成分を抽出することによって形成される。例示的な溶媒は、炭化水素、例えばヘプタン及びヘキサンなどを含む。他の分離プロセス、例えばクロマトグラフィ、蒸留、濾過、再結晶、溶媒−溶媒分配(partitioning)、及びそれらの組み合わせなどが使用され得る。抽出プロセスを使用して形成される油を含有する成分は、溶媒抽出後に残るバイオマスもしくは種子材料の溶媒可溶性部分または不溶性残留物であり得る。圧縮プロセスを使用して形成された油を含有する成分は、とりわけ、例えば花または種子材料などのバイオマスから搾り出された、例えば花または種子などのバイオマスの脂質を含有する部分であり得る。
【0019】
ある態様では、花派生物は、ニコチアナ種の酵素処理された花の抽出物の形態である。例示的な抽出溶媒は、炭化水素、例えばヘプタン及びヘキサンなどを含む。
【0020】
ある態様では、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスは、例えば本明細書に記載されるニコチアナ種の1つ以上の花に由来する添加物を含む喫煙物品または無煙タバコ組成物における使用のための材料を提供する。例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスは、添加物がタバコ細片に加えられる外被配合物または表面仕上げ(top dressing)配合物の形態であるか、あるいは添加物が再構成されたタバコ材料に加えられる形態である材料を提供する。例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスに由来する花添加物を組み込む喫煙物品または無煙タバコ組成物は、喫煙物品または無煙タバコ製品におけるタバコ材料の総乾燥重量に基づいて花添加物の約5ppm〜約5重量%を含み得る。
【0021】
ある態様では、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスは、タバコ組成物への添加用のニコチアナ種の花に由来する添加物を準備するための方法であって、i)収穫された花またはその一部を受け取ることと、ii)収穫された花またはその一部を細分化して微粒子状花材料を形成すること、あるいは収穫された花またはその一部を溶媒抽出、クロマトグラフィ、蒸留、濾過、再結晶、溶媒−溶媒分配、またはそれらの組み合わせに供することによって収穫された花から花派生物を分離することのうちの少なくとも1つによって、収穫された花またはその一部を加工することと、iii)ステップii)において生成された微粒子状花材料または花派生物を喫煙物品または無煙タバコ組成物における使用に適合したタバコ組成物に加えることと、を含む方法を提供する。
【0022】
ある態様では、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスが、タバコ組成物への添加用のニコチアナ種の花に由来する添加物を準備するための方法であって、ニコチアナ種の花からの花派生物を分離することであって、その分離するステップが、以下のステップ、i)生きた花を囲む頭部空間から気相成分を収集すること、及びii)収穫された花またはその一部を溶媒抽出、クロマトグラフィ、蒸留、濾過、再結晶、溶媒−溶媒分配、またはそれらの組み合わせに供することによって収穫された花の成分を単離することのうちの1つ以上を含む、分離することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスが、以下により十分に記載されることになる。しかしながら、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスは、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に規定された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、この開示が完璧で完全になるように、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスの範囲を当業者に十分に伝えることになるように提供される。この明細書及び請求項に使用される際、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段文脈が明確に規定しない限り、複数の指示物を含む。「乾燥重量%」または「乾燥重量基準」への言及は、乾燥原料(すなわち、水を除く全ての原料)に基づく重量のことを言う。前置詞ではなくて副詞として、この明細書及び請求項に使用される際、「約」は、「ほぼ」を意味し、指定された値及びその値の10%内のあらゆる値を含み、換言すれば、「約100%」は、90%及び110%ならびにそれらの間のあらゆる値を含む。
【0025】
ニコチアナ種からの植物の選択は変動し得、特に、タバコまたは複数のタバコの種類は変動してもよい。利用され得るタバコは、熱風乾燥またはVirginia(例えば、K326)、バーレー種、日干ししたもの(例えば、Katerini、Prelip、Komotini、Xanthi、及びYambolタバコを含む、Indian Kurnoolならびにオリエンタルタバコ)、Maryland、ダーク、ダーク・ファイヤード(dark−fired)、ダーク・エア・キュアード(dark air cured)(例えば、Passanda、Cubano、Jatin、及びBezukiタバコ)、ライト・エア・キュアード(light air cured)(例えば、North Wisconsin及びGalpaoタバコ)、インディアン・エア・キュアード(Indian air cured)、Red Russian及びRusticaタバコ、ならびに様々な他の希少または特製タバコを含む。タバコの様々な種類、成長手法、及び収穫手法の記載は、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davis et al.(Eds.)(1999)に規定されており、それは、参照によって本明細書に組み込まれる。ニコチアナ種からの植物の様々な代表的な種類は、Goodspeed、The Genus Nicotiana(Chronica Botanica、1954)、Sensabaugh,Jr.et al.に対する米国特許第4,660,577号、White et al.に対する米国特許第5,387,416号、Lawson et al.に対する米国特許第7,025,066号、Lawrence,Jr.に対する米国特許第7,798,153号、及びMarshall et al.に対する米国特許第8,186,360号に規定されており、それらのそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。ニコチアナ・アラタ、ニコチアナ・アレントシイ、ニコチアナ・エクセルシオル、ニコチアナ・フォルゲッチアナ、ニコチアナ・グラウカ、ニコチアナ・グルチノザ、ニコチアナ・ゴッセイ、ニコチアナ・カワカミイ、ニコチアナ・クニグチアナ(knightiana)、ニコチアナ・ラングスドルフィ、ニコチアナ・オトフォラ、ニコチアナ・セッチェルリイ、ニコチアナ・シルベストリス、ニコチアナ・トメントサ、ニコチアナ・トメントシフォルミス、ニコチアナ・ウンドゥラタ、及びニコチアナ・xサンデラエが、特に興味深いものである。ニコチアナ・アフリカナ、ニコチアナ・アンプレキシカウリス、ニコチアナ・ベナビデシイ、ニコチアナ・ボナリエンシス、ニコチアナ・デブネイ、ニコチアナ・ロンギフロラ、ニコチアナ・マリチナ、ニコチアナ・メガロシフォン、ニコチアナ・オッキデンタリス、ニコチアナ・パニクラタ、ニコチアナ・プルムバギニフォリア、ニコチアナ・ライモンディイ、ニコチアナ・ロスラタ、ニコチアナ・ルスティカ、ニコチアナ・シムランス、ニコチアナ・ストックトニイ、ニコチアナ・スアベオレンス、ニコチアナ・タバカム、ニコチアナ・ウンブラティカ、ニコチアナ・ベルチナ、及びニコチアナ・ウィガンディオイデスも興味深いものである。ニコチアナ種からの他の植物は、ニコチアナ・アカウリス、ニコチアナ・アクミナータ、ニコチアナ・アッテヌアタ、ニコチアナ・ベンサミアナ、ニコチアナ・カヴィコラ、ニコチアナ・クレヴェランディイ、ニコチアナ・コルディフォリア、ニコチアナ・コリボサ、ニコチアナ・フラグランス、ニコチアナ・グッドスピーデイ(goodspeedii)、ニコチアナ・リネアリス、ニコチアナ・ミエルシイ、ニコチアナ・ヌディカウリス、ニコチアナ・オブツシフォリア、ニコチアナ・オッキデンタリス亜種ヘルスペリス、ニコチアナ・パウシフロラ、ニコチアナ・ペツニオイデス、ニコチアナ・クアドリバルビス、ニコチアナ・レパンダ、ニコチアナ・ロツンディフォリア、ニコチアナ・ソラニフォリア、及びニコチアナ・スペガッジニイ(spegazzinii)を含む。
【0026】
ニコチアナ種は、遺伝子改変または異種交配技法を使用して得られ得る(例えば、タバコ植物は、遺伝子操作され得るかまたは異種交配され得、一定の成分の生成を増大させるかまたは減少させ、あるいはさもなければ一定の特徴または特性を変更させる)。例えば、Fitzmaurice et al.に対する米国特許第5,539,093号、Wahab et al.に対する米国特許第5,668,295号、Fitzmaurice et al.に対する米国特許第5,705,624号、Weiglに対する米国特許第5,844,119号、Dominguez et al.に対する米国特許第6,730,832号、Liu et al.に対する米国特許第7,173,170号、Colliver et al.に対する米国特許第7,208,659号、及びBenning et al.に対する米国特許第7,230,160号、Conkling et al.に対する米国特許出願公開第2006/0236434号、及びNielsen et alに対するPCT WO08/103935に規定された種類の植物の遺伝子改変を参照されたい。
【0027】
無煙及び喫煙可能タバコ製品の準備のために、ニコチアナ種の収穫された植物が乾燥プロセスを受けることが典型的である。様々な種類のタバコについての乾燥プロセスの様々な種類の記載は、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davis et al.(Eds.)(1999)に規定されている。熱風乾燥タバコを乾燥するための例示的な技法及び条件は、Nestor et al.、Beitrage Tabakforsch.Int.、20、467−475(2003)、及びPeeleに対する米国特許第6,895,974号に規定されており、それらは、参照によって本明細書に組み込まれる。また、例えば、Groves et al.に対する米国特許第7,650,892号を参照して、それは、参照によって本明細書に組み込まれる。空気乾燥タバコについての代表的な技法及び条件は、Roton et al.、Beitrage Tabakforsch.Int.、21、305−320(2005)及びStaaf et al.、Beitrage Tabakforsch.Int.、21、321−330(2005)に規定されており、それらは、参照によって本明細書に組み込まれる。一定の種類のタバコは、代替の種類の乾燥プロセス、例えば火力乾燥または日光乾燥などに供され得る。好ましくは、収穫され乾燥されたタバコは、次いで、熟成される。
【0028】
ニコチアナ種の植物の少なくとも一部(例えば、タバコ部分の少なくとも一部)は、未成熟形態で利用され得る。すなわち、植物、またはその植物の少なくとも一部は、通常、熟したまたは成熟したと見なされる段階に達する前に収穫され得る。そのように、例えば、タバコは、タバコ植物が発芽の時点、葉の形成の開始時、種まき開始時、開花時、または同様のときに収穫され得る。
【0029】
ニコチアナ種の植物の少なくとも一部(例えば、タバコ部分の少なくとも一部)は、成熟した形態で利用され得る。すなわち、植物またはその植物の少なくとも一部は、その植物(または植物部分)が、熟した、熟し過ぎた、または成熟したと伝統的に見られる時点に達したときに収穫され得る。そのように、例えば、農家によって従来利用されるタバコ収穫技法の使用を通して、オリエンタルタバコ植物が収穫され得、バーレー種タバコ植物が収穫され得、またはヴァージニアタバコ葉が収穫され得、または幹の位置まで分解され得る。収穫後、ニコチアナ種の植物、またはその一部は、未加工(green)形態で使用され得る(例えば、タバコは、いかなる乾燥プロセスにも供されることなく使用され得る)。例えば、未加工形態のタバコは、冷凍され得、凍結乾燥され得、照射に供され得、黄色くされ得、乾燥され得、調理され得(例えば、焼かれ得、油で揚げられ得、もしくは煮沸され得)、またはさもなければ後の使用のための貯蔵または処理に供され得る。かかるタバコはまた、熟成条件に供され得る。
【0030】
例えば、本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスに従って、タバコ製品は、少なくとも1つのニコチアナ種の植物から得られるかそれに由来するバイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花などのいくつかの形態と組み合わされるタバコを組み込んでもよい。すなわち、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスに従うタバコ製品の一部は、ニコチアナ種のバイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分のいくつかの形態、例えばバイオマスもしくは1つ以上の解剖学的部分の部位または断片など、あるいは加工されたバイオマスもしくは1つ以上の解剖学的部分またはそれらの成分を組み込む加工された材料、例えば花またはその1つ以上の部分などから成り得る。タバコ製品の少なくとも一部は、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花など、(例えば、抽出、蒸留、または他の種類の加工技法によって)例えば花などの成分、例えばバイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分から取り出された原料などから成り得る。タバコ製品の少なくとも一部は、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花などに由来する成分、例えば、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分を化学反応に供した後に、あるいはバイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花などから収集した成分を、化学反応(例えば、酸塩基反応条件または酵素処理)に供した後に収集された成分などから成り得る。
【0031】
花は、ニコチアナ種の植物の特徴的な再生構造(例えば、種子を生成する構造)である。例えば、タバコの花は、タバコ植物に特有な花である。代表的なニコチアナ種の様々な種類の花は、Schiltz et al.、Les Plantes du G.Nicotiana en Collection a L‘Institut du Tabac de Bergerac、2nd Ed.(Seita)(1991)に描写されている。
【0032】
ニコチアナ種は、それが生成するバイオマスまたは解剖学的部位の種類について選択され得る。例えば、植物は、それらの植物が、比較的豊富なバイオマスまたは種子を生成すること、比較的高いレベルの特定の所望成分を組み込むバイオマスまたは種子を生成すること、及び同様のことに基づいて選択され得る。
【0033】
植物のニコチアナ種は、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分の発育を促進するような農学的条件下で成長され得る。タバコ植物は、温室、成長チャンバ、または畑における屋外において成長され得るか、あるいは水耕法で成長され得る。
【0034】
例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスに従って、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花などが、植物のニコチアナ種から収穫される。バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分を収穫する手法は、変動し得る。典型的には、バイオマスまたは解剖学的部分の本質的に全て、例えば花などが、収穫され得、そのように利用され得る。
【0035】
花は、植物のニコチアナ種から収穫され得る。花を収穫する手法は、変動し得る。花の収穫は、伝統的に「摘み取り」と呼ばれている。そのように、花は、花につながる茎または小花柄を植物の残りから切断するか分断することによって、その植物の残りから取り外される。あるいは、花の成分は、生きた花(すなわち、植物から取り外されていないまたは摘み取られていない花)の付近における頭部空間から気相成分を収集することによって、例えば生きた花を含有する成長チャンバの頭部空間から気相成分を捕獲することなどによって、得られ得る。
【0036】
花の様々な部位または部分の任意の1つ以上が、利用され得る。例えば、花の実質的に全て(例えば、花全体)が収穫され得、そのように利用され得る。あるいは、花の様々な部位または断片が、収穫後の更なる使用のために収穫され得るか分離され得る。例えば、花弁、花冠、がく片、花床、葯、花糸、柱頭、雄しべ、花柱、雌しべ、小花柄、子房、またはそれらの様々な組み合わせのいずれかが、更なる使用または処理のために得られ得る。
【0037】
植物の寿命の間の収穫時期は変動し得る。例えば、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花などは、未成熟のときに収穫され得る。あるいは、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子などは、その植物が成熟に達した時点の後に収穫され得る。
【0038】
花に関して、花の寿命の間の収穫時期は、変動し得る。例えば、花は、つぼみの形態であるときに、開花の前に閉じているときに、開花の間に、または開花が完了した後に収穫され得る。収穫のタイミングは、花に由来する一定の望ましい化合物の収率に影響を与え得、植物寿命の終了に向かう成長期の終りの収穫は、好ましさに欠ける。
【0039】
花は、1日のうちの様々な時間のいずれかに収穫され得る。例えば、花は、午前の時間または午後の時間に(すなわち、日中の時間に)、または夜の時間に(すなわち、暗いときに)収穫され得る。花は、乾燥しているときに、または湿っているときに(例えば、雨または灌漑に供された後に)収穫され得る。
【0040】
バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子などの収穫後の加工は、変動し得る。収穫後、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花もしくは種子、またはそれらの一部などが、収穫された形態で使用され得る(例えば、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花もしくは種子、またはそれらの一部などが、いかなる乾燥及び/または熟成プロセスステップにも供されることなく使用され得る)。例えば、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子などが、有意な貯蔵、取扱い、または加工条件に供されることなく使用され得る。一定の状況では、新鮮なバイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子などが、実質的に収穫直後に使用されることが好ましい。あるいは、例えば、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子など、例えば、未加工形態の花が、後の使用のために冷蔵され得るか冷凍され得、凍結乾燥され得、照射に供され得、黄色くされ得、乾燥され得、(例えば、空気乾燥技法または加熱を利用する技法を使用して)乾燥処理され得、加熱され得るか調理され(例えば、焼かれ、油で揚げられ、または煮沸され)得、あるいはさもなければ、後の使用のための貯蔵または処理に供され得る。
【0041】
収穫されたバイオマス、例えば花または種子などは、物理的に加工され得る。バイオマスもしくは1つ以上の解剖学的部分、またはそれらの1つ以上の部分は、部位または断片に更に細分化され得る(例えば、バイオマスは、細粒、微粒子、もしくは細粉として特徴付けられ得る断片または部分に粉砕され得、粉末化され得、製粉され得、または挽かれ得、あるいは、例えば、花弁が、花の残りの部分から取り外され得る)。バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子など、あるいはそれらの1つ以上の部分は、(例えば、加圧されるか回転処理に供されることによって)外力または外圧にさらされ得る。かかる加工条件を実行するとき、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子などは、その自然湿分(例えば、収穫直後のその湿分)、例えば花または種子などのバイオマスに水分を加えることによって達成される湿分、あるいは例えば花または種子などのバイオマスの乾燥の結果として生じる湿分に近い湿分を有し得る。例えば、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子などの粉状にされ、粉末化され、挽かれ、または製粉された断片は、約25重量%よりも少ない、多くの場合には約20重量%よりも少ない、及び高頻度には約15重量%よりも少ない湿分を有し得る。バイオマスもしくは1つ以上の解剖学的部分、例えば花もしくは種子などの部位または断片は、更に加工することなくタバコ製品の成分として使用され得、あるいはその代わりに、微粒子バイオマスまたは解剖学的部位材料は、タバコ製品への組み込みの前に更に加工され得る。
【0042】
収穫されたバイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子など、あるいはそれらの成分は、他の種類の加工条件に供され得る。例えば、バイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子などの成分は、互いに分離され得、あるいはさもなければ個々の化合物の化学的分類または混合物に細分され得る。本明細書において使用される際、名詞として使用されるときの「単離されたバイオマス成分」、「1つ以上の解剖学的部分の単離された成分」、「バイオマス単離物」、「1つ以上の解剖学的部分の単離物」、または「単離物」は、ニコチアナ種の植物のバイオマスまたは1つ以上の解剖学的部分、例えば花もしくは種子などから分離された化合物または化合物の複合混合物である。したがって、「花単離物」は、ニコチアナ種の植物の花に由来する化合物または化合物の複合混合物である。1つ以上の解剖学的部分、例えば花または種子などの単離されたバイオマス成分または単離された成分は、単一化合物、類似化合物の同種混合物(例えば、風味豊かなまたは芳香族化合物の異性体)、または非類似化合物の異種混合物(例えば、好ましくは望ましい官能特性を有する、異なる種類の様々な化合物の複合混合物)とすることができる。
【0043】
典型的な分離プロセスは、1つ以上のプロセスステップ、例えば、(例えば、極性溶媒、無極性有機溶媒、または超臨界流体を使用する)溶媒抽出、クロマトグラフィ、蒸留、濾過、冷間圧縮もしくは他の圧力をベースとする技法、再結晶、及び/または溶媒−溶媒分配などを含むことができる。例示的な抽出及び分離溶媒または担体は、水、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)、炭化水素(例えば、ヘプタン及びヘキサン)、ジエチルエーテル、塩化メチレン、及び超臨界二酸化炭素を含む。ニコチアナ種から成分を抽出するのに有用な例示的な技法は、Fioreに対する米国特許第4,144,895号、Osborne,Jr.et al.に対する米国特許第4,150,677号、Reidに対する米国特許第4,267,847号、Wildman et al.に対する米国特許第4,289,147号、Brummer et al.に対する米国特許第4,351,346号、Brummer et al.に対する米国特許第4,359,059号、Mullerに対する米国特許第4,506,682号、Keritsisに対する米国特許第4,589,428号、Soga et al.に対する米国特許第4,605,016号、Poulose et al.に対する米国特許第4,716,911号、Niven,Jr.et al.に対する米国特許第4,727,889号、Bernasek et al.に対する米国特許第4,887,618号、Clapp et al.に対する米国特許第4,941,484号、Fagg et al.に対する米国特許第4,967,771号、Roberts et al.に対する米国特許第4,986,286号、Fagg et al.に対する米国特許第5,005,593号、Grubbs et al.に対する米国特許第5,018,540号、White et al.に対する米国特許第5,060,669号、Faggに対する米国特許第5,065,775号、White et al.に対する米国特許第5,074,319号、White et al.に対する米国特許第5,099,862号、White et al.に対する米国特許第5,121,757号、Faggに対する米国特許第5,131,414号、Munoz et al.に対する米国特許第5,131,415号、Faggに対する米国特許第5,148,819号、Kramerに対する米国特許第5,197,494号、Smith et al.に対する米国特許第5,230,354号、Faggに対する米国特許第5,234,008号、Smithに対する米国特許第5,243,999号、Raymond et al.に対する米国特許第5,301,694号、Gonzalez−Parra et al.に対する米国特許第5,318,050号、Teagueに対する米国特許第5,343,879号、Newtonに対する米国特許第5,360,022号、Clapp et al.に対する米国特許第5,435,325号、Brinkley et al.に対する米国特許第5,445,169号、Lauterbachに対する米国特許第6,131,584号、Kierulff et al.に対する米国特許第6,298,859号、Mua et al.に対する米国特許第6,772,767号、及びThompsonに対する米国特許第7,337,782号に記載されており、それらのそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。また、Brandt et al.、LC−GC Europe、p.2−5(March、2002)及びWellings、A Practical Handbook of Preparative HPLC(2006)に規定された種類の分離技法を参照にして、それらは、参照によって本明細書に組み込まれる。更に、バイオマスまたはそれらの成分は、Ishikawa et al.、Chem.Pharm.Bull.、50、501−507(2002)、Tienpont et al.、Anal.Bioanal.Chem.、373、46−55(2002)、Ochiai、Gerstel Solutions Worldwide、6、17−19(2006)、Coleman,III,et al.、J. Sci.Food and Agric.、84、1223−1228(2004)、Coleman,III et al.、J.Sci.Food and Agric.、85、2645−2654(2005)、Pawliszyn、ed.、Applications of Solid Phase Microextraction、RSC Chromatography Monographs、(Royal Society of Chemistry、UK)(1999)、Sahraoui et al.、J.Chrom.、1210、229−233(2008)、及びRaymond et al.に対する米国特許第5,301,694号に規定された種類の処理に供され得、それらのそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。また、例えば、Frega et al.、JAOCS、68、29−33(1991)、Patel et al.、Tob.Res.、24、44−49(1998)、Giannelos et al.、Ind.Crops Prod.、16、1−9(2002)、Mukhtar et al.、Chinese J.Chem.、25、705−708(2007)、及びStanisavljevic et al.、Eur.J.Lipid Sci.Technol.、111、513−518(2009)に規定された種類の加工技法を参照して、それらのそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0044】
花の任意の1つ以上の成分、または花の任意の1つ以上の部分が単離され得る。本明細書において使用される際、「単離された成分」または「花単離物」は、ニコチアナ種の植物の花から分離された化合物または化合物の複合混合物である。単離された成分は、単一化合物、類似化合物の同種混合物(例えば、風味化合物の異性体)、または非類似化合物の異種混合物(例えば、好ましくは望ましい官能特性を有する、異なる種類の様々な化合物の複合混合物)とすることができる。同様に、種子の任意の1つ以上の成分、または種子の任意の1つ以上の部分が単離され得る。本明細書において使用される際、「単離された成分」または「種子単離物」は、ニコチアナ種の植物の種子から分離された化合物または化合物の複合混合物である。単離された成分は、単一化合物、類似化合物の同種混合物(例えば、風味化合物の異性体)、または非類似化合物の異種混合物(例えば、好ましくは望ましい官能特性を有する、異なる種類の様々な化合物の複合混合物)とすることができる。したがって、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスに従う「単離物」は、花単離物、種子単離物、または、より一般的には、バイオマス単離物であり得る。
【0045】
複数の連続した分離プロセスが、所望の手法で花単離物または種子単離物を精製する及び純化するために利用され得る。例えば、ニコチアナ種の花または種子の溶媒抽出物は、例えば一定の望ましい化合物、例えば一定の風味豊かなまたは芳香族化合物などの相対量を増加させることなどによって、抽出物の化学組成を変化させるための更なる分離ステップに供され得る。一実施形態において、花抽出物または種子抽出物が、分子蒸留を使用して加工され、それは、典型的には、約0.01Torrよりも少ない圧力における真空蒸留を含む。
【0046】
単離物中に存在し得る成分の種類の実施例は、テルペン、セスキテルペン、ジテルペン、エステル(例えば、テルペノイドエステル及び脂肪酸エステル)、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボキシル酸、ラクトン、無水物、フェノールキノン、エーテル、ニトリル、アミン、アミド、イミド、ニトロアルカン、ニトロフェノール、ニトロアレン、窒素を含有する複素環式化合物、ラクタム、オキサゾール、アザアレン、硫黄を含有する化合物、アルカロイド(例えば、ニコチン)、プラスチド色素(例えば、クロロフィルまたはカロチノイド)、脂質(例えば、植物ステロール)、ならびにそれらの誘導体含む。利用され得る代表的な成分の更なる実施例は、Lipowiczに対するPCT WO2007/012980において天然タール希釈剤として記載されおり、それは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0047】
花または種子の任意の1つ以上の成分は、(花もしくは種子の部位としてまたは単離された成分の形態であろうとなかろうと)それらの成分に化学的変換を受けさせるような条件に供され得る。例えば、花から分離された花単離物は、化学的変換を引き起こすように処理され得るか、または他の原料と混ぜられ得る。花単離物の化学的変換または改質は、それらの花単離物の一定の化学的及び物理的特性(例えば、それらの単離物の官能特性)の変化を結果としてもたらし得る。例えば、種子から分離された種子単離物は、化学的変換を引き起こすように処理され得るか、または他の原料と混ぜられ得る。種子単離物の化学的変換または改質は、それらの種子単離物の一定の化学的及び物理的特性(例えば、それらの単離物の官能特性)の変化を結果としてもたらし得る。例示的な化学的改質プロセスは、酸塩基反応、加水分解、加熱(例えば、花単離物が、例えば少なくとも摂氏約50度、または少なくとも摂氏約75度、または少なくとも摂氏約90度の温度などの高温にさらされる熱処理)、及び(例えば、グリコシダーゼまたはグルコシダーゼを使用する)酵素処理によって実行され得、そのように、花単離物の成分は、エステル化、エステル変換反応、異性体変換、アセタール形成、アセタール分解、転化糖反応、及び同様のものを受け得る。単離物と混ぜられ得る更なる原料の例示的な種類は、風味剤、充填剤、結合剤、pH調整剤、緩衝剤、着色剤、分解補助剤、酸化防止剤、湿潤材、及び防腐剤を含む。
【0048】
花及び花単離物の成分は、タバコ組成物、特に喫煙物品または無煙タバコ製品に組み込まれるタバコ組成物のための添加物として有用である。タバコ組成物に対する1つ以上の花単離物の添加は、花単離物の性質及びタバコ組成物の種類に応じて、種々の手法でタバコ組成物を強化し得る。例示的な花単離物は、風味及び/または芳香(例えば、タバコ組成物またはそれに由来する煙の官能特徴を変える組成物)をタバコ製品に提供するのに役立ち得る。同様に、種子単離物の成分は、タバコ組成物、特に喫煙物品または無煙タバコ製品に組み込まれるタバコ組成物のための添加物として有用である。タバコ組成物に対する1つ以上の種子単離物の添加は、種子単離物の性質及びタバコ組成物の種類に応じて、種々の手法でタバコ組成物を強化し得る。例示的な種子単離物は、風味及び/または芳香(例えば、タバコ組成物またはそれに由来する煙の官能特徴を変える組成物)をタバコ製品に提供するのに役立ち得る。
【0049】
特有の風味及び芳香特徴を有する種々の化合物は、花または種子から、より一般的には、ニコチアナ種の植物のバイオマスから単離され得る。一定のそれらの化合物は、温度、湿度、及び空気圧力の標準周囲条件下で揮発性であると考えられ得る。好ましい化合物は、比較的低い濃度において陽性官能特性を呈する。例えば、適切な花は、化合物、例えば、4−ケトシオホロン、フィトール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、リナロール、様々なセンブレノール異性体、様々なセンブレンジオール、イソホロン、メチルベンゾアート、サリチルアルデヒド、ベンジルサリシレート、メトキシオイゲノール、ツンベルゴール、様々なカルボキシル酸、様々なオキシム、ベンズアルデヒド、ベンジルベンゾアート、スカラル(scaral)、アセトフェノン、カリオフィレン、シンナムアルデヒド、シンナミルアルコール、様々なシクロヘキセン−ブタノン異性体、ソラベチボン、ファルネサール、ファルネソール、及び同様のものなどを提供することができる。追加の例示的な化合物は、1,8−シネオール、シス−3−ヘキセン−1−オール、サリチル酸メチル、b−イオノン、アセトバニロン、b−ダマスコン、b−ダマセノン、ジヒドロアクチニジオリド、バニリルアセトン、スクラレオリド、スクラレオ−ル、シス−アビエノール、センブレン異性体、センブラトリエンジオール異性体(例えば、アルファ−センブラトリエンジオール、ベータ−センブラトリエンジオール)、メガスチグマトリエノン(megastigmatrienone)、ノルソラナジオン(norsolanadione)、ソラノン、酸化カリオフィレン、イオノール誘導体、及び同様のものを含む。それらの種類の化合物のそれぞれは、比較的純粋な形態で単離され得る。例えば、Raguso et al.、Phytochemistry、63、265−284(2003)及びBauer et al.、Common Fragrance and Flavor Materials、Preparation、Properties and Uses、VCH、Federal Republic of Germany(1985)を参照されたい。更に、特有の風味及び芳香特徴を有する化合物は、例えばグリコシド結合された化合物の形態などで、化学的に結合され得る。興味のある多くの異なる化合物が、グリコシド形態、例えば、ベンズアルデヒド、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、エチルアセトフェノン、4−ケトイソフェロン(ketoisopherone)、ベンジルアセテート、1,8−シネオール、リナロール、ゲラニオール、オイゲノール、ネロリドール、センブレンジオール、テルピネオール、メガスチグマトリエノン、及び本明細書に記した他の化合物などで、タバコの花内に存在し得る。例えば、Snook et al.、Phytochemistry、31、1639−1647(1992)、Loughrin et al.、Phytochemistry、31、1537−1540(1992)、Kodama et al.、Agric.Biol.Chem.、45、941−944(1981)、Matsumura et al.、Chem.Pharm.Bull.、50、66−72(2002)、及びIshikawa et al.、Chem.Pharm.Bull.、50、501−507(2002)を参照されたい。
【0050】
単離物の形態は変動し得る。典型的には、単離物は、固体、液体、または半固体、あるいはゲルの形態である。単離物は、凝固物、無水物(absolute)、または純な(neat)形態で使用され得る。単離物の固体形態は、噴霧乾燥された及び凍結乾燥された形態を含む。単離物の液体形態は、水性または有機溶媒担体内に含有される単離物を含む。
【0051】
花、加工された花、もしくは花単離物、または種子、加工された種子、もしくは種子単離物は、任意の種々の形態で利用され得る。収穫された花もしくは花単離物または収穫された種子もしくは種子単離物は、加工タバコの成分として利用され得る。ある事項において、花もしくはその任意の1つ以上の成分、または種子もしくはその任意の1つ以上の成分が、(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、Shelarに対する米国特許第4,819,668号に規定された種類の手法及び方法を使用する)タバコ細片への適用のために外被配合物内で、または表面仕上げ配合物内で利用され得る。あるいは、花もしくはその任意の1つ以上の成分、または種子もしくはその任意の1つ以上の成分が、(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、一般に、Sohnに対する米国特許第5,143,097号、Brinkley et al.に対する米国特許第5,159,942号、Jakobに対する米国特許第5,598,868号、Youngに対する米国特許第5,715,844号、Gellatlyに対する米国特許第5,724,998号、及びKumarに対する米国特許第6,216,706号に規定された種類のタバコ再構成プロセスを使用して)再構成タバコ材料の原料として利用され得る。花もしくはその任意の1つ以上の成分、または種子もしくはその任意の1つ以上の成分はまた、紙巻きタバコ製造プロセスの間に、紙巻きタバコフィルタ(例えば、フィルタプラグ、プラグラップ、またはチッピング紙内)に組み込まれ得、あるいは紙巻きタバコ包装紙の中に、好ましくは内面上に組み込まれ得る。
【0052】
花、加工された花、もしくは花単離物、または種子、加工された種子、もしくは種子単離物は、喫煙物品に組み込まれ得る。代表的なタバコブレンド、非タバコ成分、及びそれらから製造された代表的な紙巻きタバコは、Lawson et al.に対する米国特許第4,836,224号、Perfetti et al.に対する米国特許第4,924,888号、Brown et al.に対する米国特許第5,056,537号、Gentryに対する米国特許第5,220,930号、及びBlakley et al.に対する米国特許第5,360,023号、Shafer et al.に対する米国特許出願2002/0000235号、ならびにPCT WO02/37990に規定されている。それらのタバコ材料はまた、Sensabaughに対する米国特許第4,793,365号、Clearman et al.に対する米国特許第4,917,128号、Brooks et al.に対する米国特許第4,947,874号、Korteに対する米国特許第4,961,438号、Lawrence et al.に対する米国特許第4,920,990号、Clearman et al.に対する米国特許第5,033,483号、Gentry et al.に対する米国特許第5,074,321号、Drewett et al.に対する米国特許第5,105,835号、Riggs et al.に対する米国特許第5,178,167号、Clearman et al.に対する米国特許第5,183,062号、Shannon et al.に対する米国特許第5,211,684号、Deevi et al.に対する米国特許第5,247,949号、Riggs et al.に対する米国特許第5,551,451号、Banerjee et al.に対する米国特許第5,285,798号、Farrier et al.に対する米国特許第5,593,792号、Bensalem et al.に対する米国特許第5,595,577号、Counts et al.に対する米国特許第5,816,263号、Barnes et al.に対する米国特許第5,819,751号、Beven et al.に対する米国特許第6,095,153号、Nichols et al.に対する米国特許第6,311,694号、及びNichols,et al.に対する米国特許第6,367,481号、Robinson et al.に対する米国特許出願公開第2008/0092912号、及びPCT WO97/48294、及びPCT WO98/16125に記載された種類の紙巻きタバコの製造のために利用され得る。また、Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobbaco、R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)、及びInhalation Toxicology、12:5、p.1−58(2000)に記載された種類の商業的に市販されている紙巻きタバコを参照されたい。
【0053】
花、加工された花、もしくは花単離物、または種子、加工されたシーク、もしくは種子単離物は、無煙タバコ製品、例えば、ばら状湿性かぎタバコ、ばら状乾燥かぎタバコ、噛みタバコ、(例えば、丸剤、錠剤、球体、硬貨、ビーズ、オブロイド(obloid)、もしくは豆の形状を有する)造粒タバコ断片、押し出されたか形成されたタバコの細片、断片、竿、円筒、または棒など、細かく分割され砕かれた粉末、粉状にされた断片及び成分の細かく分割されたもしくは製粉された塊、薄片状断片、成形加工タバコ断片、タバコを含有するガムの断片、テープ状フィルムの巻き物、容易に水に溶解可能または分散可能なフィルムもしくは細片(例えば、Chan et al.に対する米国特許出願公開第2006/0198873号)、あるいは外殻(例えば、本質的に透明、無色、半透明、もしくは濃く色付けされたものであり得る柔軟なまたは堅い外殻)と、タバコもしくはタバコ風味(例えば、いくつかの形態のタバコを含有するニュートン流体もしくはチキソトロピー流体)を有する内側領域と、を有するカプセル状材料に組み込まれ得る。様々な種類の無煙タバコ製品は、Schwartzに対する米国特許第1,376,586号、Leviに対する米国特許第3,696,917号、Pittman et al.に対する米国特許第4,513,756号、Sensabaugh,Jr.et al.に対する米国特許第4,528,993号、Story et al.に対する米国特許第4,624,269号、Townsendに対する米国特許第4,987,907号、Sprinkle,III et al.に対する米国特許第5,092,352号、及びWhite et al.に対する米国特許第5,387,416号、Strickland et al.に対する米国特許出願公開第米国特許第2005/0244521号、及びEngstrom et al.に対する米国特許第2008/0196730号、Arnarp et al.に対するPCT WO04/095959、Atchley et al.に対するPCT WO05/063060、Bjorkholmに対するPCT WO05/016036、及びQuinter et al.に対するPCT WO05/041699に規定されており、それらのそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。また、Atchley et al.に対する米国特許第6,953,040号及びAtchley et al.に対する米国特許第7,032,601号、Williamsに対する米国特許出願公開第2002/0162562号、Williamsに対する米国特許出願公開第2002/0162563号、Atchley et al.に対する米国特許出願公開第2003/0070687号、Williamsに対する米国特許出願公開第2004/0020503号、Breslin et al.に対する米国特許出願公開第2005/0178398号、Strickland et al.に対する米国特許出願公開第2006/0191548号、Holton,Jr.et al.に対する米国特許出願公開第2007/0062549号、Holton,Jr.et al.に対する米国特許出願公開第2007/0186941号、Strickland et al.に対する米国特許出願公開第2007/0186942号、Dube et al.に対する米国特許出願公開第2008/0029110号、Robinson et al.に対する米国特許出願公開第2008/0029116号、Mua et al.に対する米国特許出願公開第2008/0029117号、Robinson et al.に対する米国特許出願公開第2008/0173317号、及びNielsen et al.に対する米国特許出願公開第2008/0209586号に規定された種類の無煙タバコ配合物、原料、及び加工方法論を参照して、それらのそれぞれは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0054】
タバコ組成物に加えられるか、さもなければタバコ組成物もしくはタバコ製品内に組み込まれる、ある量の花もしくは花単離物、またはある量の種子もしくは種子単離物は、その花または種子の成分、その成分の化学構成、及びその花または種子成分が加えられるタバコ組成物の種類の所望された機能に依存し得る。タバコ組成物に加えられる量は、変動し得るが、典型的には、花もしくは花単離物または種子もしくは種子単離物が加えられるタバコ組成物の総乾燥重量に基づいて約5重量%を超えないことになる。花が喫煙物品内で利用される場合、花の量は、典型的には、喫煙物品内のタバコ材料の総乾燥重量に基づいて、少なくとも約5ppm、一般的には少なくとも約10ppm、及び多くの場合には少なくとも約100ppmになるが、典型的には、喫煙物品内のタバコ材料の総乾燥重量に基づいて、約5%よりも少ない、一般的には2%よりも少ない、及び多くの場合には約1%よりも少ないことになる。花が無煙タバコ製品内で利用される場合、花の量は、典型的には、無煙タバコ製品内のタバコ材料の総乾燥重量に基づいて、少なくとも約5ppm、一般的には少なくとも約10ppm、及び多くの場合には少なくとも約100ppmよりも少なくなるが、典型的には、無煙タバコ製品内のタバコ材料の総乾燥重量に基づいて、約5%よりも少ない、一般的には2%よりも少ない、及び多くの場合には約1%よりも少ないことになる。
【0055】
例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスの態様は、以下の実施例によって更に例示され、それらは、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスの一定の態様を例示するために規定され、それらの限定として解釈されない。
【0056】
ニコチアナ・アラタの花の無水物は、大量のオクタン酸(約32%の単離収率)をより小さな割合にある他のC
5〜C
12酸と共に含有する。これらの化合物は、官能中性(sensory neutral)または官能陰性(sensory negative)である。エステル化を通して、これらの化合物を官能陽性(sensory−positive)化合物に変換させた。
【0058】
【化1】
プロセスは、ニコチアナ・アラタの花の無水物から単離された前述の自然発生した酸のエステルを合成するように開発した。プロセスは、精製製品の収率量まで拡張させた。
【0059】
ニコチアナの花は、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスなどに従って、陽性官能特徴を有する化合物の源である。ニコチアナ・シルベストリス、ニコチアナ・スアベオレンス、及びニコチアナ・アラタの花の無水物を分離するためのフラッシュクロマトグラフィ。ニコチアナ・アラタの場合には、単離された構成要素の大半は、トレース量の他のC
5−C
12酸を伴ったオクタン酸であった。これらの化合物は、官能中性または官能陰性である(短鎖酸は、チーズのような、汗臭い靴下の芳香を有する一方で、C
8以上は、香りがしない)。対照的に、これらの酸のエチルエステルは、極陽性の官能特徴、すなわち、風味豊かな、パイナップル、イチゴ、リンゴ、バナナ、ココナッツ、ワイン、コニャック、ラムを有する。なおその上に、これらのエステルは、1ppb(10億分の1)ほどの低さの臭気閾値で、極めて強烈である。
【0060】
初期検討は、エチルエステルの合成のために最適なパラメータを決定するためのスクリーニング反応条件を扱った。最適化は、オクタン酸のエチルオクタノエートへの変換及び反応時間によって導いた。
【0061】
【表1】
表1に明らかであるように、好ましい結果が、試験Dにおいて、約1.5当量の濃縮された硫酸、500当量の無水エタノールで、かつ水除去のための分子篩なしで、得られた。
【0062】
次の目的は、エチルエステルの混合物を官能評価に十分な大きさの量で合成することであった。これを達成するために、出発材料の酸混合物(5.067g、35.1ミリモル)を、磁気撹拌棒を備え付けた1Lの丸底フラスコに加えて、無水エタノール(610mL、10.4モル)中に溶解させた。溶解後、濃縮させた硫酸(3.0mL、54.0ミリモル)を反応混合物に加えた。フラスコは、次いで、濃縮器に収容し、加熱して還流させた。4時間後、反応混合物の分取物をGC−MSによって分析し、エチルエステルに完全に変換されたことを判断した。反応混合物は、周囲温度まで冷却し、ロケット(Rocket)蒸発器を使用して濃縮し、エタノールの大部分を(50mLの体積に至るまで)除去した。次いで、この濃縮物を1Lの分液漏斗の中に注いで、メチル−tert−ブチルエーテル(500mL)で希釈した。次いで、この有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)で1回、かつ脱イオン水で4回(4x100mL)洗浄した。最後の洗浄後、水溶液が、硫酸触媒の除去を示す中和したこと(pH7)を観測した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、ロケット蒸発器を使用して濃縮させた。
【0063】
粗生成物(3.822g)を、Interchim PuriFlash4250フラッシュクロマトグラフィシステムを使用して精製した。この方法は、シリカゲルカラム(24g、15μmの粒子サイズ)及びヘキサン/酢酸エチル溶出勾配を利用した。次いで、(GC−MS分析によって判断されるように)エチルエステル中に富化された部分を組み合わせて、ロケット蒸発器を使用して濃縮し、淡黄色油(1.468g、24.6%収率)を得た。精製されたエチルエステル材料のGC−MSクロマトグラムは、
図1に示されるデータを生じさせた。
【0064】
例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスを、対応するイソプロピル及びイソアミルエステルを増大させた量で合成するために更に利用した。
他のアルコールを用いたエステル化を行い、プロセスの範囲を実証し、他の固有官能陽性材料を生成した。表2に見られるように、タバコ由来材料のイソプロピル及びイソアミルエステルを例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスによって生産した。
【0066】
精製されたエチルイソプロピルエステル材料のGC−MSクロマトグラムは、
図2に示されるデータを生じさせた。精製されたイソアミルエステル材料のGC−MSクロマトグラムは、
図3に示されるデータを生じさせた。
【0067】
シリカゲルカラム上のフラッシュクロマトグラフィを利用して、例えばニコチアナ種の無水物からの上記実施例において使用したものなどの酸の混合物を準備した。かかるプロセスに従って、ヘキサン/酢酸エチル溶媒勾配は、対象の短鎖脂肪酸から中間鎖脂肪酸へのセンブラトリエンジオールの分離を容易にさせた。かかるプロセスは、ニコチアナ・アラタ、ニコチアナ・スアベオレンス、及びニコチアナ・シルベストリスのための成功裏の準備をもたらした。花は、周囲温度においてヘキサンを用いて抽出し濃縮して、花の凝固物を生成した。各凝固物は、最小量のエタノール中に溶解させて、沈殿させて、対応するワックスを沈殿させた。残りの各容液は、真空濾過して、花の無水物を生成した。平均して、花の無水物は、湿った花の質量の0.12%を構成した。
【0068】
例えば様々な実施形態において本明細書に記載されるプロセスの実施例として、様々な触媒反応を、エタノールとのタバコ油トリグリセリドのエステル交換を実現するために行って、脂肪酸エチルエステルを形成した。例えば、NaOHの存在及び不存在における三フッ化ホウ素とのタバコ種油トリグリセリドのエステル交換を行った。小瓶中の20mgの油に対して、1mLの0.5MのNaOHを加えた。瓶は、N
2でパージし、蓋をし、95℃で5分間加熱した。次いで、結果として生じた混合物を冷却して、エタノール中の2mLの10%BF
3を溶液に加えた。瓶は、再び、N
2でパージし、蓋をし、95℃で更に30分間加熱した。次に、試料を冷却し、エタノールの大部分を真空下で取り除いた。脂肪酸エチルエステル生成物の混合物を抽出した。対応する脂肪酸エチルエステルへのトリグリセリドの実質的な変換があった。
【0069】
同様に、ナトリウムエトキシド/三フッ化ホウ素触媒反応を行った。エタノール中の1mLの0.5Mまたは1MのNaOEtを20mgのタバコ種油と共に使用した。溶液をN
2でパージし、蓋をし、5分間95℃で加熱した。試料を冷却し、エタノール中の10%BF
3のある体積(0.5、1、または2mL)を反応容器に加えた。反応へのNaOEtの作用の検討に加えて、3つの他の実験を行い、ベース及び/またはより大きな体積のBF
3のより大きな濃縮が、より効率的な反応をもたらすかどうかを判断した。NaOEtの濃縮の変動は、タバコ種油中のC
11トリグリセリドまたは様々なトリグリセリドの変換に大きな影響を及ぼさなかった。しかしながら、0.5から2mLへのBF
3の体積の増加は、反応収率を増大させた。この触媒反応方法は、トレース量の水分に対して極めて敏感であることが判明した。ナトリウムエトキシドではなくて三フッ化ホウ素のみを触媒として使用したときに、容認できる結果を得た。
【0070】
ベース触媒、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、及びナトリウムエトキシドなどをタバコ種油のエステル交換のために試験した。しかしながら、これらの触媒のいずれも、5〜10%よりも大きな反応収率を示さなかった。これらの結果は、トリグリセリドのエチルエステルへの95%の変換を観測した文献における報告に矛盾するように見えた。「Trans−Esterification of Vegetable Oils:a Review」、U.Schuchardt、R.Sercheli、及びR.M.Vargas、J.Braz.Chem.Soc.、9、199−210(1998)、「Catalysis in Biodiesel Production by trans−Esterification Processes:An Insight」、P.M.Ejikeme、I.D.Anyaogu、L.Ejikeme、N.P.Nwafor、C.A.Egbuonu、及びK.Ukogu、E.Journal Chemisty、7、1120−1132(2010)を参照されたい。引用された文献は、反応が無水及び無気条件下で完了される必要があることを強調した。したがって、いくつかの不十分な回収が湿ったタバコ種油または反応チャンバ中の空気の存在に起因した可能性がある。水分の存在に対する顕著な感度を示さなかったエステル交換反応が、別個の利点を有し得たことを推断した。しかしながら、水分の存在は、産業生産規模において制御することが非常に困難であろう。
【0071】
酸触媒反応に関して、異なる温度(80℃及び100℃)ならびに異なる反応時間(1、3、8、及び24時間)におけるエタノール中のH
2SO
4の様々な濃縮を試験した。最適化された反応条件を達成するために、約20mgの油を0.5mLのエタノールを含有する3、5、または10%のH
2SO
4とエステル交換した。トリグリセリド内標準(2mgのグリセリルC
11)を最初に各反応混合物に加えた。各エステル交換後、GC/FIDを使用して、C
11脂肪酸エチルエステルへの内標準の変換率を推定した。続いて、エステル交換効率を重量測定とGC/FID分析の両方によって判断した。目的は、高純度の脂肪酸エチルエステル生成物を達成することであった。各反応後、残りのエタノールを真空下で取り除いて、結果として生じた混合物を1mLの飽和NaCl溶液で洗浄した。脂肪酸エチルエステルの真空乾燥した混合物を3x1mLのヘキサンで抽出した。次に、ヘキサンを含有する脂肪酸エチルエステルを硫酸ナトリウムによって乾燥させて、ヘキサンを完全に蒸発させた。脂肪酸エチルエステルの組み合わされた重量を得て、次いで、組み合わされた脂肪酸エチルエステルを10mLのジクロロメタンに溶解させて、GC/FIDによって個々に分析した。例えば、対応する脂肪酸エチルエステルへのグリセリルC
11についてのsn87.8%変換を24時間80℃でエタノール中の3%H
2SO
4を使用して得た。
【0072】
内標準のエステル交換を立証するために、3つの試料を以下の通り、すなわち、24時間80℃でエタノール中の3%H
2SO
4とエステル交換した。回収は、約80%ほどであった。
図4は、(a)混合物のエステル交換後にグリセリルC
11内標準(2.15mg)をスパイクされたタバコ種油、(b)エステル交換され、次いで、内標準のエステル交換後に予測されるのと同じ量になるC
11脂肪酸エチルエステル(2.3mg)をスパイクされたタバコ種油の反応生成物のGC/FIDを示す。両方のクロマトグラムについてのC
11脂肪酸エチルエステルピーク面積は、類似の面積数を示した。この実験は、これらの条件下での内標準トリグリセリドのC
11脂肪酸エチルエステルへの変換が完了して、分析物が生成物のワークアップ作業(work−up)の間に失われなかったことを示した。
【0073】
3gのタバコ種油を、H
2SO
4触媒を利用する上記条件を利用してエステル交換した。反応を3回実行した。類似プロセスを3gの内標準に適用した。各反応について、エタノール中に40mLの3%H
2SO
4を追加した。各混合物を24時間80℃で還流させた。反応が完了した後、エタノールの大部分を真空蒸留によって取り除いて、5〜10mLの飽和NaCl溶液の追加を続けた。各試料を3x20mLのヘキサンを用いて抽出した。次いで、各試料からの組み合わされたヘキサン溶液を、硫酸ナトリウムを通過させることによって乾燥させて、真空蒸留を使用してヘキサンの蒸発を続けた。タバコ種油と内標準の両方からのFAEEの実際の総重量を重量測定によって得た。また、GC/FIDを使用して、各FAEEの正確な重量を得た。表3は、(a)使用した油またはトリ−ウンデカノイン内標準の出発重量、(b)得られたFAEEの予測重量、(c)重量測定によるFAEEの合算重量及びGC/FIDによるFAEEの個別重量を示す。
【0074】
したがって、重量測定分析は、95〜106%の脂肪酸エチルエステルの回収を示した。同時に、同じ脂肪酸エチルエステルのGC/FID分析は、76〜82%の回収のみを示した。独立の実験室(Medallion Labs、Minneapolis、MN)による高温GC/FID分析は、主として脂肪酸エチルエステルの存在及び2〜3%よりも少ないトリグリセリドを示した。
図5に示されるように、エステル交換された内標準のGC/FID分析は、C
11脂肪酸エチルエステルの存在のみを示した。
【0076】
図6に示されるように、脂肪酸エチルエステルの
13C NMRは、1)約170ppmにおける1つのカルボニル信号が、1つの構造の存在に適合し、2)130ppm辺りの3つの信号が、長鎖脂肪酸のアルケン炭素に適合し、3)約60ppmにおける1つの信号が、エチル基のα炭素であるC−O結合の1つの種類に適合し、4)35〜15ppm間の信号の群が、長鎖脂肪酸基のアルキル炭素に適合したことを明らかにした。
【0077】
図7に示されるように、脂肪酸エチルエステルのプロトンNMRは、1)5.5ppmにおける信号が、不飽和炭素に結び付いたプロトンに適合し、2)1.25ppmにおける信号が、脂肪族炭素に結び付いたプロトンに適合し、及び3)4.5ppm辺りの信号が、グリセリン骨格に結び付いたプロトンに適合したことを明らかにした
【0078】
図8に示されるように、タバコ種油の
13C NMRは、1)ただ2つの信号が予測されていたであろうが、約180〜170ppm間における3つのカルボニル信号が、3つのカルボニル基の存在に適合し、2)約130ppmにおける3つの信号が、アルキル側鎖中に存在するアルケン炭素に適合し、3)ただ2つの信号が予測されていたであろうが、70〜60ppm間で変動する強度の複数の信号が、酸素に結び付いた炭素に適合し、4)35〜15ppm間の複数の信号が、長鎖脂肪酸基のアルキル炭素に適合したことを明らかにした。これらの信号の解釈は、タバコ種油中の比較的小さな量のモノ及びジグリセリドの存在に帰し得る。
【0079】
図9に示されるように、タバコ種油のプロトンNMRは、1)5.5ppmにおける信号が、不飽和炭素に結び付いたプロトンに適合し、2)1.25ppmにおける信号が、脂肪族炭素に結び付いたプロトンに適合し、及び3)4.5ppm辺りの信号が、グリセリン骨格に結び付いたプロトンに適合したことを明らかにした。
【0080】
したがって、エステル交換反応生成物中に存在する信号は、長鎖不飽和脂肪酸のエチルエステルのものと適合した。別の構造の存在を示唆したであろう他の信号は、存在しなかった。
【0081】
例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスの多くの修正及び他の実施形態であって、この開示したプロセスが関連し、前述した記載に提示された教示の利益を有する、かかる修正及び他の実施形態は、当業者が思いつくであろう。したがって、例えば本明細書における様々な実施形態に記載されるプロセスは、開示された特定の実施形態に限定されないことと、修正及び他の実施形態が、添付の特許請求の範囲内に含まれるように意図されることが理解される。特定の用語が本明細書において利用されるが、それらは、包括的及び記述的な意味においてのみ使用され、限定する目的のために使用されるものではない。