(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タービンエンジンブレードを製造する方法であって、このブレードが、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を備えた複合材料で形成され、エアフォイルと、エアフォイルの長手方向の一端に位置し、流路を規定する内側面、および、内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から突出し、ほぼ周方向において前記外側面と接続する少なくとも1つの機能要素と、を備え、本方法は、
複数層の編み込みによって単一片のファイバブランクを形成することと、
ブレードエアフォイルのためのプリフォームを形成する第1の部分、ならびに、第1のプラットフォームのためのプリフォームおよび少なくとも1つの機能要素のためのプリフォームを形成する第2の部分を有する単一片のファイバプリフォームを得るためにファイバブランクをシェーピングすることと、
プリフォームによって形成され、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を有し、エアフォイル、第1のプラットフォーム、および、前記少なくとも1つの機能要素を組み込む単一片を形成する複合材料ブレードを得るために、マトリクスによってファイバプリフォームを高密度化することと、を含み、
プリフォームの第2の部分が、内部に配置された少なくとも1つの非相互リンクゾーンと、編み込みによって相互リンクされ、機能要素のプリフォームまたは各機能要素のプリフォームが、第1のプラットフォームのためのプリフォームに対して配置されることを可能にする、ヤーン層のセットを備えており、第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分は、1つまたは複数のヤーン層を含み、そのヤーン層は、長手方向に位置付けられた1つまたは複数の位置におけるエアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分から取られ、エアフォイルのプリフォームは、長手方向において厚みが変化する、方法。
ファイバブランクは、第1のプラットフォームが位置する、エアフォイルの端部から離間したエアフォイルの長手方向端部に位置する第2のプラットフォームのためのプリフォームを形成する第3の部分を有しもする、単一片のファイバプリフォームを得るためにシェーピングされ、第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分のヤーン層のセットが、エアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分と共通のヤーン層のグループと、第2のプラットフォームのプリフォームに対応するブランクの部分と共通のヤーン層のグループを含んでいる、請求項1または請求項2に記載の方法。
タービンエンジンロータブレードを製造する方法であって、このブレードが、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を備えた複合材料で形成され、ルートと、エアフォイルと、エアフォイルの長手方向の一端に位置し、流路を規定する内側面、および、内側面とは反対側の外側面を有する、ヘッドを形成する外側プラットフォームと、各々が、ヘッドの外側面から突出し、ほぼ周方向において前記外側面と接続するヘッドワイパと、を備え、本方法は、
複数層の編み込みによって単一片のファイバブランクを形成することと、
エアフォイルのためのプリフォームを形成する第1の部分、ヘッドのためのプリフォームおよびワイパのためのプリフォームを形成する第2の部分、ならびに、第1の部分を延ばし、ルートのためのプリフォームを形成する第3の部分を有する単一片のファイバプリフォームを得るためにファイバブランクをシェーピングすることと、
プリフォームによって形成され、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を有し、ルート、エアフォイル、ヘッド、およびヘッドワイパを組み込む単一片を形成する複合材料ブレードを得るために、マトリクスによってファイバプリフォームを高密度化することと、を含み、
プリフォームの第2の部分が、内部に配置された非相互リンクゾーンと、編み込みによって相互リンクされ、ヘッドワイパのためのプリフォームが、ヘッドのためのプリフォームに対して配置されることを可能にする、ヤーン層のセットを備えており、第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分は、1つまたは複数のヤーン層を含み、そのヤーン層は、長手方向に位置付けられた1つまたは複数の位置におけるエアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分から取られ、エアフォイルのプリフォームは、長手方向において厚みが変化する、方法。
ファイバブランクは、内側プラットフォームのためのプリフォームを形成する第4の部分をも有しもする、単一片のファイバプリフォームを得るためにシェーピングされ、第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分のヤーン層のセットが、エアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分と共通のヤーン層のグループと、内側プラットフォームのプリフォームに対応するブランクの部分と共通のヤーン層のグループを含んでいる、請求項4または請求項5に記載の方法。
ブレードルートプリフォームは、エアフォイルのプリフォームのヤーン層の数より大である数のヤーン層を備え、ファイバブランクにおいて、第2のプリフォーム部分に対応するブランクの部分のヤーン層のセットは、エアフォイルのプリフォームに対応するブランクの部分と共通のヤーン層のグループと、ルートのプリフォームに対応し、エアフォイルのプリフォームにおいて使用されていないブランクの部分と共通のヤーン層のグループと、を備えている、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
第2のプリフォーム部分の層のセットは、ルートのプリフォームまたはブレードのプリフォームと共通ではないヤーン層の追加のグループを含んでいる、請求項5または請求項7に記載の方法。
ファイバブランクは、内側プラットフォームのプリフォームを形成する第4の部分をも有する単一片のファイバプリフォームを得るためにシェーピングされ、エアフォイルのプリフォームは、ルートのプリフォームと共通のヤーン層のセットを含み、内側プラットフォームの位置において、内側プラットフォームのプリフォームのヤーン層のセットと交差する、請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。
タービンエンジンステータブレードを製造する方法であって、このブレードが、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を備えた複合材料で形成され、エアフォイルと、エアフォイルの長手方向の一端に位置し、流路を規定する内側面、および、内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から突出し、ほぼ周方向において前記外側面と接続する取付けフックと、を備え、本方法は、
複数層の編み込みによって単一片のファイバブランクを形成することと、
エアフォイルのためのプリフォームを形成する第1の部分、第1のプラットフォームのためのプリフォームを形成する第2の部分、および、取付けフックのためのプリフォームを有する単一片のファイバプリフォームを得るためにファイバブランクをシェーピングすることと、
プリフォームによって形成され、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を有し、エアフォイル、第1のプラットフォーム、および取付けフックを組み込む単一片を形成する複合材料ブレードを得るために、マトリクスによってファイバプリフォームを高密度化することと、を含み、
プリフォームの第2の部分が、内部に配置された非相互リンクゾーンと、編み込みによって相互リンクされ、取付けフックのプリフォームが、第1のプラットフォームのためのプリフォームに対して配置されることを可能にする、ヤーン層のセットを備えており、第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分は、1つまたは複数のヤーン層を含み、そのヤーン層は、長手方向に位置付けられた1つまたは複数の位置におけるエアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分から取られ、エアフォイルのプリフォームは、長手方向において厚みが変化する、方法。
タービンエンジンステータブレードを製造する方法であって、このブレードが、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を備えた複合材料で形成され、エアフォイルと、エアフォイルの長手方向の一端に位置し、流路を規定する内側面、および、内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から突出し、ほぼ周方向において前記外側面と接続する少なくとも1つのアブレイダブル支持要素と、を備え、本方法は、
複数層の編み込みによって単一片のファイバブランクを形成することと、
エアフォイルのためのプリフォームを形成する第1の部分、第1のプラットフォームのためのプリフォームを形成する第2の部分、および、アブレイダブル支持要素のための少なくとも1つのプリフォームを有する単一片のファイバプリフォームを得るためにファイバブランクをシェーピングすることと、
プリフォームによって形成され、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を有し、エアフォイル、第1のプラットフォーム、および少なくとも1つのアブレイダブル支持要素を組み込む単一片を形成する複合材料ブレードを得るために、マトリクスによってファイバプリフォームを高密度化することと、を含み、
プリフォームの第2の部分が、内部に配置された非相互リンクゾーンと、編み込みによって相互リンクされ、アブレイダブル支持要素のプリフォームが、第1のプラットフォームのためのプリフォームに対して配置されることを可能にする、ヤーン層のセットを備えており、第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分は、1つまたは複数のヤーン層を含み、そのヤーン層は、長手方向に位置付けられた1つまたは複数の位置におけるエアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分から取られ、エアフォイルのプリフォームは、長手方向において厚みが変化する、方法。
ファイバブランクにおいて、ヤーン層の前記セットは、ブレードの長手方向に延びる、縦糸ヤーン層を備え、前記非相互リンクゾーンは、緯糸方向において限定された、ある距離にわたる第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分の対向する側面間の縦糸方向に連続して延びる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
ファイバブランクにおいて、ヤーン層の前記セットは、ブレードの長手方向に延びる、緯糸ヤーン層を備え、前記非相互リンクゾーンは、縦糸方向に限定された、ある距離にわたる第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分の対向する側面間の緯糸方向に連続して延びる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
エアフォイルと、このエアフォイルの長手方向端部に位置し、流路を規定する内側面、および、この内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から延び、ほぼ周方向において前記外側面と接続する少なくとも1つの機能要素と、を備え、
ブレードは、マトリクスによって高密度化された複数層の編み込みファイバ強化材を備えた複合材料の単一片であり、
ファイバ強化材は、ブレードエアフォイルのための強化材を形成する第1の部分と、第1のブレードプラットフォームのため、および、少なくとも1つの機能要素のための強化材を形成する第2の部分と、を有する単一片であり、
このブレードにおいて、第2のファイバ強化材部分は、編み込みによってすべてが相互リンクし、機能要素または各機能要素のための強化材と第1のプラットフォームのための強化材との間の分離ゾーンにおいて離間したヤーン層のセットを備えている、タービンエンジンブレード。
エアフォイルと、このエアフォイルの長手方向端部に位置し、流路を規定する内側面、および、この内側面とは反対側の外側面を有するブレードヘッドを形成する外側プラットフォームと、ヘッドの外側面から延び、ほぼ周方向において前記外側面と接続するヘッドワイパと、を備え
ブレードは、マトリクスによって高密度化された複数層の編み込みファイバ強化材を備えた複合材料の単一片であり、
ファイバ強化材は、エアフォイルのための強化材を形成する第1の部分と、ヘッドのための強化材、および、ヘッドワイパのための強化材を形成する第2の部分と、を有する単一片であり、
このブレードにおいて、第2のファイバ強化材部分は、編み込みによってすべてが相互リンクし、ヘッドワイパのための強化材とヘッドのための強化材との間の分離ゾーンにおいて離間したヤーン層のセットを備えている、タービンエンジンロータブレード。
エアフォイルと、このエアフォイルの長手方向端部に位置し、流路を規定する内側面、および、この内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から延び、ほぼ周方向において前記外側面と接続するブレード取付けフックと、を備え
ブレードは、マトリクスによって高密度化された複数層の編み込みファイバ強化材を備えた複合材料の単一片であり、
ファイバ強化材は、エアフォイルのための強化材を形成する第1の部分と、第1のプラットフォームのための強化材、および、取付けフックのための強化材を形成する第2の部分と、を有する単一片であり、
このブレードにおいて、第2のファイバ強化材部分は、編み込みによってすべてが相互リンクし、取付けフックのための強化材と第1のプラットフォームのための強化材との間の分離ゾーンにおいて離間したヤーン層のセットを備えている、タービンエンジンステータブレード。
エアフォイルと、このエアフォイルの長手方向端部に位置し、流路を規定する内側面、および、この内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から延び、ほぼ周方向において前記外側面と接続する少なくとも1つのアブレイダブル支持要素、を備え
ブレードは、マトリクスによって高密度化された複数層の編み込みファイバ強化材を備えた複合材料の単一片であり、
ファイバ強化材は、エアフォイルのための強化材を形成する第1の部分と、第1のプラットフォームのための強化材、および、少なくとも1つのアブレイダブル支持要素のための強化材を形成する第2の部分と、を有する単一片であり、
このブレードにおいて、第2のファイバ強化材部分は、編み込みによってすべてが相互リンクし、アブレイダブル支持要素または各アブレイダブル支持要素のための強化材と第1の内側プラットフォームのための強化材との間の分離ゾーンにおいて離間したヤーン層のセットを備えている、タービンエンジンステータブレード。
セラミックマトリクス複合材料で形成された請求項16から19のいずれか一項に記載のブレードを含む、タービンエンジンのためのタービンまたはコンプレッサホイール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ブレードのプリフォームが得られるファイバブランクの編み込みの際にヤーンに加えられるストレスを制限しつつ、単一片として、複合材料からタービンエンジンブレードを製造するための単純化された方法を提案することである
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般的な方式では、本発明は、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を備えた複合材料からタービンエンジンブレードを製造する方法であって、このブレードが、エアフォイルと、エアフォイルの長手方向の一端に位置し、流路を規定する内側面、および、内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から突出し、ほぼ周方向において前記外側面と接続する少なくとも1つの機能要素と、を備え、本方法は、
複数層の編み込みによって単一片のファイバブランクを形成することと、
ブレードエアフォイルのためのプリフォームを形成する第1の部分、ならびに、第1のプラットフォームのためのプリフォームおよび少なくとも1つの機能要素のためのプリフォームを形成する第2の部分を有する単一片のファイバプリフォームを得るためにファイバブランクをシェーピングすることと、
プリフォームによって形成され、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を有し、エアフォイル、第1のプラットフォーム、および、前記少なくとも1つの機能要素を組み込む単一片を形成する複合材料ブレードを得るために、マトリクスによってファイバプリフォームを高密度化することと、を含み、
プリフォームの第2の部分が、内部に配置された少なくとも1つの非相互リンクゾーンと、編み込みによって相互リンクされ、この機能要素のプリフォームまたは各機能要素のプリフォームが、第1のプラットフォームのためのプリフォームに対して配置されることを可能にする、ヤーン層のセットを備えている、方法を提供する。第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分は、長手方向に位置付けられた1つまたは複数の位置におけるエアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分から取られた、1つまたは複数のヤーン層であって、エアフォイルのプリフォームは、長手方向において厚みが変化する、1つまたは複数のヤーン層を含み得る。
【0010】
「機能要素」との用語は、本明細書において、たとえば、外側プラットフォームのワイパもしくはロータブレータの「ヘッド」を形成するために、プラットフォームの外側表面から突出するブレードの一部分、もしくは、ステータブレードの外側プラットフォームの外側面、もしくは、場合によっては内側プラットフォームの外側面から突出する取付けフック、または、それどころか、ステータブレードの内側プラットフォーム、もしくは、場合によっては外側プラットフォームの外側面から突出するアブレイダブル支持要素を意味するために使用される。「流路を規定する内側面」との用語は、本明細書において、ブレードがコンプレッサまたはタービンに挿入されている際に、コンプレッサまたはタービンを通って流れる空気またはガスの流れに曝される面となる、内側または外側ブレードプラットフォームの面を意味するために使用される。「内側」および「外側」との用語は、本明細書において、ブレードが取り付けられるタービンエンジンの軸に対する位置を示すために使用され、たとえば、内側プラットフォームは、外側プラットフォームよりも軸に近い。「周方向(circumferential)」との用語は、本明細書において、ブレードが取り付けられたタービンエンジンの軸に対して使用される。
【0011】
本発明の方法により、非相互リンクゾーンを配置する方法が、機能要素のためのプリフォームと、やはりブレードプラットフォームのためのプリフォームとの両方を得るために、別々の編み込みシートのファイバブランクを形成する必要がないことを意味する。上述の従来技術と比較すると、交差部の数と、ファイバブランクの複雑さがこうして低減され、それにより、ヤーンの破損のリスクを低減し、また、プリフォームをシェーピングするための工具の設計が単純化される。
【0012】
第2のプリフォーム部分の層のセットは、エアフォイルのプリフォームと共通のヤーン層のグループを含む場合がある。
【0013】
第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分は、部分的に、エアフォイルのプリフォームに対応するブランクの部分を延ばし得、それにより、上述の従来技術のように、この部分が完全に交差することを必要とすることが避けられる。
【0014】
ファイバプリフォームをシェーピングすることは、第1のプラットフォームが位置する、エアフォイルの端部から離間したエアフォイルの長手方向端部に位置する第2のプラットフォームのためのプリフォームを形成する第3の部分を有しもする、単一片のファイバプリフォームを得るように実施され得、第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分のヤーン層のセットがこのため、エアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分と共通のヤーン層のグループと、第2のプラットフォームのプリフォームに対応するブランクの部分と共通のヤーン層のグループを含み得る。
【0015】
本発明の第1の実施態様では、本方法は、タービンエンジンロータブレードを製造することを試みる。このブレードは、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を備えた複合材料で形成され、ルートと、エアフォイルと、エアフォイルの長手方向の一端に位置し、流路を規定する内側面、および、内側面とは反対側の外側面を有する、ヘッドを形成する外側プラットフォームと、各々が、ヘッドの外側面から突出し、ほぼ周方向において前記外側面と接続するヘッドワイパと、を備え、本方法が、
複数層の編み込みによって単一片のファイバブランクを形成することと、
エアフォイルのためのプリフォームを形成する第1の部分、ヘッドのためのプリフォームおよびワイパのためのプリフォームを形成する第2の部分、ならびに、第1の部分を延ばし、ルートのためのプリフォームを形成する第3の部分を有する単一片のファイバプリフォームを得るためにファイバブランクをシェーピングすることと、
プリフォームによって形成され、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を有し、ルート、エアフォイル、ヘッド、およびヘッドワイパを組み込む単一片を形成する複合材料ブレードを得るために、マトリクスによってファイバプリフォームを高密度化することと、を含み、
プリフォームの第2の部分が、内部に配置された非相互リンクゾーンと、編み込みによって相互リンクされ、ヘッドワイパのためのプリフォームが、ヘッドのためのプリフォームに対して配置されることを可能にする、ヤーン層のセットを備えている。第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分は、長手方向に位置付けられた1つまたは複数の位置におけるエアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分から取られた、1つまたは複数のヤーン層であって、エアフォイルのプリフォームは、長手方向において厚みが変化する、1つまたは複数のヤーン層を含み得る。
【0016】
第2のプリフォーム部分の層のセットは、ブレードのプリフォームと共通のヤーン層のグループを含む場合がある。第2のプリフォーム部分の層のセットは、ブレードエアフォイルのプリフォームと共通ではない、さらなるヤーン層のグループをも含む場合がある。
【0017】
ファイバプリフォームのシェーピングは、内側プラットフォームのためのプリフォームを形成する第4の部分をも有する単一片のファイバプリフォームを得るように実施され得る。そのような状況下では、第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分のヤーン層のセットが、エアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分と共通のヤーン層のグループと、内側プラットフォームのプリフォームに対応するブランクの部分と共通のヤーン層のグループとを含み得る。さらに、そのような状況下では、プリフォームは、ルートのプリフォームと共通であり、内側プラットフォームの位置において、内側プラットフォームのプリフォームのヤーン層のセットによって交差されるヤーン層のセットを含み得る。
【0018】
ルートのプリフォームは、エアフォイルのプリフォームのヤーン層の数より大である数のヤーン層を備え、ファイバブランクにおいて、第2のプリフォーム部分に対応するブランクの部分のヤーン層のセットは、エアフォイルのプリフォームに対応するブランクの部分と共通のヤーン層のグループと、ルートのプリフォームに対応し、エアフォイルのプリフォームにおいて使用されていないブランクの部分と共通のヤーン層のグループと、を含む。ルートのプリフォームに対応するブランクの部分において使用されたヤーン層のグループは、したがって、第2のプリフォーム部分に対応するブランクの部分から回収される。第2のプリフォーム部分の層のセットは、ルートのプリフォームと共通ではない、さらなるヤーン層のグループをも含む場合がある。
【0019】
本発明の第2の実施態様では、本方法は、タービンエンジンステータブレードを製造することを試みる。このブレードは、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を備えた複合材料で形成され、エアフォイルと、エアフォイルの長手方向の一端に位置し、流路を規定する内側面、および、内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から突出し、ほぼ周方向において前記外側面と接続する取付けフックと、を備え、本方法が、
複数層の編み込みによって単一片のファイバブランクを形成することと、
エアフォイルのためのプリフォームを形成する第1の部分、第1のプラットフォームのためのプリフォームを形成する第2の部分、および、取付けフックのためのプリフォームを有する単一片のファイバプリフォームを得るためにファイバブランクをシェーピングすることと、
プリフォームによって形成され、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を有し、エアフォイル、第1のプラットフォーム、および取付けフックを組み込む単一片を形成する複合材料ブレードを得るために、マトリクスによってファイバプリフォームを高密度化することと、を含み、
プリフォームの第2の部分が、内部に配置された非相互リンクゾーンと、編み込みによって相互リンクされ、取付けフックのプリフォームが、第1のプラットフォームのためのプリフォームに対して配置されることを可能にする、ヤーン層のセットを備えている。第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分は、長手方向に位置付けられた1つまたは複数の位置におけるエアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分から取られた、1つまたは複数のヤーン層であって、エアフォイルのプリフォームは、長手方向において厚みが変化する、1つまたは複数のヤーン層を含み得る。
【0020】
第1のプラットフォームプラットフォームのプリフォームは、外側プラットフォームのプリフォームまたは内側プラットフォームのプリフォームである場合がある。
【0021】
第2のプリフォーム部分の層のセットは、エアフォイルのプリフォームと共通のヤーン層のグループを含む場合がある。
【0022】
本発明の方法の第3の実施態様では、本発明は、タービンエンジンステータブレードを製造する方法であって、このブレードが、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を備えた複合材料で形成され、エアフォイルと、エアフォイルの長手方向の一端に位置し、流路を規定する内側面、および、内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から突出し、ほぼ周方向において前記外側面と接続する少なくとも1つのアブレイダブル支持要素と、を備え、本方法は、
複数層の編み込みによって単一片のファイバブランクを形成することと、
エアフォイルのためのプリフォームを形成する第1の部分、第1のプラットフォームのためのプリフォームを形成する第2の部分、ならびに、アブレイダブル支持要素のための少なくとも1つのプリフォームを有する単一片のファイバプリフォームを得るためにファイバブランクをシェーピングすることと、
プリフォームによって形成され、マトリクスによって高密度化されたファイバ強化材を有し、エアフォイル、第1のプラットフォーム、少なくとも1つのアブレイダブル支持要素を組み込む単一片を形成する複合材料ブレードを得るために、マトリクスによってファイバプリフォームを高密度化することと、を含み、
プリフォームの第2の部分が、内部に配置された非相互リンクゾーンと、編み込みによって相互リンクされ、アブレイダブル支持要素のプリフォームまたは各アブレイダブル支持要素のプリフォームが、第1のプラットフォームのためのプリフォームに対して配置されることを可能にする、ヤーン層のセットを備えている、方法を提供する。第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分は、長手方向に位置付けられた1つまたは複数の位置におけるエアフォイルのプリフォームに対応するファイバブランクの部分から取られた、1つまたは複数のヤーン層であって、エアフォイルのプリフォームは、長手方向において厚みが変化する、1つまたは複数のヤーン層を含み得る。
【0023】
第1のプラットフォームのプリフォームは、内側プラットフォームのプリフォームまたは外側プラットフォームのプリフォームである場合がある。
【0024】
第2のプリフォーム部分の層のセットは、エアフォイルのプリフォームと共通のヤーン層のグループを含む場合がある。
【0025】
本発明の方法の第1および第2の実施態様は、ブレード、外側プラットフォーム、取付けフック、内側プラットフォーム、および、少なくとも1つのアブレイダブル支持要素を組み込む、複合材料からタービンエンジンステータブレードを製造するために、相互に組み合わせることができる。
【0026】
本発明の任意の方法では、ファイバブランクにおいて、ヤーン層の前記セットは、ブレードの長手方向に延びる縦糸ヤーン層を備え得、このため、前記非相互リンクゾーンは、緯糸方向において限定された、ある距離にわたる第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分の対向する側面間の縦糸方向に連続して延びる。
【0027】
本発明の任意の方法では、ファイバブランクにおいて、ヤーン層の前記セットは、ブレードの長手方向に延びる緯糸ヤーン層を備え得、このため、前記非相互リンクゾーンは、縦糸方向において限定された、ある距離にわたる第2のプリフォーム部分に対応するファイバブランクの部分の対向する側面間の緯糸方向に連続して延びる。
【0028】
本発明は、エアフォイルと、このエアフォイルの長手方向端部に位置し、流路を規定する内側面、および、この内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から延び、ほぼ周方向において前記外側面と接続する少なくとも1つの機能要素と、を備え、
ブレードは、マトリクスによって高密度化された複数層の編み込みファイバ強化材を備えた複合材料の単一片であり、
ファイバ強化材は、ブレードエアフォイルのための強化材を形成する第1の部分と、第1のブレードプラットフォームのため、および、少なくとも1つの機能要素のための強化材を形成する第2の部分と、を有する単一片であり、
このブレードにおいて、第2のファイバ強化材部分は、編み込みによってすべてが相互リンクし、機能要素または各機能要素のための強化材と第1のプラットフォームのための強化材との間の分離ゾーンにおいて離間したヤーン層のセットを備えている、タービンエンジンブレードをも提供する。
【0029】
本発明のブレードの第1の特定の実施形態では、このブレードは、エアフォイルと、このエアフォイルの長手方向端部に位置し、流路を規定する内側面、および、この内側面とは反対側の外側面を有するブレードヘッドを形成する外側プラットフォームと、ヘッドの外側面から延び、ほぼ周方向において前記外側面と接続するヘッドワイパと、を備え
ブレードは、マトリクスによって高密度化された複数層の編み込みファイバ強化材を備えた複合材料の単一片であり、
ファイバ強化材は、エアフォイルのための強化材を形成する第1の部分と、ヘッドのための強化材、および、ヘッドワイパのための強化材を形成する第2の部分と、を有する単一片であり、
このブレードにおいて、第2のファイバ強化材部分は、編み込みによってすべてが相互リンクし、ヘッドワイパのための強化材とヘッドのための強化材との間の分離ゾーンにおいて離間したヤーン層のセットを備えている、タービンエンジンロータブレードである。
【0030】
本発明のブレードの第2の特定の実施態様では、このブレードは、エアフォイルと、このエアフォイルの長手方向端部に位置し、流路を規定する内側面、および、この内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から延び、ほぼ周方向において前記外側面と接続するブレード取付けフックと、を備え
ブレードは、マトリクスによって高密度化された複数層の編み込みファイバ強化材を備えた複合材料の単一片であり、
ファイバ強化材は、エアフォイルのための強化材を形成する第1の部分と、第1のプラットフォームのための強化材、および、取付けフックのための強化材を形成する第2の部分と、を有する単一片であり、
このブレードにおいて、第2のファイバ強化材部分は、編み込みによってすべてが相互リンクし、取付けフックのための強化材と第1のプラットフォームのための強化材との間の分離ゾーンにおいて離間したヤーン層のセットを備えている、タービンエンジンステータブレードである。
【0031】
第1のプラットフォームは、外側プラットフォームまたは内側プラットフォームである場合がある。
【0032】
本発明のブレードの第3の特定の実施形態では、このブレードは、エアフォイルと、このエアフォイルの長手方向端部に位置し、流路を規定する内側面、および、この内側面とは反対側の外側面を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの外側面から延び、ほぼ周方向において前記外側面と接続する少なくとも1つのアブレイダブル支持要素、を備え
ブレードは、マトリクスによって高密度化された複数層の編み込みファイバ強化材を備えた複合材料の単一片であり、
ファイバ強化材は、エアフォイルのための強化材を形成する第1の部分と、第1のブレードプラットフォームのための強化材、および、少なくとも1つのアブレイダブル支持要素のための強化材を形成する第2の部分と、を有する単一片であり、
このブレードにおいて、第2のファイバ強化材部分は、編み込みによってすべてが相互リンクし、アブレイダブル支持要素または各アブレイダブル支持要素のための強化材と第1のプラットフォームのための強化材との間の分離ゾーンにおいて離間したヤーン層のセットを備えている、タービンエンジンステータブレードであり得る。
【0033】
第1のプラットフォームは、内側プラットフォームまたは外側プラットフォームである場合がある。本発明のブレードの第2および第3の実施形態は、ブレード、外側プラットフォーム、取付けフック、内側プラットフォーム、および、少なくとも1つのアブレイダブル支持要素を組み込む、複合材料からタービンエンジンステータブレードを形成するために、相互に組み合わせることができる。
【0034】
本発明のブレードのすべての実施形態において、第2の強化材部分のヤーン層は、エアフォイルの強化材と共通のヤーン層のグループを含み得る。
【0035】
本発明は、セラミックマトリクス複合材料で形成された、上記で規定されたブレードを含む、タービンエンジンのためのタービンまたはコンプレッサホイール、または、有機マトリクス複合材料で形成された、上記で規定されたブレードを含む、タービンエンジンコンプレッサホイール、および、やはり少なくとも1つのそのようなタービンまたはコンプレッサホイールを有するタービンエンジンをも提供する。
【0036】
本発明は、非限定的な表示として与えられた以下の詳細な説明を読み、添付図面を参照することにより、よりよく理解され得る。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、様々なタイプのタービンエンジンブレード、特に、ガスタービンの様々なスプールのタービンまたはコンプレッサのためのロータホイールブレードおよびステータホイールブレードに適用可能である。タービンまたはコンプレッサの「ステータホイール」との用語は、本明細書において、タービンのノズルを形成する非回転ブレードのセット、または、コンプレッサのガイドベーンのセットを意味するのに使用される。
【0039】
実施形態:低圧タービンのためのロータホイールブレード
図1にかなり概略的かつ部分的に示す低圧タービンは、タービンの軸Xの方向において、複数のロータホイール200と交互に並んだ複数のステータホイール100を備えている。この図は、1つのステータホイールと1つのロータホイールのみを含む単一の対のみを示している。
【0040】
ステータホイール100は、複数のステータブレードすなわち「ベーン」110を備え、このステータブレード110の各々は、内側プラットフォーム130と外側プラットフォーム140との間に延びるエアフォイル120を有している。支持要素162、164は、内側プラットフォーム130の外側面から内側に突出し、ほぼ周方向に延びる接続ゾーンに沿ってこの外側面と接続している。支持要素162および164は、L状のプロファイルを有しており、支持要素162および164は、アブレイダブル材料のブロック166を支持している。取付けフック152および154は、外側プラットフォーム140の外側面から外側に突出し、ほぼ周方向に延びる接続ゾーンに沿ってこの外側面と接続している。フック152および154は、ブレードがタービンケーシング10に組み付けられることを可能にする。
【0041】
ロータホイール200は、複数のブレード210(
図1および2)を備え、このブレード210の各々は、内側プラットフォーム230と外側プラットフォームすなわち「ヘッド」240との間に長手方向に延びるエアフォイル220を有している。厚みが大の部分、たとえば、球根形状の断面を有する部分によって形成されたルート260は、タング262によって内側プラットフォーム230の外側面に接続されている。ヘッドワイパ252および254は、ヘッド240の外側表面から外側に突出し、ほぼ周方向に延びる接続ゾーンに沿って外側面と接続している。
【0042】
プラットフォーム130およびプラットフォーム230の外側面、ならびに、プラットフォーム140の内側面およびヘッド240の内側面により、タービンを通って流れるガス流の流路が規定される。
【0043】
各ブレード210は、そのルート260によってタービンロータ20に取り付けられる。ルート260は、ルートの周囲に形成される相補的形状のハウジングに係合する。その上流側および下流側(ガス流の流れ方向Sの上流および下流)の端部では、プラットフォーム230が上流側スポイラ232および下流側スポイラ234によって終端している。断面図では、エアフォイル220により、その先端220aとその後端220bとの間で厚みが変化する、湾曲したプロファイルが与えられている。エアフォイルの厚みは、長手方向に沿っても変化する。上流側ヘッドワイパ252および下流側ヘッドワイパ254は、タービンリング18によって保持されたアブレイダブル材料14の層内に貫入できる先端部を含む歯状のプロファイルを有する。この先端部は、ブレード先端部とタービンリングとの間のクリアランスを低減するためのものである。ヘッド240の上流側端部および下流側端部において、ヘッド240は同様に、上流側スポイラ242および下流側スポイラ244が終端し得る。タービンロータは、内側のガス流のための流路をシールするために、アブレイダブル材料166に貫入することができる端部を有するワイパ22を保持している。
【0044】
上に概略的に説明した低圧タービンエンジンのタービンの配置自体は既知である。
【0045】
図3および4Aから4Dは、ファイバブランク300をかなり概略的に示している。このファイバブランク300から、ブレードのためのファイバプリフォームがシェーピングされ、それにより、マトリクスによって高密度化された後、かつ、場合によっては機械加工の後に、複合材料で形成され、
図2に示すタイプである、エアフォイル、ルート、内側プラットフォーム、ヘッド、およびヘッドワイパを組み込むブレードが得られるようになっている。
【0046】
この実施形態では、以下に説明する他の実施形態すべてのように、ファイバブランクは、3次元または複数層の編み込みによって形成され、明確化の理由から、ブランクの様々な編み込み部分の概形のみが示される(
図5Aから5Dを除く)。例として、形成されることになるブレードの長手方向に対応する縦糸方向で、編み込みが実施され、各ブランクの部分は、複数の緯糸ヤーン層において、少なくとも部分的に緯糸ヤーンによって相互リンクしている、複数の縦糸ヤーン層を備えている。
【0047】
ブランク300は、形成されることになるブレードのエアフォイルのためのプリフォームを形成する部分302を備えている。部分302は、形成されることになるブレードのエアフォイルの先端および後端に隣接する横方向部分302
1、302
2は、部分302の中心部分302
3よりも厚みが小さく形成され、厚みの差は、この例では、縦糸ヤーン層の数を異ならせることによって得られる。
【0048】
ブランク300は、形成されることになるブレードのルートのためのプリフォームを形成するセグメント306
1と、形成されることになるブレードのタングフォームのためのプリフォームを形成するセグメント306
2とを含む部分306をも有している。部分302は、部分306のセグメント306
2と連続しており、部分306と共通の縦糸ヤーン層を共有している。それにもかかわらず、この例では、部分306
2は、部分302
3の厚みよりも大である厚みを有しており、この余分な厚みは、縦糸ヤーンのより多くの層によって得られ、それにより、部分306の縦糸ヤーンの層のいくつかは、部分302には見られないようになっている。セグメント306
1により、セグメント306
2の厚みより大である厚みが与えられ、それにより、形成されることになるブレードのルートの球根形状に対応する形状が与えられるようになっている。より大である厚みは、緯糸ヤーンの重量および/または糸数を増大させることによって得られ得る。変形形態では、または追加的に、編み込みの際にインサートが局所的に挿入され得る。ブレードルートのプリフォームに対応するファイバブランクの部分を形成ことのより詳細な説明のために、例により、上述の国際公開第2010/061140号パンフレットの文献が参照され得る。
【0049】
ブランク300は、部分306と相互リンクすることなく、部分306の面306aに沿って延びる部分303をも有している。部分303の縦糸ヤーン層の縦糸ヤーンは、部分303が部分306と接続する部分302を通過する。部分306の余分な縦糸ヤーン層、すなわち、部分302において取り上げられなかった縦糸ヤーン層は、このヤーン層が部分302を通過した後に、部分305を形成するために、部分303の層とともに編み込まれることによって一体になる。部分305は、部分306の面306aに対応する面302aとは反対側の、部分302の面302bに沿って延びている。部分305は、この部分305に沿って延びる経路上の部分302と編み込むことによっては相互リンクしていない。
【0050】
部分306に接続された端部から離れた部分302の端部において、部分304が形成され、編み込みによって一体にしつつ、部分302および305を延ばしている。部分305のヤーンの層の少なくともいくつかは、場合によっては、部分302の面302aに対応する部分304の面304aの脇に見られる。
【0051】
部分306の面306aに沿って延びる部分303のセグメント303A、および、セグメント303Aを延ばし、部分302の面302bに沿って延びる部分305のセグメント305Aは、形成されることになるブレードの内側プラットフォームのためのプリフォームの形成において使用されるためのものである。
【0052】
部分305の、部分304との接続の前のターミナル部分では、部分305が、形成されることになるブレードのヘッドのプリフォームおよびヘッドワイパのためのプリフォームの一部を形成する、隣接するセグメント305Bとセグメント305Cとを与えている。セグメント305Bおよび305Cは、上流側エッジおよび下流側エッジの全体に沿って縦糸方向に延びるとともに、これらエッジの各々から限られた距離にわたって緯糸方向に延びる(
図3および4C)、非相互リンクゾーン308aおよび308bを提供するために、その中心部分においてのみ相互リンクしている。
【0053】
セグメント305Bおよび305Cによって形成される部分とは相補的である、形成されることになるブレードのヘッドおよびヘッドワイパのためのプリフォームを構成する部分は、部分302のセグメント305Aおよび305Bを延ばして位置する部分304のセグメント304Aから来ている。編み込みの際には、非相互リンクゾーン309aおよび309bは、縦糸方向においてセグメント全体に沿うとともに、緯糸方向のその上流側エッジと下流側エッジとの各々から限られた距離にわたってセグメント304Aに提供される(
図4D)。非相互リンクゾーン308aおよび309aは、非相互リンクゾーン308bおよび309bのように、相互に連続している。以下に説明するように、非相互リンクゾーン308a、308b、309a、および309bは、形成されることになるブレードのヘッドワイパのためのプリフォームを配置するために使用される。
【0054】
断面
図4Aおよび4Bでは、矢印は、最初に部分303および306に位置し、次いで部分302および305に位置する縦糸ヤーン層のセット間の対応を示している。ファイバブランクでは、縦糸ヤーン層の総数は、この例では18に等しい。
図4Aから4Dの中括弧の隣の数により、ファイバブランクの様々な部分間で、縦糸ヤーン層がどのように配置され得るかの例が与えられている。したがって、この例では、部分303は4つの層を有し、部分306は14の層を有し、部分302はその横方向部分302
1および302
2において8の層を有し、その中心部分302
3において10の層を有している。当然、縦糸ヤーン層の総数、および、縦糸ヤーン層の配置の方法は異なり得、図示の例に与えられた数は、単に理解を容易にするためのものである。
【0055】
図5Aから5Dは、ファイバブランク300の様々なレベルにおける編み込まれた面を示している。
図5Aから5Dでは、断面のヤーンは縦糸ヤーンであり、示されているのは緯糸ヤーンのプラットフォームである。図示の例では、編み込みは、繻子または複数の繻子のタイプの編み込みを使用して実施された複数層編み込みまたは3次元編み込みである。たとえば、複数の面の編み込みを伴う複数層の編み込み、または、インターロックの編み込みを伴う編み込みなどの、他のタイプの複数層編み込みが使用され得る。「インターロック」の編み込みとの用語は、本明細書において、所与の緯糸の柱のヤーンすべてが編み込み面において同じ動作をする、緯糸ヤーンの各層が縦糸ヤーンの複数の層と相互リンクする編み込みを意味するために使用される。様々な種類の複数層の編み込みが、特に国際公開第2006/136755号パンフレットの文献に記載されている。
【0056】
低圧タービンブレードに対する現在予見される用途に関し、編み込みに使用されるヤーンは、たとえば、日本のサプライヤであるNippon Carbonによる「Nicalon」の名前で供給される、炭化ケイ素(SiC)ベースのヤーンなどの、耐火性材料、特にセラミック材料で形成されている。
【0057】
図4Aに対応する
図5Aは、部分306および306
2の編み込み面を示している。
【0058】
図4Bに対応する
図5Bは、部分302の部分306との接続部の近傍、すなわち、部分305のためのセグメント305Aにおける、部分302および305の編み込み面を示している。
【0059】
図4Cに対応する
図5Cは、部分304との接続部の近傍、すなわち、部分305のためのセグメント305Bおよび305Cにおける、部分302および305の編み込み面を示している。セグメント305Bと305Cとが、横方向部分に非相互リンクゾーン308aおよび308bが残っているその中心部分で相互リンクしていることを見て取ることができる。
【0060】
部分305の横方向部分において、部分305により、その中心部分における縦糸ヤーン層の数より大である数の縦糸ヤーン層が提供され、その差は、部分302の横方向部分の縦糸ヤーン層の数と、部分302の中心部分の縦糸ヤーン層の数との差に対応している。部分305の縦糸ヤーン層はすべて、編み込みによって相互リンクしている。部分302および305のより厚い部分においてかなり多くの緯糸ヤーンが浮き上がることを避けるために、ファイバブランクのある一定のゾーンにおいて、2つの重ね合わせられた縦糸ヤーンの層の所与の柱の2つの縦糸ヤーンを取り、それらを2倍の重量の単一の縦糸ヤーンとして処理することが可能である。このことは、
図5Bおよび5Cに、部分302および305のより厚い部分に示されている。
【0061】
図4Dに対応する
図5Dは、セグメント304Aの部分304の編み込み面を示している。非リンクゾーン309aおよび309bの存在を見ることができる。
【0062】
有利には、ファイバブランクの列が、ストリップ3000(
図3)の形態で連続して編み込まれ、2つの隣接するブランクが両側の長手方向を有している。したがって、ブランク300の部分302および306は、次のブランク300’の部分303’および306’によって延びている。ブランク300の他方の端部では、部分304が、前のブランク300’’の部分304’’によって延びている。余分な長さのゾーンは、遷移ゾーンを形成するために、隣接するブランク間に配置されている(もっぱら縦糸ヤーンに余分な長さ)。複数の平行な列のブランクが、単一のストリップに編み込まれ得、こうして余分な長さのゾーンは、好ましくは、平行な列間に同様に配置される(もっぱら緯糸ヤーンの余分な長さ)ことに注意されたい。
【0063】
図6から8は高度に概略的であり、これら図は、製造されることになるブレードの形状と類似の形状のファイバプリフォームが、ブランク300から開始してどのように得ることができるかを示している。
【0064】
ブランク300は、面P1の部分303の端部および面P2の部分306の端部、ならびに、面P3の部分304の端部を切ることにより、ストリップ3000から切り取られる。部分305は、面P4のセグメント305Aの端部、および、面P5のセグメント305Bの端部およびセグメント305Cの端部において切られ、面P4と面P5との間に延びる部分305の断片が除去される。
【0065】
セグメント303Aは、
図3の矢印f1に沿って配置される。セグメント305Aは、
図3の矢印f2に沿って配置される。配置されたセグメント205Aおよび205Bは、プレート313(
図6)を形成し、成型の後に、製造されることになるブレードの内側プラットフォームのプリフォームを形成する。緯糸方向においては、部分305により、部分304の幅より大である幅が与えられ、部分304の両側から外に突出し(特に
図4Aおよび4Bを参照)、それにより、製造されることになるブレードの内側プラットフォームの上流側スポイラおよび下流側スポイラに対応するプリフォーム部分を形成することが可能になっている。
【0066】
編み込みによって部分的に相互リンクしたセグメント305Bとセグメント305Cとは、
図3の矢印f3に沿って配置される。部分304は、
図3の矢印f4に沿って折り曲げられる。配置されたセグメント305Bおよび305C、ならびに、折り曲げられた部分304は、製造されることになるブレードのヘッドのプリフォームおよびヘッドワイパのプリフォームを形成することになるプレート314を形成する。製造されることになるブレードのヘッドのプリフォームの上流側スポイラのプリフォームおよび下流側スポイラのプリフォームを形成するために使用される部分305の余分な幅を見ることができる。
【0067】
その後、
図7に示すように、外側の非相互リンクゾーン308aから309aおよび308bから309bに隣接した部分は、製造されることになるブレードのヘッドワイパのプリフォームを形成するように配置することができる。非相互リンクゾーン308aおよび309aは、プレート314の2つの対向する側面間でプレート314の上流側エッジ全体に沿って縦糸方向に連続して、かつ、プレート314の上流側エッジから緯糸方向に限られた距離にわたって延びる非相互リンクゾーンを形成するように、相互に延びている。
【0068】
同様の方式で、非相互リンクゾーン308bおよび309bは、プレート314の2つの対向する側面間でプレート314の下流側エッジ全体に沿って縦糸方向に連続して、かつ、プレート314の下流側エッジから縦糸方向に限られた距離にわたって延びる非相互リンクゾーンを形成するように、相互に延びている。
【0069】
製造されることになるブレードのファイバプリフォーム320は、このため、ブレードエアフォイルの湾曲したプロファイルを再形成するために、変形により部分302を成型することと、ブレードの内側プラットフォームの形状およびヘッドの形状と同様の形状を再形成するために、プレート313および314を変形することと、によって得られ、また、
図8(モールドは示されていない)に示すように、製造されることになるブレードの長手方向に対する、内側プラットフォームおよびヘッドに望まれる配向に対応する、内側プラットフォームのプリフォームおよびヘッドのプリフォームに対する配向を与えるようにもなっている。これにより、エアフォイルのプリフォーム320、ルートのプリフォーム360(タングのプリフォームとともに)、底部プラットフォームのプリフォーム330、ヘッドのプリフォームのプラットフォーム340、ならびにヘッドワイパのプリフォーム352および354が、プリフォーム310に提供される。
【0070】
有利には、ヘッドのプリフォームに対するワイパのプリフォームを配向するために、かなりの自由度が利用可能となることに注意されたい。製造されることになるブレードでは、したがって、所望である場合がある、ヘッドの各ワイパと外側表面との間の任意の角度を得ることが可能になる。
【0071】
図3から8の実施形態では、ヘッドのプリフォームに関し、ブレードのルートのプリフォームから来る、ブレードのエアフォイルのプリフォームでは使用されないヤーンの層を使用することが有利である。このヤーンの層は、ルートのプリフォームと、ヘッドのプリフォームおよびヘッドワイパのプリフォームを形成するブレードのプリフォームの部分との間で分岐させられる。
【0072】
別の実施形態では、ヘッドのプリフォームに対応するファイバブランクの部分は、エアフォイルのプリフォームに対応するブランクの部分から来るヤーンの層で形成されており、エアフォイルのプリフォームおよび結果として得られるエアフォイルは、長手方向の厚みが変化する。
【0073】
この他の実施形態について、
図9および10Aから10Eに概略的に示す、編み込まれたファイバブランク370を使用することが可能である。この編み込みは、1つまたは複数の列のブランクで形成されたファイバストリップの形態で実施されている。
【0074】
ブランク370は、形成されることになるブレードのエアフォイルのためのプリフォームを形成するための部分372を有している。図示の例では、部分372は、前端と後端とに対応する横方向部分間で、厚みが横断方向に変化しない。それにも関わらず、横断方向のこの厚みは、
図3および4Aから4Dのファイバブランクの部分302のように変化し得る。
【0075】
ブランク370は、形成されることになるブレードのルートのためのプリフォームを形成するセグメント376
1と、形成されることになるブレードのタングのプリフォームを形成するセグメント376
2とを含む部分376を有している。部分372は、セグメント376
2と連続しており、この例では、部分372の縦糸ヤーンの層の数と、構造376
2の縦糸ヤーンの層の数とは等しくなっている。それにも関わらず、
図3および4Aから4Dの例のように、部分372の厚みより大である厚みの部分376
2を有することが可能になる。セグメント376
1は、ストリーム376
2の厚みよりも大である厚みを与え、たとえば、
図3および4Aから4Dの例のように、緯糸の重さおよび/または糸数を増大させることによって、または、インサートを導入することによって得られる。
【0076】
ブランクは、部分376と相互リンクすることなく、部分376の面376aに沿って延びる部分373をも有している。部分373の縦糸ヤーン層は、この縦糸ヤーン層が、部分372の長手方向の1つまたは複数のレベルにおいて部分372から、縦糸ヤーンの1つまたは複数の層で編み込むことにより、部分376と接続し、部分375を形成する部分372を通して交差する。たとえば、縦糸ヤーン層372
1および372
2であり、部分372の厚みはこのため、部分376に接続されたその端部から長手方向に減少する。
【0077】
部分375は、部分376の面376aに対応する面372aとは反対側の部分372の面372bに沿って延びる。部分375は、部分372と編み込むことによっては相互リンクしていない。
【0078】
部分376と接続した部分372の端部から離間した部分372の端部では、部分372および375を延ばし、編み込みによってラップヤーン層を合わせる、部分374が形成されている。
【0079】
部分376の面376aに沿って延びる部分373のセグメント373A、および、セグメント373Aを延長し、部分372の面372bに沿って延びる部分375のセグメント375Aは、形成されることになるブレードの内側プラットフォームのためのプリフォームを形成するためのものである。
【0080】
部分374との接続の前の部分375のターミナル部分では、部分375が、形成されることになるブレードのヘッドのプリフォームおよびヘッドワイパのためのプリフォームの一部を形成する、隣接するセグメント375Bとセグメント375Cとを与えている。セグメント375Bおよび375Cは、上流側エッジおよび下流側エッジの全体に沿って縦糸方向に延びるとともに、これらエッジの各々から限られた距離にわたって緯糸方向に延びる(
図9および10D)、非相互リンクゾーン378aおよび378bを提供するために、その中心部分においてのみ相互リンクしている。
【0081】
セグメント375Bおよび375Cによって形成される部分とは相補的である、形成されることになるブレードのヘッドおよびヘッドワイパのためのプリフォームを構成する部分は、部分372のセグメント375Aおよび375Bを延ばして位置する部分374のセグメント374Aから来ている。編み込みの際には、非相互リンクゾーン379aおよび379bは、縦糸方向においてその全体に沿うとともに、緯糸方向のその上流側エッジと下流側エッジとの各々から限られた距離にわたってセグメント374Aに提供される(
図4D)。非相互リンクゾーン378aおよび379aは、非相互リンクゾーン378bおよび379bのように、相互に連続している。非相互リンクゾーン378a、378b、379a、および379bは、形成されることになるブレードのヘッドワイパのためのプリフォームを配置するために使用される。
【0082】
図10A、10B、10C、10D、および10Eは、セグメント373Aの面A、セグメント375Aの面B、縦糸ヤーン層372
1の接続の後の部分375の中間部分の面C、セグメント375Bおよび375Cの面D、ならびにセグメント374Aそれぞれの断面図であることに注意されたい。
【0083】
適切な切断、セグメント373A、375A、および375Bから375Cの配置、セグメント374Aの折曲げ、非相互リンクゾーンに隣接する部分の配置、ならびに、成型によるシェーピングの後に、エアフォイルのプリフォーム部分、ルートおよびタングのプリフォーム部分、底部プラットフォームのプリフォーム部分、および、ヘッドワイパのプリフォーム部分と一体のヘッドのプリフォーム部分を有するブレードのプリフォームが、
図6から8を参照して説明したのと同様の方式で得られる。
【0084】
上述の2つの実施形態の変形形態では、追加のヤーン層を、ルートまたはエアフォイルのプリフォームに対応するブランクの部分から必ずしもくる必要がないヘッドのプリフォームに対応するブランクの部分に持ってくることも可能である。やはり変形形態では、ヘッドのプリフォームに対応するブランクの部分から、ヤーン層を除去することも可能である。
【0085】
縦糸ヤーン層をヘッドおよびワイパのプリフォームに対応するブランクの部分に持ってくる3つの異なる説明された方法は、別々に実施され得るか、2つを組み合わせるか、それら3つの方法すべてを組み合わせてもよい。
【0086】
注目すべき方法では、編み込みの際にファイバブランクの部分間での交差を制限しつつ、ブレードのファイバプリフォームが、ヘッドのプリフォームおよびワイパのプリフォームを組み込む単一片で得られる。このことは、ヘッドワイパのプリフォームがヘッドのプリフォームに対して配置されることを可能にする非相互リンクゾーンを残しつつ、編み込みによって相互リンクしたヤーン層のセットにより、ヘッドのプリフォームおよびヘッドワイパのプリフォームを形成するブレードのプリフォームの部分を形成することに起因する。
【0087】
さらに、製造されることになるブレードが3つ以上のヘッドワイパを有する場合、所望の数のヘッドワイパのプリフォームが、
図6のプレート314などの、ヘッドに対応するプレートの上流側エッジと下流側エッジとの間の隣接していない非相互リンクゾーンを対応する数だけ配置することによって得られ得る。
【0088】
本発明は、ブレードの内側プラットフォームのプリフォームが、形成されることになるブレードのエアフォイルのプロファイルを実質的に再形成する開口とは別々に形成された場合に、適用可能であることに注意されたい。そのような状況下では、ファイバブランクは、内側プラットフォームのプリフォームに対応する部分なしで、すなわち、
図3の実施形態において部分303なしで、編み込みによって形成される。別々に形成された内側プラットフォームのプリフォームは次いで、ヘッドのプリフォームおよびヘッドワイパのプリフォームを形成するブレードのプリフォームの部分を配置する前に、編み込まれたファイバブランクに、その所望の位置まで係合する。外側プラットフォームのプリフォームを製造中の後の段階においてフィットさせるか、外側プラットフォームを形成し、エアフォイルおよび外側プラットフォームを有するブレードを製造した後に、外側プラットフォームをフィットさせることも可能である。
【0089】
セラミックマトリクス複合(CMC)材料からブレードを製造する方法の連続したステップが、
図11に与えられている。
【0090】
ステップ381では、
図3または
図9に示すような複数のファイバブランクを備えた3次元編み込みにより、場合によっては、縦糸方向に向けられたファイバブランクの複数の列を伴って、ファイバストリップが編み込まれる。
【0091】
ステップ382では、個別のファイバブランクが切り取られる。
【0092】
ステップ383では、ブレードのプリフォームを得るために、エアフォイルのプリフォーム、ルートのプリフォーム、内側プラットフォームのプリフォーム、ヘッドのプリフォーム、およびヘッドワイパのプリフォーム(たとえば、
図6から8に示すように)をシェーピングするために、ファイバブランクが、たとえばグラファイトで形成された型内でシェーピングされる。
【0093】
ステップ384では、ブレードのプリフォームが強化される。既知の方式で、硬化され、加熱分解される樹脂を含浸させることにより、強化が実施され得る。強化樹脂の量は、熱分解の残りが、プリフォームの形状を維持しつつ、工具の補助なしでプリフォームが扱われることを可能にするために、十分に強固にプリフォームのファイバをともに結束するように選択される。カーボンの前駆樹脂またはセラミックの前駆樹脂を使用することが可能である。強化レジンの含浸は、シェーピングの前に、型内への導入または注入によって、または、ファイバブランクの段階で含浸させることによって実施され得る。やはり既知である変形形態では、含浸は、化学蒸気浸透法(CVI)として知られるプロセスを使用して、セラミック材料で部分的に高密度化することによって実施され得る。
【0094】
強化されたプリフォームは、たとえば炭化ケイ素SiCで形成された、セラミックマトリクスで高密度化を実施するために、シェーピング工具から抜かれ得る。高密度化は、CVIによって実施され得る。
【0095】
高密度化は、ブレードを所望の形状および寸法に機械加工するステップ386で分けられた2つの連続したステップ(ステップ385および387)で実施され得る。
【0096】
事前の機械加工、特に、余分な厚みを除去するために、内側プラットフォームおよびヘッドの事前の機械加工、ならびに、やはりヘッドワイパの事前の機械加工が、強化の後に、高密度化の前に使用され得、それにより、
図2のブレード形状に近くなるようになっていることに注意されたい。
【0097】
脆化軽減界面のコーティングが、よく知られた方式で、プリフォームのファイバとセラミックマトリクスとの間に形成され得ることにも注意されたい。
【0098】
実施形態:コンプレッサロータホイールブレード
上の説明は、CMC材料で形成されたタービンロータホイールに関するものである。
【0099】
本発明は、ガスタービンコンプレッサのためのロータホイールブレードにも適用可能である。そのような状況下では、作業時における温度が、特にコンプレッサの上流側の段において低い場合、CMC材料を使用する代わりに、たとえば、カーボンまたはグラスファイバとポリママトリクスとで形成された有機マトリクス複合(OMC)材料を使用することが可能である。
【0100】
したがって、ファイバストリップのセットの編み込み、個別のブランクの切り取り、および、シェーピング工具を使用したシェーピングの後に、工具に保持された、結果として得られるブレードのプリフォームに、注入または導入により、樹脂が含浸される。樹脂の硬化のための熱処理が次いで実施される。樹脂の含浸、およびこの樹脂の硬化の連続した複数のサイクルが実施され得る。機械加工は、2つのサイクル間、および/または、ポリママトリクスによる高密度化の終了の後に実施され得る。使用される樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、またはポリイミド樹脂などのポリママトリクス前駆樹脂である。
【0101】
実施形態:タービンノズルブレード
図12および13Aから13Dは高度に概略的であり、マトリクスでプリフォームを高密度化した後、および、任意選択の機械加工の後に、エアフォイル、内側プラットフォーム、アブレイダブル支持要素、外側プラットフォーム、および取付けフックを組み込む複合材料のブレードが得られるように、ブレードのためのファイバプリフォームをシェーピングすることが可能である、ファイバブランク400の第1の実施形態を示している。このブレードは、
図1に示すベーン110と同じタイプである。
【0102】
たとえば、
図5Aから5Dの編み込みと同様の複数の繻子の編み込み、または、特に上述の国際公開第2006/136755号パンフレットの文献に記載の任意の他の編み込みなどの、様々な編み込みが、ブランク400を編み込むために使用され得る。タービンノズルブレードに対する特定用途に関し、編み込みに使用されるヤーンは、たとえば、日本のサプライヤであるNippon Carbonによる「Nicalon」の名前で供給される、炭化ケイ素(SiC)ベースのヤーンなどの、耐火性材料、特にセラミック材料で形成されている。
【0103】
ブランク400は、形成されることになるブレードのエアフォイルのプリフォームを形成する部分402を備えている。図示の例では、部分402がほぼ一定の厚みを有する。変形例では、部分402の厚みは、
図3の実施形態における部分302と類似の方式で、部分402の長手方向のエッジ間で変化し得る。
【0104】
ブランク400は、部分402と相互リンクすることなく、部分402の第1の面402aに沿って延びるセグメント403Aを有する部分403をも備えている。部分403の縦糸ヤーン層の縦糸ヤーンは、面402aとは反対側の部分402の面402bに沿って延びるために、部分402と交差している。部分403は、製造されることになるブレードのエアフォイルの長手方向の寸法にほぼ対応する距離にわたって、部分402と相互リンクすることなく、部分402の面402bに沿って延びている。部分403との交差部に位置する部分402の端部から離れた端部を始点に、部分402は、部分404を形成するために編み込みにより、部分403と合わさっている。
【0105】
部分402の面402aに沿って延びる部分403のセグメント403A、および、部分402を通って交差した後に、セグメント403Aを延長する部分403のセグメント403Bは、形成されることになるブレードの内側プラットフォームのためのプリフォーム、および、アブレイダブル支持要素のためのプリフォームを形成するためのものである。非相互リンクゾーン403aおよび403bは、セグメント403Aおよび403Bのほぼ半分の厚みの位置に設けられている。非相互リンクゾーン403aは、縦糸方向に、セグメント403Aおよび403Bの各上流側エッジの全体に沿って延び、緯糸方向に、これら上流側エッジの各々から限られた距離にわたって延び、非相互リンクゾーン403bは、縦糸方向に、セグメント403Aおよび403Bの各下流側エッジの全体に沿って延び、緯糸方向に、これら下流側エッジの各々から限られた距離にわたって延びる(
図12、13A、および13B)。以下に説明するように、非相互リンクゾーン403aおよび403bは、形成されることになるブレードのアブレイダブル支持要素のためのプリフォームを配置することを可能にする役割を果たす。
【0106】
部分404との接続の前のターミナル部分では、部分403が、形成されることになるブレードの外側プラットフォームのプリフォームおよび取付けフックのプリフォームの一部を形成する、セグメント403Cを与えている。非相互リンクゾーン403cおよび403dは、セグメント403Cのほぼ半分の厚みの位置に設けられている。非相互リンクゾーン403cは、縦糸方向に、セグメント403Cの上流側エッジの全体に沿って延び、緯糸方向に、上流側エッジから限られた距離にわたって延び、非相互リンクゾーン403dは、縦糸方向に、セグメント403Cの下流側エッジの全体に沿って延び、緯糸方向に、これら下流側エッジから限られた距離にわたって延びる(
図12および13C)。
【0107】
形成されることになるブレードの、セグメント403Cによる部分と相補的である、外側プラットフォームのプリフォームおよび取付けフックのプリフォームのための部分は、部分404のセグメント404Aから来る。編み込みの際には、非相互リンクゾーン404aおよび404bは、縦糸方向においてその全体に沿うとともに、緯糸方向のその上流側エッジと下流側との各々から限られた距離にわたってセグメント404Aに提供される(
図12および13D)。非相互リンクゾーン403cおよび404aは、非相互リンクゾーン403dおよび404bのように、相互に連続している。以下に説明するように、非相互リンクゾーン403c、403d、404a、および404bは、形成されることになるブレードの取付けフックのプリフォームを配置することを可能にする役割を果たす。
【0108】
有利には、ファイバブランクの列が、ストリップ4000(
図12)の形態で連続して、反対側の長手方向の2つの隣接するブランクと編み込まれている。したがって、ブランク400の部分402および403は、次のブランク400’の部分402’および403’によって延びている。ブランク400の他方の端部では、部分404が、前のブランク400’’の部分404’’によって延びている。余分な長さのゾーンは、遷移ゾーンを形成するために、隣接するブランク間に配置されている(もっぱら縦糸ヤーンの余分な長さ)。複数の平行な列のブランクが、単一のストリップに編み込まれ得、こうして余分な長さのゾーンは、好ましくは、平行な列間にも設けられる(もっぱら緯糸ヤーンの余分な長さ)ことに注意されたい。
【0109】
図12および14から16は高度に概略的であり、これら図は、製造されることになるブレードの形状と類似の形状のファイバプリフォームが、ブランク400からどのように得ることができるかを示している。
【0110】
ブランク400は、面P1のセグメント403Aの端部およびP2のセグメント403Bの端部において、部分403を切ることにより、かつ、部分403と交差する位置の前に位置する面P3の部分402を切ることにより、ストリップ4000から切り取られる。部分404は、面P4のセグメント404Aの端部において切られる。部分403Cは、面P5において切られ、面P2と面P5との間に延びる部分403の断片が除去される。
【0111】
セグメント403Aおよび403Bは、
図12の矢印f1およびf2に沿って配置される。
図14に示すように、外側に位置するセグメント403Aおよび403Bの部分は、成型の後に、セグメント403Aおよび403Bの各部分が非相互リンクゾーン403aおよび403bと隣接しつつ、内側プラットフォームのプリフォームを形成することになるプレート413を形成し、内側において、製造されることになるブレードのアブレイダブル支持要素のためのプリフォームを形成することが可能であるように配置され得る。
【0112】
セグメント403Cは、
図12の矢印f3に沿って配置される。セグメント404Aは、
図12の矢印f4に沿って折り曲げられる。配置されたセグメント403Cおよび折り曲げられたセグメント404は、製造されることになるブレードの、外側プラットフォームのためのプリフォーム、および取付けフックのためのプリフォームを形成することになるプレート414を形成する。
【0113】
その後、
図15に示すように、非相互リンクゾーン403c、403d、404a、および404bは、外側において、製造されることになるブレードの取付けフックのプリフォームを形成するように配置することができる。非相互リンクゾーン403cおよび404aは、プレート414の2つの対向する側面間でプレート414の上流側エッジ全体に沿って縦糸方向に連続して、かつ、プレート414の上流側エッジから緯糸方向に限られた距離にわたって延びる非相互リンクゾーンを形成するように、相互に延びている。同様の方式で、非相互リンクゾーン403dおよび404bは、プレート414の2つの対向する側面間でプレート414の下流側エッジ全体に沿って縦糸方向に連続して、かつ、プレート414の下流側エッジから緯糸方向に限られた距離にわたって延びる非相互リンクゾーンを形成するように、相互に延びている。
【0114】
製造されることになるブレードのファイバプリフォーム410はこのため、
図16に示すように(型は示されていない)、ブレードのエアフォイルの湾曲したプロファイル、ブレードの内側および外側プラットフォームの形状と同様の形状、製造されることになるブレードの長手方向に対する内側および外側プラットフォームのための所望の向きに対応する内側および外側プラットフォームのプリフォームの向き、ならびに、やはり、支持要素および取付けフックの形状に対応する形状を得るために、成型によって得られる。したがって、プリフォーム410は、エアフォイルのプリフォーム420、内側プラットフォームのプリフォーム430、アブレイダブル支持要素のためのプリフォーム462および464、外側プラットフォームのプリフォーム440、ならびに取付けフックのプリフォーム452および454を備えて得られる。
【0115】
図17および18Aから18Dは高度に概略的であり、マトリクスでプリフォームを高密度化した後、および、任意選択の機械加工の後に、エアフォイル、内側プラットフォーム、アブレイダブル支持要素、外側プラットフォーム、および取付けフックを組み込む複合材料のブレードが得られるように、ブレードのためのファイバプリフォームをシェーピングすることが可能である、ファイバブランク500の第2の実施形態を示している。このブレードは、
図1に示すベーン110と同じタイプである。
【0116】
ファイバブランク500は、ファイバブランク400が中間の横断面についてほぼ対称であり、ブランクの部分が内側プラットフォームのプリフォームに対応し、アブレイダブル支持部が、外側プラットフォームのプリフォームおよび取付けフックに対応するブランクの部分の構成と同様の構造である点で、ファイバブランク400と異なる。
【0117】
したがって、ブランク500は、形成されることになるブレードのエアフォイルのためのプリフォームを形成する部分502を有している。図示の例では、部分502の厚みがほぼ一定である。変形例では、部分502の厚みは、
図3の実施形態における部分302と同様の方式で、部分502の長手方向のエッジ間で変化し得る。
【0118】
ブランク500は、編み込みによって部分502の面502bにリンクすることなく、部分502の面502bに沿って延びる部分503をも備えている。部分502の長手方向の端部において、部分502および503のヤーン層は、部分504および505を形成するために、編み込みによって合わせられている。
【0119】
部分505のセグメント505A、および、セグメント505Aと接続する部分503のセグメント503Aは、形成されることになるブレードの、内側プラットフォームのためのプリフォームおよび、アブレイダブル支持部のためのプリフォームを形成するためのものである。非相互リンクゾーン505a、505b、および503a、503bは、セグメント505Aおよび503Aのほぼ半分の厚みの位置に設けられている。非相互リンクゾーン505aおよび503aは、縦糸方向に、セグメント505Aおよび503Aの各上流側エッジの全体に沿って延び、緯糸方向に、これら上流側エッジの各々から限られた距離にわたって延び、非相互リンクゾーン505bおよび503bは、縦糸方向に、セグメント505Aおよび503Aの各下流側エッジの全体に沿って延び、緯糸方向に、これら下流側エッジの各々から限られた距離にわたって延びる(
図17、18A、および18B)。非相互リンクゾーン505a、503a、505b、および503bは、形成されることになるブレードのアブレイダブル支持要素のためのプリフォームを配置することを可能にする役割を果たす。
【0120】
部分504のセグメント504Aおよび、セグメント505Aと接続する部分503のセグメント503Bは、形成されることになるブレードの、外側プラットフォームのプリフォーム、および、取付けフックのプリフォームを形成するためのものである。非相互リンクゾーン503c、504a、および503d、504bは、セグメント503Bおよび504Aのほぼ半分の厚みの位置に設けられている。非相互リンクゾーン503cおよび504aは、縦糸方向に、セグメント503Bおよび504Aの各上流側エッジの全体に沿って延び、緯糸方向に、これら上流側エッジから限られた距離にわたって延び、非相互リンクゾーン503dおよび504bは、縦糸方向に、セグメント503Bおよび504Aの各下流側エッジの全体に沿って延び、緯糸方向に、これら下流側エッジから限られた距離にわたって延びる(
図17、18C、および18D)。非相互リンクゾーン503c、504a、503d、および504bは、形成されることになるブレードの取付けフックのプリフォームを配置することを可能にする役割を果たす。
【0121】
有利には、ファイバブランク500の少なくとも1つの列が、ストリップ5000の形態で連続して編み込まれている(
図17)。
【0122】
図17および19から21は高度に概略的であり、形成されることになるブレードの形状に近い形状を有するファイバプリフォームが、ブランク500からどのように得ることができるかを示している。
【0123】
ブランク500は、面P1の部分505および面P4の部分504を切ることにより、かつ、面P2およびP5の部分503を切ることにより、ストリップ5000から切り取られ、面P2と面P5との間に延びる部分503の断片が除去される。
【0124】
セグメント505Aおよび503Aは、
図17の矢印f1およびf2に沿って配置され、セグメント505Aおよび503Aは、成型の後に、製造されることになるブレードの、内側プラットフォームのプリフォーム、および、アブレイダブル支持要素のプリフォームが形成されることになるプレート513(
図19)を形成する。非相互リンクゾーン505aおよび503aは、プレート513の2つの対向する側面間でプレート513の上流側エッジ全体に沿って縦糸方向に連続して、かつ、プレート513の上流側エッジから緯糸方向に限られた距離にわたって延びる非相互リンクゾーンを形成するように、相互に延びている。非相互リンクゾーン505bおよび503bは、プレート513の2つの対向する側面間でプレート513の下流側エッジ全体に沿って縦糸方向に連続して、かつ、プレート513の下流側エッジから緯糸方向に限られた距離にわたって延びる非相互リンクゾーンを形成するように、相互に延びている。
【0125】
セグメント503Bおよび504Aは、
図17の矢印f3およびf4に沿って配置され、製造されることになるブレードの、外側プラットフォームのためのプリフォーム、および取付けフックのためのプリフォームを形成することになるプレート514(
図19)を形成する。非相互リンクゾーン503cおよび504aは、プレート514の2つの対向する側面間でプレート514の下流側エッジ全体に沿って縦糸方向に連続して、かつ、プレート514の上流側エッジから緯糸方向に限られた距離にわたって延びる非相互リンクゾーンを形成するように、相互に延びている。非相互リンクゾーン503dおよび504bは、プレート514の2つの対向する側面間でプレート514の下流側エッジ全体に沿って縦糸方向に連続して、かつ、プレート514の下流側エッジから緯糸方向に限られた距離にわたって延びる非相互リンクゾーンを形成するように、相互に延びている。
【0126】
したがって、
図20に示すように、非相互リンクゾーン505a、503a、505b、および503bに隣接する部分は、内側において、製造されることになるブレードのアブレイダブル支持要素のためのプリフォームを形成するように配置される。一方、非相互リンクゾーン503c、503d、504a、および504bに隣接する部分は、外側において、製造されることになるブレードの取付けフックのためのプリフォームを形成するように配置される。
【0127】
製造されることになるブレードのファイバプリフォーム510はこのため、
図21に示すように(型は示されていない)、ブレードのエアフォイルの湾曲したプロファイル、ブレードの内側および外側プラットフォームの形状と同様の形状、製造されることになるブレードの長手方向に対する内側および外側プラットフォームのための所望の向きに対応する内側および外側プラットフォームのプリフォームの向き、ならびに、支持要素および取付けフックの形状に対応する形状を得るために、成型によって得られる。したがって、プリフォーム510は、エアフォイルのプリフォーム520、内側プラットフォームのプリフォーム530、アブレイダブル支持要素のためのプリフォーム562および564、外側プラットフォームのプリフォーム540、ならびに取付けフックのためのプリフォーム552および554を備えて得られる。
【0128】
注目すべき方式で、上述の実施形態の両方において、編み込みの際にファイバブランクの部分間の交差を制限しつつ、ブレードファイバのプリフォームが、内側および外側プラットフォームのプリフォーム、アブレイダブル支持要素のプリフォーム、ならびに取付けフックのプリフォームを組み込む単一片として得られる。このことは、非相互リンクゾーンが、支持要素のプリフォームまたは取付けフックのプリフォームをプラットフォームのプリフォームに対して配置することを可能にするように提供される状態で、編み込みによって相互リンクしたヤーン層のセットにより、プラットフォームのプリフォームおよび、支持要素のプリフォームまたは取付けフックのプリフォームを形成するブレードのプリフォームの部分を形成することに起因する。
【0129】
当然、L状のプロファイルの要素162および164とは異なる形状のアブレイダブル支持要素を形成することが可能である。
【0130】
したがって、
図22は、内側プラットフォーム130の外側面からほぼ径方向に突出する支持要素162’および164’を示している。支持要素162’および164’上では、上流側および下流側のノズルに隣接するロータホイールのワイパと協同するために、上流側および下流側でアブレイダブル材料のブロック166’を保持する中間支持部165を締結することが可能である。
【0131】
内側プラットフォームの外側面の中心部分から突出する単一のアブレイダブル支持要素を有することを予見することも可能である。
【0132】
編み込みファイバブランクからのCMCで形成されたタービンノズルブレードを得るために、
図11を参照して上述したように進めることも可能である。
【0133】
実施形態:コンプレッサガイドベーンブレード
上の説明は、CMC材料からタービンノズルブレードを製造することに関する。
【0134】
本発明は、同じ方式でガスタービンコンプレッサのためのCMC材料のガイドベーンブレードを製造することにも適用可能である。
【0135】
作業時における温度が、特にコンプレッサの上流側の段において低い場合、たとえば、CMC材料では形成されていないが、カーボンまたはグラスファイバとポリママトリクスを使用して構成された有機マトリクス複合(OMC)材料で形成されたガイドベーンブレードを使用することが可能である。
【0136】
編み込みファイバブランクからOMCで形成されたコンプレッサガイドベーンブレードを得るために、OMCで形成されたコンプレッサロータホイールブレードについて、上述したように進めることが可能である。
【0137】
最後に説明した2つの実施形態に関する方法により、エアフォイル、外側プラットフォーム、取付けフック、内側プラットフォーム、およびアブレイダブル支持要素を組み込んだブレードを得ることが可能である。
【0138】
それにも関わらず、本方法は、エアフォイル、外側プラットフォーム、取付けフック、および内側プラットフォームを組み込むが、アブレイダブル支持要素を組み込まないブレードの形成、および、それどころか、エアフォイル、外側プラットフォーム、内側プラットフォーム、および、少なくとも1つのアブレイダブル支持要素を組み込むが、取付けフックを組み込まないブレードの形成にも適用可能である。
【0139】
変形実施形態
タービンノズルブレードの説明した実施形態では、ブレードエアフォイルのためのプリフォームにより、長手方向に一定の厚みが与えられる。変形形態では、この厚みは、タービンロータホイールブレードに関して
図9および10Aから10Eを参照して説明した方式と同じ方式で変化させることができる。これと同じことがコンプレッサロータホイールブレードおよびコンプレッサガイドベーンブレードに適用される。
【0140】
図3、9、および12の実施形態では、編み込みストリップのファイバブランクの長手方向が逆になり得る。
【0141】
説明されたタービンノズルの実施形態では、取付けフックが外側プラットフォームと関連付けられており、アブレイダブル支持要素(複数の場合もある)が内側プラットフォームと関連付けられている。変形形態では、取付けフックを内側プラットフォームと関連付け、1つまたは複数のアブレイダブル支持要素を外側プラットフォームと関連付けることが可能である。
【0142】
上記では、ファイバブランクが、ブランクの長手方向に対応する縦糸方向で編み込まれたものとして説明されている。変形形態では、編み込みは、緯糸方向に対応するファイバブランクの長手方向で実施され得、このため、緯糸と縦糸とは取り換えられている。