特許第6563427号(P6563427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オービット・バイオメディカル・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563427
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】先細の内腔部を備える治療薬送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20190808BHJP
   A61M 25/14 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   A61F9/007 130D
   A61F9/007 170
   A61M25/14 518
【請求項の数】13
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2016-571296(P2016-571296)
(86)(22)【出願日】2015年6月2日
(65)【公表番号】特表2017-516599(P2017-516599A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】US2015033657
(87)【国際公開番号】WO2015187611
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2018年5月30日
(31)【優先権主張番号】62/008,745
(32)【優先日】2014年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/726,786
(32)【優先日】2015年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518320384
【氏名又は名称】オービット・バイオメディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Orbit Biomedical Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】コンティリアーノ・ジョーゼフ・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】アボット・ダニエル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】キーン・マイケル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】カーン・イサック・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ホ・アレン・シー
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー・トーマス・イー
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ・マーク・シー
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05464395(US,A)
【文献】 特表平06−507094(JP,A)
【文献】 特表平09−509865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/00− 9/007
A61M 25/00−25/14
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)第1の流体導管と、
(b)第2の流体導管と、
(c)コネクタ部材であって、
(i)第1の通路であって、前記第1の流体導管の一部が前記第1の通路の内部に位置決めされている、第1の通路と、
(ii)第2の通路であって、前記第2の流体導管の一部が前記第2の通路の内部に位置決めされている、第2の通路と、を備える、コネクタ部材と、
(d)第1の管状部材であって、前記第1の管状部材が第1の管状部材内腔部を画定する、第1の管状部材と、
(e)第2の管状部材であって、前記第2の管状部材の少なくとも一部が前記第1の管状部材内腔部内に位置決めされ、また前記第2の管状部材が第2の管状部材内腔部を画定する、第2の管状部材と、
(f)内側カニューレであって、前記内側カニューレの近位部分が前記第1の管状部材内腔部内にしっかりと固定され、前記内側カニューレが内側カニューレ内腔部を画定し、前記内側カニューレ内腔部が前記第1の管状部材内腔部及び前記第2の管状部材内腔部を通して前記第1及び第2の流体導管と流体連通する、内側カニューレと、
(g)本体であって、前記第1及び第2の流体導管が前記本体から近位方向に延在し、前記内側カニューレが前記本体に対して遠位方向に延在し、前記第1の管状部材及び前記内側カニューレが前記本体に対して一緒に並進するように動作可能であるように、前記第1の管状部材が前記内側カニューレに対してしっかりと固定されている、本体と、を備える、装置。
【請求項2】
記第2の管状部材が前記内側カニューレおよび前記第1の管状部材と共に前記本体に対して並進するように動作可能であるように、前記第2の管状部材が前記内側カニューレに対してしっかりと固定されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の管状部材と結合した摺動部を更に備え、前記摺動部が前記本体に対して摺動自在であり、それによって前記内側カニューレを前記本体に対して長手方向に並進させる、請求項に記載の装置。
【請求項4】
外側カニューレを更に備え、前記外側カニューレが前記本体にしっかりと固定され、前記外側カニューレが前記本体から遠位方向に延在し、前記外側カニューレの一部が前記第1の管状部材の一部の周りに位置決めされている、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の管状部材内腔部が前記第1の流体導管と流体連通するように、前記第2の管状部材の近位部分が前記第1の流体導管の遠位部分内に位置決めされている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の管状部材の前記近位部分が前記第1の流体導管にしっかりと固定されている、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の管状部材の遠位部分が前記第1の管状部材の中間領域で終端する、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の管状部材及び前記第1の管状部材が、前記第2の管状部材の外径と前記第1の管状部材の内径との間に間隙を画定するようにサイズ決めされ、前記間隙が前記第2の流体導管と流体連通する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の管状部材の中間領域の前記第1の管状部材内腔部が、
(i)前記第2の管状部材内腔部を通した前記第1の流体導管からの流体と、
(ii)前記間隙を通した前記第2の流体導管からの流体と、の両方を受容するように構成されるように、前記第2の管状部材の遠位部分が前記中間領域で終端する、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の管状部材が前記第1の管状部材の中間領域に位置決めされた遠位端を有し、前記内側カニューレが前記第1の管状部材の前記中間領域に位置決めされた近位端を有し、前記内側カニューレの前記近位端が前記第2の管状部材の前記遠位端から遠位方向に離間配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の管状部材、前記第2の管状部材、及び前記内側カニューレの全てが同軸上に互いに位置合わせされている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記内側カニューレが可撓性である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記内側カニューレがポリエーテルブロックアミド又はポリイミドを含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、「Convergent Lumen Delivery Device and Method of Using for Delivery of Bioactive Agents(Transvitreal)」と題する2014年6月6日出願の米国特許仮出願第62/008,745号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本明細書に援用される。
【0002】
(共同研究に関する声明)
本出願で開示された主題の開発及び特許請求された発明は、特許請求された発明の有効出願日以前に有効であった共同研究契約の1つ以上の当事者、又はその代理人によりなされた。特許請求された発明は、共同研究契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。共同研究契約の当事者にはEthicon Endo−Surgery,Inc及びJanssen Research & Development,LLCが含まれる。
【背景技術】
【0003】
人間の眼はいくつかの層を備えている。白色の外層は脈絡膜層を包囲する強膜である。網膜は脈絡膜層の内側にある。強膜はコラーゲン及び弾性繊維から構成され、脈絡膜及び網膜に保護を提供する。脈絡膜層は網膜に酸素及び栄養を供給する脈管系を含む。網膜は桿体及び錐体を含む感光性組織から構成される。黄斑は眼球後部の網膜の中心部に位置し、一般に眼の水晶体及び角膜の中央を通過する軸(即ち、視軸)上に集中している。黄斑は、特に錐体細胞を介して中心視覚を提供する。
【0004】
黄斑変性症は、それを患う人々がある程度の周辺視覚を維持しつつ中心視覚の喪失又は低下を経験し得るように黄斑に影響を与える内科的疾患である。黄斑変性症は加齢(「AMD」としても知られる)及び遺伝的性質などの様々な要因によって引き起こされ得る。黄斑変性症は「乾燥」(非滲出)形態で発生する場合があり、この場合、ドルーゼンとして知られる細胞壊死組織片が網膜と脈絡膜との間に蓄積して地理的萎縮領域をもたらす。更に、黄斑変性症は「湿潤」(滲出)形態で発生する場合もあり、この場合、網膜背後の脈絡膜から血管が成長する。黄斑変性症を患う人々はある程度の周辺視覚を維持できるものの、中心視力の喪失は生活の質に重大な悪影響を与え得る。更に、残った周辺視覚の質が低下し、一部の場合では更に消滅する場合がある。したがって、黄斑変性症によって生じた視力喪失を防ぐ又は回復させるために、黄斑変性症の治療を提供することが望ましい場合がある。一部の場合では、治療物質を黄斑付近の地理的萎縮領域に直接隣接する網膜下層(網膜の知覚神経の下、かつ網膜色素上皮の上の)内に送達することなどによる非常に限局的な方法で、こうした治療を提供するのが望ましい場合がある。しかしながら、黄斑は眼球後部の網膜繊細層下に位置するため、現実的な方法で黄斑に接近するのは困難である場合がある。
【0005】
眼球の治療のために様々な外科用手技及び器具が製造及び使用されてきたが、本発明者らよりも先に添付の特許請求の範囲に記載される本発明を製造又は使用した者はいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にその権利を特許請求する、特許請求の範囲によって完結するが、本技術は、以下の特定の実施例の説明を、添付図面と併せ読むことで、より良く理解されるものと考えられ、図面では、同様の参照符号は、同じ要素を特定する。
図1】脈絡膜上から接近して治療薬を網膜下に投与するための例示的な器具の斜視図である。
図2図1の器具の側面図である。
図3】ロック部材を取り外した図1の器具の別の側面図である。
図4】作動部材が遠位に前進して針をカニューレから遠位方向に延出させる、図1の器具の別の側面図である。
図5図1の器具に組み込むことができる例示的なカニューレ遠位端の斜視図である。
図6図5のカニューレの、図5の線6−6に沿った断面図である。
図7】脈絡膜上から接近して治療薬を網膜下に投与するための例示的な方法で用いるための例示的な縫合糸測定テンプレートの斜視図である。
図8A】眼球が固定化され、シャンデリアが設置された周囲構造を有する、患者の眼球の頂面図である。
図8B図7のテンプレートを眼球上に配置した図8Aの眼球の頂面図である。
図8C】複数のマーカーを眼球上に配置した図8Aの眼球の頂面図である。
図8D】縫合糸ループを眼球に取り付けた図8Aの眼球の頂面図である。
図8E】強膜切開術を実施中の図8Aの眼球の頂面図である。
図8F図1の器具が強膜切開の開口部における眼球の強膜と脈絡膜との間に挿入される図8Aの眼球の頂面図である。
図8G】眼球後部の強膜と脈絡膜との間を直接可視化中の図1の器具を有する図8Aの眼球の頂面図である。
図8H】眼球後部を直接可視化しながら、図1の器具の針を前進させて、これを脈絡膜の外側表面に対して押し付けて脈絡膜を「テンティング(tent)」する、図8Aの眼球の頂面図である。
図8I】眼球後部を直接可視化しながら針が先端ブレブを投与し、ここで針が強膜と脈絡膜との間にあり、先端ブレブが脈絡膜と網膜との間の網膜下腔内にある、図8Aの眼球の頂面図である。
図8J】針が治療薬を眼球の眼球後部の強膜と脈絡膜との間に投与する、図8Aの眼球の頂面図である。
図9A図8Aの眼球の、図8Aの線9A−9Aに沿った断面図である。
図9B図8Aの眼球の、図8Eの線9B−9Bに沿った断面図である。
図9C図8Aの眼球の、図8Fの線9C−9Cに沿った断面図である。
図9D図8Aの眼球の、図8Gの線9D−9Dに沿った断面図である。
図9E図8Aの眼球の、図8Hの線9E−9Eに沿った断面図である。
図9F図8Aの眼球の、図8Iの線9F−9Fに沿った断面図である。
図9G図8Aの眼球の、図8Jの線9G−9Gに沿った断面図である。
図10A図9Eに示す状態で描示された図8Aの眼球の詳細断面図である。
図10B図9Fに示す状態で描示された図8Aの眼球の詳細断面図である。
図10C図9Gに示す状態で描示された図8Aの眼球の詳細断面図である。描示された
図11】脈絡膜上から接近して治療薬を網膜下に投与するための別の例示的な代替的器具の斜視図である。
図12図11の器具の例示的な(exemplar)バルブアセンブリの分解斜視図である。
図13】追加的な流体連通機構を有する図12のバルブアセンブリの断面斜視図である。
図14】治療薬を網膜下に投与するための例示的な器具の斜視図である。
図15A】網膜貫通要素が後退位置にある、図14の器具の側面図である。
図15B】網膜貫通要素が延出位置にある、図14の器具の側面図である。
図16A】網膜貫通要素が後退位置にあり、外側カニューレを省略した、図14の器具の断側面図である。
図16B】網膜貫通要素が延出位置にあり、外側カニューレを省略した、図14の器具の断側面図である。
図17図14の器具の流体送達システムの選択された部分の断面斜視図である。
図18図14の器具の流体送達システムの選択された部分の断側面図である。
図19図14の器具の流体送達システムの選択された部分の断面斜視図である。
図20図14の器具の流体送達システムの選択された部分の断側面図である。
図21図14の器具の遠位端の断面斜視図である。
図22図14の器具の流体送達システムの遠位端の断側面図である。
図23】眼球が固定化されて3つのポートが設置された周囲構造を有する患者の眼球の頂面図である。
図24A図23の眼球の、図23の線24A−24Aに沿った断面図である。
図24B図23の眼球の、図23の線24B−24Bに沿った断面図である。
図24C図23の眼球の、図23の線24B−24Bに沿った断面図である。
図24D図23の眼球の、図23の線24B−24Bに沿った断面図である。
図24E図23の眼球の、図23の線24B−24Bに沿った断面図である。
図24F図23の眼球の、図23の線24B−24Bに沿った断面図である。
図24G図23の眼球の、図23の線24B−24Bに沿った断面図である。
図24H図23の眼球の、図23の線24B−24Bに沿った断面図である。
図24I図23の眼球の、図23の線24B−24Bに沿った断面図である。
図24J図23の眼球の、図23の線24B−24Bに沿った断面図である。
【0007】
図面は、いかなる様式でも限定することを意図するものではなく、本技術の様々な実施形態は、必ずしも図面に示されないものも含め、様々な他の方法で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付の図面は、本技術のいくつかの態様を示しており、その説明と共に本技術の原理を説明するのに役立つものであるが、本技術は図示される厳密な配置構成に限定されないことは理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の特定の実施例に関する以下の説明は、本技術の範囲を限定するために使用されるべきではない。本技術のその他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本明細書で説明される本技術は、全て本技術から逸脱することなく、その他種々の明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明文は、制限的なものではなく、例示的な性質のものとしてみなされるべきである。
【0009】
本明細書に述べられる教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上のものを、本明細書に述べられる他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上のものと組み合わせることができる点も更に理解されたい。したがって、以下に述べられる教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して分離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、本明細書の教示に照らして当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0010】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医又は他の操作者により近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ、外科医又は他の操作者から更に離れた要素の位置を指す。
【0011】
I.摺動針作動機構を備える例示的な治療薬送達器具
図1〜4は脈絡膜上から接近して治療薬を患者の眼球の網膜下に投与する手順に用いるために構成された例示的な器具(10)を示す。器具(10)は可撓性カニューレ(20)、本体(40)、及び摺動自在な作動アセンブリ(60)を備える。カニューレ(20)は本体(40)から遠位方向に延在して、概して矩形の断面を有する。以下でより詳細に説明する通り、一般的にカニューレ(20)は、カニューレ(20)内で摺動自在な針(30)を支持するように構成される。
【0012】
本発明の実施例では、カニューレ(20)は、商標名PEBAXで製造される場合のある、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)などの可撓性材料を含む。当然ながら、他の任意の好適な材料又は材料の組み合わせを使用してもよい。更に、本発明の実施例では、カニューレ(20)は寸法約2.0mm×0.8mm、長さ約80mmの断面プロファイルを有する。代わりに、その他の任意の好適な寸法を用いてもよい。
【0013】
以下でより詳細に説明する通り、カニューレ(20)は、患者の眼球の特定の構造及び外形とぴったり一致するのに十分な可撓性を有しながらも、カニューレ(20)を座屈せずに患者の眼の強膜と脈絡膜との間に前進させることができるだけの十分なカラム強度を有する。いくつかの要因がカニューレ(20)の好適な可撓性に貢献する場合がある。例えば、カニューレ(20)を作るのに用いられる材料のジュロ硬度は、カニューレ(20)の可撓性を少なくとも部分的に特徴付ける。単に例として、カニューレ(20)の形成に用いられる材料は、約27D、約33D、約42D、約46Dのショア硬さ、又は他の任意の好適なショア硬さを有し得る。ショア硬さは約27D〜約46Dの範囲、より具体的には約33D〜約46Dの範囲、より具体的には約40D〜約45Dの範囲内であってもよいことを理解されたい。また、カニューレ(20)の特定の断面形状も、カニューレ(20)の可撓性を少なくとも部分的に特徴付け得る。更に、カニューレ(20)内に配置される針(30)の剛性も、カニューレ(20)の可撓性を少なくとも部分的に特徴付け得る。
【0014】
本発明の実施例では、カニューレ(20)の可撓性はカニューレ(20)の曲げ剛性を計算することで定量化することができる。曲げ剛性は、弾性率と領域の慣性モーメントとの積によって計算される。単に例として、カニューレ(20)の形成に用いられ得る例示的な一材料は、D27のショア硬さ、1.2×10N/mの弾性率(E)、及び5.52×10−14の領域の慣性モーメント(I)を有して、X軸周囲で計算される0.7×10−6Nmの曲げ剛性を提供し得る。カニューレ(20)の形成に用いられ得る別の例示的な材料は、D33のショア硬さ、2.1×10N/mの弾性率(E)、及び5.52×10−14の領域の慣性モーメント(I)を有して、X軸周囲で計算される1.2×10−6Nmの曲げ剛性を提供し得る。カニューレ(20)の形成に用いられ得る別の例示的な材料は、D42のショア硬さ、7.7×10N/mの弾性率(E)、及び5.52×10−14の領域の慣性モーメント(I)を有して、X軸周囲で計算される4.3×10−6Nmの曲げ剛性を提供し得る。カニューレ(20)の形成に用いられ得る別の例示的な材料は、D46のショア硬さ、17.0×10N/mの弾性率(E)、及び5.52×10−14の領域の慣性モーメント(I)を有して、X軸周囲で計算される9.4×10−6Nmの曲げ剛性を提供し得る。したがって、単に例として、カニューレ(20)の曲げ剛性は約0.7×10−6Nm〜約9.4×10−6Nmの範囲内、より具体的には約1.2×10−6Nm〜約9.4×10−6Nmの範囲内、より具体的には約2.0×10−6Nm〜約7.5×10−6Nmの範囲内、より具体的には約2.0×10−6Nm〜約6.0×10−6Nmの範囲内、より具体的には約3.0×10−6Nm〜約5.0×10−6Nmの範囲内、より具体的には約4.0×10−6Nm〜約5.0×10−6Nmの範囲内であり得る。
【0015】
本発明の実施例では、カニューレ(20)の可撓性は以下の式でも定量化することができる。
【0016】
【数1】
【0017】
上記の方程式では、曲げ剛性(EI)は、所定の偏向量(δ)を生む所定の距離の固定全長(L)を有するカニューレ(20)を偏向させることで実験的に計算される。続いて、こうした偏向に必要な力の量(F)を記録してよい。例えば、こうした方法を用いる時は、カニューレ(20)は0.06mの全長を有してもよく、また所定の距離を偏向させてもよい。単に例として、カニューレ(20)の形成に用いられ得る1つの例示的な材料は、0.0155mの偏向を得てX軸周囲で計算される5.5×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0188Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得る別の例示的材料は、0.0135mの偏向を得てX軸周囲で計算される6.8×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0205Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得る更に別の例示的材料は、0.0099mの偏向を得てX軸周囲で計算される9.1×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0199Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得るなお別の例示的材料は、0.0061mの偏向を得てX軸周囲で計算される1.8×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0241Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得るなお別の例示的材料は、0.0081mの偏向を得てX軸周囲で計算される1.0×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0190Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得るなお別の例示的材料は、0.0114mの偏向を得てX軸周囲で計算される8.4×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0215Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得るなお別の例示的材料は、0.0170mの偏向を得てX軸周囲で計算される5.1×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために0.0193Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得るなお別の例示的材料は、0.0152mの偏向を得てX軸周囲で計算される6.6×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0224Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得るなお別の例示的材料は、0.0119mの偏向を得てX軸周囲で計算される6.9×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0183Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得るなお別の例示的材料は、0.0147mの偏向を得てX軸周囲で計算される7.1×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0233Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得るなお別の例示的材料は、0.0122の偏向を得てX軸周囲で計算される7.1×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0192Nの力を必要とする場合がある。カニューレ(20)の形成に用いられ得るなお別の例示的材料は、0.0201の偏向を得てX軸周囲で計算される4.5×10−6Nmの曲げ剛性を提供するために、0.0201Nの力を必要とする場合がある。したがって、単に例として、カニューレ(20)の曲げ剛性は約1.0×10−6Nm〜約9.1×10−6Nmの範囲であり得る。その他の実施例では、カニューレの曲げ剛性は約0.7×10−6Nm〜約11.1×10−6Nmの範囲、より具体的には2.0×10−6Nm〜約6.0×10−6Nmの範囲であり得ることを理解されたい。
【0018】
針(30)はカニューレ(20)の曲げ剛性とは異なる曲げ剛性を有してもよい。単に例として、針(30)は、弾性率(E)が7.9×1010N/m、及び領域の慣性モーメント(I)が2.12×10−17で、X軸周囲で計算される1.7×10−6Nmの曲げ剛性を提供し得るニチノール材料から形成してもよい。単に例として、針(30)の曲げ剛性は約0.5×10−6Nm〜約2.5×10−6Nmの範囲内、より具体的には約0.75×10−6Nm〜約2.0×10−6Nmの範囲内、より具体的には約1.25×10−6Nm〜約1.75×10−6Nmの範囲内であり得る。
【0019】
図5及び6から分かるように、カニューレ(20)は、カニューレ(20)を貫いて長手方向に延在し、非外傷性の傾斜遠位端(26)で終端する両側部の内腔部(22)及び単一の中央内腔部(24)を備える。傾斜した側面開口部(28)は傾斜遠位端(26)の近位に配置される。側部内腔部(22)はカニューレ(20)の可撓性に寄与する。内腔部(22、24)は傾斜遠位端(26)で開放しているものとして示されているが、一部の実施例では側部内腔部(22、24)は傾斜遠位端(26)で任意選択的に閉鎖していてもよい。以下でより詳細に説明する通り、中央内腔部(24)は針(30)及び針ガイド(80)を受容するように構成される。一部の変形では、針(30)と並行して更に光ファイバー(図示せず)を中央内腔部(24)内に配置する。こうした光ファイバーを用いて照明及び/又は光学フィードバックを提供することができる。
【0020】
一般に、傾斜遠位端(26)は、強膜層と脈絡膜層との間に隔離を提供して、強膜層又は脈絡膜層に外傷を負わせずにこうした層の間にカニューレ(20)を前進させるために傾斜している。本発明の実施例では、傾斜遠位端(26)は、本発明の実施例のカニューレ(20)の長手方向軸に対して約15度の角度で傾斜している。その他の実施例では、傾斜遠位端(26)は約5〜約50℃の範囲内、より具体的には約5〜約40度の範囲内、より具体的には約10〜約30度の範囲内、より具体的には約10〜約20度の範囲内のベベル角度を有し得る。
【0021】
針ガイド(80)は、針ガイド(80)の遠位端が傾斜側面開口部(28)と当接するように、内腔部(24)内に配置される。概して、針ガイド(80)は、カニューレ(20)の傾斜開口部(28)を貫きカニューレ(20)の長手方向軸(LA)に対して斜めに配向された出口軸(EA)に沿って針(30)を上方に誘導するように構成される。針ガイド(80)は、プラスチック、ステンレス鋼、及び/又は他の任意の好適な生体適合性材料から形成してよい。針ガイド(80)の形状は中央内腔部(24)内に挿入するために構成される。本発明の実施例では、針ガイド(80)は圧入又は締りばめによって中央内腔部(24)内に固定されるが、他の実施例では、接着剤及び/又は機械的型締機構を用いて針ガイド(80)を固定してもよい。
【0022】
図6で最もよく分かるように、針ガイド(80)は針(30)を摺動自在に受容するように構成された内部内腔部(84)を画定する。具体的には、内部内腔部(84)は、概して直線状の近位部分(86)及び湾曲した遠位部分(88)を含む。直線状の近位部分(86)はカニューレ(20)の長手方向軸(LA)に対応し、湾曲した遠位部分(88)はカニューレ(20)の長手方向軸から上方に離れるように湾曲する。本発明の実施例の湾曲した遠位部分(88)は、カニューレ(20)の長手方向軸(LA)に対して約7〜約9度の角度でカニューレ(20)から遠位方向に延在する出口軸(EA)に沿って針(30)を誘導するように湾曲する。こうした角度は、針が脈絡膜(306)を穿通することを保証し、かつ針(30)が(脈絡膜(306)を穿通するのとは対称的に)脈絡膜上腔を通して脈絡膜(306)の下に位置し続ける可能性と、網膜穿孔の可能性と、を最小化する方向に針(30)を偏向させることが望ましい場合があることを理解されたい。単に更なる例として、湾曲した遠位部分(88)は、カニューレ(20)の長手方向軸(LA)に対して約5〜約30度の範囲内の角度で、より具体的にはカニューレ(20)の長手方向軸(LA)に対して約5〜約20度の範囲内の角度で、より具体的にはカニューレ(20)の長手方向軸(LA)に対して約5〜約10度の範囲内の角度で配向する出口軸(EA)に沿って針(30)がカニューレ(20)から退出することを促進し得る。
【0023】
針(30)は、鋭利な遠位端(32)を有して内部内腔部(34)を画定する内側カニューレ形態である。本発明の実施例の遠位端(32)はランセット構造を有する。参照によりその開示が本明細書に援用される、「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題された2015年2月11日出願の米国特許出願第14/619,256号に説明される通り、一部の他の変形では、遠位端(32)は3重ベベル構造、又は他の任意の構造を有する。本明細書の教示を考慮することで、遠位端(32)が取り得る更に他の好適な形態が、当業者に明らかになるであろう。以下でより詳細に説明するように、本発明の実施例の針(30)は、治療薬を送達する一方で、針(30)が患者の眼の組織構造を穿通する時に自己封止性の創傷を作るのに十分に小さくあるようにサイズ決めされたニチノール製皮下注射針を備える。単に例として、針(30)は35ゲージ、内径100μmであってもよいが、その他の好適なサイズを用いてもよい。例えば、針(30)の外径は27〜45ゲージの範囲内、より具体的には30〜42ゲージの範囲内、より具体的には32〜39ゲージの範囲内であってもよい。別の単なる例証目的の例として、針(30)の内径は約50〜約200μmの範囲内、より具体的には約50〜約150μmの範囲内、より具体的には約75〜約125μmの範囲内であってもよい。
【0024】
図1〜2を再び参照すると、本体(40)は概して、湾曲した遠位端を有する細長い矩形として形状決めされている。示された本体(40)の特定の形状は、操作者に把持されるように構成される。あるいは、参照によりその開示が本明細書に援用される、「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題された2015年2月11日出願の米国特許出願第14/619,256号で説明されるように、本体(40)は、器具(10)の位置決めを容易にするための支持装置又はロボットアーム上に載置されてもよい。
【0025】
作動アセンブリ(60)は作動部材(62)及びロック部材(66)を含む。ロック部材(66)は本体係合部分(50)の本体(40)と作動部材(62)との間に着脱自在に取り付け可能である。以下でより詳細に説明するように、ロック部材(66)は本体(40)と作動部材(62)との間の空間を塞いで、作動部材(62)が本体(40)に対して遠位方向に前進するのを防ぐ。しかしながら、作動部材(62)が本体(40)に対して遠位方向に前進するのを選択的に許可するために、ロック部材(66)を取り外してもよい。
【0026】
図2〜4は、器具(10)の作動の一例を示す。具体的には、図2で分かるように、初めに針(30)をカニューレ(20)内に引き戻して、ロック部材(66)を本体(40)と作動部材(62)との間に位置決めして、作動部材(62)の前進を防止する。以下でより詳細に説明する通り、この構成の器具(10)の場合、カニューレ(20)は患者の眼内に位置決めしてもよい。
【0027】
カニューレ(20)が患者の眼内に一旦位置決めされると、操作者は針(30)をカニューレ(20)に対して前進させることを望む場合がある。図3で分かるように、針(30)を前進させるために、操作者は最初にロック部材(66)を器具(10)から引き抜くことでロック部材(66)を取り外すことができる。参照によりその開示内容が本明細書に援用される、2015年2月11日出願の「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題された米国特許出願第14/619,256号で説明されるように、一旦ロック部材(66)が取り外されると、作動部材(62)を本体(40)に対して移動又は並進させることで針(30)をカニューレ(20)に対して前進させることができる。本発明の実施例の作動部材(62)は、針(30)を回転させずに、針(30)を並進させるだけのために構成される。その他の実施例では、針(30)を回転させることが望ましい場合がある。したがって、代替的な実施例は、作動部材(62)内に針(30)を回転及び並進させる機構を含む場合がある。
【0028】
本発明の実施例では、図4に示すように、作動部材(62)を前進させて本体(40)と接触させることは、針(30)を患者の眼内で所定量の穿通を達成する位置までカニューレ(20)に対して前進させることに対応する。換言すれば、器具(10)は、操作者が作動部材(62)を前進させて本体(40)と接触させるだけで、針(30)を患者の眼内で適切に位置決めすることができるように構成される。いくつかの実施例では、カニューレ(20)に対して針(30)を前進させる所定の量は、約0.25mm〜約10mmの範囲内、より具体的には約0.1mm〜約10mmの範囲内、より具体的には約2mm〜約6mmの範囲内、より具体的には最大約4mmである。その他の実施例では、作動部材(62)と本体(40)との間の接触は、カニューレ(20)に対する針(30)の最大限の前進を除いては特別な重要性を有し得ない。その代わりに、器具(10)は、針(30)がカニューレ(20)に対して特定の所定の距離まで前進した時点を操作者に示す、特定の触覚フィードバック機構を装備してもよい。したがって、操作者は、器具上での兆候の直接可視化、及び/又は器具(10)からの触覚フィードバックに基づいて、針(30)を患者の眼内に穿通する所望の深さを決定することができる。当然ながら、本明細書の教示を考慮すれば当業者に明らかとなるように、こうした触覚フィードバック機構を本発明の実施例と組み合わせてもよい。
【0029】
II.例示的な縫合糸測定テンプレート
図7は、以下でより詳細に説明するように、脈絡膜上から接近して治療薬の網膜下投与を提供する手順に用いられ得る例示的な縫合糸測定テンプレート(210)を示す。概して、テンプレート(210)は、患者の眼に押し付けて患者の眼に特定の顔料のパターンを刻印するように構成される。本明細書におけるテンプレート(210)を患者(patent)の眼に押し付けることについての言及としては、テンプレート(210)を強膜(304)表面に直接押し付けること(例えば、結膜を取り下げるかあるいはその他の方法で移動させた後で)が挙げられ得るが、必ずしもそれに限定されないことを理解されたい。テンプレート(210)は剛性の本体(220)及び剛性のシャフト(240)を備える。以下でより詳細に説明する通り、本体(220)は、概して、本体(220)を患者の眼の少なくとも一部に押し付けるか又は配置できるように、患者の眼の湾曲に一致するように曲線的に形状決めされている。本体(220)は上ガイド部分(222)及び本体(220)の対眼面(224)から遠位方向に延在する複数の突出部(230)を備える。
【0030】
上ガイド部分(222)は概して半円形状であり、本体(220)の頂部に配置される。上ガイド部分(222)の半円形状は、患者の眼の縁郭の湾曲と一致する半径を有する。換言すれば、上ガイド部分(222)は、患者の眼球の曲率半径に対応する第1の半径に沿って近位方向に、かつ患者の眼の縁郭の曲率半径に対応する第2の半径に沿って下向きに(シャフト(240)の長手方向軸に向かって)湾曲する。以下でより詳細に説明する通り、上ガイド部分(222)は患者の眼の縁郭に対してテンプレート(210)を適切に位置決めするために用いられ得る。したがって、テンプレートによって患者の眼上に堆積されることができる全ての色素沈着は、患者の眼の縁郭に対して位置決めすることができる。
【0031】
突出部(230)は上ガイド部分(222)から所定の距離で離間配置されている。具体的には、突出部(230)は、以下で説明する方法の間に使用するために、関連性のある印に対応し得るパターンを形成する。本発明の実施例の突出部(230)は4つの縫合糸ループ突出部(230a〜230h)、及び2つの強膜切開突出部(230i、230j)を備える。縫合糸ループ突出部(230a〜320h)、及び強膜切開突出部(230i、230j)は、突出部(230)が全体で本体(220)によって画定された湾曲を維持するように、本体(220)から均等な距離で外向きに延在する。換言すれば、突出部(230a〜230j)の先端部の全てが、曲率半径によって画定されて患者の眼球の曲率半径を補完する湾曲平面に沿って置かれている。突出部(230a〜230j)の先端部は、強膜又は患者の眼の他の部分を損傷せずに突出部(230a〜230j)を眼に押し付けることができるように、丸みを帯びて非外傷性である。
【0032】
シャフト(240)は本体(220)から近位方向に延在する。シャフト(240)は操作者がテンプレート(210)を把持して本体(220)を操作することができるように構成される。本発明の実施例では、シャフト(240)は本体(220)と一体化している。その他の実施例では、シャフト(240)は、ねじカップリング又は機械的スナップ嵌めなどの機械的締結手段によって本体に選択的に取付可能であってもよい。一部の変形では、操作者はシャフト(240)及び複数の本体(220)を備えるキットを与えられてもよい。本体(220)は、様々な曲率半径を有する様々な眼球に対応する様々な湾曲を有してもよい。したがって、操作者は、操作者の前にいる特定の患者の解剖学的形状に基づいてキットから適切な本体(220)を選択することができる。続いて操作者は選択された本体(220)をシャフト(240)に固定することができる。図示してないが、シャフト(240)の近位端は追加的にT字グリップ、ノブ、又は操作者がシャフト(240)をより容易に把持することを可能にする他の把持機構を含んでもよいことを理解されたい。
【0033】
例示的な使用では、縫合糸ループ突出部(232)及び強膜切開突出部(234)は、以下で説明する方法の特定の部分にそれぞれ対応する。具体的には、以下で説明する方法の前又は最中に、顔料又はインクパッド(250)に突出部(230)を押し付けることで、顔料又はインクを突出部(230)にはけ塗りすることで、又はその他の方法で顔料又はインクを突出部(230)に適用することで、操作者は生体適合性顔料又はインクで突出部(230)をコーティングすることができる。一部の変形では、テンプレート(210)をパッケージ化する前に突出部(230)を予めインク付けしてもよい。以下で更に詳細に説明するように、一旦突出部(230)が顔料又はインクを受容したら、操作者はテンプレート(210)の突出部(230)を患者の眼に押し付けることで、患者(patent)の眼にマーキングすることができる。以下で更に詳細に説明するように、一旦テンプレート(210)が患者の眼から取り除かれると、突出部からの顔料は眼に付着した状態を維持して特定の関心点をマーキングすることができる。
【0034】
III.脈絡膜上から接近して治療薬を網膜下に送達するための例示的な方法
図8A〜10Cは、上述の器具(10)を用いて脈絡膜上から接近して治療薬を網膜下に投与するための例示的な手順を示す。しかしながら、図11〜13の器具(2010)は、以下で説明する手順の器具(10)と共に、あるいはその代わりに容易に用いられ得ることを理解されたい。単に例として、本明細書で説明する方法は、黄斑変性症及び/又はその他の眼疾患の治療に用いることができる。本明細書で説明する手順は老化関連黄斑変性症の治療を背景に論じられているが、このような制限は意図されておらず、又は暗示されてもいないことを理解されたい。例えば、いくつかの単なる例示的な代替的手順では、本明細書で説明されるものと同じ技術を用いて網膜色素変性、糖尿病性網膜症、及び/又はその他の眼疾患を治療することができる。更に、本明細書で説明する手順は乾燥型又は湿潤型のいずれかの老化関連黄斑変性症の治療に用いることができることを理解されたい。
【0035】
図8Aで分かるように、手順は、操作者が反射鏡(312)及び/又は固定化に好適な任意のその他の器具を用いて患者の眼(301)(例えば、眼瞼)を包囲する組織を固定化することによって開始する。本明細書では眼(301)を包囲する組織に関する固定化を説明しているが、眼(301)自体は自由に移動可能であることを理解されたい。一旦、眼(301)を包囲する組織が固定化されると、眼のシャンデリアポート(314)を眼(301)に挿入し、瞳孔を通して眼(301)の内部を視察する際の眼球内照明を提供する。本発明の実施例では、上外側1/4区の強膜切開を実施できるように、眼のシャンデリアポート(314)を下内側1/4区内に位置決めする。図10Aで分かるように、眼のシャンデリアポート(314)は眼(314)の内部に光を誘導して、網膜の少なくとも一部(例えば、黄斑の少なくとも一部を含む)を照明するように位置決めされる。理解されるように、こうした照明は、治療薬の送達標的となる眼(301)の領域に対応する。本発明の実施例では、この段階ではシャンデリアポート(314)のみを挿入するが、光ファイバー(315)はまだポート(314)に挿入しない。いくつかの他の変形では、この段階で光ファイバー(315)をシャンデリアポート(314)に挿入してもよい。いずれの場合においても、所望により顕微鏡を用いて眼を視覚的に検査して、標的部位に対する眼のシャンデリアポート(314)の適切な位置決めを確認することができる。いくつかの実施例では、網膜の色素沈着の相対的な欠如により標的領域を識別することができる。本明細書における教示を考慮すれば当業者に明らかとなるように、図8Aは眼のシャンデリアポート(314)の特定の位置決めを示しているが、眼のシャンデリアポート(314)は任意の他の位置決めを有してもよいことを理解されたい。
【0036】
一旦、眼のシャンデリアポート(314)が位置決めされれば、結膜のフラップを切開してフラップを後方に引き上げて結膜を切断することにより、強膜(304)に接近することができる。こうした切開を完了した後で、所望により焼灼器具を用いて強膜(304)の露出面(305)を白化させ、出血を最小化してもよい。一旦結膜の切開が完了すれば、所望によりWECK−CEL又は他の好適な吸収装置を用いて強膜(304)の露出面(305)を乾燥させてもよい。続いて上述したテンプレート(210)を用いて眼(301)をマーキングしてもよい。図8Bで分かるように、テンプレート(210)は、眼(301)の縁郭と位置を合わせるように位置決めする。操作者はテンプレート(210)に軽い力を加えて顔料を眼(301)に適用してもよい。続いて、図8Cで分かるように、テンプレート(210)を取り外して顔料を強膜(304)の露出面(305)に付着させた状態を維持し、操作者に視覚的案内装置(320)を提供する。続いて、操作者は視覚的ガイド(320)を用いて縫合糸ループアセンブリ(330)を取り付け、強膜切開を実施することができる。視覚的ガイド(320)は縫合糸ループマーカー一式(321、322、323、324、325、326、327)及び一対の強膜切開マーカー(329)を含む。
【0037】
図8Dは完成した縫合糸ループアセンブリ(330)を示す。以下でより詳細に説明する通り、縫合糸ループアセンブリ(330)は概して、強膜切開部を通して眼(301)に器具(10)のカニューレ(20)を案内するように構成される。図8Dに示される縫合糸ループアセンブリ(330)を作るために用いられ得る例示的な手順は、参照によりその開示内容が本明細書に援用される、2015年2月11日出願の「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題された米国特許出願第14/619,256号において説明されている。一旦縫合糸ループアセンブリ(330)が眼(301)に取り付けられたら、眼(301)上で強膜切開を実施することができる。図8Eで分かるように、従来の外科用メス(313)又は他の好適な切断器具を用いて、眼(301)の強膜切開マーカー(329)の間を切開する。強膜切開マーカー(329)は2つの個別のドットを含むものとして示されているが、その他の実施例では、マーカー(329)は連続線、点線、又は破線などの任意の他の種類のマーキングを含んでもよいことを理解されたい。強膜切開手術によって眼(301)の強膜(304)を通る小さな切開部(316)が形成される。図9Bで最もよく分かるように、強膜切開部は脈絡膜(306)の穿通を避けるために特別な注意を払って予形成される。したがって、強膜切開手術は強膜(304)と脈絡膜(306)との間の空間への接近を提供する。一旦切開部(316)が眼(301)内に作られれば、所望により鈍的切開を実施して、脈絡膜(306)から強膜(304)を局所的に分離してもよい。本明細書における教示を考慮すれば当業者に明らかとなるように、こうした切開は小型の鈍的な細長い器具を用いて実施され得る。
【0038】
強膜切開手術を実施する際、操作者は器具(10)のカニューレ(20)を、切開部(316)を介して強膜(304)と脈絡膜(306)との間に挿入してもよい。図8Fで分かるように、カニューレ(20)は、縫合糸ループアセンブリ(330)の案内ループ(336)を通して切開部(316)に誘導される。上述したように、案内ループ(336)はカニューレ(20)を安定化し得る。更に、案内ループ(336)は、カニューレ(20)を切開部(316)に対して概して接線方向に維持する。こうした接線方向によって、カニューレ(20)が切開部(316)を介して案内される際の外傷を低減させて、カニューレ(20)を安定化させ、かつ周囲組織の損傷を防ぐことができる。カニューレ(20)を案内ループ(336)を介して切開部(316)に挿入する時、操作者は鉗子又は他の器具を用いて、カニューレ(20)を非外傷性経路に沿って更に案内することができる。当然ながら、鉗子又は他の器具の使用は単に任意選択的であり、いくつかの実施例では省略してもよい。図示していないが、いくつかの実施例では、カニューレ(20)は、様々な挿入深さを示すために、カニューレ(20)の表面に1つ又は2つ以上のマーカーを含んでもよい事を理解されたい。単に任意選択的であるが、こうしたマーカーは、カニューレ(20)が非外傷性経路に沿って案内される際に、操作者が挿入の適切な深さを特定するのを補助するのに望ましい場合がある。例えば、操作者は、眼(301)にカニューレ(20)が挿入される深さの指標として、こうしたマーカーを、案内ループ(336)と関連して、及び/又は切開部(316)と関連して視覚的に観察することができる。単に例として、1つのこうしたマーカーは、カニューレ(20)の深さ約6mmの挿入に対応し得る。
【0039】
一旦カニューレ(20)が眼(301)内に少なくとも部分的に挿入されると、操作者は、この段階ではファイバー(315)がまだ挿入されていない眼のシャンデリアポート(314)に、光ファイバー(315)を挿入することができる。眼のシャンデリアポート(314)が所定の位置に配置されて光ファイバー(315)と組み合わせられると、操作者は光ファイバー(315)から光を誘導することで眼のシャンデリアポート(314)を活性化して眼(301)に照明を提供し、それにより眼(301)の内部を可視化することができる。この時点で、網膜(308)の地理的萎縮領域に対する適切な位置決めを保証するために、必要に応じてカニューレ(20)の位置決めを更に調整してもよい。いくつかの場合では、瞳孔を通した眼(301)内部の可視化を最適化するために、操作者が縫合糸(334、339)を引っ張ることなどで眼(301)を回転させて、眼(301)の瞳孔を操作者に向けて誘導したいと望む場合がある。
【0040】
図8G及び9C〜9Dは、強膜(304)と脈絡膜(306)との間から治療薬の送達部位に案内されたカニューレ(20)を示す。本発明の実施例では、送達部位は、網膜(308)の地理的萎縮領域に隣接する眼(301)の略後方領域と一致する。具体的には、本発明の実施例の送達部位は、黄斑上方の、網膜神経感覚上皮と網膜色素上皮層との間の潜在空間内にある。図8Gは、ファイバー(315)及びポート(314)を通して照明が提供され、眼(301)の瞳孔を介して方向付けられた顕微鏡を介して直接可視化した眼(301)を示す。分かる通り、カニューレ(20)は眼(301)の網膜(308)及び脈絡膜(306)を介して少なくとも部分的に可視である。したがって、操作者は、眼(301)の中を通って図9Cに示す位置から図9Dに示す位置まで前進するカニューレ(20)を追跡することができる。こうした追跡は、光ファイバー(34)を用いてカニューレ(20)の遠位端を通して可視光線を放射する変形では改善することができる。
【0041】
図9Dに示すように、一旦カニューレ(20)が送達部位まで前進すると、図3〜4に関して上述したように、操作者は器具(10)の針(30)を前進させることができる。図8H〜8I、9E、及び10Aで分かるように、針(30)が網膜(308)を穿通することなく脈絡膜(306)を貫通するように、針(30)をカニューレ(20)に対して前進させる。図8Hで分かるように、脈絡膜(306)を穿通する直前、針(30)は直接可視化された脈絡膜(306)の表面を「テンティング」するように見える場合がある。換言すれば、針(30)は、脈絡膜を上方に押し上げることによって脈絡膜(306)を変形させて、テントポールがテントの屋根を変形させるのに類似した外観を提供し得る。操作者は、こうした視覚現象を、脈絡膜(306)が貫通されようとしているか否か、及び結果的に起きたすべての貫通の位置を識別するため用いることができる。「テンティング」を開始して、続いて脈絡膜(306)を貫通するのに十分な針(30)の特定の前進量は、患者の全体的な解剖学的構造、患者の局所的な解剖学的構造、操作者の選好、及び/又はその他の要因などであるがこれらに限定されない数多くの要因によって決定され得る任意の好適な量であり得る。上述したように、針(30)が前進する単に例示的な範囲は、m約0.25mm〜約10mm、より具体的には約2mm〜約6mmであり得る。
【0042】
本発明の実施例では、上述したテンティング効果の視覚化により針(30)が適切に前進したことを操作者が確認した後、針(30)がカニューレ(20)に対して前進する時、操作者は平衡塩溶液(BSS)又は他の類似する溶液を注入する。こうしたBSS溶液は、針(30)が脈絡膜(306)を貫いて前進すると針(30)の前方に先端ブレブ(340)を形成し得る。先端ブレブ(340)は2つの理由から望ましくあり得る。第1に、図8I、9F、及び10Bに示すように、先端ブレブ(340)は針(30)が送達部位で適切に位置決めされた時を示す更なる視覚的指標を操作者に提供し得る。第2に、一旦針(30)が脈絡膜(306)を穿通すると、先端ブレブ(340)は針(30)と網膜(308)との間の障壁を提供し得る。こうした障壁は網膜壁を外方に押し出して(図9F及び10Bで最もよく分かるように)、それにより針(30)が送達部位まで前進する時の網膜穿孔のリスクを最小化し得る。いくつかの変形では、先端ブレブ(340)を駆動して針(30)から排出させるためにフットペダルを作動させる。あるいは、本明細書の教示を考慮することで先端ブレブ(340)を駆動して針(30)から排出させるために使用され得る他の好適な機構は当業者には明らかであろう。
【0043】
一旦操作者が先端ブレブ(340)を可視化すると、操作者はBSSの注入を中止して、図8I、9F、及び10Bで分かるように、流体で満たしたポケットをそのままで残してもよい。次に、器具(10)に関して上述したように、注射器又は他の流体送達装置を作動させて治療薬(341)を注入してもよい。送達される特定の治療薬(341)は眼疾患を治療するために構成された任意の好適な治療薬であってよい。単に例示的ないくつかの好適な治療薬としては、小分子若しくは大分子を有する薬物、治療用細胞溶液、ある種の遺伝子治療溶液、及び/又は本明細書における教示を考慮すれば当業者に明らかとなる任意の他の好適な治療薬が挙げられ得るが、必ずしもこれらに限定されない。単に例として、治療薬(341)は、参照によりその開示内容が本明細書に援用される「Treatment of Retinitis Pigmentosa with Human Umbilical Cord Cells」と題された2008年8月19日発行の米国特許第7,413,734号の教示のうち少なくとも一部に従って提供され得る。
【0044】
本発明の実施例では、最終的に送達部位に送達される治療薬(341)の量は約50μLであるが、任意の他の好適な量を送達してもよい。いくつかの変形では、薬剤(341)を駆動して針(30)から排出させるためにフットペダルを作動させる。あるいは、本明細書の教示を考慮することで、薬剤(341)を駆動して針(30)から排出させるために使用され得る他の好適な機構が当業者に明らかになるであろう。図8J、9G、及び10Cで分かるように、治療薬の送達は流体ポケットを膨張させることによって可視化され得る。示される通り、治療薬(341)が脈絡膜上腔内に注入されると、治療薬(341)は先端ブレブ(340)流体と本質的に混合する。
【0045】
一旦送達が完了すれば、作動アセンブリ(60)を本体(40)に対して近位方向に摺動させて針(20)を引き戻してもよい。続いてカニューレ(30)を眼(301)から引き抜いてもよい。針(20)の寸法のために、針(20)が穿通した脈絡膜(306)の部位は、脈絡膜(306)を介した送達部位を封止するためにこれ以上の工程を経る必要がないように、自己封止性であることを理解されたい。縫合糸ループアセンブリ(330)及びシャンデリア(314)は取り除いてもよく、強膜(304)内の切開部(316)は任意の好適な従来技術を用いて閉鎖してもよい。
【0046】
上述したように、上記の手順は黄斑変性症を患う患者を治療するために実施することができる。一部のこうした場合では、針(20)によって送達された治療薬(341)は、分娩後臍及び胎盤由来の細胞を含む場合がある。上述したように、単に例として、治療薬(341)は、参照によりその開示内容が本明細書に援用される「Treatment of Retinitis Pigmentosa with Human Umbilical Cord Cells」と題された2008年8月19日発行の米国特許第7,413,734号の教示のうち少なくとも一部に従って提供され得る。あるいは、針(20)を用いて、米国特許第7,413,734号及び/若しくは本明細書の他の部分で説明されるものに加えて、又はその代わりに、任意の他の好適な物質若しくは複数の物質を送達してもよい。単に例として、治療薬(341)は、小分子、大分子、細胞、及び/又は遺伝子治療が挙げられるがこれらに限定されない多種多様な薬物を含んでもよい。更に、黄斑変性症は本明細書で説明される処置によって治療され得る疾患の例示的な一実施例に過ぎないことも理解されたい。当業者には、本明細書で説明する器具及び処置を用いて対処可能なその他の生物学的疾患が明らかであろう。
【0047】
IV.回転針作動機構及びバルブアセンブリを有する例示的な治療薬送達器具
いくつかの実施例では、本明細書で説明する器具の特定の構成要素又は機構は様々に変化することが望ましい場合がある。例えば、先端ブレブ(340)及び治療薬(341)の流れを選択的に制御するために、針(30)及び/又はバルブアセンブリを作動させる代替的なメカニズムを備える、器具(10)と類似した器具を使用することが望ましい場合がある。図11は、本実施例の器具(2010)が針(2030)を作動させるための代替的アセンブリ(2100)を含み、かつ器具(2010)がバルブアセンブリ(2200)を更に含むことを除いては上述の器具(10)と類似する、例示的な代替的器具(2010)を示す。
【0048】
以下に器具(2010)の特定の機構及び操作について説明するが、以下の説明く加えて、又はその代わりに、参照によりその開示内容が本明細書に援用される「Method and Apparatus for Suprachoroidal Administration of Therapeutic Agent」と題された2015年2月11日出願の米国特許出願第14/619,256号の教示のうちのいずれかに従って器具(2010)を構成してもよく、かつ/又はこれを操作してもよいことを理解されたい。器具(10)と同様に、本発明の実施例の器具(2010)は本明細書で説明される脈絡膜上から接近して治療薬を網膜下(subretially)投与する手順で概ね使用可能である。したがって、器具(2010)は、図8A〜10Cに関して上述した医療処置を実施する上で器具(10)の代わりとして容易に使用可能であることを理解されたい。器具(10)と同様に、本実施例の器具(2010)はカニューレ(2020)、本体(2040)、及び作動アセンブリ(2100)を備える。カニューレ(2020)はその中を貫いて延在するニチノール針(2030)を具備する。本発明の実施例では、カニューレ(2020)及び針(2030)は上述のカニューレ(20)及び針(30)と実質的に同一である。
【0049】
器具(10)と器具(2010)との間の1つの違いは、器具(2010)の作動アセンブリ(2100)が摺動自在ではなく回転自在であることである。更に、器具(2010)は針(2030)の流動状態を変更するように動作可能バルブアセンブリ(2200)を具備する。作動アセンブリ(2100)は、ノブ部材(2110)の回転によってバルブアセンブリ(2200)を長手方向に並進させ、それにより針(2030)をカニューレ(2020)に対して長手方向に並進させるように概ね動作可能である。
【0050】
作動アセンブリ(2100)が近位位置にある時、操作者はノブ部材(2110)を逆時計方向又は時計方向のいずれかに回転させることができる。ノブ部材(2110)を逆時計方向に回転させると、回転部材(2110)は単に自由回転する。作動アセンブリ(2100)、バルブアセンブリ(2200)、及び針(2030)の前進を開始するために、操作者はノブ部材(2110)を時計方向に回転させてもよい。ノブ部材(2110)の時計方向回転は、ノブ部材(2110)を遠位方向に並進させるように働き、バルブアセンブリ(2200)及び針(2030)を遠位方向に並進させるようにも働く。操作者は、ノブ部材(2110)の時計方向回転を継続して、針(2030)を駆動してカニューレ(2020)の遠位端から排出させることができる。一旦針(2030)がそのカニューレ(2020)の遠位端に対する最遠位位置まで前進すると、ノブ部材(2110)を更に時計方向に回転させても、作動アセンブリ(2100)に組み込まれたクラッチ機構のスリップのために、ノブ部材(2110)は単に自由回転する。針(2030)が遠位位置にある時、操作者は以下で説明するバルブアセンブリ(2200)を作動させて、上述の針(2030)を介して先端ブレブ(430)及び治療薬(341)の送達を実現することができる。
【0051】
先端ブレブ(430)及び治療薬(341)が送達されると、操作者は続いて針(2030)を引き戻すことを望む場合がある。ノブ部材(2110)の逆時計方向回転によって、本体(2040)に対する作動アセンブリ(2100)、バルブアセンブリ(2200)、及び針(2030)の近位方向への並進が発生する。作動アセンブリ(2100)が回転してバルブアセンブリ(2200)及び針(2030)を作動させると、バルブアセンブリ及び針(2030)の本体(2040)に対する回転は実質的に静止したままである。本発明の実施例の回転部材(2110)は手動式に回転させるものとして説明されているが、回転部材(2110)はモーター及び/又は何らかの他の動力源によって回転させてもよいことを更に理解されたい。したがって、針(2030)の並進をサーボモーターによって機械的/電気的に駆動してもよいことを理解されたい。こうしたサーボ制御は手動で操作してもよい。更に又はあるいは、こうしたサーボ制御装置は器具(2010)又は本明細書で説明する任意の他の構成要素からのフィードバックに従うコンピュータによって操作してもよい。
【0052】
図12〜13で最もよく分かるように、バルブアセンブリ(2200)はバルブ本体(2210)、バルブアクチュエータ(2230)、及び針カップラー(2240)を備える。具体的には、バルブ本体(2210)はバルブハウジング(2212)、バルブハウジング(2212)から近位方向に延在する円筒形取付部材(2218)、及びカップラーインサート(2220)を備える。バルブハウジング(2212)は略円筒形状である。図13で最もよく分かるように、バルブハウジング(2212)は、一対の供給管(2090、2091)及びバルブアクチュエータ(2230)を受容するように構成されたチャンバ(2214)を画定する。バルブハウジング(2212)の各側面は、バルブアクチュエータ(2230)をバルブハウジング(2212)を介してチャンバ(2214)内へと回転自在に受容するように構成された一対のアクチュエータ開口部(2216)を具備する。本発明の実施例では、第1の供給管(2090)がブレブ流体(340)(例えば、BSS)の供給源と結合するように構成され、第2の供給管(2091)は治療薬(341)の供給源と結合するように構成される。各流体供給管(2090、2091)は、従来のルアー機構及び/又は流体供給管(2090、2091)が対応する流体供給源と結合することを可能とする他の構造を具備し得ることを理解されたい。
【0053】
バルブハウジング(2212)の近位端は、チャンバ(2214)内へと延在する管開口部(2215)を画定する。図で分かるように、管開口部(2215)は供給管(2090、2091)を収容する管(2092)を受容するように構成される。管(2092)は供給管(2090、2091)を包囲して、作動アセンブリ(2100)による供給管(2090、2091)の不慮の回転を防ぐ。本発明の実施例では、管開口部(2215)は、圧縮又は締まりばめによって管(2092)がバルブハウジング(2212)に固定されるようにサイズ決めされる。その他の実施例では、あるいは管(2092)を接着剤結合、溶接、機械的締結具、及び/又は任意の他の好適な構造若しくは技術を用いて管開口部(2215)内に固定してもよい。
【0054】
カップラーインサート(2220)はバルブハウジング(2212)から遠位方向に延在し、概して針カップラー(2240)の近位端に挿入するために構成される。カップラーインサート(2220)は略円筒形状であり、環状凹部(2222)及び遠位先端部(2224)を備える。環状凹部(2222)はゴム製Oリング(2223)又は他の封止装置を受容する。遠位先端部(2224)は一対の流体開口部(2226)及び円錘状凸部(2228)を具備する。流体開口部(2226)はカップラーインサート(2220)を貫いて延在する一対の管内腔部(2227)に対して開いている。管内腔部(2227)は、流体が流体開口部(2226)を介して針カップラー(2240)に送達され得るように供給管(2090、2091)を受容するように概して構成される。円錘状凸部(2228)は、針カップラー(2240)によって受容されて、流体を流体開口部(2226)から針(2030)へと誘導するように構成される。したがって、供給管(2090、2091)のいずれかが、針(2030)を手術部位から取り外す必要なしに流体を針(2030)へと直接誘導するように構成される。したがって、ブレブ流体(340)を患者の網膜下腔に注入することができ、その直後に、針(2030)を取り外す必要なしに治療薬(341)を注入することができる。バルブアクチュエータ(2230)はバルブ本体(2210)に対して回転自在であり、供給管(2090、2091)を選択的に締め付け及び開放し、それにより管(2090、2091)を介して針(2030)に達するブレブ流体(340)及び治療薬(341)の流れを選択的に阻止又は許可する。
【0055】
V.経網膜で接近して治療薬を送達するための例示的器具
いくつかの場合では、ブレブ流体(340)及び治療薬(341)を経硝子体、経網膜で接近して網膜下腔に送達することが望ましい場合がある。例えば、ブレブ流体(340)及び治療薬(341)を経毛様体扁平部経硝子体法(pars plana transvitreal procedure)によって網膜下腔に送達することが望ましい場合がある。網膜下腔に単一回のみ侵入すればいいように、ブレブ流体(340)及び治療薬(341)を只1つの単一の器具の只1つの単一の先端部を用いて、経網膜から接近して網膜下腔に送達することが更に望ましい場合がある。この能力を提供するためには、2つ以上の内腔部を単一の先端部内の単一の内腔部に収束させ、ブレブ流体(340)を一方の内腔部を通して供給し、治療薬(341)をもう一方の内腔部を通して供給することが必要となる場合がある。上述したように、先端ブレブ(340)を網膜下腔に提供することは、網膜と脈絡膜との分離を得て、網膜下腔に対する治療薬(341)のより寛大な侵入門を作るために有益であり得る。
【0056】
図14〜22は、ブレブ流体(340)及び治療薬(341)を、経硝子体、経網膜で接近して、単一の先端部の単一の内腔部を通って網膜下腔に送達するために用いられ得る例示的な器具(3010)を示す。図14で最もよく分かるように、本実施例の器具(3010)は一対のルアー取付部(3095、3096)、流体供給案内部(3092)、ルアー取付部(3095、3096)にそれぞれ流体接続する供給管(3090、3091)、本体(3040)、摺動部(3100)、及び流体送達アセンブリ(3030)を備える。ルアー取付部(3095、3096)は、例えば先端ブレブ(340)流体及び治療流体(341)などの2つの異なる流体の供給源に接続することができる。ルアー取付部(3095、3096)は、終端して流体供給案内部(3092)に収束する管線部(3093、3094)にそれぞれ接続する。本発明の実施例では従来のルアー取付部(3095、3096)が用いられているが、任意の他の好適な種類の取付具を用いてもよい。
【0057】
流体供給案内部(3092)は管線部(3093、3094)を固定した並行関係で一体化する。以下でより詳細に説明する通り、供給管(3090、3091)は流体供給案内部(3092)を退出して本体(3040)に侵入する。流体供給案内部(3092)は管線部(3093)から供給管(3090)に至る、かつ管線部(3094)から供給管(3091)に至る流体連通専用経路を提供する事を理解されたい。流体供給案内部は、管線部(3094)及び供給管(3091)に対応する経路から隔離された管線部(3093)及び供給管(3090)に対応する経路を維持する。ルアー取付部(3095、3096)と結合する流体供給源は、手動(例えば、注射器を用いるなどして)又は自動(例えば、ポンプを用いて)のいずれかで加圧してもよい。続いて、操作者はどちらの流体供給源を加圧して流体(340、341)を対応する供給管(3090、3091)に選択的に注入するかを選択することができる。
【0058】
流体送達アセンブリ(3030)は外側カニューレ(3020)及び内側カニューレ(3031)を備える。外側カニューレ(3020)は本体(3040)に対して固定される。外側カニューレ(3020)は患者の眼(301)内に挿入されるトロカールポート(318)を通過するようにサイズ決め及び構成される。内側カニューレ(3031)は外側カニューレ(3020)及び本体(3040)に対して長手方向に摺動自在である。具体的には、内側カニューレ(3031)は摺動部(3100)によって長手方向に駆動される。
【0059】
図15A〜16Bで最もよく分かるように、摺動部(3100)は本体(3040)と摺動自在に結合する。摺動部(3100)は、図15A及び16Aに示すように近位位置から図15B及び16Bに示すように遠位位置へと並進することが可能である。摺動部(3100)の並進は、内側カニューレ(3031)を、本体(3040)に対して、また外側カニューレ(3020)(図16A〜16Bからは省略されている)に対して並進させる。いくつかの変形では、摺動部(3100)は、最大約10mmの長手方向距離に沿って内側カニューレ(3031)を摺動するように動作可能である。あるいは任意の他の好適な距離を提供してもよい。以下でより詳細に説明するように、内側カニューレ(3031)は供給管(3090、3091)の両方と流体連通する。
【0060】
図16A〜16Bで最もよく分かるように、本体(3040)は摺動部(3100)を部分的に収容し、コネクタ部材(3200)を完全に収容する。図17及び19〜20で最もよく分かるように、摺動部(3100)は近位の環状端部(3110)、流体封止部(3115)、及び流体封止部(3115)の遠位の溝部(3120)を備える。近位の環状端部(3110)は流体チャンバ(3125)を画定する。これも図17及び19〜20で最もよく分かるように、コネクタ部材(3200)は流体チャンバ(3045)、管通路(3215、3220)、及び管通路(3215、3220)の各々の近位端に管侵入通路(3215、3210)を備える。
【0061】
図17〜20で最も良く分かるように、供給管(3090、3091)は本体(3040)の近位開口部(3046)に侵入し、管通路(3215、3220)及び管侵入通路(3215、3210)を通過して、コネクタ部材(3200)の流体チャンバ(3045)で終端する。管侵入通路(3205、3210)は管通路(3215、3220)よりも大きな内径を有して、器具(3010)を組み立て中の供給管(3090、3091)の挿入を容易にする。供給管(3090、3091)が管通路(3215、3220)内にしっかりと保持されるように、管通路(3215、3220)はそれぞれ供給管(3090、3091)との締まりばめを提供するように寸法決めされる。当然ながら、管侵入通路(3205、3210)、管通路(3215、3220)、及び供給管(3090、3091)は、任意の他の好適な寸法関係を有してもよい。更に、供給管(3090、3091)は任意の他の好適な方法でコネクタ部材(3200)に固定されてもよい。
【0062】
摺動部(3100)近位の環状端部(3110)は、コネクタ部材(3200)遠位端との流体密封の締まりばめを提供するように寸法決めされる。このように、コネクタ部材(3200)は摺動部(3100)と共に本体(3040)に対して長手方向に移動する。更に、摺動部(3100)の近位の環状端部(3110)は、コネクタ部材(3200)の流体チャンバ(3045)内に間隙を残すように寸法決めされる。このように、摺動部(3100)の流体チャンバ(3125)はコネクタ部材(3200)の流体チャンバ(3045)と流体連通する。上述し、また図17及び19〜20で最もよく分かるように、供給管(3091)が流体チャンバ(3125)と流体連通するように、供給管(3091)は流体チャンバ(3045)で終端する。
【0063】
図17〜18で最もよく分かるように、管部材(3080)の近位部分は供給管(3090)内に同軸上に位置決めされる。管部材(3080)の近位端(3085)は供給管(3090)の内部側壁と接触して固定された流体密封封止を提供する。こうして、供給管(3090)と連通するすべての流体は、管部材(3080)によって画定された内側内腔部(3081)を通して連通する。本発明の実施例では、管部材(3080)はPEBAX(登録商標)(Arkema(Colombes,France)による)などのポリエーテルブロックアミド材料を含む。しかしながら、任意の他の好適な材料(例えば、ポリイミドなど)を用いてもよいことを理解されたい。更に、本発明の実施例では、管部材(3080)は約0.16mm(0.0064インチ)の内径及び約0.20mm(0.0079インチ)の外径を有する。しかしながら、繰り返すが、任意の他の好適な寸法を用いてもよい。
【0064】
図17及び19〜20で最もよく分かるように、管部材(3080)は供給管(3090)の遠位端を通過して流体チャンバ(3045)内に延在し、ここで管部材(3080)はスリーブ(3130)内に同軸上に受容される。スリーブ(3130)は、スリーブ(3130)の近位端が流体チャンバ(3045)及び流体チャンバ(3125)内に位置決めされるように、流体封止部(3115)から近位方向に延在する。スリーブが摺動部(3100)と共に本体(3040)に対して長手方向に移動するように、スリーブ(3130)は摺動部(3100)の溝部(3120)内にしっかりと配設される。当然ながら、スリーブ(3130)は任意の好適な方法で摺動部(3100)に固定されてもよい。更に、流体封止部(3115)は、液体が溝部(3120)のスリーブ(3130)外径を超えて通ることを防ぐ。
【0065】
図19〜20で最も良く分かるように、間隙(3135)が管部材(3080)の外径とスリーブ(3130)の内径との間で画定されるように、管部材(3080)はスリーブ(3130)の内径よりも十分に小さい外径を有する。この間隙(3135)はスリーブ(3130)を通して流体連通を提供するようにサイズ決めされる。例えば、先端ブレブ(340)流体が供給管(3091)を通して連通する時、先端ブレブ(340)流体は流体チャンバ(3045)を通って間隙(3135)に侵入してから、スリーブ(3130)を通って更に移動する。
【0066】
上記の内容から、供給管(3091)は、間隙(3135)とは流体連通するが内腔部(3081)とは流体連通しないことを理解されたい。間隙(3135)を用いて先端ブレブ(340)と連通することは、スリーブ(3130)内に第2の内側管部材(3080)を通すことと比較して断面積を節約する利点を有し得る。当業者には、間隙(3135)の寸法はスリーブ(3130)の内径から管部材(3080)の外径を差し引くことで決定されることが理解されよう。当業者には、所望の粘度及び流体が耐え得るせん断抵抗に基づいて、最適な流れを提供するようにこれらの寸法を調節することができ、またそうするべきであることが理解されよう。
【0067】
図21で最もよく分かるように、外側カニューレ(3020)は本体(3040)に固定されて、ここから遠位方向に延在する。固定された外側カニューレ(3020)は、管部材(3080)及びスリーブ(3130)が外側カニューレ(3020)の内部で終端するように、管部材(3080)及びスリーブ(3130)の遠位端を更に収容する。外側カニューレ(3020)は、スリーブ(3130)の内径に固定された内側カニューレ(3031)の近位端(3032)を更に収容する。こうして、摺動部(3100)が本体(3040)に対して摺動されるように作動されると、スリーブ(3130)が摺動部(3100)に固定されているという事実のために、スリーブ(3130)も本体(3040)に対して摺動するように更に作動される。それによって、内側カニューレ(3031)がスリーブ(3130)に固定されているという事実のために、内側カニューレ(3031)は本体(3040)に対して摺動するように作動される。その結果、内側カニューレ(3031)は、摺動部(3100)によって本体(3040)に対して摺動するように作動される。
【0068】
本発明の実施例では、内側カニューレ(3031)は38ゲージの寸法(例えば、約0.1mm(0.004インチ)の内径、及び約0.13mm(0.005インチ)の外径)を有する中空である。あるいは、任意の他の好適な寸法が使用され得る。更に本発明の実施例では、内側カニューレ(3031)はポリイミド材料から形成される。これは、ポリイミドの熱硬化性樹脂は正確な小型の管径にキャスティング/成形が可能であり、また、そのポリマーはその他のポリマーよりも比較的硬く、内側カニューレ(3031)の先端部に網膜(308)を穿通して網膜下腔に侵入するのに必要ないくらかのカラム強度を付与するためである。以下でより詳細に説明するように、内側カニューレ(3031)は、先端ブレブ(340)及び治療薬(341)などの流体を網膜下腔に送達するように構成される。
【0069】
図21〜22で最も良く分かるように、管部材(3080)の開放遠位端がスリーブ(3130)内に収容されるように、管部材(3080)はスリーブ(3130)の中間領域内に遠位方向に延在する。換言すれば、内腔部(3081)と間隙(3135)とは管部材(3080)の遠位端で交わって、共同の流体チャンバ(3300)を部分的に画定する。共同の流体チャンバ(3300)は、管部材(3080)に対して遠位方向に延在するスリーブ(3130)の一部、及び内側カニューレ(3031)の近位端(3032)に対して近位方向に延在するスリーブ(3130)の一部の両方によって画定される。共同の流体チャンバ(3300)は、どの流体供給源が加圧されたかに応じて、間隙(3135)からの流体、内腔部(3081)からの流体、又は両方からの流体のいずれかによって充填される。
【0070】
内側カニューレ(3031)の近位端(3032)は、スリーブ(3130)の内径に対して(例えば、接着剤によって)流体封止部を提供するようにスリーブ(3130)に固定される。内側カニューレ(3031)は共同の流体チャンバ(3300)と流体連通する内腔部(3033)を画定する。本発明の実施例では、内側カニューレ(3031)の遠位端は、内側カニューレの遠位縁部が内側カニューレ(3031)の長手方向軸に垂直な平面に沿って延在するように直線切りされている。換言すれば、本発明の実施例では、内側カニューレ(3031)の遠位端は鋭利ではない。それにもかかわらず、内側カニューレ(3031)の直径の小ささ、内側カニューレ(3031)を形成する材料のカラム強度、及び網膜(308)の脆性のために、以下で説明する通り、内側カニューレ(3031)の遠位端の形状が鈍いにも関わらず、内側カニューレ(3031)の遠位端は網膜(308)を穿通することができる。いくつかの他の変形では、内側カニューレ(3031)の遠位端は鋭利であるか、又はその他の何らかの形状を有する。
【0071】
こうして内側カニューレ(3031)は網膜(308)を通過して、供給管(3090、3091)のいずれかから網膜下腔に流体を送達することができる。スリーブ(3130)を内側カニューレ(3031)の流体導管として用いることにより、またスリーブ(3130)を本体(3040)に対して遠位方向に突出させることにより、内側カニューレ(3031)の長さを最小化し得ることを理解されたい。内側カニューレ(3031)の長さを最小化することで、最小の加圧要件及び最小のせん断効果で内側カニューレ(3031)が非常に小さい内径を有する内腔部(3033)(例えば、約0.1mm(0.004インチ))を通して先端ブレブ(340)流体及び治療薬(341)を効果的に連通することが実現可能である。内腔部(3033)中を移動する流体に対する加圧及びせん断効果を最小化することで、治療薬(341)の過敏な生理活性成分が内腔部(3033)を通過する間にダメージを受けるのを防ぐことができる。
【0072】
この方法で器具(3010)を用いる例示的な方法を以下でより詳細に説明する。器具(3010)の変更例を図8A〜10Cに関して上記で説明した手順でも用いてもよいことを更に理解されたい。器具(3010)を変更して使用し得る他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう。
【0073】
VI.経網膜から接近して治療薬を送達するための例示的方法
図23〜24Jは器具(3010)を用いて治療薬(341)を患者の網膜下腔に同側(ipsilaterial)又は経硝子体投与する方法を示す。器具(3010)は図示される本方法の変形で用いられるが、図23〜34Jで示され、以下で詳細に説明する方法を実施するために器具(10、2010)を変更してもよいことを理解されたい。更に、たとえ器具(10、2010)が図8A〜10Cに関して上記で説明したように脈絡膜上から接近して治療薬を網膜下投与する手順で用いられるだけのものである場合でも、器具(10、2010)は上記で説明した器具(3010)の流体連通機構のうちの少なくともいくつかを具備するように容易に変更可能であることも理解されたい。例えば、針(30、2230)は、それを通して内側カニューレ(3031)が先端ブレブ(340)及び治療薬(341)を受容するものと同種の構造体を通して、先端ブレブ(340)及び治療薬(341)を受容することができる。本明細書に記載の教示との入れ替え及び組み合わせが可能なその他の好適な方法は、当業者には明白であろう。
【0074】
図23で分かるように、手順は、操作者が反射鏡(312)及び/又は固定化に好適な任意のその他の器具を用いて患者の眼(301)(例えば、眼瞼)を包囲する組織を固定化することによって開始する。本明細書で固定化は眼(301)を包囲する組織に関して説明されるが、眼(301)自体は自由に移動可能なままであることを理解されたい。一旦、眼(301)を包囲する組織が固定化されれば、瞳孔を通して眼(301)の内部を視察する際の眼球内照明を提供するために眼のシャンデリアポート(314)を眼(301)に挿入する。本発明の実施例では、眼のシャンデリアポート(314)は下内側1/4区内に位置決めされる。更に、硝子体切除ポート(317)を眼(301)に挿入して、標準的な3ポート式経毛様体扁平部コア硝子体切除法(pars plana core vitrectomy)を実施するための接近方法を提供する。本発明の実施例では、硝子体切除ポート(317)は上外側1/4区内に位置決めされる。更に、治療流体(341)を眼(301)の網膜下腔に投与するための装置への接近方法を提供するために、第3のポート(318)を眼(301)に挿入する。本発明の実施例では、第3のポート(318)は上内側1/4区内に位置決めされる。本明細書の教示を考慮すれば、ポート(314、317、318)が取り得る様々な好適な形態が、当業者に明らかになるであろう。
【0075】
図24Aで分かるように、眼のシャンデリアポート(314)は眼(314)の内部に光を誘導して、網膜(308)の少なくとも一部(例えば、黄斑の少なくとも一部を含む)を照明するように位置決めされる。理解されるように、こうした照明は、治療薬(341)の送達標的となる眼(301)の領域に対応する。照明を提供するために光ファイバー(315)がポート(314)に挿入されている。所望により顕微鏡を用いて眼を視覚的に検査して、標的部位に対する眼のシャンデリアポート(314)の適切な位置決めを確認することができる。本明細書における教示を考慮すれば当業者に明らかとなるように、図24Aは眼のシャンデリアポート(314)の特定の位置決めを示しているが、眼のシャンデリアポート(314)は任意の他の位置決めを有してもよいことを理解されたい。更に、従来の硝子体切除器具(400)を硝子体切除ポート(317)に挿入して従来の3ポート式経毛様体扁平部コア硝子体切除手術(pars plana core vitrectomy procedure)を実施する。従来の3ポート式経毛様体扁平部コア硝子体切除手術の完了後、硝子体切除器具(400)を取り除く。
【0076】
従来の3ポート式経毛様体扁平部コア硝子体切除手術が完了する前後で、治療流体(341)を網膜下投与するために器具(3010)を準備してもよい。単に例として、器具(3010)の準備には、ルアー取付部(3095)を治療流体(341)の供給源と結合すること及びルアー取付部(3096)を先端ブレブ(340)流体の供給源と結合することが含まれ得る。次に、流体供給源を加圧して、先端ブレブ流体(340)又は治療流体(341)の滴が内側カニューレ(3031)の遠位端を退出するまで、内側カニューレ(3031)の内腔部(3033)に通じ、かつこれを含む流体連通構成要素をプライミングしてよい。いくつかの場合では、最初に治療流体(341)の供給源を加圧してから、続いて先端ブレブ(340)流体の供給源を加圧する。その他のいくつかの場合では、最初に先端ブレブ(340)流体の供給源を加圧してから、続いて治療流体(341)の供給源を加圧する。その他のいくつかの場合では、ほぼ同時に両方の流体の供給源を加圧する。治療流体(341)が先端ブレブ(340)と混合されるのを防ぐために、場合によっては、先端ブレブ(340)と治療流体(341)との間に空隙ギャップを提供してよいことも更に理解されたい。器具(3010)を先端ブレブ(340)流体、治療流体(341)、及び/又は意図的な空隙ギャップでプライミングし得る様々な好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明白であろう。
【0077】
図24Bに示す通り、器具(3010)をプライミングしてから、外側カニューレ(3020)を第3のポート(318)に挿入する。外側カニューレ(3020)が第3のポート(318)に挿入されている時は、摺動部(3100)は図15A及び16Aに示すように近位位置にあるため、内側カニューレ(3031)の遠位端は外側カニューレ(3020)の内部に位置決めされる。外側カニューレ(3020)の遠位端が網膜(308)の内部に隣接して位置決めされる点まで外側カニューレ(3020)を挿入する。
【0078】
一旦外側カニューレ(3020)の遠位端が網膜(308)の内部に隣接して位置決めされれば、内側カニューレ(3031)の遠位端が固定された外側カニューレ(3020)の遠位端から露出するように、摺動部(3100)を遠位方向に摺動させる。こうして内側カニューレ(3031)が網膜(308)を貫通して、図24Cに示すように網膜下侵入点(339)を画定する。
【0079】
一旦内側カニューレ(3031)の遠位端が網膜下侵入点(339)を介して網膜下腔内の第1の位置に位置決めされると、先端ブレブ(430)流体の流体供給源を加圧する。この加圧が内側カニューレ(3031)の内腔部(3033)を通る流体を駆動して、図24Dに示すように網膜下腔内の網膜(308)と脈絡膜(306)との間に先端ブレブ(340)を形成する。
【0080】
一旦先端ブレブ(340)が網膜下腔内の第1の位置に形成されると、摺動部(3100)を作動させることで、図24E〜24Fに示すように内側カニューレ(3031)が冠状面に沿って下方向、かつ矢状面に沿って後方向に前進するように、内側カニューレ(3031)を更に遠位方向に前進させる。具体的には、内側カニューレ(3031)は最初に先端ブレブ(340)と脈絡膜(306)との間を移動し(図24E)、続いて先端ブレブ(340)を通過して網膜(308)と脈絡膜(306)との間の空間内に移動する(図24F)。こうして、内側カニューレ(3031)のこの前進によって、網膜(308)と脈絡膜(306)との間に経路(342)が画定される。
【0081】
一旦内側カニューレ(3031)が経路(342)の末端部の網膜下腔内の第2の位置に到達すると、図24Fに示すように、治療薬(341)の流体供給源を加圧して、内側カニューレ(3031)の内腔部(3033)を通して遠位方向に治療薬(341)を駆動することで治療薬(341)を網膜下区域内に注入する。
【0082】
一旦適量の治療流体(341)が第2の位置に送達されたら、図24Gに示すように摺動部(3100)を近位方向に引き戻すことで内側カニューレ(3031)を第1の位置へと引き戻す。内側カニューレ(3031)が経路(342)から引き戻される間に、第2の位置における治療流体(341)の密封を助けるために、先端ブレブ(340)流体を再度加圧して先端ブレブ(340)流体を経路(342)内に放出してもよい。
【0083】
一旦内側カニューレ(3031)が図24Gに示すように経路(342)から引き戻されたら、内側カニューレ(3031)内の供給管(3090、3091)のうちのいずれかを通して負圧を生じさせ、図24Hに示すように先端ブレブ(340)を吸引してもよい。任意選択的に、単独のフレックスチップインサータ(flextip inserter)(MedOne)を用いるなど、当該技術分野で既知の他の手段によって負圧を生じさせて先端ブレブ(340)を吸引してもよい。器具(3010)を眼(301)から取り除いた後で、単独のフレックスチップインサータ又は他の従来の器具を挿入してもよい。先端ブレブ(340)を吸引することに加えて又はその代わりに、空気又はその他の流体を用いて網膜下腔内のブレブ(340)を効果的にタンポナーデしてもよい。
【0084】
先端ブレブ(340)が吸引又はタンポナーデされたら、図24Iに示すように器具(3010)を第3のポート(318)から取り除く。その後、図24Jに示すように、続いてレーザー網膜復位術器具(500)を第3のポート(318)に挿入して、レーザー網膜復位術器具(500)を用いて網膜下侵入点(339)を封止する。あるいは、任意の他の好適な器具又は技術を用いて網膜下侵入点(339)を封止してもよい。
【0085】
上記の内容から、第1の流体(例えば、先端ブレブ(340)流体)を送達する行為と第2の流体(例えば、治療薬(341))を送達する行為との間に内側カニューレ(3031)を網膜下腔から引き出すことなく、器具(3010)を用いて2つの異なる種類の流体(例えば、先端ブレブ(340)流体及び治療薬(341))を網膜下腔に送達することができることを理解されたい。
【0086】
VII.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することが可能な多種多様な非網羅的方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願の後続出願で随時提示され得るいかなる特許請求の範囲も限定することを意図していないことを理解されたい。いかなる権利放棄も意図されていない。以下の実施例は単に例示を目的に提供される。本明細書の多種多様な教示は、多くの他の方法で改変及び適用が可能であると考えられる。一部の変形が以下の実施例に記載される特定の特徴を省略する場合があることも考えられる。したがって、以下に記載される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らと利害関係にある承継人によって後日別途明確に指示されない限りは不可欠であると見なすべきではない。いかなる特許請求の範囲が本出願、又は以下に記載される特徴の範囲を超えた更なる特徴を含む本出願の関連後続出願で提示された場合においても、これらの更なる特徴が特許性に関するいかなる理由によっても追加されたとみなされないものとする。
【実施例】
【0087】
(実施例1)
(a)第1の流体導管と、(b)第2の流体導管と、(c)コネクタ部材であって、(i)第1の通路であって、第1の流体導管の一部が第1の通路の内部に位置決めされている、第1の通路と、(ii)第2の通路であって、第2の導管の一部が第2の通路の内部に位置決めされている、第2の通路と、を備える、コネクタ部材と、(d)第1の管状部材であって、第1の管状部材が第1の管状部材内腔部を画定する、第1の管状部材と、(e)第2の管状部材であって、第2の管状部材の少なくとも一部が第1の管状部材内腔部内に位置決めされ、また第2の管状部材が第2の管状部材内腔部を画定する、第2の管状部材と、(f)内側カニューレであって、内側カニューレの近位部分が第1の管状部材内腔部内にしっかりと固定され、内側カニューレが内側カニューレ内腔部を画定し、内側カニューレ内腔部が第1の管状部材内腔部及び第2の管状部材内腔部を通して第1及び第2の流体導管と流体連通する、内側カニューレと、を備える、装置。
【0088】
(実施例2)
本体を更に備え、第1及び第2の流体導管が本体から近位方向に延在し、内側カニューレが本体に対して遠位方向に延在する、実施例1に記載の装置。
【0089】
(実施例3)
内側カニューレが本体に対して長手方向に並進するように動作可能である、実施例2に記載の装置。
【0090】
(実施例4)
第1の管状部材及び第2の管状部材が内側カニューレと共に本体に対して並進するように動作可能であるように、第1の管状部材及び第2の管状部材が内側カニューレに対してしっかりと固定されている、実施例3に記載の装置。
【0091】
(実施例5)
内側カニューレと結合した摺動部を更に備え、摺動部が本体に対して摺動自在であり、それによって内側カニューレを本体に対して長手方向に並進させる、実施例3又は4に記載の装置。
【0092】
(実施例6)
外側カニューレを更に備え、外側カニューレが本体にしっかりと固定され、外側カニューレが本体から遠位方向に延在し、外側カニューレの一部が第1の管状部材の一部の周りに位置決めされている、実施例2〜5のいずれか一つに記載の装置。
【0093】
(実施例7)
第2の管状部材内腔部が第1の流体導管と流体連通するように、第2の管状部材の近位部分が第1の流体導管の遠位部分内に位置決めされている、実施例1〜7のいずれか一つに記載の装置。
【0094】
(実施例8)
第2の管状部材の近位部分が第1の流体導管にしっかりと固定されている、実施例7に記載の装置。
【0095】
(実施例9)
第2の管状部材の遠位部分が第1の管状部材の中間領域で終端する、実施例8に記載の装置。
【0096】
(実施例10)
第2の管状部材及び第1の管状部材が、第2の管状部材の外径と第1の管状部材の内径との間に間隙を画定するようにサイズ決めされ、間隙が第2の流体導管と流体連通する、実施例1〜9のいずれか一つに記載の装置。
【0097】
(実施例11)
第1の管状部材の中間領域の第1の管状部材内腔部が、(i)第2の管状部材内腔部を通した第1の流体導管からの流体と、(ii)間隙を通した第2の流体導管からの流体と、の両方を受容するように構成されるように、第2の管状部材の遠位部分が該中間領域で終端する、実施例10に記載の装置。
【0098】
(実施例12)
第2の管状部材が第1の管状部材の中間領域に位置決めされた遠位端を有し、内側カニューレが第1の管状部材の中間領域に位置決めされた近位端を有し、内側カニューレの近位端が第2の管状部材の遠位端から遠位方向に離間配置されている、実施例1〜11のいずれか一つに記載の装置。
【0099】
(実施例13)
第1の管状部材、第2の管状部材、及び内側カニューレの全てが同軸上に互いに位置合わせされている、実施例1〜12のいずれか一つに記載の装置。
【0100】
(実施例14)
内側カニューレが可撓性である、実施例1〜13のいずれか一つに記載の装置。
【0101】
(実施例15)
内側カニューレがポリエーテルブロックアミド又はポリイミドを含む、実施例1〜14のいずれか一つに記載の装置。
【0102】
(実施例16)
装置であって、(a)第1の軸に沿って延在する第1の流体導管と、(b)第2の軸に沿って延在する第2の流体導管であって、第2の軸が第1の軸からオフセットされている、第2の流体導管と、(C)第1の軸に沿って延在する第1の細長い部材であって、第1の流体の細長い部材が遠位端、近位端、及び外側表面を有し、第1の細長い部材が第1の内腔部を画定し、第1の内腔部が第1の流体導管と流体連通するように第1の細長い部材の近位端が第1の流体導管内に位置決めされている、第1の細長い部材と、(d)第1の軸に沿って延在する第2の細長い部材であって、第2の細長い部材が内側表面によって境界をつけられた第2の内腔部を画定し、第1の細長い部材の遠位端が第2の内腔部内に位置決めされ、第1の細長い部材の外側表面及び第2の細長い部材の内側表面が共に、第2の流体導管と流体連通する間隙を画定する、第2の細長い部材と、(e)第1の軸に沿って延在する第3の細長い部材であって、第3の細長い部材が第2の細長い部材内に位置決めされる近位端を有し、第3の細長い部材が第3の内腔部を画定し、第3の細長い部材の近位端が第2の内腔部内の第2の細長い部材の遠位端に対して遠位の位置に位置決めされ、第3の内腔部が第1及び第2の流体導管とそれぞれ第1の内腔部及び間隙を通して流体連通する、第3の細長い部材と、備える装置。
【0103】
(実施例17)
患者の眼に治療薬を送達する方法であって、眼が硝子体と、網膜と、網膜下領域と、を有し、方法が、(a)眼内にポートを挿入する工程と、(b)ポートを介して眼の硝子体内に器具の一部を挿入する工程と、(c)眼の網膜を通して器具の内側カニューレ部材を前進させて、内側カニューレ部材の遠位先端部を眼の網膜下領域の第1の位置に位置決めする工程と、(d)内側カニューレ部材を通して第1の流体を眼の網膜下領域の第1の位置に連通させる工程と、(e)内側カニューレ部材を更に遠位方向に前進させて遠位先端部を眼の網膜下領域の第2の位置に位置決めする工程と、(f)内側カニューレ部材を通して第2の流体を眼の網膜下領域の第2の位置に連通させる工程と、を含み、第1の流体を眼の網膜下領域の第1の位置に連通させる行為、及び第2の流体を眼の網膜下領域の第2の位置に連通させる行為が、第1の流体を眼の網膜下領域の第1の位置に連通させる行為と、第2の流体を眼の網膜下領域の第2の位置に連通させる行為と、の間に網膜下領域から内側カニューレを取り除くことなしに実施される、方法。
【0104】
(実施例18)
第1の流体が生物学的に不活性なブレブ流体を含む、実施例17に記載の方法。
【0105】
(実施例19)
第2の流体が生物学的に活性な治療薬を含む、実施例18に記載の方法。
【0106】
(実施例20)
第2の流体を網膜下領域の第2の位置に連通させた後で第1の流体の少なくとも一部を網膜下領域の第1の位置から吸引する工程を更に含む、実施例17、18、又は19に記載の方法。
【0107】
VIII.その他
明細書に記載される器具のいずれの変形も、本明細書で上述されるものに加えて、又はそれらの代わりに、様々な他の特徴を含み得ることを理解されたい。あくまで一例として、本明細書で説明する装置のどれでも、参照により本明細書に援用される様々な参考文献のいずれかで開示されている様々な機構の1つ又は2つ以上を含むこともできる。
【0108】
本明細書で説明した教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上を、本明細書で説明される他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができることが理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して分離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、本明細書の教示に照らして当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0109】
参照により本明細書に援用されると述べられた任意の特許、刊行物、又は他の開示資料は、部分的に又は全体的に、その援用された資料が既存の定義、記載内容、又は本開示に示した他の開示資料と矛盾しない範囲で本明細書に援用されることを理解されたい。そのため、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に援用されるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に援用されるとされるが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示資料と矛盾する任意の資料、又はそれらの部分は、援用される資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ援用されるものとする。
【0110】
上述の変形例は、1回の使用後に廃棄されるように設計されてもよく、あるいは、それらは、複数回使用されるように設計されることもできる。いずれか一方の場合であれ、両方の場合であれ、各形態は、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整を行うことができる。かかる再調整には、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、並びにその後の再組み立て工程の任意の組み合わせが含まれ得る。特に、装置の特定の形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部材又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換するか取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置のいくつかの変形例は、再調整用の施設で、又は手術の直前にオペレータによって、その後の使用のために再組み立てされてもよい。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を使用できる点は認識するであろう。このような技術、及び結果として得られる再調整された装置の使用は、全て本発明の範囲内にある。
【0111】
単なる例として、本明細書に記載される各形態は、手術の前及び/又は後で滅菌されてもよい。1つの滅菌法では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなどの閉鎖かつ密封された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過する放射線場に置くことができる。かかる放射線は、装置の表面及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器中で保管することができる。装置はまた、限定されるものではないが、β若しくはγ放射線、エチレンオキシド、又は水蒸気を含め、当該技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0112】
以上、本発明の様々な実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のいくつかについて述べたが、その他の改変も当業者には明らかとなろう。例えば、上記で考察した実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであって必須のものではない。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示、説明した構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0113】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)第1の流体導管と、
(b)第2の流体導管と、
(c)コネクタ部材であって、
(i)第1の通路であって、前記第1の流体導管の一部が前記第1の通路の内部に位置決めされている、第1の通路と、
(ii)第2の通路であって、前記第2の導管の一部が前記第2の通路の内部に位置決めされている、第2の通路と、を備える、コネクタ部材と、
(d)第1の管状部材であって、前記第1の管状部材が第1の管状部材内腔部を画定する、第1の管状部材と、
(e)第2の管状部材であって、前記第2の管状部材の少なくとも一部が前記第1の管状部材内腔部内に位置決めされ、また前記第2の管状部材が第2の管状部材内腔部を画定する、第2の管状部材と、
(f)内側カニューレであって、前記内側カニューレの近位部分が前記第1の管状部材内腔部内にしっかりと固定され、前記内側カニューレが内側カニューレ内腔部を画定し、前記内側カニューレ内腔部が前記第1の管状部材内腔部及び前記第2の管状部材内腔部を通して前記第1及び第2の流体導管と流体連通する、内側カニューレと、を備える、装置。
(2) 本体を更に備え、前記第1及び第2の流体導管が前記本体から近位方向に延在し、前記内側カニューレが前記本体に対して遠位方向に延在する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記内側カニューレが前記本体に対して長手方向に並進するように動作可能である、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記第1の管状部材及び前記第2の管状部材が前記内側カニューレと共に前記本体に対して並進するように動作可能であるように、前記第1の管状部材及び前記第2の管状部材が前記内側カニューレに対してしっかりと固定されている、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記内側カニューレと結合した摺動部を更に備え、前記摺動部が前記本体に対して摺動自在であり、それによって前記内側カニューレを前記本体に対して長手方向に並進させる、実施態様3に記載の装置。
【0114】
(6) 外側カニューレを更に備え、前記外側カニューレが前記本体にしっかりと固定され、前記外側カニューレが前記本体から遠位方向に延在し、前記外側カニューレの一部が前記第1の管状部材の一部の周りに位置決めされている、実施態様2に記載の装置。
(7) 前記第2の管状部材内腔部が前記第1の流体導管と流体連通するように、前記第2の管状部材の近位部分が前記第1の流体導管の遠位部分内に位置決めされている、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記第2の管状部材の前記近位部分が前記第1の流体導管にしっかりと固定されている、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記第2の管状部材の遠位部分が前記第1の管状部材の中間領域で終端する、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記第2の管状部材及び前記第1の管状部材が、前記第2の管状部材の外径と前記第1の管状部材の内径との間に間隙を画定するようにサイズ決めされ、前記間隙が前記第2の流体導管と流体連通する、実施態様1に記載の装置。
【0115】
(11) 前記第1の管状部材の中間領域の前記第1の管状部材内腔部が、
(i)前記第2の管状部材内腔部を通した前記第1の流体導管からの流体と、
(ii)前記間隙を通した前記第2の流体導管からの流体と、の両方を受容するように構成されるように、前記第2の管状部材の遠位部分が前記中間領域で終端する、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記第2の管状部材が前記第1の管状部材の中間領域に位置決めされた遠位端を有し、前記内側カニューレが前記第1の管状部材の前記中間領域に位置決めされた近位端を有し、前記内側カニューレの前記近位端が前記第2の管状部材の前記遠位端から遠位方向に離間配置されている、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記第1の管状部材、前記第2の管状部材、及び前記内側カニューレの全てが同軸上に互いに位置合わせされている、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記内側カニューレが可撓性である、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記内側カニューレがポリエーテルブロックアミド又はポリイミドを含む、実施態様1に記載の装置。
【0116】
(16) 装置であって、
(a)第1の軸に沿って延在する第1の流体導管と、
(b)第2の軸に沿って延在する第2の流体導管であって、前記第2の軸が前記第1の軸からオフセットされている、第2の流体導管と、
(c)前記第1の軸に沿って延在する第1の細長い部材であって、前記第1の流体の細長い部材が遠位端、近位端、及び外側表面を有し、前記第1の細長い部材が第1の内腔部を画定し、前記第1の内腔部が前記第1の流体導管と流体連通するように前記第1の細長い部材の前記近位端が前記第1の流体導管内に位置決めされている、第1の細長い部材と、
(d)前記第1の軸に沿って延在する第2の細長い部材であって、前記第2の細長い部材が内側表面によって境界をつけられた第2の内腔部を画定し、前記第1の細長い部材の前記遠位端が前記第2の内腔部内に位置決めされ、前記第1の細長い部材の前記外側表面及び前記第2の細長い部材の前記内側表面が共に、前記第2の流体導管と流体連通する間隙を画定する、第2の細長い部材と、
(e)前記第1の軸に沿って延在する第3の細長い部材であって、前記第3の細長い部材が前記第2の細長い部材内に位置決めされる近位端を有し、前記第3の細長い部材が第3の内腔部を画定し、前記第3の細長い部材の前記近位端が前記第2の内腔部内の前記第2の細長い部材の前記遠位端に対して遠位の位置に位置決めされ、前記第3の内腔部が前記第1及び第2の流体導管とそれぞれ前記第1の内腔部及び前記間隙を通して流体連通する、第3の細長い部材と、を備える、装置。
(17) 患者の眼に治療薬を送達する方法であって、前記眼が硝子体と、網膜と、網膜下領域と、を有し、前記方法が、
(a)前記眼内にポートを挿入する工程と、
(b)前記ポートを介して前記眼の前記硝子体内に器具の一部を挿入する工程と、
(c)前記眼の前記網膜を通して前記器具の内側カニューレ部材を前進させて、前記内側カニューレ部材の遠位先端部を前記眼の前記網膜下領域の第1の位置に位置決めする工程と、
(d)前記内側カニューレ部材を通して第1の流体を前記眼の前記網膜下領域の前記第1の位置に連通させる工程と、
(e)前記内側カニューレ部材を更に遠位方向に前進させて前記遠位先端部を前記眼の前記網膜下領域の第2の位置に位置決めする工程と、
(f)前記内側カニューレ部材を通して第2の流体を前記眼の前記網膜下領域の前記第2の位置に連通させる工程と、を含み、
前記第1の流体を前記眼の前記網膜下領域の前記第1の位置に連通させる行為、及び前記第2の流体を前記眼の前記網膜下領域の前記第2の位置に連通させる行為が、前記第1の流体を前記眼の前記網膜下領域の前記第1の位置に連通させる行為と、前記第2の流体を前記網膜下領域の前記第2の位置に連通させる行為と、の間に前記網膜下領域から前記内側カニューレを取り除くことなしに実施される、方法。
(18) 前記第1の流体が生物学的に不活性なブレブ流体を含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記第2の流体が生物学的に活性な治療薬を含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記第2の流体を前記網膜下領域の前記第2の位置に連通させた後で前記第1の流体の少なくとも一部を前記網膜下領域の前記第1の位置から吸引する工程を更に含む、実施態様17に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図24G
図24H
図24I
図24J