特許第6563489号(P6563489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563489加熱ユニットを有するステレオリソグラフィデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563489
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】加熱ユニットを有するステレオリソグラフィデバイス
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/295 20170101AFI20190808BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20190808BHJP
   B29C 64/255 20170101ALI20190808BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20190808BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20190808BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20190808BHJP
   B33Y 40/00 20150101ALI20190808BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B29C64/295
   B29C64/106
   B29C64/255
   B29C64/264
   B29C64/245
   B29C64/393
   B33Y40/00
   G03F7/20 501
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-519243(P2017-519243)
(86)(22)【出願日】2015年10月15日
(65)【公表番号】特表2017-538142(P2017-538142A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2015073924
(87)【国際公開番号】WO2016078838
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2018年7月25日
(31)【優先権主張番号】14193953.8
(32)【優先日】2014年11月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501151539
【氏名又は名称】イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
(73)【特許権者】
【識別番号】509213990
【氏名又は名称】テクニッシュ ユニべルシタット ウィーン
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】エーベルト, イエルク
(72)【発明者】
【氏名】グマイナー, ロベルト
【審査官】 北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05545367(US,A)
【文献】 特開平02−178022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステレオリソグラフィデバイスであって、前記ステレオリソグラフィデバイスは、
流動性の光重合性材料を収容するための槽(2)であって、前記槽は、少なくとも光領域内に透明槽底部(3)を有し、前記露光領域は、露光のために提供される、槽と、
前記槽の下方に配置されている露光ユニット(8)であって、前記露光ユニットは、前記露光領域の内側でその都度形成される層のために、所定の輪郭を有する表面を露光する、露光ユニットと、
前記槽底部の上方において昇降ユニット(6)に吊るされている構築プラットフォーム(4)であって、露光によって硬化させられた第1の層が、前記構築プラットフォームに吊るされて形成されることになる、構築プラットフォームと、
制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記露光ユニットを用いて、各々が所定の輪郭を有する連続的な露光を生じさせることと、さらなる層の露光後、その都度、前記槽底部の上方において前記構築プラットフォームの位置を連続的に適合させることとを行うように構成されている、制御ユニットと、
前記槽内の光重合性材料を加熱するための加熱ユニットと
を有し、
前記ステレオリソグラフィデバイスは、
前記加熱ユニットが電性層(33)を有、前記電性層、前記槽底部の上方において少なくとも前記露光領域の面積全体を被覆し、前記電性層、前記露光領域の外側において、前記電性層の両側に、前記両側にわたって延長された電気接点(20)を提供されており、前記電気接点、前記露光領域内の前記槽底部の上方における光重合性材料の面積全体の前記電性層を通る電流の流動による加熱を可能にするために、制御式電気供給源に接続されており、前記導電性層が、透明である
ことを特徴とする、ステレオリソグラフィデバイス。
【請求項2】
前記導電性(33)は、担体フィルム(35)としての透明プラスチックフィルムに適用されており、そして、前記透明プラスチックフィルムは、前記槽底部の上方に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のステレオリソグラフィデバイス。
【請求項3】
前記槽底部は、透明プラスチック担体フィルムによって、前記露光領域内に形成され、前記透明プラスチック担体フィルムの上方に前記導電性層があることを特徴とする、請求項1に記載のステレオリソグラフィデバイス。
【請求項4】
最初に、透明シリコーン層(32)が前記槽底部(3)の上方に適用され、前記導電性層(33)が前記透明シリコーン層の上方に適用され、透明プラスチック保護フィルム(37)が前記導電性層の上方に適用されることにより前記導電性を被覆することを特徴とする、請求項1または2に記載のステレオリソグラフィデバイス。
【請求項5】
前記導電性層(33)は、前記槽底部(3)の上方にあり、前記導電性層の上方に、透明シリコーン層(32)が配置され、前記透明シリコーン層は、最後に、被覆のために前記透明シリコーン層の上方に配置されている透明プラスチック保護フィルム(37)によって被覆されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のステレオリソグラフィデバイス。
【請求項6】
温度センサが、前記導電性層(33)と熱伝導接触するように前記導電性層上に配置され、このセンサは、コントローラに接続され、前記コントローラは、所望の温度または所望の時系列温度曲線が前記槽底部の上方の前記導電性の領域内で生じさせられるように、前記導電性を通る電流の流動を制御するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のステレオリソグラフィデバイス。
【請求項7】
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロペンに基づくコポリマーから作製されるフィルムが、前記導電性のためのプラスチック担体フィルム(35)であることを特徴とする、請求項2または3に記載のステレオリソグラフィデバイス。
【請求項8】
前記透明プラスチック保護フィルム(37)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロペンに基づくコポリマーから作製されるフィルムであることを特徴とする、請求項4または5に記載のステレオリソグラフィデバイス。
【請求項9】
前記導電性層の材料は、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素でドープされた酸化スズ(SnO2:F)、アルミニウムでドープされた酸化スズ(nO2:Al)、アルミニウム酸化亜鉛(AZO)、アンチモンでドープされた酸化スズ(SnO2:Sb)、グラフェンもしくは他の導電性炭素化合物、導電性ポリマー、または好適な金属化合物を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のステレオリソグラフィデバイス。
【請求項10】
前記導電性は、それが1〜1000Ω/□の範囲内のシート抵抗を有するように実装されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のステレオリソグラフィデバイス。
【請求項11】
電気加熱ユニットも、前記露光領域の外側の領域において前記槽底部上に提供されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のステレオリソグラフィデバイス。
【請求項12】
前記導電性(33)は、前記槽底部(3)の上方において前記露光領域を越えて延びていることを特徴とする、請求項11に記載のステレオリソグラフィデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステレオリソグラフィデバイスに関し、ステレオリソグラフィデバイスは、流動性の光重合性材料を収容するための槽であって、槽は、少なくとも露光のために提供される露光領域内に透明槽底部を有する、槽と、露光領域内に形成されるそれぞれの層のために規定された輪郭を有する表面を露光するために、槽の下に配置されている露光ユニットと、昇降ユニット上にあり、槽底部の上方に吊るされ、露光によって硬化させられた第1の層がそれに吊るされて形成されることになる構築プラットフォームと、制御ユニットであって、制御ユニットは、露光ユニットによって、各々が所定の輪郭を有する連続的な露光を生じさせ、さらなる層の露光後、その都度、槽底部の上方の構築プラットフォームの位置を連続的に適合させるように構成されている、制御ユニットと、槽内の光重合性材料を加熱するための加熱ユニットとを有する。
【背景技術】
【0002】
ステレオリソグラフィデバイスは、例えば、WO2010/045950A1(特許文献1)から公知であり、それは、特に、液体光重合性材料からの歯科修復物の積層に関する。公知のステレオリソグラフィデバイスでは、構築プラットフォームは、光透過性として実装される槽底部の上方で垂直に移動可能であるように搭載される。露光ユニットが、槽底部の下方に位置する。構築プラットフォームは、最初に、光重合性材料から作製される所望の層厚を有する層のみ、構築プラットフォームと槽底部との間に留まるように十分に、流動性の光重合性材料が充填された槽の中に降下させられる。続いて、所定の輪郭を有するこの層は、露光ユニットによって露光領域内で露光され、したがって、硬化させられる。構築プラットフォームが上昇させられた後、光重合性材料は、構築プラットフォームの下方の露光領域の中に再導入され、これは、任意のタイプの分配デバイス、例えば、スクイージーブレードによって行われることができ、分配デバイスは、光重合性材料を露光領域の中に押し出し、それをその中で平滑にするために、それに関して槽底部の上方に定義された距離において移動させられる。層厚の後続画定は、説明されたように、構築プラットフォームを再導入された光重合性材料の中に降下させることによって行われ、過剰な光重合性材料は、槽底部内の最後に形成された層の下側間の中間空間から取り除かれる。成型体のこの生成的層毎の製造中、各々が制御ユニット内に記憶された所定の輪郭を有する層は、各々が所定の輪郭を有する層の連続した硬化によって所望の形状を有する成型体が生産されるまで、連続的に露光および硬化させられる。
【0003】
露光ユニットは、光源を有し、それは、結像ユニット上に光を方向付け、それは、例えば、マイクロミラーのマトリクスによって形成され、それは、制御ユニットによって選択的にアクティブ化可能であり、それによって、露光領域内の各画像要素は、関連付けられたマイクロミラーの対応する制御によって選択的に露光されることができる。全マイクロミラーがアクティブ化される場合、露光領域全体が、露光される。代替として、光源の光は、いわゆる「デジタル光弁」、例えば、LCDマトリクス上に向かわせられることができ、LCDマトリクスの個々の画像要素は、個々にアクティブ化され、各画像要素に対して、光の通過を個々に有効化するか、または遮断する。各画像要素の露光強度はまた、例えば、パルス幅変調によって、間隔を空けて、個々の画像要素を開閉することによって制御されることができる。
【0004】
流動性の光重合性材料を受け取るための槽の底部は、例えば、ガラス板によって、少なくとも、露光領域内において透明として実装される。本願の意味における透明とは、槽底部が、電磁放射の大部分を露光動作に関連する波長領域において通過させることを意味する。しかしながら、この場合、電磁放射の強度の減衰がもちろん生じ得、この減衰が露光強度および露光持続時間の選択に考慮される場合、減衰が補償され、光重合性材料から作製されるそれぞれの画定された層のより均一な可能な硬化が生じさせられる。
【0005】
最後に形成された層の下側が再導入された光重合性材料内に浸漬され、槽底部までの最後に形成された層の下側の距離を設定するように、構築プラットフォームを降下させることによる層厚の画定は、硬化させられることになる次の層の層厚の非常に精密な設定を可能にする。層厚は、典型的には、用途に応じて、10μm〜100μmの範囲内である。層厚の精密な設定能力の利点は、これに付随する、構築プラットフォームの下の露光ユニットを槽底部の下方に配置する必要があるという必要性の不利点に優る。
【0006】
多くの用途では、光重合性材料は、高粘度を有し、それは、特に、歯科修復物の生成において特に着目される、セラミック粉末、いわゆるスラリーで充填された光重合性材料が構築材料として使用される場合に当てはまる。光重合性材料の増加した粘度は、流動能力が材料の粘度の増加に伴って低下するので、材料補充物を露光領域の中に再導入することをより困難にし得る。さらに、その上に最後に形成された層を有する構築プラットフォームの降下は、過剰な光重合性材料が中間空間から取り除かれなければならないので、次の層の層厚を画定するために大量の力を要求し得る。
【0007】
これに関連して、粘性光重合性材料の流動性が加熱によって改善されることができることは、公知である。請求項1のプレアンブルに記載のステレオリソグラフィデバイスを説明する、US5,545,367B1号(特許文献2)では、槽が、槽内に位置する光重合性材料の流動性を改善するために、加熱ユニットを具備することが提案されている。この目的のために、槽が加熱ユニットで覆われること、加熱コイルが光重合性材料中に浸漬されること、赤外線灯もしくはマイクロ波が槽内の材料上に向かわせられること、または槽が全体として炉内に置かれることが提案される。
【0008】
露光が透明槽底部を通して下から生じる、このようなステレオリソグラフィデバイスの場合、難点の1つは、加熱ユニットが露光領域内の露光に干渉することができないこと、すなわち、加熱ユニットが、そうでなければ、露光が構築プラットフォームの下方の露光領域内で干渉されるであろうため、実際には、露光領域の外側においてのみ光重合性材料に作用し得ることである。しかしながら、露光領域の中への加熱材料の熱伝導および伝達によって行われる、間接加熱は、あまり効果的ではなく、露光領域内の光重合性材料の定義された設定可能温度を可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2010/045950号
【特許文献2】米国特許第5,545,367号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、槽底部を通した露光を有し、露光領域内の光重合性材料の効果的かつ均一な加熱が可能となるように、加熱ユニットを有する、ステレオリソグラフィデバイスを実装することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特許請求項1の特徴を有するステレオリソグラフィデバイスが、この目的を達成するために使用される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に規定される。
【0012】
本発明によると、槽底部の上方に配置され、少なくとも、露光領域の面積全体を被覆する、導電性かつ透明な層を有し、層の両側の露光領域の外側に、両側の上方に延長された電気接点を提供される、加熱ユニットが、提供される。電気接点は、露光領域内の光重合性材料の面積全体にわたる加熱が、層全体を通した電流の流動を用いて可能となるように、制御式電気供給源に接続される。導電性透明層は、好ましくは、均質層厚を有し、加熱電力の均質分配を確実にする。
【0013】
加熱ユニットが次に実装される層の材料に作用する、露光領域内の光重合性材料の面積全体にわたる加熱に起因して、光重合性材料の非常に効果的加熱が、この場合、露光が干渉されずに、材料の処理が生じる領域内で精密に達成される。伝導性層の透明性は、ここでは、槽底部の場合におけるように、また、露光のために使用される電磁放射の全てにおいて減衰が層内で生じないことを必ずしも意味しない。ある減衰は、露光強度および露光持続時間の設定に考慮される場合、確実に提供され得る。基本的に、透明性は、露光領域内の場所の関数としても変動し得、これは、露光の強度の場所依存設定によって、補償のために考慮されなければならない。
【0014】
電気接触は、縁側面に重複する対向する接点によって、これらの2つの対向する縁側面上で行われる。例えば、上から見ると正方形または長方形である、層の2つの対向する縁片の各々は、いずれの場合も、電力回路の電気線がつながり、電気供給源もまた、提供される、銅から作製される薄い伝導性片によって被覆されていることができる。薄い対向する銅片は、したがって、対向する縁領域における導電性層上に直接かつ平坦に置かれ、その幅全体において、それに電気エネルギーを均質に供給することができる。
【0015】
特に、露光領域内の光重合性材料の加熱およびこれに付随する材料の粘度の低減を用いて、構築プラットフォームは、この場合に生じる、過度に大きな力を要求する、最後に選択された層の下側と槽底部との間の中間空間からの材料の取り除きを伴わずに、光重合性材料の所望の層厚を画定可能となるために、その上に形成される最後の層の下側とともに、材料の中に降下させられることができる。構築プラットフォームを光重合性材料に向かって降下させることによる有利な層厚の画定は、したがって、降下させることによる層画定の間、材料を中間空間から取り除くために、構築プラットフォームおよびその上にすでに形成された層に、取り扱いが困難である、過度に大きな力を与える必要なく、粘性材料の場合にも実施されることができる。
【0016】
好ましい実施形態では、導電性透明層は、担体フィルムとしての透明プラスチックフィルムに適用され、これは、順に、槽底部の上方に配置される。この場合、プラスチック担体フィルムは、プラスチック担体フィルムが槽底部に向かって面し、電気層がそこから離れるように面するように、またはその逆、すなわち、透明プラスチック担体フィルムが導電性層の上方にあり、次いで、槽底部に向かって面するように、導電性層とともに配置されることができる。
【0017】
代替実施形態では、プラスチック担体フィルムは、槽底部の機能を担う、すなわち、槽は、露光領域内の底部が開放しており、この開口部は、槽底部を形成するプラスチック担体フィルムによって閉鎖され、それは、順に、導電性層と、可能性として、シリコーン層およびプラスチック保護フィルム等のさらなる層とをその上に支持する。
【0018】
導電性透明層は、槽底部の上方の複数の層の複合に配置されることができる。例えば、最初に、透明シリコーン層が、槽底部の上方に適用されることができ、その上方に、導電性層があり、それは、順に、透明プラスチック保護フィルムによって被覆される。
【0019】
代替として、導電性層が、最初に、槽底部の上方にあることができ、次いで、その上方に、透明シリコーン層があり、それは、順に、その上方に配置されているプラスチック保護フィルムによって被覆される。導電性層はまた、透明プラスチック担体フィルムに適用されることができ、これらの場合、前述の層複合配置において、この形態で位置することができる。
【0020】
両場合において、シリコーン層は、最後に実装された層の下側が、ある程度、槽底部上の最上層に接着する場合、その上に硬化させられた最後の層を有する構築プラットフォームの上昇の間に生じ得る、層の並びに作用する張力を吸収する目的のために使用される。最後に形成された層が昇降ユニットによって上向きに引動されるにつれて生じ得る力が、槽底部上の層シーケンスにかかる場合、シリコーン層は、ある程度、弾性的に変形し、したがって、槽底部上での層の並びのある弾性変形を可能にすることができ、これは、槽底部上の層シーケンス内の張力を低減させる。
【0021】
好ましい実施形態では、温度センサが、それと熱伝導接触するように導電性コーティング上に配置される。温度センサは、所望の入力温度または所望の時系列温度曲線が槽底部にわたる導電性層の領域内で生じさせられるように、電気供給源に作用し、導電性コーティングを通る電流の流動を調整する目的のために構成される、コントローラに接続される。温度センサは、好ましくは、この場合、温度センサおよび関連付けられた線接続が露光動作に干渉しないように、露光領域の外側縁またはその外側に位置する。コントローラは、例えば、PIコントローラ(比例・積分コントローラ)またはPIDコントローラ(比例・積分・微分コントローラ)であることができる。
【0022】
あらゆる透明プラスチックが、導電性層のためのプラスチック担体フィルム用の材料として検討され、すなわち、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはポリフルオロエチレンプロピレン(FEP−テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロペンに基づくコポリマー)が挙げられる。
【0023】
透明性に加え、重合構築材料が、硬化後、可能な限り、プラスチック保護フィルムに接着すべきではないという追加の要件が、槽底部上の層の並びを被覆するためのプラスチック保護フィルムに課される。この点において、特に、前述のプラスチックポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびポリフルオロエチレンプロピレン(FEP)は、特に、好適である。
【0024】
好ましい実施形態では、導電性層の材料は、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素でドープされた酸化スズ(SnO2:F)、アルミニウムでドープされた酸化スズ(ZnO2:Al)、アルミニウム酸化亜鉛(AZO)、アンチモンでドープされた酸化スズ(SnO2:Sb)、グラフェンもしくは他の導電性炭素化合物または導電性ポリマーもしくは他の好適な金属材料を有する。
【0025】
導電性透明層は、好ましくは、シート抵抗を形成するように実装され、これは、1〜1000Ω/□の範囲内である。
【0026】
シート抵抗は、電流のみが層と平行にそれを通して流動する、すなわち、電流が、一端の側面から進入し、再び、対向する縁側面から退出する、十分に薄い厚さの導電性層の電気抵抗を説明する。等方性抵抗ρを有する厚さdの層のシート抵抗は、ρ/dである。すなわち、層が薄いほど、そのシート抵抗は高くなる(一定の具体的抵抗ρの場合)。シート抵抗は、したがって、オーム抵抗と同一単位Ωを有する。しかしながら、寸法をシート抵抗として識別するために、「平方面積の単位あたり」、具体的には、/□を示すための記号が、例証のために追加される。英語では、単位の省略形Ω/sqもまた、使用され、「sq」は、「平方」の省略形を表す。
【0027】
本発明によると、約1nm〜数百ナノメートルの厚さを有する層が、使用されることができる。例えば、酸化インジウムスズ層(100nmの酸化インジウムスズ層の厚さを有する)でコーティングされたフィルムが、使用されることができ、50Ω/□のシート抵抗を有する。これは、最大750W/mの典型的電力密度で動作されることができる。実験室条件下における実験では、40℃〜100℃の温度が露光領域内の光重合性材料において、それと実装されることが可能であった。
【0028】
導電性透明層は、その中における上昇温度を確実にすることを可能にするように、少なくとも、露光領域を被覆するべきである。しかしながら、導電性透明層はまた、好ましくは、露光領域を越えて延び、特に、本質的に、槽底部全体を被覆することができる。露光領域の外側の材料は、したがって、そこから露光領域の中への光重合性材料の再導入が、構築プラットフォームが上昇させられた後、より容易に実施され得るように、すでに加熱されていることができる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ステレオリソグラフィデバイスであって、前記ステレオリソグラフィデバイスは、
流動性の光重合性材料を収容するための槽(2)であって、前記槽は、少なくとも露光のために提供される露光領域内に透明槽底部(3)を有する、槽と、
前記槽の下方に配置されている露光ユニット(8)であって、前記露光ユニットは、前記露光領域の内側でその都度形成される層のために、所定の輪郭を有する表面を露光する、露光ユニットと、
前記槽底部の上方において昇降ユニット(6)に吊るされている構築プラットフォーム(4)であって、露光によって硬化させられた第1の層が、前記構築プラットフォームに吊るされて形成されることになる、構築プラットフォームと、
制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記露光ユニットを用いて、各々が所定の輪郭を有する連続的な露光を生じさせることと、さらなる層の露光後、その都度、前記槽底部の上方において前記構築プラットフォームの位置を連続的に適合させることとを行うように構成されている、制御ユニットと、
前記槽内の光重合性材料を加熱するための加熱ユニットと
を有し、
前記ステレオリソグラフィデバイスは、前記加熱ユニットが透明導電性層(33)を有することを特徴とし、前記透明導電性層は、前記槽底部の上方において少なくとも前記露光領域の面積全体を被覆し、前記透明導電性層は、前記露光領域の外側において、前記透明導電性層の両側に、前記両側にわたって延長された電気接点(20)を提供されており、前記電気接点は、前記露光領域内の前記槽底部の上方における光重合性材料の面積全体の前記透明導電性層を通る電流の流動による加熱を可能にするために、制御式電気供給源に接続されている、ステレオリソグラフィデバイス。
(項目2)
前記導電性コーティング(33)は、担体フィルム(35)としての透明プラスチックフィルムに適用されており、そして、前記透明プラスチックフィルムは、前記槽底部の上方に配置されていることを特徴とする、項目1に記載のステレオリソグラフィデバイス。
(項目3)
前記槽底部は、透明プラスチック担体フィルムによって、前記露光領域内に形成され、前記透明プラスチック担体フィルムの上方に前記導電性層があることを特徴とする、項目1に記載のステレオリソグラフィデバイス。
(項目4)
最初に、透明シリコーン層(32)が前記槽底部(3)の上方に適用され、前記導電性層(33)が前記透明シリコーン層の上方に適用され、透明プラスチック保護フィルム(37)が前記導電性層の上方に適用されることにより前記導電性コーティングを被覆することを特徴とする、項目1または2に記載のステレオリソグラフィデバイス。
(項目5)
前記導電性層(33)は、前記槽底部(3)の上方にあり、前記導電性層の上方に、透明シリコーン層(32)が配置され、前記透明シリコーン層は、最後に、被覆のために前記透明シリコーン層の上方に配置されているプラスチック保護フィルム(37)によって被覆されていることを特徴とする、項目1または2に記載のステレオリソグラフィデバイス。
(項目6)
温度センサが、前記導電性層(33)と熱伝導接触するように前記導電性層上に配置され、このセンサは、コントローラに接続され、前記コントローラは、所望の温度または所望の時系列温度曲線が前記槽底部の上方の前記導電性コーティングの領域内で生じさせられるように、前記導電性コーティングを通る電流の流動を制御するように構成されていることを特徴とする、項目1〜5のいずれかに記載のステレオリソグラフィデバイス。
(項目7)
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはポリフルオロエチレンプロピレン(FEP)から作製されるフィルムが、前記導電性コーティングのためのプラスチック担体フィルム(35)であることを特徴とする、項目2または3に記載のステレオリソグラフィデバイス。
(項目8)
前記プラスチック保護フィルム(37)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリフルオロエチレンプロピレン(FEP)から作製されるフィルムであることを特徴とする、項目4または5に記載のステレオリソグラフィデバイス。
(項目9)
前記導電性層の材料は、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素でドープされた酸化スズ(SnO2:F)、アルミニウムでドープされた酸化スズ(ZnO2:Al)、アルミニウム酸化亜鉛(AZO)、アンチモンでドープされた酸化スズ(SnO2:Sb)、グラフェンもしくは他の導電性炭素化合物、導電性ポリマー、または好適な金属化合物を有することを特徴とする、項目1〜8のいずれかに記載のステレオリソグラフィデバイス。
(項目10)
前記導電性透明コーティングは、それが1〜1000Ω/□の範囲内のシート抵抗を有するように実装されていることを特徴とする、項目1〜9のいずれかに記載のステレオリソグラフィデバイス。
(項目11)
電気加熱ユニットも、前記露光領域の外側の領域において前記槽底部上に提供されていることを特徴とする、項目1〜10のいずれかに記載のステレオリソグラフィデバイス。
(項目12)
前記導電性透明層(33)は、前記槽底部(3)の上方において前記露光領域を越えて延びていることを特徴とする、項目11に記載のステレオリソグラフィデバイス。
【0029】
本発明は、図面と併せて、例示的実施形態に基づいて、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明による、ステレオリソグラフィデバイスの構成要素の略図を示す。
図2図2は、拡大詳細図とともに、第1の実施形態による、ステレオリソグラフィデバイスの槽底部を通した断面図を示す。
図3図3は、拡大詳細図とともに、第2の実施形態による、ステレオリソグラフィデバイスの槽底部を通した断面図を示す。
図4図4は、拡大詳細図とともに、第3の例示的実施形態による、ステレオリソグラフィデバイスの槽底部を通した断面図を示す。
図5図5は、図3からの槽底部の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、ステレオリソグラフィデバイスの個々の構成要素を図式的に示す(しかしながら、運搬および筐体部品を伴わない)。ステレオリソグラフィデバイスは、流動性光重合性材料1が注がれる、透明槽底部3を有する槽2を有する。光重合性材料1では(構築プラットフォーム4上の第1の層の積層の間)、この構築プラットフォーム4は、光重合性材料の所望の層厚のみが構築プラットフォームと槽底部との間に残るように、構築プラットフォーム4の下側が槽底部までの所定の距離に位置するまで、光重合性材料1の中に降下させられる。構築プラットフォーム4は、その上の第1の層の硬化後、上昇させられ、光重合性材料が、外側から露光領域の中に再導入される(光重合性材料が自ら露光領域の中に流動するために十分に液体ではない場合、槽底部に対して移動可能なスクイージーブレードが使用され、光重合性材料を露光領域の中に押し込むことができる)。その上にすでに形成された層を有する、構築プラットフォーム4は、続いて、最後に形成された層の下側が、次に硬化させられ、光重合性材料から作製される層のための所望の層厚に等しい槽底部までの距離を有するまで、光重合性材料1の中に降下させられる。これらのステップは、一連の層が所望の成型体をもたらすまで、各々が所定の輪郭を有する連続層の形成を伴って連続的に繰り返される。
【0032】
構築プラットフォーム4は、その制御された上昇および降下のために、制御可能昇降ユニット6上に吊るされる。
【0033】
露光ユニット8が、槽2の下方に配置され、それは、槽底部3上の露光領域に下方から方向付けられる。露光ユニット8は、制御ユニットの制御下、露光領域内の個々にアクティブ化される画像要素の所望のパターンを生成する目的のために実装され、硬化させられる層の形状は、露光される画像要素から生じる。露光ユニット8は、多数のマイクロミラーを有する光源および場を有することができ、マイクロミラーは、例えば、露光領域内の関連付けられた画像要素を露光すること、または露光解除することのいずれかを行うために、制御ユニットによって個々に枢動可能である。加えて、露光される画像要素の強度もまた、所望に応じて、個々のマイクロミラーをオンおよびオフにすることによって、場所依存様式で制御されることができる。
【0034】
槽底部3は、例えば、薄いガラス板によって、少なくとも、露光領域内において、透明として実装される。以下により詳細に説明される槽底部および導電性層に対する用語「透明」とは、ある程度まで光透過性であることを意味し、ほぼ完全な光透過率がこの目的のために提供される必要はない。槽底部または導電性層の材料における露光のために使用される電磁波の任意の可能な減衰は、適宜、照明強度または照明持続時間を増加させることによって、事前に考慮されることができる。
【0035】
図2は、露光領域内における槽底部3およびその上に適用される加熱ユニットを通した概略断面図を示し、断面からの拡大詳細図も示す。槽底部は、ガラスプレート31を有し、その上に、透明シリコーン層32が、適用される。プラスチック担体フィルム35が、シリコーン層32上に置かれ、それは、その下側に導電性透明コーティング33を有する。プラスチック担体フィルム35は、例えば、フィルムポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフルオロエチレンプロピレン、またはポリエチレンから作製されることができる。導電性透明コーティングは、例えば、酸化インジウムスズから成ることができる。そして、透明プラスチック保護フィルム37が、透明プラスチック担体フィルム35に適用される。しかしながら、そのような透明プラスチック保護フィルム37は、導電性透明層33がすでに被覆され、そのプラスチック担体フィルム35によって保護されているので、この例示的実施形態では、省略されることもできる。
【0036】
図2におけるような断面図は、概略にすぎず、正確な縮尺ではないこと、すなわち、相対的層厚は、それによって実際的に示されていないことに留意されたい。さらに、比較的に薄く示される透明導電性層33は、例証の理由のために、より良好に見えるためだけのものであり、象徴的にすぎないことを意味する黒色線によって図示される。実際、層複合における全ての層は、透明であるべきである。
【0037】
図3は、図2に対応する第2の例示的実施形態の断面を示すが、透明シリコーン層32と、導電性透明層33をそれらの下側に有する透明プラスチック担体フィルム35とが、それらの位置を交換しているという点、すなわち、プラスチック担体フィルム35が、直接、透明槽底部31上に導電性透明層33とともにあるという点において、図2と異なる。
【0038】
図4は、図1および2における2つの前の例示的実施形態に対応する第3の例示的実施形態の断面図を示すが、導電性透明層33が、図3におけるようにプラスチック担体フィルム35に適用されず、代わりに、導電性透明層33が、直接、透明ガラスプレート31に適用され、透明シリコーン層32が、直接、導電性透明層33に続き、透明プラスチック保護フィルム37がその上に続くという点において、図3における第2の例示的実施形態と異なる。
【0039】
図5は、第2の例示的実施形態の加熱ユニットを有する槽底部の構造を分解図において示し、すなわち、透明槽底部およびその上に続く層は、互いに離れるように持ち上げられている。図5では、導電性透明層33の電気接触が、示される。それは、薄い金属導体の2つの対向する片20によって行われ、これらの帯状金属導体片は、直接、導電性透明層33の対向する縁片上にある。2つの金属片20の各々は、電気線に接続され、それは、コントローラ(図示せず)を有する電気供給源とともに、電力回路を形成し、導電性透明層33を通る制御された電流の流動によって所望の加熱電力を発生させる。
【0040】
電気供給源によって供給される電力を制御するために、温度センサが、導電性透明層33と熱伝導接触するように導電性透明層33上に配置され、その温度を検出することができる。温度センサは、コントローラを具備し、そして、それは、所望の温度が導電性透明層33上に設定されるようにその電力を制御するために、制御可能電気供給源に接続される。
図1
図2
図3
図4
図5