特許第6563490号(P6563490)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563490直交デュオバイナリコヒーレント光通信システムのための差動コーディングおよびデコーディング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563490
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】直交デュオバイナリコヒーレント光通信システムのための差動コーディングおよびデコーディング
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/38 20060101AFI20190808BHJP
   H04L 27/36 20060101ALI20190808BHJP
   H04B 10/516 20130101ALI20190808BHJP
   H04B 10/61 20130101ALI20190808BHJP
   H04J 11/00 20060101ALN20190808BHJP
【FI】
   H04L27/38
   H04L27/36
   H04B10/516
   H04B10/61
   !H04J11/00 B
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-519815(P2017-519815)
(86)(22)【出願日】2015年10月14日
(65)【公表番号】特表2017-536744(P2017-536744A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】US2015055426
(87)【国際公開番号】WO2016061163
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2017年6月6日
(31)【優先権主張番号】62/063,671
(32)【優先日】2014年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/579,389
(32)【優先日】2014年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエ,チョンジン
【審査官】 北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−265386(JP,A)
【文献】 Adaickalavan Meiyappan, Pooi-Yuen Kam, Hoon Kim,On Decision Aided Carrier Phase and Frequency Offset Estimation in Coherent Optical Receivers,JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY,2013年 7月 1日,vol.31,no.13,pp.2055-2069
【文献】 Jianqiang Li, Zhenning Tao, Huijian Zhang, Weizhen Yan, Takeshi Hoshida, Jens C. Rasmussen,Spectrally Efficient Quadrature Duobinary Coherent Systems With Symbol-Rate Digital Signal Prosessing,JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY,2011年 4月15日,vol.29,no.8,pp.1098-1104
【文献】 Ilya Lyubomirsky,Quadrature Duobinary Modulation for 100G Transmission Beyond the Nyquist Limit,Optical Fiber Communication(OFC), collocated National Fiber Optic Engineers Conference, 2010 Conference on (OFC/NFOEC),2010年 3月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/38
H04B 10/516
H04B 10/61
H04L 27/36
H04J 11/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力シンボルストリームのデジタル電気入力シンボルを受信するステップであって、入力シンボルがシンボルコンスタレーションの信号点に対応する、受信するステップと、
入力シンボルを分類するステップであって、第1のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して変化する信号点に対応する入力シンボルを含み、第2のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して不変である信号点に対応する入力シンボルを含み、シンボルコンスタレーションが直交デュオバイナリコンスタレーションである、分類するステップと、
第1のシンボルクラスのそれらの入力シンボルにのみ、選択的な差動コーディングを適用するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
第1のシンボルクラスが、シンボル[0,1]および[1,0]を含み、第2のシンボルクラスが、シンボル[0,0]および[1,1]を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
差動コーディングが、差動コーディングルールに従って入力シンボルに適用され、それにより差動コーディングされたシンボルを生み出し、
第1のシンボルクラスにおける所与のシンボルが、第1のシンボルクラスにおいて直前のシンボルと等しい場合、所与のシンボルが[1,0]としてコーディングされ、
第1のシンボルクラスにおいて所与のシンボルが直前のシンボルと等しくない場合、所与のシンボルが[0,1]としてコーディングされる、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記入力シンボルが、2つのビット[DI,DQ]を含み、ここで、nはシンボルインデックスであり、前記シンボルが、
PI=XOR(DI,PIn−1)、およびPQ=XOR(DQ,PQn−1)、ならびに、
BI=PI+PIn−1−1、およびBQ=PQ+PQn−1−1
に従ってプリコーディングされ、
プリコーディングされたシンボルが、[BI,BQ]である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
入力シンボルストリームのデジタル電気入力シンボルを受信して入力シンボルを分類するように構成されたシンボル分類器であって、入力シンボルがシンボルコンスタレーションの信号点に対応し、シンボルコンスタレーションが直交デュオバイナリコンスタレーションであ、第1のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して変化する信号点に対応する入力シンボルを含み、第2のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して不変である信号点に対応する入力シンボルを含む、シンボル分類器と、
第1のシンボルクラスのそれらの入力シンボルにのみ、選択的な差動コーディングを適用するように構成された選択的な差動エンコーダと
を含む、装置。
【請求項6】
第1のシンボルクラスが、シンボル[0,1]および[1,0]を含み、第2のシンボルクラスが、シンボル[0,0]および[1,1]を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
光入力シンボルストリームを搬送する受信光信号をデジタル電気シンボルに変換するように構成された光−電気変換器であって、シンボルがシンボルコンスタレーションの信号点に対応し、シンボルコンスタレーションが直交デュオバイナリコンスタレーションである、光−電気変換器と、
シンボルを選択するように構成されたシンボル選択器であって、第1のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して変化する信号点に対応するシンボルを含み、第2のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して不変である信号点に対応するシンボルを含む、シンボル選択器と、
第1のシンボルクラスのそれらのシンボルにのみ、選択的な差動デコーディングを適用するように構成された選択的な差動デコーダと
を含む、装置。
【請求項8】
選択的な差動コーディングが、差動コーディングルールに従ってシンボルに適用され、それにより差動コーディングされたシンボルを生み出し、
第1のシンボルクラスにおける所与のシンボルが、第1のシンボルクラスにおいて直前のシンボルと等しい場合、所与のシンボルが[1,0]としてコーディングされ、
第1のシンボルクラスにおいて所与のシンボルが直前のシンボルと等しくない場合、所与のシンボルが[0,1]としてコーディングされる、
請求項6に記載の装置。
【請求項9】
記シンボルが、2つのビット[DI,DQ]を含み、ここで、nはシンボルインデックスであり、前記シンボルが、
PI=XOR(DI,PIn−1)、およびPQ=XOR(DQ,PQn−1)、ならびに
BI=PI+PIn−1−1、およびBQ=PQ+PQn−1−1
に従ってプリコーディングされ、
プリコーディングされたシンボルが、[BI,BQ]である、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
光通信システムであって、
受信光シンボルストリームをデジタル電気受信シンボルストリームに変換するように構成された光−電気変換器であって、受信シンボルがシンボルコンスタレーションの信号点に対応し、シンボルコンスタレーションが直交デュオバイナリコンスタレーションである、光−電気変換器と、
デジタル電気送信シンボルストリームを送信光シンボルストリームに変換するように構成された電気−光変換器であって、送信シンボルがシンボルコンスタレーションの信号点に対応し、シンボルコンスタレーションが直交デュオバイナリコンスタレーションである、電気−光変換器と、
デジタル信号プロセッサであって、
第1のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して変化するシンボルコンスタレーションの信号点に対応するシンボルを含み、第2のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して不変であるシンボルコンスタレーションの信号点に対応するシンボルを含む、送信シンボルを分類し、
第1のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して変化するシンボルコンスタレーションの信号点に対応するシンボルを含み、第2のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して不変であるシンボルコンスタレーションの信号点に対応するシンボルを含む、受信シンボルを選択し、
送信シンボルについて、第1のシンボルクラスのそれらのシンボルにのみ、選択的な差動コーディングを適用し、受信シンボルについて、第1のシンボルクラスのそれらのシンボルにのみ、選択的な差動デコーディングを適用するように構成された、デジタル信号プロセッサと
を含む、光通信システム。
【請求項11】
第1のシンボルクラスが、シンボル[0,1]および[1,0]を含み、第2のシンボルクラスが、シンボル[0,0]および[1,1]を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
選択的な差動コーディングが、差動コーディングルールに従って送信シンボルに適用され、それにより差動コーディングされたシンボルを生み出し、
第1のシンボルクラスにおける所与のシンボルが、第1のシンボルクラスにおいて直前のシンボルと等しい場合、所与のシンボルが[1,0]としてコーディングされ、
第1のシンボルクラスにおいて所与のシンボルが直前のシンボルと等しくない場合、所与のシンボルが[0,1]としてコーディングされる、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記送信シンボルが、2つのビット[DI,DQ]を含み、ここで、nはシンボルインデックスであり、前記シンボルが、
PI=XOR(DI,PIn−1)、およびPQ=XOR(DQ,PQn−1)、ならびに
BI=PI+PIn−1−1、およびBQ=PQ+PQn−1−1
に従ってプリコーディングされ、
プリコーディングされたシンボルが、[BI,BQ]である、
請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、引用により本明細書に組み込まれている、2014年10月14日にChongjin Xieによって出願され、「DIFFERENTIAL−CODING AND DECODING FOR QUADRATURE DUOBINARY COHERENT OPTICAL COMMUNICATION SYSTEMS」と題された、米国仮出願第62/063,671号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に、光通信システム、およびそのようなシステムを使用し、製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本項では、本発明のよりよい理解を促進するのに役立つことができる態様を導入する。それに応じて、本項の記述は、この点に照らして読まれるべきであり、何が先行技術であるか、または何がそうでないかについての承認として理解されるべきではない。
【0004】
デジタルコヒーレント検出を用いた偏波分割多重化(PDM:polarization−division−multiplexed)直交デュオバイナリ(QDB:quadrature duobinary)変調は、高速(たとえば、100Gb/sまたはそれ以上の)光通信における使用に有望である。QDB被変調信号のコヒーレント検出による1つの問題は、サイクルスリップが、壊滅的な誤り伝搬を引き起こし得ることである。当業者によって理解されるように、サイクルスリップは、レーザによって出力される光搬送波の、たとえば連続的な正弦波信号の、位相が揺らぐ(wander)ときに発生することがある。
【0005】
送信データに周期的に挿入されるパイロットシンボルを使用して、絶対搬送波位相を回復するように、PDM QDB変調を使用するときのコヒーレント検出における誤り伝搬を減少させるための取り組みが試みられてきた。しかしながら、このやり方で絶対搬送波位相を回復することは、より複雑な搬送波位相回復ユニットを必要とすることがあり、送信データストリームにパイロットシンボルを挿入するために、スペクトル効率を減少させることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、方法である。方法は、入力シンボルストリームのデジタル電気入力シンボルを受信するステップを含み、入力シンボルはシンボルコンスタレーションの信号点に対応する。方法はまた、入力シンボルを分類するステップを含むことができる。そのようないくつかの実施形態において、第1のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して変化する信号点に対応する入力シンボルを含み、第2のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して不変である信号点に対応する入力シンボルを含む。方法はまた、第1のシンボルクラスのそれらの入力シンボルにのみ、選択的な差動コーディングを適用するステップを含むことができる。
【0007】
方法のいずれかの実施形態において、シンボルコンスタレーションは、直交デュオバイナリコンスタレーションであってよい。方法のいずれかの実施形態において、第1のシンボルクラスは、シンボル[0,1]および[1,0]を含むことができ、第2のシンボルクラスは、シンボル[0,0]および[1,1]を含むことができる。方法のいずれかの実施形態において、差動コーディングは、差動コーディングルールに従って入力シンボルに適用されてよく、それにより差動コーディングされたシンボルを生み出す。方法のいずれかの実施形態において、第1のシンボルクラスにおける所与のシンボルが、第1のシンボルクラスにおいて直前のシンボルと等しい場合、所与のシンボルは[1,0]としてコーディングされてよく、第1のシンボルクラスにおいて所与のシンボルが直前のシンボルと等しくない場合、所与のシンボルは[0,1]としてコーディングされてよい。
【0008】
方法のいずれかの実施形態において、入力シンボルストリームのシンボルは、光通信システムにおける出力光データストリームの送信のための選択的な差動コーディングの前に、プリコーディングされてよい。方法のいずれかの実施形態において、入力シンボルは、2つのビット[DI,DQ]を含むことができ、ここで、nはシンボルインデックスであり、シンボルは、PI=XOR(DI,PIn−1)、およびPQ=XOR(DQ,PQn−1)、ならびに、BI=PI+PIn−1−1、およびBQ=PQ+PQn−1−1に従ってプリコーディングされてよく、プリコーディングされたシンボルは、[BIn,BQn]である。
【0009】
方法のいずれかの実施形態は、光入力シンボルストリームを搬送する光信号を受信するステップをさらに含むことができる。方法のいずれかの実施形態は、光ストリームをデジタル電気入力シンボルに変換するステップをさらに含むことができる。方法のいずれかの実施形態において、選択的な差動コーディングは、選択的に差動デコーディングされたシンボルのストリームを生み出すことができ、選択的に差動デコーディングされたシンボルストリームのシンボルをポストコーディングすることをさらに含むことができる。方法のいずれかの実施形態において、選択的に差動デコーディングされたシンボルは、それぞれ2つのビット[BI,BQ]を含むことができ、ここで、nはシンボルインデックスであり、選択的に差動デコーディングされたシンボルは、DI=1−|BI|、およびDQ=1−|BQ|に従ってポストコーディングされ、ポストコーディングされたシンボルは、[DI,DQ]である。
【0010】
別の実施形態は、装置である。装置は、入力シンボルストリームのデジタル電気入力シンボルを受信するように構成されたデジタル信号プロセッサ(DSP)を含み、入力シンボルはシンボルコンスタレーションの信号点に対応する。装置はまた、入力シンボルを分類するように構成されたシンボル分類器を含むことができる。そのようないずれかの実施形態において、第1のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して変化する信号点に対応する入力シンボルを含み、第2のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して不変である信号点に対応する入力シンボルを含む。装置はまた、第1のシンボルクラスのそれらの入力シンボルにのみ、選択的な差動コーディングを適用するように構成された選択的な差動エンコーダを含むことができる。
【0011】
装置のいずれかの実施形態において、シンボルコンスタレーションは、直交デュオバイナリコンスタレーションであってよい。装置のいずれかの実施形態において、第1のシンボルクラスが、シンボル[0,1]および[1,0]を含むことができ、第2のシンボルクラスが、シンボル[0,0]および[1,1]を含むことができる。装置のいずれかの実施形態において、DSPは、光通信システムにおける出力光データストリームの送信のための選択的な差動コーディングの前に、入力シンボルストリームのシンボルをプリコーディングするように構成されてよい。装置のそのようないずれかの実施形態において、選択的な差動コーディングは、差動コーディングルールに従って入力シンボルに適用されてよく、それにより差動コーディングされたシンボルを生み出す。装置のいずれかの実施形態において、第1のシンボルクラスにおける所与のシンボルが、第1のシンボルクラスにおいて直前のシンボルと等しい場合、所与のシンボルは[1,0]としてコーディングされてよく、第1のシンボルクラスにおいて所与のシンボルが直前のシンボルと等しくない場合、所与のシンボルは[0,1]としてコーディングされてよい。装置のいずれかの実施形態において、入力シンボルは、2つのビット[DIn,DQn]を含むことができ、ここで、nはシンボルインデックスであり、シンボルは、PI=XOR(DI,PIn−1)、およびPQ=XOR(DQ,PQn−1)、ならびに、BI=PI+PIn−1−1、およびBQ=PQ+PQn−1−1に従ってプリコーディングされ、プリコーディングされたシンボルは、[BI,BQ]である。
【0012】
装置のいずれかの実施形態は、光入力シンボルストリームを搬送する受信光信号をデジタル電気入力シンボルに変換するように構成された光−電気変換器をさらに含むことができる。そのようないずれかの実施形態において、選択的な差動コーディングは、選択的に差動デコーディングされたシンボルのストリームを生み出すことができ、選択的に差動デコーディングされたシンボルストリームのシンボルをポストコーディングすることをさらに含むことができる。装置のいずれかの実施形態において、選択的に差動デコーディングされたシンボルは、それぞれ2つのビット[BI,BQ]を含むことができ、ここで、nはシンボルインデックスであり、選択的に差動デコーディングされたシンボルは、DI=1−|BI|、およびDQ=1−|BQ|に従ってポストコーディングされてよく、ポストコーディングされたシンボルは、[DI,DQ]である。
【0013】
別の実施形態は、光通信システムである。システムは、受信光シンボルストリームをデジタル電気受信シンボルストリームに変換するように構成された光−電気変換器を含み、受信シンボルはシンボルコンスタレーションの信号点に対応する。システムはまた、デジタル電気送信シンボルストリームを送信光シンボルストリームに変換するように構成された電気−光変換器を含むことができる。システムはまた、デジタル信号プロセッサを含むことができる。デジタル信号プロセッサは、受信シンボルおよび送信シンボルを分類するように構成されてよい。そのようないずれかの実施形態において、第1のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して変化するシンボルコンスタレーションの信号点に対応するシンボルを含むことができ、第2のシンボルクラスが、シンボルコンスタレーションの回転に対して不変であるシンボルコンスタレーションの信号点に対応するシンボルを含むことができる。デジタル信号プロセッサはまた、第1のシンボルクラスのそれらの入力シンボルにのみ、選択的な差動コーディングを適用するように構成されてよい。システムのいずれかの実施形態において、シンボルコンスタレーションは、直交デュオバイナリコンスタレーションであってよい。
【0014】
本開示の実施形態は、添付する図面と共に読まれるときに、以下の詳細な説明から最もよく理解される。図面におけるいくつかの特徴は、それらの特徴に言及する便宜上、たとえば、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上下の(vertical)」、または「横方向の(lateral)」として説明されることがある。そのような説明は、自然の水平線または重力に対してそのような特徴の向きを限定するものではない。さまざまな特徴は、一定の縮尺で描かれていないことがあり、議論しやすいように大きさが恣意的に増大または減少されていることがある。次に、添付する図面と併用して、以下の説明への参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】QDB変調についての例示的なコンスタレーション図である。
図1B】サイクルスリップに影響されやすいコンスタレーション点を示す、図1Aに図示された例示的なコンスタレーション図に対応するシンボルマップを提示する図である。
図2A】本開示によるQDB変調のための例示的な差動コーディング方式の流れ図である。
図2B】本開示によるQDB変調のための例示的な差動デコーディング方式の流れ図である。
図3図2Aおよび図2Bに提示された例示的な実施形態などの本開示の方法実施形態による、例示的なQDBシンボルストリームのための差動コーディングおよび差動デコーディングの例示的な方法における選択されたステップを示す例示的なチャートである。
図4図2Aおよび図2Bに提示された例示的な方法などの本開示の方法実施形態による、差動コーディングおよび差動デコーディングによるQDB変調を使用する例示的な通信システムのブロック図である。
図5】コンテキストまたは図2図4において説明されたような、本開示によるシミュレートされたデータに対して差動コーディングおよび差動デコーディング操作を使用した、例示的なシミュレートされたデータ信号についての光信号対雑音比(OSNR)に対するビット誤り率(BER)のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面およびテキストにおいて、別段指し示されない限り、同様もしくは同類の参照シンボルは、同様のもしくは同じ機能および/または構造を持つ要素を指し示す。
【0017】
図面において、別段指し示されない限り、いくつかの特徴の相対寸法は、その中の構造または特徴の1つまたは複数をよりわかりやすく例証するために、誇張されていることがある。
【0018】
本明細書では、図面および詳細な説明によって、さまざまな実施形態がさらに十分に説明される。それにもかかわらず、本発明は、さまざまな形態で具現化されてよく、例証的な実施形態の図面および詳細な説明において説明された実施形態に限定はされない。
【0019】
本説明および図面は、単に本発明の原理を例証するにすぎない。したがって、本明細書で明示的に説明されなくても、または示されなくても、本発明の原理を具現化し、本発明の範囲内に含まれるさまざまな構成(arrangement)を、当業者が考案することができることが認められるであろう。さらに、本明細書に列挙されるすべての例は、主に、本発明の原理およびさらなる技術に対して本発明者によって貢献される概念を、読者が理解するのを支援するための教育的な目的のためであることが明白に意図されており、そのようなとりわけ列挙された例および条件に限定しないものとして解釈されるべきである。その上、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにその特定の例を列挙する本明細書におけるすべての記述は、その均等物を包含することが意図される。追加として、用語「または(or)」は、本明細書で使用されるとき、別段指し示されない限り、非排他的な「または」を指す。また、いくつかの実施形態は、1つまたは複数の他の実施形態と組み合わされて新しい実施形態を形成することができるため、本明細書で説明されるさまざまな実施形態は、必ずしも相互に排他的であるわけではない。
【0020】
本開示の実施形態は、本明細書で開示される差動コーディングおよび差動デコーディング技法を使用することによって、QDB被変調信号に対する、サイクルスリップにより誘発される誤り伝搬を軽減する。
【0021】
図1Aは、QDB被変調信号についての例示的な9点コンスタレーションを提示する。関連技術の当業者によって理解されるように、QDB被変調信号は、同相またはI軸(I)成分、および直交またはQ軸(Q)成分とそれぞれ呼ばれる、実数部および虚数部による9つのコンスタレーション点105のコンスタレーションによって表されてよい。以下でさらに議論されるように、それぞれの点105は、1つのQDBシンボルを表す。QPSK(直交位相偏移キーイング)、16QAM(直交振幅変調)、64QAM、およびmPSKのための差動コーディングおよび差動デコーディングは、少なくともQDB被変調信号の9点コンスタレーションフォーマットのために、QDB被変調信号には効果的ではない、または適用可能ではない。それぞれのコンスタレーション点105は、9つの座標値のうちの1つに位置付けられる。この議論において、コンスタレーション点は、小括弧内のI,Qペアとして表され、したがって(I,Q)=(0,±1)、(±1,0)、(±1,±1)、および(0,0)である。
【0022】
図1Bは、図1AのQDBコンスタレーションに対応するQDBシンボルマップを表している。シンボルマップは、4つのシンボルを含み、4つのシンボルは、角括弧のビット値ペアまたは双ビットの、[0,0]、[0,1]、[1,0]、および[1,1]として表されてよい。これらの値は、シンボルマップの第1の象限によって一意に表されてよく、他の象限はいくつかのシンボルの冗長マッピングを提供している。シンボルのうちのいずれも、第1の象限に対応するI/Qペアによって表されてよい。したがって、[1,1]シンボルは、コンスタレーションにおいて4つの縮退点によって表され、[0,1]および[1,0]シンボルは、それぞれ2つの縮退点によって表され、[0,0]シンボルは、単一の点によって表される。
【0023】
本明細書で開示される差動コーディングおよび差動デコーディング技法は、QDBコンスタレーション点105の特定のクラス、および対応するシンボルのみが、サイクルスリップによって引き起こされる上述された伝搬誤りを被ることを認識する。
【0024】
図1Bにシンボルクラスが図示されており、ここでシンボルクラスは、2つのクラスに分割される。本明細書でクラスIIシンボルと呼ばれる第2のシンボルクラス110は、黒丸で表現されており、サイクルスリップが誤りを引き起こすことができないQDBコンスタレーション点に対応する。そのようなクラスIIシンボルは、[1,1]または[0,0]のシンボル値を有することができる。サイクルスリップがnπ/2ラジアン位相回転を含むとき、[1,1]のシンボル値は、[1,1]のままであり、シンボル値[0,0]は、[0,0]のままであり、その結果、シンボルにおける曖昧さはなく、したがって、クラスIIシンボルについての誤りは発生しない。
【0025】
クラスIIシンボルは、回転に対して不変であるものとして説明されてよい。回転に対して不変であるシンボルは、コンスタレーションが、コンスタレーションの回転対称の角度だけ参照点(たとえば、コンスタレーションの座標空間の起点)のまわりを回転するとき、シンボル値が変化しないシンボルである。本例において、回転対称の角度は、nπ/2によって表される。
【0026】
本明細書では時にクラスIシンボルと呼ばれる、第1のシンボルクラス115は、白丸として表現されており、サイクルスリップが誤りを引き起こすことができるQDBコンスタレーション点に対応する。そのようなクラスIシンボルは、[1,0]または[0,1]のシンボル値を有することができる。クラスIIシンボルとは対照的に、サイクルスリップが、たとえば、π/2または3π/2位相回転を伴うとき、シンボル[1,0]に対応するコンスタレーション座標点(1,0)は、シンボル[0,1]に対応する(0,1)または(0,−1)になることになる。同様に、シンボル[0,1]に対応するコンスタレーション座標点(0,1)は、シンボル[1,0]に対応する(−1,0)または(1,0)になることになる。いずれの例においても、クラスIシンボル誤りの結果となる。したがって、クラスIシンボルは、回転に対して変化するものとして説明されてよい。
【0027】
本開示の実施形態は、サイクルスリップの影響を軽減するために、光学的に送信されるデータのコーディングを提供する。そのような一実施形態は、方法であり、たとえば、1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)において実施される、PDM−QDB被変調信号を差動コーディングする、および差動デコーディングする方法である。
【0028】
図2Aは、本開示によるQDB変調のための例示的な差動コーディング方法200Aの流れ図を提示する。図2Bは、本開示によるQDB変調のための例示的な差動デコーディング方式200Bの流れ図を提示する。さまざまな実施形態において、方法200Aは、光送信機によって実施されてよく、方法200Bは、光受信機によって実施されてよい。図示された実施形態は、単一の偏波チャネルの被変調光信号の差動コーディング/デコーディングを示す。PDM−QDB信号では、それぞれの偏波での信号が、説明される方法において提示されるのと同じステップを使用して処理され得る。
【0029】
引き続き図2Aおよび図2Bの全体を通して参照すると、方法200Aは、データ入力ステップ205で始まり、ここで、入力データは、光通信システムを通して送信されることになる、デジタル化されたデータ、たとえば、ストリーム・・・Dn−1、D、Dn+1・・・などの電気バイナリコーディングされたデジタル入力値のペア、たとえば、シンボル[D,D]に対応する。以下でさらに議論されるように、プリコーディング操作260は、入力データシンボルに実施されて、プリコーディングされたシンボル[B,B]のストリーム・・・Bn−1、B、Bn+1・・・などを生み出すことができる。
【0030】
方法200Aは、ステップ210で、たとえば、DSPにおいて、入力シンボル・・・Dn−1、D、Dn+1・・・などに分類操作を実施するステップを含む。分類操作は、入力シンボルを、クラスIシンボルまたはクラスIIシンボルとして分類することを含む。クラスIIシンボルは、回転に対して不変であるシンボル、たとえば、[0,0]および[1,1]に対応し、本例示的な実施形態においては、等しい大きさのI/Q値を有するそれらのコンスタレーション点、たとえば、(I,Q)=(1,1)(−1,1)、(1,−1)、(−1,−1)、および(0,0)に対応する。クラスIシンボルは、回転に対して変化するシンボル、たとえば、[0,1]および[1,0]に対応し、本例示的な実施形態においては、等しくない大きさのI/Q値を有するそれらのコンスタレーション点、たとえば、(I,Q)=(0,1)(1,0)、(0,−1)、および(−1,0)に対応する。
【0031】
方法200Aは、ステップ215、217、および220を介して、差動コーディングルールに従って差動コーディングされたシンボルのペアを生み出すために、クラスIシンボルにのみ、差動コーディング操作を適用するステップを含む。差動コーディングルールは、データストリームにおいて表されるクラスIシンボルのそれぞれ1つに適用される。ルールに従って、一実施形態において、ステップ217で、シンボルストリームにおける所与のクラスIシンボルが、直前のクラスIシンボルと同じ場合、所与のクラスIシンボルは、[0,1]としてコーディングされる。また、ルールに従って、ステップ220で、所与のシンボルがストリームからの直前のクラスIシンボルとは異なる場合、所与のシンボルは、代わりに[1,0]としてコーディングされる。代替実施形態においては、所与のクラスIシンボルは、ステップ217で[1,0]としてコーディングされ、ステップ220で[0,1]としてコーディングされる。
【0032】
差動コーディングルールを実施する一環として、差動コーディング操作ステップ215、217、220において検討中の所与の(現在の)シンボルが、データストリームからの最初のクラスIシンボルである場合、最初のクラスIシンボルのコーディングは変化しない。たとえば、最初のクラスIシンボルのためのコーディングが[0,1]または[0,−1]であった場合、ステップ215の後で、コーディングは、それぞれ[0,1]または[0,−1]として維持される。
【0033】
図2Aにさらに図示されるように、方法200Aのいくつかの実施形態において、差動コーディング操作ステップ215の対象とならないクラスIIシンボルは、保持され、たとえば、ステップ225で、DSPのメモリにバッファされる。
【0034】
図2Aにやはり図示されるように、方法200Aのいくつかの実施形態において、ステップ225で保持されたクラスIシンボル、およびステップ217、220で差動コーディングされたクラスIシンボルは、ステップ205の入力データストリームに存在する通りのデータシンボルの順序を再確立するやり方で、ステップ230で、再結合される。
【0035】
図2Bにさらに図示されるように、方法200Bのいくつかの実施形態において、選び出すステップ235は、再結合されたデータストリームにおいて差動コーディングされたシンボル(ステップ215、217、および220の対象とならないクラスIシンボルを含む)を、たとえば、光受信機において受信することができる。ステップ235で、クラスIシンボルが差動デコーディングのために選択される。選択された受信シンボルは、ステップ240で、差動デコーディング操作の対象となる。方法200Bのそのようないくつかの実施形態において、差動コーディングされなかった再結合されたデータストリームのシンボル(たとえば、ステップ215の対象とならず、ステップ225であらかじめ保持されたクラスIシンボル)は、保持され、たとえば、ステップ245で、そのDSPまたは別のDSPのメモリに、変更せずにバッファされる。
【0036】
いくつかの実施形態において、ステップ240の差動デコーディング操作は、差動コーディングされたシンボルに適用されて、差動デコーディングルールに従って差動デコーディングされたシンボルを生み出す。差動デコーディングルールを実施する一環として、ステップ215で、後に差動コーディングされた(クラスI)シンボルのI成分またはQ成分のどちらかが、直前に差動コーディングされたシンボルの対応するI成分またはQ成分の絶対値と同じである絶対値を有する場合、後に差動コーディングされたシンボルは、[0,1]としてデコーディングされる。また、差動デコーディングルールを実施する一環として、後に差動コーディングされたシンボルのI成分およびQ成分の両方が、直前に差動コーディングされたシンボルのI成分またはQ成分の絶対値とは異なる絶対値を両方有する場合、後の方の差動コーディングされたシンボルは、[1,0]としてデコーディングされる。ルールの代替変形において、後に差動コーディングされたシンボルのI成分またはQ成分のどちらかが、直前に差動コーディングされたシンボルのI成分またはQ成分の絶対値と同じ絶対値を有する場合、後に差動コーディングされたシンボルは、[0,−1]としてデコーディングされる。また、ルールの代替変形によれば、後に差動コーディングされたシンボルのI成分およびQ成分の両方が、直前に差動コーディングされたシンボルのI成分またはQ成分とは異なる絶対値を有する場合、その1つの差動コーディングされたシンボルは、[−1,0]としてデコーディングされる。
【0037】
また、差動デコーディングルールを実施する一環として、後に差動コーディングされたシンボルが、データストリームからの差動コーディングされたシンボルの最初のシンボルである場合、最初のシンボルのコーディングは変化しない。たとえば、最初のクラスIシンボルのためのコーディングが、[0,1](または[0,−1])であった場合、ステップ240の後で、コーディングは、それぞれ[0,1](または[0,−1])として維持される。
【0038】
図2Bにさらに図示されるように、方法200Bのいくつかの実施形態において、ステップ240で形成された差動デコーディングされたシンボル、およびステップ245で保持された差動デコーディングされないシンボルは次いで、ステップ205および/またはステップ235の入力データストリームに存在する通りのデータシンボルの順序を再確立するやり方で、ステップ250で再結合される。方法200Bは、データ出力ステップ255で停止する。
【0039】
ステップ215の差動コーディング操作、またはステップ240の差動デコーディング操作の一環として、クラスIシンボルのペアの同相成分および直交成分が、1として、または−1としてエンコーディング/デコーディングされるかは、データストリームにおける直前のシンボルに依存する。1または−1に設定することは、隣接するシンボル同士のI成分の間、および/または隣接するシンボル同士のQ成分の間のレベル変化が、1を超えないことを確実にするために行われてよい。
【0040】
方法200Aのいくつかの実施形態は、−1、0、および1の値を有する、QDB信号のそれぞれの直交について、バイナリデータをデュオバイナリデータに変換するために、ステップ260で、プリ差動コーディング操作をさらに含む。ステップ260のプリ差動コーディング操作は、分類操作ステップ210の前に、ステップ205からの電気デジタル入力のペアの個々の1つ1つのすべてに、たとえば、DSPにおいて、別々に実施されてよい。すなわち、ステップ210の分類操作の対象となるシンボルは、プリ差動コーディング操作ステップ260の後に形成される。
【0041】
プリ差動コーディング操作ステップ260は、処理されるシンボルのI成分に、およびQ成分に、別々に実施される。いくつかの実施形態において、たとえば、プリ差動コーディング操作ステップ260は、QDB被同調信号の同相および直交としてそれぞれ表されることになる、入力信号(たとえば、バイナリシンボルとしてコーディングされる)、DIおよびDQのI/Qペアのそれぞれ1つについて、ステップ262で、以下のプリ差動コーディングルールを適用するステップを含む:
PI=XOR(DI,PIn−1)、およびPQ=XOR(DQ,PQn−1
ここで、PIおよびPQは、同相および直交QDB信号の変調されることになるデータストリームにおけるn番目のデータを表すための、中間プリ差動コーディングされたI/Q成分であり、XORは、排他的な論理OR操作である。プリ差動コーディングルールは次いで、ステップ264で、以下の第2のプリ差動コーディングルールを適用するステップをさらに含む:
BI=PI+PIn−1−1、およびBQ=PQ+PQn−1−1
ここで、BIおよびBQは、それぞれ、ステップ210で操作される電気デジタル入力シンボルに対応する、QDB被変調シンボルについてのプリ差動コーディングされた同相および直交デュオバイナリ成分に対応する。
【0042】
方法200Bのいくつかの実施形態は、QDB信号のI成分およびQ成分のそれぞれについてデュオバイナリデータをバイナリデータに変換するために、ステップ265で、ポスト差動デコーディング操作をさらに含む。ステップ265のポスト差動デコーディング操作は、(たとえば、ステップ245で保持された)クラスIIシンボルのペアと再結合された、(たとえば、ステップ240でデコーディングされた)クラスIシンボルの差動デコーディングされたペアを含む、(たとえば、ステップ250から)再結合されたシンボルデータストリームの個々の1つ1つのすべてに、そのDSPにおいて、または別のDSPにおいて、別々に実施されてよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、たとえば、ポスト差動デコーディング操作ステップ265は、再結合されたシンボルデータストリームを表すシンボルのそれぞれ1つについて、以下のポスト差動デコーディングルールを適用するステップを含む:
DI’=1−|EI|、およびDQ’=1−|EQ
ここで、EI’およびEQ’は、それぞれ、ステップ240によって出力されたデータストリームの同相成分および直交成分を表し、DI’およびDQ’は、それぞれ、同相および直交デュオバイナリ被変調ポスト差動デコーディングされた信号の、出力(たとえば、バイナリデータ出力)データストリーム(ステップ255)におけるn番目のデータを表す。
【0044】
方法200Aのいくつかの実施形態において、差動コーディングされたシンボルを保有する再確立されたデータストリーム(ステップ230)は、以下で図4のコンテキストにおいて議論されるシステム400などの、光通信システムを介して送信されてよい。
【0045】
方法200Aのいくつかの実施形態において、差動コーディング操作(ステップ215、217、220)は、光通信システムの送信機サブユニットのDSPにおいて実施される。いくつかの実施形態において、保持する操作ステップ225、再結合する操作ステップ230、およびプリ差動コーディング操作ステップ260もまた、送信機サブユニットのDSPにおいて実施される。
【0046】
方法200Bのいくつかの実施形態において、差動デコーディング操作(ステップ240)は、同じ光通信システムまたはリモート光通信システムの受信機サブミットの別のDSPにおいて実施される。いくつかの実施形態において、第2の保持する操作ステップ245、第2の再結合する操作ステップ250、およびポスト差動デコーディング操作ステップ265もまた、同じ受信機サブユニットまたはリモート受信機サブユニットの別のDSPにおいて実施される。
【0047】
図3は、図2Aおよび図2Bに提示された例示的な実施形態などの方法実施形態による、例示的なQDB信号データストリームのための差動コーディングおよび差動デコーディングの例示的な方法の選択されたステップを示すチャートを提示する。
【0048】
図3は、データシステムの16シンボル(n=16)の表形式提示によって表されたデータストリームを提示する。引き続き図2A図2B、および図3の全体を通して参照すると、DIおよびDQは、それぞれ、ステップ205で提示された、変調されることになる入力データからのQDB信号の入力シンボルのI成分およびQ成分である。図3に図示されるように、プリコーディングステップ260の一環として、第1のプリコーディングルール(ステップ262)を適用した後に、中間プリコーディングされたシンボル[PI,PQ]が生成され、第2のプリコーディングルール(ステップ264)を適用した後に、プリコーディングされたシンボル[BI,BQ]が生成される。第2のルールの実施を容易化するために、シード値は、0番目シンボルとして使用される。
【0049】
分類ステップ210は、プリコーディングされたシンボル[BI,BQ]に実施される。差動コーディングステップ215(ステップ217および220を含む)は、クラスIシンボル(n=4、10−13、および16)にのみ実施され、一方クラスIIシンボル(n=1−3、5−9、14−15)は、ステップ225で保持される。差動コーディング(ステップ215)の後に、クラスIシンボルおよびクラスIIシンボルは、ステップ230で再結合されて、出力シンボルストリーム・・・[EIn−1,EQn−1]、[EI,EQ]、[EIn+1,EQn+1]・・・などを形成する。再結合されたシンボルは次いで、(たとえば、光変調器を介して)光同相および直交QDB被変調信号に変換されてよく、この信号が、たとえば、光ファイバを介して、長距離(たとえば、何キロメートルか)にわたって送信される。
【0050】
光シンボルは次いで、(たとえば、光−電気受信機を介して)再びデジタル電気信号に変換されてよく、再結合されたシンボルデータストリーム[EI,EQ]と等価の成分ペアがステップ230で形成される。
【0051】
再結合されたシンボルデータストリーム[EI,EQ]は、選び出すステップ235の対象となり、差動コーディングされたシンボルのペア、すなわちクラスIシンボルは、次いでステップ240で差動デコーディングの対象となり、一方、差動コーディングされないシンボル、すなわちクラスIIシンボルは、ステップ245で保持される。差動デコーディングステップ240の後に、クラスIシンボルおよびクラスIIシンボルは次いで、ステップ205の入力データストリームに存在する通りのデータシンボルの順序を再確立するやり方で、ステップ250で再結合され、それにより、再結合された差動デコーディングシンボルペア(EI’,EQ’)のストリームを形成する。
【0052】
ステップ265で、再結合された差動デコーディングシンボル(EI’,EQ’)は、(たとえば、ステップ250から)再結合されたシンボルデータストリームにおけるシンボルのすべてに対するポストデコーディング操作の対象となって、ステップ255で出力され得る、ポスト差動デコーディングされたシンボル(DI’,DQ’)を形成する。
【0053】
したがって、図3から見られるように、図2A/2Bおよび関連する説明によって説明されたコーディングおよびデコーディングプロセスの後に、入力データは、出力において回復されてよい。
【0054】
本開示の別の実施形態は、光通信システムである。図4は、本開示による差動コーディングおよび差動デコーディングによるQDB変調を使用する例示的な光通信システム400のブロック図を提示する。
【0055】
引き続き図2A図2B、および図4の全体を通して参照すると、システム400は、データストリーム410(たとえば、ステップ205の電気デジタル入力シンボル)を受信することができるDSP405を含む。DSP405は、デジタル電気入力シンボルに分類操作を実施し(たとえば、ステップ210)、次いでクラスIシンボルにのみ差動コーディング操作を適用する(たとえば、ステップ215)ように、プログラムされている、またはプログラムされたサブモジュールを有する。いくつかの実施形態において、DSP405はまた、保持する操作(たとえば、ステップ225)、結合する操作(たとえば、ステップ230)、およびプリ差動コーディング操作(たとえば、ステップ260)を実施するように、プログラムされている。
【0056】
いくつかの実施形態において、DSP405は、特定用途向け集積回路(ASIC)において具現化されてよく、ASICは、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、メモリブロック、および当業者によく知られた他の回路構成要素を含み、これらは、分類する操作、差動コーディング操作、プリコーディング操作、保持する操作、および再結合する操作(たとえば、ステップ210−230、および260)を実施するようにカスタマイズされる。他の実施形態において、集積回路405は、汎用集積回路において具現化されてもよい。ASICまたは汎用集積回路のいくつかの実施形態において、コンピュータ実行可能な命令としてコンピュータ可読媒体上に格納されるとき、そのような操作を実行するようにプログラムされ得る、1つまたは複数のマイクロプロセッサおよびメモリブロックを含むことができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、DSP405は、光通信システム400の送信機サブユニット420の一部である。システム400の実施形態は、光ソース422および光変調器424をさらに含むことができる。
【0058】
光ソース422は、光(light)の搬送波波長において光ビーム426を生成することができる。いくつかの実施形態において、ソース422は、レーザダイオードなどのレーザである。いくつかの実施形態において、光ビーム426は、オリジナル(「O」)バンド(たとえば、およそ1260nmからおよそ1360nm)、拡張(「E」)バンド(たとえば、およそ1360nmからおよそ1460nm)、ショート(「S」)バンド(たとえば、およそ1460nmからおよそ1530nm)、コンベンショナル(「C」)バンド(たとえば、およそ1530nmからおよそ1565nm)、ロング(「L」)バンド(たとえば、1565nmからおよそ1625nm)、またはウルトラロング(「U」)バンド(たとえば、およそ1625nmからおよそ1675nm)を含む、一般的な光通信バンドのうちのいずれか1つにあってよい。
【0059】
光変調器424は、光ビーム426を受信し、DSP405からの差動コーディングされたシンボルストリームのI成分およびQ成分のデータストリームを搬送する電気信号によって駆動されるとき、光ビーム426を変調することができる。光変調器424(たとえば、光IQ光変調器)は、QDB被変調信号の同相および直交ペアを発する光出力信号428を生成することができる。関連技術の当業者であれば、データストリーム、たとえば、本明細書で開示される差動コーディングされたシンボルのペアのストリームを搬送する電気信号が、光変調器424によって、どのように光直交デュオバイナリ被変調信号に変換され得るかを理解するであろう。
【0060】
図4に図示されるように、QDB被変調光出力信号428は、デジタル電気入力シンボルによって伝達される情報(たとえば、ステップ205でデータ入力時に受信される情報)を、光ファイバ430、または光ファイバおよび増幅器のネットワークに搬送することができ、いくつかのケースでは、長距離(たとえば、キロメートルであるより長い距離)にわたって出力信号428を搬送することができる。
【0061】
図4にさらに図示されるように、いくつかの実施形態において、差動コーディングされたシンボルのペアの、DSP405から光変調器426までの正確な送信を容易化するために、送信機サブユニット405は、差動コーディングされたシンボルのペアに対応する電気信号を受信し、増幅するように構成された1つまたは複数の増幅器432をさらに含むことができる。
【0062】
図4にさらに図示されるように、いくつかの実施形態において、差動コーディングされたシンボルのペアの、DSP405から光変調器424までの正確な送信を容易化するために、送信機サブユニット405は、増幅器432から出力された増幅された電気信号を受信するように構成された1つまたは複数のローパスフィルタ434(LPF)をさらに含むことができる。
【0063】
図4に図示されるように、システム400のいくつかの実施形態は、受信機サブユニット440をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、DSP405はまた、受信機サブユニット440の一部であってよく、そのような実施形態においては、送信機サブユニット405および受信機サブユニット440は、システム400のトランシーバの一部、またはシステム400のトランシーバであってよい。例証された実施形態を含む他の実施形態において、受信機サブユニット440は、別のDSP445を含むことができる。DSP405、または別のDSP445は、差動デコーディング操作(たとえば、ステップ240)を適用するようにプログラムされた集積回路(たとえば、その中にDSPが具現化された同じ回路、または異なる回路)を含む。DSP405、または別のDSP445は、それぞれ、選び出す操作(たとえば、ステップ235)、結合する操作(たとえば、ステップ250)、およびポスト差動デコーディング操作(ステップ265)を実施するようにやはりプログラムされてもよいし、またはそのようにプログラムされたサブモジュールを有してもよく、いくつかの実施形態においては、当業者によく知られた他の操作(たとえば、分散補償、搬送波分離、復調、その他)を実施するための他のモジュールを有してもよい。
【0064】
システム400のいくつかの実施形態において、受信機サブユニット440は、光−電気受信機450をさらに含むことができ、光−電気受信機450は、デュオバイナリ被変調信号の同相成分および直交成分の光信号(たとえば、光ファイバ430を介して、デュオバイナリ被変調信号428の同相成分および直交成分の光信号として受信機サブユニット440に送信された差動コーディングされたシンボル)を入力として受信し、差動コーディングされたシンボル(たとえば、[EI,EQ]シンボルペア)を含む電気信号452を出力として生み出し、差動デコーディングされたシンボル(たとえば、[EI’,EQ’]シンボル)、またはポスト差動デコーディングされたシンボル(たとえば、[DI’,DQ’]シンボル)を有する電気信号出力データ460(たとえば、ステップ255で出力されるデータ)を出力するように構成されている。
【0065】
光−電気変換を容易化するために、受信機サブユニット440のいくつかの実施形態は、参照光信号457を光−電気受信機450に送り出すように接続された、光ローカル発振器455を含むことができる。受信機サブミット440の実施形態は、光−電気受信機450に接続され、かつ差動コーディングされたペアを含むデジタル電気信号452をDSP(たとえば、DSP445)に送り出すように接続された、アナログ−デジタル変換器462(ADC)を含むことができる。
【0066】
図4は、本開示の別の実施形態、非一時的なコンピュータ可読媒体470を図示している。媒体470は、コンピュータ可読媒体470上に格納されたソフトウェア命令475を含む。DSP445に接続されて示されているが、媒体470または別の媒体は、DSP420に命令を提供することができる。いくつかの実施形態において、媒体470は、非一時的なメモリ、またはDSP405もしくは別のDSP445におけるファームウェアの形式であってよい。他のケースにおいて、コンピュータ可読媒体は、DSP405および/または別のDSP445からリモートに位置付けられるがDSP405および/または別のDSP445にコンピュータ実行可能な命令を送るコンピュータにおいて、ハードディスク、CD、フロッピーディスク、サムドライブ、または当業者によく知られた他の媒体上に格納されてもよい。
【0067】
命令475は、デジタル信号プロセッサ405によって処理されるとき、分類操作210および差動コーディング操作215を含む、電気デジタル入力シンボルのデータストリーム(たとえば、入力データ410)を表す入力シンボルを処理するステップを含む方法(たとえば、方法200A)を実施する。
【0068】
いくつかの実施形態において、ソフトウェア命令475は、保持する操作(たとえば、ステップ225)、結合する操作(たとえば、ステップ230)、およびプリ差動コーディング操作(たとえば、ステップ260)を実施するための命令を含む。いくつかの実施形態において、命令475は、DSP405または別のDSP445によって実行されるとき、差動デコーディング操作(たとえば、ステップ240)を実施する。いくつかの実施形態において、ソフトウェア命令475は、選び出す操作(たとえば、ステップ235)、結合する操作(たとえば、ステップ250)、およびポスト差動デコーディング操作(ステップ265)を実施するための命令を含む。
【0069】
本明細書で説明された差動コーディングおよびデコーディング操作の有効性が、シミュレートされたデータを使用して検査された。図5は、本開示によるシミュレートされたデータに対して差動コーディングおよび差動デコーディングを使用した、例示的なデータ信号についての光信号対雑音比(OSNR)に対するビット誤り率(BER)のプロットを表現している。シミュレートされたデータ信号は、毎秒128ギガバイトのデータストリームのPDM QDBエンコーディングされた信号を表すように構成されている。光ソース422およびローカル発振器455は、500kHzの線幅を有するように想定されている。シミュレーションにおいて、当業者によく知られたビタビ−ビタビ搬送波位相推定法が、搬送波位相回復のために使用された。図5に図示されるように、BERとOSNRとの間の滑らかな連続曲線関係によって実証される通り、サイクルスリップにより誘発された誤り伝搬は実質的に観察されない。
【0070】
本開示が詳細に説明されてきたが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書におけるさまざまな変更、置換、および改変を行うことができることを理解すべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5