(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)を含み(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は、水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含まないものとする。)、
前記水素化ブロック共重合体(b1)が、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B1)と、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S1)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)中の、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B1)の含有量が75〜92質量%であり、前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S1)の含有量が8〜25質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量が40〜100mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(b1)の水素化率が80mol%以上であり、
前記外層中のポリプロピレン樹脂の含有量が60〜100質量%であり、
前記外層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が0〜40質量%である、請求項7又は8に記載のチューブ。
前記内層が、水素化ブロック共重合体(b2)を含み(但し、水素化ブロック共重合体(b2)は、水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含まないものとする。)、
前記水素化ブロック共重合体(b2)が、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B2)と、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S2)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(b2)中、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B2)の含有量が75〜92質量%であり、前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S2)の含有量が8〜25質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量が60〜100mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(b2)の水素化率が80mol%以上であり、
前記内層中のポリプロピレン樹脂の含有量が5〜60質量%であり、
前記内層中の前記水素化ブロック共重合体(a)と水素化ブロック共重合体(b2)の含有量の合計が40〜95質量%である、請求項7乃至10のいずれか一項に記載のチューブ。
クロス分別クロマトグラフィー(CFC)で測定した−20℃以下の積分溶出量が全容量の0.1%以上40%未満であり、−20℃を超え60℃未満の範囲の積分溶出量が全容量の40%以上95%未満であり、60℃以上150℃以下の範囲の積分溶出量が全容量の5%以上60%未満である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のチューブ。
クロス分別クロマトグラフィー(CFC)で測定した10℃以上60℃未満の範囲の溶出成分の分子量分布(Mw/Mn)が1.05以上1.50以下である、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のチューブ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
【0012】
〔チューブ〕
本実施形態のチューブは、水素化ブロック共重合体(a)を含む。
ここで、チューブとは、中空で管状の構造を有しているものをいい、断面構造として単層構造、二層以上の多層構造のいずれも含む。
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態におけるチューブは、
水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)は、分子中に、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S)と、
を、含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)中の、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の含有量が1〜30質量%であり、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の含有量が69〜98質量%であり、前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S)の含有量が1〜20質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量が1〜25mol%であり、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の水素化前のビニル結合量が60〜100mol%であり、前記水素化ブロック共重合体(a)の水素化率が80mol%以上である、
チューブである。
【0014】
(第2の実施形態)
第2の実施形態におけるチューブは、
水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)は、分子中に、
共役ジエン化合物単位、及びビニル芳香族化合物単位を、含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)中の、ビニル芳香族化合物単位の含有量が1〜20質量%であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)の水素化率が80mol%以上であり、共役ジエン化合物単位の合計100mol%に対して、ブチレン量及び/又はプロピレン量が50〜95mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)は−20〜80℃に結晶化のピークを有し、結晶化熱量が0.1〜10J/gであり、
前記水素化ブロック共重合体(a)の、ショアA硬度が15〜65である、
チューブである。
【0015】
なお、上記第1の実施形態のチューブに含まれる水素化ブロック共重合体(a)は、上記第2の実施形態のチューブに含まれる水素化ブロック共重合体(a)の構成も取り得、かつ第1の実施形態のチューブは、第2の実施形態のチューブの特性も取り得るものとする。
【0016】
(水素化ブロック共重合体(a))
第1の実施形態のチューブに含まれる前記水素化ブロック共重合体(a)は、分子中に、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S)と、
を含む。
第1の実施形態及び第2の実施形態のチューブに含まれる前記水素化ブロック共重合体(a)は、共役ジエン化合物単位、及びビニル芳香族化合物単位を含有する。
【0017】
本実施形態のチューブ中の前記水素化ブロック共重合体(a)中の、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の含有量は1〜30質量%であり、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の含有量が69〜98質量%であり、前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S)の含有量が1〜20質量%である。
また、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量が1〜25mol%であり、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の水素化前のビニル結合量が60〜100mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)水素化率が80mol%以上である。
重合体ブロック(C)、(B)、(S)の含有量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
【0018】
ここで、本実施形態において、「主体とする」とは、対象の単量体単位を、対象の重合体ブロック中に、60質量%以上含むことをいう。
本実施形態のチューブの、透明性、柔軟性、耐キンク性の観点から、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)、(B)における共役ジエン化合物の含有量は、それぞれ独立して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
耐ベタつき性の観点から、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S)におけるビニル芳香族化合物の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0019】
共役ジエン重合体を主体とする重合体ブロック(C)、(B)における「水素化前のビニル結合量」とは、水素添加前の共役ジエンの1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれているうちの、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれているものの割合を意味する。
ビニル結合量は核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)によって測定できる。
【0020】
第1の実施形態において、水素化ブロック共重合体(a)中の、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の含有量は、1〜30質量%である。
水素化ブロック共重合体(a)中の前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の含有量は、チューブの耐キンク性、耐ベタつき性の両立の観点から、好ましくは3〜20質量%であり、より好ましくは3〜15質量%であり、さらに好ましくは5〜13質量%ある。
水素化ブロック共重合体(a)中の、重合体ブロック(C)の含有量は、後述する実施例に記載してあるように、第1ステップで重合する共役ジエン化合物量、例えばブタジエン量により、上記範囲に制御することができる。
【0021】
第1の実施形態において、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量は、1〜25mоl%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量は、チューブの耐キンク性、歪回復性、耐ベタつき性の観点から、好ましくは3〜22mol%であり、より好ましくは5〜20mol%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量は、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
また、前記ビニル結合量は、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用により制御することができる。
【0022】
第1の実施形態において、水素化ブロック共重合体(a)中の、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の含有量は69〜98質量%である。
重合体ブロック(B)の含有量は、本実施形態のチューブの透明性、柔軟性、耐キンク性の観点から、好ましくは70〜96質量%であり、より好ましくは72〜94質量%であり、特に好ましくは80〜90質量%ある。
水素化ブロック共重合体中の、前記重合体ブロック(B)の含有量は、後述する実施例に記載してあるように、第2ステップで重合する共役ジエン化合物量、例えばブタジエン量により上記範囲に制御することができる。
【0023】
第1の実施形態において、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の水素化前のビニル結合量は、60〜100mоl%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の水素化前のビニル結合量は、チューブの透明性、柔軟性、耐キンク性、耐ベタつき性の観点から、好ましくは68〜95mol%であり、より好ましくは73〜90mol%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の水素化前のビニル結合量は、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
また、前記ビニル結合量は、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用により制御することができる。
【0024】
第1の実施形態のチューブにおいて、水素化ブロック共重合体(a)中の重合体ブロック(C)、及び(B)に使用される共役ジエン化合物、第2の実施形態のチューブにおいて共役ジエン化合物単位に使用される共役ジエン化合物は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。
ジオレフィンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及びファルネセンが挙げられる。
特に一般的なジオレフィンとしては、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが挙げられる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、第1の実施形態のチューブにおいて、水素化ブロック共重合体中の重合体ブロック(S)に使用されるビニル芳香族化合物、第2の実施形態のチューブにおいて、水素化ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物単位に使用されるビニル芳香族化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましく用いられる。特に好ましくはスチレンである。重合体ブロック(S)は、1種のビニル芳香族化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。
なお、上記共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物は、上述する水素化ブロック共重合体(b1)や水素化ブロック共重合体(b2)にも適用することができる。
【0025】
第1の実施形態において、水素化ブロック共重合体(a)中のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S)の含有量は、1〜20質量%である。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S)の含有量は、チューブの耐キンク性、耐ベタつき性の両立の観点から、好ましくは2〜15質量%であり、より好ましくは3〜13質量%であり、さらに好ましくは4〜8質量%である。
【0026】
第2の実施形態において、水素化ブロック共重合体(a)中の、ビニル芳香族化合物単位の含有量は1〜20質量%である。
全ビニル芳香族化合物単位の含有量は、チューブの透明性、柔軟性、耐キンク性、歪回復性、耐ベタつき性の観点から、好ましくは2〜13質量%であり、より好ましくは3〜13質量%であり、特に好ましくは3〜8質量%ある。
水素化ブロック共重合体(a)中の、ビニル芳香族化合物単量体単位の含有量は、後述する実施例に記載してあるように、第3ステップで重合する芳香族ビニル化合物量、例えばスチレン量により上記範囲に制御することができる。
水素化ブロック共重合体(a)中の、ビニル芳香族化合物単位の含有量は、プロトン核磁気共鳴(
1H−NMR)法より測定できる。具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
【0027】
本実施形態において、水素化ブロック共重合体(a)の水素化率、すなわち、水素化ブロック共重合体(a)に含まれる全共役ジエン化合物単位の水素化率は80mol%以上である。
水素化率は、ポリプロピレン樹脂への微分散性の観点から、好ましくは85mol%以上であり、より好ましくは90mol%以上である。
水素化ブロック共重合体(a)の共役ジエン単量体単位中に含まれる全不飽和基単位の水素化率は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により測定でき、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
【0028】
水素化ブロック共重合体(a)の水素化率を80mol%以上とすることで、重合体ブロック(C)の結晶化が高まり、本実施形態のチューブの平滑性、耐ベタつき性、耐キンク性、及び歪回復性が良好となる。また、水素化ブロック共重合体(a)をポリプロピレン樹脂と混合した樹脂組成物をチューブの材料とする場合には、重合体ブロック(B)とポリプロピレン系樹脂との溶解パラメータ値が近づき、水素化ブロック共重合体(a)の分散性が良好になることから、得られる樹脂組成物成形体の柔軟性、透明性、及びキンク性が良好となる。
【0029】
水素化率は、例えば、水素添加時の触媒量によって制御することができ、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等によって制御することができる。
【0030】
第2の実施形態においては、共役ジエン化合物単位の合計100mоl%に対して、ブチレン量及び/又はプロピレン量が、50〜95mоl%である。
前記ブチレン量及び/又はプロピレン量が50mоl%以上であることにより、チューブの透明性、柔軟性、耐キンク性の効果が得られ、95mо%以下であることにより歪回復性、耐ベタつき性の効果が得られる。
また、前記ブチレン量及び/又はプロピレン量は、57〜87mоl%であることが好ましく、60〜85mоl%であることがより好ましく、60〜85mоl%が特に好ましい。
前記ブチレン及びプロピレン化合物は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンを水素化した結果得られるものであり、特に一般的なジオレフィンとしては、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが挙げられる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記ブチレン量及び/又はプロピレン量は、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用、及び、水素化率により制御することができる。
前記共役ジエンを主体とする重合体ブロック(C)と前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の合計100mоl%に対して、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)と前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の合計のブチレン量及び/又はプロピレン量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
【0031】
第2の実施形態においては、前記水素化ブロック共重合体(a)は、−20〜80℃に結晶化ピークを有し、結晶化熱量が0.1〜10J/gであるものとする。
前記水素化ブロック共重合体(a)の結晶化ピークが−20〜80℃にあり、結晶化熱量が0.1〜10J/gであることにより、チューブの透明性、柔軟性、耐キンク性、歪回復性、耐ベタつき性の向上効果が得られる。
前記結晶化ピークがある温度範囲は、−10〜70℃であることが好ましく、0〜60℃であることがより好ましい。
また、結晶化熱量は、0.5〜9.0J/gであることが好ましく、1.0〜8.0J/gであることがより好ましく、2.0〜5.0J/gがさらに好ましい。
前記水素化ブロック共重合体(a)の結晶化ピーク温度範囲、結晶化熱量は、水素化前のビニル結合量1〜25mol%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)を有しているものとすること、当該重合体ブロックの含有量を調整すること、さらには、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル化合物、アミン化合物に代表されるルイス塩基であるビニル化剤の使用や、水素化率を調整するにより制御することができる。
前記結晶化ピークがある温度範囲、及び結晶化熱量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
前記水素化ブロック共重合体(a)の結晶化ピーク温度範囲、結晶化熱量は、後述する製造方法に記載の範囲であれば要件を満たし、重合体ブロック(C)の含有量が増えるほど結晶化ピーク温度範囲、結晶化熱量は高くなる傾向にあり、重合体ブロック(C)重合時のビニル化剤が増えるほど結晶化ピーク温度範囲、結晶化熱量は低くなる傾向にあり、水素化率が低くなると、結晶化ピーク温度範囲、結晶化熱量は低くなる傾向にある。
【0032】
第2の実施形態において、水素化ブロック共重合体(a)のショアA硬度は15〜65の範囲であることが好ましい。ショアA硬度が15〜65であることにより、チューブの柔軟性、耐キンク性、歪回復性の向上効果が得られる。
ショアA硬度の範囲は、25〜55であることが好ましく、30〜50であることがより好ましい。
水素化ブロック共重合体(a)のショアA硬度は、例えば、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)、(B)、(A)の含有量、及び極性化合物等、エーテル化合物、アミン化合物に代表されるルイス塩基であるビニル化剤の使用、水素化率により制御することができ、重合体ブロック(C)と重合体ブロック(A)の含有量の合計が増えるほどショアA硬度は高くなる傾向で、ビニル化剤が増えるほどショアA硬度は低くなる傾向で、水素化率が低くなれば、ショアA硬度は低くなる傾向である。
ショアA硬度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0033】
本実施形態のチューブにおいては、前記水素化ブロック共重合体(a)の動的粘弾性測定(1Hz)により得られるtanδピークが−45℃を超え10℃以下の範囲にあることが好適な形態である。
前記水素化ブロック共重合体(a)の動的粘弾性測定(1Hz)により得られるtanδピークが−45℃を超え10℃以下の範囲であり、かつtanδピークの値が1.0以上であり、tanδピークの半値幅が20℃以下であることにより、本実施形態のチューブの柔軟性、耐キンク性、歪回復性の向上効果が得られる。
前記水素化ブロック共重合体(a)の動的粘弾性測定(1Hz)により得られるtanδピークは、−40℃〜0℃の範囲にあることが好ましく、−35℃〜−5℃の範囲にあることがより好ましい。tanδピークの値は、1.5以上が好ましく、1.8以上がより好ましい。tanδピークの半値幅は、18℃以下が好ましく、16℃以下がより好ましい。
tanδピークは、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用量によって制御され、後述する製造方法に記載の範囲であれば要件を満たし、例えば、後述する実施例1に示す重合体ブロック(B)重合時のビニル化剤の量を減らしていくと、tanδピーク温度は低くなる傾向にある。また、水素化率によっても制御することができ、水素化率が低くなると、tanδピーク温度は低くなる傾向にある。
tanδピークの値と、半値幅の制御については、後述する製造方法に記載の範囲であれば要件を満たし、例えば重合体ブロック(B)の重合時のビニル化剤の量が多い方が、tanδピーク値は高くなり、半値幅は狭くなる傾向にあり、分子量分布が広くなる。前記の制御に加えて重合体ブロック(B)の含有量、及び、重合温度を調整することにより、上記の範囲に制御することができ、重合体ブロック(B)の含有量が多くなるほどtanδピーク値が高くなり、半値幅は狭くなる傾向にあり、重合体ブロック(B)重合時の重合温度を等温(温度差が少ない)で重合するほどtanδピーク値が高くなり、半値幅は狭くなる傾向にある。
前記水素化ブロック共重合体(a)の動的粘弾性測定(1Hz)により得られるtanδピークは、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
【0034】
水素化ブロック共重合体(a)としては、例えば、下記一般式により表されるような構造を有するものが挙げられる。
(C−B)
n−S
(C−B−S)
n
(C−B−S)
n−(B−1)
(C−B−S−(B−1))
n
(C−B−S)
m−X
(C−B−S−(B−1))
m−X
上記一般式において、(C)は前記重合体ブロック(C)であり、複数存在する場合は異なっていても同じでもよく、(S)は前記重合体ブロック(S)であり、複数存在する場合は異なっていても同じでもよく、(B)は前記重合体ブロック(B)であり、複数存在する場合は異なっていても同じでもよい。
(B−1)は、重合体ブロック(B)の一種である。
nは1以上で、好ましくは1〜3の整数である。
mは2以上を示し、好ましくは2〜6の整数である。
Xはカップリング剤残基又は多官能開始剤残基を示す。
水素化ブロック共重合体(a)は、特にC−B−S、C−B−S−(B−1)の構造式で表される重合体であることが好ましい。
【0035】
本実施形態において、前記水素化ブロック共重合体(a)のメルトフローレート(MFR;ISO 1133に準拠)は、チューブの加工性、柔軟性、透明性、耐ベタつき性、耐キンク性、及び歪回復性等の観点から、0.5〜10g/10分であることが好ましく、1〜8g/10分以下であることがより好ましく、1.5〜6g/10分以下であることがさらに好ましい。
メルトフローレートは、水素化ブロック共重合体(a)の分子量、ビニル芳香族単量体単位の含有量、共役ジエン部のビニル結合量、水素添加率、水素化ブロック共重合体(a)のブロック構造等を調整することにより、制御することができる。
なお、メルトフローレートは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0036】
特に、本実施形態のチューブは、水素化ブロック共重合体(a)のメルトフローレートを1.5〜6g/10分の範囲とすることにより、チューブの加工性に加えて良好な耐キンク性と併せて顕著な耐ベタつき性の向上効果が得られる。
【0037】
水素化ブロック共重合体(a)、後述する水素化ブロック共重合体(b1)、水素化ブロック共重合体(b2)の構造は、特に限定されず、例えば、線状、分岐状、放射状、櫛形状などいかなる形態をとっても構わないが、所望する物性等に応じて好適な構造とすることができる。
本実施形態のチューブに付与する性能、すなわち、透明性、柔軟性の観点から、水素化ブロック共重合体(a)は、分子中に、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)を二つ以上含む場合には、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)のうち、水素化ブロック共重合体(a)の末端に存在する重合体ブロック(B−1)の含有量が、前記水素化ブロック共重合体(a)中の1〜10質量%であることが好ましい。
前記水素化ブロック共重合体(a)の末端に存在する重合体ブロック(B−1)の含有量は、重合モノマーのフィード組成により制御することができる。
前記水素化ブロック共重合体(a)の末端に存在する重合体ブロック(B−1)の含有量は、水素化ブロック共重合体(a)中の1.5〜7質量%であることがより好ましく、2〜5質量%であることがさらに好ましい。
【0038】
本実施形態において、水素化ブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)(以下、「Mw」ともいう。)は、加工性の観点から、10万〜30万であることが好ましい。
重量平均分子量(Mw)は、本実施形態のチューブの加工性、耐キンク性、歪回復性、耐ベタつき性の観点から、より好ましくは13万〜27万であり、さらに好ましくは15万〜25万である。
水素化ブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)は、GPCによる測定で得られるクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)に基づいて求めた重量平均分子量(Mw)である。具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
また、水素化ブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw)/(Mn)はPPへの分散性の均一性の観点から、1.01〜1.30であることが好ましい。
(Mw)/(Mn)は、ポリプロピレン樹脂(PP)への分散均一性の観点から、より好ましくは1.02〜1.28であり、さらに好ましくは1.03〜1.25である。
前記重量平均分子量(Mw)及び、(Mw)/(Mn)は、重合時間、極性物質の添加量、重合温度を適切に設定することにより、上記数値範囲に制御することができる。
【0039】
(水素化ブロック共重合体(a)の製造方法)
水素化ブロック共重合体(a)は、一般的には、有機溶媒中で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として所定の単量体の重合を行い、その後水素化反応を行うことにより製造することができる。
重合の態様としては、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。
分子量分布が狭く、高い強度を有するブロック共重合体を得る観点からは、バッチ重合方法が好ましい。
【0040】
重合温度は一般に0〜150℃であり、20〜120℃であることが好ましく、40〜100℃であることがより好ましい。また、この温度範囲であれば、等温重合でも断熱重合であってもよい。
また、得られる水素化ブロック共重合体(a)のtanδピークの値、及びtanδピークの半値幅の観点から、重合体ブロック(B)の重合温度分布は0℃以上30℃以下であることが好ましく、0℃以上25℃以下がより好ましく、0℃以上20℃以下がさらに好ましい。
重合時間は目的とする重合体によって異なるが、通常は24時間以内であり、0.1〜10時間であることが好ましい。分子量分布が狭く、高い強度を有するブロック共重合体を得る観点からは、0.5〜3時間であることがより好ましい。
重合系の雰囲気は、窒素及び溶媒を液相に維持するのに十分な圧力の範囲であればよく、特に限定されるものではない。
重合系内に、重合開始剤及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が存在しないことが好ましい。
【0041】
有機溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロへプタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
【0042】
重合開始剤である有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物が用いられる。有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルリチウム、及びイソプロペニルジリチウム等が挙げられる。
これらの中でも、重合活性の点でn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。
【0043】
重合開始剤である有機アルカリ金属化合物の使用量は、目的とするブロック共重合体の分子量によるが、一般的には0.01〜0.5phm(単量体100質量部当たりに対する質量部)の範囲であることが好ましく、0.03〜0.3phmの範囲であることがより好ましく、0.05〜0.15phmの範囲であることがさらに好ましい。
【0044】
水素化ブロック共重合体(a)に含まれている重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)のビニル結合量は、ルイス塩基、例えばエーテル、アミン等の化合物をビニル化剤として使用することで調節できる。ビニル化剤の使用量は、目的とするビニル結合量によって調整することができる。
また、ビニル化剤及び後述する金属アルコキシドを2以上の条件に分けて添加することにより、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック中に、ビニル結合量の異なる重合体ブロックを製造することができる。
【0045】
ビニル化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エーテル化合物、酸素原子を2個以上有するエーテル系化合物、及び第3級アミン系化合物等が挙げられる。
【0046】
第3級アミン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピリジン、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン、トリブチルアミン、テトラメチルプロパンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、ビス[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]エーテル等が挙げられる。
これらは、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
第3級アミン化合物としては、アミンを2個有する化合物が好ましい。さらに、それらの中でも、分子内で対称性を示す構造を有するものがより好ましく、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミンやビス[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]エーテルや1,2−ジピペリジノエタンがさらに好ましい。
【0047】
本実施形態においては、上述したビニル化剤、有機リチウム化合物、及びアルカリ金属アルコキシドの共存下、水素化ブロック共重合体の共重合を行ってもよい。ここで、アルカリ金属アルコキシドとは、一般式MOR(式中、Mはアルカリ金属、Rはアルキル基である)で表される化合物である。
【0048】
アルカリ金属アルコキシドのアルカリ金属としては、高いビニル結合量、狭い分子量分布、高い重合速度、及び高いブロック率の観点から、ナトリウム又はカリウムであることが好ましい。
アルカリ金属アルコキシドとしては、以下に限定されるものではないが、好ましくは、炭素数2〜12のアルキル基を有するナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシドであり、より好ましくは、炭素数3〜6のアルキル基を有するナトリウムアルコキシドやカリウムアルコキシドであり、さらに好ましくは、ナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ペントキシド、カリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ペントキシドである。
この中でも、ナトリウムアルコキシドであるナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ペントキシドがよりさらに好ましい。
【0049】
本実施形態の水素化ブロック共重合体の重合工程において、ビニル化剤、有機リチウム化合物、及びアルカリ金属アルコキシドの共存下、重合を行う場合、ビニル化剤と有機リチウム化合物とのモル比(ビニル化剤/有機リチウム化合物)、及びアルカリ金属アルコキシドと有機リチウム化合物とのモル比(アルカリ金属アルコキシド/有機リチウム化合物)を、下記モル比で共存させることが好ましい。
ビニル化剤/有機リチウム化合物が0.2〜3.0
アルカリ金属アルコキシド/有機リチウム化合物が0.01〜0.3
【0050】
ビニル化剤/有機リチウム化合物のモル比は、高いビニル結合量、高い重合速度の観点から0.2以上とし、狭い分子量分布、かつ高い水素化活性を得る観点から3.0未満とすることが好ましい。また、アルカリ金属アルコキシド/有機リチウム化合物のモル比は、高いビニル結合量、高い重合速度、及び高いブロック率の観点から0.01以上とし、狭い分子量分布、かつ高い水素化活性を得る観点から0.3以下とすることが好ましい。
これにより、重合速度の向上が図られ、目的とする水素化ブロック共重合体のビニル結合量を高くできるとともに分子量分布を狭くでき、さらにはブロック率が向上する傾向にある。その結果、ポリプロピレン系樹脂組成物に付与する性能、すなわち、低異方性、柔軟性、透明性、平滑性、耐べたつき性、耐キンク性、歪回復性、がより良好となる傾向にある。
【0051】
重合工程における、ビニル化剤/有機リチウム化合物のモル比は、高いビニル結合量及び高い重合速度の観点から、0.8以上が好ましく、狭い分子量分布及び高い水素化活性の観点から、2.5以下が好ましく、1.0以上2.0以下の範囲がより好ましい。
【0052】
また、アルカリ金属アルコキシド/有機リチウム化合物のモル比は、高いビニル結合量、高い重合速度及び高いブロック率の観点から0.02以上が好ましく、狭い分子量分布や高い水素化活性の観点から0.2以下が好ましく、0.03以上0.1以下がより好ましく、0.03以上0.08以下がさらに好ましい。
【0053】
さらに、アルカリ金属アルコキシド/ビニル化剤のモル比は、高いビニル結合量、高い重合速度及び高いブロック率の観点から、0.010以上であることが好ましく、狭い分子量分布を実現し、かつ高い水素化活性を得る観点から0.100以下が好ましく、0.012以上0.080以下がより好ましく、0.015以上0.06以下がさらに好ましく、0.015以上0.05以下がよりさらに好ましい。
【0054】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック中のビニル結合量の異なるブロックを製造する方法としては、例えば、ビニル化剤に対する失活剤を用いる方法が挙げられる。
失活剤としては、アルキル金属化合物が挙げられ、一つのアルキル置換基あたり1から20個の炭素原子をもつアルキルアルミニウム、亜鉛及びマグネシウム、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0055】
水素化ブロック共重合体(a)を製造する際の水素化の方法は特に限定されないが、例えば、上記で得られたブロック共重合体に対し、水素化触媒の存在下に、水素を供給し、水素添加することにより、共役ジエン化合物単位の二重結合残基が水素添加された水素化ブロック共重合体を得ることができる。
水素化率は、例えば、水素添加時の触媒量によって制御することができ、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等によって制御することができる。
【0056】
水素化ブロック共重合体(a)をペレット化することにより、水素化ブロック共重合体(a)のペレットを製造することができる。
ペレット化の方法としては、例えば、一軸又は二軸押出機から水素化ブロック共重合体をストランド状に押出して、ダイ部前面に設置された回転刃により、水中で切断する方法;一軸又は二軸押出機から水素化ブロック共重合体をストランド状に押出して、水冷又は空冷した後、ストランドカッターにより切断する方法;オープンロール、バンバリーミキサーにより溶融混合した後、ロールによりシート状に成型し、更に該シートを短冊状にカットした後に、ペレタイザーにより立方状ペレットに切断する方法等が挙げられる。
なお、水素化ブロック共重合体のペレット成形体の大きさ、形状は特に限定されない。
【0057】
水素化ブロック共重合体のペレットには、必要に応じてペレットブロッキングの防止を目的としてペレットブロッキング防止剤を配合することができる。
ペレットブロッキング防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビスステアリルアミド、タルク、アモルファスシリカ等が挙げられる。
本実施形態のチューブの透明性の観点から、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレン、及びポリプロピレンが好ましい。
好ましい量としては、水素化ブロック共重合体(a)に対して500〜6000ppmである。より好ましい量としては、水素化ブロック共重合体(a)に対して1000〜5000ppmである。ペレットブロッキング防止剤は、ペレット表面に付着した状態で配合されていることが好ましいが、ペレット内部にある程度含むこともできる。
【0058】
本実施形態のチューブは、上述した水素化ブロック共重合体(a)と、ポリプロピレン樹脂を含有することが好ましい。
水素化ブロック共重合体(a)の含有量は、5〜100質量%が好ましく、30〜95質量%がより好ましく、50〜90質量%がさらに好ましい。
ポリプロピレン樹脂の含有量は、0〜95質量%が好ましく、5〜70質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。
上記範囲の含有量とすることにより、透明性、柔軟性、耐キンク性、歪回復性、耐ベタつき性の効果が得られる。
【0059】
(チューブの構成)
本実施形態のチューブは、その断面において、少なくとも外層及び内層を有していることが好ましい。
また、前記外層にポリプロピレン樹脂が含有されており、前記内層に上述した水素化ブロック共重合体(a)が含有されていることが好ましい。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、耐キンク性、及び歪回復性に優れたチューブが得られる。
【0060】
本実施形態のチューブは、柔軟性、透明性、耐キンク性、及び歪回復性の観点から、外層の厚みが5〜1000μmであり、内層の厚みが10〜3000μmであることが好ましい。
本実施形態のチューブの外層の厚みは、10〜500μmがより好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。
本実施形態のチューブの内層の厚みは、20〜2000μmがより好ましく、30〜1000μmがさらに好ましい。
【0061】
(ポリプロピレン樹脂)
ポリプロピレン樹脂としては、ランダムポリプロピレン樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂は、ランダムポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
【0062】
ここで、ランダムポリプロピレンにおける「ランダム」とは、プロピレンとプロピレン以外のモノマーを共重合したもので、プロピレン以外のモノマーがプロピレン連鎖中にランダムに取り込まれ、実質的にプロピレン以外のモノマーが連鎖しないものをいう。
【0063】
ランダムポリプロピレンとしては、プロピレン単位の含有量が98質量%未満であれば特に限定されない。ランダムポリプロピレンの好適な例としては、プロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体等が挙げられる。
ランダムポリプロピレンとしてプロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体を用いる場合、柔軟性、透明性、耐衝撃性及び耐キンク性がより良好となる傾向にある。
【0064】
α−オレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。好ましくは、炭素数2〜8のα−オレフィンであり、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。
これらのα−オレフィンは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ランダムポリプロピレンも1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
ランダムポリプロピレンの中でも、本実施形態のチューブの柔軟性、透明性、耐衝撃性、耐キンク性の観点から、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体及びプロピレン−エチレン−1−ブテン三元ランダム共重合体からなる群より選択される少なくとも1つを用いることがより好ましい。
【0066】
柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性、耐キンク性の観点から、ランダムポリプロピレンがプロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンと炭素数4〜12のα−オレフィンのランダム共重合体であり、ランダムポリプロピレン中の、エチレン又はα−オレフィン単位の含有量は2質量%超40質量%未満が好ましく、プロピレン単位の含有量が60質量%以上98質量%未満であることが好ましい。
上記同様の観点から、エチレン又はα−オレフィン単位の含有量は2質量%超30質量%未満がより好ましく、2.5質量%以上25質量%未満がさらに好ましく、3質量%以上20質量%未満がさらにより好ましい。また、プロピレン単位の含有量は70質量%以上98質量%未満がより好ましく、75質量%以上97.5質量%未満がさらに好ましく、80質量%以上97質量%未満がさらにより好ましい。
【0067】
ランダムポリプロピレン中のプロピレン単位の含有量、エチレン単位の含有量、α−オレフィン単位の含有量は、カーボン核磁気共鳴(13C−NMR)法より測定できる。
【0068】
ランダムポリプロピレンのメルトフローレート(MFR;230℃、ISO 1133に準拠)は、得られるランダムポリプロピレン組成物の加工性と低べたつき性の観点から、1〜30g/10分が好ましく、1〜25g/10分がより好ましく、2〜20g/10分がさらに好ましく、3〜15g/10分がさらにより好ましい。
【0069】
ランダムポリプロピレンを製造するに際して使用される触媒については特に限定されないが、例えば、立体規則性触媒を使用する重合法が好ましい。立体規則性触媒としては、以下に限定されないが、例えば、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。これら触媒の中でも、本実施形態のチューブの耐ベタつき性、耐キンク性の観点から、メタロセン触媒が好ましい。
【0070】
本実施形態のチューブの耐ベタつき性、耐キンク性の観点からランダムポリプロピレンの分子量分布(Mw/Mn)は3.5以下であることが好ましい。
Mw/Mnは3.0以下であることがより好ましく、2.8以下であることがさらに好ましい。
下限値は特に限定されないが1.5以上が好ましい。とりわけ、ランダムポリプロピレンが、メタロセン系触媒により重合されたものであり、かつ、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上3.5以下であることが好ましい。なお、ランダムポリプロピレンの分子量分布は、GPCによる測定で得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率から求められる。
【0071】
本実施形態のチューブの内層及び外層には、要求性能に応じて、その他の添加剤を併用してもよい。
添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、難燃剤、安定剤、着色剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、流れ増強剤、ステアリン酸金属塩といった離型剤、シリコーンオイル、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤、銅害防止剤、架橋剤、核剤等が挙げられる。
【0072】
本実施形態のチューブを構成する樹脂組成物には、チューブ表面同士又は内部同士の固着を防止するために、脂肪酸アミド系滑剤、及び脂肪酸モノグリセリド系滑剤から選ばれる、少なくとも1種の滑剤を含有させることが好ましい。
脂肪酸アミド系滑剤及び脂肪酸モノグリセリド系滑剤は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸アミド系滑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、N−ステアリルラウリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルベヘン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルベヘン酸アミド、N−ラウリルエルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスエルカ酸アミドなどが挙げられる。これらの中では、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、及びエチレンビスステアリン酸アミドが好ましく、オレイン酸アミドがより好ましい。
脂肪酸モノグリセリド系滑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラウリン酸モノグリセリド、ミリスチン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、ベヘン酸モノグリセリドなどが挙げられる。これらの中では、ステアリン酸モノグリセリドが好ましい。
本実施形態のチューブを構成する樹脂組成物における滑剤の含有量は、固着を防止する観点から、好ましくは0.05質量%以上であり、滑剤がチューブ内からブリードアウトしてチューブ表面への印刷性に支障を来すのを回避する観点から、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。これらの観点から、本実施形態のチューブを構成する樹脂組成物における滑剤の含有量は、好ましくは0.05〜0.5質量%、より好ましくは0.05〜0.2質量%の範囲内である。
【0073】
(内層及び外層の具体的な構成)
<第1の構成>
本実施形態のチューブは、前記外層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)を含み(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は、水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含まないものとする)、
前記水素化ブロック共重合体(b1)が、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B1)と、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S1)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)中の、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B1)の含有量が75〜92質量%であり、前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S1)の含有量が8〜25質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量が40〜100mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(b1)の水素化率が80mol%以上であり、
前記外層中のポリプロピレン樹脂の含有量が60〜100質量%であり、
前記外層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が0〜40質量%であることが好ましい。
上記構成を有することにより、透明性、柔軟性、耐ベタつき性に優れたチューブが得られる。
なお、水素化ブロック共重合体(b1)において、「主体とする」の定義や、共役ジエン化合物、ビニル芳香族化合物の各材料、ビニル結合量、水素化率については、上述した水素化ブロック共重合体(a)と同様に定義でき、かつ制御することができるものとする。
【0074】
<第2の構成>
本実施形態のチューブは、前記内層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及びポリプロピレン樹脂を含み、
前記内層中の前記水素化ブロック共重合体(a)の含有量が40〜95質量%であることが好ましい。
上記構成を有することにより、柔軟性、耐ベタつき性に優れたチューブが得られる。
チューブの内層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及びポリプロピレン樹脂を含む場合、内層中の水素化ブロック共重合体(a)の含有量は、50〜90質量%であることがより好ましく、60〜85質量%であることがさらに好ましい。
【0075】
<第3の構成>
本実施形態のチューブは、前記内層が、水素化ブロック共重合体(b2)を含み(但し、水素化ブロック共重合体(b2)は、水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含まないものとする。)、
前記水素化ブロック共重合体(b2)が、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B2)と、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S2)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(b2)中、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B2)の含有量が75〜92質量%であり、前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S2)の含有量が8〜25質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量が40〜100mol%であり、前記水素化ブロック共重合体(b2)の水素化率が80mol%以上であり、
前記内層中のポリプロピレン樹脂の含有量が5〜60質量%であり、
前記内層中の前記水素化ブロック共重合体(a)と水素化ブロック共重合体(b2)の含有量の合計が40〜95質量%であることが好ましい。
上記構成を有することにより、耐ベタつき性に優れたチューブが得られる。
なお、水素化ブロック共重合体(b2)において、「主体とする」の定義や、共役ジエン化合物、ビニル芳香族化合物の各材料、ビニル結合量、水素化率については、上述した水素化ブロック共重合体(a)と同様に定義でき、かつ制御することができるものとする。
【0076】
(水素化ブロック共重合体(b1)及び水素化ブロック共重合体(b2)の製造方法)
水素化ブロック共重合体(b1)及び水素化ブロック共重合体(b2)は、上述した水素化ブロック共重合体(a)と同様の方法により製造することができる。
【0077】
(水素化ブロック共重合体(b1)の構造例)
上述した水素化ブロック共重合体(b1)としては、例えば、下記一般式により表されるような構造を有するものが挙げられる。
(S1−B1)
n、
S1−(B1−S1)
n、
B1−(S1−B1)
n、
[(B1−S1)
n]
m−Z、
[(S1−B1)
n]
m−Z、
[(B1−S1)
n−B1]
m−Z、
[(S1−B1)
n−S1]
m−Z
【0078】
上記一般式において、S1はビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロック(S1)であり、B1は共役ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)である。
重合体ブロック(S1)と重合体ブロック(B1)との境界線は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
また、nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。
mは2以上の整数、好ましくは2〜11、より好ましくは2〜8の整数である。
Zはカップリング剤残基を表す。ここで、カップリング残基とは、共役ジエン化合物単量体単位とビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位との共重合体の複数を、重合体ブロック(S1)−重合体ブロック(S1)間、重合体ブロック(B1)−重合体ブロック(B1)間、又は重合体ブロック(S1)−重合体ブロック(B1)間において結合させるために用いられるカップリング剤の結合後の残基を意味する。
カップリング剤としては、2官能カップリング剤や多官能カップリング剤が挙げられる。2官能基カップリング剤として、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
3官能基以上の多官能カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物;式R1
(4-n)SiX
n(ここで、R1は炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3又は4の整数を表す)で表されるハロゲン化珪素化合物、及びハロゲン化錫化合物が挙げられる。
ハロゲン化珪素化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物等が挙げられる。
ハロゲン化錫化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物等が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用可能である。
上記一般式において、重合体ブロック(S1)及び重合体ブロック(B1)中のビニル芳香族化合物単量体単位は均一に分布していても、テーパー状に分布していてもよい。また、重合体ブロック(S1)及び重合体ブロック(B1)がビニル芳香族化合物単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位の共重合体ブロックである場合には、該共重合体ブロック中のビニル芳香族化合物単量体単位は均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。さらに、上記共重合体ブロック部分には、ビニル芳香族化合物単量体単位の含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
【0079】
(水素化ブロック共重合体(b2)の構造例)
上述した水素化ブロック共重合体(b2)としては、例えば、下記一般式により表されるような構造を有するものが挙げられる。
(S2−B2)
n、
B2−(S2−B2)
n、
[(B2−S2)
n]
m−Z、
[(B2−S2)
n−B2]
m−Z、
【0080】
上記一般式において、S2はビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする重合体ブロック(S2)であり、B2は共役ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体ブロック(B2)である。
重合体ブロック(S2)と重合体ブロック(B2)との境界線は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
また、nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。
mは2以上の整数、好ましくは2〜11、より好ましくは2〜8の整数である。
Zはカップリング剤残基を表す。
ここで、カップリング残基とは、共役ジエン化合物単量体単位とビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位との共重合体の複数を、重合体ブロック(S2)−重合体ブロック(S2)間、重合体ブロック(B2)−重合体ブロック(B2)間、又は重合体ブロック(S2)−重合体ブロック(B2)間において結合させるために用いられるカップリング剤の結合後の残基を意味する。
カップリング剤としては、2官能カップリング剤や多官能カップリング剤が挙げられる。
2官能基カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
3官能基以上の多官能カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物;式R1
(4-n)SiX
n(ここで、R1は炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3又は4の整数を表す)で表されるハロゲン化珪素化合物、及びハロゲン化錫化合物が挙げられる。
ハロゲン化珪素化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物等が挙げられる。
ハロゲン化錫化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物等が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用可能である。
上記一般式において、重合体ブロック(S2)及び重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族化合物単量体単位は均一に分布していても、テーパー状に分布していてもよい。また、重合体ブロック(S2)及び重合体ブロック(B2)がビニル芳香族化合物単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位の共重合体ブロックである場合には、該共重合体ブロック中のビニル芳香族化合物単量体単位は均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。さらに、上記共重合体ブロック部分には、ビニル芳香族化合物単量体単位の含有量が異なる部分が複数個存在していてもよい。
【0081】
水素化ブロック共重合体(b2)としては、下記一般式で表される構造が特に好ましい。
すなわち、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B2)のうち、水素化ブロック共重合体(b2)の末端に重合体ブロック(B−2)が存在する構造である。
S2−B2−S2−(B−2)
S2−(B2−S2)
n−(B−2)
(B−2)−S2−(B2−S2)
n−(B−2)
【0082】
(中間層)
本実施形態のチューブは、前記外層と前記内層との間に所定の中間層を有する構成としてもよい。
この場合、中間層が前記水素化ブロック共重合体(a)を含むことが好ましい。
また、中間層の厚みは10〜3000μmが好ましく、20〜2000μmがより好ましく、30〜1000μmがさらに好ましい。
上記構成とすることにより、耐キンク性、歪回復性に優れたチューブが得られる。
【0083】
(チューブの広角X線解析測定における特性)
本実施形態のチューブの広角X線回折測定における、散乱角(2θ)15°の回折ピーク強度(I(15))と、散乱角(2θ)の14°回折ピーク強度(I(14))との強度比(I(14)/I(15))が、0.1以上1.40未満であることが好ましい。0.2以上1.35以下がより好ましく、0.5以上1.30以下がさらに好ましい。
上記構成を有することにより、透明性、柔軟性、耐キンク性、歪回復性に優れたチューブが得られる。
上記ピーク強度は、水素化ブロック共重合体(a)の配合比と、ポリプロピレン樹脂の種類及びチューブの製造方法により制御することができ、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
【0084】
本実施形態のチューブは、クロス分別クロマトグラフィー(以下、「CFC」という。)で測定した−20℃以下の積分溶出量が全容量の0.1%以上40%未満であり、−20℃を超え60℃未満の範囲の積分溶出量が全容量の40%以上95%未満であり、60℃以上150℃以下の範囲の積分溶出量が全容量の5%以上60%未満であることが好ましい。
上記構成を有することにより、低ベタつき性、耐キンク性に優れたチューブが得られる。
同様の観点から、上記−20℃以下の積分溶出量が全容量の2%以上30%未満であることがより好ましく、さらに好ましくは3%以上20%未満である。
また、上記−20℃を超え60℃未満の範囲の積分溶出量が全容量の50%以上90%未満であることがより好ましく、さらに好ましくは55%以上80%未満である。
また、上記60℃以上150℃以下の範囲の積分溶出量が全容量の10%以上50%未満であることがより好ましく、さらに好ましくは20%以上45%未満である。
また、上記CFC溶出量は、前記重合体ブロック(C)、(B)の比率、及び水素化ブロック共重合体(a)の配合比と、ポリプロピレン樹脂の種類を調整することにより制御することができ、上記CFC溶出量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
さらに、−20℃以下の範囲、−20℃を超え60℃未満の範囲、60℃以上150℃以下の範囲、それぞれについて分取することが可能であり、それぞれの成分について、後述する方法を用いて、ビニル芳香族単位の含有量、水素化率、ブチレン量及び/又はプロピレン量、結晶化ピーク温度及び結晶化熱量、ショアA硬度を測定することができる。特に、水素化ブロック共重合体(a)は、積分溶出量の検出において、−20℃を超え60℃未満の範囲に含まれる。
【0085】
本実施形態のチューブは、クロス分別クロマトグラフィー(CFC)で測定した10℃以上60℃未満の範囲の溶出成分の分子量分布(Mw/Mn)が、PPへの分散均一性の観点から、1.05以上1.50以下であることが好ましい。
CFCで測定した10℃以上60℃未満の範囲の溶出成分の分子量分布は、1.02以上1.28以下であることがより好ましく、1.03以上1.25以下であることがさらに好ましい。
CFCで測定した10℃以上60℃未満の範囲に溶出成分の分子量分布は、重合時間、極性物質の添加量、重合温度を適切に設定することにより上記範囲に制御することができる。
【0086】
(チューブの各層を構成する材料の製造方法)
本実施形態のチューブの各層を構成する樹脂材料は、例えば、水素化ブロック共重合体(a)、ポリプロピレン樹脂、水素化ブロック共重合体(b1)、水素化ブロック共重合体(b2)、及び必要に応じて加えられる他の成分を、適宜選択し、これらをドライブレンドする方法、通常の高分子物質の混合に供される装置によって調整する方法等によって製造することができる。
【0087】
混合装置としては、特に限定されないが、例えば、バンバリーミキサー、ラボプラストミル、単軸押出機、2軸押出機等の混練装置が挙げられ、押出機を用いた溶融混合法により製造することが生産性、良混練性の観点から好ましい。
混練時の溶融温度は、適宜設定することができるが、通常130〜300℃の範囲内であり、150〜250℃の範囲であることが好ましい。
【0088】
(チューブの成形方法)
本実施形態のチューブの成形方法としては、特に限定されないが、例えば、各材料により構成される樹脂組成物を押出機に投入して溶融し、これをダイに通して管状にし、水冷又は空冷してチューブとすることができる。押出機としては単軸又は多軸の押出機を使用することができ、また複数台の押出機を使用して多層押出した多層チューブを成形することもできる。また、樹脂組成物を製造する際の押出機から直接チューブとして成形することもできる。
【0089】
チューブの形状は、特に限定されないが、通常円形、楕円形等のチューブが使用される。チューブの太さは特に限定されないが、例えば、外径で1〜50mmのものが好ましく、2〜30mmのものがより好ましく、3〜20mmのものがさらに好ましい。また、チューブの厚みは0.3〜30mmのものが好ましく、0.4〜20mmのものがより好ましく、0.5〜10mmのものがさらに好ましい。
【0090】
本実施形態のチューブは、本実施形態の目的を阻害しない範囲で他のポリマーを積層して多層チューブとしてもよい。
上記のポリマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて、単層又は層毎に種類が異なっていてもよい多層で積層して用いることができる。
上記多層構造であるチューブの上記したポリマーからなる層は、付与する所望の性能により、最内層、中間層、最外層のいずれにあってもよい。
本実施形態では、さらに、肉厚の増加を抑えて柔軟性を維持した上で耐圧性等を向上するために、編組補強糸や螺旋補強体を巻き付けて耐圧チューブ(ホース)とすることができる。編組補強糸は、厚み方向での内部又は層間に設けられ、ビニロン、ポリアミド、ポリエステル、アラミド繊維、炭素繊維、金属ワイヤー等を用いることができ、螺旋補強体は外周に設けられ、金属、プラスチック等を用いることができる。
【0091】
本実施形態のチューブは、後述の実施例で示す通り、透明性、柔軟性、耐キンク性、歪回復性(チューブ閉塞の回復)、耐ベタつき性に優れており、特に用途を限定せずに用いることができる。
上記特性を活かして、家電用品用途、自動車内外装部品用途、日用品、レジャー用品、玩具、工業用品、食品製造機器用途、医療用途等の幅広い用途に用いることができる。
これらの中でも、本実施形態のチューブは、医療用途として特に好適に用いることができる。
例えば、外径7mmで内径5mmの単層又は三層チューブが腹膜透析バッグに使用されたり、外径4mmで内径3mmの単層チューブが輸液バッグに用いられたりすることが多いが、本実施形態のチューブは、これらの形状で適切な耐キンク性を示すほか、透明性が高くて中の液体が見えやすい点で公的である。
これらの中でも、本実施形態のチューブは、医療用途として特に好適に用いることができる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例によって本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、以下に説明する方法によって水素化ブロック共重合体の調製を行い、チューブを製造し、物性の比較を行った。
その際、水素化ブロック共重合体の特性やチューブの物性は次のように測定した。
【0093】
〔水素化ブロック共重合体の評価方法〕
((1)水素化ブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの含有量)
水素化前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー溶液を、内部標準としてn−プロビルベンゼン0.50mLと、約20mLのトルエンを密封した100mLのボトルに約20mL注入して、サンプルを作製した。
アピエゾングリースを担持させたバックドカラムを装着したガスクロマトグラフィー(島津製作所製:GC−14B)でこのサンプルを測定し、事前に得ていたブタジエンモノマーとスチレンモノマーの検量線からポリマー溶液中の残留モノマー量を求め、ブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの重合率が100%であることを確認し、下記式より、各重合体ブロックの含有量を計算した。
なお、ブタジエンの重合率は90℃一定の条件で測定し、スチレンの重合率は90℃(10分ホールド)〜150℃昇温(10℃/分)の条件で測定した。
各ブロックの含有量=(各ステップでフィードしたモノマー合計量)/(全モノマー量)×100質量%
【0094】
((2)水素化ブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの水素化前のビニル結合量)
水素添加前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマーを、プロトン核磁気共鳴(
1H−NMR)法により測定した。
測定機器はJNM−LA400(JEOL製)、溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で行った。
ビニル結合量は、1,4−結合及び1,2−結合に帰属されるシグナルの積分値から各結合様式の1Hあたりの積分値を算出した後、1,4−結合と1,2−結合との比率から算出した。
また、水素化前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー毎にビニル結合量を算出することで、(C)ブロック、(B)ブロック、及び(B1)ブロックのビニル結合量を算出した。
【0095】
((3)水素化ブロック共重合体の共役ジエン化合物単位に基づく不飽和結合の水素添加率)
水素添加後の水素化ブロック共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(
1H−NMR)により測定した。
測定条件及び測定データの処理方法は上記(2)と同様とした。
水素添加率は、4.5〜5.5ppmの残存二重結合に由来するシグナル及び水素添加された共役ジエンに由来するシグナルの積分値を算出し、その比率を算出した。
【0096】
((4)水素化ブロック共重合体のビニル芳香族化合物単位の含有量(以下、「スチレン含有量」とも表記する。))
水素添加後の重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(
1H−NMR)法により測定した。
測定機器はJNM−LA400(JEOL製)、溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で行った。
スチレン含有量は、スペクトルの6.2〜7.5ppmにおける総スチレン芳香族シグナルの積算値を用いて算出した。
また、水素化前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー毎にビニル芳香族化合物単位の含有量を算出することで、全ビニル芳香族化合物の含有量、及び、(S)ブロックのビニル芳香族化合物の含有量を算出した。
【0097】
((5)共役ジエン化合物単位の合計100mol%に対する、ブチレン量及び/又はプロピレン量)
水素添加後の水素化ブロック共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(
1H−NMR)により測定した。
測定条件及び測定データの処理方法は、上記(2)及び(3)と同様とした。
ブチレン含有量は、スペクトルの0〜2.0ppmにおけるブチレン(水素化された1,2−結合)及びプロピレン(水素化された3,4−結合)に帰属されるシグナルの積分値を算出し、その比率から算出した。
【0098】
((6)DSC測定)
アルミニウム製パンに水素化ブロック共重合体10mgをそれぞれ精秤し、示差走査熱量計(DSC)(ティー・エイ・インスツルメント株式会社製、Q2000)を用いて、窒素雰囲気(流量は50mL/分)にて、初期温度−50℃、昇温速度10℃/分で150℃まで昇温し、5分間150℃保持し、その後10℃/分で−50℃まで降温させ測定を行った。
描かれるDSC曲線の降温過程であらわれる結晶化ピークを結晶化温度(℃)とし、結晶化ピーク面積が示す熱量を結晶化熱量(J/g)とした。
【0099】
((7)水素化ブロック共重合体の動的粘弾性測定)
動的粘弾性スペクトルを下記の方法により測定し、損失係数tanδのピーク高さ(最大値(無単位))、当該ピーク(最大値)における温度(℃)及びピーク半値幅(℃)を得た。
まず、水素化ブロック共重合体を厚さ2mmのシートに成形した後に幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、測定用試料とした。
装置ARES(ティー・エイ・インスツルメント株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーに測定用試料をセットし、実効測定長さは25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、測定範囲:−100℃から100℃まで、昇温速度3℃/分の条件により測定した。
【0100】
((8)水素化ブロック共重合体の重量平均分子量)
水素化ブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定(島津製作所製、LC−10)、カラム:TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm、2本)、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)により、市販の標準ポリスチレンによるポリスチレン換算分子量として求めた。
【0101】
((9)水素化ブロック共重合体のメルトフローレート(以下、「MFR」ともいう。))
水素化ブロック共重合体とプロピレン系樹脂のMFRは、ISO 1133に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。
【0102】
((10)水素化ブロック共重合体のショアA硬度)
水素化ブロック共重合のショアA硬度(ASTM D−2240準拠)は、圧縮成型した厚み2mmのシートを4枚重ねて、デュロメータタイプAで瞬間の値を測定した。
【0103】
〔チューブの特性評価方法〕
((1)チューブ状成形体の広角X線回折測定)
実施例及び比較例で得られたチューブ状成形体を試験片として、リガク製ナノスケールX線構造評価装置NANO−Viewerを用い、光学系はポイントコリメーション(第1スリット:0.4mmφ、第2スリット:0.2mmφ、ガードスリット:0.8mmφ)を用いて平行化した波長0.154nmのX線を用い、切り出したチューブ状成型体の側面から、成型表面に平行で、円周方向にX線を入射(エッジ入射)した。
その際、X線入射方向の試料厚みはチューブ厚み以下とした。
検出器として、イメージングプレートを用い、カメラ長は74.5mm、露光時間は15分間とした。
空気由来の散乱を防ぐために、第2スリット以降から検出器までの間を真空とした。
散乱に対しては空セル散乱補正と装置のバックグラウンド補正を行った。
得られた2次元散乱パターンを−15°<χ<15°(χ:成形体の厚み方向を0°として定義した方位角)の範囲で扇状平均して1次元散乱プロファイルを得た。
得られた散乱プロファイルにおける、2θ=5°の散乱強度と2θ=30°の散乱強度を結ぶ直線をベースラインとして、ベースラインからの2θ=14°にある散乱ピークトップ(ポリプロピレン樹脂のα結晶の(110)面により散乱)の強度をI(14)、ベースラインからの2θ=15°の散乱強度をI(15)とし、その強度比(I(14)/I(15))を算出した。
【0104】
((2)チューブ状成形体の透明性)
実施例及び比較例で得られたチューブ状成形体を用いて、石英セルにチューブを5本並べていれ、パラフィンオイルで石英セルを満たした後、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH−1001DP)を用いてヘイズ値(%)を測定し、透明性の指標とした。
得られたヘイズ値から、次の基準で評価した。
単層チューブの基準
5:ヘイズ値が15%未満
4:ヘイズ値が15%以上20%未満
3:ヘイズ値が20%以上25%未満
2:ヘイズ値が25%以上30%未満
1:ヘイズ値が30%以上
3層チューブの基準
5:ヘイズ値が20%未満
4:ヘイズ値が20%以上25%未満
3:ヘイズ値が25%以上30%未満
2:ヘイズ値が30%以上40%未満
1:ヘイズ値が40%以上
【0105】
((3)チューブ状成形体の柔軟性)
実施例及び比較例で得られたチューブ状成形体を用いて、引取り方向に3mm幅で切り出したサンプルを用い、引張試験機(ミネベア、Tg−5kN)により引張速度100mm/minで引張弾性率(MPa)を測定し、柔軟性の指標とした。
得られた引張弾性率から、次の基準で評価した。
5:引張弾性率が25MPa未満
4:引張弾性率が25MPa以上30MPa未満
3:引張弾性率が30MPa以上35MPa未満
2:引張弾性率が35MPa以上45MPa未満
1:引張弾性率が45MPa以上
【0106】
((4)チューブ状成形体の耐キンク性)
実施例及び比較例で得られたチューブ状成形体を用いて、引張圧縮試験機によりチューブ屈曲時の応力を測定した。具体的には、長さ30cmのチューブを対象とし、チャック間距離を10cmにセットし、クロスヘッドスピード200mm/分で折り曲げ測定を行った。
応力とチャック間距離との関係から得られる応力カーブの一例を
図1に示す。
図1の例において、応力が最大になるときのチャック間距離(
図1のX)をチューブがキンクする瞬間のチャック間距離(キンク位置)とし、このキンク位置に対応するチャック間距離の値が大きいものほど、キンク性が良好であるものとして、次の基準で評価した。
5:キンク位置が60mm以上
4:キンク位置が56mm以上60mm未満
3:キンク位置が53mm以上56mm未満
2:キンク位置が50mm以上53mm未満
1:キンク位置が50mm未満
【0107】
((5)チューブ状成形体の耐ベタつき性)
実施例及び比較例で得られたチューブ状成形体を試験片として、摩擦感テスター(KES−SE,カトーテック(株)製)を用いて耐ベタつき性を評価した。
2cm長のチューブを切り出し内層センサー部に取り付け、10cmのチューブを試料台に固定し、センサー部の試験片とチューブが接するように設置した。
試験条件は、掃引速度は、1mm/秒、荷重は、25gとした。得られた摩擦係数μ(無次元)を次の基準で評価した。
5:摩擦係数が0.9未満
4:摩擦係数が0.9以上1.5未満
3:摩擦係数が1.5以上2.1未満
2:摩擦係数が2.1以上2.7未満
1:摩擦係数が2.7以上
【0108】
((6)チューブ状成形体の歪回復性)
実施例及び比較例で得られたチューブ状成形体を用い、1cm幅の荷重1kgを2本のチューブに載せて、23℃で6時間加圧保持した後に圧力を開放し、30分後の厚みを測定し、残留歪の大きさを評価した。
得られた残留歪から、次の基準で評価した。
5:残留歪が10%未満
4:残留歪が10%以上20%未満
3:残留歪が20%以上30%未満
2:残留歪が30%以上50%未満
1:残留歪が50%以上
【0109】
((7)チューブ状成形体のCFC測定)
表2及び表3における実施例及び比較例で得られた成形体を試験試料として、昇温溶離分別による溶出温度−溶出量曲線を以下のように測定し、各温度での溶出量、積分溶出量、及び溶出成分の分子量分布を求めた。
まず、充填剤を含有したカラムを145℃に昇温し、水素化ブロック共重合体組成物をオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液を導入して、140℃で30分間保持した。次に、カラムの温度を、降温速度1℃/分で−20℃まで降温した後、60分間保持し、試料を充填剤表面に析出させた。
その後、カラムの温度を、昇温速度40℃/分で5℃間隔で順次昇温し、各温度で溶出した試料の濃度を検出した。そして、試料の溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度−溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量と分子量分布を求めた。
・装置:CFC型クロス分別クロマトグラフ(Polymer Char社製)
・検出器:IR型赤外分光光度計(Polymer Char社製)
・検出波長:3.42μm
・カラム:Shodex HT−806M×3本(昭和電工社製)
・カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)
・分子量校正法:標品較正法(ポリスチレン換算)
・溶離液:オルトジクロロベンゼン
・流量:1.0mL/分
・試料濃度:120mg/30mL
・注入量:0.5mL
得られた溶出温度−溶出量曲線より、−20℃以下の全容量中の積分溶出量(%)、−20℃超60℃未満の範囲の全容量中の積分溶出量(%)、60℃以上150℃以下の範囲の全容量中の積分溶出量(%)及び、10〜60℃の溶出成分の分子量分布を求めた。
【0110】
((8)性能バランス)
各項目の合計点数が、17点以上であり、かつ、1点がないチューブを性能バランスが優れていると評価した。
【0111】
〔水素化ブロック共重合体(a)の製造方法〕
(水素化触媒の調製)
水素化ブロック共重合体の水素化反応に用いた水素化触媒を、下記の方法で製造した。
窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
【0112】
(製造例1:水素化ブロック共重合体(a−1))
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用して、バッチ重合を行った。
反応器内に1Lのシクロヘキサンを入れ、その後、n−ブチルリチウム(以下「Bu−Li」ともいう。)を全モノマー100質量部に対して0.050質量部と、ビニル化剤としてのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TMEDA」ともいう。)をBu−Liを1モルに対して0.05モル添加した。
第1ステップとして、ブタジエン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。
なお重合中、温度は65℃にコントロールした。
次に第2ステップとして、TMEDAをBu−Liを1モルに対して1.50モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、NaOAmとする)をBu−Liを1モルに対して0.05モル添加し、ブタジエン85質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を60分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。
なお重合中、温度は60℃にコントロールした。
次に第3ステップとして、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。なお重合中、温度は65℃にコントロールした。
なお、ブロック共重合体の調整過程で得られたステップ毎にポリマーをサンプリングした。得られたブロック共重合体の分析値は、スチレン含有量5質量%、重量平均分子量249,000、分子量分布1.12であった。
次に、得られたブロック共重合体に、上記水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体に対して0.3質量部添加した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−1)の水添率は99.5%、MFRは2g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−1)の解析結果を表1に示す。
【0113】
(製造例2:水素化ブロック共重合体(a−2))
Bu−Liを0.050質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン10質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン82質量部とし、第3ステップとして、スチレン5質量部とし、第4ステップを追加して、ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。
なお重合中、温度は65℃にコントロールしブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−2)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−2)は、スチレン含有量5質量%、重量平均分子量251,000、分子量分布1.14、水添率99.8%、MFR4g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−2)の解析結果を表1に示す。
【0114】
(製造例3:水素化ブロック共重合体(a−3))
Bu−Liを0.060質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン15質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン78質量部とし、第3ステップとして、スチレン7質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−3)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−3)は、スチレン含有量7質量%、重量平均分子量204,000、分子量分布1.19、水添率99.66%、MFR2.9g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−3)の解析結果を表1に示す。
【0115】
(製造例4:水素化ブロック共重合体(a−4))
Bu−Liを0.053質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン3質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン85質量部とし、第3ステップとして、スチレン12質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−4)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−4)は、スチレン含有量12質量%、重量平均分子量225,000、分子量分布1.22、水添率99.3%、MFR1.9g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−4)の解析結果を表1に示す。
【0116】
(製造例5:水素化ブロック共重合体(a−5))
Bu−Liを0.042質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン6質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン91質量部とし、第3ステップとして、スチレン3質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−5)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−5)は、スチレン含有量3質量%、重量平均分子量282,000、分子量分布1.29、水添率98.6%、MFR3.9g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−5)の解析結果を表1に示す。
【0117】
(製造例6:水素化ブロック共重合体(a−6))
Bu−Liを0.078質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン16質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン72質量部とし、第3ステップとして、スチレン12質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−6)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−6)は、スチレン含有量12質量%、重量平均分子量161,000、分子量分布1.12、水添率99.0%、MFR1.5g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−6)の解析結果を表1に示す。
【0118】
(比較製造例1:水素化ブロック共重合体(a−7))
Bu−Liを0.099質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン17質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン67質量部とし、第3ステップとして、スチレン16質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−7)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−7)は、スチレン含有量16質量%、重量平均分子量117,000、分子量分布1.09、水添率99.2%、MFR1.8g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−7)の解析結果を表1に示す。
【0119】
(比較製造例2:水素化ブロック共重合体(a−8))
Bu−Liを0.050質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン20質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン80質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−8)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−8)は、スチレン含有量0質量%、重量平均分子量250,000、分子量分布1.08、水添率99.5%、MFR32g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−8)の解析結果を表1に示す。
【0120】
(比較製造例3:水素化ブロック共重合体(a−9))
Bu−Liを0.122質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン5質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン70質量部とし、第3ステップとして、スチレン25質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−9)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−9)は、スチレン含有量25質量%、重量平均分子量88,000、分子量分布1.11、水添率99.0%、MFR3.1g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−9)の解析結果を表1に示す。
【0121】
(比較製造例4:水素化ブロック共重合体(a−10))
Bu−Liを0.072質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン35質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン63質量部とし、第3ステップとして、スチレン2質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−10)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−10)は、スチレン含有量2質量%、重量平均分子量169,000、分子量分布1.12、水添率98.3%、MFR4.8g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−10)の解析結果を表1に示す。
【0122】
(比較製造例5:水素化ブロック共重合体(a−11))
Bu−Liを0.065質量部とし、第1ステップとして、スチレン8質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン85質量部とし、第3ステップとして、スチレン7質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−11)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−11)は、スチレン含有量15質量%、重量平均分子量178,000、分子量分布1.12、水添率99.2、MFR4.8g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−11)の解析結果を表1に示す。
【0123】
(比較製造例6:水素化ブロック共重合体(a−12))
Bu−Liを0.050質量部とし、第1ステップ前のTMEDAを0.250モルとし、第1ステップとして、ブタジエン10質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン85質量部とし、第3ステップとして、スチレン5質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−12)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−12)は、スチレン含有量5質量%、重量平均分子量248,000、分子量分布1.16、水添率99.1%、MFR9.2g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−12)の解析結果を表1に示す。
【0124】
(比較製造例7:水素化ブロック共重合体(a−13))
水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、ブロック共重合体を重合した後、水添率をコントロールした水素化ブロック共重合体(a−13)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−13)は、スチレン含有量5質量%、重量平均分子量253,000、分子量分布1.15、水添率70.0%、MFR15.2g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−13)の解析結果を表1に示す。
【0125】
(比較製造例8:水素化ブロック共重合体(a−14))
Bu−Liを0.055質量部とし、第2ステップ前のTMEDAを0.65モルとし、NaOAmは添加せず、ブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−14)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−14)は、スチレン含有量5質量%、重量平均分子量239,000、分子量分布1.08、水添率99.4%、MFR2.9g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−14)の解析結果を表1に示す。
【0126】
(比較製造例9:水素化ブロック共重合体(a−15))
Bu−Liを0.055質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン15質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン70質量部とし、第3ステップとして、スチレン15質量部とし、第2ステップ前のTMEDAを0.65モルとし、NaOAmは添加せず、ブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−15)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−15)は、スチレン含有量15質量%、重量平均分子量249,000、分子量分布1.08、水添率99.0%、MFR3.2g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−15)の解析結果を表1に示す。
【0127】
(製造例7:水素化ブロック共重合体(a−16))
Bu−Liを0.048質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン2質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン83質量部とし、第3ステップとして、スチレン15質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−16)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−16)は、スチレン含有量15質量%、重量平均分子量262,000、分子量分布1.15、水添率98.9%、MFR3.2g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−16)の解析結果を表1に示す。
【0128】
(製造例8:水素化ブロック共重合体(a−17))
Bu−Liを0.050質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン2質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン96質量部とし、第3ステップとして、スチレン2質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−17)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−17)は、スチレン含有量2質量%、重量平均分子量252,000、分子量分布1.13、水添率99.3%、MFR2.8g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−17)の解析結果を表1に示す。
【0129】
(製造例9:水素化ブロック共重合体(a−18))
Bu−Liを0.050質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン18質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン80質量部とし、第3ステップとして、スチレン2質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−18)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−18)は、スチレン含有量2質量%、重量平均分子量232,000、分子量分布1.18、水添率99.5%、MFR3.0g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−18)の解析結果を表1に示す。
【0130】
(製造例10:水素化ブロック共重合体(a−19))
Bu−Liを0.050質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン2質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン85質量部とし、第3ステップとして、スチレン13質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−19)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−19)は、スチレン含有量13質量%、重量平均分子量272,000、分子量分布1.15、水添率99.2%、MFR2.7g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−19)の解析結果を表1に示す。
【0131】
(製造例11:水素化ブロック共重合体(a−20))
Bu−Liを0.050質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン12質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン73質量部とし、第3ステップとして、スチレン15質量部としブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−20)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−20)は、スチレン含有量15質量%、重量平均分子量252,000、分子量分布1.19、水添率99.8%、MFR3.2g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−20)の解析結果を表1に示す。
【0132】
(製造例12:水素化ブロック共重合体(a−21))
Bu−Liを0.050質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン12質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン82質量部とし、第3ステップとして、スチレン6質量部とし、第4ステップとして、ブタジエン15質量部とし、ブロック共重合体を製造したこと以外は、水素化ブロック共重合体(a−2)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(a−21)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−21)は、スチレン含有量6質量%、重量平均分子量242,000、分子量分布1.19、水添率99.5%、MFR6.4g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(a−21)の解析結果を表1に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
〔水素化ブロック共重合体(b1)、(b2)、(b3)〕
水素化ブロック共重合体(b1):旭化成ケミカルズ(株)製 H1062
水素化ブロック共重合体(b2):旭化成ケミカルズ(株)製 H1221
水素化ブロック共重合体(b3):WO 2010/104068の製造例4と同様の方法でポリマーを得た。
【0135】
〔ポリプロピレン樹脂〕
実施例及び比較例で用いたポリプロピレン樹脂は、
ポリプロピレン樹脂(c1):サンアロマー製「PC630A」(プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR=7.5g/10分)であった。
ポリプロピレン樹脂(c2):サンアロマー製「PM931」(プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR=25g/10分)であった。
【0136】
〔チューブ状成形体の製造〕
(実施例1〜13、及び比較例1〜12)
<単層チューブ状成形体>
水素化ブロック共重合体と、ポリプロピレン樹脂とを、下記表2に示す配合比率でドライブレンドし、単軸押出機(40mmφ)、チューブダイを用いて190℃、押出速度10m/min、チューブダイの外径13mm、内径11mmで押出成型することにより外径7.0mm、内径5.0mmのチューブ状成形体を作製した。
なお、外径、内径はスクリュー回転数を変えることにより調整した。
【0137】
【表2】
【0138】
表2の結果より、実施例1〜13で得られたチューブ状成形体は、透明性、柔軟性、耐キンク性、耐べたつき性、歪回復性のバランスが良好であることが分かった。
これに対して、比較例1〜12で得られたチューブ状成形体は、透明性、柔軟性、耐キンク性、耐べたつき性、歪回復性のバランス性に劣ることが分かった。
【0139】
(実施例14〜18、及び比較例13〜20)
(3層チューブ状成形体)
水素化ブロック共重合体と、ポリプロピレン樹脂とを、下記表3に示す配合比率、層構成で、ドライブレンドし、外層は単軸押出機(20mmφ)、中間層は単軸押出機(25mmφ)、内層は単軸押出機(30mmφ)を用い、3層用チューブダイを用いて190℃、押出速度10m/min、チューブダイの外径15mm、内径12mmで押出成型することにより、外径7.0mm、内径5.0mmのチューブ状成形体を作製した。
なお、外径、内径、各層の厚みは其々のスクリュー回転数を変えることにより調整した。
【0140】
【表3】
【0141】
表3の結果より、実施例14〜18で得られたチューブ状成形体は、透明性、柔軟性、耐キンク性、耐べたつき性、歪回復性のバランスが良好であることが分かった。
これに対して、比較例13〜20で得られたチューブ状成形体は、透明性、柔軟性、耐キンク性、耐べたつき性、歪回復性のバランス性に劣ることが分かった。
【0142】
本出願は、2015年9月9日に日本国特許庁に出願された日本特許出願(特願2015−177933)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。