(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563507
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】磁気トンネル接合
(51)【国際特許分類】
H01L 43/08 20060101AFI20190808BHJP
H01L 43/10 20060101ALI20190808BHJP
H01L 21/8239 20060101ALI20190808BHJP
H01L 27/105 20060101ALI20190808BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20190808BHJP
H01F 10/14 20060101ALI20190808BHJP
H01F 10/16 20060101ALI20190808BHJP
H01F 10/13 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
H01L43/08 M
H01L27/105 447
H01L29/82 Z
H01L43/08 Z
H01L43/10
H01F10/14
H01F10/16
H01F10/13
【請求項の数】21
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-544893(P2017-544893)
(86)(22)【出願日】2016年2月16日
(65)【公表番号】特表2018-516450(P2018-516450A)
(43)【公表日】2018年6月21日
(86)【国際出願番号】US2016018077
(87)【国際公開番号】WO2016167870
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2017年10月18日
(31)【優先権主張番号】14/687,280
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン テクノロジー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100106851
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 泰久
(72)【発明者】
【氏名】シディック,マンザール
(72)【発明者】
【氏名】クラ,ヴィトルド
(72)【発明者】
【氏名】サンデュ,ガーテ エス.
【審査官】
小山 満
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−124185(JP,A)
【文献】
特表2012−502447(JP,A)
【文献】
米国特許第06788502(US,B1)
【文献】
国際公開第2010/095525(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0318848(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/026802(WO,A1)
【文献】
特開2013−247259(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/022304(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/041890(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 43/08
H01F 10/13
H01F 10/14
H01F 10/16
H01L 21/8239
H01L 27/105
H01L 29/82
H01L 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極と、
前記第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む第二の導電性磁気電極と、
前記第一の磁気電極と前記第二の磁気電極との間にあり、MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料であって、前記非磁性トンネル絶縁体材料にはBがない、非磁性トンネル絶縁体材料と、
を含み、
前記第一の磁気電極の前記磁気記録材料および前記第二の磁気電極の前記磁気基準材料のうちの少なくとも一方は、CoおよびFeを含みBがない結晶質磁気領域を含み、
前記第一の磁気電極および前記第二の磁気電極のうちの前記少なくとも一方は、非磁性MgO含有領域と、非晶質金属領域とを含み、
前記非晶質金属領域は、a)Zr、W、MoおよびCrの少なくとも一つと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金、あるいは、b)AlとNiの合金であり、
Bがない前記CoおよびFeを含有する結晶質磁気領域は、前記非磁性トンネル絶縁体材料と、前記非磁性MgO含有領域との間にあり、
前記非晶質金属領域は、前記非磁性MgO含有領域と、Bがない前記CoおよびFeを含有する結晶質磁気領域と、の間にある、
磁気トンネル接合。
【請求項2】
前記非晶質金属領域は、AlとNiの合金を含む
請求項1に記載の磁気トンネル接合。
【請求項3】
前記非晶質金属領域は、Zrと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金を含む
請求項1に記載の磁気トンネル接合。
【請求項4】
前記非晶質金属領域は、Wと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金を含む
請求項1に記載の磁気トンネル接合。
【請求項5】
前記非晶質金属領域は、Moと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金を含む
請求項1に記載の磁気トンネル接合。
【請求項6】
前記非晶質金属領域は、Crと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金を含む
請求項1に記載の磁気トンネル接合。
【請求項7】
前記非晶質金属領域は、Zr、W、MoおよびCrの少なくとも一つと、Feを含む合金を含む
請求項1に記載の磁気トンネル接合。
【請求項8】
前記非晶質金属領域は、Zr、W、MoおよびCrの少なくとも一つと、Coを含む合金を含む
請求項1に記載の磁気トンネル接合。
【請求項9】
前記非晶質金属領域は、Zr、W、MoおよびCrの少なくとも一つと、Niを含む合金を含む
請求項1に記載の磁気トンネル接合。
【請求項10】
前記非晶質金属領域は、Zr、W、MoおよびCrの少なくとも二つを含む合金を含む
請求項1に記載の磁気トンネル接合。
【請求項11】
磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極と、
前記第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む第二の導電性磁気電極と、
前記第一の磁気電極と前記第二の磁気電極の間にあり、MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料であって、前記非磁性トンネル絶縁体材料にはBがない、非磁性トンネル絶縁体材料と、
を含み、
前記第一の磁気電極の前記磁気記録材料および前記第二の磁気電極の前記磁気基準材料のうちの少なくとも一方は、CoおよびFeを含みBがない結晶質磁気領域を含み、
前記第一の磁気電極および前記第二の磁気電極のうちの前記少なくとも一方は、導電性材料と、前記導電性材料とは異なる非晶質金属領域とを含み、
前記非晶質金属領域は、a)Zr、W、MoおよびCrの少なくとも一つと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金、あるいは、b)AlとNiの合金であり、
Bがない前記CoおよびFeを含有する結晶質磁気領域は、前記非磁性トンネル絶縁体材料と、前記導電性材料との間にあり、
前記非晶質金属領域は、前記導電性材料と、Bがない前記CoおよびFeを含有する領域との間にある、
磁気トンネル接合。
【請求項12】
前記非晶質金属領域は、AlとNiの合金を含む
請求項11に記載の磁気トンネル接合。
【請求項13】
前記非晶質金属領域は、Zrと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金を含む
請求項11に記載の磁気トンネル接合。
【請求項14】
前記非晶質金属領域は、Wと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金を含む
請求項11に記載の磁気トンネル接合。
【請求項15】
前記非晶質金属領域は、Moと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金を含む
請求項11に記載の磁気トンネル接合。
【請求項16】
前記非晶質金属領域は、Crと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金を含む
請求項11に記載の磁気トンネル接合。
【請求項17】
前記非晶質金属領域は、Zr、W、MoおよびCrの少なくとも一つと、Feを含む合金を含む
請求項11に記載の磁気トンネル接合。
【請求項18】
前記非晶質金属領域は、Zr、W、MoおよびCrの少なくとも一つと、Coを含む合金を含む
請求項11に記載の磁気トンネル接合。
【請求項19】
前記非晶質金属領域は、Zr、W、MoおよびCrの少なくとも一つと、Niを含む合金を含む
請求項11に記載の磁気トンネル接合。
【請求項20】
前記非晶質金属領域は、Zr、W、MoおよびCrの少なくとも二つを含む合金を含む
請求項11に記載の磁気トンネル接合。
【請求項21】
磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極と、
前記第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む第二の導電性磁気電極と、
前記第一の電極と前記第二の電極との間にあり、MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料であって、前記トンネル絶縁体材料にはBがない、非磁性トンネル絶縁体材料と、
を含み、
前記第一の磁気電極および前記第二の磁気電極の前記磁気記録材料および前記磁気基準材料は、それぞれ、前記非磁性トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触する其々の結晶質磁気領域を含み、
前記第一の磁気電極および前記第二の磁気電極のうちの少なくとも一方の前記結晶質磁気領域は、CoおよびFeを含み、Bがなく、
Bがない前記CoおよびFeを含有する結晶質磁気領域を含む、前記第一の磁気電極および前記第二の磁気電極のうちの前記少なくとも一方は、導電性材料と、前記導電性材料とは異なる非晶質金属領域とを含み、
前記非晶質金属領域は、a)Zr、W、MoおよびCrの少なくとも一つと、Fe、CoおよびNiの少なくとも一つとの合金、あるいは、b)AlとNiの合金であり、
Bがない前記CoおよびFeを含有する結晶質磁気領域は、前記非磁性トンネル絶縁体材料と、前記導電性材料との間にあり、約30オングストローム程の最大の厚さを有し、
前記非晶質金属領域は、前記導電性材料と、Bがない前記CoおよびFeを含有する結晶質磁気領域との間にあり、約100オングストローム程の最大の厚さを有する、
磁気トンネル接合。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される実施形態は、磁気トンネル接合と、磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法と、磁気トンネル接合を形成する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気トンネル接合は、薄い非磁性トンネル絶縁体材料(例えば、誘電体材料)によって分離された二つの導電性磁気電極を有する集積回路コンポーネントである。適切な条件下で絶縁体材料を介して、一方の磁気電極から他方の磁気電極に電子がトンネルすることができるように、絶縁体材料は、十分に薄い。磁気電極のうちの少なくとも一つは、その全体の磁化方向を、通常の動作の書き込み電流/電圧または消去電流/電圧において、二つの状態間でスイッチングさせることができ、“自由”電極または“記録”電極と一般に呼ばれる。他方の磁気電極は、“基準”、“固定”または“ピン留”電極と一般に呼ばれ、その全体の磁化方向は、通常の動作の書き込み電流/電圧または消去電流/電圧の印加でスイッチングしないだろう。基準電極および記録電極は、其々の導電性ノードに電気的に結合される。基準電極、絶縁体材料および記録電極を通る、二つのノード間の電流の抵抗は、基準電極の全体の磁化方向に対する、記録電極の全体の磁化方向に依存する。したがって、磁気トンネル接合は、少なくとも二つの状態のうちの一つにプログラムされることができ、それらの状態は、磁気トンネル接合を通る電流を測定することによって検知されることができる。磁気トンネル接合は、二つの電流導通状態間で“プログラムされる”ことができるため、メモリ集積回路での利用のために提案されてきた。さらに、磁気トンネル接合は、メモリとは別に、または、メモリに加えて、論理回路または他の回路で用いられることができる。
【0003】
記録電極の全体の磁化方向は、電流誘発外部磁界によって、または、スピントランスファートルク(STT)効果をもたらすスピン分極電流を用いることによって、スイッチングされることができる。電荷キャリア(電子など)は、キャリアに対して固有の少量の角運動量である、“スピン”として知られる特性を有する。電流は、通常は分極されていない(約50%の“スピンアップ”電子と約50%の“スピンダウン”電子とを有する)。スピン分極電流は、どちらかのスピンの電子を非常に多く有する電流である。ある種の磁気材料(ポラライザ材料と、時に呼ばれることもある)に電流を通すことによって、スピン分極電流を生成することができる。スピン分極電流が磁気材料へと向けられると、スピン角運動量は、その材料に伝達されることがあり、それによって、その磁化配向に影響を及ぼす。これは、振動を励起するため、または、スピン分極電流が十分な大きさを有する場合、磁気材料の配向/磁区方向を反転(即ち、スイッチング)するためにさえも、用いられることができる。
【0004】
CoおよびFeの合金または他の混合物は、ポラライザ材料として、および/または磁気トンネル接合内の記録電極の磁気記録材料の少なくとも一部として用いるために提案される一般的な材料の一つである。より具体的な一例は、Co
xFe
yB
zであり、ここで、xおよびyは各々10から80であり、zは0から50であり、これは、CoFeまたはCoFeBと略されることがある。MgOは、非磁性トンネル絶縁体として理想的な材料である。理想的には、このような材料は、各々、体心立方(bcc)001格子を有する結晶質である。このような材料は、任意の適切な技術を用いて、例えば、物理蒸着によって堆積されることができる。このような材料内にbcc001格子を最終的に生成するために有用な一技術は、CoFeを非晶質であるようにまず形成することを含み、その上にMgO含有トンネル絶縁体材料が堆積される。堆積中および/または堆積後に、MgOトンネル絶縁体、CoFe、およびトンネル絶縁体は、均一なbcc001格子構造を、理想的には個々に達成する。
【0005】
CoFeの最初の非晶質堆積を保証するか、または提供するために、CoFeの一部としてホウ素が通常堆積される。CoFeの結晶化は、少なくとも約350℃の温度で、基板をアニールすることによって、MgOの堆積中、または堆積後に生じることができる。これは、bcc001CoFeへの結晶化を可能にするために、形成されるCoFe母材からのB原子の拡散を誘発するだろう。bcc001MgOは、CoFeの結晶化中のテンプレートとして機能する。しかしながら、完成した磁気トンネル接合構造内におけるBは、望ましくないことに、具体的にはCoFe/MgO界面において、またはMgO格子内部で、磁気トンネル接合のトンネル磁気抵抗効果(TMR)を減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】本発明の一実施形態による、磁気トンネル接合の製造における、仕掛り中の基板断片の概略断面図である。
【
図4】
図3によって示された処理ステップの後の処理ステップにおける
図3の基板断片の図である。
【
図5】
図4によって示された処理ステップの後の処理ステップにおける
図4の基板断片の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態は、磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法と、磁気トンネル接合を形成する方法とを含む。さらに、本発明の実施形態は、製造方法とは関係なく、磁気トンネル接合を含む。本発明の幾つかの実施形態による例示的方法は、基板断片10について、
図1を参照して最初に記述され、基板断片10は、半導体基板を含むことができる。本文書の文脈においては、“半導体基板”または“半導電性基板”という語は、(単独の、もしくは上に載った他の材料を含むアセンブリのいずれか)半導電性ウェーハなどのバルク半導電性材料、および(単独の、もしくは他の材料を含むアセンブリのいずれか)半導電性材料層を含むもののこれらには限定されない半導電性材料を含む、任意の構造を意味するように定義される。“基板”という語は、上述された半導電性基板を含むがそれには限定されない任意の支持構造を指す。基板断片10は、その上に高さ方向の積層として既に様々な材料が形成されていることを示す、ベースまたは基板11を含む。材料は、
図1に示された材料からずれていたり、それらよりも高さ方向で内部にあったり、またはそれらよりも高さ方向で外部にあったりすることができる。例えば、部分的または完全に製造された、集積回路の他のコンポーネントが、断片10の周囲または断片10内の何処かに設けられていてもよい。基板11は、(複数の)導電性(即ち、本明細書では電気的に導電性)材料、半導電性材料、または、絶縁性/絶縁体(即ち、本明細書では電気的に絶縁性)材料のうちの、任意の一つ以上を含むことができる。それとは関係なく、本明細書に記述される材料、領域および構造のいずれも、均質であってもよいし、均質でなくてもよく、また、それとは関係なく、これらが上を覆う任意の材料の上で、連続的であってもよいし、不連続であってもよい。さらに、他に示されない限りは、各材料は、任意の適切な技術または任意の未開発の技術を用いて形成されることができ、その技術の例は、原子層堆積、化学蒸着、物理蒸着、エピタキシャル成長、拡散ドーピングおよびイオン注入である。
【0008】
形成される磁気(即ち、本明細書では、フェリ磁性または強磁性)電極材料の導電性材料12が、基板11の上に形成される。一つ以上の元素金属、二つ以上の元素金属の合金、導電性を有するようにドープされた半導電性材料および導電性金属化合物などの、任意の導電性材料が、用いられることができる。一実施形態においては、導電性材料12は、非磁性である。一つの具体例の材料12は、タンタル元素である。導電性材料12に対する例示的な最大の厚さは、約5オングストロームから約500オングストロームである。本文書においては、“厚さ”とは、それ自体では(先行する、方向を示す形容詞がないと)、異なる組成物の直接隣接する材料、または直接隣接する領域の、最も近い表面から垂直に、所定の材料または領域を通る平均直線距離として定義される。さらに、本明細書に記述される様々な材料または領域は、実質的に一定の厚さであってもよいし、または一定しない厚さであってもよい。一定しない厚さの場合には、厚さとは、他に示されない限りは平均の厚さを指す。本明細書で用いられるように、“異なる組成物”とは、例えば、二つの言及された材料又は領域が均質ではない場合には、そのような材料又は領域のうちの相互に直接接触し得る部分同士が、化学的および/または物理的に異なることのみを必要とする。二つの言及された材料または領域が相互に直接接触していない場合、“異なる組成物”は、このような材料または領域が均質ではない場合に、二つの言及された材料または領域のうち相互に対して最も近い部分同士が、化学的および/または物理的に異なることのみを必要とする。本文書においては、材料、領域または構造は、言及された材料、領域または構造の相互に対する少なくとも幾らかの物理的接触が存在する場合には、他のものに“直接接触している(directly against)”ものとされる。対照的に、“直接(directly)”が先行していない“上(over)”、“上(on)”、および“接触して(against)”は、“直接接触している”を包含するとともに、(複数の)中間材料、(複数の)中間領域、または(複数の)中間構造の結果として、言及された材料、領域、または構造の相互に対する物理的接触がない構成をも包含する。
【0009】
Co、FeおよびBを含む材料14は、導電性材料12の上に形成される。一実施形態においては、材料14は、CoおよびFeの合金を含み、非晶質Co
40Fe
40B
20がその一例である。本文書で用いられる場合、材料または領域を“非晶質”であると特徴づけることは、言及された材料のうち、体積で少なくとも90%が非晶質であることを必要とする。材料14が用いられる場合、その例示的な最大の厚さは、約2オングストロームから約6オングストロームである。
【0010】
非磁性MgO含有材料16は、(材料14の有無とは関係なく)導電性材料12の上に形成される。材料16は、MgOを含むか、MgOで実質的に構成されるか、MgOで構成されてもよい。MgO含有材料16に対する例示的な最大の厚さは、約3オングストロームから約10オングストロームである。材料14を含む目的は、MgOの堆積中に、bcc001MgOを形成することを容易にすることである。材料16を含む目的は、形成される導電性磁気電極の磁気材料内の垂直方向の磁気異方性を容易にすることであり、それは、幾つかの磁気トンネル接合で望ましい動作上の特性である。
【0011】
非晶質金属18は、MgO含有材料16の上に形成され、一実施形態においては、図示されるように、MgO含有材料16に直接接触して形成される。一実施形態においては、非晶質金属18は、遷移金属の合金を含み、一実施形態においては、遷移金属の合金で実質的に構成されるか、または遷移金属の合金で構成される。一実施形態においては、非晶質金属18は、Fe、Coおよび別の遷移金属を含む合金を含む。一実施形態においては、非晶質金属18は、Hf、Zr、W、Mo、Al、CrおよびTaのうちの少なくとも一つと、Fe、CoおよびNiのうちの少なくとも一つとの合金を含む。一実施形態においては、非晶質金属18は、W合金、例えば、Wと、Fe、CoおよびNiのうちの任意の一つ以上との合金を含む。一実施形態においては、非晶質金属18は、約3オングストロームから約5オングストロームの最大の厚さを有する。
【0012】
CoおよびFeを含む非晶質磁気電極材料20は、非晶質金属18の上に形成され、一実施形態においては、非晶質金属18に直接接触して形成される。非晶質磁気電極材料20には、Bがない。本文書においては、“Bがない”とは、0原子%のBから0.1原子%以下のBを意味する。本明細書での“磁気を有すること”に対する言及は、言及された磁気材料または磁気領域が最初に形成されるときに磁気を有することを必要としないが、磁気トンネル接合の完成した回路構造においては、言及された磁気材料または磁気領域のうちの幾らかの部分が機能的に“磁気を有する”ことを必要とする。一実施形態においては、非晶質磁気電極材料20のCoおよびFeは、非晶質金属18に直接接触して形成される。一実施形態においては、非晶質磁気電極材料20は、0℃から約30℃の温度で形成され、このような一実施形態においては、少なくとも約20℃の温度で形成される。一実施形態においては、非晶質磁気電極材料20は、約−250℃から0℃未満の温度で形成され、このような一実施形態においては、約−250℃から約−20℃の温度で形成される。30℃未満、理想的には0℃未満での電極材料20の形成は、このような材料にBがなく、かつ非晶質金属18が存在するときの、電極材料20の非晶質での形成を容易にする。材料20に対する例示的な最大の厚さは、約7オングストロームから約15オングストロームである。
【0013】
MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料22は、非晶質磁気電極材料20に直接接触して形成される。トンネル絶縁体材料22には、Bがない。非磁性トンネル絶縁体材料22は、MgOを含むか、MgOで実質的に構成されるか、MgOで構成されてもよい。トンネル絶縁体材料22に対する例示的な最大の厚さは、約5オングストロームから約25オングストロームである。
【0014】
材料12、14、16、18および20は、形成される磁気トンネル接合の導電性磁気電極25を最終的に形成するために、まとめて用いられるだろう。材料24は、トンネル絶縁体材料22の外側に向けて形成されるものとして示され、一実施形態においては、材料22に直接接触して形成されるものとして示され、形成される磁気トンネル接合の別の導電性磁気電極27を形成するうえで最終的に利用されるだろう。電極25および27のうちの一方は、磁気記録材料を含むように構成されるが、電極25および27のうちの他方は、磁気基準材料を含むように構成されるだろう。電極25および27は、非磁性絶縁体材料もしくは領域、半導電性材料もしくは領域、および/または導電性材料もしくは領域を、個々に含むことができる。しかしながら、個々に考えるとき、電極25および27は、本質的には局所的に非磁性および/または非導電性である内部の一つ以上の領域を当該電極が有し得るとしても、全体としてはまとめて、磁性を有し、かつ導電性であるものとして、特徴づけられる。電極27に対する例示的な最大の厚さは、約20オングストロームから約150オングストロームである。ほんの一例として、材料24は、トンネル絶縁体材料22に直接接触している13オングストロームのCo
40Fe
40B
20を含み、Co
40Fe
40B
20に直接接触している3オングストロームのTaを含み、Taに直接接触している40オングストロームの、Pd/Ptを伴うCoの合金/複数層を含み、電極27は、このような例においては、磁気基準電極として機能する。このような諸材料は、このような例においては、その磁気基準材料を集合的に構成する。例えば、結晶化した際には材料20が磁気記録材料として最終的に機能する一方で、このような例における電極25は、磁気記録電極として機能する。
【0015】
トンネル絶縁体材料22の形成後、非晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料20は、少なくとも約250℃の温度で(例えば、不活性雰囲気中で)アニールされ、トンネル絶縁体材料22のMgO含有表面から(例えば、表面23から)、結晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料20を形成する。結晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料20には、Bがない。アニール用の例示的な望ましい上限温度は、450℃である。本文書において用いられるとき、材料または領域が“結晶質”であると特徴づけることは、言及された材料または領域のうちの少なくとも90%の体積が結晶質であることを必要とする。一実施形態においては、結晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料20は、約7オングストロームから約15オングストロームの最大の厚さを有する。
【0016】
材料12、14、16、18、20、22および24は、形成される磁気トンネル接合の所望の完成回路構造を形成するために、基板11の上に全体を覆うように形成され、その後、まとめてパターニングされることができる。あるいは、このような一つ以上の材料のパターニングは、任意のこのような材料が基板11の上に形成される前、形成中、もしくは形成後、および/または任意のアニール前、アニール中もしくはアニール後に、起こり得る。それとは関係なく、一実施形態においては、導電性磁気電極25は、磁気記録材料(例えば、結晶質でCoおよびFeを含有する材料20)を含み、導電性磁気電極27は、磁気基準材料を含む。追加的または代替的に考えると、電極25および27の高さ方向の位置は、逆転されてもよく、および/または高さ方向の積層以外の方向づけ(例えば、横方向や、斜め方向や、高さ方向と水平方向と斜め方向のうちの一つ以上の組み合わせなど)が用いられてもよい。本文書においては、“高さ方向(elevational)”、“上(upper)”、“下(lower)”、“上部(top)”、“底部(bottom)”とは、垂直方向についての言及である。“水平方向(horizontal)”とは、基板が製造中に加工される対象となる主表面にほぼ沿った方向を指し、垂直方向とは、それに対してほぼ直交する方向である。さらに、本明細書で用いられるように“垂直方向”および“水平方向”とは、三次元空間において、相互に対して、ほぼ垂直な方向同士のことであって、基板の方向づけとは関係しない。
【0017】
磁気トンネル接合の磁気電極を形成する別の実施形態の方法が、基板断片10aについて、
図2を参照して次に記述される。上記の実施形態での類似の参照番号が、適切な場合には用いられ、幾つかの構造的差異は、添え字“a”で示される。非晶質金属18aは、(導電性材料12または他の材料の有無とは関係なく)基板11の上に形成される。一実施形態においては、図示されるように、非晶質金属18aは、形成される磁気電極25aのうち物理的および/または化学的に異なる他の導電性材料12と直接接触して形成される。一実施形態においては、非晶質金属18aは、約10オングストロームから約100オングストロームの最大の厚さを有する。
【0018】
CoおよびFeを含む(Bがない)非晶質磁気電極材料20は、約−250℃から約30℃の温度で非晶質金属18aの上に形成される。一実施形態においては、非晶質磁気電極材料20aは、0℃から約30℃の温度で形成される。一実施形態においては、非晶質磁気電極材料20は、約−250℃から約0℃未満までの温度で形成され、一実施形態においては、約−20℃未満までの温度で形成される。
【0019】
MgOを含む(Bがない)非磁性トンネル絶縁体材料22は、非晶質磁気電極材料20に直接接触して形成される。トンネル絶縁体材料22を形成した後、非晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料20は、少なくとも約250℃の温度でアニールされ、トンネル絶縁体材料22のMgO含有表面から(例えば、表面23から)、結晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料20(Bがない)を形成する。上述されたような、および/または
図1に示されたような、任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様は、
図2の実施形態で用いられることができる。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態により磁気トンネル接合を形成する方法が、基板断片10bについて
図3を参照することから始めて、次に記述される。上述された実施形態と類似の参照番号が、適切な場合には用いられ、幾つかの構造的差異は、添え字“b”または異なる参照番号で示される。内側磁気電極材料25bが、基板11の上に形成される。電極25bは、上述された実施形態のような材料12、14、16、18/18aおよび20(図示せず)、ならびに/または追加の、もしくは他の(複数の)材料のうちの、任意の一つ以上を含むことができ、上述されたか、または他の(複数の)プロセスのうちの、任意のプロセスを用いて形成されることができる。MgOを含む(Bがない)非磁性トンネル絶縁体材料22は、内側磁気電極材料25bの上に形成される。
【0021】
トンネル絶縁体材料22を形成した後、トンネル絶縁体材料22は、少なくとも約250℃の温度で、一実施形態においては、約300℃から約550℃の温度で、アニールされる。これは、トンネル絶縁体材料22のMgOの結晶化を誘発するため、および/またはbcc001格子方位などの、所望の均一な結晶をその中に生成するために、実施されることができる。
【0022】
図4を参照すると、アニールした後、一実施形態においては、外側結晶質磁気電極材料30が、アニールされたトンネル絶縁体材料22のMgO含有表面から(例えば、表面29から)、少なくとも約150℃(一実施形態においては、約250℃未満)の温度で形成される。外側結晶質磁気電極材料30は、CoとFeとを含み、Bがない。上述された、CoおよびFeを含有する材料(でBがないもの)のうちの、任意の材料が用いられることができる。
【0023】
別の一実施形態においては、トンネル絶縁体材料22をアニールした後、外側非晶質磁気電極材料30が、アニールされたトンネル絶縁体材料22に直接接触して、約−250℃から約0℃未満の温度で形成される。このような外側非晶質磁気電極材料30は、CoとFeとを含み、Bがない。それは、アニールされたトンネル絶縁体材料22のMgO含有表面から(例えば、表面29から)、外側の結晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料30(Bがない)を形成するために、少なくとも約250℃の温度でその後アニールされる。一実施形態においては、外側非晶質磁気電極材料30のCoおよびFeは、約−20℃以下の温度で、アニールされたトンネル絶縁体材料22に直接接触して形成される。一実施形態においては、外側結晶質磁気電極材料30を形成するためのアニールは、少なくとも約300℃の温度で実施され、一実施形態においては、約400℃ほどの温度で、実施される。
【0024】
図5を参照すると、追加材料24bが、導電性磁気電極27bの一部をなすように、外側結晶質磁気電極材料30の上に堆積される。一実施形態においては、外側結晶質磁気電極材料30は、約5オングストロームから約15オングストロームの最大の厚さを有する。上述された、ならびに/または
図1および
図2に示された、任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様は、
図3から
図5の実施形態で用いられることができる。
【0025】
本発明の実施形態は、上記の記述のうちの任意のものにしたがって製造された、磁気トンネル接合の磁気電極を含む。本発明の実施形態は、また、上記の記述のうちの任意のものにしたがって製造された、磁気トンネル接合も含む。
【0026】
さらに、本発明の実施形態は、製造方法によらない磁気トンネル接合を含み、また、議論はそのように進んで結論に至る。このような実施形態は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極と、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む、第二の導電性磁気電極とを含む。上述された例示的な電極25、25a、25b、27および27bは、このような第一の電極または第二の電極を含むことができる。代替的または追加的に考えると、磁気トンネル接合が材料の積層として製造されるとき、高さ方向の外側の電極または高さ方向の内側の電極のいずれかが、磁気記録材料または磁気基準材料を含むことができる。それとは関係なく、MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料(例えば、トンネル絶縁体材料22)は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体には、Bがない。一実施形態においては、非磁性トンネル絶縁体材料は、約20オングストロームほどの最大の厚さを有する。
【0027】
一実施形態においては、磁気記録材料と磁気基準材料のうちの少なくとも一つは、CoおよびFeを含みBがない結晶質磁気領域を含み、このような領域は、約30オングストローム程の最大の厚さを有し、一実施形態においては約20オングストロームほど、一実施形態においては約15オングストロームほどの、最大の厚さを有する。このような結晶質磁気領域のCoおよびFeは、トンネル絶縁体のMgOに直接接触している。例として、コンポーネント20および/または30(Bがない場合)は、電極25/25a/25bまたは電極27/27bのうちの一方の一部である、磁気記録材料または磁気基準材料でできた、そうした結晶質磁気領域を含むことができる。一実施形態においては、磁気記録材料および磁気基準材料の双方は、CoおよびFeを含み、Bがなく、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触し、約30オングストロームほどの最大の厚さを有する、結晶質磁気領域を有する。上述されたような、および/または図面に示されたような、他の任意の(複数の)属性または(複数の)態様が用いられることができる。
【0028】
一実施形態においては、MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料は、約20オングストローム程の最大の厚さを有する。第一の電極および第二の電極の磁気記録材料および磁気基準材料は、CoおよびFeを含み、Bがなく、約30オングストローム程の最大の厚さを有する、其々の結晶質磁気領域を、このような結晶質磁気領域のCoおよびFeがトンネル絶縁体材料のMgOと直接接触するか否かとは関係なく、各々含む。一実施形態においては、BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域は、約20オングストローム程の最大の厚さを其々有し、一実施形態においては、約15オングストローム程の最大の厚さを其々有する。一実施形態においては、第二の電極の、BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域は、第一の電極のものよりも大きい最大の厚さを有する。上述されたような、および/または図面に示されたような、任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様が用いられることができる。
【0029】
一実施形態においては、第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一方の磁気記録材料または磁気基準材料は、CoおよびFeを含み、Bがない、結晶質磁気領域(例えば、材料20)を含む。このような一実施形態においては、このような領域は、約20オングストローム程の最大の厚さを有する。第一の電極および第二の電極のうちのこのような少なくとも一方は、また、非磁性MgO含有領域(例えば、材料16)および非晶質金属領域(例えば、材料18)も含む。BがなくCoおよびFeを含有する磁気領域(例えば、材料20)は、トンネル絶縁体材料(例えば、材料22)と、MgO含有領域(例えば、材料16)との間にある。非晶質金属領域(例えば、材料18)は、MgO含有領域(例えば、材料16)と、BがなくCoおよびFeを含有する磁気領域(材料20)との間にある。このような一実施形態においては、MgO含有領域は、約3オングストロームから約10オングストロームの最大の厚さを有する。一実施形態においては、非晶質金属領域は、約3オングストロームから約5オングストロームの最大の厚さを有する。一実施形態においては、結晶質磁気領域のCoおよびFeは、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触し、一実施形態においては、非晶質金属領域と直接接触する。一実施形態においては、非晶質金属領域は、MgO含有領域のMgOと直接接触する。一実施形態においては、第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一方は、Co、FeおよびBを含む別の領域(例えば、材料14)を含む。一実施形態においては、その別の領域は、約10オングストローム未満の最大の厚さを有する。一実施形態においては、その別の領域のCo、FeおよびBは、MgO含有領域のMgOと直接接触する。上述されたような、および/または図面に示されたような、任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様を用いることができる。
【0030】
一実施形態においては、第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一方の磁気記録材料または磁気基準材料は、CoおよびFeを含みBがない結晶質磁気領域(例えば、Bがないときの材料20または材料30)を含む。第一の電極および第二の電極のうちのこのような少なくとも一方は、導電性材料(例えば、材料12)と、導電性材料とは異なる非晶質金属領域(例えば、材料18/18a)とを含む。BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域(例えば、材料20)は、トンネル絶縁体材料(例えば、材料22)と導電性材料(例えば、材料12)との間にある。非晶質金属領域(例えば、材料18/18a)は、導電性材料(例えば、材料12)と、BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域(例えば、材料20)との間にある。一実施形態においては、結晶質磁気領域のCoおよびFeは、非晶質金属領域に直接接触し、一実施形態においては、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触する。一実施形態においては、非晶質金属領域は、導電性材料に直接接触し、一実施形態においては、約10オングストロームから約100オングストロームの最大の厚さを有する。一実施形態においては、結晶質磁気領域は、約7オングストロームから約15オングストロームの最大の厚さを有する。上述されたような、および/または図面に示されたような、任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様が用いられることができる。
【0031】
一実施形態においては、第一の電極および第二の電極の磁気記録材料および磁気基準材料は、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触する、其々の結晶質磁気領域(例えば、材料20および材料30)を含む。第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一方の結晶質磁気領域は、CoおよびFeを含み、Bがない。BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域を含む、第一の電極および第二の電極のうちのこのような少なくとも一方は、導電性材料(例えば、材料12)と、導電性材料とは異なる非晶質金属領域(例えば、材料18/18a)とを含む。BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域(例えば、材料20)は、トンネル絶縁体材料(例えば、材料22)と導電性材料(例えば、材料12)との間にあって、約30オングストローム程の最大の厚さを有する。非晶質金属領域(例えば、材料18/18a)は、導電性材料(例えば、材料12)と、BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域(例えば、材料20)との間にあって、約100オングストローム程の最大の厚さを有する。上述されたような、および/または図面に示されたような、任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様が用いられることができる。
【0032】
製造の方法とは独立した、上述された磁気トンネル接合構造の実施形態の各々は、方法の実施形態に関して図示され、および/または上述された、構造的特徴または属性のうちの、任意のものを組み込むことができ、無論、このような方法の実施形態のうちの任意の(複数の)態様または(複数の)属性を用いて製造されることができる。
【0033】
図1から
図4の例示的実施形態は、単一の磁気トンネル接合(SMTJ)を示す。しかしながら、デュアル磁気トンネル接合(DMTJ)またはデュアル(2つ)より多い磁気トンネル接合が考えられる。
【0034】
[結論]
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法は、形成される磁気電極の導電性材料の上に、非磁性MgO含有材料を形成することを含む。非晶質金属は、MgO含有材料の上に形成される。CoおよびFeを含む非晶質磁気電極材料は、非晶質金属の上に形成される。非晶質磁気電極材料には、Bがない。MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料は、非晶質磁気電極材料に直接接触して形成される。トンネル絶縁体材料には、Bがない。トンネル絶縁体材料を形成した後、非晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料は、少なくとも約250℃の温度でアニールされ、トンネル絶縁体材料のMgO含有表面から、結晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料を形成する。結晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料には、Bがない。
【0035】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法は、基板の上に非晶質金属を形成することを含む。CoおよびFeを含む非晶質磁気電極材料は、約−250℃から約30℃の温度で非晶質金属の上に形成される。非晶質磁気電極材料には、Bがない。MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料は、非晶質磁気電極材料に直接接触して形成される。トンネル絶縁体材料には、Bがない。トンネル絶縁体材料を形成した後、非晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料は、少なくとも約250℃の温度でアニールされ、トンネル絶縁体材料のMgO含有表面から、結晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料を形成する。結晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料には、Bがない。
【0036】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合を形成する方法は、基板の上に内側磁気電極材料を形成することを含む。MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料は、内側磁気電極材料の上に形成される。トンネル絶縁体材料には、Bがない。トンネル絶縁体材料を形成した後、トンネル絶縁体材料は、少なくとも約250℃の温度でアニールされる。アニール後、外側結晶質磁気電極材料は、アニールされたトンネル絶縁体材料のMgO含有表面から、少なくとも約150℃の温度で形成される。外側結晶質磁気電極材料は、CoおよびFeを含み、Bがない。
【0037】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合を形成する方法は、基板の上に内側磁気電極材料を形成することを含む。MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料は、内側磁気電極材料の上に形成される。トンネル絶縁体材料には、Bがない。トンネル絶縁体材料を形成した後、トンネル絶縁体材料は、少なくとも約250℃の温度でアニールされる。トンネル絶縁体材料のアニールの後、外側非晶質磁気電極材料は、アニールされたトンネル絶縁体材料に直接接触して、約−250℃から0℃未満の温度で形成される。外側非晶質磁気電極材料は、アニールされたトンネル絶縁体材料に直接接触しているCoおよびFeを含み、Bがない。外側の非晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料は、少なくとも約250℃の温度でアニールされ、アニールされたトンネル絶縁体材料のMgO含有表面から、外側の結晶質でCoおよびFeを含有する磁気電極材料を形成する。結晶質でCoおよびFeを含有する外側磁気電極材料には、Bがない。
【0038】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極を含む。第二の導電性磁気電極は、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む。MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体材料は、Bがなく、約20オングストローム程の最大の厚さを有する。磁気記録材料および磁気基準材料のうちの少なくとも一方は、CoおよびFeを含みBがない結晶質磁気領域を含む。BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域は、約30オングストローム程の最大の厚さを有する。結晶質磁気領域のCoおよびFeは、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触する。
【0039】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極を含む。第二の導電性磁気電極は、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む。MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体は、Bがなく、約20オングストローム程の最大の厚さを有する。第一の電極および第二の電極の磁気記録材料および磁気基準材料は、CoおよびFeを含み、Bがなく、約30オングストローム程の最大の厚さを有する、其々の結晶質磁気領域を各々含む。
【0040】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極を含む。第二の導電性磁気電極は、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む。MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体材料には、Bがない。第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一方の磁気記録材料または磁気基準材料は、CoおよびFeを含みBがない結晶質磁気領域を含む。第一の電極および第二の電極のうちの上記の少なくとも一方は、非磁性MgO含有領域と非晶質金属領域とを含む。BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域は、トンネル絶縁体材料とMgO含有領域との間にある。非晶質金属領域は、MgO含有領域と、BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域との間にある。
【0041】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極を含む。第二の導電性磁気電極は、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む。MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体材料には、Bがない。第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一方の磁気記録材料または磁気基準材料は、CoおよびFeを含みBがない結晶質磁気領域を含む。第一の電極および第二の電極のうちの上記の少なくとも一方は、導電性材料と、導電性材料とは異なる非晶質金属領域とを含む。BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域は、トンネル絶縁体材料と導電性材料との間にある。非晶質金属領域は、導電性材料と、BがなくCoおよびFeを含有する領域との間にある。
【0042】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極を含む。第二の導電性磁気電極は、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む。MgOを含む非磁性トンネル絶縁体材料は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体材料には、Bがない。第一の電極および第二の電極の磁気記録材料および磁気基準材料は、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触する、其々の結晶質磁気領域を含む。第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一方の結晶質磁気領域は、CoおよびFeを含み、Bがない。BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域を含む、第一の電極および第二の電極のうちの上記の少なくとも一方は、導電性材料と、導電性材料とは異なる非晶質金属領域とを含む。BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域は、トンネル絶縁体材料と、導電性材料との間にあり、約30オングストローム程の最大の厚さを有する。非晶質金属領域は、導電性材料と、BがなくCoおよびFeを含有する結晶質磁気領域との間にあり、約100オングストローム程の最大の厚さを有する。
【0043】
法令に従って、本明細書に開示された主題は、構造的特徴および方法的特徴に関して、多かれ少なかれ、具体的に言語で記述されてきた。しかしながら、請求項は、図示され、記述された特定の特徴には限定されないことを理解されたい。なぜなら、本明細書に開示された手段は、例示的実施形態を含むからである。したがって、請求項には、言語で表現された通りの完全な範囲が与えられるべきであって、また、請求項は、均等論に従って、適切に解釈されるべきである。