特許第6563510号(P6563510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

6563510低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靭厚鋼板及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563510
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靭厚鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20190808BHJP
   C22C 38/58 20060101ALI20190808BHJP
   C21D 8/02 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   C22C38/00 301A
   C22C38/00 302B
   C22C38/58
   C21D8/02 B
   C21D8/02 D
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-549212(P2017-549212)
(86)(22)【出願日】2015年12月8日
(65)【公表番号】特表2018-512508(P2018-512508A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】CN2015096636
(87)【国際公開番号】WO2016150196
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2017年9月19日
(31)【優先権主張番号】201510125485.1
(32)【優先日】2015年3月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】302022474
【氏名又は名称】宝山鋼鉄股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 四 新
(72)【発明者】
【氏名】姚 連 登
(72)【発明者】
【氏名】王 笑 波
(72)【発明者】
【氏名】趙 曉 ▲ティン▼
【審査官】 静野 朋季
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−222453(JP,A)
【文献】 特開2014−118579(JP,A)
【文献】 特開2008−075107(JP,A)
【文献】 特開平05−230530(JP,A)
【文献】 特開平05−222450(JP,A)
【文献】 特開平09−271830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00−38/60
C21D 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引張強度が1100Mpa以上であり、降伏強度が690Mpa以上であり、伸び率が14%以上であり、降伏比が0.65より低く、−84℃の低温での衝撃エネルギーが60Jより大きく、
化学元素の質量百分率の含有量が、
C:0.05〜0.11%、Si:0.10〜0.40%、Mn:1.60〜2.20%、S≦0.003%、Cr:0.20〜0.70%、Mo:0.20〜0.80%、Nb:0.02〜0.06%、Ni:3.60〜5.50%、Ti:0.01〜0.05%、Al:0.01〜0.08%、0<N≦0.0060%、0<O≦0.0040%、0<Ca≦0.0045%であり、
残部がFe及び不可避不純物であり;
さらに、Ni+Mn≧5.5を満足し、
Ca含有量は、ESSP=(Ca wt%)[1−1.24(O wt%)]/1.25(S wt%)によって限定し、そのうち、当該ESSPは硫化物混じり形状制御指数であり、値の範囲は0.5〜5の間にあることを特徴とする厚鋼板。
【請求項2】
さらにTi/N≧3.0を満足することを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板。
【請求項3】
さらに1.2≦Ca/S≦3.5を満足することを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板。
【請求項4】
さらに0.01〜0.10wt.%のV及び0.50〜1.00wt.%のCuの少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板。
【請求項5】
V元素を有、0.45C≦Nb+V≦1.55Cをさらに満足することを特徴とする請求項4に記載の厚鋼板。
【請求項6】
Cu元素を有、Ni≧1.45(Mn+Cu)をさらに満足することを特徴とする請求項4に記載の厚鋼板。
【請求項7】
ミクロ組織が逆変態オーステナイトと焼戻しマルテンサイトを有することを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板。
【請求項8】
前記逆変態オーステナイトの相の比率が3〜10体積%であることを特徴とする請求項7に記載の厚鋼板。
【請求項9】
前記鋼板の厚さが5〜60mmであることを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板。
【請求項10】
製錬、鋳造、加熱、2段階圧延、焼入れ、焼入れ後の冷却、及び焼戻しの工程を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の厚鋼板の製造方法。
【請求項11】
前記鋳造工程において、鋳込プロセスを採用し、鋳込温度が1490〜1560℃であり、鋳込の過熱度を8〜35℃に限定することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記加熱工程において、加熱温度を1080〜1250℃に限定し、スラブ中心が当該温度に達する後に、当該温度を60〜300min保持することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記2段階圧延工程において、再結晶領域圧延の単バスの圧下率を8%以上に限定し、
再結晶領域圧延の合計圧下率を50%以上に限定し、無再結晶領域圧延の単スの圧下率を12%以上に限定し、無再結晶領域圧延の合計圧下率を50%以上に限定することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項14】
前記2段階圧延の工程において、無再結晶領域圧延の圧延開始温度を800〜860℃、仕上圧延温度を770〜840℃に限定することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項15】
前記焼入れ工程において、水焼入れプロセスを採用し、入水温度を750〜820℃とし、冷却速度を10〜150℃/sとし、最終冷却温度を室温〜350℃とすることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項16】
前記焼入れ後の冷却工程において、厚さが30mm以下の鋼板に対して、堆積冷却又は冷床冷却の方式によって鋼板を室温に冷却し、厚さが30mmを超えた鋼板に対して、堆積冷却又は保温徐冷の方式によって鋼板を室温まで冷却することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項17】
前記焼戻し工程において、焼戻し温度を650〜720℃に限定し、かつ鋼板中心が当該温度に達する後に、当該温度を10〜180min間保持することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚鋼板及びその製造方法に関し、特に高強靭厚鋼板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機器、炭鉱機械、港口機械、橋梁に用いられる鋼板には、通常に良好な強靱性が必要であって、構造が力と衝撃負荷を受ける時に安定な作業状態を保持する能力を備えるようにさせる。大型機械、潜水器、橋梁に用いられる鋼の安全性及び安定性を保証するために、一般的には、降伏強度を一定の安全係数で割って鋼材を選択する。降伏強度と引張強度との比は、降伏比と呼ばれる。工事応用において、降伏比は、主に以下のように表現される。即ち、鋼構造が降伏強度を超えた限界応力を受ける時、鋼板は、降伏開始から完全に失効までの過程の安全性係数である。鋼板の降伏強度は低く、鋼板が降伏強度を超えた応力を受ける時、応力が、引張強度による材料破断又は構造不安定を招くほどに達成する前に、広い安全範囲がある。鋼板の降伏比が高すぎると、鋼板が降伏強度に達する後に、急速に引張強度に達して破断することになる。よって、鋼構造の安全性に対する要求が高い場合、比較的な低い降伏強度の鋼板を採用する必要がある。鋼板は、高緯度極寒地域に使用される装備及び構造の建設に用いられる場合、高強度を有するとともに、極寒温度(−80℃)で良好な低温衝撃靱性をも有する必要があり、装備が衝撃を受ける時に脆性破壊が発生することを防ぐ。それとともに、鋼構造が極寒温度で、高性能が要求される場合の安全性を保証するために、高強度と低降伏比を兼ねる鋼材が必要である。
【0003】
鋼板の降伏現象が明らかである場合、降伏強度は、上降伏強度、下降伏強度を採用しており、鋼板の降伏現象が明らかでない場合、0.2%塑性変形の強度Rp0.2を降伏強度とする。低炭素鋼板の上降伏強度は、間隙原子が転位の付近にCottrell雰囲気を形成し、転位の運動開始を阻害する。転位の運動開始の後に、Cottrell雰囲気の効果がなくなり、鋼板に加える力が低下して、下降伏を形成する。転位の運動開始は、Cottrell雰囲気、及び転位ループと転位壁との交互作用を含むと、降伏現象が明らかでなくなる。降伏強度は、転位が大規模範囲で増殖し、及び運動して滑移帯を広める応力を代表する。従来の技術において、降伏強度は、運動可能の刃型転位の全てが結晶から滑り出ることに対応する応力であると認められている。引張強度は、材料が引張り過程で抵抗できる最大応力であり、通常に微細割れの核生成及び拡大を伴う。鋼板強度が増加する時、組織微細化のため、転位の密度が高く、衝撃作用を受ける時に吸収するエネルギーが低く、当該種類の鋼板の靱性が低下する。また、鋼板の強度が高いので、降伏比を効率的に0.8以下に低下させるのは難しいである。
【0004】
公開番号がCN103352167A、公開日が2013年10月16日、名称が「低降伏比高強度橋梁用鋼及びその製造方法」である中国特許文献は、橋梁用鋼を公開した。当該特許文献に公開された橋梁用鋼における各化学成分は、重量百分率(wt.%)で、C:0.06〜0.10%、Si:0.20〜0.45%、Mn:1.20〜1.50%、P:≦0.010%、S:≦0.0020%、Ni:0.30〜0.60%、Cu:0.20〜0.50%、Mo:0.15〜0.50%、Nb:0.025〜0.060%、Ti:≦0.035%、Alt:0.020〜0.040%を含み、残部がFe及び不可避不純物である。当該特許文献に公開された橋梁用鋼のミクロ組織は、ベイナイト+フェライト+パーライトである。
【0005】
公開番号がCN103103452A、公開日が2013年5月15日、名称が「低温用途の低降伏比高強度高靱性鋼及びその製造方法」である中国特許文献には、高靱性鋼及びその製造方法が公開されている。当該高靱性鋼の各化学成分は、質量百分率(wt.%)で、C:0.05〜0.10、Si:0.15〜0.35、Mn:1.0〜1.8、P<0.014、S<0.001、Nb:0.03〜0.05、Ti:0.0012〜0.02、Ni:0.5〜1.0、Cr:0.1〜0.4、Cu:0.5〜1.0、Mo:0.1〜0.5、Alt:0.001〜0.03を含み、残部がFe及び微量な不純物である。当該特許文献に公開された高靱性鋼のミクロ組織は、微細なベイナイト+フェライトであり、さらに残留オーステナイト膜のミクロ組織を含む。
【0006】
公開番号がCN101676427A、公開日が2010年3月24日、名称が「高強度低降伏比鋼板」である中国特許文献は、高強度低降伏比の鋼板に関わり、当該鋼板の各化学元素は、質量百分率(wt.%)で、C:0.15〜0.20%、Si:1.0〜2.0%、Mn:1.8〜2.0%、Al≦0.036%、V:0.05〜0.1%、P≦0.01%、S≦0.005%、Cr:0.8〜1.0%を含み、残部がFe及び他の不可避不純物である。当該鋼板のミクロ組織は、微細なベイナイト+マルテンサイトである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板を提供することにあり、当該鋼板は、比較的に大きい引張強度、降伏強度及び伸び率を有し、かつ比較的に小さい降伏比を有し、かつ良好な低温靱性を有する。よって、本発明に記載の鋼板は、良好な高強靱性及び低降伏比を兼ねる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を実現するために、本発明は、低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板を提出し、当該鋼板の化学元素の質量百分率の含有量が、
C:0.05〜0.11%;
Si:0.10〜0.40%;
Mn:1.60〜2.20%;
S≦0.003%;
Cr:0.20〜0.70%;
Mo:0.20〜0.80%;
Nb:0.02〜0.06%;
Ni:3.60〜5.50%;
Ti:0.01〜0.05%;
Al:0.01〜0.08%;
0<N≦0.0060%;
0<O≦0.0040%;
0<Ca≦0.0045%であり,残部がFe及び不可避不純物であり;
また,NiとMn元素は、Ni+Mn≧5.5を満足する。
【0009】
本発明に記載の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板における各化学元素の設計原理は、以下のようである。
【0010】
C:鋼におけるC元素の添加量の変化は、鋼板の相変態の類型が異なることを招く。C元素と合金元素の含有量が低いと、フェライト、パーライトなどの拡散型の相変態が発生する。C元素と合金元素の含有量が高いと、マルテンサイト変態が発生する。C原子の増加は、オーステナイトの安定性を増加させるが、C元素の含有量が高すぎると、鋼板の塑性と靱性を低下させてしまう。直接焼入れの過程において、C含有量が低すぎると、鋼板に高強度の組織を形成できなくなる。C元素が鋼板の強靱性と強塑性に対する影響をまとめると、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板におけるC含有量は、0.05wt.%≦C≦0.11wt.%に限定する。
【0011】
Si:鋼に添加するSi元素は、原子置換、固溶強化によって鋼板の強度を向上させるが、Si含有量が高すぎると、鋼板溶接時に熱割れを増加させる傾向がある。このため、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板におけるSi含有量は、0.10〜0.40wt.%の範囲に限定する。
【0012】
Mn:Mnは、固溶強化によって鋼板の強靱性を向上させる。また、Mnはオーステナイトを安定させる元素であり、オーステナイトの相領域の拡大に有利である。本発明の技術方案では、Ni、Mn及びCを合わせて添加し、焼戻し過程におけるオーステナイトの相領域を制御して、鋼板に焼戻しの時に逆変態オーステナイトを形成させる。これとともに、マルテンサイトにおけるMn元素は引張強度を向上させる。逆変態オーステナイトとマルテンサイトの両相組織は、鋼板の降伏比を効率的に低下させる。よって、本発明の技術方案に基づいて、鋼板におけるMn元素の質量百分率含有量を1.60〜2.20%に設定すべき、これによって鋼板の降伏比と強靱性を調整する。
【0013】
S:Sは鋼において硫化物を形成し、鋼板の低温衝撃靱性を低下させる。本発明の鋼板において、S元素は制御すべく不純物元素であり、石灰化処理によって硫化物を球状化することで、Sが低温衝撃靱性に対する影響を低下することができる。本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板について、Sの含有量は0.003wt.%を超えない。
【0014】
Cr:Crは鋼板の焼入れ性を向上させ、鋼板に冷却の時にマルテンサイト組織を形成させる。Cr含有量が高すぎると、鋼板の炭素当量が増加し、溶接性を劣化させる。鋼板厚さの要素を考慮して、適量のCrを添加する必要があり、このため、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板には、Cr含有量を0.20〜0.70wt.%に限定する。
【0015】
Mo:Moは、拡散性の相変態を効率的に抑制でき、鋼板に冷却の時に高強度の低温相変態組織を形成させる。Mo含有量が低すぎると、鋼板の拡散性相変態への抑制効果を十分に発揮できず、鋼板に冷却の時にもっと多くのマルテンサイト組織を得ることができなく、鋼板の強度を低下させる。Mo含有量が高すぎると、炭素当量の増加を招く、溶接性能を劣化させる。鋼板の厚さ要素を考慮して、鋼板におけるMo含有量を0.20〜0.80 wt.%に制御する必要がある。
【0016】
Nb:鋼に添加されるNbは、オーステナイト粒界運動を抑制でき、鋼板を高い温度で再結晶させる。高い温度でオーステナイト化する時、オーステナイトに固溶されたNbは、圧延の時に変形誘導析出効果によって、転位及び粒界においてNbC粒子を形成し、粒界運動を抑制して、鋼板の強靱性を向上できる。しかし、Nb含有量が高すぎると、粗大なNbCを形成する可能性があり、鋼板の低温衝撃性能を劣化させる。よって、本発明の高強靱厚鋼板に添加されたNbの含有量は、鋼板の力学性能を効率的に制御できるように0.02〜0.06wt.%に限定すべきである。
【0017】
Ni:Niは鋼においてFeと共に固溶体を形成し、結晶格子の積層欠陥を低減することで鋼板靱性を向上させる。低温靱性に優れた高強靱厚鋼板を得るために、鋼板に一定のNiを添加する必要がある。Niは、オーステナイトの安定性を増加させ、鋼板に冷却の過程でマルテンサイトと残留オーステナイト組織を形成させて、降伏比を低下させる。しかし、Ni含有量が増加すると、鋼板に焼戻し過程において逆変態オーステナイト組織を形成させ、逆変態オーステナイトとマルテンサイトは、鋼板の降伏比を低下させる。このため、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板におけるNi含有量は、3.60〜5.50wt.%に限定すべきである。
【0018】
Ti:Tiは溶鋼においてNと共にチタン窒化物を形成し、その後、より低い温度範囲で酸化物及び炭化物を形成する。しかし、Ti含有量が高すぎると、溶鋼に粗大なTiNを生成してしまう。TiN粒子は立方体であり、粒子の角部が応力集中になりやすく、割れの形成の起源と呼ばれる。Tiが鋼板における添加作用をまとめて考慮して、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板におけるTi含有量を0.01〜0.05wt.%の範囲に制御する。
【0019】
Al:鋼に添加するAlは、酸化物と窒化物を形成することで、結晶粒を微細化する。鋼板の靱性を向上してその溶接性能を保証するために、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板におけるAl含有量を0.01〜0.08wt.%に限定する。
【0020】
N:本発明の技術方案において、Nは限定すべく添加元素である。Nは、Ti及びNbと共に窒化物を形成できる。オーステナイト化の過程において、鋼板に溶解しない窒化物は、オーステナイト粒界運動を障害して、オーステナイト結晶粒の微細化効果を達する。N元素の含有量が高すぎると、NとTiは粗大なTiNを形成し、鋼板の力学性能を劣化させる。それとともに、N原子は、鋼の欠陥において富化して、気孔と粗めを形成させる。よって、N含有量は0<N≦0.0060wt.%に限定すべきである。
【0021】
O:Oは、鋼において、Al、Si及びTiと共に酸化物を形成する。鋼板の加熱によるオーステナイト化の過程で、Alの酸化物は、オーステナイトの成長を抑制し、結晶粒を微細化する役割を担う。しかし、O含有量が多い鋼板は、溶接の場合、熱割れを発生する傾向があるので、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板におけるO含有量を0<O≦0.0040wt.%に限定する。
【0022】
Ca:Caは、鋼に添加すると、CaSを形成し、硫化物を球状化する役割を担い、鋼板の低温衝撃靱性を向上させる。よって、本発明の高強靱厚鋼板におけるCa含有量は、0<Ca≦0.0045wt.%に限定する必要がある。
【0023】
本発明の技術方案において、N、O及びCaは限定すべく添加元素である。
本技術方案において、不可避不純物は、主にP元素であり、P元素の含有量が低いほど好ましい。
【0024】
この他、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板におけるNi元素及びMn元素は、Ni+Mn≧5.5wt.%に満足する必要がある。
【0025】
鋼板が焼戻しの後に逆変態オーステナイトを形成し、降伏強度と引張強度との間の格差を効率的に広げて、降伏比を低下させるために、鋼板におけるNiとMnの合計量を限定する必要がある。NiとMnは、いずれもオーステナイト相領域を広げて、得られるオーステナイトの焼戻し温度を低下させる。Mnが鋼板強度に対する貢献は、Niが鋼板強度に対する貢献より高い。厚鋼板の力学性能に超低降伏比及び高強靱性を備える状況についてまとめて考慮すると、上記NiとMn元素は、それぞれの成分の限定要求に満たす以外、NiとMnの合計量は、5.5wt.%以上に達する必要がある。
【0026】
さらに、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板において、TiとNは、さらにTi/N≧3.0に満たす必要がある。
【0027】
TiとN合金元素は、Ti/N≧3.0との条件に満たす必要がある原因は、TiとNが液相に析出し、正方型TiNを形成することにある。TiN粒子が大き過ぎると、鋼板の疲労性能を影響しており、TiN含有量が低すぎると、オーステナイト結晶粒の成長に対する抑制作用が明らかでない。
【0028】
さらに、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板において、CaとSは、さらに1.2≦Ca/S≦3.5に満たす必要がある。
【0029】
通常に、Ca含有量は、ESSP=(Ca wt%)*[1−1.24(O wt%)]/1.25(S wt%)によって限定し、そのうち、ESSPは硫化物混じり形状制御指数であり、値の範囲は0.5〜5の間にあることが好ましい。カルシウム−硫比について、制御する必要があり、本発明の技術方案にとって、CaとSの元素は、1.2≦Ca/S≦3.5に満たす必要がある。
【0030】
さらに、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板には、0.01〜0.10wt.%のV及び0.50〜1.00wt.%のCuの少なくとも一つを有する。
【0031】
鋼に添加されたVは、固溶強化及びMC型炭化物の析出強化効果によって鋼板の強靱性を向上させる。しかし、V元素の含有量が高すぎると、MC型炭化物は、熱処理過程で粗大化を発生し、低温靱性を影響する。鋼板の力学性能を保証するために、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板におけるV元素の含有量について、0.01wt.% ≦V≦0.10 wt.%に限定する必要がある。
【0032】
鋼に添加されたCuは、冷却及び焼戻し過程において、微細なε−Cuを形成し、転位運動を抑制して、鋼板の強度を向上させ、かつ鋼に添加されたCuは鋼板の靱性を影響しない。しかし、Cuを鋼に添加し、その融点が約1083℃であるので、加熱過程でCuが溶解して粒界に入るのを避けるために、Cuの含有量を0.50〜1.00wt.%に限定する必要がある。
【0033】
さらに、V元素を有する場合、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板におけるC、Nb及びVは、0.45*C≦Nb+V≦1.55*C(「*」は「掛ける」を指す)を満足する。
【0034】
NbとVは、冷却及び焼戻し過程で炭化物を形成する。C含有量が高すぎると、粗大なNb及びVの炭化物を形成し、よって、鋼板の−84℃における低温衝撃靱性を明らかに劣化させる。C含有量が低すぎると、形成した分散の炭化物が少なく、鋼板の強度を低下させる。Nbは、鋼板の再結晶を抑制し、厚さを低減し、鋼板の力学性能を向上させることを影響する。Nb及びVが鋼板の強靱性に対する影響をまとめて考慮すると、CとNb、Vとの間の関係は、鋼板の強靱性に整合することを保証するように、0.45*C≦Nb+V≦1.55*Cを満足する必要がある。
【0035】
さらに、Cu元素を有する場合、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板におけるNi、Mn及びCuは、Ni≧1.45(Mn+Cu)を満足する必要がある。
【0036】
Cuの融点が1083℃であり、鋼におけるCuは、加熱時に溶融する可能性があり、鋼板の表面の質量に劣化、内部割れなどの問題を招く。Cuが鋼板質量を影響することを避けるために、一定の含有量のNiを添加する必要がある。Mn含有量が高すぎると、粗大なMnS粒子を形成し、鋼板の低温靱性を低下させる。鋼板の低温靱性を向上させるために、一定の含有量のNiを補充として添加する必要がある。Mn及びCuの役割、及び2種類の元素とNiとの整合関係をまとめて考慮すると、Ni含有量がNi≧1.45(Mn+Cu)を満足することを保証する必要がある。
【0037】
本発明の技術方案は、高Ni、高Mn、低Cの成分体系を採用し、かつ本発明の技術方案はNi+Mnの合計量、CとNb+Vとの成分関係、NiとMn+Cuとの成分関係、及びTi/N比、Ca/S比を限定し、かつ後続のプロセス設計を組み合わせて、強靱性、降伏比と超低温衝撃性に優れた厚鋼板を得ることに用いられる。
【0038】
さらに、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板は、そのミクロ組織が逆変態オーステナイトと焼戻しマルテンサイトを有する。そのうち、逆変態オーステナイトとは、焼戻し過程で、フェライトから変態して生成するオーステナイトである。
【0039】
本発明の技術方案は、従来の技術のように柔軟相と硬相との組み合わせたミクロ組織によって、低降伏強度及び高い引張強度を有する鋼材料を得ることと異なり、従来の技術のようにフェライトとマルテンサイトの2相鋼を利用して、引張強度が高いかつ降伏比が低い鋼板を得ることと異なり、焼戻しマルテンサイトと逆変態オーステナイトのミクロ組織によって降伏比が低く、強度が高く、かつ低温靱性に優れた鋼板を得る。
【0040】
さらに、上記逆変態オーステナイトの相の比例は3〜10%である。
さらに、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板の厚さは5〜60mmである。
【0041】
本発明は、さらに低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板の製造方法を提供し、当該方法によって降伏比が低く、強靱性が高くかつ低温靱性が良好な厚鋼板を得ることができる。
【0042】
本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板の製造方法は、製錬、鋳造、加熱、2段階圧延、焼入れ、焼入れ後の冷却、及び焼戻しの工程を含む。
【0043】
さらに、上記鋳造工程において、鋳込プロセスを採用し、鋳込温度が1490〜1560℃であり、鋳込の過熱度を8〜35℃に限定する。
【0044】
上記鋳込温度を採用し、かつ一定の加熱度を限定すると、混ざり物の浮上を効率的に促進でき、スラブの質量を保証できる。
【0045】
さらに、上記加熱工程において、加熱温度を1080〜1250℃に限定し、スラブ中心が当該温度に達する後に60〜300minを保持する。
【0046】
加熱工程は、主に炭窒化物の溶解及びオーステナイト結晶粒の成長が発生する過程である。Nb、V、Ti、Cr及びMoのような炭化物形成元素の炭化物、又は炭窒化物は、部分的に鋼に溶解し、合金元素原子は拡散によってオーステナイトに固溶する。1080〜1250℃の加熱温度では、鋼板のオーステナイト化を実現できる。
【0047】
さらに、上記2段階圧延工程において、再結晶領域圧延の単バスの圧下率を8%以上に限定し、再結晶領域圧延の合計圧下率を50%以上に限定し、無再結晶領域圧延の単バスの圧下率を12%以上に限定し、無再結晶領域圧延の合計圧下率を50%以上に限定する。
【0048】
加熱後に圧延を行い、圧延工程において、一部の炭窒化物は変形誘導析出効果によって、欠陥において結晶核が成長し、最終の結晶粒を微細化して、鋼板の力学性能を向上させる。加熱後の鋼板は、2段階圧延技術を採用し、かつ再結晶領域圧延の単バスの圧下率、再結晶領域圧延の合計圧下率、無再結晶領域圧延の単バスの圧下率、無再結晶領域圧延の合計圧下率について上限を制限していなく、つまり、設備及び生産条件が許容する場合、上記パラメーターは下限の制限を満足する下に可及的に大きくすることができる。再結晶領域圧延の単バスの圧下率を8%以上に限定し、再結晶領域圧延の合計圧下率を50%以上に限定することで、オーステナイト結晶粒が十分に変形し、再結晶を発生させて、結晶粒を微細化できる。無再結晶領域圧延の単バスの圧下率を12%以上に限定し、無再結晶領域圧延の合計圧下率を50%以上に限定することで、転位密度を十分に向上させることに有利であり、Nb、Vなどが転位線及び零転位に細かい分散の析出を促進するとともに、相変態の核生成に充分な核生成位置を提供する。
【0049】
さらに、上記2段階圧延の工程において、無再結晶領域圧延の圧延開始温度を800〜860℃、仕上圧延温度を770〜840℃に限定することで、鋼板の転位密度を向上し、仕上げ組織を微細化して、高強度及び高靱性の鋼板を形成することに有利である。
【0050】
さらに、上記焼入れ工程では、水焼入れプロセスを採用し、入水温度を750〜820℃とし、冷却速度を10〜150℃/sとし、最終冷却温度を室温〜350℃とする。
【0051】
上記焼入れ工程では、鋼板におけるCr、Mn、Mn、Niなどの合金元素の総合的な作用によって、微細化のマルテンサイト組織を形成する。マルテンサイト組織におけるC元素は、結晶格子の歪みを招く、鋼板の降伏強度及び引張強度を大幅に向上させる。
【0052】
さらに、上記焼入れ後の冷却工程において、厚さが30mm以下の鋼板に対して、堆積冷却又は冷床冷却の方式によって鋼板を室温に冷却し、厚さが30mmを超えた鋼板に対して、堆積冷却又は保温徐冷の方式によって鋼板を室温まで冷却する。
【0053】
本発明の厚鋼板の厚さの範囲が5〜60mmであるので、厚さが異なる鋼板に対して、異なる冷却方式を採用する必要がある。
【0054】
さらに、上記焼戻し工程において、焼戻し温度を650〜720℃に限定し、かつ鋼板中心が当該温度に達する後に、10〜180minを保温し続ける。
【0055】
鋼板は、冷却後に、所定温度で焼戻し工程を完成する。焼戻し過程では、成分における異なる合金元素の作用によって、下記一連の変化が起こる。即ち、1)合金元素NiとMnは、オーステナイトの安定化に有利であり、焼戻し温度は、合金成分の設計におけるNi及びMnの含有量と密切に関係している。焼戻し温度が低すぎると、逆変態オーステナイトを形成できなく、低降伏比の設計目的を達成できなく;焼戻し温度が高すぎると、鋼板の強度が大幅に低下し、高強度を実現できなくとともに、低降伏比も実現できない。2)焼戻しの過程では、Nb、V及びTiが、CやNとともに炭窒化物を形成する。焼戻し温度が高すぎると、炭窒化物の粗大化が明らかであり、低温衝撃靱性を低下させ、鋼板が極めて低い温度で良好な低温衝撃靱性を実現できなく;焼戻し温度が低すぎると、Nb、V及びTiの析出が不十分であり、強度への貢献が低い。3)焼戻し過程では、形成されたε−Cuが析出し、鋼板における転位の運動を抑制でき、鋼板の強度を向上させる。焼戻し温度が低すぎると、Cuが十分に析出できなく、鋼板の強度への貢献が低下する。4)焼戻し過程では、鋼における転位が煙滅する可能性があり、転位密度が小さくなり、小角粒界の数量が低減して、鋼板の強度が低下してしまう。焼戻し温度が高すぎると、転位密度が低減する程度がはなはだしくなり、鋼板強度が明らかに低下する。5)焼戻しの後に、Cr、Mo及びCは結合して、複雑な炭化物を形成する。焼戻し工程の上記作用と、本発明の成分体系と、加熱、圧延、冷却工程を経て形成されたミクロ組織をまとめて考慮して、焼戻し温度を650〜720℃に設定し、鋼板中心が所定温度に達する後に10〜180minを保温し続ける。
【0056】
本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板は、高い引張強度を有し、その引張強度が1100Mpa以上であり、降伏強度が690Mpa以上であり、かつ伸び率が14%以上である。
【0057】
また、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板は、低い降伏比を有し、その降伏比が0.65より低い。
【0058】
また、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板は、良好な低温衝撃靱性を有し、その−84℃の低温での衝撃エネルギーが60Jより大きい。
【0059】
本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板の厚さの規格は5〜60mmに達することができる。
【0060】
本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板の製造方法では、引張強度が高く、降伏比が低く、低温靱性がよく、かつ厚さの範囲が適切である鋼板を生産できる。
【0061】
また、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板の製造方法は、中・厚鋼板の生産ラインで安定的に生産される。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、具体的な実施例に基づいて、本発明の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板及びその製造方法についてさらに解釈や説明をする。しかし、当該解釈や説明は本発明の技術方案を限定する意図がない。
【実施例】
【0063】
下記工程に応じて、実施例A1〜A6の低温衝撃靱性に優れた低降伏比高強靱厚鋼板を製造し、得られた厚鋼板のミクロ組織は、相比例が3〜10%である逆変態オーステナイトと焼戻しマルテンサイトを有する。
【0064】
1)製錬:溶鋼について製錬し、精錬して、鋼における各化学元素の質量百分率の配合比例は、表1のように示す;
2)鋳造:鋳込プロセスを採用し、鋳込温度が1490〜1560℃であり、鋳込の過熱度を8〜35℃に限定する;
3)加熱:加熱温度を1080〜1250℃に制御し、スラブ中心が当該温度に達する後に60〜300minを保持する;
4)2段階圧延工程:
4i)再結晶領域圧延:再結晶領域圧延の単バスの圧下率を8%以上に限定し、再結晶領域圧延の合計圧下率を50%以上に限定する;再結晶領域圧延の温度は、当分野で常用のものであり、一般的に圧延開始温度を1050〜1220℃、仕上圧延温度を880℃以上に限定する;
4ii)無再結晶領域圧延:圧延開始温度を800〜860℃、仕上圧延温度を770〜840℃に限定し、無再結晶領域圧延の単バスの圧下率を12%以上に限定し、無再結晶領域圧延の合計圧下率を50%以上に限定する;
5)焼入れ:水焼入れプロセスを採用し、入水温度を750〜820℃とし、冷却速度を10〜150℃/sとし、最終冷却温度を室温〜350℃とする;
6)焼入れ後の冷却:厚さが30mm以下の鋼板に対して、堆積冷却又は冷床冷却の方式によって鋼板を室温に冷却し、厚さが30mmを超えた鋼板に対して、堆積冷却又は保温徐冷の方式によって鋼板を室温まで冷却する;
7)焼戻し:焼戻し温度を650〜720℃に限定し、かつ鋼板中心が当該温度に達する後に、10〜180minを保温し続ける。
【0065】
上記製造方法に係わる各工程におけるプロセスのパラメーターは、表2に詳しく示さている。
【0066】
表1には、製造された実施例A1〜A6の厚鋼板における各化学元素の質量百分率での含有量を記述している。
【0067】
【表1】
【0068】
表2には、実施例A1〜A6の厚鋼板の製造方法のプロセスのパラメーターを記入している。
【0069】
【表2】
【0070】
上記厚鋼板がテストを経て得られる力学性能のパラメーターは、表3に示している。表3には、実施例A1〜A6の厚鋼板の各力学性能のパラメーターを記入している。
【0071】
表3には、実施例A1〜A6の厚鋼板の各力学性能のパラメーターを記入している。
【0072】
【表3】
【0073】
表3から分かるように、本発明実施例A1〜A6の厚鋼板の降伏比が0.64以下であり、引張強度が1130MPa以上であり、降伏強度が723MPa以上であり、伸び率が14%以上であり、かつシャルピー衝撃エネルギーAkv(−84℃)が74J以上である。よって、実施例A1〜A6の厚鋼板は、超低降伏比、高い強度(降伏強度及び引張強度)、及び良好な超低温靱性を兼ねて有し、極寒地域、及び安全性を高く要求する構造と装備に適用できる。
【0074】
注意すべくことは、上記に列挙されるものが本発明の具体的な実施例だけであり、本発明が上記実施例に限定されるものではなく、様々な変化を有する。当業者が本発明に開示の内容から直接に導出し又は連想できるあらゆる変化であれば、本発明の保護範囲に属する。