特許第6563511号(P6563511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563511猫の給餌用システム、本システムの使用方法、および本システム用の包装
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563511
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】猫の給餌用システム、本システムの使用方法、および本システム用の包装
(51)【国際特許分類】
   A01K 5/01 20060101AFI20190808BHJP
   A01K 15/02 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   A01K5/01 A
   A01K15/02
【請求項の数】23
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-550254(P2017-550254)
(86)(22)【出願日】2016年3月23日
(65)【公表番号】特表2018-512846(P2018-512846A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】US2016023693
(87)【国際公開番号】WO2016154257
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】62/137,501
(32)【優先日】2015年3月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/221,768
(32)【優先日】2015年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/074,557
(32)【優先日】2016年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517329812
【氏名又は名称】フィーライン・エンヴァイロンメンタル・エンリッチメント・デザイン・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100203611
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 大地
(72)【発明者】
【氏名】バレス,エリザベス・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ラップニック,スティーヴン・ビー
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第2492110(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0251966(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0054106(US,A1)
【文献】 特表2015−508290(JP,A)
【文献】 特開2001−61416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 5/01
A01K 15/02
A01K 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
そこからドライキャットフードを分与するように猫が使用するための給餌装置であって、
a)内部空洞および前記内部空洞と通じる少なくとも1つの出口ポートを有する中空容器であって、猫が前記給餌装置で遊ぶときに面上を転動するように前記中空容器の外面がアーチ形となるよう構成されている、中空容器と、
b)擬態カバーであって、前記擬態カバーが、前記中空容器の少なくとも一部を受けるためのポケットを有する柔らかい材料を備え、その結果、前記少なくとも1つの出口ポートが露出する擬態カバーであって、前記中空容器が前記ポケット内に配置されるときに猫が前記給餌装置で遊ぶように、野生の猫の獲物を構成する生物の外見を提供する外面を前記擬態カバーが有し、その結果、前記給餌装置で遊ぶ猫の動作によって、キャットフードの一部が、前記少なくとも1つの出口ポートから、自動で徐々に分与される、擬態カバーと、
を備え、
前記中空容器が、開口を有する本体部分および蓋部分を備え、前記開口が、前記入口ポートを形成し、前記蓋部分が、蝶番によって前記本体部分に連結されており、かつ、キャットフードが前記入口ポートを通って前記内部空洞に導入された後、前記入口ポートを閉じるように枢動可能であり、
前記蓋部分が、環状の溝を備え、前記中空容器が前記ポケット内に配置されるとき、前記環状の溝内に着脱可能に受けられて前記中空容器を前記擬態カバーに対して定位置に保持し、それらの相対移動を抑止するように構成された伸縮性開口を、前記擬態カバーの前記ポケットが備え、前記蓋部分の前記周辺部が、前記ポケットの前記伸縮性開口を受けるように構成された環状凹所を備える、
給餌装置。
【請求項2】
前記中空容器が前記擬態カバー内に配置されるとき、前記装置が猫によって後記長手方向軸を中心に転動させられることを可能にする長手方向軸を有する卵形、楕円形、球形または他の三次元の形状を前記中空容器が備える、請求項に記載の給餌装置。
【請求項3】
前記擬態カバーの前記外面が、野生の猫の獲物を構成する齧歯動物、鳥、魚または他の生物の外見を提供する、請求項に記載の給餌装置。
【請求項4】
前記擬態カバーが、前記長手方向軸上に配置されて齧歯動物、鳥、魚または他の生物の頭部を模す少なくとも1つの第1の突起部を備える、請求項に記載の給餌装置。
【請求項5】
前記容器が、前記少なくとも1つの出口ポートを囲む環状の溝を備え、前記中空容器が前記ポケット内に配置されるとき、前記環状の溝内に着脱可能に受けられて前記中空容器を前記擬態カバーに対して定位置に保持し、それらの相対移動を抑止するように構成される伸縮性開口を、前記擬態カバーの前記ポケットが備える、請求項に記載の給餌装置。
【請求項6】
前記容器が、齧歯動物、鳥、魚または他の生物の一部を模す構成要素を取り付けるための孔を備える、請求項1に記載の給餌装置。
【請求項7】
前記給餌装置が、給餌システムキットの一部を備え、前記システムが、複数の給餌装置を形成するための複数の中空容器および複数の擬態カバーを備える、請求項に記載の給餌装置。
【請求項8】
前記複数の擬態カバーのそれぞれが、同じ生物であるが異なる色の外見を提供する、請求項に記載のシステムキット。
【請求項9】
そこからドライキャットフードを分与するように猫が使用するための給餌装置であって、
a)内部空洞および前記内部空洞と通じる少なくとも1つの出口ポートを有する中空容器を備え、
前記中空容器が、長手方向軸および内部空洞の範囲を定める側を有し、前記内部空洞が、ドライキャットフードで充填され、前記側壁が、野生の猫の獲物を構成する生物の外見を提供する外面を有し、猫が前記給餌装置で遊ぶときに前記長手方向軸を中心に面上を転動するように前記外面がアーチ形となるよう構成されており、記側壁が、複数の破断可能区域を含み、前記区域のそれぞれが、開かれてそれぞれの出口ポートを前記側壁に形成するように構成され、前記出口ポートが、前記内部空洞と通じ、かつ、猫が前記給餌装置で遊ぶとき、ドライキャットフードの一部が徐々にそれを通過できるように構成される、
給餌装置。
【請求項10】
猫の給餌システムであって、
a)複数の給餌装置であって、前記装置のそれぞれが、そこからドライキャットフードを分与するように猫が使用するように構成され、前記給餌装置のそれぞれが、長手方向軸および内部空洞の範囲を定める側を有する容器を備え、前記内部空洞が、ドライキャットフードで充填され、前記側壁が、野生の猫の獲物を構成する生物の外見を提供する外面を有し、猫が前記給餌装置で遊ぶときに前記長手方向軸を中心に面上を転動するように前記外面がアーチ形となるよう構成されており、記側壁が、複数の破断可能区域を含み、前記区域のそれぞれが、開かれてそれぞれの出口ポートを前記側壁に形成するように構成され、前記出口ポートが、前記内部空洞と通じて、ドライキャットフードの一部が徐々にそれを通過できるように構成され、前記給餌装置のそれぞれが、猫によって遊ばれて、その結果、前記給餌装置で遊ぶ猫の動作によって、キャットフードの一部が前記出口ポートから自動で徐々に分与されるように構成される、複数の給餌装置と、
b)前記複数の給餌装置を保持する包装と、
を含む、猫の給餌システム。
【請求項11】
前記装置のそれぞれが、卵形、楕円形、球形または他の三次元の形状をした容器を備える、請求項10に記載の給餌システム。
【請求項12】
前記破断可能区域のそれぞれが、前記側壁にミシン目の線を備え、前記ミシン目の線のそれぞれが、破られて前記開口を生じるように構成される、請求項10に記載の給餌システム。
【請求項13】
前記ミシン目の線を破ることによって、前記側壁の隣接部を取り除くことが可能になり、その結果、前記開口が穴の形をとる、請求項12に記載の給餌装置。
【請求項14】
猫の給餌システムであって、
それぞれがキャットフードの一部を収容し分与するよう構成された複数の給餌装置を備え、
前記複数の給餌装置のそれぞれは、
容器であって、凸状に湾曲した外底面、前記容器の上部に沿って配置された第1のポートおよび第2のポートであって前記第1のポートおよび前記第2のポートのそれぞれは前記キャットフードの前記一部を収容するよう構成された前記容器の内部空間への通路を提供する第1のポートおよび第2のポート、前記第1のポートおよび前記第2のポートを隔てるブリッジ壁、ならびに、前記第1のポート、前記第2のポートおよび前記ブリッジ壁を実質的に囲む立ち上がった隆起部と、を備える容器と、
柔軟性のある布地材から構成された擬態カバーであって、前記擬態カバーは前記第1のポート、前記第2のポートおよび前記ブリッジ壁を含む前記容器の上部部分を覆うことまたは当該部分の上に延びることなく前記容器の前記凸状に湾曲した外底面に適合して当該外底面を取り外し可能に受けるためのポケットを含み、前記ポケットの開口縁部は前記立ち上がった隆起部の側部に隣接する、擬態カバーと、
を含む給餌装置である、
猫の給餌システム。
【請求項15】
前記容器は卵型形状を有する、請求項14に記載の猫の給餌システム。
【請求項16】
前記擬態カバーは、前記容器の、前記第1のポート、前記第2のポート、前記ブリッジ壁および前記立ち上がった隆起部を除いた実質的に全部分にわたるぴったりとしたフィッティングを形成するように大きさが決められかつ形づくられている、請求項14に記載の猫の給餌システム。
【請求項17】
前記擬態カバーは、動物の頭部の外見を模す三次元形状を有する突起部を含む前端部を含む、請求項14に記載の猫の給餌システム。
【請求項18】
前記第1のポートおよび前記第2のポートのそれぞれの形状は楕円様の形状である、請求項14に記載の猫の給餌システム。
【請求項19】
前記ブリッジ壁は、前記凸状に湾曲した外底面の周辺部との連続構成物を構成する、請求項14に記載の猫の給餌システム。
【請求項20】
前記立ち上がった隆起部の前記側部は環状の溝を含み、前記擬態カバーの前記開口縁部は伸縮部を含み、前記環状の溝は前記容器を前記ポケット内に保つため前記伸縮部を受ける、請求項14に記載の猫の給餌システム。
【請求項21】
前記複数の給餌装置は5つの給餌装置を含む、請求項14に記載の猫の給餌システム。
【請求項22】
前記柔軟性のある布地材は毛皮様である、請求項14に記載の猫の給餌システム。
【請求項23】
猫の給餌装置であって、
キャットフードの一部を収容し分与するよう構成された容器であって、前記容器は卵型形状を有し、かつ、凸状に湾曲した外底面、前記容器の上部に沿って配置された第1のポートおよび第2のポートであって前記第1のポートおよび前記第2のポートのそれぞれは前記容器の内部空間への通路を提供する第1のポートおよび第2のポート、凸状に湾曲した外表面を有するブリッジ壁であって前記第1のポートおよび前記第2のポートを隔てるブリッジ壁、ならびに、前記第1のポート、前記第2のポートおよび前記ブリッジ壁を囲みかつ環状の溝を含む立ち上がった隆起部を備える、容器と、
柔軟性のある布地材から構成された擬態カバーであって、前記擬態カバーは一方の端部から延びておりネズミの頭部の外見を模している形状を有する第1の突起部、および、他方の端部から延びておりネズミの尾部の外見を模している形状を有する第2の突起部を含み、前記擬態カバーは前記第1のポート、前記第2のポートおよび前記ブリッジ壁を含む前記容器の上部部分を覆うことまたは当該部分の上に延びることなく前記容器の前記凸状に湾曲した外底面に適合して当該外底面を取り外し可能に受けるためのポケットを含み、前記ポケットの伸縮性開口縁部は前記擬態カバーの前記容器に対する相対位置を保持するために前記環状の溝の中に延びている、擬態カバーと、
を備える、猫の給餌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際出願(訳注:国際出願番号PCT/US2016/023693を指す)は、米国特許法第119条(e)の下で、「System For Feeding Cat Food And Methods Of Use Of System」と題する、2015年3月24日出願の米国仮特許出願第62/137,501号、および「Packaging System For Feeding Cats And Method Of Use Of The System」と題する、2015年9月22日出願の米国仮特許出願第62/221,768号に基づく優先権を主張し、さらに、米国特許法第120条の下で、「Systems For Feeding Cats, Methods of Use of the Systems and Packaging for the Systems」と題する、2016年3月18日出願の米国非仮特許出願第15/074,557号に基づく優先権を主張し、本発明と同じ譲受人に譲渡された全ての出願の記載内容全体およびその開示は、参照により、本明細書に全体として援用される。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当なし
コンパクトディスクで提出された資料の参照による組込み
該当なし
開示される発明は分与装置に関し、より詳細には、猫によって遊ばれるときにそこからキャットフードを分与するように猫が使用するための給餌システム、猫への給餌方法、およびこのような給餌システム用の包装に関する。
【背景技術】
【0002】
米国獣医学会(American Veterinary Medical Association)は、都市部および郊外の環境では、猫を屋内に保つことを推奨する。しかし、猫の健康および快適な生活は、その周囲の環境に影響され得る。この点に関しては、猫は生来の捕食動物である。屋内で飼育されていても、猫は、捕食本能ならびに獲物に忍び寄ること、爪で引掻くこと、噛むこと、およびマーキングすることを含む捕食行動を失わない。屋内で生活するとき、猫は、これらの行動の自然なはけ口を奪われる。このような状況では、猫は、家具を引掻くことおよび砂箱(litter box:猫用トイレとも)の外で排泄することを含む、不所望な行動をとり始める可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
市販のドライキャットフードは、飼い猫の栄養必要量を満たすが、猫が生来の狩猟行動を見せることを可能にするのには役に立たない。獲物を狩る選択肢を与えられるほうが、猫にとってはるかに健康的である。狩猟の機会を提供しないと、猫の精神的刺激および身体活動が奪われる。これによって、肥満ならびに他の健康問題および行動障害が起こり得る。したがって、屋内で飼育される猫が、その生来の狩猟本能を発揮できるようにするキャットフード給餌システムに対するニーズが存在する。
【0004】
本発明は、屋内で飼育される猫が、その体、心、および精神を豊かにする、安全で使いやすい方式で、ドライキャットフードを1日に複数回取ることを可能にする、屋内で飼育される猫用の給餌システムを提供することによって、このニーズに応える。
【0005】
さらに、本発明は、このような猫の給餌システム用の包装も対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、その装置からドライキャットフードを分与するように猫が使用するための給餌装置が提供される。この給餌装置は、内部空洞およびこの内部空洞と通じる少なくとも1つの出口ポートを有する中空容器を含む。この給餌装置は、野生の猫の獲物を構成する生物の外見を提供する、アーチ形の外面を有する。このアーチ形の外面は、猫がこの給餌装置で遊ぶときに面上を転動するように構成されており、その結果、この給餌装置で遊ぶ猫の動作によって、キャットフードの一部が、少なくとも1つの出口ポートから、自動で徐々に分与される。
【0007】
本発明の一態様によれば、この給餌装置は、中空容器および擬態カバーを含む。この中空容器は、内部空洞、入口ポート、および少なくとも1つの出口ポートを有する。この少なくとも1つの出口ポートは、内部空洞と通じており、キャットフードの一部が、この少なくとも1つの出口ポートを徐々に通過できるように構成される。擬態カバーは、中空容器の少なくとも一部を受けるためのポケットを有する柔らかい材料を備え、その結果、少なくとも1つの出口ポートが露出する。中空容器が擬態カバーのポケット内に配置されるとき、猫がこの給餌装置で遊ぶことになるように、擬態カバーは、野生の猫の獲物を構成する生物の外見を提供する外面を有する。給餌装置で遊ぶ猫の動作によって、キャットフードの一部が、少なくとも1つの出口ポートから、自動で徐々に分与される。
【0008】
本発明の別の態様によれば、この中空容器は、長手方向軸および内部空洞の範囲を定めるアーチ形の側壁を有する。内部空洞はドライキャットフードで充填される。アーチ形の側壁は、野生の猫の獲物を構成する生物の外見を提供する外面を有し、複数の破断可能区域(frangible area:「脆弱区域」とも)を含む。これらの区域のそれぞれは、開かれて各出口ポートを側壁に形成するように構成される。この出口ポートは、内部空洞と通じ、猫がこの給餌装置で遊ぶとき、ドライキャットフードの一部が徐々にそれを通過できるように構成される。
【0009】
本発明の好ましい一態様によれば、この給餌装置は、複数の給餌装置を含む給餌システムの一部であり、それぞれの給餌装置は、猫の1日分のドライキャットフードの一部を保持するように構成され、猫が近付ける様々な場所に配置され得る。これによって、猫の生来の狩猟本能を利用して、猫が1日に複数回餌を取ることが可能になる。
【0010】
本発明は、猫が1日分の餌を毎日食べるように、1日分のキャットフードのうちの所定の量を、毎日猫に給餌する方法も含む。この方法は、猫がこの給餌装置を見つけたときにこれを「狩猟」し、これで遊ぶことになるように、本発明に従って構成された給餌装置を、猫が利用できるようにすることを基本的に必要とし、その結果、猫がこの装置で遊ぶとき、内部空洞内に配置されたキャットフードの一部が、少なくとも1つのポートから、徐々に出ていくことができる。
【0011】
本発明の方法の好ましい一態様によれば、猫が給餌装置のそれぞれを発見してそれらのそれぞれで遊び、それによってその中に収容されたフードを得ることができるように、1日分のキャットフードのうちの所定の量がそれぞれに充填された、複数の、たとえば5個の給餌装置が、猫が近付ける様々な場所に配置される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、複数の給餌装置を保持する包装が提供される。それぞれの給餌装置は、そこからドライキャットフードを分与するために、猫が使用するように構成される。それぞれの給餌装置は、長手方向軸および内部空洞の範囲を定めるアーチ形の側壁を有する、たとえば卵形、楕円形、球形、または他の三次元形の中空体である容器を含む。内部空洞はドライキャットフードで充填される。この側壁は、野生の猫の獲物を構成する生物の外見を提供する外面を有する。このアーチ形の側壁は、複数の破断可能区域、たとえばミシン目の線を含み、これらの区域のそれぞれは、開かれて、各出口ポートを側壁に形成するように構成される。この出口ポートが形成されるとき、これは内部空洞と通じ、ドライキャットフードの一部が、この出口ポートを徐々に通過できるように構成される。それぞれの給餌装置は、猫によって遊ばれるように構成されており、その結果、この給餌装置で遊ぶ猫の動作によって、キャットフードの一部が、この出口ポートから自動で徐々に分与される。
【0013】
この包装の好ましい一態様は、それぞれが猫の1日分の餌の一部を保持する、十分な数の給餌装置を含み、これらは、1日分のキャットフードを、猫に共同で提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に従って構成された猫の給餌システムの構成要素の1つを形成する給餌装置を共に構成する、1つの例示的な中空容器および1つの例示的な擬態カバーの等角図である。
図2】猫の1日分のドライキャットフードの一部で充填され得るように蓋が開かれた図1に示す例示的な中空容器の、わずかに拡大した等角図である。
図3】蓋が閉じられ、擬態カバー内に挿入されて、野生の猫の獲物となる生物の外見を有する給餌装置になった後の、餌で充填された図1に示す中空容器の、わずかに拡大した等角図である。
図4】本発明に従って組み立てられ、本発明に従って構成された別の例示的なカバーと共に使用するように構成された、代替の、好ましい例示的な中空容器を示す等角図である。
図5A図5Aは、図4に示した好ましい例示的な中空容器の上面図である。
図5B図5Bは、図4に示した好ましい例示的な中空容器の端面図である。
図6】本発明に従って構成された別の例示的なカバー内に配置された、図に示した好ましい例示的な中空容器を示す等角図である。
図7】それぞれの給餌装置が本発明の一態様に従って構成され、そこからドライキャットフードを分与するように猫が使用するように構成されている、複数の給餌装置を保持する1つの例示的な包装を示す、部分的に切り欠いた等角図である。
図8図7に示した例示的な給餌装置のうちの1つの、拡大等角図である。
図9図3の線9〜9に沿って取られた例示的な給餌装置を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、同様の部分は同様の符号で示した図面を参照すると、本発明に従って構成された給餌装置20の例示的な実施形態が、図1に示される。この装置20は、本発明の給餌システムの一部を形成する。この給餌システムは、複数の給餌装置を含む。それぞれの給餌装置は、野生の猫が餌にするために獲物にする生物の外見を提供するように構成される。平均的な野生の猫は、自然界では1日に5回狩りをし、食事をすることが確認されている。したがって、本発明の好ましい一態様によれば、このシステムは5つの給餌装置を含み、それぞれの給餌装置が、猫の1日分のドライキャットフードの5分の1で充填される。猫がこの給餌装置を「狩猟」することになるように、給餌装置が家庭内の猫の生活環境全体にわたって配置され、好ましくは隠されることによって、猫に自然な刺激を提供する。この給餌装置の形状、すなわち、長手方向軸を中心として転動するように構成され、および、この給餌装置の外見、すなわち、餌となる動物に擬態していることによって、この給餌装置が発見されて猫がこれで遊ぶとき、給餌装置内のドライキャットフードの一部がそこから自動で徐々に分与されることになり、それによって、猫がその分与された餌を食べることが可能になる。この動作は、猫に給餌することに加えて、猫にさらなる刺激を提供する。
【0016】
図1から理解され得るように、給餌装置20は、基本的に2つの構成要素、すなわち中空容器22、および擬態カバーまたは「皮」24を含む。この中空容器は、プラスチックなどの硬質で頑丈な任意の適当な材料で形成され、長手方向軸26(図2)およびアーチ形の外面28を有する、卵形、楕円形、球形、または他の三次元の形状を有する。後で説明されるように、猫がこの給餌装置で遊ぶとき、容器のアーチ形の外面によって、容器が軸26を中心として転動することが可能になる。中空であるので、容器22は、標準的な屋内で生活する猫の1日分のドライキャットフード32の一部を保持するように配置された内部空洞30(図2)を含む。平均的な屋内で生活する猫にとっての1日分のドライキャットフードは、約1.25カップである。したがって、このシステムが5つの給餌装置を使用する場合、この1.25カップのドライキャットフードが、5つの給餌装置に均等に分配されることになる。本発明の例示的な一実施形態によれば、中空容器の長さは約3.5インチ(訳注:単位換算すると8.89cm)であり、高さは約2.5インチ(訳注:単位換算すると6.35cm)である。
【0017】
容器22の内部空洞30は、内部空洞の内部と通じる入口ポートを用いて充填される。この目的のために、図に示した例示的な実施形態では、中空容器は、本体部分22Aおよび蓋部分22Bを含む。本体部の上縁部は、口または開口34(図2)の形をとり、これが容器22への入口ポートとして機能する。蓋部分22Bは、蝶番36によって、本体部分22Cに連結される。これによって、蓋部分22Bが、図1に示すような閉位置から、図2に示すような開位置に枢動することが可能になる。
【0018】
開位置では、内部空洞30がドライキャットフード32の一部で充填され得るように、蓋部分は開口34から上方へ枢動し、それによって内部空洞30を露出する。充填されると、蓋部分は閉位置まで下方へ枢動することができ、それによって本体部分の口を閉じて、容器内の餌を保持する。
【0019】
蝶番の付いた蓋部分22Bを使用することによって、大きな開口すなわち本体部分の口を介して、中空容器を容易に充填する手段が提供されるだけでなく、大きな開口によって、必要なときに、使用者が容易に内部空洞を洗浄することも可能になる。図に示されていないが、猫がこの給餌装置で遊ぶときに蓋部分が誤って開かないように、蓋部分および本体部分は、いくつかの着脱可能な連結器、たとえばスナップフィット連結器を含んで、蓋部分を閉位置に保持することができる。
【0020】
蓋部分は、猫が給餌装置で遊ぶときに容器内のドライキャットフードが通過できる、少なくとも1つの出口ポートも含む。図に示した例示的な実施形態では、少なくとも1つの出口ポートは、5つの開口またはポート38A、38B、38C、38Dおよび38Eの形をとり、ポート38Aは蓋部分の中心に位置し、他のポートは中心ポート36Aの周囲に配置される。それぞれのポートは、猫が給餌装置で遊ぶとき、容器内のドライキャットフードが、1つまたは複数のポートを通って徐々に出て行くことができるのに十分な大きさ、たとえば、0.375インチ×0.625インチ(訳注:単位換算すると0.95cm×1.59cm)である。
【0021】
擬態カバーまたは皮24は、野生の猫の獲物となる動物または生物、たとえば齧歯動物、鳥、魚などの外見を提供する、柔らかくしなやかな布地、または他の材料で形成される。図に示した例示的な実施形態では、擬態カバーは、ネズミの外見を提供する。この目的のために、擬態カバーは、擬態カバーの一方の端部に配置され、ネズミの頭部の形状をした突起部40、および擬態カバーの他方の端部に配置され、ネズミの尾部の形状をした別の突起部42を含む、毛皮のような布地であってもよい。突起部40は、ネズミの目、鼻および口を表すグラフィックを含む。擬態カバーの中心部分は、中空容器22の少なくとも一部を収容する形状および寸法の中空ポケット44(図1)の形をとり、容器がこの中に配置されるとき、この中空ポケットは、ネズミの体を構成する。ネズミの脚を表すグラフィックが、擬態カバーの中心部の外面上に提供される。中空容器が擬態カバーのポケット44内に配置されるとき、ネズミの頭部と尾部が長手方向軸26の対向する端部に位置することによって、結果として得られる給餌装置が、猫によって遊ばれるとき、その軸を中心として転動することが可能になる。さらに、ネズミの脚は、本体から外側に突出する部材ではなく、本体に描かれた単なるグラフィックであるので、これらの脚が、給餌装置が転動する動作を妨げることにはならない。
【0022】
ネズミの頭部および尾部は、突起の形をとらなくてもよく、むしろ擬態カバーの外面上のグラフィックの形であってもよいことが、この際に指摘されるべきである。さらに、擬態カバーは、必ずしもネズミの外見を提供する必要はなく、野生の猫の獲物となる任意の他の齧歯動物、鳥、魚、または他の生物の外見を提供することができる。したがって、鳥の場合には、擬態カバー22は、鳥の頭部およびくちばしの形をとる、ひとつの突起部、および鳥の尾部の形をとる別の突起部を含むことができる。あるいは、頭部、くちばし、および尾部は、擬態カバーの外面上に描かれた単なる絵の形をとってもよい。同様に、擬態カバーが魚の形をとる場合、それは魚の頭部および口の形をとった突起部および魚の尾部の形をとった突起部を含むことができる。
【0023】
中空容器がポケット内で偏移しないようにし、中空容器をポケット内の定位置に確実に保持するために、ポケットの入口は、伸縮性縁部46の形をとる。この伸縮性縁部は、蓋部分の自由縁部と互いに隣り合う、蓋部分の外面の環状周溝48内に受けられるように配置される。このように、中空容器22が擬態カバー24のポケット44内に配置されるとき、ポケットの伸縮性縁部46は、周溝48にしっかりと係合して、中空容器を定位置に保持するようになる。このような動作によって、猫が給餌装置で遊ぶとき、擬態カバーが、出口ポート38A〜38Eのいずれも塞がないようになる。
【0024】
上述のように、本発明のシステムの好ましい一実施形態は、猫の通常のドライフードで充填され、猫の普通の生活環境内の様々な場所に配置され、たとえば隠された、5個の給餌装置20を使用する。猫によっては、本発明のシステムを使ってどのように「狩猟」し、したがってどのように餌を取るか、ということに関する再訓練コースが必要になる可能性がある。この目的のため、このシステムを使用するように、猫を訓練することが可能である。具体的には、猫の通常の餌の半分を猫の餌皿に入れ、もう半分を本発明に従って構成され、猫の餌皿の近くに配置された給餌装置に入れることによって、このような訓練を行うことができる。この給餌装置は、上述のような給餌装置20の形をとってもよく、または、より簡単に餌が出てくるようにより多くの出口ポートを有する、「訓練」装置の形をとってもよい。どの場合でも、訓練方法は、猫に、この給餌装置から餌を得るように試みさせることを必要とするべきである。日々、猫がそれに慣れてくるにつれて、給餌装置に入れるキャットフードを徐々に多くし、猫の餌皿に入れるキャットフードを徐々に少なくすることができる。猫が給餌装置の使い方を習得すると、次いで、複数の給餌装置を、猫が発見するように、猫の生活環境内に隠し始めることができる。最初は、すぐに見つかる場所、たとえば猫の通常の食事場所から数フィート離れた場所に給餌装置を隠すことによってなされるのが好ましい。次の数週間にわたって徐々に、隠し場所を、発見するのがより困難な場所にすることができる。猫の訓練を強化するために、給餌装置を、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、暖房炉などの、機械音を生じる物の近くに設置することを避けるように試みるべきである。
【0025】
当業者には理解されるように、猫が本発明の給餌装置で遊ぶとき、この装置が、装置内のドライキャットフードの一部のみを自動で分与することによって、キャットフードが徐々に吐出されることが確実となる。この動作によって猫が餌を食べるペースが落ち、その結果、猫が餌を貪るように食べなくなる―貪るように食べることは、嘔吐を誘発し得る―ので、この動作は重要である。
【0026】
上述のような好ましいシステムは5個の給餌装置を使用するが、このシステムは、任意の数の給餌装置、ただひとつのこのような装置を含む、を使用してもよいことが、この際に指摘されるべきである。
【0027】
本発明に従って構成された容器52の、別の、より好ましい例示的な実施形態を図4に示す。容器52は、上述の皮24と同様の構造の擬態カバーまたは「皮」64と共に使用されるように、すなわち、その中に配置されるように構成されて、図9に示すような給餌装置50になる。給餌装置50は、給餌装置20を参照して上述と同じ方式で使用され、上述と同じ方式で、猫が餌をとるために、猫によって遊ばれる。したがって、話を簡潔にするために、給餌装置50の使用方式は、繰り返し述べないことにする。
【0028】
図4および5において最もよく理解されるように、容器52は、後端部52Aおよび前端部52Bを有する、卵形の形状である。長手方向中心軸26(図4)は、前端部52Bと後端部52Aとの間に延在する。図5Aにおいて最もよく理解されるように、後端部のほうが前端部よりも屈曲の程度が小さく、図5Bにおいて最もよく理解されるように、容器52は、概ね円形の横断面を有する。容器52は、容器22と同様の材料で形成される。容器22とは異なり、容器52は蝶番付きの蓋を含まない。その代わり、容器52は、容器の上部に配置された、比較的大きな一対の開口またはポート54Aおよび54Bを含む。それぞれのポートは楕円様の形状をしており、その寸法は幅約0.625インチ(訳注:寸法換算すると1.59cm)、長さ約0.81インチ(訳注:寸法換算すると2.06cm)である。ポート54Aおよび54Bは、猫のドライフードの必要量を容器に充填するための手段として機能し、猫が給餌装置50で遊ぶとき、ドライフードが通って出て行くための手段としても機能する。
【0029】
ポート54Aおよび54Bは、その外周面が容器52の円形の周辺部と連続する構成物を構成する、ブリッジ壁56によって隔てられる。したがって、猫が給餌装置50で遊ぶとき、ブリッジ壁は、この装置が転動する動作を妨げない。図に示した例示的な実施形態では、ブリッジ壁の幅、すなわちポート54Aと54Bの間の間隔は、約0.31インチ(訳注:単位換算すると0.79cm)である。
【0030】
丸みを帯びた隆起部58が容器52の外面から外側へ突出し、ポート54Aおよび54Bならびに中間のブリッジ壁56に取り囲まれた区域を囲む。環状の溝60が隆起部58のすぐ下に配置され、この溝60は、皮64の伸縮部と協働して、皮のポケット内に容器を保持し、ポケット内で容器が偏移しないことを確実とするように機能する。具体的には、図6から理解できるように、皮64の構造は、皮24と同様である。話を簡潔にするために、皮24と皮64の共通の特徴には同じ参照番号を与えることとし、その構造および動作の詳細は繰り返し述べないことにする。皮64は、環状の溝60内に受けられるように構成された伸縮性縁部46を有する上部開口を含む。このように、中空容器52が擬態カバー64のポケット44内に配置されるとき、ポケットの伸縮性縁部46は、溝60にしっかりと係合して、中空容器52を定位置に保持するようになる。このような動作は、猫が給餌装置50で遊ぶときに擬態カバー64がポート54Aまたは54Bを塞ぐことを妨げる。
【0031】
皮64は、1つの点で、皮24とは少し異なる。すなわち、皮64は、容器52の後部52Aを露出する背面開口66を含む。この後部は、容器の内部と通じる小さな孔68(図5)を含む。孔68は、皮が表現する獲物の一部を模す物を、着脱可能に取り付けるように構成される。したがって、図に示した例では、柔軟性のある尾部70を容器に取り付ける孔68が示され、すなわち、尾部70の近位端部が、孔68内に着脱可能に取り付けられる。他の形状の尾部も、孔を介して容器に取り付けられて、獲物の外見を変えることができる。さらに、皮が魚の外見を提供する場合、孔58を使用して、容器に魚の尾部を取り付けることができる。同様に、皮が鳥の外見を提供する場合、孔58を使用して、容器に鳥の尾部を取り付けることができる。実際には、容器がポケット内に配置され、それによって容器の前端部52Bの孔58が、皮の開口した前端部によって露出するように、容器はその前端部52Bに開口58を有し、皮64はその前端に開口を有するようになることが考慮される。この場合、皮64が模す獲物の頭部を模す物を、着脱可能に容器に取り付けることができる。さらに、容器は、その前端部および後端部に孔68を含んでもよく、それは前端部および後端部に開口を有する皮と共に使用されて、容器52の前端部および後端部に、頭部および尾部を模した物をそれぞれ取り付ける。孔68が、尾部を模した物を取り付ける働きをするか、それとも頭部を模した物を取り付ける働きをするかは重要ではない。重要なのは、孔68が容器52に取り付ける頭部または尾部を模した物が、猫の飼い主によって容易に取り外され得るようになされることである。この要素、および容器が皮のポケット自体から容易に取り外され得るという要素によって、猫の飼い主が必要なときにこの給餌装置を分解して、様々な構成部品を洗浄することが可能になる。洗浄された後、給餌装置は再び組み立てられ、猫が再び使うために、再度充填されることが可能である。
【0032】
それぞれの給餌装置の構造は、図1〜6に示した例示的な実施形態と異なってもよいことを、当業者なら理解されたい。たとえば、この中空容器は、蝶番付きの蓋を含まないように、図4の実施形態のように構成されてもよいが、中空容器が充填される単一の大きな開口または穴のみを使用するように、この実施形態とは異なるように構成されてもよい。このような代替実施形態では、餌が通って導入される開口または穴は、充填を容易にし、必要なときに中空容器の内部が洗浄され得るのに十分な大きさでなければならない。このような場合では、擬態カバーおよび/または中空容器は、この容器がカバーのポケット内にあるとき、大きな開口が擬態カバーの一部で塞がれてドライキャットフードがそこを通って出て行くのを防ぐ一方で、ドライキャットフードがこの装置の1つまたは複数の出口ポートを徐々に通過できるように組み立てられ、または構成されるべきである。
【0033】
本発明のシステムの商業上の実施形態は、複数の中空容器および複数の擬態カバーまたは皮のキットの形をとってもよい。皮は、好ましくは交換可能であり、同じ動物の外見または異なる動物の外見を提供することができる。さらに、皮は全て同じ色でもよく、異なる色でもよい。さらに、猫にさらなる刺激を提供するための、キットの皮の代わりとなる異なる皮を別売することができる。
【0034】
ここで図7を参照すると、本発明に従って構成された包装システム120の例示的な一実施形態が示される。このシステムは、複数の給餌装置124を保持する包装122を基本的に含み、それぞれの給餌装置は本発明に従って構成される。包装122は任意の適当な構造、たとえば紙、板紙、段ボール、またはプラスチック製の典型的な箱にすることができる。前に指摘したように、平均的な野生の猫は、自然界では1日に5回狩りをし、食事をする。したがって、本発明の好ましい一態様によれば、包装システム120は少なくとも5個の給餌装置124を含み、それぞれの給餌装置は、猫の1日分のドライキャットフードの5分の1で充填される。図4に示す例示的な実施形態では、包装122は25個の給餌装置を含み、それぞれの給餌装置は猫の1日分のキャットフードの5分の1を収容する。したがって、包装122は、猫に5日間給餌するのに十分な給餌装置124を提供する。
【0035】
前述の構成は単に例示的なものであり、その結果、包装122は、猫に1日分のキャットフードを提供するのに必要なだけの給餌装置124を含むように構成され得ることに留意されたい。このように、キャットフードの製造者は、猫の飼い主が使用するために、本発明の包装システムのような包装システムにその製品を包装することができ、その結果、その猫の飼い主は、猫が毎日1日分のキャットフードを与えられることを確信できる。
【0036】
それぞれの給餌装置124は、アーチ形の側壁128がまわりに延在する長手方向中心軸126を有する中空容器または本体の形をとることが好ましい。この中空容器は、卵形であれ、球形であれ、円筒などであれ、任意の適当な形状にすることができる。例示的な実施形態では、装置124は、長手方向中心軸のまわりに延在する、アーチ形、たとえば円形の側壁128を有する円筒形の容器、ならびに一対の平面の端壁130および132の形をとる。図9から理解され得るように、この側壁および端壁は、ドライキャットフード134が配置された容器内の、中空の内部空洞の範囲を共に定める。
【0037】
この給餌装置124は、任意の適当な材料、たとえば紙、段ボール、板紙、プラスチック、またはそれらの任意の組合せで形成され得る。側壁128は、少なくとも1つ、好ましくは複数の破断可能区域136を含む。それぞれの破断可能区域は、猫に給餌する人に開かれて、この給餌装置が猫に使用されるときにドライキャットフード134が通過できる出口ポートを形成するように構成される。それぞれの破断可能区域は、様々に形成され得る。たとえば、図に示すように、それぞれの区域136は、ミシン目の線138によって側壁に形成され、それぞれの線が、各破断可能区域の範囲を定める。したがって、当業者には理解されるように、人がこの区域のそれぞれに圧力を加えることによってミシン目が破れることになり、それによって、この区域のそれぞれに開口を提供する。形成されたこれらの開口は、給餌装置124のための出口ポートとして機能して、キャットフード134がそこから出て行くことを可能にする。
【0038】
図7および8から理解され得るように、それぞれの給餌装置124は、野生の猫の獲物となる動物または生物、たとえば齧歯動物、鳥、魚などの視覚的外見を提供する。その目的のために、この装置の側壁128の外面に、所望の動物または生物を模したグラフィックを印刷することができる。別法として、所望の動物または生物を模したグラフィックが描いてある、印刷されたスリーブまたは帯を、給餌装置の側壁に巻き付けることができる。実際には、任意の手段を使って、野生の猫の獲物を構成する所望の動物または生物の外見を、側壁の外面に提供することができる。さらに、外見をより良くするために、この側壁に特有の質感をつけてもよい。たとえば、この側壁は、毛皮を再現するスリーブ状のカバーを含んでもよい。
【0039】
図に示した例示的な実施形態では、それぞれの給餌装置124の側壁128の外面に、ネズミの外見を提供するグラフィック140が印刷される。この絵は、単に例示的なものである。すなわち、それぞれの給餌装置124は、いくつかの異なる動物または生物の外見を提供することができる。実際には、包装122内に保持された複数の給餌装置124は、2つ以上の動物または生物の外見を提供することができる。たとえば、包装122内の給餌装置124のいくつかは齧歯動物の外見を提供し、この包装内の他の給餌装置は鳥の外見を提供し、この包装内のさらに他の給餌装置は魚の外見を提供することができるなどである。
【0040】
それぞれの給餌装置の側壁128がアーチ形(たとえば、図に示した例示的な装置124では円形)である構成によって、給餌装置が、側壁によって係合される任意の面上で転動することが可能になる。したがって、給餌装置124が、猫が給餌される家の床上に配置され、装置の側壁128が床と係合するとき、猫がこの装置で遊び始めると、この装置は、その中心軸126を中心に転動し始めることになる。この動作は、内部空洞内のドライキャットフードが、猫が食べるために出口ポート136から出てくるように、この給餌装置を最終的に方向づけることになる。出口ポートの数、大きさ、形状および位置は、猫の1日分のドライキャットフードのうちの所望の量を、この給餌装置から自動で分与することを容易にするように選択され得る。
【0041】
屋内で生活する平均的な猫にとっての、標準的な1日分のドライキャットフードは、約1.25カップである。したがって、このシステムが5個の給餌装置124を使用する場合、1.25カップのドライキャットフードが、5個の給餌装置に均等に分配されることになる。本発明の例示的な一実施形態によれば、それぞれの給餌装置124の長さは約3.5インチ(訳注:単位変換すると8.89cm)であり、直径は約2インチ(訳注:単位変換すると5.08cm)である。
【0042】
図に示した給餌装置124の実施形態では、それぞれの装置の側壁126に、2つの破断可能区域136が存在する。これらの破断可能区域のそれぞれは、楕円形で、大きさは約0.375インチ×0.625インチ(訳注:単位変換すると0.95cm×1.59cm)である。これらの形状、大きさ、およびその構成は、単に例示的なものである。このように、それぞれの給餌装置は、任意の形状および大きさの、1つまたは複数の破断可能区域を含むことができる。さらに、これらの区域のそれぞれは、側壁128の、任意の所望の位置に配置され得る。2つ以上の出口ポートが提供される場合、この出口は、任意の種類の配列で配置されてもよい。どの場合でも、それぞれの出口ポートは、猫がこの給餌装置で遊ぶとき、給餌装置内のドライキャットフードが出口ポートを通って徐々に出て行くことができるのに十分な大きさおよび形状であることが好ましい。
【0043】
上述のように、本発明のシステムの好ましい実施形態は、猫の通常のドライフードが充填され、猫の普通の生活環境の中の様々な場所に配置され、たとえば隠された、5個の給餌装置124を使用する。猫によっては、本発明のシステムを使ってどのように「狩猟」し、したがってどのように餌を取るか、ということに関する再訓練コースが必要になる可能性がある。この目的のため、このシステムを使用するように、猫を訓練することが可能である。具体的には、猫の通常の餌の半分を猫の餌皿に入れ、もう半分を本発明に従って構成され、猫の餌皿の近くに配置された給餌装置に入れることによって、このような訓練を行うことができる。この給餌装置は、上述のような給餌装置124の形をとってもよく、またはより簡単に餌が出てくるようにより多くの出口ポートを有する、「訓練」装置の形をとってもよい。
【0044】
どの場合でも、訓練方法は、この給餌装置から餌を得るよう猫に試みさせることを必要とするべきである。日々、猫がそれに慣れてくるにつれて、給餌装置に入れるキャットフードを徐々に多くし、猫の餌皿に入れるキャットフードを徐々に少なくすることができる。猫が給餌装置の使い方を習得すると、次いで、複数の給餌装置を、猫が発見するように、猫の生活環境に隠し始めることができる。最初は、すぐに見つかる場所、たとえば猫の通常の食事場所から数フィート離れた場所に給餌装置を隠すことによってなされるのが好ましい。次の数週間にわたって徐々に、隠し場所を、発見するのがより困難な場所にすることができる。猫の訓練を強化するために、給餌装置を、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、暖房炉などの、機械音を生じる物の近くに設置することを避けるように試みるべきである。
【0045】
当業者には理解されるように、猫が本発明の給餌装置で遊ぶとき、この装置が、装置内のドライキャットフードの一部のみを自動で分与することによって、キャットフードが徐々に吐出されることが確実となる。この動作によって猫が餌を食べるペースが落ち、その結果、猫が餌を貪るように食べなくなる―貪るように食べることは、嘔吐を誘発し得る―ので、この動作は重要である。
【0046】
上述のような好ましいシステムは、1日当たり5個の給餌装置を使用するが、このシステムは、任意の数の給餌装置、ただひとつのこのような装置を含む、を、1日当たりに使用してもよい。さらに、それぞれの給餌装置の構造は、図7および8に示した例示的な実施形態と異なってもよい。たとえば、それぞれの給餌装置は、図1〜3に示した給餌装置20、図6の給餌装置50、またはこれらの任意の給餌装置の変形形態のように構成されてもよい。
【0047】
上述のことは、さらなる詳述なしで我々の発明を十分に説明することになるので、他者は、現在の、または将来の知識を適用することによって、それを様々な使用条件の下で使用するために採用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9