【文献】
P.H.J van Oosterhout,OPTIMIZED PIXEL TEMPLATE IMAGE CORRELATER,Master Thesis,1992年,p.1-72,URL,http://alexandria.tue.nl/extra2/afstversl/E/563812.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な記載
a.画像プロセッサハードウェアアーキテクチャおよび動作
図1は、ハードウェアで実現される画像プロセッサのためのアーキテクチャ100の実施形態を示す。画像プロセッサは、例えば、シミュレートされた環境内で仮想プロセッサ用に書かれたプログラムコードを、ハードウェアプロセッサによって実際に実行されるプログラムコードに変換するコンパイラによって対象とされてもよい。
図1に示すように、アーキテクチャ100は、複数のラインバッファユニット101_1〜101_Mを含み、それらは、複数のステンシルプロセッサユニット102_1〜102_Nおよび対応するシート生成部ユニット103_1〜103_Nに、ネットワーク104(例えば、ネットワークオンチップ(NOC)(オンチップスイッチネットワーク、オンチップリングネットワークまたは他の種類のネットワークを含む))を介して相互接続される。一実施形態では、どのラインバッファユニットが、ネットワーク104を介してどのシート生成部および対応するステンシルプロセッサに接続してもよい。
【0011】
一実施形態では、プログラムコードはコンパイルされ、対応するステンシルプロセッサ102にロードされて、ソフトウェア開発者によって以前に定義された画像処理動作を実行する(プログラムコードは、例えば、設計および実装に応じて、ステンシルプロセッサの関連のシート生成部103にもロードされてもよい)。少なくともいくつかの例では、画像処理パイプラインを、第1のパイプラインステージ用の第1のカーネルプログラムを第1のステンシルプロセッサ102_1にロードし、第2のパイプラインステージ用の第2のカーネルプログラムを第2のステンシルプロセッサ102_2にロードするなどして、実現することができ、第1のカーネルはパイプラインの第1ステージの機能を実行し、第2のカーネルはパイプラインの第2ステージの機能を実行し、追加の制御フロー方法がインストールされて、出力画像データをパイプラインの1つのステージからの次のステージに渡す。
【0012】
他の構成では、画像プロセッサは、同じカーネルプログラムコードを動作させる2つ以上のステンシルプロセッサ102_1,102_2を有する並列マシンとして実現することができる。例えば、画像データの高密度かつ高データレートのストリームが、各々が同じ機能を実行する複数のステンシルプロセッサにわたってフレームを広げることによって処理されてもよい。
【0013】
さらに他の構成では、カーネルの本質的に任意のDAGのハードウェアプロセッサへのロードを、それぞれのステンシルプロセッサをそれら自身のプログラムコードのカーネルとともに構成し、適切な制御フローフックをハードウェアに構成して、出力画像をDAG設計における1つのカーネルから次のカーネルの入力に向けることによって、行なってもよい。
【0014】
一般的なフローとして、画像データのフレームは、マクロI/Oユニット105で受信され、フレーム単位でラインバッファユニット101の1つ以上に渡される。特定のラインバッファユニットは、それの画像データのフレームを、「ライングループ」と呼ばれる画像データのより小さな領域に解析し、次いでライングループをネットワーク104を介して特定のシート生成部に渡す。ある完全な(full)単数のライングループを、例えば、フレームの複数の連続した完全な行または列のデータで構成することができる(簡単にするために、本明細書では主に連続した行と称する)。シート生成部は、画像データのライングループを「シート」と呼ばれる画像データのより小さな領域にさらに解析し、そのシートを対応するステンシルプロセッサに提示する。
【0015】
単一入力の画像処理パイプラインやDAGフローの場合、一般に、入力フレームは、同じラインバッファユニット101_1に向けられ、それは、画像データをライングループに解析し、ライングループを対応するシート生成部103_1(対応するステンシルプロセッサ102_1はパイプライン/DAGにおいて第1のカーネルのコードを実行している)に向ける。ステンシルプロセッサ102_1による、それが処理するライングループでの動作が終了した後、シート生成部103_1は、出力ライングループを「下流」のラインバッファユニット101_2に送信する(ある使用例では、出力ライングループは、先に入力ライングループを送信したのと同じラインバッファ装置101_1に送り返すことができる)。
【0016】
自身のそれぞれの他のシート生成部およびステンシルプロセッサ(例えば、シート生成部103_2およびステンシルプロセッサ102_2)上で実行されるパイプライン/DAGにおける次のステージ/動作を表す1つ以上の「消費側」カーネルは、下流ラインバッファユニット101_2から、第1のステンシルプロセッサ102_1によって生成された画像データを受信する。このようにして、第1のステンシルプロセッサ上で動作する「作成側」カーネルは、その出力データが、第2のステンシルプロセッサ上で動作する「消費側」カーネルに転送され、消費側カーネルは、パイプラインまたはDAG全体の設計と整合する作成側カーネルの後に次のタスクのセットを実行する。
【0017】
ステンシルプロセッサ102は、画像データの複数の重なり合うステンシル上で同時に動作するように設計されている。複数の重なり合うステンシルおよびステンシルプロセッサの内部ハードウェア処理能力は、シートのサイズを効果的に決定する。ここでは、ステンシルプロセッサ102内で、実行レーンのアレイが一致して動作して、複数の重なり合うステンシルによってカバーされる画像データ表面領域を同時に処理する。
【0018】
以下でより詳細に説明するように、様々な実施形態において、画像データのシートは、ステンシルプロセッサ102内において二次元レジスタアレイ構造にロードされる。シートおよび二次元レジスタアレイ構造の使用は、大量のデータを、大量のレジスタ空間に、例えば、処理タスクが実行レーンアレイによってその直後に直接データ上で実行される単一のロード動作として移動することによって、電力消費の改善を効果的に提供すると考えられている。さらに、実行レーンアレイおよび対応するレジスタアレイの使用は、容易にプログラマブル/設定可能な異なるステンシルサイズを提供する。
【0019】
図2a〜
図2eは、ラインバッファユニット101の解析アクティビティ、およびシート生成部ユニット103のより微細な粒子の解析アクティビティ、ならびにシート生成部103に結合されるステンシルプロセッサ102のステンシル処理アクティビティの両方のハイレベルの実施形態を示す。
【0020】
図2aは、画像データ201の入力フレームの一実施形態を示す。
図2aはまた、ステンシルプロセッサが動作するように設計された3つの重なり合うステンシル202(各々3ピクセル×3ピクセルの寸法を有する)の概要を示す。各ステンシルがそれぞれ出力画像データを生成する出力ピクセルは、ベタ黒で強調表示される。簡略化のために、3つの重なり合うステンシル202は、垂直方向にのみ重なるように示されている。実際には、ステンシルプロセッサは、垂直方向および水平方向の両方に重なるステンシルを有するように設計されてもよいことを認識することが適切である。
【0021】
図2aに見られるように、ステンシルプロセッサ内の垂直に重なり合うステンシル202のために、フレーム内に単一のステンシルプロセッサが動作することができる画像データの広い帯域が存在する。以下でより詳細に説明するように、一実施形態では、ステンシルプロセッサは、データを、それらの重なり合うステンシル内で、左から右への態様で、画像データにわたって処理する(そして、次のラインのセットに対して、上から下の順序で繰り返す)。このように、ステンシルプロセッサがそれらの動作を前方に進めるにつれて、ベタ黒出力ピクセルブロックの数は、水平方向に右に成長する。上述したように、ラインバッファユニット101は、ステンシルプロセッサが今後の拡張された数のサイクルにわたって動作するのに十分な入来フレームからの入力画像データのライングループを解析することを担う。ライングループの例示的な図示は、陰影領域203として示されている。一実施形態では、ラインバッファユニット101は、ライングループをシート生成部との間で送受信するための異なるダイナミクスを理解することができる。例えば、「完全なグループ」と呼ばれる1つのモードによれば、画像データの完全な全幅のラインが、ラインバッファユニットとシート生成部との間で渡される。「仮想的に高い」と呼ばれる第2のモードによれば、ライングループは最初に全幅行のサブセットと共に渡される。その後、残りの行は、より小さい(全幅未満の)片で順番に渡される。
【0022】
入力画像データのライングループ203がラインバッファユニットによって画定され、シート生成部ユニットに渡されると、シート生成部ユニットはさらに、ライングループを、ステンシルプロセッサのハードウェア制限に、より正確に適合する、より微細なシートに、解析する。より具体的には、以下でさらに詳細に説明するように、一実施形態では、各ステンシルプロセッサは、二次元シフトレジスタアレイからなる。二次元シフトレジスタアレイは、本質的に、画像データを実行レーンのアレイの「真下」にシフトし、シフトのパターンは、各実行レーンをそれ自身のステンシル内においてデータに対して動作させる(すなわち、各実行レーンは、それ自身の情報のステンシル上で処理して、そのステンシルの出力を生成する)。一実施形態では、シートは、二次元シフトレジスタアレイを「満たす」か、さもなければ二次元シフトレジスタアレイにロードされる入力画像データの表面領域である。
【0023】
以下でより詳細に説明するように、様々な実施形態では、実際には、任意のサイクルでシフト可能な二次元レジスタデータの複数の層が存在する。便宜上、本記載の多くは、「二次元シフトレジスタ」などの用語を、シフト可能な二次元レジスタデータの1つ以上のそのような層を有する構造を指すために単純に使用する。
【0024】
したがって、
図2bに見られるように、シート生成部は、ライングループ203から最初のシート204を解析し、それをステンシルプロセッサに供給する(ここで、データのシートは、参照番号204によって全体的に識別される陰影領域に対応する)。
図2cおよび
図2dに示すように、ステンシルプロセッサは、重なるステンシル202をシート上で左から右へ効果的に移動させることによって、入力画像データのシートに対して動作する。
図2dのように、シート内のデータから出力値を計算することができるピクセル数が使い果たされる(他のピクセル位置は、シート内の情報から決定される出力値を有することができない)。簡単にするために、画像の境界領域は無視されている。
【0025】
図2eにおいて見られるように、シート生成部は次いで、ステンシルプロセッサが動作を継続する次のシート205を提供する。ステンシルが次のシートに対して動作を開始するときのステンシルの初期位置は、(先に
図2dに示されている)最初のシート上の消耗点から右への次の進行であることに留意されたい。新たなシート205で、ステンシルプロセッサが最初のシートの処理と同じ態様で新たなシートに対して動作するにつれ、ステンシルは単に右に移動し続ける。
【0026】
出力ピクセル位置を取り囲むステンシルの境界領域のために、第1のシート204のデータと第2のシート205のデータとの間にいくらかの重なりがあることに留意されたい。重なりは、シート生成部が重なり合うデータを2回再送信することによって簡単に処理することができる。別の実現例では、次のシートをステンシルプロセッサに供給するために、シート生成部は、ステンシルプロセッサに新たなデータを送るだけに進んでもよく、ステンシルプロセッサは、前のシートからの重なり合うデータを再利用する。
【0027】
b.ステンシルプロセッサ設計および動作
図3aは、ステンシルプロセッサ300の実施形態を示す。
図3aにおいて見られるように、ステンシルプロセッサは、データ計算ユニット301、スカラープロセッサ302および関連するメモリ303およびI/Oユニット304を含む。データ計算ユニット301は、実行レーンのアレイ305、二次元シフトアレイ構造306、およびアレイの特定の行または列に関連する別個のランダムアクセスメモリ307を含む。
【0028】
I/Oユニット304は、シート生成部から受け取ったデータの「入力」シートをデータ計算ユニット301にロードし、ステンシルプロセッサからのデータの「出力」シートをシート生成部に格納する役割を果たす。一実施形態では、データ計算ユニット301へのシートデータのロードは、受け取ったシートを画像データの行/列に解析し、画像データの行/列を二次元シフトレジスタ構造306または実行レーンアレイの行/列のそれぞれのランダムアクセスメモリ307にロードすることを必要とする(以下でより詳細に説明する)。シートが最初にメモリ307にロードされる場合、実行レーンアレイ305内の個々の実行レーンは、適宜、ランダムアクセスメモリ307からシートデータを二次元シフトレジスタ構造306にロードすることができる(例えば、シートのデータ上での動作のすぐ前のロード命令として)。データのシートのレジスタ構造306へのロード(シート生成部からの直接的であろうとまたはメモリ307からであろうと)が完了すると、実行レーンアレイ305の実行レーンはデータに対して動作し、最終的に、完成したデータをシートとしてシート生成部に、またはランダムアクセスメモリ307に「書き戻す」。後者の場合、I/Oユニット304はランダムアクセスメモリ307からデータをフェッチして出力シートを形成し、出力シートはシート生成部に転送される。
【0029】
スカラープロセッサ302は、スカラーメモリ303からステンシルプロセッサのプログラムコードの命令を読み出し、実行レーンアレイ305の実行レーンに命令を発行するプログラムコントローラ309を含む。一実施形態では、データ計算ユニット301からSIMDのような動作を実行するために、単一の同じ命令がアレイ305内のすべての実行レーンにブロードキャストされる。一実施形態では、スカラーメモリ303から読み出され、実行レーンアレイ305の実行レーンに発行される命令の命令フォーマットは、命令当たり2つ以上のオペコードを含む非常に長い命令語(VLIW)タイプのフォーマットを含む。さらなる実施形態では、VLIWフォーマットは、(以下に説明するように、一実施形態では2つ以上の従来のALU動作を指定することができる)各実行レーンのALUによって実行される数学的機能を指示するALUオペコードと、(特定の実行レーンまたは実行レーンのセットに対してメモリ操作を指示する)メモリオペコードとの両方を含む。
【0030】
「実行レーン」という用語は、命令を実行することができる1つ以上の実行ユニットのセット(例えば、命令を実行することができる論理回路系)を指す。実行レーンは、しかしながら、様々な実施形態では、単なる実行ユニットを超えた、よりプロセッサに似た機能を含むことができる。例えば、1つ以上の実行ユニットに加えて、実行レーンは、受信された命令をデコードする論理回路系、または、よりMIMDのような設計の場合、命令をフェッチおよびデコードする論理回路系を含むことができる。MIMDのようなアプローチに関しては、ここでは集中プログラム制御アプローチが主に記載されているが、より分散型のアプローチが様々な代替実施形態(例えば、アレイ305の各実行レーン内のプログラムコードおよびプログラムコントローラを含む)において実施されてもよい。
【0031】
実行レーンアレイ305、プログラムコントローラ309および二次元シフトレジスタ構造306の組み合わせは、広範囲のプログラマブルな機能のための幅広く適応可能/設定可能なハードウェアプラットフォームを提供する。例えば、アプリケーションソフトウェア開発者は、個々の実行レーンが多種多様な機能を実行することができ、任意の出力アレイ位置に近接した入力画像データに容易にアクセスすることができれば、寸法(例えばステンシルサイズ)だけでなく幅広い異なる機能能力を有するカーネルをプログラミングすることができる。
【0032】
実行レーンアレイ305によって操作される画像データのためのデータ記憶装置として機能することとは別に、ランダムアクセスメモリ307は、1つ以上のルックアップテーブルを保持することもできる。様々な実施形態では、1つ以上のスカラールックアップテーブルをスカラーメモリ303内でインスタンス化することもできる。
【0033】
スカラールックアップは、同じルックアップテーブルからの同じインデックスからの同じデータ値を実行レーンアレイ305内の各実行レーンに渡すことを含む。様々な実施形態では、上述のVLIW命令フォーマットは、スカラープロセッサによって実行されるルックアップ動作をスカラールックアップテーブルに向けるスカラーオペコードを含むようにも拡張される。オペコードとともに使用するために指定されたインデックスは、即値オペランドでもよいし、他のデータ記憶位置からフェッチされてもよい。いずれにせよ、一実施形態では、スカラーメモリ内のスカラールックアップテーブルからのルックアップは、基本的に同じクロックサイクル中に実行レーンアレイ305内のすべての実行レーンに同じデータ値をブロードキャストすることを含む。ルックアップテーブルの使用および動作に関する追加の詳細は、以下でさらに説明する。
【0034】
図3bは、上述のVLIW命令ワードの実施形態を要約したものである。
図3bにおいて見られるように、VLIW命令ワードフォーマットは、3つの別個の命令、すなわち、1)スカラープロセッサによって実行されるスカラー命令351、2)実行レーンアレイ内でそれぞれのALUによってSIMD方式でブロードキャストされ実行されるALU命令352、および3)部分的SIMD方式でブロードキャストされ実行されるメモリ命令353に対するフィールドを含む(例えば、実行レーンアレイ内において同じ行に沿った実行レーンが同じランダムアクセスメモリを共有する場合、異なる行の各々からの1つの実行レーンが実際に命令を実行する(メモリ命令353のフォーマットは、各行からのどの実行レーンが命令を実行するかを識別するオペランドを含むことができる)。
【0035】
1つ以上の即時オペランドに対するフィールド354も含まれる。命令351,352,353のどれが、どの即時オペランド情報を用いるかは命令フォーマットで識別されてもよい。命令351,352,353の各々は、また、それら自身のそれぞれの入力オペランドおよび結果情報(例えば、ALU演算用のローカルレジスタならびにメモリアクセス命令用のローカルレジスタおよびメモリアドレス)を含む。一実施形態では、スカラー命令351は、実行レーンアレイ内の実行レーンが他の2つの命令352,353のいずれかを実行する前にスカラープロセッサによって実行される。すなわち、VLIWワードの実行は、スカラー命令351が実行される第1のサイクルと、続いて他の命令352,353が実行されてもよい第2のサイクルとを含む。(様々な実施形態では、命令352,353は並列して実行されてもよい)。
【0036】
一実施形態では、スカラープロセッサによって実行されるスカラー命令は、シートをデータ計算ユニットのメモリもしくは2Dシフトレジスタからロードまたはそれに格納するようシート生成部に発行されるコマンドを含む。ここで、シート生成部の動作は、ラインバッファユニットの動作またはスカラープロセッサによって発行されたコマンドをシート生成部が完了するのに要するサイクル数のプレランタイムの理解を妨げる他の変数に依存し得る。したがって、一実施形態では、スカラー命令351がシート生成部に発行されるべきコマンドに対応するか、さもなければコマンドをシート生成部に発行させるVLIWワードは、他の2つの命令フィールド352,353に無操作(NOOP)命令を含む。次に、プログラムコードは、シート生成部がデータ計算ユニットに対するそのロードまたはデータ計算ユニットからのその格納を完了するまで、命令フィールド352,353についてNOOP命令のループに入る。ここで、シート生成部にコマンドを発行すると、スカラープロセッサは、シート生成部がコマンドの完了時にリセットするインターロックレジスタのビットをセットしてもよい。NOOPループの間、スカラープロセッサはインターロックビットのビットを監視する。スカラープロセッサが、シート生成部がそのコマンドを完了したことを検出すると、通常の実行が再び開始される。
【0037】
図4は、データ計算コンポーネント401の一実施形態を示す。
図4において見られるように、データ計算コンポーネント401は、二次元シフトレジスタアレイ構造406「の上に」論理的に位置決めされる実行レーンのアレイ405を含む。上述したように、様々な実施形態では、シート生成部によって提供される画像データのシートが二次元シフトレジスタ406にロードされる。実行レーンは、レジスタ構造406からのシートデータに対して動作する。
【0038】
実行レーンアレイ405およびシフトレジスタ構造406は、互いに対して適所に固定される。しかし、シフトレジスタアレイ406内のデータは、戦略的かつ調整された態様でシフトして、実行レーンアレイ内の各実行レーンがデータ内で異なるステンシルを処理するようにする。したがって、各実行レーンは、生成されている出力シートにおいて異なるピクセルに対する出力画像値を決定する。
図4のアーキテクチャから、実行レーンアレイ405が垂直に近接する実行レーンおよび水平に近接する実行レーンを含むので、重なり合うステンシルが垂直に配置されるだけでなく水平にも配置されることは明らかである。
【0039】
データ計算ユニット401のいくつかの注目すべきアーキテクチャ上の特徴には、実行レーンアレイ405よりも広い寸法を有するシフトレジスタ構造406が含まれる。すなわち、実行レーンアレイ405の外側にレジスタ409の「ハロー」が存在する。ハロー409は、実行レーンアレイの2つの側に存在するように示されているが、実現例に応じて、実行レーンアレイ405の2つ未満(1つ)またはそれ以上(3つまたは4つ)の側に存在してもよい。ハロー405は、データが実行レーン405の「下で」シフトしているときに、実行レーンアレイ405の境界の外側にこぼれ出るデータのための「スピルオーバ」空間を提供する働きをする。単純なケースとして、実行レーンアレイ405の右端を中心とする5×5のステンシルは、ステンシルの最も左側のピクセルが処理されるとき、さらに右側に4つのハローレジスタ位置を必要とすることになる。図面を簡単にするために、
図4は、名目上の実施例において、どちらの側(右、底)のレジスタでも水平方向接続および垂直方向接続の両方を有するであろうとき、ハローの右側のレジスタを、水平方向シフト接続を有するだけとして、およびハローの底側のレジスタを、垂直方向シフト接続を有するだけとして示す。
【0040】
アレイの各行および/もしくは各列またはその一部分に結合されるランダムアクセスメモリ407によって追加のスピルオーバールームが提供される(例えば、ランダムアクセスメモリは、4つの実行レーン行状と2つの実行レーン列状にまたがる実行レーンアレイの「領域」に割り当てられてもよい。簡略化のために、アプリケーションの残りの部分は、主に、行および/または列に基づく割り当てスキームを指す)。ここで、実行レーンのカーネル動作が、それが(一部の画像処理ルーチンが必要とする場合がある)二次元シフトレジスタアレイ406の外にあるピクセル値を処理することを必要とする場合、画像データの面は、ハロー領域409からランダムアクセスメモリ407にさらにこぼれ出ることができる。例えば、ハードウェアが実行レーンアレイの右端の実行レーンの右側にわずか4つの記憶素子のハロー領域を含む場合の6X6ステンシルを考える。この場合、ステンシルを完全に処理するために、データをハロー409の右端からさらに右側にシフトする必要があるであろう。ハロー領域409の外側にシフトされたデータは、ランダムアクセスメモリ407にこぼれ出る。ランダムアクセスメモリ407および
図3のステンシルプロセッサの他の適用例を以下でさらに説明する。
【0041】
図5aないし
図5kは、上述のように実行レーンアレイ「の下で」二次元シフトレジスタアレイ内で画像データがシフトされる態様の実施例を示す。
図5aにおいて見られるように、二次元シフトアレイのデータ内容は第1のアレイ507に示され、実行レーンアレイはフレーム505によって示される。また、実行レーンアレイ内の2つの近隣の実行レーン510が簡略化して示されている。この簡単な図示510では、各実行レーンは、シフトレジスタからデータを受け付け、ALU出力からデータを受け付け(例えば、サイクルにわたってアキュムレータとして動作する)、または出力データを出力先に書き込むことができるレジスタR1を含む。
【0042】
各実行レーンはまた、ローカルレジスタR2において、二次元シフトアレイにおけるそれ「の下の」内容が利用可能である。したがって、R1は実行レーンの物理レジスタであり、R2は二次元シフトレジスタアレイの物理レジスタである。実行レーンは、R1および/またはR2によって提供されるオペランドに対して動作可能なALUを含む。さらに詳細に後述するように、一実施形態では、シフトレジスタは、実際にはアレイ位置ごとに複数の(ある「深さ」の)記憶/レジスタ素子で実現されるが、シフト動作は記憶素子の1つの面に限られる(例えば、記憶素子の1つの面のみがサイクルごとにシフトすることができる)。
図5aないし
図5kは、それぞれの実行レーンから結果のXを格納するために使用されるとしてこれらのより深いレジスタ位置の1つを示している。例示を容易にするために、より深い結果のレジスタは、その対応するレジスタR2の下ではなく、その横に図示されている。
【0043】
図5a〜
図5kは、実行レーンアレイ内に示された実行レーン位置511の対に中心位置が整列された2つのステンシルの計算に焦点を当てている。例示を容易にするために、実行レーン510の対は、実際には、以下の例によれば、それらが垂直方向の近隣実行レーンである場合に、水平方向の近隣実行レーンとして図示されている。
【0044】
図5aで最初に見られるように、実行レーンはそれらの中央のステンシル位置上に中心を配される。
図5bは、両方の実行レーンによって実行されるオブジェクトコードを示す。
図5bにおいて見られるように、両方の実行レーンのプログラムコードは、シフトレジスタアレイ内のデータを、1つの位置だけ下にシフトさせ、1つの位置だけ右にシフトさせる。これにより、両方の実行レーンがそれらのそれぞれのステンシルの左上隅に整列される。次に、プログラムコードは、(R2において)それらのそれぞれの位置にあるデータをR1にロードさせる。
【0045】
図5cに示すように、次にプログラムコードは、実行レーンの対に、シフトレジスタアレイ内のデータを1単位だけ左にシフトさせ、各実行レーンのそれぞれの位置の右の値を各実行レーンの位置にシフトさせる。R1の値(以前の値)は、次いで、(R2における)実行レーンの位置にシフトした新しい値とともに加算される。結果はR1に書き込まれる。
図5dで見られるように、
図5cについて上述したのと同じプロセスが繰り返され、結果のR1に対して、今度は上側実行レーンにおける値A+B+C、および下側実行レーンにおけるF+G+H値を含ませるようにする。この時点で、両方の実行レーンはそれらのそれぞれのステンシルの上側の行を処理している。(左側に存在する場合には)実行レーンアレイの左側でハロー領域に、またはハロー領域が存在しない場合にはランダムアクセスメモリにこぼれ出ることは、実行レーンアレイの左側には存在しないことに注目されたい。
【0046】
図5eに示すように、次に、プログラムコードは、シフトレジスタアレイ内のデータを1単位だけ上にシフトさせ、両方の実行レーンをそれらのそれぞれのステンシルの中間行の右端に整列される。両方の実行レーンのレジスタR1は、現在、ステンシルの最上行および中間行の一番右の値の合計を含む。
図5fおよび
図5gは、両方の実行レーンのステンシルの中間行にわたって左方向に移動する継続的な進行を示す。累積加算は、
図5gの処理の終了時に、両方の実行レーンがそれらのそれぞれのステンシルの最上行の値と中間行の値との合計を含むように、継続する。
【0047】
図5hは、各実行レーンをそれの対応するステンシルの最下行に整列させる別のシフトを示す。
図5iおよび
図5jは、両方の実行レーンのステンシルの過程にわたって処理を完了するための継続的なシフトを示す。
図5kは、各実行レーンをデータアレイにおいてそれの正しい位置に整列させ、その結果をそこに書き込むための追加のシフトを示す。
【0048】
図5a〜
図5kの例では、シフト動作のためのオブジェクトコードは、(X、Y)座標で表されるシフトの方向および大きさを識別する命令フォーマットを含むことができることに留意されたい。例えば、1つの位置分の上方向シフトのためのオブジェクトコードは、オブジェクトコードでSHIFT0,+1として表現されてもよい。別の例として、1つの位置分の右方向へのシフトは、オブジェクトコードでSHIFT+1,0として表現されてもよい。様々な実施形態では、より大きい大きさのシフトも、オブジェクトコードで指定することができる(例えば、シフト0,+2)。ここで、2Dシフトレジスタハードウェアが1サイクルにつき1つの位置だけしかシフトをサポートしない場合、命令は機械によって複数のサイクル実行を要求するように解釈されてもよく、または2Dシフトレジスタハードウェアは、1サイクルにつき2つ以上の位置分シフトをサポートするように設計されてもよい。後者の実施形態はより詳細にさらに下に記載される。
【0049】
図6aは、アレイ実行レーンおよびシフトレジスタ構造の単位セルの別のより詳細な図を示す(ハロー領域のレジスタは、対応する実行レーンを含まない)。実行レーンおよび実行レーンアレイの各位置に関連するレジスタ空間は、一実施形態では、実行レーンアレイの各ノードで、
図6aに示す回路系をインスタンス化することによって実施される。
図6aに示すように、単位セルは、4つのレジスタR2〜R5からなるレジスタファイル602に結合される実行レーン601を含む。任意のサイクルの間、実行レーン601は、レジスタR1〜R5のいずれかから読み書きすることができる。2つの入力オペランドを必要とする命令の場合、実行レーンはR1〜R5のいずれかからオペランドの両方を取り出すことができる。
【0050】
一実施形態では、二次元シフトレジスタ構造は、近隣のレジスタファイル間のシフトが同じ方向にあるように(例えば、すべての実行レーンは左にシフトする、すべての実行レーンは右にシフトするなど)、それの近隣のレジスタファイルが入力マルチプレクサ604を介する場合に、単一のサイクルの間に、レジスタR2〜R4のいずれか(ただ)1つの内容が、出力マルチプレクサ603を介してその近隣のレジスタファイルの1つにシフト「アウト」され、対応するものからシフト「イン」される内容でレジスタR2〜R4のいずれか(ただ)1つの内容が置き換えられることによって、実現される。同じレジスタがその内容がシフトアウトされて同じサイクルでシフトインされる内容で置き換えられるのが一般的であるかもしれないが、マルチプレクサ構成603,604は、同じサイクル中に同じレジスタファイル内で異なるシフトソースおよびシフトターゲットレジスタを可能にする。
【0051】
図6aに示すように、シフトシーケンスの間、実行レーンは、内容をそのレジスタファイル602からその左、右、上および下の近隣のレジスタファイルにシフトアウトする。同じシフトシーケンスと関連して、実行レーンは、さらに、内容をその左、右、上および下の近隣のレジスタファイルの特定のものからそれのレジスタファイルにシフトする。再び、シフトアウトターゲットおよびシフトインソースは、すべての実行レーンについて同じシフト方向と整合しなければならない(例えば、シフトアウトが右隣に対する場合、シフトインは左隣からでなければならない)。
【0052】
一実施形態では、1サイクルにつき1つの実行レーンにつき1つのレジスタの内容だけをシフトすることが許されるが、他の実施形態では、2つ以上のレジスタの内容をシフトイン/アウトすることが許されてもよい。例えば、
図6aに示されたマルチプレクサ回路系603,604の第2の例が
図6aの設計に組み込まれる場合、同じサイクルの間に2つのレジスタの内容がシフトアウト/インされてもよい。もちろん、1つのレジスタの内容だけがサイクルごとにシフトされることが許される実施形態では、数学的演算間のシフトのためにより多くのクロックサイクルを消費することによって、複数のレジスタからのシフトが数学的演算間に起こってもよい(例えば、2つのレジスタの内容が、数学的演算間で2つのシフト演算を消費することによって数学的演算間でシフトされてもよい)。
【0053】
実行レーンのレジスタファイルのすべての内容未満がシフトシーケンス中にシフトアウトされる場合、各実行レーンのシフトアウトされないレジスタの内容は適所に残る(シフトしない)ことに留意されたい。したがって、シフトインされる内容と置き換えられないシフトされない内容は、シフトサイクルにわたって実行レーンにローカルに維持される。各実行レーンで見られるメモリユニット(「M」)は、データを、実行レーンアレイ内の実行レーンの行および/または列に関連付けられるランダムアクセスメモリ空間からロードまたはそれに格納するために使用される。ここで、Mユニットは、実行レーンの自身のレジスタ空間からロードまたはそれに格納できないデータをロード/格納するためによく使用されるという点で、標準的なMユニットとして機能する。様々な実施形態では、Mユニットの主な動作は、ローカルレジスタからメモリにデータを書き込み、メモリからデータを読み出してそれをローカルレジスタに書き込むことである。
【0054】
ハードウェア実行レーン601のALUユニットによってサポートされるISAオペコードに関して、様々な実施形態において、ハードウェアALUによってサポートされる数学的オペコードは、仮想実行レーンによってサポートされる数学的オペコード(例えば、ADD、SUB、MOV、MUL、MAD、ABS、DIV、SHL、SHR、MIN/MAX、SEL、AND、OR、XOR、NOT)と一体的に結び付けられる(例えば実質的に同じである)。上述のように、メモリアクセス命令は、実行レーン601によって実行され、データをそれらの関連付けられるランダムアクセスメモリからフェッチまたはそれに格納することができる。さらに、ハードウェア実行レーン601は、シフト演算命令(右、左、上、下)をサポートし、二次元シフトレジスタ構造内でデータをシフトする。上述したように、プログラム制御命令は主にステンシルプロセッサのスカラープロセッサによって実行される。
【0055】
c.シート生成部動作および設計
図7〜
図12は、シート生成部の特別な考察および/または動作に関する。上述したように、シート生成部は、対応するステンシルプロセッサによる処理のために情報のシートを生成する役割を担う。プロセッサ全体の設計に幅広い汎用性/プログラマビリティを課すために、シート生成部は、ある状況では、受け取られたライングループから適切なセクションを解析するだけでなく、入力シートを準備する際に追加の動作を実行する必要があり得る。
【0056】
例えば、ある場合には、プログラムコードは、同じ画像の複数のチャネルを同時に処理することを要求する。例えば、多くのビデオ画像は、赤(R)チャンネル、青(B)チャンネルおよび緑(G)チャンネルを有する。一実施形態では、シート生成部は、関連のメモリを有するプロセッサおよびそのメモリから実行されるプログラムコードとともに実現される。
【0057】
図7において見られるように、アプリケーションソフトウェアからの、カーネルが異なるチャネル(コンパイラから示唆されている可能性がある)からデータを同時に処理する必要性に応答して、シート生成部によって実行されるプログラムコードは、異なる「面」に沿って別々のシートを形成し(すなわち、各チャネルから異なるシートを形成し)、それらを一緒にデータ計算ユニットにロードすることに進む。すなわち、シート生成部は、アレイの同じ部分についてRシート、BシートおよびGシートを生成し、3つのシートすべてを計算ユニットにロードする。実行レーンアレイ内の実行レーンは、次いで、必要に応じて(例えば、Rシートをレジスタファイルの1つの層に、Gシートをレジスタファイルの別の層に、Bシートをレジスタファイルのさらに別の層に格納することによって)R、G、およびBシート上で自由に動作することができる。
【0058】
図8は、多次元入力画像のためのシート生成に関する。ここでは、多くの入力画像が単純なアレイの形式にあるが、場合によっては、アレイの各位置が多次元データ構成に対応する。例示的な例として、
図8は、各アレイ位置が3×3×3立方の異なるセグメントに対応する27個の異なる値を含む画像を示す。ここで、各アレイ位置が多次元データ構成を有する場合、シート生成部は入力アレイを「展開」して、各データ構成次元について別々のシートを形成する。したがって、
図8に見られるように、シート生成部は、すべてのシートにわたる各シートの各アレイ位置がスカラー値(1つの立方セグメント)を含む27枚のシート(各立方セグメントごとに1枚)を生成する。27枚のシートは、次いで、ステンシルプロセッサにロードされる。実行レーンアレイ内の実行レーンによって実行されるプログラムコードは、次いで、多次元入力アレイが展開された態様を理解して27枚のシートに対して動作する。
【0059】
図9は、実行レーンアレイ内の実行レーンが異なるデータビット幅を処理することを可能にするために使用される技術に関する。ここで、当技術分野で理解されているように、より大きなダイナミックレンジが、データ値のビット幅を増加させることによって達成される(16ビット値は、8ビット値より大きいダイナミックレンジで値を表現することができる)。一実施形態では、ステンシルプロセッサは、8、16、または32ビットピクセル値のような異なるビット幅を有する画像に対して動作することが期待される。したがって、1つのアプローチによれば、実行レーンそれら自体は、32ビットオペランドを内部で処理できるという意味で、32ビットマシンである。
【0060】
しかし、二次元シフトレジスタのサイズおよび複雑さを低減するために、各実行レーンのレジスタファイル内のレジスタの個々の記憶素子は8ビットに制限される。8ビットの画像データの場合には、データのシート全体がレジスタファイルの1つのレジスタに収まり得るので問題はない。対照的に、16または32ビットオペランドの場合、シート生成部は、入力オペランドデータセットを適切に表現するために複数のシートを生成する。
【0061】
例えば、
図9に示すように、16ビットの入力オペランドの場合、シート生成部は、HI半シートおよびLO半シートを生成する。HI半シートは、正しいアレイ位置において各データ項目の上位8ビットを含む。LO半シートは、正しいアレイ位置において各データ項目の下位8ビットを含む。次いで、両方のシートをステンシルプロセッサにロードし、16ビット演算が行われることを実行レーンハードウェアに(例えば、プログラムコードの即値を介して)通知することによって、16ビット演算が実行される。ここでは、ほんの1つの可能な動作モードとして、HIシートおよびLOシートの両方が、各実行レーンレジスタファイルの2つの異なるレジスタにロードされる。
【0062】
実行レーンユニットは、最初にレジスタファイル位置の1つから読み出し、その中のデータを別のレジスタファイル位置から読み出されたデータで付加することにより、正しいオペランドを内部的に構築することができる。同様に、書込方向では、実行レーンユニットは2つの書込を実行しなくてはならない。具体的には、LOシートを含むレジスタファイルの第1のレジスタへの下位8ビットの第1の書込と、HIシートを含むレジスタファイルの第2のレジスタへの上位8ビットの第2の書込とを行う。
【0063】
図12の考察から、様々な実施形態のシフトでは、1つのレジスタのみの内容がサイクルごとにシフトされることが許可されることを思い出されたい。このように、二次元シフトレジスタ構造の周りで16ビットデータ値を移動させるためには、8ビットデータ値の場合における1サイクルではなく、(演算間で)シフトシーケンスにつき2サイクルが消費される。つまり、8ビットのデータ値の公称の場合では、すべてのデータを位置間で1サイクルでシフトすることができる。対照的に、16ビットのデータ値の場合には、2つの8ビット値がシフトレジスタシフト動作ごとにシフトされなければならない(HI半シートおよびLO半シート)。一実施形態では、32ビットの場合、画像データ全体を表すために2つのシートではなく4つのシートが作成される以外は、同じ原理が適用される。同様に、シフトシーケンスごとに4サイクルも消費する必要があり得る。
【0064】
図10は、画像プロセッサが入力画像データをより低密度の解像度からより高密度の解像度に「アップサンプリング」する状況に関係する。ここで、ステンシルプロセッサは、入力画像が含むよりも、画像の単位面積当たり、より多くの出力値を生成することを担う。シート生成部は、シートデータ値密度がアップサンプリングされた(より高密度の)出力画像に対応するようにシートにわたって同じデータ値を繰り返すことによって、アップサンプリングの問題を処理する。すなわち、例えば、
図10に示すように、入力された画像の密度を考慮して、出力実行レーンアレイ密度が4:1のアップサンプリングに対応する場合(入力ピクセルごとに4つの出力ピクセル)、シート生成部は、入力値ごとに4つの同じ値でシートを製造する。
【0065】
図11は、「ダウンサンプリング」
の状況に関する。ダウンサンプリングの場合、シート生成部は、より低い密度の入力画像に対してよりも多くのシートを生成する。具体的には、入力画像が、1つの(例えば、X)方向においてSのより高い解像度のファクタと、他の(例えば、Y)方向においてTのより高い解像度のファクタとを有する場合、シート生成部は初期のより密な初期シートからS*Tシートを生成する。これは、より多くの入力ピクセルを任意の特定の出力ピクセルに効果的に割り当てる。
【0066】
図12は、実行レーンアレイ内の実行レーンによって実行される数学的演算が、二次元シフトレジスタ構造のサイズよりも大きい画像データの表面積を必要とする状況に関連する。
図12に示すように、処理のために二次元シフトレジスタ構造にロードされるシートは、入力フレームの陰影付き領域1201に対応する。しかしながら、陰影付き領域内のアレイ位置に対する出力値を計算する数学的演算は、
図12で見られる破線の境界線1202によって境界付けられるフレーム内の値を必要とする。したがって、二次元シフトレジスタ構造の表面積の外側に演算に含まれる大きな「サポート領域」が存在する。
【0067】
これらの条件下では、シート生成部は、陰影付き領域1201に対応するシートをステンシルプロセッサにロードするだけでなく、3つの(陰影なし)の近隣シートもデータ計算ユニットにロードする。実行レーンによって実行されるプログラムコードは、必要に応じてシートをランダムアクセスメモリに呼び込み、およびそれから移動し、ならびに/またはシートの一部または全部を二次元シフトレジスタアレイのより深いレジスタに格納する。
【0068】
図13は、シート生成部のためのハードウェア設計1300の実施形態を提供する。
図13で見られるように、一実施形態では、シート生成部は、メモリ1302に格納されたプログラムコードを実行して、
図7〜
図12に関して上に記載されたタスクのいずれかなどのシート生成部タスクを実行するプロセッサ/コントローラ1301を有するコンピューティングシステムとして実装される。また、シート生成部は、ネットワークとの間でライングループを送受信し、シート生成部の関連するステンシルプロセッサとの間でシートを送受信するためのI/Oユニット1303を含む。
【0069】
シート生成部の関連する特徴は、(
図13に示されるように)シート生成部内、プロセッサ/コントローラ1301内、および/またはメモリ1302内で別個のレジスタ空間として実施され得るその構成空間1304である。構成空間1304は、プラットフォーム全体の幅広い適応性およびプログラマビリティに役立つ。ここで、構成空間1304内で行われる設定は、例えば、フレームサイズ、ライングループサイズ、シートサイズ、入力画像ピクセル解像度、出力画像ピクセル解像度などの関連の画像特徴および寸法を含んでもよい。次に、メモリ1302内のプログラムコードは、構成空間内の情報を入力変数として使用して、正しくサイズ決めされたシート等に対する正しい操作を行う。
【0070】
代替的に、またはある組み合わせでは、特定のアプリケーションおよび/または画像寸法についてメモリ1302にカスタムプログラムコードをロードすることによって、プラットフォーム全体の幅広い適応性およびプログラマビリティを実現することができる。ここで、例えば、コンパイラは、位置相対的アドレス指定方式のX、Y座標、ならびに/またはフレームサイズおよびライングループサイズのいずれかを簡単に参照して、シートサイズ、シート境界などを容易に決定し、汎用プログラムコードテンプレートを手元の画像処理タスクに特有のソフトウェアプログラムにカスタマイズしてもよい。同様に、相対的な位置決めまたは他の画像寸法の任意のそのような変換および実際の使用を、シート生成部上に存在するプログラムコードがシート境界、シートサイズなどを決定する構成空間1304に入れてもよい。
【0071】
d.実現例の実施形態
上述した様々な画像プロセッサアーキテクチャの特徴は、必ずしも従来の意味での画像処理に限定されず、したがって、画像プロセッサを再特徴付けしてもよい(またはしなくてもよい)他のアプリケーションに適用することができることを指摘することが適切である。例えば、実際のカメラ画像の処理とは対照的に、アニメーションの作成および/または生成および/またはレンダリングにおいて上述した様々な画像プロセッサアーキテクチャの特徴のいずれかが使用される場合、画像プロセッサはグラフィックス処理ユニットとして徳経づけられてもよい。さらに、上述した画像プロセッサアーキテクチャの特徴は、ビデオ処理、視覚処理、画像認識および/または機械学習などの他の技術的用途にも適用することができる。このように適用されて、画像プロセッサは、より汎用的なプロセッサ(例えば、コンピューティングシステムのCPUの一部であるか、またはその一部である)と(例えばコプロセッサとして)一体化されてもよく、またはコンピューティングシステム内のスタンドアロンプロセッサであってもよい。
【0072】
上述したハードウェア設計の実施形態は、半導体チップ内において、および/または最終的に半導体製造プロセスに向けての回路設計の記述として実施することができる。後者の場合、そのような回路記述は、より高い/挙動レベルの回路記述(例えばVHDL記述)もしくはより低いレベルの回路記述(例えばレジスタ転送レベル(RTL)記述、トランジスタレベル記述もしくはマスク記述)またはそれらの様々な組み合わせの形態をとってもよい。回路記述は、典型的には、コンピュータ可読記憶媒体(例えばCD−ROMまたは他のタイプの記憶技術)上に実施される。
【0073】
先のセクションから、上記の画像プロセッサは、(例えば、ハンドヘルド装置のカメラからのデータを処理するハンドヘルド装置のシステムオンチップ(SOC)の一部として)コンピュータシステム上のハードウェアで実施できることを認識することに関係する。画像プロセッサがハードウェア回路として実施される場合、画像プロセッサによって処理される画像データはカメラから直接受信されてもよいことに留意されたい。ここで、画像プロセッサは、別体のカメラの一部であってもよいし、一体化されたカメラを有するコンピューティングシステムの一部であってもよい。後者の場合、画像データは、カメラから直接、またはコンピューティングシステムのシステムメモリから受信することができる(例えば、カメラは、その画像データを画像プロセッサではなくシステムメモリに送信する)。先のセクションで説明した機能の多くは、(アニメーションをレンダリングする)グラフィックスプロセッサユニットにも適用可能であることにも留意されたい。
【0074】
図14は、コンピューティングシステムの例示的な図である。以下に説明するコンピューティングシステムのコンポーネントの多くは、一体化されたカメラおよび関連する画像プロセッサ(例えば、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのハンドヘルドデバイス)を有するコンピューティングシステムに適用可能である。当業者は、2つの間の範囲を容易に定めることができるであろう。
【0075】
図14に見られるように、基本的なコンピューティングシステムは、中央処理ユニット1401(例えば、マルチコアプロセッサまたはアプリケーションプロセッサ上に配置された複数の汎用処理コア1415_1〜1415_Nおよびメインメモリコントローラ1417を含み得る)、システムメモリ1402、ディスプレイ1403(例えばタッチスクリーン、フラットパネル)、ローカル有線ポイントツーポイントリンク(例えばUSB)インタフェース1404、様々なネットワークI/O機能1405(イーサネット(登録商標)インタフェースおよび/またはセルラーモデムサブシステムなど)、無線ローカルエリアネットワーク(例えばWiFi)インタフェース1406、ワイヤレスポイントツーポイントリンク(例えばブルートゥース(登録商標))インタフェース1407およびグローバルポジショニングシステムインタフェース1408、様々なセンサ1409_1〜1409_N、1つ以上のカメラ1410、バッテリ1411、電力管理制御ユニット1412、スピーカおよびマイクロホン1413、ならびに音声コーダ/デコーダ1414を含んでもよい。
【0076】
アプリケーションプロセッサまたはマルチコアプロセッサ1450は、そのCPU1401内における1つ以上の汎用処理コア1415、1つ以上のグラフィカル処理ユニット1416、メモリ管理機能1417(例えばメモリコントローラ)、I/O制御機能1418および画像処理ユニット1419を含んでもよい。汎用処理コア1415は、典型的には、コンピューティングシステムのオペレーティングシステムおよびアプリケーションソフトウェアを実行する。グラフィックス処理ユニット1416は、典型的には、ディスプレイ1403上に提示されるグラフィックス情報を生成するために、グラフィックス集中型機能を実行する。メモリ制御機能1417は、システムメモリ1402とインタフェースして、システムメモリ1402との間でデータの書込/読出を行う。電力管理制御ユニット1412は、システム1400の電力消費を全体的に制御する。
【0077】
画像処理ユニット1419は、先のセクションで説明した画像処理ユニットの実施形態のいずれかに従って実現することができる。代替的にまたは組み合わせて、IPU1419は、GPU1416およびCPU1401のいずれかまたは両方にそのコプロセッサとして結合されてもよい。さらに、様々な実施形態では、GPU1416は、上で説明した画像プロセッサの特徴のいずれかを用いて実現することができる。
【0078】
タッチスクリーンディスプレイ1403、通信インタフェース1404〜1407、GPSインタフェース1408、センサ1409、カメラ1410、およびスピーカ/マイクコーデック1413,1414の各々はすべて、適切な場合には、一体化された周辺装置(例えば1つ以上のカメラ1410)も含むコンピューティングシステム全体に対して様々な形態のI/O(入力および/または出力)として見ることができる。実現例によっては、これらのI/Oコンポーネントの様々なものは、アプリケーションプロセッサ/マルチコアプロセッサ1450上に統合されてもよく、またはアプリケーションプロセッサ/マルチコアプロセッサ1450のダイから離れて、またはそのパッケージ外に配置されてもよい。
【0079】
一実施形態では、1つ以上のカメラ1410は、カメラとその視野内の対象との間の深度を測定することができる深度カメラを含む。アプリケーションプロセッサまたは他のプロセッサの汎用CPUコア(もしくはプログラムコードを実行するために命令実行パイプラインを有する他の機能ブロック)上で実行されるアプリケーションソフトウェア、オペレーティングシステムソフトウェア、デバイスドライバソフトウェアおよび/またはファームウェアは、上記の機能のいずれかを実行してもよい。
【0080】
本発明の実施形態は、上述したような様々なプロセスを含むことができる。これらのプロセスは、機械実行可能命令で実施されてもよい。これらの命令は、汎用または特殊目的のプロセッサに特定のプロセスを実行させるために使用できる。代替的に、これらのプロセスは、プロセスを実行するためのハードワイヤード論理を含む特定のハードウェアコンポーネントによって、またはプログラミングされたコンピュータコンポーネントとカスタムハードウェアコンポーネントとの任意の組み合わせによって実行されてもよい。
【0081】
本発明の要素はまた、機械実行可能命令を記憶するための機械可読媒体として提供されてもよい。機械可読媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD−ROM、および光磁気ディスク、フラッシュメモリ、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気もしくは光カード、伝搬媒体、または電子命令を記憶するのに適した他のタイプの媒体/機械可読媒体を含むが、それらに限定はされない。例えば、本発明は、搬送波または通信リンク(例えばモデムもしくはネットワーク接続)を介する他の伝搬媒体で実施されたデータ信号によって、遠隔のコンピュータ(例えばサーバ)から要求側コンピュータ(例えばクライアント)に転送され得るコンピュータプログラムとしてダウンロードすることができる。
【0082】
前述の明細書では、本発明をその特定の例示的な実施形態を参照して説明した。しかしながら、特許請求の範囲に記載される本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更がなされ得ることは明らかであろう。したがって、明細書および図面は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。