特許第6563527号(P6563527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563527
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】金属ナトリウムの充填方法
(51)【国際特許分類】
   F01L 3/24 20060101AFI20190808BHJP
   F01L 3/14 20060101ALI20190808BHJP
   C22B 9/02 20060101ALI20190808BHJP
   C22B 26/10 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   F01L3/24 D
   F01L3/14 A
   C22B9/02
   C22B26/10 101
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-563493(P2017-563493)
(86)(22)【出願日】2016年1月29日
(86)【国際出願番号】JP2016052636
(87)【国際公開番号】WO2017130376
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2018年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227157
【氏名又は名称】日鍛バルブ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000183945
【氏名又は名称】助川電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【弁理士】
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100168088
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 悠
(72)【発明者】
【氏名】内田 茂
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 遼
(72)【発明者】
【氏名】本間 弘一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 邦明
(72)【発明者】
【氏名】塙 政成
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−232318(JP,A)
【文献】 特開2003−103355(JP,A)
【文献】 特開平3−18605(JP,A)
【文献】 特開平4−272413(JP,A)
【文献】 特開2011−184260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 3/24
C22B 9/02
C22B 26/10
F01L 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空エンジンバルブの中空部に金属ナトリウムを充填する方法において、
溶融金属ナトリウムを、前記エンジンバルブの中空部の内径より大径であるシリンダ内に指向性固化条件で、液滴凝固速度より若干早い不連続ができない形態で注入し、当該シリンダ内に実質的に均一な組織を有する棒状の金属ナトリウムを生成させ、
この棒状金属ナトリウムの均一組織を維持しながら、当該金属ナトリウムを、細径のノズル状ダイスを通して、前記エンジンバルブの中空部に挿入し切断し封入することを特徴とする金属ナトリウムの充填方法。
【請求項2】
溶融金属ナトリウムのシリンダ内への注入を、シリンダ内の金属ナトリウムの界面を半固化状態に維持しながら行うようにした請求項1に記載の金属ナトリウムの充填方法。
【請求項3】
溶融金属ナトリウムを、滴下によりシリンダ内に注入するようにした請求項1又は2に記載の金属ナトリウムの充填方法。
【請求項4】
前記シリンダの内径が、20mm〜50mmであり、当該シリンダに、温度180℃〜250℃の溶融金属ナトリウムを150g/分〜300g/分の速度で注入するようにした請求項1から3までのいずれか1項に記載の金属ナトリウムの充填方法。
【請求項5】
有機溶媒を含有する金属ナトリウムを精製し、精製した金属ナトリウムを中空エンジンバルブの中空部に充填する方法において、
当該金属ナトリウムを密閉した溶融タンクに収容し、減圧下、当該溶融タンクを加熱することにより、前記金属ナトリウムに付着した前記有機溶媒を気化させ除去し、
当該溶融金属ナトリウムを、前記エンジンバルブの中空部の内径より大径であるシリンダ内に指向性固化条件で、液滴凝固速度より若干早い不連続ができない形態で注入して、当該シリンダ内に均一組織を有する棒状の金属ナトリウムを生成させ、
この棒状金属ナトリウムの均一組織を維持しながら、当該金属ナトリウムを、細径のノズル状ダイスを通して、前記エンジンバルブの中空部に挿入し切断し封入することを特徴とする金属ナトリウムの精製及び充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に用いられる中空エンジンバルブへの金属ナトリウムの充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用エンジンなどの内燃機関に用いられるエンジンバルブ、特に排気バルブは、高温に曝されるため、中空としたエンジンバルブの軸部内に金属ナトリウムを封入している。封入される金属ナトリウムは常温では固体であるが、
融点は約98℃であり、比較的低温で液化する。そのためエンジンが始動しバルブが暖まると液状になり、バルブの上下動により軸部内でシェイクされて、燃焼室からバルブの傘部に伝達された熱が軸部を熱伝導して、軸部と接触しているバルブガイドを介してシリンダヘッドのウォータージャケットに放熱される。これによって燃焼室とエンジンバルブの過熱を防止している。しかも封入された金属ナトリウムは、比重が0.97と水よりも軽いため、金属ナトリウムをバルブの軸部に充填することにより、バルブ全体の軽量化にも寄与できる。
【0003】
金属ナトリウムは還元作用が強く、水を還元して水素を発生させ、自身は水酸化ナトリウムになる。従って、このような酸化作用を受けることなく、長期安定化を図るために、金属ナトリウムは石油や流動パラフィン(比較的長鎖の飽和炭化水素の混合物で、数百度の沸点を有する)などの有機溶媒に浸漬し、水や空気との接触を断った状態で保存される。更に石油や流動パラフィンは比重が金属ナトリウムより小さく、金属ナトリウムがこれらの溶媒表面に浮き上がることがなく、確実に水や空気から遮断される。
【0004】
このような有機溶媒中に保存された金属ナトリウムを前記したエンジンバルブの軸部に充填するためには、有機溶媒に浸漬されたバルク状の金属ナトリウムを取り出し、それを溶融し、溶融した金属ナトリウムをエンジンバルブの軸部に流し込み、その後、冷却するか(特許文献1)、あるいは溶融金属ナトリウムを炭化水素系液に線状に吐出して棒状に固化させた後に、これをエンジンバルブの中空部内に挿入して、金属ナトリウムを封入している(特許文献2の図2及び図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−136978号公報
【特許文献2】特開2011−179327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、エンジンバルブへの溶融金属ナトリウムの充填は、多数の、例えば数百個のエンジンバルブの軸部内に一定量の充填を連続的に行い、短時間で充填を完了することが非常に望ましい。しかし、市販のバルク状の金属ナトリウムを溶かして、内径が約2〜4mmの前記軸部内に一定量を充填することは、従来技術では行うことができなかった。
【0007】
つまり、特許文献1に図示された例(図4)では、金属Na定量タンク16に収容された溶融金属ナトリウムを、その下端部がエンジンバルブ11内に位置する供給管を通して、前記エンジンバルブ内に供給することが開示されているが、金属ナトリウムが充填されるエンジンバルブの中空軸部は細長い中空部(直径約2〜4mm)であり、この細長い中空部に、更に小径の金属ナトリウム供給管を挿入してその微小径の供給管を通して、中空エンジンバルブの軸部に供給しようとしても、供給管側は溶融しているとはいえ、溶融金属ナトリウムが固化しないで注入できるように中空エンジンバルブを金属ナトリウムの融点以上に予熱すれば金属ナトリウムは固化しないで注入できるが、金属ナトリウムは温度が高くなればなる程酸化しやすくなるので、出来るだけ中空エンジンバルブを金属ナトリウムの融点以下にせざるを得ず、この場合金属ナトリウムを目詰まりさせることなく前記微小径の供給管を通過させることが困難である。しかも供給した金属ナトリウムの体積に相当する空気を外部に取り出さなければ、金属ナトリウムが酸化してしまうので円滑な充填は行えない。
【0008】
更に、特許文献2の方法では、溶融金属ナトリウムを炭化水素系液に線状に吐出して棒状に固化する工程を有するが、一旦細径の棒状に成型し固化した金属ナトリウムをそのまま細径のエンジンバルブに挿入し充填することは、柔らかく曲がりやすい金属ナトリウムでは非常に困難である。
【0009】
更に一定量充填を実現するためには、中空エンジンバルブ内への充填金属ナトリウムは、指向性固化を行って、巣のない均一組織とすることが好ましい。つまり全体的に同時期に固化させるのではなく、一定方向に順次固化させるのが望ましい。一般に溶融物が固化する際に体積収縮するため、全外周部から固化させると、中心部ほど固化収縮による固化対象物が不足して、空隙(巣)が発生しやすく、場合によっては空隙(巣)に空気を巻き込んでしまう事になる。指向性固化を行うことにより、このような事態を回避できる。
【0010】
例えば細径のノズルを通して、空隙等の欠陥を有する金属ナトリウムがエンジンバルブの中空部へ充填されてしまうと、第1に特定体積の金属ナトリウムの重量が一定せず、従って、中空部内への充填重量にばらつきが生じるという欠点が生じ、第2に、供給される溶融金属ナトリウム内に液相と空隙があると、円滑な充填が困難になるという欠点が生じる。
【0011】
本発明は、このように一定量の金属ナトリウムを、望ましくは連続的かつ円滑にエンジンバルブに充填できなかった従来技術の欠点を解消し、簡単かつ確実に一定量の金属ナトリウムをエンジンバルブの中空部に充填できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、第1発明(請求項1)に係る金属ナトリウムの充填方法は、中空エンジンバルブの中空部に金属ナトリウムを充填する方法において、溶融金属ナトリウムを、前記エンジンバルブの中空部の内径より大径であるシリンダ内に注入し、当該シリンダ内に実質的に均一な組織を有する棒状の固化した金属ナトリウムを生成させ、この棒状金属ナトリウムの均一組織を維持しながら、押し出し機構を用いて当該金属ナトリウムを、細径のノズル状ダイスを通して、前記エンジンバルブの中空部に挿入し、切断して充填し封入する。
【0013】
(作用)第1発明では、まずエンジンバルブの中空部の内径より大径であるシリンダに、溶融金属ナトリウムを、指向性固化を起こさせるように注入する。例えば、溶融金属ナトリウムの液滴を、時間的な間隔を十分に取って滴下させると、滴下された第1の金属ナトリウムの溶融滴下物が、シリンダ内で十分に冷却固化して固体金属ナトリウムとなった後に、第2の溶融滴下物が、前記固化した金属ナトリウムの上面に接触すると、前記金属ナトリウムが既に固化しているため、固相である固化金属ナトリウムと、液相である第2の溶融滴下物が接触することになるがすぐに固まるので融合せず、第2の溶融滴下物の固化後も、両相界面間に組織に境目が生じるという不連続性が生じる。この境目は融合していないので剥離しやすい。
【0014】
一方、第1の溶融滴下物である金属ナトリウムがシリンダ内に未固化の状態で存在し、第2の溶融滴下物が前記未固化金属ナトリウム上に滴下されると、滴下物の当たる液面から空気を吸い込み両者の界面に空隙が形成されやすくなる。これに対し、例えば第1の溶融滴下物の固化が進行しているが完全には固化していない状態、つまり半固化の状態で、シリンダ内の前記半固化金属ナトリウム(第1の溶融滴下物)に第2の溶融滴下物が接触すると、粘性が高くなった半固化金属ナトリウムの半固化表面の動きが悪くなり、第2の溶融滴下物が互いに混じり合わない程度に接触して融合し、両者の金属ナトリウム間に連続性が生じる。これが多数回繰り返されることにより、前記シリンダ内に溶融滴下物である金属ナトリウムの指向性固化物が、棒状で均一な固体金属ナトリウムとして形成される。なお、この半固化状態は、前記シリンダ内に注入される溶融金属ナトリウムが液滴形状だけで注入しなくても、前記液滴凝固速度より若干速い速度で注入され、不連続ができない形態で供給される場合にも生じ、この不連続でない形態も本発明に含まれる。
【0015】
この金属ナトリウムの溶融注入(滴下)は、所定の内径(例えば20〜40mm)を有する前記シリンダ内に注入されるが、この場合の棒状金属ナトリウムは組織が均一であるため、長さが一定であればその重量も一定になる。従って、シリンダ注入前の溶融金属ナトリウムを一定内径の縦長の容器に収容し、多数の位置センサで前記容器内の溶融金属ナトリウムの液面高さを検出し、所定上下長分の溶融金属ナトリウムを前記シリンダに供給するよう設定すると、前記シリンダ内に空隙の無い一定量の金属ナトリウムが形成される。
【0016】
次に、第1発明では、前記シリンダ内の固化した棒状金属ナトリウムを、細径のノズル状ダイスに通して細く押し出して、前記エンジンバルブの中空部(内径は約2〜4mm)に、線状又はワイヤ状として挿入し切断しかつ封入する。前記シリンダには、例えばその底面を着脱自在のキャップ材で構成し、当該シリンダ内への金属ナトリウムの充填時には、前記キャップ材を装着した状態とし、前記棒状の金属ナトリウムに固化した後には、前記キャップ材を脱離させる。そして、当該キャップ材の代わりに、先細り状としたノズル状ダイスを装着させ、このノズル状ダイスの下方に、金属ナトリウムを挿入し封入するエンジンバルブ中空部を合わせて、ピストン状の押し出し部材で、前記シリンダ内の棒状金属ナトリウムを下方に押し出し、前記ノズル状ダイスに通すことにより、前記中空部の内径に応じた線状又はワイヤ状に細径化し、前記中空部内に必要な長さの線状の金属ナトリウムを挿入し切断し封入する。
【0017】
前記シリンダの内径を前記中空部の内径より大きくしてあるため、当該中空部に封入される金属ナトリウムの体積より、体積の大きい棒状金属ナトリウムを前記シリンダ内に作製でき、この単一個の棒状金属ナトリウムで、比較的多数の、通常は数百個のエンジンバルブの中空部に、前記ノズル状ダイスを通して一定量の金属ナトリウムを挿入し切断し封入することができる。
【0018】
請求項2においては、請求項1に記載の金属ナトリウムの充填方法において、溶融金属ナトリウムのシリンダ内への注入を、シリンダ内の金属ナトリウムの表面を半固化状態に維持しながら行う。
【0019】
(作用)本実施形態では、半固化の状態で、つまり先行する溶融注入物の固化が進行しているが完全には固化していない状態で、シリンダ内の前記半固化金属ナトリウムに引き続く溶融注入物が接触すると、前述の通り、半固化金属ナトリウムの半固化表面と、引き続く溶融注入物が互いに混じり合わない程度に接触して融合し、両者の金属ナトリウム間に空隙が生じることなく、連続性が生じる。
【0020】
請求項3においては、請求項1又は2に記載の金属ナトリウムの充填方法において、溶融金属ナトリウムを、滴下によりシリンダ内に注入するようにする。
【0021】
(作用)本実施形態では、シリンダ内に注入される溶融金属ナトリウムが液滴として供給されて、注入される金属ナトリウムの表面が半固化状態に維持される。
【0022】
請求項4においては、請求項1から3までのいずれか1項に記載の金属ナトリウムの充填方法において、内径が、20mm〜50mmであるシリンダに、温度180〜250℃の溶融金属ナトリウムを150g/分〜300g/分の速度で注入する。
【0023】
(作用)前記シリンダ内で、溶融金属ナトリウムの指向性固化を実現するためには、シリンダの内径、当該シリンダに供給される金属ナトリウムの温度、及び溶融金属ナトリウムの注入速度のそれぞれを適切な値に設定することが望ましい。前記シリンダの内径を大きくするほど、得られる棒状金属ナトリウムの体積が増えて、単一の棒状金属ナトリウムで、多数のエンジンバルブの中空部に金属ナトリウムを充填できる。しかしシリンダの内径が大きくなると、シリンダ内の内壁近傍と中央付近との金属ナトリウム間の固化条件(温度)に差異が生じ、中央付近が最後に固まって下から上への指向性固化が達成しにくくなる。他のパラメータにも影響されるが、指向性固化を起こすシリンダ内径は、10mm〜80mmであり、20mm〜50mmであることが好ましい。
【0024】
シリンダ内充填時の金属ナトリウムは、最低限溶融状態が確保されていれば良いが、温度が高すぎると固まりにくく、逆に融点に近すぎるとすぐに固まって温度制御が難しいので、温度範囲は、120℃〜300℃とし、180℃〜250℃が好ましい。
【0025】
シリンダ内へ注入する溶融金属ナトリウムの注入速度は指向性固化を実現するために、重要なパラメータである。前述の通り、注入速度が速すぎると、溶融状態の金属ナトリウムがシリンダ内に存在して、その固化時の体積収縮に起因して空隙が発生しやすくなる。他方、注入速度が遅すぎると、先に注入された溶融金属ナトリウムが固化した後に、引き続き注入される金属ナトリウムが前記固化した金属ナトリウムに接触するため、両者間に融合しない境界面で不連続性が生じ、多数の層が形成されることがある。
【0026】
本発明では、通常充填操作は不活性ガス雰囲気下で行われるが、若干量の空気が存在する可能性があり、その場合に、単一層のうち、不活性ガス雰囲気に接触する箇所が酸化されて酸化ナトリウムが生じ、酸化ナトリウムが生じない部分は金属ナトリウムのまま存在する。前記酸化ナトリウムは比較的硬く変形しにくいのに対し、前記金属ナトリウムは比較的軟らかく変形しやすい。このような酸化ナトリウムと金属ナトリウムから成る多数の層の積層物をノズル状ダイスから押し出し通過させると、硬い酸化ナトリウムは抵抗が大きいためノズル状ダイスを通りにくく、軟らかい金属ナトリウムは容易にノズル状ダイスを通り抜ける。そのため層状組織を有するナトリウムがノズル状ダイスを通過する際に抵抗の大小に起因して円滑な挿入切断が行いにくくなるおそれがある。他のパラメータにも影響されるが、指向性固化を起こさせて空隙形成を回避し、更に好ましくは層状組織の形成を回避するために、溶融金属ナトリウムの注入速度は、50g/分〜500g/分とし、150g/分〜300g/分が好ましい。
【0027】
第2発明(請求項5)では、有機溶媒を含有する金属ナトリウムを精製し、精製した金属ナトリウムを中空エンジンバルブの中空部に充填する方法において、当該金属ナトリウムを密閉した溶融タンクに収容し、減圧下、当該溶融タンクを加熱することにより、前記金属ナトリウムに付着した前記有機溶媒を気化させ除去し、当該溶融金属ナトリウムを、前記エンジンバルブの中空部の内径より大径であるシリンダに注入して、当該シリンダ内に均一組織を有する棒状の金属ナトリウムを生成させ、この棒状金属ナトリウムの均一組織を維持しながら、当該金属ナトリウムを、細径のノズル状ダイスを通して、前記エンジンバルブの中空部に挿入し切断し封入する。
【0028】
第2発明では、第1発明と実質的に同一である充填に先立って、使用する金属ナトリウムの精製を行い、エンジンバルブの中空部に充填される金属ナトリウムの純度を更に高くする。前述の通り、金属ナトリウムは石油や流動パラフィンなどの有機溶媒に浸漬し、水や空気との接触を断った状態で保存される。
【0029】
有機溶媒から取り出した金属ナトリウムには、その表面に石油や流動パラフィンが付着している。この金属ナトリウムをエンジンバルブの中空部に充填して使用する場合には、充填に先立って前記これらの有機溶媒を除去して金属ナトリウムの純度を高めることが望ましく、従来は表面から拭き取った後に使用している。
【0030】
しかし、市販の金属ナトリウムの表面にはひび割れが生じていることがある。このひび割れのまま溶融して液体の金属ナトリウムとすると、石油や流動パラフィン等の不純物混入などの不都合が生じるため、更に体積に基づいて金属ナトリウム量の定量を行う際に誤差が生じるため、従来は、前記ひび割れの周囲を削り取ってから溶融し使用している。このように従来は、金属ナトリウムの表面状態を個別に検査して、表面状態が良好なものは、流動パラフィン等の拭き取り後に、ひび割れが生じているものは、表面を比較的厚く削り取った後に、それぞれ溶融し、精製している。しかしこの手法では、各金属ナトリウムインゴットごとに検査が必要でかつ不良品表面を削り取るという手間の掛かる作業が必要となるとともに、削り取った金属ナトリウムの屑が歩留りを落としているという欠点がある。
【0031】
第2発明では、金属ナトリウムの前記シリンダ内への充填に先立って、当該金属ナトリウムを密閉した溶融タンクに収容し、当該溶融タンク中で、減圧下、加熱することにより、前記金属ナトリウム中の前記有機溶媒を気化させ除去し、高純度金属ナトリウムとする。これにより、従来のように、原料となる金属ナトリウムの表面状態を個別に検査する必要がなくなって操作性が向上するとともに、ひび割れを削り取ることによる金属ナトリウムの歩留りの低下を防止できる。
【発明の効果】
【0032】
第1発明では、溶融金属ナトリウムを、指向性固化を生じさせるようにシリンダに注入し、実質的に均一な組織を有する一定量の棒状の金属ナトリウムを生成させ、この固化した棒状金属ナトリウムを、細径のノズル状ダイスを通して、確実かつ円滑にエンジンバルブの中空部に挿入し切断し封入する。これにより、一定量の金属ナトリウムを、複数のエンジンバルブに好ましくは連続的に挿入し切断し封入できる。第2発明では、第1発明に先立って、金属ナトリウムの精製を行い、前記エンジンバルブに、更に高純度である金属ナトリウムを挿入し切断し封入できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態である金属ナトリウムの精製及び挿入し切断し封入システムを示す全体構成図である。
図2図1の全体構成図中の溶融タンクの変形例を示す縦断面図である。
図3図1の全体構成図中の挿入し切断し封入装置の変形例を示す平面図である。
図4図1の全体構成図中のシリンダに注入用ノズル状ダイスを装着した例を示す縦断図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
本実施形態は、金属ナトリウムの挿入し切断し封入に加えて、当該封入に先立って未精製金属ナトリウムの精製も行う一連のシステムを例示するが、金属ナトリウムの封入用のみとして実施することも可能である。この金属ナトリウム精製及び封入システム10は、図1に示すように、主として、溶融タンク12、溶剤トラップ14、貯留タンク16、コールドトラップ18及び充填装置20から構成されている。
【0036】
前記溶融タンク12は、有底円筒状の容器で、その上部側面に減圧吸引管22が、その下部側面に精製金属ナトリウム取出管24とバルブ82がそれぞれ接続されている。前記減圧吸引管22は、流動パラフィン等の有機溶媒28が満たされた前記溶剤トラップ14に接続されてその先端が有機溶媒28中に達している。この溶剤トラップ14内部は、減圧ポンプ(図示略)により減圧に維持できるようにしている。また前記ナトリウム取出管24は、前記貯留タンク16に接続されている。
【0037】
前記溶融タンク12の、減圧吸引管22より下方の側面全体及び底面にはヒータ30が設置され、かつ当該溶融タンク12の上部開口には、不活性ガス供給管32が接続された蓋体33を固着して、溶融タンク12内を密閉する。
【0038】
前記貯留タンク16は、溶融タンク12で精製されかつナトリウム取出管24を通して供給された精製金属ナトリウムを一時的に貯留するための密閉タンクで、当該タンク16には、前記ナトリウム取出管24に加えて、精製ナトリウム循環ライン34の送液パイプ36と戻りパイプ38が接続されている。循環ポンプ40が接続された送液パイプ36の他端側は、二股に分岐し、この二股部の一方は、前記戻りパイプ38の他端側を構成し、第1電磁弁42及びコールドトラップ18を介して、前記貯留タンク16に接続されている。
【0039】
前記二股部の他方は、充填装置用供給パイプ46を構成し、この供給パイプ46は、第2電磁弁48を介して、定量供給器49に接続されている。この定量供給器49の天板50下面には、長さの異なる、図示の例では5本の液面検知センサS〜Sが電気的に接続され、隣接するセンサの上下長の差は全て同じ長さ“d”となっている。前記定量供給器49の底板51には、定量供給弁52を有する供給管53が接続され、この供給管53は前記充填装置20に達し、その先端には、ナトリウム滴下用ノズル54が装着されている。この充填装置20内には、その内周面に接触するようにドーナツ状支持部材55が接続され、前記ノズル54の直下に位置する、前記支持部材55の中央の開口には、下端に円盤状の着脱自在とされたキャップ材56が止着された、フランジ付きの円筒状のシリンダ57のフランジ58が係合されて、当該シリンダ57が充填装置20内に装着されている。
【0040】
次にこのような構成から成る本実施形態の金属ナトリウムの精製及び充填システムの機能に関して説明する。
【0041】
図1の溶剤トラップ14に適量の流動パラフィンを入れ、溶融タンク12の蓋体33を取り外して、流動パラフィンに浸漬保存されていた、バルク状の未精製金属ナトリウムの前記流動パラフィンを布で拭き取った後、当該金属ナトリウムを、前記溶融タンク12内に入れて、蓋体33を再度固着する。次に前記不活性ガス供給管32からアルゴンや窒素などの不活性ガスを供給して、溶融タンク12内を不活性ガス雰囲気として、水分や酸素を十分に遮断する。
【0042】
その後、前述の減圧ポンプ(図示略)を作動させると、前記溶剤トラップ14内及び前記溶融タンク12内が減圧状態になり、前記ヒータ30に通電して、溶融タンク12内のバルク状の金属ナトリウムを加熱すると、前記バルク状の金属ナトリウム表面に付着している流動パラフィンが気化して、溶剤トラップ14に導かれ、当該溶剤トラップ14内の流動パラフィン28に吸収されて、金属ナトリウムの精製が完了する。
【0043】
市販の金属ナトリウムは、流動パラフィン等の有機溶媒に保存しても、若干の水分や酸素と接触して、その表面が酸化されて酸化ナトリウムに変化することは避けられない。更に本実施形態の基づく精製操作も、実質的に水分や酸素を含まない不活性ガス雰囲気中で行われるが、同様に表面が酸化して酸化ナトリウムが生成することは回避できない。酸化ナトリウムはポーラスな酸化物になるので嵩比重が金属ナトリウムより小さく、従って図1に示すように、溶解タンク12内の金属ナトリウムが完全に溶融すると、溶融金属ナトリウム60の表面に浮き上がり、酸化ナトリウム層62を形成する。
【0044】
この酸化ナトリウム層62が溶融金属ナトリウム60の表面に存在すると、溶融ナトリウム60が溶融タンク12内の気化雰囲気に接触できず、溶融金属ナトリウム60中の流動パラフィンが気化できず、溶融金属ナトリウム60から逃げることができないため、金属ナトリウムの精製が進行しないことになる。このような事態を回避するためには、蓋体33を脱着させて、溶融金属ナトリウム60表面の酸化ナトリウム層62を、人力で又は機械的に掬い取るか、例えば図2に示すように、攪拌子を使用して強制的な流れを形成して、酸化ナトリウム層62の少なくとも一部を破壊すれば良い。
【0045】
図2は、図1の全体構成図中の溶融タンクの変形例を示す縦断面図であり、図1と同じ部材には、同一符号を付して説明を省略する。つまり、図2に示すように、溶融タンク12下部のヒータ30に接触するようにモータ64を設置し、かつ前記溶融タンク12内には攪拌子66をセットして、加熱及び減圧時に、モータ64に通電すると、前記攪拌子66が溶融金属ナトリウム60中で回転して、溶融金属ナトリウム60中に渦巻き流68を生成させる。この渦巻き流68により、溶融金属ナトリウム60表面全体を覆っている酸化ナトリウム層62の少なくとも一部が破壊されて、溶融金属ナトリウム60が溶融タンク12内の気化雰囲気と接触して、酸化ナトリウム層62の存在にもかかわらず、流動パラフィンの気化による除去を達成できる。
【0046】
図1の溶融タンク12から、バルブ82を開けて精製金属ナトリウム取出管24を通して貯留タンク16に供給された精製金属ナトリウムは、この貯留タンク16に一時的に貯留される。当該貯留タンク16内の精製金属ナトリウムは、循環ポンプ40により、送液パイプ36から循環ライン34へ供給される。通常の状態では第1電磁バルブ42を開、第2電磁バルブ48を閉とする。この状態で循環ライン34へ供給された溶融金属ナトリウムは、第1電磁バルブ42からコールドトラップ18に供給され、このコールドトラップ18で、主にナトリウムの金属酸化物等の不純物を濾過等により分離されて、濾過された金属ナトリウムが戻りパイプ38から前記貯留タンク16に戻される。貯留タンク16内の溶融金属ナトリウムは前記循環ライン34を1回又は複数回循環することにより、更に純度が向上する。
【0047】
この貯留タンク16内の精製金属ナトリウムをシリンダ57内に充填する必要が生じた際には、前記第1電磁弁42を閉に、第2電磁バルブ48を開とする。これにより、精製金属ナトリウムは、送液パイプ36から充填装置用供給パイプ46を経て定量供給器49へ供給される。定量供給器49内に溶融金属ナトリウムが供給されると、当該定量供給器49内の溶融金属ナトリウムの液面が徐々に上昇する。この溶融金属ナトリウムの液面が、上下長の最も短い第1液面検知センサSの下端に接触すると、その検出信号が、前記定量供給弁52に及び第2電磁バルブ48に伝達されて、定量供給弁52を開にするとともに、第2電磁バルブ48を閉にする。これにより、定量供給器49内に溶融金属ナトリウムの供給が停止され、かつ定量供給器49中の溶融金属ナトリウムが、供給管53を通して前記充填装置20内に供給され、ナトリウム滴下用ノズル54から、例えば滴下状態でシリンダ57内に供給される。この操作は、通常溶融金属ナトリウムの自重により実施できるが、前記定量供給器49に若干の正圧を掛けるか、前記充填装置20内に若干の負圧を掛けながら行っても良い。
【0048】
前記定量供給器49内の溶融金属ナトリウムの液面が低下して第2の液面検知センサSの下端に達すると、これをこの第2センサSが検知して、前記定量供給弁52を閉じて、金属ナトリウムの供給を停止する。これにより前記定量供給器49の上下長“d”に相当する所定量の溶融金属ナトリウムが前記シリンダ57内に充填される。この際、注入速度、ナトリウム注入用ノズル54内の金属ナトリウムの温度、シリンダ57に供給される精製金属ナトリウムの量(シリンダ内に生成する金属ナトリウム円柱状体の直径)を適宜設定することと、シリンダ57内への注入条件を前記指向性固化条件で運転することにより指向性固化した空隙のない均一な精製金属ナトリウム成形体を提供できる。
【0049】
その後、所定量の金属ナトリウムが充填された前記シリンダ57を、前記充填装置20から取り外し、次に金属ナトリウムを充填する第2のシリンダと交換する。そして前記定量供給弁52を再度開いて、定量供給器49内の溶融金属ナトリウムを前記第2のシリンダに充填し、前記金属ナトリウムの液面が第3の液面検知センサSの下端に接触したことを検知して前記定量供給弁52を再度閉じる。これにより、前回と同様に前記定量供給器49の上下長“d”に相当する所定量の溶融金属ナトリウムが前記第2のシリンダ内に充填される。これらの操作を所定回繰り返すことにより、所定の複数のシリンダに一定量の金属ナトリウムを充填できる。
【0050】
本実施形態では、溶融タンクで流動パラフィン等の有機溶媒の除去を、コールドトラップ18で主として金属ナトリウム酸化物等の除去をそれぞれ意図している。従って、有機溶媒のみの除去を意図し、前記金属ナトリウム酸化物等の除去が不要な場合には、前記コールドトラップ18及びそれに付帯する設備は不要である。
【0051】
図3は、前記の全体構成図中の充填装置の変形例を示す平面図である。図中、充填装置20aは、フランジ70付きの大径の円筒形容器であり、矢示方向に回転可能にされている。この充填装置20aの上部開口72には、等間隔に計8個のシリンダ取付け孔74が形成されたシリンダ取付け用蓋体75が嵌め込まれ、前記各シリンダ取付け孔74のそれぞれには、図1と同一構成の計8個のシリンダ57がそれぞれ係合されている。この8個のシリンダ57の1個の上方には、図1と同じナトリウム注入(滴下)用ノズル54が位置している。
【0052】
図3の状態で、ナトリウム注入(滴下)用ノズル54から所定量の溶融金属ナトリウムを、シリンダ57内に注入(滴下)する。これにより、図1の場合と同様にしてシリンダ57内に指向性固化により一定量の金属ナトリウムが充填される。これにより第1のシリンダ57内への固化した金属ナトリウムの定量充填が完了する。
【0053】
次いで、前記充填装置20aを、矢示方向に円周の8分の1回転させると、前記ノズル54の下方には、前記第1のシリンダ57に隣接する第2のシリンダ57が位置する。この第2のシリンダ57にも第1のシリンダ57と同様にして溶融金属ナトリウムを充填し、この操作を計8回繰り返すと、前記充填装置20aの計8個のシリンダ57全部に、金属ナトリウムを充填することができる。
【0054】
金属ナトリウムが充填された図1のシリンダ57は、続けて、好ましくは不活性ガス雰囲気を維持したまま、キャップ材56を取外すと、前記シリンダ57内の金属ナトリウム成形体69は固化したまま維持され、図4に示すように、前記キャップ材に代えて、先細状の押し出し用ノズル状ダイス78を装着する。次いで、このノズル状ダイス78先端の下方に、中空エンジンバルブ76の軸側中空部77を上方に向けて開放した状態で位置させる。この軸側中空部77の内径は、前記ノズル状ダイス78の先端部の内径より大きくなるよう、前記ノズル状ダイス78を設計してある。
【0055】
前記シリンダ57内にピストン(図示略)を挿入して下方に押圧すると、比較的大径の金属ナトリウム成形体69は、前記ノズル状ダイス78内に進入し、当該ノズル状ダイス78先端部で、前記エンジンバルブ76の軸側中空部77の内径より細い線状又はワイヤ状に縮径されて、前記軸側中空部77内に導かれて当該中空部77に挿入し、図示なし切断機により切断し、封入されて、冷却用金属ナトリウム82として機能する。この軸側中空部77内への導入の際に、金属ナトリウムは前記軸側中空部77の内径より細く成形され、かつ均一組織を有するため、円滑にノズル状ダイス78を通過して容易に軸側中空部77に進入できる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
直径250mm、高さ375mmのステンレス製の有底円筒状の容器の上部側面に減圧吸引管を、下部側面に精製金属ナトリウム取出管とバルブ82をそれぞれ接続して、金属ナトリウム精製用の溶融タンクを構成した。前記減圧吸引管の他端側には、流動パラフィンを満たした溶剤トラップ(パラフィントラップ)を接続した。金属ナトリウム取出管の他端側は、精製金属ナトリウムの貯留タンクに接続した。更に、前記溶融タンクの底面及び前記不活性ガス供給管より下方の当該溶融タンクの側面にヒータを設置した。
【0058】
次いで、流動パラフィンに浸漬した未精製金属ナトリウムを購入し、保存容器から取り出した後、この未精製金属ナトリウムを、前記溶融タンクの上部開口から当該溶融タンクに入れ、その後、不活性ガス供給管を接続した、前記溶融タンクの円形の上部開口を閉塞するための蓋体を締着して、前記溶融タンク内を密閉し、前記不活性ガス供給管から容器内にアルゴンガスを供給して、容器内をアルゴンガスで置換した。
【0059】
前記溶剤トラップに接続した減圧ポンプ及び前記ヒータを作動させて、前記溶融タンク内を約−50kPaまで減圧しかつ溶融タンクの壁温を約200℃に維持し、この状態を5分間維持した。
【0060】
内径30mm、長さ300mmのステンレス製の円筒体を準備し、この円筒体の底面開口を円盤状のキャップ材で閉塞して、シリンダとした。前記溶融タンク内の金属ナトリウムを、その先端にナトリウム注入用ノズルを装着した充填装置用供給パイプを通して、前記シリンダ内に注入により供給した。前記ナトリウム注入用ノズルの周囲にはヒータを設置して、前記ノズルの外壁を加熱できるようにし、かつ前記充填装置用供給パイプの内圧を増減して注入速度を調節できるようにした。
【0061】
前記ヒータを加熱して、前記ノズル外壁を約200℃に加熱するとともに、溶融金属ナトリウムの注入速度を約200g/分に設定した。約1分後に前記シリンダが金属ナトリウムで満たされたので、注入を停止し、放冷した後、シリンダから固化した金属ナトリウムを取出し、ナイフを使用して水平方向に切断し切断面を目視で観察したところ、前記金属ナトリウムは全体に均一で、空隙は一切見られなかった。
【0062】
(実施例2)
シリンダの内径を40mmとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で、実施例1で溶融タンク内に精製した金属ナトリウムを、前記シリンダに充填した。前記シリンダを金属ナトリウムで満たして、注入を停止し、放冷した後、シリンダから固化した金属ナトリウムを取出し、ナイフを使用して水平方向に切断し切断面を目視で観察したところ、前記金属ナトリウムは全体に均一で、空隙は一切見られなかった。
【0063】
(実施例3)
シリンダの内径を50mmとしたこと以外は、実施例2と同様の条件で、実験を行った。固化した金属ナトリウムの水平方向切断面を目視で観察したところ、円形断面の中央部の約10mm径の円形部に直径約1mmの微小な空隙が観察された。
【0064】
(実施例4)
シリンダの内径を60mmとしたこと以外は、実施例2と同様の条件で、実験を行った。固化した金属ナトリウムの水平方向切断面を目視で観察したところ、円形断面の中央部の約20mm径の円形部に直径約数mmの比較的大きな空隙が観察された。
【0065】
(実施例5)
注入速度を実施例2より速い300g/分としたこと以外は、実施例2と同じ条件でシリンダへの金属ナトリウムの充填を行い、その後、固化した金属ナトリウムの水平方向切断面を目視で観察したところ、前記金属ナトリウムは全体に均一で、空隙は一切見られなかった。
【0066】
(実施例6)
注入速度を実施例5より速い350g/分としたこと以外は、実施例2と同じ条件でシリンダへの金属ナトリウムの充填を行い、その後、固化した金属ナトリウムの水平方向切断面を目視で観察したところ、全体に濃淡があり、均一性は損なわれていた。
【符号の説明】
【0067】
10 金属ナトリウム精製及び充填システム
12 溶融タンク
14 溶剤トラップ(パラフィントラップ)
16 貯留タンク
18 コールドトラップ
20、20a 充填装置
22 減圧吸引管
24 精製金属ナトリウム取出管
28 有機溶媒
30 ヒータ
34 精製ナトリウム循環ライン
46 充填装置用供給パイプ
49 定量供給器
54 ナトリウム滴下用ノズル
57 シリンダ
60 溶融金属ナトリウム
62 酸化ナトリウム層
64 モータ
66 攪拌子
69 金属ナトリウム成形体
76 エンジンバルブ
77 軸側中空部
78 ノズル状ダイス
80 冷却用金属ナトリウム
〜S液面検知センサ
図1
図2
図3
図4