(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用いられる前記塩基性セシウム塩が、炭酸セシウムおよび/またはセシウムアルコキシド、好ましくはセシウムメトキシドであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記カルボジイミド化後に、前記塩基性セシウム塩が濾去される、ならびに/または溶媒、好ましくは水および/もしくはアルコールを使用する抽出によって除去されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明との関連で、用いられる塩基性セシウム塩は好ましくは、炭酸セシウムおよび/またはセシウムアルコキシド、好ましくはセシウムメトキシドである。
【0011】
塩基性セシウム塩は好ましくは、0.1〜20重量%、特に好ましくは1〜5重量%、非常に特に好ましくは2〜4重量%の濃度で用いられる。
【0012】
式(II)の特に好ましいイソシアネート含有化合物は、本明細書で下に列挙される化合物であり、それらは、個別にまたは本明細書で下に列挙される組み合わせで:
(IIa)、(IIb)、(IIc)もしくは(IId)単独で、または(IIa)および(IIb)を一緒に
用いられ、
ここで、これらの化合物は式
【化1】
に相当する。
【0013】
式(III)のこれらの化合物は好ましくは、ジ−および/またはトリイソプロピルフェニルイソシアネートならびにイソプロペニルジメチルベンジルイソシアネートである。
【0014】
本発明による方法の好ましい実施形態では、カルボジイミド化後に塩基性セシウム塩は濾去される、ならびに/または溶媒、好ましくは水および/もしくはアルコールを使用する抽出によって除去される。
【0015】
カルボジイミド化は、溶媒の不在下でか存在下でかのどちらかで行われ得る。好ましくは用いられる溶媒は、C
7〜C
22アルキルベンゼン、パラフィンオイル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ケトンまたはラクトンである。
【0016】
反応混合物が、m=2〜500、好ましくは3〜20、非常に特に好ましくは4〜10の平均縮合度に相当する、所望の含有量のNCO基を有するときに、ポリカルボジイミド化は好ましくは終了される。
【0017】
本発明の一実施形態では、反応混合物の温度は、この目的で50℃〜120℃、好ましくは60℃〜100℃、特に好ましくは80℃〜90℃に下げられ、塩基性セシウム塩は、濾過または抽出によって除去される。本発明によるカルボジイミドの好ましい製造変形では、過剰のイソシアネート含有化合物はその後、150℃〜200℃、好ましくは160℃〜180℃の温度で留去される。
【0018】
本発明のさらなる実施形態では、カルボジイミドの遊離の末端イソシアネート基はその後、任意選択的に、当業者に公知のPU触媒、好ましくはtert.アミンまたは有機スズ化合物、特に好ましくはDBTL(ジブチルスズジラウレート)もしくはDOTL(ジオクチルスズジラウレート)の存在下で、脂肪族および/または芳香族アミン、アルコールおよび/またはアルコキシポリオキシアルキレンアルコールと、好ましくはわずかに過剰の−NH、−NH
2および/または−OH基で反応させられる。アミン、アルコールおよび/またはアルコキシポリオキシアルキレンアルコール対式(I)のカルボジイミドの物質比率の量は好ましくは、存在するN=C=O基を基準として、1.005〜1.05:1、特に好ましくは1.01〜1.03:1である。
【0019】
本発明のさらなる実施形態では、カルボジイミド化を妨げるために、反応混合物の温度は、50〜120℃、好ましくは60〜100℃、特に好ましくは80〜90℃に下げられ、そして任意選択的に、好ましくはC
7〜C
22アルキルベンゼンの群から、特に好ましくはトルエンから選択される、溶媒の添加後に、カルボジイミドの遊離の末端イソシアネート基が、任意選択的に、当業者に公知のPU触媒、好ましくはtert.アミンまたは有機スズ化合物、特に好ましくはDBTL(ジブチルスズジラウレート)もしくはDOTL(ジオクチルスズジラウレート)の存在下で、好ましくはわずかに過剰の−NH、−NH
2および/または−OH基で、脂肪族および/または芳香族アミン、アルコールおよび/またはアルコキシポリオキシアルキレンアルコールと反応させられる。アミン、アルコールおよび/またはアルコキシポリオキシアルキレンアルコール対式(I)のカルボジイミドの物質比率の量は好ましくは、存在するN=C=O基を基準として、1.005〜1.05:1、特に好ましくは1.01〜1.03:1である。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、式(I)の本発明の高分子カルボジイミドの製造は、式(I)(式中、R
1=−NCOである)のイソシアネート含有化合物中の遊離NCO基の、ジイソシアネート中の第一級もしくは第二級アミンまたはアルコールおよび/またはアルコキシポリオキシアルキレンアルコールでの部分的な、好ましくは50%未満、好ましくは40%未満の末端官能化と、セシウム塩および任意選択的に溶媒の存在下に80℃〜200℃の温度で二酸化炭素を脱離させるためのその後のカルボジイミド化とによって達成される。
【0021】
本発明によるカルボジイミドは、それらの製造後に好ましくは精製される。粗生成物は、蒸留によっておよび/または溶媒抽出によって精製され得る。好ましくは使用されてもよい精製用の好適な溶媒は、C
7〜C
22アルキルベンゼン、パラフィンオイル、アルコール、ケトンまたはエステルである。これらは汎用溶媒である。
【0022】
本発明は、本発明による方法によって得られる式(I)の高分子カルボジイミドをさらに提供する。
【0023】
本発明は、好ましくは本発明による方法によって得られる、1ppm未満の割合の、好ましくはホスホレンオキシドなどの有機リン化合物を含む、少なくとも90%の式(I)の高分子カルボジイミドを含有する安定剤をさらに提供する。
【0024】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、本発明による安定剤は好ましくは、1000ppm以下、好ましくは100ppm以下、特に好ましくは10ppm以下のセシウム塩を含む。
【0025】
本安定剤はとりわけ、例外的な加水分解防御を可能にする。
【0026】
本発明は、ポリウレタン(PU)、好ましくは熱可塑性ポリウレタンの製造方法であって、それによってポリオール、好ましくはポリエステルポリオールと、イソシアネートとの反応が、本発明による高分子カルボジイミドの存在下で行われる、および/または本発明による高分子カルボジイミドが反応後にポリウレタンに添加される方法をさらに提供する。
【0027】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、本方法は、PU触媒と助剤および/または添加物物質との存在下で行われる。
【0028】
ポリウレタンの製造は好ましくは、国際公開第2005/111136 A1号パンフレットに記載されているように達成される。
【0029】
ポリウレタンは、ポリイソシアネートと多価アルコール、ポリオール、好ましくはポリエステルポリオールとの重付加反応によって事実上定量的に形成される。結合は、1分子のイソシアネート基(−N=C=O)と別の分子のヒドロキシル基(−OH)との反応によって達成されてウレタン基(−NH−CO−O−)を形成する。
【0030】
ジイソシアネートとポリオールとの間の反応のプロフィールは、成分のモル比に依存する。所望の平均分子量および所望の末端基を有する中間体が容易に得られ得る。これらの中間体は次に、より後の時点でジオールまたはジアミンと反応させられて(ジオールまたはジアミンで鎖延長させられて)その結果所望のポリウレタンまたはポリウレタン−ポリウレアハイブリッドを形成し得る。中間体は一般に、プレポリマーと言われる。
【0031】
プレポリマーの製造のための好適なポリオールは、ポリアルキレングリコールエーテル、ポリエーテルエステル、または末端ヒドロキシル基を有するポリエステル(ポリエステルポリオール)である。
【0032】
本発明との関連でポリオールは、2000以下、好ましくは500〜2000の範囲、特に好ましくは500〜1000の範囲の(g/モル)単位の分子量を好ましくは有する化合物である。
【0033】
本発明との関連で用語「ポリオール」は、ジオールおよびトリオールの両方、ならびに1分子当たり3つ超のヒドロキシル基を有する化合物をも包含する。トリオールの使用が特に好ましい。
【0034】
好ましいポリオールは、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルエステルポリオールである。
【0035】
ポリオールが200以下、好ましくは20〜150、特に好ましくは50〜115のOH価を有する場合が有利である。
【0036】
様々なポリオールと、芳香族もしくは脂肪族ジカルボン酸および/またはラクトンのポリマーとの反応生成物であるポリエステルポリオールがとりわけ好適である。
【0037】
好適なポリエステルポリオールを形成するために使用され得る芳香族ジカルボン酸がここでは好ましい。テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸およびベンゼン環を有する置換ジカルボン酸化合物がここでは特に好ましい。
【0038】
好ましい脂肪族ジカルボン酸は、好適なポリエステルポリオールを形成するために使用され得るもの、特に好ましくはセバシン酸、アジピン酸およびグルタル酸である。
【0039】
ラクトンの好ましいポリマーは、好適なポリエステルポリオールを形成するために使用され得るもの、特に好ましくはポリカプロラクトンである。
【0040】
ジカルボン酸およびラクトンのポリマーは両方とも汎用化学品である。
【0041】
好適なポリエステルポリオールを形成するために使用され得るポリオール、非常に特に好ましくはエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールがまた特に好ましい。
【0042】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、ポリオールは、ポリエーテルエステルポリオールである。
【0043】
様々な前述のポリオールと、芳香族もしくは脂肪族ジカルボン酸および/またはラクトンのポリマー(例えばポリカプロラクトン)との反応生成物が本明細書のために好ましい。
【0044】
本発明との関連で用いられるポリオールは、商品名Baycoll(登録商標)およびDesmophen(登録商標)でBayer MaterialScience AGから得られる汎用化学品である。
【0045】
好ましいジイソシアネートは、芳香族および脂肪族ジイソシアネートである。トルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)、ナフタレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチレン1,4−ジイソシアネートおよび/またはヘキサメチレン1,6−ジイソシアネートが特に好ましく、トルエン2,4−ジイソシアネートおよびトルエン2,6−ジイソシアネートが非常に特に好ましい。
【0046】
本発明との関連で用いられるジイソシアネートは、商品名Desmodur(登録商標)でBayer MaterialScience AGから例えば得られる汎用化学品である。
【0047】
本発明のさらなる実施形態では、組成物は、少なくとも1つのジアミンおよび/またはジオールをさらに含む。
【0048】
鎖延長のために用いられる好ましいジアミンは、2−メチルプロピル3,5−ジアミノ−4−クロロベンゾエート、ビス(4,4’−アミノ−3−クロロフェニル)メタン、3,5−ジメチルチオ−2,4−トリレンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,4−トリレンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−トリレンジアミン、3,5−ジエチル−2,6−トリレンジアミン、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)および1,3−プロパンジオールビス(4−アミノベンゾエート)である。
【0049】
好ましいジオールは、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールおよび/またはシクロヘキサンジメタノールである。
【0050】
鎖延長のために本発明との関連で用いられるジアミンまたはジオールは、商品名Addolink(登録商標)でRheinchemie Rheinau GmbHから入手可能な汎用化学品である。
【0051】
用いられる触媒は好ましくは、ジプロピレングリコール中のジブチルスズジラウレートまたはトリエチレンジアミンである。
【0052】
本発明との関連で使用される触媒は、Addocat(登録商標)商品名でRheinchemie Rheinau GmbHから入手可能な汎用化学品である。
【0053】
本発明の特に好ましい実施形態では、式(I)の本発明の高分子カルボジイミドは、全体混合物を基準として、0.1〜2重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%、特に好ましくは1.0〜1.5重量%の量で用いられる。
【0054】
本発明は、加水分解安定剤としてのポリウレタンの製造方法での式(I)の本発明の高分子カルボジイミドの使用をさらに提供する。
【0055】
本方法によって製造されるポリウレタン(PU)ベースのシステムは、優れた加水分解安定性を特徴とする。
【0056】
本発明は、好ましくはポリウレタンでの、加水分解防御のための式(I)の本発明の高分子カルボジイミドの使用をさらに提供する。
【0057】
本発明の範囲は、ラジカル、インデックス、パラメータおよびそれらの間の、すなわち、任意の所望の組み合わせにおけるそれぞれの範囲および優先間を含む解明のすべての本明細書で上におよび本明細書で下に列挙される一般的なまたは好ましい定義を包含する。
【0058】
以下の実施例は、本発明を明らかにするのに役立つが、限定する意図はない。
【実施例】
【0059】
例示的な実施形態:
例1:炭酸セシウムを使った式(IIc)の化合物の反応による高分子カルボジイミドの製造(本発明)。
例2:カリウムメトキシドを使った式(IIc)の化合物の反応による高分子カルボジイミドの製造(比較)。
例3:炭酸カリウムを使った式(IIc)の化合物の反応による高分子カルボジイミドの製造(比較)。
例4:炭酸ナトリウムを使った式(IIc)の化合物の反応による高分子カルボジイミドの製造(比較)。
例5:式(IIc)ホスホレンオキシドの化合物の反応による高分子カルボジイミドの製造(比較)。
【0060】
例1〜5のための一般的な製造手順:
式(IIc)の30gのイソシアネート含有化合物を、内部温度計、還流冷却器および保護用のガス入口を備えた100mLの3口フラスコ中へ量り分け、その後例1〜4については、0.9g(3重量%)、および例5については0.03g(0.1重量%)の表1によるそれぞれの触媒を添加した。加熱段階の間ずっと、弱いアルゴン流れを気相に通過させた。保護用のガスを、CO
2発生が開始するとすぐに止めた。混合物を、190℃で3時間(例1および5)または190℃で12時間(例2)または190℃で6時間(例3および4)激しく攪拌するに任せ、約100℃に冷却するとすぐに、その後濾過した。
【0061】
【表1】
【0062】
意外にも、炭酸セシウムは、カルボジイミド化のための高い触媒活性を示し、たった3時間の反応時間後に98%超の収率をもたらし、したがって、KメトキシドまたはKもしくはNa炭酸塩による合成よりも著しく良好である。
【0063】
さらに、本発明の触媒は、濾過によって簡単に除去され得るが、一方、リン含有触媒(メチルホスホレンオキシド)による触媒作用のケースでは、費用のかかる、かつ、複雑な真空蒸留を、除去を達成するために行わなければならない。
【0064】
エステルベースのPUホットメルトの製造およびその特徴付け
例6:
第一級ヒドロキル官能基および3500g/モルの平均分子量を有する線状コポリエステル(Dynacoll(登録商標)7360)をベースとするホットメルトを製造し、次表の通り添加物を添加した:
用いられたカルボジイミドは、
(A) 式(I)[式中、m=4〜5であり、R
1=−NHCOOR
6であり、
ここで、R
6は、炭酸セシウムでの触媒作用によって製造された、ポリエチレングリコールラジカル(発明の、例1の通り、しかしポリエチレングリコールで末端官能化された)であり、
R
2=
【化2】
である]の2重量%の高分子カルボジイミド、
特徴付け:検出できる有機リン化合物まったくなし(1ppm未満のリン)
(B) 式(I)[式中、m=4〜5であり、R
1=−NHCOOR
6であり、
ここで、R
6は、メチルホスホレンオキシドでの触媒作用によって製造された、ポリエチレングリコール物品(比較の、国際公開第2005/111136号パンフレットからの方法もまた参照されたい)であり、
R
2=
【化3】
である]の2重量%の高分子カルボジイミド
特徴付け:検出できるリンの残渣
であった。
【0065】
すべての報告される量は、全体混合物を基準とする重量%単位である。
【0066】
ホットメルトは次の通り製造した:
第一級ヒドロキシル官能基を有する線状コポリエステルを最初に、120℃で30分間排気した。これに、全体調合物を基準として11.67重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の添加が続き、混合物を120℃で60分間反応させてポリウレタン接着剤を得た。
【0067】
表2に報告されるそれぞれのカルボジイミド添加物を次に、ホットメルトへ組み入れ、1時間の添加物への暴露時間を確保した。
【0068】
このようにして製造された、添加物を添加されたホットメルトを、カートリッジ中で48時間130℃での熱熟成にかけた。ホットメルトを、アルミニウム・カートリッジ(遮光および防湿の)へ充填し、130℃で48時間循環エアオーブン中で熟成させた。
【0069】
試料を熟成後に目視評価した。
【0070】
測定の結果を表2にまとめる。
【0071】
【表2】
【0072】
概要
これらの試験は、本発明によるリンを含まないカルボジイミドの使用が、泡立ちの観点からいかなる感知できるほどの破壊的な副作用をももたらさないことを示す。反対に、ホスホレンオキシドで触媒された、少量の有機リン化合物を依然として含有するカルボジイミドは、泡形成という報告されている不利点を示す。