特許第6563532号(P6563532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563532ガスタービンのサージマージン制御方法およびガスタービンの抽気装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563532
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ガスタービンのサージマージン制御方法およびガスタービンの抽気装置
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/18 20060101AFI20190808BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   F02C9/18
   F04D29/66 H
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-8588(P2018-8588)
(22)【出願日】2018年1月23日
(65)【公開番号】特開2018-119548(P2018-119548A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2018年1月23日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0010387
(32)【優先日】2017年1月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン ヘヴィー インダストリーズ アンド コンストラクション カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン ジョ
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−061594(JP,A)
【文献】 特開2011−058494(JP,A)
【文献】 特表2016−527429(JP,A)
【文献】 特開平11−210699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 9/18
F04D 27/00−27/02,
29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの圧縮機ユニットに備えられた複数個の圧縮機ステージのうち、初期ステージに位置された複数個の圧縮機ステージの回転数および個別圧力比を判断するステップと、
初期圧縮機ステージにおいてサージマージンが基準を満たさない場合、前記複数個の圧縮機ステージ別にタービンに圧縮空気を抽気してサージマージンを制御するステップと、
を含み、
前記圧縮機ステージ別にタービンに圧縮空気を抽気してサージマージンを制御するステップは、
最初の圧縮が行われる第1圧縮機ステージにおいて抽気が行われる第1抽気ステップと、
前記第1抽気ステップ以後に、サージマージンが安定しない場合、前記第1圧縮機ステージの次のステージに隣り合って位置された圧縮機ステージにおいて追加で抽気が行われる第2抽気ステップと、
を含むガスタービンのサージマージン制御方法。
【請求項2】
前記第1抽気ステップは、前記タービンに供給される抽気量が前記サージマージンの状態に応じて増加または減少される請求項に記載のガスタービンのサージマージン制御方法。
【請求項3】
前記第2抽気ステップは、前記タービンに供給される抽気量が前記サージマージンの状態に応じて増加または減少される請求項1又は2に記載のガスタービンのサージマージン制御方法。
【請求項4】
前記圧縮機ステージ別にタービンに圧縮空気を抽気してサージマージンを制御するステップは、第1、2抽気ステップ以後に、サージマージンが安定しない場合、次の圧縮機ステージにおいて追加で抽気が行われる第3抽気ステップをさらに含む請求項に記載のガスタービンのサージマージン制御方法。
【請求項5】
前記第3抽気ステップは、前記タービンに供給される抽気量が前記サージマージンの状態に応じて増加または減少される請求項に記載のガスタービンのサージマージン制御方法。
【請求項6】
前記第3抽気ステップ以後にサージマージンが確保されない場合には、ガスタービンの作動を中止するステップを含む請求項または請求項に記載のガスタービンのサージマージン制御方法。
【請求項7】
ガスタービンの圧縮機ユニットに備えられた複数個の圧縮機ステージのうち、初期ステージに位置された複数個の圧縮機ステージに対する個別回転数および圧力比を感知する感知センサーユニットと、
前記初期ステージに位置された複数個の圧縮機ステージを取り囲む圧縮機ハウジングの円周方向に一端が連結され、他端がタービンに延長された抽気管と、
前記抽気管に備えられたバルブユニットと、
前記バルブユニットの開度量を前記感知センサーユニットで感知された感知値に基づいて制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、サージマージンが基準を満たさない場合、前記初期ステージに位置された前記複数個の圧縮機ステージのうち、最初の圧縮が行われる第1圧縮機ステージに接続された抽気管のバルブユニットの開度量を制御した後、
サージマージンが安定しない場合、前記第1圧縮機ステージに隣り合った次のステージに位置された圧縮機ステージに接続された抽気管のバルブユニットの開度量を制御する、
ガスタービンの抽気装置。
【請求項8】
前記抽気管は、圧縮機ステージにそれぞれ個別結合される請求項に記載のガスタービンの抽気装置。
【請求項9】
前記抽気管は、一端が前記圧縮機ハウジングの円周方向から内側に挿入され、複数個が等間隔で配置された分岐管と、
前記分岐管が、前記圧縮機ハウジングの外側に延長された後に、全て合流されて、単一管で形成されたメイン管を含む請求項に記載のガスタービンの抽気装置。
【請求項10】
前記分岐管は、前記圧縮機ハウジングの上下左右対称に配置された請求項に記載のガスタービンの抽気装置。
【請求項11】
前記バルブユニットは、前記圧縮機ステージからそれぞれ延長された分岐管に個別装着される請求項に記載のガスタービンの抽気装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1圧縮機ステージは正常であり、前記第1圧縮機ステージと隣り合った次の圧縮機ステージが非正常である場合、前記第1圧縮機ステージおよび前記次の圧縮機ステージに該当するバルブユニットが全て開放されるように制御する請求項に記載のガスタービンの抽気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数個の圧縮機ステージが備えられたガスタービンにおいてサージによる振動騒音および流動の不安定性を最小化して安定した圧縮機ユニットの駆動を目的とするガスタービンのサージマージン制御方法およびガスタービンの抽気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ガスタービンや蒸気タービンをはじめ、タービンを備えた機関または装置をターボマシン(Turbo machine)とする。前記ターボマシンは、流体の熱エネルギーを機械的エネルギーである回転力に変換する動力発生装置であって、流体によって軸回転する回転体および前記回転体を支持し、取り囲む固定体を含んで構成される。
【0003】
一例として、ガスタービンは、大きく燃焼ガスを生成するための燃焼器と、前記燃焼器から吐出される燃焼ガスによって駆動するタービンおよび燃焼器に高圧の空気を供給する圧縮機を含む。
【0004】
前記圧縮機は回転される場合、外部の空気を吸入、圧縮して燃焼器に圧縮空気を供給し、前記燃焼器で圧縮空気に燃料を供給して燃焼させることで、高温、高圧の燃焼ガスを生成した後、タービンに供給される。
【0005】
そして、前記燃焼器から吐出された高温、高圧の燃焼ガスがタービンの回転翼を駆動させてタービンのローターが回転される。
【0006】
前記タービンは固定翼および回転翼のようなタービンディスクユニットが、前記ロータの軸方向に沿って交互に多段に備えられている。
【0007】
前記ガスタービンは、始動が行われる際、圧縮機を構成する多数個の圧縮機ステージにおいて多段に圧縮が行われる、この場合、前記圧縮機ステージを構成する初期圧縮機のうちいずれか一つにおいて圧力比が非正常な状態が保持される場合、サージ(surge)による衝撃および異常音が生じることがある。
【0008】
前記サージは、主に圧縮機ブレードが設けられた角度と、圧縮空気が前記圧縮機ブレードに向かって供給される供給角度との違いにより生じる。
【0009】
従来にも圧縮機ステージで生じるサージを遅延させるための努力が多様に試みられているが、前記圧縮機ステージの全体において圧力を基準として制御が行われる場合がほとんどであるので、有効な制御が行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許US9,027,354
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施例は、ガスタービンに備えられた圧縮機ステージにおいて、初期圧縮機ステージに対する抽気制御を実施して、サージによる振動騒音および衝撃の発生を抑制し、圧縮機ユニットの安定した作動を図って、ガスタービンの効率を向上させようとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面によると、ガスタービンの圧縮機ユニットに備えられた複数個の圧縮機ステージのうち、初期ステージに位置された複数個の圧縮機ステージの回転数および個別圧力比を判断するステップ;および前記初期圧縮機ステージにおいてサージマージンが基準を満たさない場合、前記圧縮機ステージ別にタービンに圧縮空気を抽気してサージマージンを制御するステップを含んでいる。
【0013】
前記圧縮機ステージ別にタービンに圧縮空気を抽気してサージマージンを制御するステップは、最初の圧縮が行われる第1圧縮機において抽気が行われる第1抽気ステップを含む。
【0014】
前記第1抽気ステップは、前記タービンに供給される抽気量が前記サージマージンの状態に応じて増加または減少されることを特徴とする。
【0015】
前記圧縮機ステージ別にタービンに圧縮空気を抽気してサージマージンを制御するステップは、第1抽気ステップ以後にサージマージンが確保されない場合、前記第1圧縮機の次のステージに隣り合って位置された圧縮機ステージにおいて追加で抽気が行われる第2抽気ステップをさらに含む。
【0016】
前記第2抽気ステップは、前記タービンに供給される抽気量が前記サージマージンの状態に応じて増加または減少されることを特徴とする。
【0017】
前記圧縮機ステージ別にタービンに圧縮空気を抽気してサージマージンを制御するステップは、第1、2抽気ステップ以後にサージマージンが確保されない場合、次の圧縮機ステージにおいて追加で抽気が行われる第3抽気ステップをさらに含む。
【0018】
前記第3抽気ステップは、前記タービンに供給される抽気量が前記サージマージンの状態に応じて増加または減少されることを特徴とする。
【0019】
前記第3抽気ステップ以後にサージマージンが安定しない場合は、ガスタービンの作動を中止するステップを含む。
【0020】
本実施例に係るガスタービンの抽気装置は、ガスタービンの圧縮機ユニットに備えられた複数個の圧縮機ステージのうち、初期ステージに位置された複数個の圧縮機ステージに対する回転数および個別圧力比を感知する感知センサーユニット;前記初期ステージに位置された複数個の圧縮機ステージを取り囲む圧縮機ハウジングの円周方向に一端が連結され、他端がタービンに延長された抽気管;前記抽気管に備えられたバルブユニット;および前記バルブユニットの開度量を前記感知センサーユニットで感知された感知値に基づいて制御する制御部を含む。
【0021】
前記抽気管は、圧縮機ステージにそれぞれ個別結合されたことを特徴とする。
【0022】
前記抽気管は、一端が前記圧縮機ハウジングの円周方向から内側に挿入され、複数個が等間隔で配置された分岐管;前記分岐管が、前記圧縮機ハウジングの外側に延長された後に、全て合流されて、単一管で形成されたメイン管を含む。
【0023】
前記分岐管は、前記圧縮機ハウジングの上下左右対称に配置される。
【0024】
前記分岐管は、前記メイン管よりも大きい直径で形成される。
【0025】
前記バルブユニットは、前記圧縮機ステージからそれぞれ延長された分岐管に個別装着されたことを特徴とする。
【0026】
前記制御部は、前記圧縮機ステージのうち、初期ステージから隣り合った次の圧縮機ステージの順にバルブユニットの開度量を順次制御することを特徴とする。
【0027】
前記制御部は、前記圧縮機ステージのうち、初期ステージは正常であり、前記初期ステージと隣り合った次の圧縮機ステージが非正常である場合、前記初期ステージおよび次の圧縮機ステージに該当するバルブユニットが全て開放されるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施例は、ガスタービンの初期圧縮機ステージにおいて回転数および圧力比をリアルタイムで感知し、サージが生じる場合、抽気量の制御を通じて振動および騒音を最小化することができる。
【0029】
本発明の実施例は、初期圧縮機ステージにおいて抽気の制御を順次実施して、初期圧縮機ステージの安全性を確保することができる。
【0030】
本発明の実施例は、ガスタービンの効率を向上させることができ、ガスタービンに対する点検または修理のために停止した後に始動が行われる場合にも、圧縮機ステージの安定した作動を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施例に係るガスタービンのサージマージン制御方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の一実施例に係るガスタービンのサージマージン制御方法において時間によるサージマージンの状態を示したグラフである。
図3】本発明の一実施例に係るガスタービンの抽気装置による構成を示す図である。
図4】本発明の一実施例に係る制御部および前記制御部に連携した構成を示す図である。
図5】本発明の一実施例に係るガスタービンの抽気装置の作動状態図である。
図6】本発明の一実施例に係るガスタービンの抽気装置の作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の一実施例に係るガスタービンのサージマージン制御方法について図面を参照して説明する。
【0033】
添付された図1または図3を参照すると、本実施例に係るガスタービンのサージマージン制御方法は、多段軸流圧縮機の始動区間において圧縮機ユニットの安全性を確保しようとする。
【0034】
このため、本実施例では、ガスタービンの圧縮機ユニットに備えられた複数個の圧縮機ステージのうち、初期ステージに位置された複数個の圧縮機ステージの回転数および個別圧力比を判断するステップ(ST100)および、前記初期圧縮機ステージにおいてサージマージンが基準を満たさない場合、前記圧縮機ステージ別にタービンに圧縮空気を抽気してサージマージンを制御するステップ(ST200)を含む。
【0035】
前記単位圧縮機の回転数および個別圧力比を判断するためには(ST100)、前記圧縮機ユニットを構成する単位圧縮機別にそれぞれ個別回転数および圧力比が感知されなければならない。
【0036】
多段圧縮機は、ガスタービンの軸方向に沿って圧縮機ブレードと圧縮機ベーンとが一対で構成され、これを圧縮機ステージ(stage)と定義する。前記圧縮機ステージは、一例として圧縮機ユニットの内部に10段から20段の間をなし、多数個が配置される。
【0037】
圧縮機ユニットは圧縮機ステージ別に入口空気の圧力と出口空気の圧力との比が特定の圧力で設計される。もし、特定の圧縮機ステージの回転数または圧力比が既に設定された設計値と異なると、圧縮空気によって圧縮機ブレードとの衝撃または流動の不安定に起因する圧縮機ユニットでの振動騒音につながるサージ現状が発生することができる。
【0038】
本実施例は、かかるサージ現状を最小化するために圧縮機ユニットを構成する多数個の圧縮機ステージのうち、初期ステージに位置された圧縮機ステージの個別回転数および圧力比の状態が正常状態であるか否かをそれぞれ判断する。
【0039】
前記圧縮機ステージの個別回転数は、RPMセンサーまたはこれと類似する機能を果たす他のセンサーが用いられることができ、前記圧力比は、圧力センサーによって感知される。
【0040】
初期ステージに位置された圧縮機ステージにおいてサージが生じる場合、前記圧縮機ステージ別にタービンに圧縮空気を抽気してサージマージンを制御(ST200)する。本実施例は、一例として、最初の圧縮が行われる第1圧縮機の回転数または圧力比において異常が生じる場合、第1抽気ステップ(ST210)が実施される。
【0041】
前記第1抽気ステップ(ST210)は、タービンに供給される抽気量が前記サージマージンの状態に応じて増加または減少され、一例として、時間によるサージマージンの状態を示したグラフに基づいて説明する。
【0042】
前述した第1抽気ステップ(ST210)は、グラフに示されたA位置において圧縮機ユニットに対する稼動が保持されず、時間が経過するに伴い、B位置に向かってグラフの移動軌跡が下向きに移動されることがある。
【0043】
例えば、グラフは、移動軌跡がA位置から下向きしてB位置に至る場合、初期圧縮機ステージにおいてサージが生じたと判断する。図3に示された点線は、AからDの位置で要求される圧縮機ユニットが振動または騒音の発生が最小化された状態で安定した作動のためのリミット1から3を示したものである。
【0044】
この場合、初期圧縮機ステージにおいてタービンに抽気が行われる場合、グラフがB位置で後述した第1バルブ310(図4参照)がオープンされ、特定量に開度量が調節される場合、初期圧縮機ステージにおいて生じた振動および騒音が低減される。
【0045】
この場合、初期圧縮機ステージにおけるサージマージンが減少されるので、ガスタービンの出力低下も最小化されることができる。
【0046】
参考に、前記第1バルブ310が閉鎖される場合、グラフの移動軌跡は、B位置からA位置に向かって小幅に移動されることがある。
【0047】
本実施例は、第1抽気(ST210)が行われる場合、抽気量が完全開放または完全閉鎖されず、圧縮機ユニットの安全性およびガスタービンの効率を考慮して、タービンに供給される抽気量が時間によって比例制御されることができる。ここで、比例制御の意味は、時間によって抽気量が増加または減少されるように、後述する第1から第3バルブ310、320、330によって開度量が調節されることを意味する。したがって、ガスタービンの作動中に、初期圧縮機ステージに備えられた圧縮機ブレードの衝撃発生が減少し、圧縮空気の流動の不安定性も減少されることができる。
【0048】
圧縮機ステージ別にタービンに圧縮空気を抽気してサージマージンを制御するステップは、第1抽気が行われた以後に(ST210)サージマージンが安定しない場合、前記第1圧縮機の次のステージに隣り合って位置された圧縮機ステージにおいて追加で抽気が行われる第2抽気ステップ(ST220)をさらに含む。
【0049】
前記第2抽気ステップ(ST220)は、前記タービンに供給される抽気量が前記サージマージンの状態に応じて増加または減少され、前述した第1圧縮機で生じたサージマージンは、最初の第1抽気が行われた以後に(ST210)安定することが望ましい。
【0050】
もし、第1抽気以後に(ST210)安定しておらず回転数または圧力比が続いて増加される場合、グラフのB位置からC位置に軌跡が移動されながら、サージマージンが減少される。
【0051】
この場合、C位置で抽気量が完全開放または完全閉鎖されず、圧縮機ユニットの安全性およびガスタービンの効率を考慮して、タービンに供給される抽気量が時間によって比例制御されることができる。
【0052】
したがって、ガスタービンの作動中に、初期圧縮機ステージに備えられた圧縮機ブレードの衝撃発生が減少し、圧縮空気の流動の不安定性も減少されることができ、圧縮機ユニットの振動および騒音の発生が減少し、ガスタービンの出力低下も最小化されることができる。
【0053】
本実施例は、圧縮機ユニットでのサージマージンによって、第1抽気(ST210)および第2抽気(ST220)が順次行われる。もし、第1、2抽気以後にも圧縮機ユニットでサージマージンが基準を満たさない場合は、次の圧縮機ステージにおいて追加で抽気が行われる第3抽気ステップ(ST230)が実施される。
【0054】
前記第3抽気ステップ(ST230)は、第1、2抽気以後に(ST210、ST220)安定せず、回転数または圧力比が続いて増加する場合、グラフのC位置からD位置に軌跡が移動されながら、サージマージンが増加される。
【0055】
この場合、D位置で抽気量が完全開放または完全閉鎖されず、圧縮機ユニットの安全性およびガスタービンの効率を考慮して、タービンに供給される抽気量が時間によって比例制御されることができる。
【0056】
したがって、ガスタービンの作動中に、初期圧縮機ステージに備えられた圧縮機ブレードの衝撃発生が減少し、圧縮空気の流動の不安定性も減少されることができ、圧縮機ユニットの振動および騒音の発生が減少し、ガスタービンの出力低下も最小化されることができる。
【0057】
もし、第3抽気ステップ(ST230)以後にサージマージンが安定する場合には(ST250)、ガスタービンが正常に作動されるものと判断(ST260)する。
【0058】
もし、第3抽気ステップ(ST230)以後にサージマージンが安定しない場合は、ガスタービンの作動を中止して圧縮機ユニットの故障または誤作動を防ぐことができる(ST270)。
【0059】
本実施例は、第1抽気以後にサージマージンが持続される場合、第2抽気が実施され、その以後にもサージマージンが持続される場合、第3抽気を通じて圧縮機ユニットの安定した作動を図ることができる。
【0060】
この場合、第1から第3抽気は順次実施されるため、ガスタービンの安定した作動および効率の向上を同時に図ることができる。
【0061】
本発明の一実施例に係るガスタービンの抽気装置について図面を参照して説明する。
【0062】
添付された図2から図4を参照すると、本実施例に係るガスタービンの抽気装置は、ガスタービンの圧縮機ユニット10に備えられた複数個の圧縮機ステージ11、12、13のうち、初期ステージに位置され複数個の圧縮機ステージ11、12、13に対する個別回転数および圧力比を感知する感知センサーユニット100と、前記初期ステージに位置された複数個の圧縮機ステージ11、12、13を取り囲む圧縮機ハウジング20の円周方向に一端が連結され、他端がタービンに延長された抽気管200と、前記抽気管200に備えられたバルブユニット300及び前記バルブユニット300の開度量を前記感知センサーユニット100で感知された感知値に基づいて制御する制御部400とを含む。
【0063】
前記感知センサーユニット100は、圧縮機ステージ11、12、13の個別回転数をRPMセンサーまたはこれと類似する機能を果たす他のセンサーが用いられることができ、前記圧力比は、圧力センサーによって感知される。
【0064】
前記抽気管200は、圧縮機ステージ11、12、13にそれぞれ個別結合され、一例として一端が前記圧縮機ハウジング20の円周方向から内側に挿入され、複数個が等間隔で配置された分岐管210と、前記分岐管210が、前記圧縮機ハウジング20の外側に延長された後に、全て合流されて、単一管で形成されたメイン管220を含む。
【0065】
前記分岐管210は、一例として圧縮機ハウジング20が円筒状に形成される場合、上下の位置に互いに向き合ってそれぞれ位置されるか、上下左右対称に位置されることができる。
【0066】
前記分岐管210は、いずれも同一直径で形成され、前記圧縮機ステージ11、12、13の内側と連通された状態で結合される。前記分岐管210は、レイアウトに応じて異なることはあるが、同一の長さで、前記メイン管220に向かって延長される。
【0067】
前記メイン管220が同一直径で形成される場合、バルブユニット300の開度量によってそれぞれの分岐管210を通じて同一の流量の圧縮空気が前記メイン管220を経由してタービンに供給されることができる。
【0068】
したがって、前記分岐管210が互いに異なる位置に位置された場合にも、タービン30に供給される多量の圧縮空気を安定して供給することができるため、供給の安全性が向上される。
【0069】
本実施例に係るメイン管220は、複数個の分岐管210が合わさって1つの単一配管でタービンに向かって延長される。前記メイン管220は、バルブユニット300を構成する第1バルブ310が備えられ、開度量が制御部400によって制御されるように構成される。
【0070】
前記分岐管210は、前記メイン管220よりも大きい直径で形成されるので、高圧の圧縮空気が前記メイン管220に安定して移動されることができ、移動中の圧力降下による問題の発生も最小化されることができる。
【0071】
前記分岐管210は、圧縮機ステージ11、12、13にそれぞれ備えられ、メイン管220も前記圧縮機ステージ11、12、13からそれぞれ延長された分岐管210と連結されるようにそれぞれ備えされる。
【0072】
前記メイン管220は、タービンに個別供給されず、単一管で合わさって供給されるので、バルブユニット300の開度状態に応じて、タービンに供給される抽気量が制御される。
【0073】
本実施例に係るバルブユニット300は、前記圧縮機ステージ11、12、13からそれぞれ延長された分岐管に個別装着され、第1バルブ310と第2バルブ320と第3バルブ330とで構成される。
【0074】
第1から第3バルブ310、320、330が全て制御部400によって制御され、開度量の制御を通じてタービンに供給される抽気量の制御が安定して行われることができる。
【0075】
添付された図4から図6を参照すると、本実施例に係る制御部400は、前記圧縮機ステージ11、12、13のうち、初期ステージから隣り合った次の圧縮機ステージの順にバルブユニット300の開度量を順次制御する。すなわち、制御部400は、前記圧縮機ステージ11に対する第1バルブ310をオープン状態に制御した後に隣り合った圧縮機ステージ12に対する抽気のために第2バルブ320がオープンされるように制御することができる。
【0076】
そして、隣り合った圧縮機ステージ13に対する抽気のための第3バルブ330がオープンされるように制御すると、タービン30に供給される圧縮空気が供給されることができる。この場合、高圧の圧縮空気は、太い実線の移動経路に沿って移動される。
【0077】
本実施例に係る制御部400は、前記圧縮機ステージ11、12、13のうち、初期ステージ11は正常であり、前記初期ステージ11と隣り合った次の圧縮機ステージ12が非正常である場合、前記初期ステージ11および次の圧縮機ステージ12に該当する第1、2バルブユニット310、320が全て開放されるように制御することができる。
【0078】
この場合、抽気された空気は、太い実線で示された移動経路に沿ってタービン30に供給されるので、サージによる振動および騒音が抑制され、ガスタービンの安定した作動が保持される。
【符号の説明】
【0079】
10…圧縮機ユニット
11、12、13…圧縮機ステージ
20…圧縮機ハウジング
100…感知センサーユニット
200…抽気管
210…分岐管
220…メイン管
300…バルブユニット
400…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6