【課題を解決するための手段】
【0015】
その課題を解決するために、
本発明の一側面によれば、複数の粒子を目標表面に塗布する粒子塗布装置であって、
前記複数の粒子が揮発性溶媒中に分散状態で混入している噴霧液を第1の温度に加温する第1のヒータと、
圧縮気体を第2の温度に加温する第2のヒータと、
前記加温された噴霧液が、前記加温された圧縮気体と一緒に供給されると、その圧縮気体を用いて前記噴霧液を噴霧空間内に噴霧するスプレーガンと、
前記第2のヒータと前記スプレーガンとの間に設けられ、前記第2のヒータから供給される前記圧縮気体の一部を前記スプレーガンに供給し、別の一部を大気に放出するヒータ安全装置と
を含む粒子塗布装置が提供される。
【0016】
本発明のあるアスペクトによれば、複数の粒子を目標表面に吹き付けて塗布する粒子塗布装置であって、
前記複数の粒子が揮発性溶媒中に分散状態で混入している噴霧液を第1の温度に加温する第1のヒータと、
圧縮気体を第2の温度に加温する第2のヒータと、
前記加温された噴霧液が、前記加温された圧縮気体と一緒に供給されると、その圧縮気体を用いて前記噴霧液を噴霧空間内に噴霧するスプレーガンと
を含み、
そのスプレーガンは、
前記噴霧空間内に前記噴霧液を噴射する噴霧液噴射口と、
前記噴霧空間内に前記圧縮気体を噴射する圧縮気体噴射口と、
前記スプレーガンを正面から見た場合に、前記噴霧液噴射口および前記圧縮気体噴射口から側方に外れた位置に配置され、前記噴霧空間を側方から包囲する周辺空間より高温である温風を前方に噴射し、それにより、前記噴霧空間を側方から包囲する環状断面を有する温風シールドを形成する温風噴射口と
を含み、
前記圧縮気体噴射口は、
前記噴霧液噴射口と同軸である一円周に沿って概して等間隔で配置された複数の第1気体噴射穴と、
前記噴霧液噴射口の中心線に対して半径方向外向きに、前記複数の第1気体噴射穴の位置より外れた複数の位置に配置された複数の第2気体噴射穴と
を含む粒子塗布装置が提供される。
【0017】
また、本発明の第1側面によれば、揮発性の噴霧液を噴霧空間内に噴霧するスプレーガンであって、
前記噴霧空間内に前記噴霧液を噴射する噴霧液噴射口と、
前記噴霧空間内に圧縮気体を噴射する圧縮気体噴射口と、
当該スプレーガンを正面から見た場合に、前記噴霧液噴射口および前記圧縮気体噴射口から側方に外れた位置に配置され、前記噴霧空間を側方から包囲する周辺空間より高温である温風を前方に噴射し、それにより、前記噴霧空間を側方から包囲する環状断面を有する温風シールドを形成する温風噴射口と
を含むスプレーガンが提供される。
【0018】
このスプレーガンの噴霧前には、複数の粒子が噴霧液内に分散状態で混入している。その噴霧液は、このスプレーガンの噴霧により、霧状(ミスト)となり、その状態で、目標表面に向かって空気中を飛行させられる。すなわち、噴霧液は、複数のミスト内微粒子(液滴)の集まりという形態で空気中を飛行させられるのである。
【0019】
このスプレーガンの噴霧後、各ミスト内微粒子が目標表面に向かって空気中を飛行している過程で、各ミスト内微粒子のうちの揮発性媒質は、周囲から熱を奪って気化する。各ミスト内微粒子のうちの揮発性媒質が気化すると、各ミスト内微粒子内に混入していた複数の粒子がそれ自体、それぞれ単独で、空気中を飛行することになる。一方、複数の粒子は、各ミスト内微粒子内に混入している場合には、互いに凝集し易いが、各ミスト内微粒子自体がそれぞれ単独で空気中に浮遊する場合には、互いに分散し易い。
【0020】
空気中を飛行している各ミスト内微粒子の温度は、外気温の影響を受ける。具体的には、その外気温が噴霧液の温度より低い場合には、その噴霧液は、外気によって冷やされてしまう。
【0021】
このスプレーガンにおいては、噴霧された噴霧液が飛行する噴霧空間より、それの側方から包囲する周辺空間が低温であると、噴霧空間内の空気が周辺空気内の空気によって冷却されてしまう可能性がある。噴霧空間内において噴霧液が気化するために気化熱を空気から奪う。そのため、噴霧空間が周辺空間より低温となる可能性がある。
【0022】
これに対し、このスプレーガンにおいては、当該スプレーガンを正面から見た場合に、噴霧液噴射口および圧縮気体噴射口から側方に外れた位置に温風噴射口が配置される。このスプレーガンは、その温風噴射口から、周辺空間より高温である温風を前方に噴射し、それにより、噴霧空間を側方から包囲する環状断面を有する温風シールドを形成する。その温風シールドは、周辺空間より高温であるため、噴霧空間の温度は、温風シールドが存在しない場合より、周辺空気による冷却作用を受けずに済む。
【0023】
一方、このスプレーガンによって噴霧された噴霧液は、それ自体の温度が高いほど、気化し易い。その噴霧液が気化し易いほど、その噴霧液が、スプレーガンから噴射した後、目標表面に到達するまでの間に、すべての噴霧液が気化する傾向が増す。
【0024】
また、このスプレーガンによって噴霧された各ミスト内微粒子(液滴)は、それが気化するために必要な熱を気化熱として周囲から奪う。したがって、各ミスト内微粒子の周囲の温度、すなわち、各ミスト内微粒子を包囲する圧縮気体の温度が高いほど、噴霧液が気化し易い。
【0025】
その結果、このスプレーガンによれば、噴霧液が、温風シールドが形成されない場合に比べて、すべての粒子がそれ自体、それぞれ単独で空気中に浮遊する傾向が増し、ひいては、すべての粒子がさらに大きく互いに分散した状態で飛行して目標表面に到達する傾向が増す。
【0026】
したがって、このスプレーガンによれば、外気温の影響をそれほど強く受けることなく、このスプレーガンにより噴霧された噴霧液が目標表面に到達するまでにその噴霧液の実質的にすべてが気化することを実現することが容易となる。
【0027】
このスプレーガンにより噴霧された噴霧液が目標表面に到達するまでにその噴霧液の実質的にすべてが気化することが実現されれば、複数の粒子は、それぞれ単独で、すなわち、噴霧液内に混入していない状態(噴霧液の束縛から解放された状態)で飛行して目標表面に到達することになる。
【0028】
したがって、このスプレーガンによれば、複数の粒子が目標表面上に均一に分散する傾向が増す。すなわち、このスプレーガンによれば、目標表面上の全域において複数の粒子が互いに分散するとともに、その分散度が目標表面の全域において均一化されるのである。
【0029】
目標表面上において複数の粒子が互いに分散する傾向が強くなれば、スプレーガンの噴霧前に噴霧液に含有され得る複数の粒子の濃度を、目標表面上での粒子の偏在化を防止しつつ、増加させることが可能となる。その結果、目標表面上における粒子の密度を増加させることも容易となる。
【0030】
すなわち、このスプレーガンによれば、複数の粒子を目標表面上に高密度で均一に分散するように塗布することが容易となるのである。
【0031】
目標表面上に複数の粒子が均一に分散するという理由により、その目標表面上においていずれの粒子も付着されていない連続領域の面積が減少する。また、目標表面上における粒子の密度が増加するという理由によっても、その目標表面上においていずれの粒子も存在しない連続領域の面積が減少する。
【0032】
その結果、このスプレーガンによれば、前記複数の粒子が複数の光触媒粒子を含む場合には、目標表面上に付着した複数の光触媒粒子の光触媒効果を極大化する(すなわち、光触媒粒子の数の割りに大きな光触媒効果を実現する)ことが容易となる。
【0033】
なお、このスプレーガンにおいて、「噴霧液」は、例えば、複数の粒子であって完全に揮発することがないために最終的に残存する成分を有するものを含有したり、複数の固体粒子であって帯電可能であるものを含有したり、それらの粒子を含有する代わりに、揮発する液体を含有したり、揮発しない液体を含有するように調製することが可能である。
【0034】
このスプレーガンの望ましい一態様においては、さらに、前記噴霧液噴出口から噴射された噴霧液を拡散させるデフューザが用いられる。
【0035】
このスプレーガンの望ましい別の態様においては、さらに、前記圧縮気体であって加温されたものを前記圧縮気体噴射口と前記温風噴射口との双方に共通する通路が用いられる。
【0036】
また、本発明の第2側面によれば、複数の粒子を目標表面に吹き付けて塗布する粒子塗布装置であって、
前記複数の粒子が揮発性溶媒中に分散状態で混入している噴霧液を加温する第1のヒータと、
圧縮気体を加温する第2のヒータと、
前記加温された噴霧液が、前記加温された圧縮気体と一緒に供給されると、その圧縮気体を用いて前記噴霧液を噴霧空間内に噴霧するスプレーガンと
を含み、
そのスプレーガンは、
前記噴霧空間内に前記噴霧液を噴射する噴霧液噴射口と、
前記噴霧空間内に前記圧縮気体を噴射する圧縮気体噴射口と、
前記スプレーガンを正面から見た場合に、前記噴霧液噴射口および前記圧縮気体噴射口から側方に外れた位置に配置され、前記噴霧空間を側方から包囲する周辺空間より高温である温風を前方に噴射し、それにより、前記噴霧空間を側方から包囲する環状断面を有する温風シールドを形成する温風噴射口と
を含む粒子塗布装置が提供される。
【0037】
この粒子塗布装置の望ましい一態様においては、さらに、前記噴霧液の各部分が前記噴霧液噴射口から噴射するのに先立ち、前記噴霧液の各部分内に複数のマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生装置が用いられる。
【0038】
上述のいくつかの粒子塗布装置の望ましい一態様においては、前記複数の粒子が、それぞれの表面上に露出する状態で金属銀粒子を担持している。
【0039】
また、本発明の第3側面によれば、揮発性の噴霧液を噴霧空間内に噴霧する噴霧方法であって、
前記噴霧液を加温して前記噴霧空間内に噴射する噴霧液噴射工程と、
圧縮気体を加温して前記噴霧空間内に噴射し、それにより、前記噴霧液の霧化を促進する圧縮気体噴射工程と、
前記噴霧空間を側方から包囲する周辺空間より高温である温風を、前記噴霧空間を側方から包囲する環状断面を有する温風シールドが形成されるように噴射し、それにより、前記噴霧空間内の保温を促進する温風シールド形成工程と
を含む噴霧方法が提供される。
【0040】
なお、この噴霧方法において、「噴霧液」は、例えば、複数の粒子であって完全に揮発することがないために最終的に残存する成分を有するものを含有したり、複数の固体粒子であって帯電可能であるものを含有したり、それらの粒子を含有する代わりに、揮発する液体を含有したり、揮発しない液体を含有するように調製することが可能である。
【0041】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0042】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0043】
(1) 複数の粒子を目標表面に吹き付けて塗布する粒子塗布方法であって、
前記複数の粒子が分散状態で混入している揮発性の噴霧液を加温する溶液加温工程と、
圧縮気体を加温する気体加温工程と、
その加温された圧縮気体を、前記加温された噴霧液と一緒にスプレーガンに供給し、それにより、前記圧縮気体を用いて前記噴霧液を霧化して前記スプレーガンから噴射する噴霧工程と
を含み、
前記溶液加温工程および前記気体加温工程は、前記スプレーガンから噴射された前記噴霧液が前記目標表面に到達する前に前記噴霧液が実質的に全体として気化することを前記溶液加温工程および前記気体加温工程が互いに共同して実現する高さの温度に前記噴霧液および前記圧縮気体をそれぞれ加温する粒子塗布方法。
【0044】
この方法においては、スプレーガンの噴霧前には、複数の粒子が噴霧液内に分散状態で混入している。その噴霧液は、スプレーガンの噴霧により、霧状(ミスト)となり、その状態で、目標表面に向かって空気中を飛行させられる。すなわち、噴霧液は、複数のミスト内微粒子(液滴)の集まりという形態で空気中を飛行させられるのである。
【0045】
スプレーガンの噴霧後、各ミスト内微粒子が目標表面に向かって空気中を飛行している過程で、各ミスト内微粒子のうちの揮発性媒質は、周囲から熱を奪って気化する。各ミスト内微粒子のうちの揮発性媒質が気化すると、各ミスト内微粒子内に混入していた複数の粒子がそれ自体、それぞれ単独で、空気中を飛行することになる。一方、複数の粒子は、各ミスト内微粒子内に混入している場合には、互いに凝集し易いが、各ミスト内微粒子自体がそれぞれ単独で空気中に浮遊する場合には、互いに分散し易い。
【0046】
空気中を飛行している各ミスト内微粒子の温度は、外気温の影響を受ける。具体的には、その外気温が噴霧液の温度より低い場合には、その噴霧液は、外気によって冷やされてしまう。
【0047】
スプレーガンの噴霧後、空気中を飛行している霧状の噴霧液は、各ミスト内微粒子と、噴霧液を霧化するために用いられた圧縮気体との混合物である。各ミスト内微粒子は、同じスプレーガンから噴出させられた圧縮気体によって包囲されている。すなわち、各ミスト内微粒子は、圧縮気体によって包囲された状態で、空気中を飛行させられるのである。
【0048】
本項に係る方法においては、スプレーガンによる噴霧に先立ち、噴霧液のみならず圧縮気体も加温される。その結果、この方法によれば、噴霧液が、スプレーガンによる噴霧前に、直接的に加温されることに加えて、スプレーガンによる噴霧工程において、加温された圧縮気体であって噴霧液と一緒にスプレーガンから噴射させられるものによっても加温されるのである。
【0049】
したがって、この方法によれば、スプレーガンの噴霧後に、圧縮気体の温度が外気温より高い限り、霧状の噴霧液の温度の、外気による低下量が、圧縮気体を加温しない場合より、少なくて済む。
【0050】
一方、スプレーガンによって噴霧された噴霧液は、それ自体の温度が高いほど、気化し易い。その噴霧液が気化し易いほど、その噴霧液が、スプレーガンから噴射した後、目標表面に到達するまでの間に、すべての噴霧液が気化する傾向が増す。
【0051】
また、スプレーガンによって噴霧された各ミスト内微粒子(液滴)は、それが気化するために必要な熱を気化熱として周囲から奪う。したがって、各ミスト内微粒子の周囲の温度、すなわち、各ミスト内微粒子を包囲する圧縮気体の温度が高いほど、噴霧液が気化し易い。
【0052】
その結果、本項に係る方法によれば、噴霧液が、その噴霧液しか加温しない場合に比べて、すべての粒子がそれ自体、それぞれ単独で空気中に浮遊する傾向が増し、ひいては、すべての粒子がさらに大きく互いに分散した状態で飛行して目標表面に到達する傾向が増す。
【0053】
さらに、本項に係る方法においては、スプレーガンによる噴霧後、噴霧液が目標表面に到達する前にその噴霧液が実質的に全体として気化することを噴霧液の加温および圧縮気体の加温とが互いに共同して実現し得る高さの温度に、噴霧液および圧縮気体がそれぞれ加温される。
【0054】
したがって、この方法によれば、噴霧液のみならず圧縮気体も加温されるおかげで、外気温の影響をそれほど強く受けることなく、スプレーガンにより噴霧された噴霧液が目標表面に到達するまでにその噴霧液の実質的にすべてが気化することを実現することが容易となる。
【0055】
スプレーガンにより噴霧された噴霧液が目標表面に到達するまでにその噴霧液の実質的にすべてが気化することが実現されれば、複数の粒子は、それぞれ単独で、すなわち、噴霧液内に混入していない状態(噴霧液の束縛から解放された状態)で飛行して目標表面に到達することになる。
【0056】
したがって、この方法によれば、スプレーガンにより噴霧された噴霧液が目標表面に到達するまでにその噴霧液の実質的にすべてが気化することが実現されない場合より、複数の粒子が目標表面上に均一に分散する。
【0057】
すなわち、この方法によれば、目標表面上の全域において複数の粒子が互いに分散するとともに、その分散度が目標表面の全域において均一化されるのである。
【0058】
目標表面上において複数の粒子が互いに分散する傾向が強くなれば、スプレーガンの噴霧前に噴霧液に含有され得る複数の粒子の濃度を、目標表面上での粒子の偏在化を防止しつつ、増加させることが可能となる。その結果、目標表面上における粒子の密度を増加させることも容易となる。
【0059】
すなわち、本項に係る方法によれば、複数の粒子を目標表面上に高密度で均一に分散するように塗布することが容易となるのである。
【0060】
目標表面上に複数の粒子が均一に分散するという理由により、その目標表面上においていずれの粒子も付着されていない連続領域の面積が減少する。また、目標表面上における粒子の密度が増加するという理由によっても、その目標表面上においていずれの粒子も存在しない連続領域の面積が減少する。
【0061】
その結果、この方法によれば、目標表面上に付着した複数の粒子の光触媒効果を極大化する(すなわち、粒子の数の割りに大きな光触媒効果を実現する)ことが容易となる。
【0062】
(2) 前記気体加温工程が前記圧縮気体を加温する温度は、前記溶液加温工程が前記噴霧液を加温する温度と等しいかまたはそれより高い(1)項に記載の粒子塗布方法。
【0063】
この方法によれば、圧縮気体が加温される温度(圧縮気体の目標温度またはスプレーガン噴出直後の圧縮気体の温度)が、噴霧液が加温される温度(噴霧液の目標温度またはスプレーガン噴出直後の噴霧液の温度)より低くない。
【0064】
一方、スプレーガンによって噴霧された後、圧縮気体の温度が噴霧液の温度より低くない場合には、噴霧液の温度低下が圧縮気体によって効果的に抑制される。
【0065】
すなわち、この方法によれば、噴霧液が、スプレーガンによる噴霧前に加温される(外気温より高い温度に噴霧液が加温される)ことに加えて、スプレーガンによる噴霧工程中に、噴霧液の温度低下が圧縮気体によって抑制される。
【0066】
したがって、この方法によれば、噴霧液の気化し易さが、圧縮気体が加温される温度(圧縮気体の目標温度)が、噴霧液が加温される温度(噴霧液の目標温度)より低く場合より、向上する。
【0067】
よって、この方法によれば、外気温の高低を問わず、スプレーガンにより噴霧された噴霧液が目標表面に到達するまでにその噴霧液の実質的にすべてが気化することがより確実に実現される。
【0068】
(3) 前記気体加温工程が前記圧縮気体を加温する温度は、約50〜約70℃の範囲内にあり、
前記溶液加温工程が前記噴霧液を加温する温度は、約30〜約50℃の範囲内にある(2)項に記載の粒子塗布方法。
【0069】
(4) 前記気体加温工程は、前記スプレーガンの噴霧後における前記噴霧液の温度が、前記圧縮気体により、前記スプレーガンの噴霧前における温度より上昇しない高さに前記圧縮気体を加温する(1)ないし(3)項のいずれかに記載の粒子塗布方法。
【0070】
噴霧液が可燃性である場合がある。この場合、その噴霧液の温度が高いほど、その噴霧液は気化し易いが、その噴霧液の温度を高めると、その噴霧液の引火性・発火性が増してしまう。そのため、その噴霧液の温度を高めるにも限界がある。
【0071】
これに対し、本項に係る方法によれば、スプレーガンの噴霧前における圧縮気体が、スプレーガンの噴霧工程中における噴霧液の温度が、圧縮気体により、スプレーガンの噴霧前における噴霧液の温度より上昇しない高さに加温される。よって、スプレーガンの噴霧工程中に、噴霧液が圧縮気体によって加温されることが原因で、噴霧液の引火性・発火性が増加せずに済む。
【0072】
したがって、この方法によれば、スプレーガンの噴霧工程中に、噴霧液の引火性・発火性が増加することが防止されつつ、噴霧液の温度低下が抑制される。その結果、この方法によれば、噴霧液の気化し易さが、引火性・発火性を増すことなく、維持される。
【0073】
(5) 前記気体加温工程は、ヒータを用いて前記圧縮気体を加温し、
前記スプレーガンは、前記圧縮気体の流入を許可する流入許可状態と、阻止する流入阻止状態とに選択的に切り換わり、
当該粒子塗布方法は、さらに、
前記流入許可状態であるか前記流入阻止状態であるかを問わず、前記圧縮気体を前記ヒータに供給する気体供給工程と、
前記流入許可状態と前記流入阻止状態とのうち少なくとも前記流入阻止状態において、前記ヒータを通過した圧縮気体を大気に放出する気体放出工程と
を含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載の粒子塗布方法。
【0074】
この方法においては、スプレーガンによって噴霧されるべき圧縮気体がヒータによって加温される。
【0075】
ところで、ヒータからスプレーガンへの圧縮気体の流入が行われている間、圧縮気体の温度管理のため、コントローラがヒータのオンオフ状態を、圧縮気体の温度が許容範囲から逸脱しないように制御するのが通常である。
【0076】
そのコントローラは、通常、ヒータからスプレーガンへの圧縮気体の流入が阻止されるに至ると、ヒータをオフし、それにより、ヒータの使用が停止される。その後、そのヒータは、それを包囲している気体の流れがほぼ静止している状態で、大気に放熱し、それにより、ヒータが自然に冷却される。
【0077】
しかしながら、このようにヒータが自然に空冷される場合には、その空冷開始直後に一時的に、ヒータの温度が上昇してしまう可能性がある。ヒータの温度が、そのヒータの使用停止後に、その使用中より上昇する可能性があるのである。なぜなら、ヒータがオフされた直後に、そのヒータ周辺の気体の流れが静止すると、ヒータ内の熱が放出されずにヒータ内に蓄積されてしまうからである。
【0078】
一方、ヒータは、通常、発熱素子(例えば、ニクロム線)を用いて構成され、その発熱素子が高温状態に長時間維持されることは、発熱素子にとって望ましくない。発熱素子の寿命の低下につながるからである。したがって、ヒータからスプレーガンへの圧縮気体の流入が阻止された後には、ヒータをオフしたうえで、そのヒータの温度が速やかに下降するように工夫することが望ましい。
【0079】
これに対し、本項に係る方法によれば、スプレーガンが流入許可状態であるか流入阻止状態であるかを問わず、圧縮気体がヒータに供給されるとともに、スプレーガンの流入許可状態と流入阻止状態とのうち少なくとも流入阻止状態において、ヒータを通過した圧縮気体が大気に放出される。
【0080】
その結果、この方法によれば、スプレーガンの流入阻止状態(ヒータの使用停止状態)においては、ヒータによって加温されていないために外気温とほぼ等しい温度を有する圧縮気体がそのヒータを通過させられる。それにより、そのヒータは、その圧縮気体によって強制的に空冷される。
【0081】
したがって、この方法によれば、ヒータからスプレーガンへの圧縮気体の流入が阻止されると、ヒータが強制的に空冷され、それにより、そのヒータの温度が速やかに下降する。その結果、ヒータの使用停止後にそのヒータの温度上昇が抑制され、それにより、過熱に起因したヒータの寿命低下が抑制される。
【0082】
(6) 前記気体放出工程は、前記流入許可状態においては、前記ヒータを通過した前記圧縮気体のうち前記スプレーガンに流入しない部分を大気に放出し、一方、前記流入阻止状態においては、前記ヒータを通過した圧縮気体のすべてを大気に放出する(5)項に記載の粒子塗布方法。
【0083】
この方法を実施するために、例えば、ヒータに供給された圧縮気体をスプレーガンに供給するための出口ポートに加えて、その圧縮気体を大気に放出するための出口ポートをヒータに設置し、かつ、後者の出口ポートを常時開放しておけばよい。
【0084】
したがって、この方法によれば、前記(5)項に係る方法を実施するために必要な装置の構造を単純化することが容易となる。
【0085】
(7) 前記気体放出工程は、前記流入許可状態においては、前記ヒータを通過した前記圧縮気体を大気に放出しないが、前記流入阻止状態においては、前記ヒータを通過した前記圧縮気体のすべてを大気に放出する(5)項に記載の粒子塗布方法。
【0086】
この方法によれば、前記(6)項に係る方法とは異なり、スプレーガンの流入許可状態において、加温された圧縮気体の一部が無駄に大気に放出されずに済む。
【0087】
したがって、この方法によれば、スプレーガンの流入許可状態、すなわち、ヒータの使用中に、加温された圧縮気体が大気に漏れずに済むため、ヒータから発生した熱を有効に、スプレーガンに供給されるべき圧縮気体の加温に用いることが可能となる。
【0088】
(8) 前記噴霧工程は、前記スプレーガン内において前記複数の粒子を互いに同じ極性を有するように帯電させる帯電工程を含む(1)ないし(7)項のいずれかに記載の粒子塗布方法。
【0089】
この方法によれば、スプレーガンによって噴霧された複数の粒子がそれぞれ、互いに同じ極性に帯電させられるため、それら粒子が互いに静電気的に反発する。その結果、それら粒子が、飛行中に、互いに分散する傾向が、それら粒子がいずれも、正にも負にも帯電させられていない場合より強い。
【0090】
したがって、この方法によれば、目標表面に付着した複数の粒子の高密度化が容易となる。
【0091】
(9) 前記複数の粒子は、複数の光触媒粒子を含み、それら光触媒粒子は、それぞれの表面において、複数の金属銀粒子を担持している(1)ないし(8)項のいずれかに記載の粒子塗布方法。
【0092】
光触媒粒子は、抗菌効果を有し、同じ効果は、銀イオンも有する。一方、金属銀粒子は、継続的に銀イオンを放出する。
【0093】
以上の知見を前提として、本項に係る方法によれば、前記(1)ないし(8)項のいずれかに係る方法によって塗布される各光触媒粒子が、それの表面上に、複数の金属銀粒子を担持しているものとされる。
【0094】
したがって、この方法によれば、光触媒粒子の抗菌効果に加えて、金属銀粒子の抗菌効果が得られるため、全体として、抗菌効果が向上する。
【0095】
(10) 被塗物の表面に形成された塗膜を複数の粒子でコーティングする光触媒コーティング方法であって、
前記複数の粒子が分散状態で混入している揮発性の噴霧液を加温する溶液加温工程と、
圧縮気体を加温する気体加温工程と、
その加温された圧縮気体を、前記加温された噴霧液と一緒にスプレーガンに供給し、それにより、前記圧縮気体を用いて前記噴霧液を霧化して前記スプレーガンから噴射する噴霧工程であって、前記塗膜が半乾きの状態で、前記噴霧液を前記被塗物に向かって噴射し、それにより、前記複数の粒子を前記塗膜の表面に、各粒子が局部的に前記塗膜の表面に食い込むように塗布するものと
を含み、
前記溶液加温工程および前記気体加温工程は、前記スプレーガンから噴射された前記噴霧液が前記塗膜の表面に到達する前に前記噴霧液が実質的に全体として気化することを前記溶液加温工程および前記気体加温工程が互いに共同して実現する高さの温度に前記噴霧液および前記圧縮気体をそれぞれ加温する光触媒コーティング方法。
【0096】
この方法によれば、塗膜を複数の粒子でコーティングするために、塗膜を形成する塗装工程と、その塗膜を複数の粒子でコーティングするコーティング工程とが、時間的に互いに隔てて行われるのではなく、互いに連続して、すなわち、塗装工程が完了する前、すなわち、その塗装工程によって形成された塗膜が完全に乾燥する前に、コーティング工程が開始され、それにより、その半乾きの塗膜に複数の粒子が塗布されて食い込ませられる。
【0097】
したがって、この方法によれば、塗装工程とコーティング工程とが時間的に互いに隔てて行われる場合より、作業全体に必要な時間や手間が軽減される。
【0098】
さらに、この方法によれば、各粒子が塗膜に部分的に食い込む状態で塗布されるため、予めバインダで包囲された各粒子を完全に乾いた塗膜に塗布する場合より、各粒子が塗膜強固に付着する。したがって、この方法によれば、各粒子が塗膜に付着し続ける持続性および耐久性を容易に向上させ得る。
【0099】
(11) 複数の粒子を目標表面に吹き付けて塗布する粒子塗布装置であって、
前記複数の粒子が分散状態で混入している揮発性の噴霧液を加温する第1のヒータと、
前記噴霧液を霧化するための圧縮気体を加温する第2のヒータと、
前記加温された噴霧液が、前記加温された圧縮気体と一緒に供給されるスプレーガンであって、前記圧縮気体を用いて前記噴霧液を霧化して噴射するものと
を含み、
前記第1および第2のヒータは、前記スプレーガンから噴射された前記噴霧液が前記目標表面に到達する前に前記噴霧液が実質的に全体として気化することを前記第1および第2のヒータが互いに共同して実現する高さの温度に前記噴霧液および前記圧縮気体をそれぞれ加温する粒子塗布装置。
【0100】
(12) さらに、前記第2のヒータによって加温された前記圧縮気体が前記第2のヒータから流出することを可能にする第1および第2の出口ポートを含み、
前記第1の出口ポートからは、前記第2のヒータからの前記圧縮気体が前記スプレーガンに向かって流出し、一方、前記第2の出口ポートからは、前記第2のヒータからの前記圧縮気体が大気に放出される(11)項に記載の粒子塗布装置。
【0101】
この装置によれば、前記(5)または(6)項に係る方法が好適に実施される。
【0102】
(13) さらに、前記第2の出口ポートを、前記流入許可状態においては、閉じ、一方、前記流入阻止状態においては、開くように作動するバルブを含む(12)項に記載の粒子塗布装置。
【0103】
本項において、「バルブ」は、例えば、手動操作弁としたり、電磁操作弁としたり、パイロット操作切換弁として構成することが可能である。
【0104】
(14) 複数の粒子を目標表面に吹き付けて塗布する粒子塗布方法であって、
前記複数の粒子が分散状態で混入している揮発性の噴霧液を加温する溶液加温工程と、
ヒータを用いて圧縮気体を加温する気体加温工程と、
その加温された圧縮気体を、前記加温された噴霧液と一緒にスプレーガンに供給し、それにより、前記圧縮気体を用いて前記噴霧液を霧化して前記スプレーガンから噴射する噴霧工程と
を含む粒子塗布方法。
【0105】
(15) 複数の粒子を目標表面に吹き付けて塗布する粒子塗布方法であって、
前記複数の粒子が分散状態で混入している揮発性の噴霧液を加温する溶液加温工程と、
ヒータを用いて圧縮気体を加温する気体加温工程と、
その加温された圧縮気体を、前記加温された噴霧液と一緒にスプレーガンに供給し、それにより、前記圧縮気体を用いて前記噴霧液を霧化して前記スプレーガンから噴射する噴霧工程であって、前記スプレーガンは、前記圧縮気体の流入を許可する流入許可状態と、阻止する流入阻止状態とに選択的に切り換わるものと、
前記スプレーガンが前記流入許可状態にあるか前記流入阻止状態にあるかを問わず、前記圧縮気体を前記ヒータに供給する気体供給工程と、
前記スプレーガンが前記流入許可状態と前記流入阻止状態とのうち少なくとも前記流入阻止状態にある場合に、前記ヒータを通過した圧縮気体を大気に放出する気体放出工程と
を含む粒子塗布方法。
【0106】
この方法によれば、前記(5)項に係る方法と基本的に同じ原理に従い、基本的に同じ効果が得られる。
【0107】
本発明によれば、さらに、下記の態様も得られる。
【0108】
(態様1) 被塗物の目標表面に複数の粒子を吹き付けて塗布する粒子塗布装置であって、
前記複数の粒子が揮発性溶媒中に分散状態で混入している揮発性の溶液を収容するタンクと、
そのタンク内に収容されている溶液内に複数のマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生装置と、
前記複数のマイクロバブルが混入された前記溶液を加温する溶液加温装置と、
その加温された溶液が供給されると、その溶液を噴霧するスプレーガンと
を含み、
そのスプレーガンは、
前記加温された溶液であって前記複数のマイクロバブルが混入されているものを噴霧液として噴射する噴霧液噴射口と、
その噴霧液噴射口から噴射された噴霧液の進行方向に進むにつれて拡径する円錐面を拡散面として有し、前記噴霧液噴射口から噴射された噴霧液が前記拡散面を通過させられると、その拡散面上に形成される噴霧液層を前記拡散面によって薄膜化し、それにより、前記噴霧液が前記拡散面を通過する途中で前記噴霧液内の前記複数のマイクロバブルを破裂させるデフューザと、
圧縮気体を加温する圧縮気体用ヒータと、
その加温された圧縮気体を前記噴霧空間内に噴射し、その噴射された圧縮気体と、前記噴霧液噴射口から噴射された噴霧液とを合流させ、それにより、前記噴霧液噴射口から噴射された噴霧液の霧化を促進する圧縮気体噴射口と、
前記噴霧空間を側方から包囲する周辺空間より高温である温風を、前記噴霧空間を側方から包囲する環状断面を有する温風シールドが形成されるように噴射し、それにより、前記噴霧空間内の保温を促進し、それにより、前記噴霧液内の揮発成分が前記目標表面に到達する前に気化し、前記複数の粒子が、互いに凝集することなく、互いに分散して空気中を浮遊する状態で前記目標表面に到達することを促進する温風シールド形成装置と
を含む粒子塗布装置。
【0109】
(態様2) 前記複数の粒子は、それぞれの表面上に露出する状態で金属銀粒子を担持している態様1に記載の粒子塗布装置。
【0110】
(態様3) 被塗物の目標表面に複数の粒子を吹き付けて塗布する粒子塗布方法であって、
前記複数の粒子が揮発性溶媒中に分散状態で混入している揮発性の溶液であってタンク内に収容されているものに複数のマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生工程と、
前記複数のマイクロバブルが混入された前記溶液を加温する溶液加温工程と、
その加温された溶液をスプレーガンに供給する供給工程と
を含み、
そのスプレーガンは、噴霧液噴射口と、デフューザと、圧縮気体噴射口と、温風シールド形成装置とを有し、
当該方法は、さらに、
前記スプレーガンに供給された前記加温された溶液であって前記複数のマイクロバブルが混入されているものを前記噴霧液噴射口から噴霧液として噴射し、その噴射された噴霧液を、その噴霧液の進行方向に進むにつれて拡径する円錐面を拡散面として有する前記デフューザのその拡散面を通過させることにより、その拡散面上に形成される噴霧液層を薄膜化し、それにより、前記噴霧液が前記拡散面を通過する途中で前記噴霧液内の前記複数のマイクロバブルを破裂させる噴霧液噴射工程と、
圧縮気体を加温し、その加温された圧縮気体を前記圧縮気体噴射口から前記噴霧空間内に噴射し、それにより、その噴射された圧縮気体と、前記噴霧液噴射口から噴射された噴霧液とを合流させ、それにより、前記噴霧液の霧化を促進する圧縮気体噴射工程と、
前記温風シールド形成装置により、前記噴霧空間を側方から包囲する周辺空間より高温である温風を、前記噴霧空間を側方から包囲する環状断面を有する温風シールドが形成されるように噴射し、それにより、前記噴霧空間内の保温を促進し、それにより、前記噴霧液内の揮発成分が前記目標表面に到達する前に気化し、前記複数の粒子が、互いに凝集することなく、互いに分散して空気中を浮遊する状態で前記目標表面に到達することを促進する温風シールド形成工程と
を含む粒子塗布方法。
【0111】
(態様4) 前記複数の粒子は、それぞれの表面上に露出する状態で金属銀粒子を担持している態様3に記載の粒子塗布方法。
【0112】
(態様5) 複数の粒子を目標表面に吹き付けて塗布する粒子塗布装置であって、
前記複数の粒子が揮発性溶媒中に分散状態で混入している噴霧液を第1の温度に加温する第1のヒータと、
圧縮気体を前記第1の温度以上である第2の温度に加温する第2のヒータと、
前記加温された噴霧液が、前記加温された圧縮気体と一緒に供給されると、その圧縮気体を用いて前記噴霧液を噴霧空間内に噴霧するスプレーガンと
を含み、
そのスプレーガンは、
前記第2のヒータと当該スプレーガンとの間に設けられ、前記第2のヒータから供給される前記圧縮気体の一部を当該スプレーガンに供給し、別の一部を大気に放出するヒータ安全装置と、
前記噴霧空間内に、前記加温された噴霧液を噴射する噴霧液噴射口と、
前記噴霧空間内に、前記加温された圧縮気体を噴射する圧縮気体噴射口と、
前記スプレーガンを正面から見た場合に、前記噴霧液噴射口および前記圧縮気体噴射口から側方に外れた位置に配置され、前記噴霧空間を側方から包囲する周辺空間より高温である温風を前方に噴射し、それにより、前記噴霧空間を側方から包囲する環状断面を有する温風シールドを形成する温風噴射口と
を含む粒子塗布装置。
【0113】
(態様6) 複数の粒子を目標表面に吹き付けて塗布する粒子塗布装置であって、
前記複数の粒子が揮発性溶媒中に分散状態で混入している噴霧液を第1の温度に加温する第1のヒータと、
圧縮気体を前記第1の温度以上である第2の温度に加温する第2のヒータと、
前記加温された噴霧液が、前記加温された圧縮気体と一緒に供給されると、その圧縮気体を用いて前記噴霧液を噴霧空間内に噴霧するスプレーガンと
を含み、
そのスプレーガンは、
前記噴霧空間内に、前記加温された噴霧液を噴射する噴霧液噴射口と、
前記噴霧空間内に、前記加温された圧縮気体を噴射する圧縮気体噴射口と、
前記スプレーガンを正面から見た場合に、前記噴霧液噴射口および前記圧縮気体噴射口から側方に外れた位置に配置され、前記噴霧空間を側方から包囲する周辺空間より高温である温風を前方に噴射し、それにより、前記噴霧空間を側方から包囲する環状断面を有する温風シールドを形成する温風噴射口と、
前記第2のヒータと前記圧縮気体噴射口との間に設けられ、前記加温された圧縮気体の一部を前記圧縮気体噴射口に供給する第1通路と、
前記第2のヒータと前記温風噴射口との間に設けられ、前記加温された圧縮気体の別の一部を前記温風噴射口に供給する第2通路と
を含む粒子塗布装置。
【0114】
(態様7) 前記第1の温度は、30℃〜50℃の範囲内にあり、
前記第2の温度は、50℃〜70℃の範囲内にある態様5または6に記載の粒子塗布装置。
【0115】
(態様8) 前記スプレーガンの噴霧後における前記噴霧液の温度は、前記スプレーガンの噴霧前における温度より上昇しない態様5ないし7のいずれかに記載の粒子塗布装置。