特許第6563586号(P6563586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563586針を捻り送りする組織閉塞装置およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563586
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】針を捻り送りする組織閉塞装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/062 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   A61B17/062
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-511219(P2018-511219)
(86)(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公表番号】特表2018-526105(P2018-526105A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016053790
(87)【国際公開番号】WO2017058729
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年2月28日
(31)【優先権主張番号】62/234,416
(32)【優先日】2015年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】レイビン、サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】マケルウィー、ケビン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデン、ジョン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤゲルスキ、マシュー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】トン、レイ ヘウェンソン
(72)【発明者】
【氏名】スオン、ナローン
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0277768(US,A1)
【文献】 特表2013−525083(JP,A)
【文献】 特表2012−515636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/062
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部から第2の端部まで長手方向に延びる針と、
遠位端から近位端まで延びる縫合糸であって、当該縫合糸の遠位端は、前記針に取り付けられ、当該縫合糸の近位端は、組織閉塞装置の近位端へ延びる、前記縫合糸と、
内部を長手方向に延びる近位スロットと、第1の姿勢において、前記近位スロット内の前記針の第1の端部を前記近位スロットに対し解除可能に係止するための近位ロック機構とを含む近位ヘッドと、
前記近位ヘッドとの間に標的組織を受け入れる開放姿勢と、前記近位ヘッドとの間で前記標的組織を把持する閉塞姿勢との間で互いに相対移動するように前記近位ヘッドに対し移動可能に連結される遠位ヘッドと、を備え、前記遠位ヘッドは、当該遠位ヘッドの内部を長手方向に延びる遠位スロットと、第2の姿勢において、前記遠位スロット内にある前記針の第2の端部を前記遠位スロットに対し解除可能に係止するための遠位ロック機構とを含み、前記針は、前記近位ヘッドと前記遠位ヘッドとが閉塞姿勢にあるときに、前記近位ヘッドおよび前記遠位ヘッドに対して、当該針の長手軸周りに相対回転することにより、前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間で動き、前記縫合糸を前記標的組織に縫い付けるために、前記近位ヘッドと前記遠位ヘッドとの間を交互に往来する、組織閉塞装置。
【請求項2】
前記近位ロック機構および前記遠位ロック機構の各々は、径方向に対向した一対の係止構造体を含む、請求項1に記載の組織閉塞装置。
【請求項3】
前記近位ロック機構および前記遠位ロック機構の各々の前記径方向に対向した一対の係止構造体は、互いにほぼ長手方向に整合されている、請求項2に記載の組織閉塞装置。
【請求項4】
前記径方向に対向した一対の係止構造体は、前記近位スロットおよび前記遠位スロット内に延びる突起を含む、請求項2または3に記載の組織閉塞装置。
【請求項5】
前記第1の端部は、当該第1の端部のテーパ部の遠位直近にある第1の溝と、第1の一対の平坦面とを含み、前記第1の一対の平坦面は、当該第1の一対の平坦面が前記第1の溝と面一となるように第1の端部の一部に沿って延びており、前記第1の溝は、前記第1の姿勢において前記近位ロック機構と係止可能である、請求項1から4のいずれか1項に記載の組織閉塞装置。
【請求項6】
前記第2の端部は、当該第2の端部のテーパ部の近位直近にある第2の溝と、第2の一対の平坦面とを含み、前記第2の一対の平坦面は、当該第2の一対の平坦面が前記第2の溝と面一になるように前記第2の端部の一部に沿って延びており、前記第2の溝は、前記第2の姿勢において前記遠位ロック機構と係止可能である、請求項5に記載の組織閉塞装置。
【請求項7】
前記第1の一対の平坦面および前記第2の一対の平坦面は、前記針の前記長手軸周りに互いに偏倚している、請求項6に記載の組織閉塞装置。
【請求項8】
前記遠位ヘッドと前記近位ヘッドとは、前記遠位ヘッドから近位に延びて、前記近位ヘッドを通って長手方向に延びる開口内に摺動可能に受け入れられる接続要素によって、互いに移動可能に連結される、請求項1から7のいずれか1項に記載の組織閉塞装置。
【請求項9】
前記針を第1の姿勢と第2の姿勢との間で回転させるための駆動要素をさらに備え、前記駆動要素は、前記針の第1の端部に係止するように構成された遠位端を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の組織閉塞装置。
【請求項10】
内部を作動チャネルが延びる挿入装置と、
前記作動チャネルを介して生体内の標的部位に挿入される大きさおよび形状に形成された閉塞装置と、を備え、前記閉塞装置は、
第1の端部から第2の端部まで長手方向に延びる針と、
遠位端から近位端まで延びる縫合糸であって、当該縫合糸の遠位端は、前記針に取り付けられ、当該縫合糸の近位端は、組織閉塞装置の近位端へ延びる、前記縫合糸と、
近位端から遠位端まで延び、かつ、内部をルーメンが延びている長尺部材と、
前記長尺部材の遠位端に取り付けられ、内部を長手方向に延びる近位スロットと、第1の姿勢において、前記近位スロット内の前記針の第1の端部を前記近位スロットに対し解除可能に係止するための近位ロック機構とを含む近位ヘッドと、
前記近位ヘッドとの間に標的組織を受け入れる開放姿勢と、前記近位ヘッドとの間で前記標的組織を把持する閉塞姿勢との間で互いに相対移動するように前記近位ヘッドに対し移動可能に連結され、内部を長手方向に延びる遠位スロットと、第2の姿勢において、前記遠位スロット内にある前記針の第2の端部を前記遠位スロットに対し解除可能に係止するための遠位ロック機構とを含む遠位ヘッドと、
前記近位ヘッドと前記遠位ヘッドとが閉塞姿勢にあるときに、前記近位ヘッドおよび前記遠位ヘッドに対して、前記針を当該針の長手軸周りに相対回転することにより、前記針を前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間で動かす駆動要素とを含み、前記針は、前記縫合糸を前記標的組織に縫い付けるために、前記近位ヘッドと前記遠位ヘッドとの間を交互に往来する、組織を治療するためのシステム。
【請求項11】
前記近位ロック機構および前記遠位ロック機構の各々は、径方向において対向する一対の係止構造体を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記近位ロック機構および前記遠位ロック機構の各々の前記径方向に対向した一対の係止構造体は、互いにほぼ長手方向に整合されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記径方向に対向した一対の係止構造体は、前記近位スロットおよび前記遠位スロット内に延びる突起を含む、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の端部は、当該第1の端部のテーパ部の遠位直近にある第1の溝と、第1の一対の平坦面とを含み、前記第1の一対の平坦面は、当該第1の一対の平坦面が前記第1の溝と面一となるように第1の端部の一部に沿って延びており、前記第1の溝は、前記第1の姿勢において前記近位ロック機構と係止可能であり、前記第2の端部は、当該第2の端部のテーパ部の近位直近にある第2の溝と、第2の一対の平坦面とを含み、前記第2の一対の平坦面は、当該第2の一対の平坦面が前記第2の溝と面一になるように前記第2の端部の一部に沿って延びており、前記第2の溝は、前記第2の姿勢において前記遠位ロック機構と係止可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の一対の平坦面および前記第2の一対の平坦面は、前記針の前記長手軸周りに互い偏倚している、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織閉塞装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医師は、例えば、より大きな病変(例えば癌の塊)の除去、粘膜下の組織を治療するための消化管(gastrointestinal:GI管)の粘膜層下トンネリング、組織の全層除去、消化管からの穿通および通過による他の器官における病変の治療、および術後の傷(例えば術後の漏出、外科用ステープルラインの損壊、吻合部の漏出)の内視鏡治療/修復を含むより積極的な内視鏡手術および内視鏡治療手技の実施に益々前向きになってきている。これらの手技は、消化管の壁を穿孔する危険性を増大することがあり、すなわち、前記手技の一部として消化管壁に形成された開口の閉塞を必要とする場合がある。内視鏡閉塞具は、病院のコストを削減し、患者に恩恵を与えることができる。一方、従来の組織を閉塞するための装置は、特定の状態において使用が困難であり、また時間を要することがある。加えて、従来の装置は、特定の穿孔を閉塞するため、または例えばGI管内に形成された大きな傷のような特定の状態および解剖学的組織を治療するためには不十分な場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は組織閉塞装置およびシステムに関連し、前記組織閉塞装置は、第1の端部から第2の端部まで長手方向に延びる針と、遠位端から近位端まで延びる縫合糸であって、当該縫合糸の遠位端は、前記針に取り付けられ、当該縫合糸の近位端は、組織閉塞装置の近位端へ延びる、前記縫合糸と、内部を長手方向に延びる近位スロットと、第1の姿勢において、前記近位スロット内の前記針の第1の端部を前記近位スロットに対し解除可能に係止するための近位ロック機構とを含む近位ヘッドと、前記近位ヘッドとの間に標的組織を受け入れる開放姿勢と、前記近位ヘッドとの間で前記標的組織を把持する閉塞姿勢との間で互いに相対移動するように前記近位ヘッドに対し移動可能に連結される遠位ヘッドと、を備えている。前記遠位ヘッドは、当該遠位ヘッドの内部を長手方向に延びる遠位スロットと、第2の姿勢において、前記遠位スロット内にある前記針の第2の端部を前記遠位スロットに対し解除可能に係止するための遠位ロック機構を含み、前記針は、前記近位ヘッドと前記遠位ヘッドとが閉塞姿勢にあるときに、前記近位ヘッドおよび前記遠位ヘッドに対して、当該針の長手軸周りに相対回転することにより、第1の姿勢と第2の姿勢との間で動き、前記縫合糸を標的組織に縫い付けるために、前記近位ヘッドと前記遠位ヘッドとの間を交互に往来する。
【0004】
一態様において、前記近位ロック機構および前記遠位ロック機構の各々は、径方向に対向した一対の係止構造体を含んでいてもよい。
一態様において、前記近位ロック機構および前記遠位ロック機構の各々の前記径方向に対向した一対の係止構造体は、互いにほぼ長手方向に整合されていてもよい。
【0005】
一態様において、前記径方向に対向した一対の係止構造体は、前記近位スロットおよび前記遠位スロット内に延びる突起を含んでいてもよい。
一態様において、前記第1の端部は、当該第1の端部のテーパ部の遠位直近にある第1の溝と、第1の一対の平坦面とを含んでいてもよく、前記第1の一対の平坦面は、当該第1の一対の平坦面が前記第1の溝と面一となるように第1の端部の一部に沿って延びており、前記第1の溝は、前記第1の姿勢において前記近位ロック機構と係止可能である。
【0006】
一態様において、前記第2の端部は、テーパ部の近位直近にある第2の溝と、第2の一対の平坦面とを含んでいてもよく、前記第2の一対の平坦面は、当該第2の一対の平坦面が前記第2の溝と面一になるように前記第2の端部の一部に沿って延びており、前記第2の溝は、前記第2の姿勢において前記遠位ロック機構と係止可能である。
【0007】
一態様において、前記第1の一対の平坦面および前記第2の一対の平坦面は、前記針の長手軸周りに互いに偏倚していてもよい。
一態様において、前記遠位ヘッドと前記近位ヘッドとは、前記遠位ヘッドから近位に延びて、前記近位ヘッドを通って長手方向に延びる開口内に摺動可能に受け入れられる接続要素によって、互いに移動可能に連結されていてもよい。
【0008】
一態様において、前記装置は、前記針を第1の姿勢と第2の姿勢との間で回転させるための駆動要素をさらに備えてもよく、前記駆動要素は、前記針の第1の端部を係止するように構成された遠位端を含む。
【0009】
本発明はまた、内部を作動チャネルが延びる挿入装置と、前記作動チャネルを介して生体内の標的部位に挿入される大きさおよび形状に形成された閉塞装置とを備える組織を治療するためのシステムにも関する。前記閉塞装置は、第1の端部から第2の端部まで長手方向に延びる針と、遠位端から近位端まで延びる縫合糸であって、当該縫合糸の遠位端は、前記針に取り付けられ、当該縫合糸の近位端は、組織閉塞装置の近位端へ延びる、前記縫合糸と、近位端から遠位端まで延び、かつ、内部をルーメンが延びている長尺部材と、前記長尺部材の遠位端に取り付けられ、内部を長手方向に延びる近位スロットと、第1の姿勢において、前記近位スロット内の前記針の第1の端部を前記近位スロットに対し解除可能に係止するための近位ロック機構とを含む近位ヘッドと、前記近位ヘッドとの間に標的組織を受け入れる開放姿勢と、前記近位ヘッドとの間に標的組織を把持する閉塞姿勢との間で互いに相対移動可能となるように前記近位ヘッドに対し移動可能に連結され、内部を長手方向に延びる遠位スロットと、第2の姿勢において、前記遠位スロット内にある前記針の第2の端部を前記遠位スロットに対し解除可能に係止するための遠位ロック機構を含む遠位ヘッドと、前記近位ヘッドと前記遠位ヘッドとが閉塞姿勢にあるときに、前記近位ヘッドおよび前記遠位ヘッドに対して、前記針を当該針の長手軸周りに相対回転することにより、前記針を前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間で動かす駆動要素とを含み、前記針は、前記縫合糸を標的組織に縫い付けるために、前記近位ヘッドと前記遠位ヘッドとの間を交互に往来する。
【0010】
一態様において、前記近位ロック機構および前記遠位ロック機構の各々は、径方向に対向した一対の係止構造体を含んでいてもよい。
一態様において、前記近位ロック機構および前記遠位ロック機構の各々の前記径方向に対向した一対の係止構造体は、ほぼ長手方向において互いに整合されていてもよい。
【0011】
一態様において、前記径方向に対向した一対の係止構造体は、前記近位スロットおよび前記遠位スロット内に延びる突起を含んでいてもよい。
一態様において、前記第1の端部は、当該第1の端部のテーパ部の遠位直近にある第1の溝と、第1の一対の平坦面とを含んでいてもよく、前記第1の一対の平坦面は、当該第1の一対の平坦面が前記第1の溝と面一となるように第1の端部の一部に沿って延びており、前記第1の溝は、前記第1の姿勢において前記近位ロック機構と係止可能である。第2の端部は、テーパ部の近位直近にある第2の溝と、第2の一対の平坦面とを含んでいてもよく、前記第2の一対の平坦面は、当該第2の一対の平坦面が前記第2の溝と面一になるように前記第2の端部の一部に沿って延びており、前記第2の溝は、前記第2の姿勢において前記遠位ロック機構と係止可能である。
【0012】
一態様において、前記第1の一対の平坦面および前記第2の一対の平坦面は、前記針の長手軸周りに互いに偏倚していてもよい。
本発明はまた、挿入装置の作動チャネルを介して装置を患者体内の標的領域に挿入する工程と、治療されるべき組織欠損部位の周縁の周囲の第1の標的組織が前記装置の遠位ヘッドと近位ヘッドとの間に受け入れられるように前記装置を位置決めする工程と、針の第1の端部が近位ロック機構によって前記近位ヘッドの近位スロット内に解除可能にロックされていて、前記針の第2の端部が第1の標的組織を刺通して、遠位ヘッドから延出する遠位スロット内に受け入れられるように、前記遠位ヘッドと近位ヘッドとを互いに対向させて長手方向に移動させる工程と、前記針の第1の端部が前記近位ヘッドからロック解除されるとともに前記針の第2の端部が遠位ロック機構によって前記遠位スロット内に解除可能にロックされるように、前記針を前記近位ヘッドに対して当該針の長手軸周りに相対回転させる工程と、前記針が第1の標的組織から延出するように、前記遠位ヘッドおよび近位ヘッドを互いに離反するように長手方向に移動させる工程と、前記針に取り付けられた縫合糸を第1の標的組織に縫い付ける工程とを備えた、組織欠損部位を治療するための方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的な実施形態に従ったシステムの斜視図。
図2図1のシステムに従った装置の長手方向側面図。
図3図1の装置の斜視図。
図4図1の装置の一部の斜視図。
図5】針が近位ロック機構によってロックされている開放姿勢にある図1の装置の長手方向断面図。
図6】針が近位ロック機構によってロックされている閉塞姿勢にある図1の装置の長手方向断面図。
図7】針が遠位ロック機構によってロックされている閉塞姿勢にある図1の装置の長手方向断面図。
図8】針が遠位ロック機構によってロックされている開放姿勢にある図1の装置の長手方向断面図。
図9図1の装置の針の斜視図。
図10図1の装置の駆動要素の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の説明および添付された図面を参照してさらに理解され得る。前記図面において同様要素は同一の参照番号で参照される。本発明は組織の治療のための装置、特に内視鏡的組織治療装置に関する。本発明の例示的な実施形態は、例えば組織開口のような組織欠損部位を治療するための装置の近位ヘッドと遠位ヘッドとの間にある標的組織内に針および縫合糸を貫通させるためのシステムについて説明する。具体的には、前記針は、前記装置の近位ヘッドと遠位ヘッドとの間で交互に前記標的組織を長手方向に貫通して、前記組織欠損部位の周縁に沿って縫い付けられる。前記針は、前記針を近位ヘッドおよび遠位ヘッドに対して回転させることにより、前記近位ヘッドと前記遠位ヘッドとに交互にロックされる。前記針および縫合糸が前記組織欠損部位全体の周囲に所望のパターンで縫い付けたならば、前記縫合糸は前記組織欠損部位を閉塞姿勢に締め付けるために張力を掛けられ得る。「近位」および「遠位」という用語は、装置の使用者に向かう方向(近位)および使用者から離れる方向(遠位)を指すものとすることに注意しなければならない。
【0015】
図1から図10に示すように、本発明の例示的な実施形態に従った組織閉塞システム100は、針104および縫合糸106を組織欠損部位10の周縁12の周囲に延びる組織に貫通させて、組織欠損部位10を締め付けて閉塞するために、挿入装置170を介して(例えば可撓性内視鏡の作動チャネルを通して)生体内の標的領域に挿入するための大きさおよび形状に形成された可撓性閉塞装置102を含む。閉塞装置102は、長尺部材108と、長尺部材108に対して長手方向に移動可能な遠位ヘッド110とを含む。長尺部材108の遠位端114は、遠位ヘッド110と近位ヘッド116との間の空間112に標的組織が受け入れられ得るように、当該長尺部材108に装着または取り付けられた近位ヘッド116を備える。針104は、縫合糸106を組織欠損部位の周縁の周囲に縫い付けるために、近位ヘッド116と遠位ヘッド110との間を往来する。近位ヘッド116は、第1の姿勢において針104の第1の端部122を解除可能にロックするための近位ロック機構118を含み、一方、遠位ヘッド110は、第2の姿勢において針104の第2の端部124を解除可能にロックするための遠位ロック機構120を含む。針104は、駆動要素としてのアクチュエータ130によって、針104を長尺部材108に対して、針の長手軸周りに回転させることにより、第1の姿勢と第2の姿勢との間を交互に動き得る。
【0016】
第1の姿勢において、針104は、近位ヘッド116に係止されており、遠位ヘッド110を近位ヘッド116に向けて移動させることにより、針104は、空間112内に受け入れられた標的組織内に挿入されてもよい。近位ヘッド116に対する遠位ヘッド110の近位方向の移動により、組織は、針104に対して相対的に近位に押し付けられ、針104は、標的組織の近位表面から遠位表面まで標的組織内に押し込まれる。遠位ヘッド110が近位ヘッド116に対向して移動するに連れて、針104の第2の端部124は、遠位ロック機構120内に受け入れられる。次いで針104は、長尺部材108および遠位ヘッド110に対して相対回転し、その結果、近位ロック機構118から解放され、遠位ロック機構120に係止する第2の姿勢に動く。次いで遠位ヘッド110は、近位ヘッド116に対して遠位に相対移動されて、針104に取り付けられた縫合糸106を引っ張り、前記標的組織内に通す。次いで閉塞装置102は、前記組織欠損部位の周縁に沿った標的組織の隣接部分が空間112内に受け入れられるように、前記組織欠損部位の周縁に沿って再度位置決めされ得る。ここで遠位ヘッド110は、針104と縫合糸106とが、今度の方向は近位から遠位に向かう移動ではあるが、同様に前記標的組織の隣接部分を貫通し得るように、もう一度近位ヘッド116に向かって移動され得る。針104が近位ロック機構118内に再び受け入れられた場合、針104は、遠位ロック機構120から解除されて、近位ロック機構118に係止するように回転され、閉塞装置102を第1の姿勢に動かす。針104が挿入されるべき次の位置まで前記組織欠損部位の周縁に沿う新たな位置への装置102の移動は、縫合糸106を引っ張り、前記組織を通す。このプロセスは、前記組織欠損部位の全周縁に縫合糸106が縫い付けられるまで、閉塞装置102を再度位置決めし、針104を第1の姿勢と第2の姿勢との間で交互に移行させることにより繰り返し得る。縫合糸106の全周縁が前記組織欠損部位に隣接した所望の数の位置を通って縫い付けると、針104は、閉塞装置102から解除されて、アンカーとして作用する。次いで縫合糸106は、前記組織欠損部位の端縁を引き寄せるために張力を掛けられ、前記組織欠損部位を締め付けて閉塞する。
【0017】
長尺部材108は、近位端(図示せず)から遠位端114まで長手方向に延び、かつ内部に延びるルーメン136を含む。一実施形態において、近位ヘッド116は長尺部材108の遠位端114に取り付けられていてもよく、または装着されていてもよい。別の実施形態において、近位ヘッド116は、遠位端114と一体的に形成されていてもよい。近位ヘッド116は、内部に長手方向に延びるスロット126を含み、スロット126は針104の第1の端部122を受け入れる大きさおよび形状に形成されている。スロット126は、例えば近位ヘッド116の全長を貫通していてもよい。近位ロック機構118は、第1の姿勢において針104の一部に係止するためにスロット126内に横向きに延びる一対の径方向に対向した突起128として構成されていてもよい。長尺部材108はまた、縫合糸106の一部を内部に受け入れるために、その外面134に沿って延びる長手溝132を含んでいてもよい。縫合糸106は、溝132に沿って延びていてもよい。
【0018】
遠位ヘッド110は、当該遠位ヘッド110から近位に延びる接続要素138によって、長尺部材108に移動可能に連結されている。接続要素138は、遠位ヘッド110を近位ヘッド116に対し接離するように移動させるため、接続要素138を長尺部材108に対して長手方向に相対移動され得るように、近位ヘッド116を貫通する開口140を通り、長尺部材108のルーメン136を通り、使用者にアクセス可能な近位端まで摺動可能に受け入れられ得る。特に、長尺部材108に対して相対的に遠位にある接続要素138は、遠位ヘッド110を近位ヘッド116から遠位に移動し、遠位ヘッド110と近位ヘッド116との間の空間112を増大する。長尺部材108に対する接続要素138の近位への相対移動は、遠位ヘッド110を近位ヘッド116対向させて近位側に引っ張り、遠位ヘッド110と近位ヘッド116との間の空間112を減少する。
【0019】
近位ヘッド116と同様に、遠位ヘッド110は、当該遠位ヘッド110の内部を長手方向に延びるスロット144を含み、スロット144は、当該スロット144の内部に針104の第2の端部124を受け入れるような大きさおよび形状に形成される。この実施形態に従ったスロット144は、例えば、遠位ヘッド110の全長を貫通する。第2の姿勢において針104の一部と係止するために、スロット144内に横向きに延びる一対の径方向に対向した突起146で、遠位ロック機構120が構成されていてもよい。近位ヘッド116のスロット126および遠位ヘッド110のスロット144は、針104が以下でさらに詳述するようにスロット126,144内に交互に受け入れられ、またはロックされ、あるいは受け入れられるとともにロックされ得るように、(例えば、同軸上に延びて)互いに整合され得る。近位ヘッド116および遠位ヘッド110の対向した突起128,146は、対応して、それぞれ互いに整合され得る。近位ヘッド116および遠位ヘッド110の各々はまた、両ヘッド間の空間112内に受け入れられる組織を把持するための、例えば歯164,166のような組織把持機構をそれぞれ含んでいてもよい。
【0020】
針104は、第1の端部122から第2の端部124まで長手方向に延びている。第1の端部122および第2の端部124の各々は、針104が近位ヘッド116と遠位ヘッド110との間を往来する際に、端部122,124が組織を刺通し得るように、テーパ状をなしている。針104はまた、縫合糸106を針104に取り付けるために該針を横向きに貫通する孔156を含んでいてもよい。孔156は、例えば第1の端部122および第2の端部124から等距離の針104の長さに沿った地点を通って延びていてもよい。しかしながら、縫合糸106を針104に取り付けるために縫合糸106の遠位端が孔156に通され得る限り、孔156は針104のいかなる部分を通って横向きに延びていてもよい。特に縫合糸106は、孔156に通されてから、縫合糸106の遠位端が前記孔から離脱するのを防止するために結ばれていてもよい。
【0021】
テーパ状の第1の端部122の遠位直近において、針104は、当該遠位直近の周囲に延びる第1の周溝148を含む。しかしながら、テーパ状の第1の端部122は、当該第1の端部122に沿って延びる一対の平坦面150(図7から図9を参照)も含んでおり、各平坦面150は、第1の溝148が、第1の端部122の当該平坦面150が沿って延びている部分と面一になるように、第1の端部122に沿って、互いに対向する側で延びている。このように、針104の各平坦面150が近位ヘッド116のスロット126内において一対の突起128と位置合わせされる(例えば、対向する)第1の位置においては、各平坦面150と第1の溝148とは突起128と係止していないので、針104の第1の端部122はスロット126内において摺動可能である。一方、針104が、当該針104の長手軸周りに約90度回転した第2の位置においては、第1の溝148が一対の突起128に係止して、針104の第1の端部122を近位ヘッド116にロックする。
【0022】
同様に、テーパ状の第2の端部124の近位直近において、針104は、当該針104の周囲に延びる第2の周溝152を含む。テーパ状の第2の端部124はまた、当該第2の端部124に沿って延びる一対の平坦面154を含む。各平坦面154は、第2の溝152が、第2の端部124の当該平坦面150が沿って延びている部分と面一になるように、第2の端部124に沿って互いに対向する側で延びている。第2の端部124の平坦面154は、第1の端部122の平坦面150から約90度偏倚しており、針が第1の位置にある場合、上述したように第1の端部122が近位ヘッド116のスロット126内では摺動可能である(例えば、ロック解除されている)反面、遠位ヘッド110のスロット142内においてロックされるようになっている。換言すると、第1の位置において、遠位ヘッド110の突起146は、第2の溝152に係止する。針104が当該針104の長手軸周りに第2の位置へ回転されると、各平坦面154は、突起146に臨むように移動され、第2の溝152が突起146から離脱して遠位ヘッド110に対する針104のロックが解除されるようになっている。
【0023】
例示的な実施形態は、それぞれ互いに整合された近位ヘッド116および遠位ヘッド110内の突起128,146と、針104の第1の端部122と第2の端部124に沿う、それぞれ互いに偏倚された平坦面150,154とを図示して説明しているが、別の実施形態においては、平坦面150,154が位置合わせされている一方で、突起128,146が偏倚されていてもよい。近位ロック機構118と遠位ロック機構120とは、針104の長尺部材108に対する回転により、閉塞装置102が第1の姿勢と第2の姿勢との間で動く限り、様々な形態のうちのいずれかを含んでいてもよい。例えば、別の実施形態において、近位ロック機構と遠位ロック機構とは、針104の突起または突出部に対応する形状に形成されて受け入れるように構成された凹部を含んでいてもよい。
【0024】
針104は、長尺部材108のルーメン136内に収容された駆動要素としてのアクチュエータ130によって、長尺部材108に対し相対回転され得る。駆動要素130は、近位ヘッド116の一部に収容された遠位端158から、近位端160まで長手方向に延び、近位端160は閉塞装置102の使用者がアクセス可能となるように閉塞装置102の近位端に接続される。遠位端158は、内部に長手方向に延びる凹部162を含み、凹部162は、第1の端部122が近位ヘッド116のスロット126内に受け入れられたときに、針104の第1の端部122を内部に受け入れるような大きさおよび形状に形成されている。特に、第1の端部122と凹部162とは、針104の第1の端部122が内部に受け入れられたときに、駆動要素としてのアクチュエータ130の回転運動が長尺部材108に対する針104の回転を生じるように、互いにキー連結される。
【0025】
閉塞システム100は、上述したように、当業者には理解されるような粘膜および粘膜下組織の少なくともいずれか一方、または器官の全層には及ばないなんらかの裂け目もしくは穿孔に加えて、穿孔または開口10が4つの組織層(粘膜、粘膜下組織、筋層および漿膜)すべてを通って存在する全層穿孔を治療するために用いられてもよい。
【0026】
閉塞システム100を用いて全層穿孔を治療するための第1外科手術手技によれば、閉塞装置102は、遠位ヘッド110が治療されるべき組織欠損部位10を通って挿入されるように、挿入装置170を経由して挿入されてもよい。針104が近位ヘッド116に係止されるように、閉塞装置102は、第1の姿勢で挿入装置170を介して挿入されてもよい。閉塞装置102は、組織欠損部位10の周縁12に沿った第1の標的組織が前記閉塞装置の近位ヘッド116と遠位ヘッド110との間の空間112の間に受け入れられるように配置される。第1の標的組織が空間112内に受け入れられたならば、針104の第2の端部124が空間112内に受け入れられた第1の標的組織を刺通し、遠位ヘッド110のスロット144内に受け入れられるように、近位ヘッド116および遠位ヘッド110は互いに向かって移動される。駆動要素としてのアクチュエータ130を用いて、使用者は針104を回転させて、閉塞装置102を第2の姿勢に移行させ、その第2の姿勢では針104が近位ロック機構118から離脱して遠位ロック機構120によってロックされる。針104は、その長手軸周りに約90度回転され得る。一実施形態において、針104の回転により、第1の端部122に隣接する溝148は、近位ヘッド116のスロット126内の突起128から離脱するとともに、第2の端部124に隣接する溝152は、遠位ヘッド110のスロット144内の突起146に係止する。針104を遠位ヘッド110に対してロックした上で、近位ヘッド116から遠位側へ離反させることにより、針104は、第1の標的組織の遠位側に通過し、もって縫合糸106を標的組織の第1部分に縫い付ける。
【0027】
次に、閉塞装置102は、第2標的組織が空間112内に受け入れられるように、組織欠損部位の周縁12に沿った第2標的組織に沿って配置され得る。第2標的組織は、例えば、第1の標的組織とは反対の組織欠損部位の縁に沿っていてもよい。第2標的組織を空間112内に配置した上で、遠位ヘッド110は、近位ヘッド116に向かって近位に引っ張られ得ることにより、針104の第1の端部122は、次いで第2標的組織を刺通し、近位ヘッド116のスロット126内に受け入れられる。次いで針104は、駆動要素としてのアクチュエータ130によって再度約90度回転され、その結果、針104は、当該針104が遠位ロック機構120によってロックされる第2の姿勢から、当該針104が遠位ロック機構120から離脱するとともに近位ロック機構118によってロックされる第1の姿勢に動く。しかして、遠位ヘッド110が近位ヘッド116から離反するように移動されると、針104は、近位ヘッド116にロックされ続け、当該針104が第2標的組織を当該第2標的組織の近位側へ貫通し、縫合糸106を前記標的組織に縫い付ける。
【0028】
上述の工程は、縫合糸106が組織欠損部位12の長さに沿って縫い付けられるまで、組織欠損部位10の周縁12に沿って異なる位置において繰り返され得る。一実施形態において、前記工程は、組織欠損部位10の対向する縁に沿って交互に繰り返されてもよい。しかしながら、縫合糸106を組織欠損部位10の交互の縁に縫い付けることは必須ではない。別の実施形態において、縫合糸106は組織欠損部位の周縁12の周囲に周方向に縫い付けてもよい。縫合糸106が所望の通りに組織欠損部位10に沿って縫い付けられると、針104は、糸の終端位置でアンカーとして機能するために、近位ヘッド116から外され得る。縫合糸106への張力は、針104が組織欠損部位10の周縁12に沿った組織の一部の表面と接触させ、縫合糸106が組織から抜けることを防止するとともに、組織欠損部位10の端縁が互いに向かって引っ張られて、組織欠損部位10を閉塞することになる。組織欠損部位10が所望の通りに閉塞されたならば、縫合糸106が延びる組織の表面に前記シンチ(図示せず)が接触するまで、当該シンチが縫合糸106の長さに沿って移動され得る。前記シンチは、組織欠損部位を閉塞位置に保持することとなる。
【0029】
別の実施形態によれば、組織の粘膜層を密閉する方法は、上述した全層処置に概ね類似し得る。遠位ヘッド110を組織の漿膜層を通って遠位に延びるように組織欠損部位を介して配置するのではなく、縫合糸106が治療されるべき穿孔の周囲において所望のパターンで粘膜層を貫通するように、遠位ヘッド110は組織の粘膜層と粘膜下層との間に配置され得る。
【0030】
さらに別の実施形態によれば、組織の粘膜層および粘膜下層を密閉する方法は、上述した全層処置に概ね類似し得る。しかしながら、遠位ヘッド110を、組織の最後の漿膜層から遠位側に延出するように組織欠損部位から挿入するのではなく、むしろ、遠位ヘッド110を、閉塞装置102が挿入される例えば消化管の内腔に常在させておく。閉塞装置102は、治療されるべき組織欠損部位に沿った第1の標的組織の近位表面が空間112に隣接して配置されるように配置されてもよい。しかして、遠位ヘッド110が近位ヘッド116に向かって移動されると、遠位ヘッド110と近位ヘッド116とは、両者間に第1の標的組織を挟み込み、針104の第2の端部124が刺通される組織の塊を形成する。次いで針104は、第1の姿勢から第2の姿勢に動かすために回転され、針104は、遠位ヘッド110にロックされるとともに、近位ヘッド116から離脱する。次いで遠位ヘッド110は、針104が遠位ヘッド110にロックされたまま、近位ヘッド116から離反するように移動されて、当該針104が第1の標的組織を貫通し、縫合糸106が第1の標的組織に縫い付けるようにする。
【0031】
次に、閉塞装置102は、空間112が治療されるべき組織欠損部位の周縁に沿った第2標的組織の近位表面に隣接して配置されるように位置決めされ得る。第2標的組織は、第1の標的組織とは反対の組織欠損部位の縁に沿って延び得る。遠位ヘッド110を近位ヘッド116に向かって引っ張ることにより、第2標的組織が遠位ヘッド110と近位ヘッド116との間で塊の形に把持されることとなり、針の第1の端部122が第2標的組織に刺通し、近位ヘッド116内に受け入れられる。次いで針104は、針104が第2の姿勢から第1の姿勢に動くように回転され、遠位ヘッド110から離脱して近位ヘッド116内にロックされる。このように、遠位ヘッド110を近位ヘッド116から離反するように移動させることにより、針104を第2標的組織に貫通させ、その結果、縫合糸106は第2標的組織に縫い付けられる。
【0032】
上述の工程は、縫合糸106が組織欠損部位に沿って所望のパターンで縫い付けられるまで、組織欠損部位の周縁に沿って異なる位置において繰り返され得る。上述した全層処置と同様に、所望の縫合パターンが得られたならば、針104は、針104を近位ヘッド116に対して回転させることにより、近位ヘッド116から解除され得る。次に、組織欠損部位を閉塞するために組織欠損部位の端縁が引き寄せられる間に針104がアンカーとして作用し得るように、縫合糸106は張力を掛けられ得る。前記組織欠損部位を閉塞位置に保持するために、縫合糸106上にシンチが適用されてもよい。
【0033】
例示的な方法および処置は、針104が第1の姿勢にある(すなわち、近位ヘッド116にロックされた)状態で閉塞装置102を標的領域に挿入すると記述されているが、閉塞装置102は、同様に針104が第2の姿勢にある状態で標的領域に挿入されてもよい。縫合糸106は単に最初は標的組織を反対方向に貫通することとなる。閉塞装置102は、さもなければ同様の方法で用いられてもよい。
【0034】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の構造および方法において変更がなされてもよい。よって、本発明は当業者によって企図され得るこの発明の修正および変更に及ぶことが意図される。
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