特許第6563588号(P6563588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563588使用済みSCR脱硝触媒のリサイクル方法
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  • 特許6563588-使用済みSCR脱硝触媒のリサイクル方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563588
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】使用済みSCR脱硝触媒のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/00 20060101AFI20190808BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20190808BHJP
   B01J 37/34 20060101ALI20190808BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20190808BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20190808BHJP
   B01J 23/92 20060101ALI20190808BHJP
   B01J 23/28 20060101ALI20190808BHJP
   B01J 23/30 20060101ALI20190808BHJP
   B01J 38/68 20060101ALI20190808BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20190808BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20190808BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B01J38/00 301A
   B01J37/02 101Z
   B01J37/34ZAB
   B01J37/08
   B01J37/03 B
   B01J23/92 A
   B01J23/28 A
   B01J23/30 A
   B01J38/00 301E
   B01J38/00 301L
   B01J38/68 A
   B01D53/86 222
   B01D53/96 500
   B09B3/00 304L
   B09B3/00 303B
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-512463(P2018-512463)
(86)(22)【出願日】2015年9月21日
(65)【公表番号】特表2018-524171(P2018-524171A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】CN2015090082
(87)【国際公開番号】WO2016187994
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2017年11月21日
(31)【優先権主張番号】201510265258.9
(32)【優先日】2015年5月22日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517408195
【氏名又は名称】中科▲過▼程(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SINO−SCIENCE PROCESS (BEIJING) SCIENCE & TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲暁▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 晨明
(72)【発明者】
【氏名】李 志▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】潘 尹▲銀▼
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104611564(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104549491(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102950010(CN,A)
【文献】 特表2011−513063(JP,A)
【文献】 特開昭51−080697(JP,A)
【文献】 特開昭60−209252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 53/73
B01D 53/86−90
B01D 53/94−96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みSCR脱硝触媒を前処理し、不純物を除去し、バナジウム、タングステン、モリブデン等の触媒成分を活性化させるステップ(1)と、
ステップ(1)で前処理して得られた使用済み触媒を浸出し、浸出残渣及び浸出液を得るステップ(2)と、
ステップ(2)の浸出液中の有価元素を同時に精製し、各物質の含有量比率を調節し、触媒成分混合物を得るステップ(3)と、
ステップ(3)で得られた触媒成分混合物を更に新たなSCR脱硝触媒に調製するステップ(4)とを含む、ことを特徴とする使用済みSCR脱硝触媒のリサイクル方法。
【請求項2】
ステップ(2)に記載の浸出に用いる浸出剤が酸性又はアルカリ性又は中性、浸出剤と使用済み触媒の液固比が0.04〜1L/g、浸出温度が20〜200℃、浸出圧力が0.1〜1MPa、浸出時間が0.5〜5h、撹拌速度が100〜5000r/minである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(3)に記載の浸出液中の有価元素を抽出法により同時に精製する場合、抽出剤がアミン類、有機ホスホン酸類、有機エステル類、中性ホスフィン類、第四級アンモニウム塩類又はオキシム類抽出剤、抽出剤濃度が5%〜30%、水相の初期pH=1〜10、抽出温度が10〜40℃、抽出時間が10〜40minであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(3)に記載の浸出液中の有価元素をイオン交換法により同時に精製する場合、樹脂が強アルカリ性又は弱アルカリ性アニオン交換樹脂、浸出液の体積が樹脂体積の10〜100倍、溶液pHが1〜12、温度が10〜100℃、交換時間が30〜120min、樹脂再生液が強アルカリ性又は弱アルカリ性溶液、再生時間が20〜120min、再生温度が20〜100℃である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(3)に記載の浸出液中の有価元素を共沈法により同時に精製する場合、沈殿剤と浸出液中の総金属量のモル比mpre:mmetal=1〜5、溶液pH=6〜12、沈殿温度が10〜90℃、沈殿時間が10〜120minである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(4)に記載の触媒成分混合物で新たなSCR触媒を調製する方法は浸漬法、混合法又は沈殿法、取得した新しいSCR触媒は粒子状、板状、ハニカム状又は波板状である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
使用済みSCR脱硝触媒を前処理し、不純物を除去し、バナジウム、タングステン、モリブデン等の触媒成分を活性化させるステップ(1)と、
ステップ(1)で前処理して得られた使用済み触媒を浸出し、浸出残渣及び浸出液を得て、浸出剤が中性又はアルカリ性、浸出剤と使用済み触媒の液固比が0.04〜1L/g、浸出温度が20〜200℃、浸出圧力が0.1〜1MPa、浸出時間が0.5〜5h、撹拌速度が100〜5000r/minであるステップ(2)と、
ステップ(2)の浸出液中の有価元素を抽出法又はイオン交換法又は共沈法により同時に精製して、各物質の含有量比率を調節し、触媒成分混合物を調製し、抽出法を用いる場合、抽出剤がアミン類、有機ホスホン酸類、有機エステル類、中性ホスフィン類、第四級アンモニウム塩類又はオキシム類、抽出剤濃度が5%〜30%、水相の初期pH=1〜10、抽出温度が10〜40℃、抽出時間が10〜40minであり、イオン交換法を用いる場合、樹脂が強アルカリ性又は弱アルカリ性アニオン交換樹脂、浸出液の体積が樹脂体積の10〜100倍、溶液pHが1〜12、温度が10〜100℃、交換時間が30〜120min、樹脂再生液が強アルカリ性又は弱アルカリ性溶液、再生時間が20〜120min、再生温度が20〜100℃であり、共沈法を用いる場合、沈殿剤と浸出液中の総金属量のモル比mpre:mmetal=1〜5、溶液pH=6〜12、沈殿温度が10〜90℃、沈殿時間が10〜120minであるステップ(3)と、
ステップ(3)に記載の触媒成分混合物を用いて、浸漬法によって新しい粒子状SCR脱硝触媒を調製し、具体的には、触媒成分混合物をまず0.1〜0.2mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加え、系を超音波洗浄機に投入して2〜4h超音波処理して均一に混合した後、超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させ、蒸発乾燥後に得られた固体混合物を105〜110℃のオーブンに入れて12〜24h乾燥させ、乾燥後の固体混合物を粉砕し、次にマッフル炉に投入して、400〜600℃で5〜12h焙焼し、産物として新しい粒子状SCR脱硝触媒を得るステップ(4)とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体廃棄物の処理分野に属し、特に使用済みSCR脱硝触媒のリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、選択的触媒還元脱硝技術において、触媒への投資は総投資の約70%を占め、触媒を合理的に利用することは脱硝プロセスを正常に行うためのキーとなる。報告によると、中国では環境保全の要件が高くなるに伴い、今後数年間で中国ではSCR脱硝触媒に対するニーズが15%という高い割合で増加する。しかしながら、SCR脱硝触媒を調製する原料のコストも絶えず増加していく。そのため、脱硝企業はこの問題を解決するために有効な方法を探さなければならない。使用済み脱硝触媒中の有価成分を抽出して新触媒を調製することは対策の1つである。使用済みSCR脱硝触媒とは、脱硝プロセスで繰り返し活性化させて使用することにより、元の物理構造がひどく破壊され、活性化の再生が難しい使用済み触媒である。使用済みSCR触媒は再生できないが、含まれるWO3、MoO3、V25及びTiO2はいずれも希少な資源であるため、SCR脱硝触媒をリサイクルするための原料として使用できる。また、WO3、MoO3、V25及びTiO2は有毒物質であるため、環境へ潜在的なリスクをもたらす。従って、使用済みSCR脱硝触媒中の有価元素を抽出して新触媒をリサイクルすることは非常に高い経済及び環境保全の意義がある。
【0003】
特許201410471973.3は使用済みSCR脱硝触媒中の三酸化タングステン成分を回収する方法を開示している。使用済みSCR脱硝触媒を乾燥粉末状に粉砕し、高温焙焼後に特定の溶液を用いて所定の条件で触媒中の三酸化タングステン成分を溶解し、三酸化タングステンと触媒中のほかの成分を効果的に分離し、上層にあるタングステンを含む清液を収集して蒸発乾燥させ、得られた固体を十分に乾燥させ、高温で焙焼し、三酸化タングステン成分の回収を完了する。
【0004】
特許201410471988.Xは使用済みSCR脱硝触媒中の五酸化バナジウム成分を回収する方法を開示している。まず酸性溶液において還元剤で触媒中の五価バナジウムをより溶けやすい四価バナジウムに還元し、次に酸化剤で酸性溶液中の四価バナジウムを五価バナジウムに酸化し、溶液のpH値を調節することで、所定の条件で五価バナジウムを十分に加水分解して沈殿させ、沈殿を収集して焙焼処理して、純度が98%の高純度五酸化バナジウムを得る。
【0005】
特許201310085634.7は使用済みSCR脱硝触媒からチタン白を回収する方法を開示している。まず使用済み脱硝触媒を除塵し、破砕して微細粉砕し、次に濃硫酸を加えて酸加水分解させてオキシ硫酸チタン濃溶液を得て、水を加えて希釈し、続いて、非イオン性乳化剤を凝集剤、スルホン酸塩界面活性剤又はポリカルボキシレート界面活性剤を凝集助剤として加え、次に水溶性メチルシリコーンオイルを加え、フレームフィルタプレスにポンピングして加圧濾過し、濾液を真空濃縮して90℃〜98℃に加熱して5.5時間保温し、濾液を加水分解し、次に加水分解生成物を40℃に冷却して、真空濾過してメタチタン酸を沈降させ、次に砂濾過水及び脱イオン水で洗浄し、炭酸カリウム又はリン酸を加えてメタチタン酸濾過ケーキを得て、濾過ケーキを乾燥させて500〜800℃でか焼し、続いて破砕して、微細粉末して二酸化チタンの完成品を得る。
【0006】
特許201410526388.9は使用済みSCR触媒中のシリカの完全回収方法を開示している。粉砕後の使用済みSCR触媒をその体積に対して3〜4倍の水で浸して不純物を除去し、不純物除去後、粉末を過剰の濃度が60〜80wt%の濃アルカリ溶液で浸出し、濾過して固体チタン酸ナトリウムNa2TiO3を得て、濾液に硫酸を加え、70〜90℃でpHを11.5〜12.5に調節し、0.5〜1h静置し、濾過して濾過ケーキを捨て、濾液に硫酸を加えてpHを9〜10に調節して、ケイ酸の濾過ケーキを得て、ケイ酸の濾過ケーキを希硫酸と蓚酸の混合酸において40〜60℃で加熱しながら1〜2h撹拌し、濾過して脱イオン水で濾過ケーキを洗浄し、固体に含まれた酸イオンを洗浄除去し、加熱分解して高純度シリカを得る。
【0007】
特許201410483299.0は使用済みSCR脱硝触媒の回収再生及びSCR触媒担体の再生方法を開示している。使用済みSCR触媒を粉砕、ふるい分け、水洗、酸洗し、湿法粉砕、粉砕し、触媒スラリーを得る。スラリーとメタチタン酸スラリーを混合し、混合スラリーを得る。混合スラリーを水洗、濾過、脱水し、pHを調節し、還元剤を加えて漂白する。漂白後のスラリーに水を加え、pHを調節し、パラタングステン酸アンモニウム及びホワイトカーボンを加え、撹拌、濾過、脱水、か焼、粉砕をして、回収した再生触媒を得る。
【0008】
以上のように、開示されている使用済みSCR触媒の処理技術は一般的に使用済み触媒における一種又は複数種の成分を回収するものに過ぎず、いずれも使用済み触媒のリサイクルを実現できず、最終的な廃棄物の直接排出が環境に悪影響を与え、固体廃棄物の資源化回収を本格的に実現できず、経済的利益も環境的利益も低い。特許201410483299.0で開示されている方法によっては、触媒を回収して再生できるが、使用済み触媒中の不純物及び触媒被毒を引き起こしやすい有毒元素を除去できず、回収して再生した触媒は不純物の含有量が高く、非活性化されやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在、中国国内外での使用済みSCR脱硝触媒のリサイクル技術が欠如している等の現状に対し、本発明は使用済みSCR触媒をそのまま廃棄物から新製品に調製する処理プロセスを提案する。該プロセスは、使用済みSCR触媒中のバナジウム、タングステン、モリブデン等の成分を抽出し、固体廃棄物による汚染の問題を徹底的に解決するだけでなく、抽出したバナジウム、タングステン、モリブデン等の有価元素を新触媒としてリサイクルできる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
使用済みSCR脱硝触媒のリサイクル方法であって、
使用済みSCR脱硝触媒を前処理し、不純物を除去し、バナジウム、タングステン、モリブデン等の触媒成分を活性化させるステップ(1)と、
ステップ(1)で前処理して得られた使用済み触媒を浸出し、浸出残渣及び浸出液を得るステップ(2)と、
ステップ(2)の浸出液中の有価元素を同時に精製し、各物質の含有量比率を調節し、触媒成分混合物を得るステップ(3)と、
ステップ(3)の触媒成分混合物を更に新たなSCR脱硝触媒に調製するステップ(4)とを含み、
ステップ(1)は使用済みSCR脱硝触媒中の不純物を除去し、バナジウム、タングステン、モリブデン等の触媒成分を活性化させるための重要なステップである。前処理方法は洗浄、粉砕、焙焼及び乾燥等であってもよい。洗浄及び乾燥は使用済み触媒に含まれた埃塵、砂や油を除去することができ、粉砕は使用済み触媒の比表面積を向上させることができ、焙焼は使用済み触媒中のV25、WO3、MoO3を活性化させ、水に溶けやすいVO43-、WO42-、MoO42-に転化することができる。焙焼活性化時に添加剤を加える必要があり、添加剤はアルカリ金属アルカリ又は塩であってもよく、コストを節約するために、好ましくはナトリウムアルカリ又はナトリウム塩、たとえばNaOH、NaCl、Na2CO3であり、添加剤と触媒中の総金属量のモル比madd:mmetal=1〜6、たとえば1.2、1.4、1.6、1.8、2.3、3、3.8、4.8、5.3及び5.8等である。焙焼温度は500〜900℃、たとえば550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃及び850℃等である。焙焼時間は1〜7h、たとえば1.5h、2h、3h、4h、5h及び6h等である。
【0011】
ステップ(2)は固相から有価元素を抽出するための主な過程である。浸出剤は中性又は酸性又はアルカリ性であってもよく、浸出剤が酸性であると、使用済み触媒中のバナジウム、タングステン、モリブデン以外の元素、例えばTi等も溶液に入り、浸出液中の有機元素の分離難度が高くなってしまう。従って、本発明では、浸出剤は中性又はアルカリ性であることが好ましい。浸出剤と使用済み触媒の液固比は、0.04〜1L/g、たとえば0.05L/g、0.1L/g、0.2L/g、0.4L/g、0.6L/g及び0.8L/g等である。浸出温度は20〜200℃、たとえば40℃、60℃、80℃、100℃、120℃、140℃、160℃及び180℃等である。浸出時間は0.5〜5h、たとえば1h、2h、3h、4h及び4.5h等である。浸出圧力は0.1〜1MPa、たとえば0.2MPa、0.4MPa、0.6MPa及び0.8MPa等である。撹拌速度は100〜5000r/min、たとえば400r/min、800r/min、1200r/min、1600r/min、2000r/min、2400r/min、2800r/min、3200r/min、3600r/min、4000r/min、4400r/min及び4800r/min等である。
【0012】
ステップ(3)は浸出液中の有価元素を同時に精製するための重要なステップである。浸出液中の有価元素を同時に精製する方法は共沈殿、抽出及びイオン交換等であってもよい。浸出液中の有価元素を抽出法により同時に精製する場合、抽出剤はアミン類、有機ホスホン酸類、有機エステル類、中性ホスフィン類、第四級アンモニウム塩類及びヒドロキサム類であってもよく、たとえば第一級アミン類として、N1923、Primene JMT、Primene 81R及びLK−N21、第2級アミン類として、DIDA、ジオクチルアミン/n−オクタン、ジオクチルアミン/四塩化炭素、第三級アミン類として、Alamine 336、第四級アンモニウム塩として、Aliquat 336、中性ホスフィン類として、TBP、有機エステル類として、酢酸アミル、及び有機ホスフィン類として、D2EHPA、オキシム類として、Lix63が挙げられ、抽出剤濃度は5%〜30%、たとえば10%、15%、20%及び25%等であり、水相の初期pH=1〜10、たとえば1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8及び9等であり、抽出温度は10〜40℃、たとえば15℃、20℃、25℃、30℃及び35℃等であり、抽出時間は10〜40min、たとえば15min、20min、25min、30min及び35min等であり、有機相を逆抽出させる時、逆抽出剤はアルカリ溶液又はアンモニア水であってもよく、逆抽出剤中のNH4+又はOH-と総金属量のモル比mNH4+/mOH-:mmetal=1〜10、たとえば2、3、5、7及び9等である。アルカリ溶液の濃度は1〜10g/L、たとえば2g/L、4g/L、6g/L、8g/L及び9g/Lであり、アンモニア水の濃度は5%〜30%、たとえば10%、15%、20%、25%及び28%等である。逆抽出温度は20〜70℃、たとえば30、40、50及び60℃であり、逆抽出時間は0.5〜4h、たとえば1、1.5、2、2.5、3及び3.5等である。
【0013】
浸出液中の有価元素をイオン交換法により同時に精製する場合、樹脂は強アルカリ性又は弱アルカリ性アニオン交換樹脂、たとえばD418、D301等であり、浸出液の体積は樹脂体積の10〜100倍、たとえば20、30、40、50、60、70、80及び90等であり、溶液pHは1〜12、たとえば2、4、6、8及び10等であり、温度は10〜100℃、たとえば20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃及び90℃等であり、交換時間は30〜120min、たとえば20min、40min、60min、80min及び100min等であり、樹脂再生液は強アルカリ又は弱アルカリ溶液、たとえばNaOH、Na2CO3及びアンモニア水等であり、再生時間は20〜120min、たとえば30min、50min、60min、70min、80min、90min及び110min等であり、再生温度は20〜100℃、たとえば30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃及び90℃等であり、
浸出液中の有価元素を共沈法により同時に精製する場合、沈殿剤はアルカリ金属塩等、たとえばCa(NO32、CaCl2、Mg(NO32、MgCl2、BaCl2及びBa(NO32等であり、沈殿剤と浸出液中の総金属量のモル比mpre:mmetal=1〜5、たとえば1.5、2、2.5、3、3.5、4及び4.5等であり、溶液pH=6〜12、たとえば7、8、9、10及び11等であり、沈殿温度は10〜90℃、たとえば20、30、40、50、60、70及び80℃であり、沈殿時間は10〜120min、たとえば20min、30min、40min、50min、60min、70min、80min、90min、100min及び110min等である。
【0014】
ステップ(4)は触媒成分としてバナジウムタングステン/バナジウムモリブデン/バナジウムタングステンモリブデン混合物を用いて、新しいSCR脱硝触媒を調製する重要なステップである。SCR脱硝触媒は外観によって粒子状及びモノリス触媒に分類でき、モノリス触媒は板状、ハニカム状及び波板状触媒に分けられる。粒子状触媒は一般的に浸漬プロセスでTiO2粉末をメタバナジン酸アンモニウム及びほかの共触媒の前駆体溶液に十分に浸漬して蒸発、乾燥及びか焼をして得られるものである。板状触媒は金属スクリーンを担体とするため、機械的強度が高く、ハニカム状触媒はSCR触媒粉末を基体とし、成形助剤等と混合、混練、押出成形、乾燥及びか焼等の過程を経て得られる。波板状触媒は表面に活性成分を含む塗膜が塗布された波形繊維板を担体とするものであり、活性成分がハニカム状触媒より70%少なく、表面にある活性成分が摩耗により損失されると、触媒の活性が速く低下し、耐用年数が短い。ハニカム状及び板状触媒はすべてV25/TiO2系SCR触媒粉末を原料として、水、粘着剤、押出助剤、細孔拡張剤、潤滑剤、ガラス繊維等と十分に混合して混練して塑性ペーストを得て、ハニカム状触媒の場合は、塑性ペーストを基体として押出成形、乾燥及びか焼して得られ、板状触媒の場合は、塑性ペーストを均一に金属スクリーンにプレスして、乾燥、か焼して得られる。
【0015】
SCR触媒粉末の調製方法は主に沈殿法、浸漬法、混合法がある。浸漬法は活性成分及び共触媒成分を含む液体物質を固体担体表面に浸漬することにより担持する。その担体は利用率が高く、使用量が少なく、低コストで、低含有量の貴金属触媒に適用できる。沈殿法は沈殿剤で可溶性触媒成分を難溶性又は不溶性化合物に転化し、分離、洗浄、乾燥、か焼、成形等の工程により、触媒完成品を調製するものであり、高含有量の非貴金属、金属酸化物、金属塩触媒又は触媒担体に用いられる。混合法は、装置がシンプルで、操作しやすく、製品の化学組成が安定し、高含有量の多成分触媒、特に混合酸化物触媒の調製に用いられ得る反面、分散度が低く、SCR触媒の活性成分の含有量が低く、従って、本発明は浸漬法によってSCR脱硝触媒粉末を調製することが好ましい。
【0016】
好ましい技術案として、本発明の方法は、以下のステップを含む。
ステップ(1)、使用済みSCR脱硝触媒を前処理し、不純物を除去し、バナジウム、タングステン、モリブデン等の触媒成分を活性化させる
ステップ(2)、ステップ(1)で前処理して得られた使用済み触媒を浸出し、浸出残渣及び浸出液を得る。浸出剤が中性又はアルカリ性、浸出剤と使用済み触媒の液固比が0.04〜1L/g、浸出温度が20〜200℃、浸出圧力が0.1〜1MPa、浸出時間が0.5〜5h、撹拌速度が100〜5000r/minである。
ステップ(3)、ステップ(2)の浸出液中の有価元素を同時に精製して、各物質の含有量比率を調節し、触媒成分混合物を調製する。浸出液中の有価元素を抽出法又はイオン交換法又は共沈法により同時に精製する。抽出法を用いる場合、抽出剤がアミン類、有機ホスホン酸類、有機エステル類、中性ホスフィン類、第四級アンモニウム塩類及びヒドロキサム類であってもよく、抽出剤濃度が5%〜30%、水相の初期pH=1〜10、抽出温度が10〜40℃、抽出時間が10〜40minである。イオン交換法を用いる場合、樹脂が強アルカリ性又は弱アルカリ性アニオン交換樹脂、浸出液の体積が樹脂体積の10〜100倍、溶液pHが1〜12、温度が10〜100℃、交換時間が30〜120min、樹脂再生液が強アルカリ又は弱アルカリ溶液、再生時間が20〜120min、再生温度が20〜100℃である。共沈法を用いる場合、沈殿剤と浸出液中の総金属量のモル比mpre:mmetal=1〜5、溶液pH=6〜12、沈殿温度が10〜90℃、沈殿時間が10〜120minである。
ステップ(4)、ステップ(3)の前記触媒成分混合物を浸漬法によって新しい粒子状SCR脱硝触媒に調製する。触媒成分混合物をまず0.1〜0.2mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加える。系を超音波洗浄機に投入して2〜4h超音波処理して均一に混合する。超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させる。蒸発乾燥後に得られた固体混合物を105〜110℃のオーブンに入れて12〜24h乾燥させる。乾燥後の固体混合物を粉砕し、次にマッフル炉に投入して、400〜600℃で5〜12h焙焼する。焙焼後の産物は新しい粒子状SCR脱硝触媒である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以下の効果を有する。
1、本発明は使用済みSCR脱硝触媒のリサイクル方法を開示し、該方法では、使用済みSCR脱硝触媒中の有価金属元素を完全に抽出して再生するため、使用済みSCR脱硝触媒を廃棄物から新しい触媒にリサイクルすることが実現される。
2、本方法のバナジウム、タングステン、モリブデンの資源転化率がいずれも95%以上に達し、得られた新しい触媒は純度及び活性が高く、市場での価値が高く、経済的利益も環境的利益も高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の方法のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明をより詳細に説明して、本発明の技術案を理解しやすくするために、以下、本発明について更に詳細に説明する。下記実施例は本発明の簡単な例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を代表又は制限するものでなく、本発明の保護範囲は特許請求の範囲を基準とする。
【0020】
実施例1
ある実験室により提供された使用済みバナジウムモリブデン系SCR脱硝触媒は、V25含有量が1.5%、MoO3が3.4%、TiO2が95%である。
【0021】
(1)上記使用済み触媒5gを、まず100メッシュに粉砕し、水で洗浄し、濾過し、105℃で乾燥させた。NaOHと使用済み触媒中の総金属量のモル比madd:mmetal=1になるように、乾燥後の使用済み触媒にNaOHを添加剤として加えた。均一に混合してマッフル炉に投入して、650℃で4h焙焼した。
【0022】
(2)中性純水を浸出剤とし、ステップ(1)で焙焼した使用済み触媒からV及びMoを浸出し、その際、液固比が0.04L/g、浸出温度が20℃、浸出圧力が0.1MPa、浸出時間が1.5h、撹拌速度が1000r/min、V一段浸出率が79.5%、Moが74.5%であり、浸出残渣をステップ(1)に戻した。
【0023】
(3)第一級アミン類抽出剤N1923及びトルエンからなる抽出系を濃度5%の有機相とし、水相の初期pH=1、二相比O/A=1、抽出温度が10℃、抽出時間が10minの条件で、V抽出率が100%、Mo抽出率が99.99%になるように、浸出液からV及びMoを同時に抽出した。次に、加えるアンモニウムイオンと有機相中の総金属量のモル比mNH4+:mmetal=5になるように、5%のアンモニア水で抽出相中のV及びMoを40℃で2.5h同時に逆抽出して、バナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩溶液を得た。バナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩溶液中のVとMoの比率を調節し、次に蒸発、結晶化、洗浄を行って50℃で乾燥させてバナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩を得た。
【0024】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩をまず0.2mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加えた。系を超音波洗浄機に投入して2h超音波処理して均一に混合した。超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させた。蒸発乾燥後に得られた固体混合物を110℃の電動送風オーブンに入れて12h乾燥させた。乾燥後の固体混合物を粉砕して、次に坩堝に投入してマッフル炉に入れて、400℃で5h焙焼した。焙焼後の産物は粒子状1.2%V25−3.5%MO3/TiO2系SCR脱硝触媒であった。
【0025】
実施例2
ある実験室により提供された使用済みバナジウムモリブデン系SCR脱硝触媒は、V25含有量が1.5%、MoO3が3.4%、TiO2が95%である。
【0026】
(1)上記使用済み触媒5gを、まず100メッシュに粉砕し、水で洗浄し、濾過し、105℃で乾燥させた。NaOHと使用済み触媒中の総金属量のモル比madd:mmetal=2になるように、乾燥後の使用済み触媒にNaOHを添加剤として加えた。均一に混合してマッフル炉に投入して、680℃で5h焙焼した。
【0027】
(2)中性純水を浸出剤とし、ステップ(1)で焙焼した使用済み触媒からV及びMoを浸出し、その際、液固比が0.05L/g、浸出温度が30℃、浸出圧力が0.1MPa、浸出時間が2h、撹拌速度が800r/min、V一段浸出率が76.7%、Moが72.3%であり、浸出残渣をステップ(1)に戻した。
【0028】
(3)第2級アミン類抽出剤ジオクチルアミン及びn−オクタンからなる抽出系を濃度15%の有機相とし、水相の初期pH=2、二相比O/A=1、抽出温度が20℃、抽出時間が15minの条件で、V抽出率が99.5%、Mo抽出率が97.8%になるように、浸出液からV及びMoを同時に抽出した。次に、加えるアンモニウムイオンと有機相中の総金属量のモル比mNH4+:mmetal=1になるように、10%のアンモニア水で抽出相中のV及びMoを45℃で3h同時に逆抽出して、バナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩溶液を得た。バナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩溶液中のVとMoの比率を調節し、次に蒸発、結晶化、洗浄を行って55℃で乾燥させてバナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩を得た。
【0029】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩をまず0.15mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加えた。系を超音波洗浄機に投入して2.5h超音波均一に混合する。超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させた。蒸発乾燥後に得られた固体混合物を105℃の電動送風オーブンに入れて15h乾燥させた。乾燥後の固体混合物を粉砕し、次に坩堝に投入してマッフル炉に入れて、450℃で6h焙焼した。焙焼後の産物は粒子状の1.1%V25−3.1%MO3/TiO2系SCR脱硝触媒であった。
【0030】
実施例3
ある実験室により提供された使用済みバナジウムタングステン系SCR脱硝触媒は、V25含有量が1.5%、WO3が3.3%、TiO2が95%である。
【0031】
(1)上記使用済み触媒5gを、まず100メッシュに粉砕し、水で洗浄し、濾過し、105℃で乾燥させた。Na2CO3と使用済み触媒中の総金属量のモル比madd:mmetal=3になるように、乾燥後の使用済み触媒にNa2CO3を添加剤として加えた。均一に混合してマッフル炉に投入して、500℃で3h焙焼した。
【0032】
(2)中性純水を浸出剤とし、ステップ(1)で焙焼した使用済み触媒からV及びWを浸出し、その際、液固比が0.06L/g、浸出温度が50℃、浸出圧力が0.1MPa、浸出時間が1.5h、撹拌速度が1200r/min、V一段浸出率が78.6%、Wが73.6%であり、浸出残渣をステップ(1)に戻した。
【0033】
(3)第三級アミン類抽出剤Alamine 336及び灯油からなる抽出系を濃度25%の有機相とし、水相の初期pH=4、二相比O/A=1、抽出温度が25℃、抽出時間が20minの条件で、V抽出率が98.5%、W抽出率が99.6%になるように、浸出液からV及びWを同時に抽出した。次に、加えるアンモニウムイオンと有機相中の総金属量のモル比mNH4+:mmetal=2になるように、15%のアンモニア水で抽出相中のV及びWを50℃で2.5h同時に逆抽出して、バナジウムタングステン混合アンモニウム塩溶液を得た。バナジウムタングステン混合アンモニウム塩溶液中のVとWの比率を調節し、次に蒸発、結晶化、洗浄を行って48℃で乾燥させてバナジウムタングステン混合アンモニウム塩を得た。
【0034】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムタングステン混合アンモニウム塩をまず0.16mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加えた。系を超音波洗浄機に投入して3h超音波処理して均一に混合した。超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させた。蒸発乾燥後に得られた固体混合物を106℃の電動送風オーブンに入れて16h乾燥させた。乾燥後の固体混合物を粉砕し、次に坩堝に投入してマッフル炉に入れて、500℃で5.5h焙焼した。焙焼後の産物は粒子状の1.2%V25−3.0%WO3/TiO2系SCR脱硝触媒であった。
【0035】
実施例4
ある実験室により提供された使用済みバナジウムタングステン系SCR脱硝触媒は、V25含有量が1.2%、WO3が3.5%、TiO2が95.1%である。
【0036】
(1)上記使用済み触媒5gを、まず100メッシュに粉砕し、水で洗浄し、濾過し、105℃で乾燥させた。NaClと使用済み触媒中の総金属量のモル比madd:mmetal=3になるように、乾燥後の使用済み触媒にNaClを添加剤として加えた。均一に混合してマッフル炉に投入して、700℃で4h焙焼した。
【0037】
(2)中性純水を浸出剤とし、ステップ(1)で焙焼した使用済み触媒からV及びWを浸出し、その際、液固比が0.1L/g、浸出温度が70℃、浸出圧力が0.1MPa、浸出時間が3h、撹拌速度が5000r/min、V一段浸出率が76.7%、Wが71.4%であり、浸出残渣をステップ(1)に戻した。
【0038】
(3)第四級アンモニウム塩Aliquat 336及び灯油からなる抽出系を濃度25%の有機相とし、水相の初期pH=2、二相比O/A=1、抽出温度が40℃、抽出時間が40minの条件で、V抽出率が98.7%、W抽出率が98.90%になるように、浸出液からV及びWを同時に抽出した。次に、加えるアンモニウムイオンと有機相中の総金属量のモル比mNH4+:mmetal=6になるように、20%のアンモニア水で抽出相中のV及びWを45℃で3h同時に逆抽出して、バナジウムタングステン混合アンモニウム塩溶液を得た。バナジウムタングステン混合アンモニウム塩溶液中のVとWの比率を調節し、次に蒸発、結晶化、洗浄を行って45℃で乾燥させてバナジウムタングステン混合アンモニウム塩を得た。
【0039】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムタングステン混合アンモニウム塩をまず0.2mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加えた。系を超音波洗浄機に投入して4h超音波処理して均一に混合した。超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させた。蒸発乾燥後に得られた固体混合物を110℃の電動送風オーブンに入れて18h乾燥させた。乾燥後の固体混合物を粉砕し、次に坩堝に投入してマッフル炉に入れて、550℃で7h焙焼した。焙焼後の産物は粒子状の1.3%V25−3.4%WO3/TiO2系SCR脱硝触媒であった。
【0040】
実施例5
ある実験室により提供された使用済みバナジウムタングステン系SCR脱硝触媒は、V25含有量が1.2%、WO3が2.5%、TiO2が96.1%である。
【0041】
(1)上記使用済み触媒5gを、まず100メッシュに粉砕し、水で洗浄し、濾過し、105℃で乾燥させた。Na2SO4と使用済み触媒中の総金属量のモル比madd:mmetal=4になるように、乾燥後の使用済み触媒にNa2SO4を添加剤としてを加えた。均一に混合してマッフル炉に投入して、800℃で5h焙焼した。
【0042】
(2)1g/LNaOH溶液を浸出剤とし、ステップ(1)で焙焼した使用済み触媒からV及びWを浸出し、その際、液固比が0.2L/g、浸出温度が100℃、浸出圧力が0.2MPa、浸出時間が4h、撹拌速度が2000r/min、V一段浸出率が80.7%、Wが78.2%であり、浸出残渣をステップ(1)に戻した。
【0043】
(3)中性ホスフィン類抽出剤TBP及び灯油からなる抽出系を濃度30%の有機相とし、水相の初期pH=6、二相比O/A=1、抽出温度が30℃、抽出時間が35minの条件で、V抽出率が99.0%、W抽出率が97.6%になるように、浸出液からV及びWを同時に抽出した。次に、加えるアンモニウムイオンと有機相中の総金属量のモル比mNH4+:mmetal=6になるように、30%のアンモニア水で抽出相中のV及びWを50℃で4h同時に逆抽出して、バナジウムタングステン混合アンモニウム塩溶液を得た。バナジウムタングステン混合アンモニウム塩溶液中のVとWの比率を調節し、次に蒸発、結晶化、洗浄を行って50℃で乾燥させてバナジウムタングステン混合アンモニウム塩を得た。
【0044】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムタングステン混合アンモニウム塩をまず0.2mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加えた。系を超音波洗浄機に投入して3h超音波処理して均一に混合した。超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させた。蒸発乾燥後に得られた固体混合物を110℃の電動送風オーブンに入れて24h乾燥させた。乾燥後の固体混合物を粉砕し、次に坩堝に投入してマッフル炉に入れて、600℃で12h焙焼した。焙焼後の産物は粒子状の1.4%V25−3.0%WO3/TiO2系SCR脱硝触媒であった。
【0045】
実施例6
ある実験室により提供された使用済みバナジウムタングステンモリブデン系SCR脱硝触媒は、V25含有量が1.2%、WO3が1.5%、MoO3が1.4%、TiO2が95.7%である。
【0046】
(1)上記使用済み触媒5gを、まず100メッシュに粉砕し、水で洗浄し、濾過し、105℃で乾燥させた。NaNO3と使用済み触媒中の総金属量のモル比madd:mmetal=6になるように、乾燥後の使用済み触媒にNaNO3を添加剤として加えた。均一に混合してマッフル炉に投入して、900℃で7h焙焼した。
【0047】
(2)1g/LNaOH溶液を浸出剤とし、ステップ(1)で焙焼した使用済み触媒からV、W及びMoを浸出し、その際、液固比が0.4L/g、浸出温度が100℃、浸出圧力が0.4MPa、浸出時間が5h、撹拌速度が3000r/min、V一段浸出率が80.7%、Wが78.2%であり、浸出残渣をステップ(1)に戻した。
【0048】
(3)有機エステル類として酢酸アミルび灯油からなる抽出系を濃度25%の有機相とし、水相の初期pH=10、二相比O/A=1、抽出温度が40℃、抽出時間が40minの条件で、V抽出率が99.6%、W抽出率が98.6%、Mo抽出率が97.8%になるように、浸出液からV、W及びMoを同時に抽出した。次に、加えるアンモニウムイオンと有機相中の総金属量のモル比mNH4+:mmetal=5になるように、15%のアンモニア水で抽出相中のV、W及びMoを45℃で2h同時に逆抽出して、バナジウムタングステンモリブデン混合アンモニウム塩溶液を得た。バナジウムタングステンモリブデン混合アンモニウム塩溶液中のV、W及びMoの比率を調節し、次に蒸発、結晶化、洗浄を行って45℃で乾燥させてバナジウムタングステンモリブデン混合アンモニウム塩を得た。
【0049】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムタングステンモリブデン混合アンモニウム塩をまず0.2mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加えた。系を超音波洗浄機に投入して4h超音波処理して均一に混合した。超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させた。蒸発乾燥後に得られた固体混合物を110℃の電動送風オーブンに入れて24h乾燥させた。乾燥後の固体混合物を粉砕し、次に坩堝に投入してマッフル炉に入れて、600℃で10h焙焼した。焙焼後の産物は粒子状の1.4%V25−1.2%WO3−1.2%MoO3/TiO2系SCR脱硝触媒であった。
【0050】
実施例7
ある実験室により提供された使用済みバナジウムモリブデン系SCR脱硝触媒は、V25含有量が1.3%、MoO3が2.4%、TiO2が96%である。
【0051】
(1)上記使用済み触媒5gを、まず100メッシュに粉砕し、水で洗浄し、濾過し、105℃で乾燥させた。
【0052】
(2)2g/LNaOH溶液を浸出剤とし、ステップ(1)で乾燥させた使用済み触媒からV及びMoを浸出し、その際、液固比が0.5L/g、浸出温度が200℃、浸出圧力が1MPa、浸出時間が5h、撹拌速度が5000r/min、V一段浸出率が84.1%、Moが80.1%であり、浸出残渣をステップ(1)に戻した。
【0053】
(3)有機ホスフィン類D2EHPA及び灯油からなる抽出系を濃度15%の有機相とし、水相の初期pH=8.5、二相比O/A=1、抽出温度が30℃、抽出時間が30minの条件で、V抽出率が98.8%、Mo抽出率が97.9%になるように、浸出液からV及びMoを同時に抽出した。次に、加えるアンモニウムイオンと有機相中の総金属量のモル比mNH4+:mmetal=6になるように、15%のアンモニア水で抽出相中のV及びMoを30℃で2.5h同時に逆抽出して、バナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩溶液を得た。バナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩溶液中のVとMoの比率を調節し、次に蒸発、結晶化、洗浄を行って40℃で乾燥させてバナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩を得た。
【0054】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩をまず0.1mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加えた。系を超音波洗浄機に投入して4h超音波処理して均一に混合した。超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させた。蒸発乾燥後に得られた固体混合物を110℃の電動送風オーブンに入れて24h乾燥させた。乾燥後の固体混合物を粉砕し、次に坩堝に投入してマッフル炉に入れて、600℃で9h焙焼した。焙焼後の産物は粒子状の1.5%V25−2.6%MO3/TiO2系SCR脱硝触媒であった。
【0055】
実施例8
ある実験室により提供された使用済みバナジウムモリブデン系SCR脱硝触媒は、V25含有量が1.6%、MoO3が2.2%、TiO2が96.1%である。
【0056】
(1)上記使用済み触媒5gを、まず100メッシュに粉砕し、水で洗浄し、濾過し、105℃で乾燥させた。
【0057】
(2)5g/LNaOH溶液を浸出剤とし、ステップ(1)で乾燥させた使用済み触媒からV及びMoを浸出し、その際、液固比が0.6L/g、浸出温度が150℃、浸出圧力が0.5MPa、浸出時間が5h、撹拌速度が5000r/min、V一段浸出率が80.1%、Moが81.1%であり、浸出残渣をステップ(1)に戻した。
【0058】
(3)オキシム類抽出剤Lix63及び灯油からなる抽出系を濃度30%の有機相とし、水相の初期pH=6、二相比O/A=1、抽出温度が35℃、抽出時間が35minの条件で、V抽出率が98.7%、Mo抽出率が98.9%になるように、浸出液からV及びMoを同時に抽出した。次に、加えるアンモニウムイオンと有機相中の総金属量のモル比mNH4+:mmetal=5になるように、20%のアンモニア水で抽出相中のV及びMoを20℃で3h同時に逆抽出してバナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩溶液を得た。バナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩溶液中のVとMoの比率を調節し、次に蒸発、結晶化、洗浄を行って40℃で乾燥させてバナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩を得た。
【0059】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムモリブデンの混合アンモニウム塩をまず0.1mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加えた。系を超音波洗浄機に投入して4h超音波処理して均一に混合した。超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させた。蒸発乾燥後に得られた固体混合物を110℃の電動送風オーブンに入れて24h乾燥させた。乾燥後の固体混合物を粉砕し、次に坩堝に投入してマッフル炉に入れて、600℃で9h焙焼した。焙焼後の産物は粒子状の1.4%V25−2.2%MO3/TiO2系SCR脱硝触媒であった。
【0060】
実施例9
ある実験室により提供された使用済みバナジウムタングステン系SCR触媒は、V25含有量が1.2%、WO3が3.3%、TiO2が95.3%である。
【0061】
(1)上記使用済み触媒50gを、まず100メッシュに粉砕し、次に水で洗浄し、濾過し、105℃で乾燥させた。
【0062】
(2)2g/Lの水酸化ナトリウム溶液を浸出剤とし、ステップ(1)で乾燥させた使用済み触媒からV及びWを浸出し、その際、液固比が1L/g、浸出温度が200℃、浸出圧力が1MPa、浸出時間が5h、撹拌速度が100r/min、V一段浸出率が75.1%、Wが71.7%であり、浸出残渣を再び浸出した。
【0063】
(3)ステップ(2)の前記浸出液のpHを硝酸で6に調節し、次に、硝酸カルシウムと浸出液中の総金属量のモル比mpre:mmetal=1になるように、硝酸カルシウムを加えて、10℃で10min共沈し、バナジウム酸カルシウム及びタングステン酸カルシウム混合沈殿を得た。混合沈殿を硝酸で溶解し、溶液のpHを6に調節し、次に硝酸カルシウムを加えて共沈し、得られた沈殿を洗浄して乾燥させて、純バナジウムタングステン混合カルシウム塩を得た。バナジウムタングステン混合カルシウム塩を硝酸で溶解して溶液のpHを1.5に調節し、次に溶液中のVとWの比率を調節した。バナジウムタングステン溶液に蒸発、結晶化、洗浄を行って105℃で乾燥させて、更に600℃で焙焼し、バナジウムタングステン混合酸化物を得た。
【0064】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムタングステン混合酸化物を用いて、混合法によってバナジウムタングステン系SCR触媒粉末を調製した。まずバナジウムタングステン混合酸化物を100メッシュに粉砕し、次に所定の比率でTiO2とともにウェットボールミルして5h混合した。混合終了後、110℃のオーブンに置いて12h乾燥させた。乾燥後の産物は1.3%V25−3.2%WO3/TiO2系SCR触媒粉末であった。50gを粉砕して0.1mmの触媒粉末を得て、次に粘着剤としてポリアクリルアミド4.5g及び粒径0.1mmの活性炭粉末2.5gを加えて15minドライミックスした。均一に混合した後、順に水10mL及び押出助剤としてエタノールアミン4mLを加え、次にめん棒で湿材料を混練し、塑性ペーストを得た。塑性ペーストをハニカム状触媒金型の上部に入れ、プレスプレートで塑性ペーストを下部の成形ロッド間に押し込んだ。触媒スラリーを容れた金型を65℃のオーブンで加熱し、成形ロッド及び金型表面に予め塗られたパラフィンが融解した後、金型を取り出して、半乾燥した触媒ブランクを得た。触媒ブランクをまず105℃のオーブンにおいて12h乾燥させ、次に450℃で12h焙焼し、ハニカム状の1.3%V25−3.3%WO3/TiO2系SCR脱硝触媒を得た。
【0065】
実施例10
ある実験室により提供された使用済みバナジウムタングステン系SCR触媒は、V25含有量が1.1%、MO3が2.6%、TiO2が96.2%である。
【0066】
(1)上記使用済み触媒50gを、まず100メッシュに粉砕し、次に水で洗浄して濾過し、NaNO3と使用済み触媒中の総金属量のモル比madd:mmetal=4.5になるように、乾燥後の使用済み触媒にNaNO3を添加剤として加えた。均一に混合してマッフル炉に投入して、700℃で6h焙焼した。
【0067】
(2)2g/Lの水酸化ナトリウム溶液を浸出剤とし、ステップ(1)で焙焼した使用済み触媒からV及びMoを浸出し、その際、液固比が0.2L/g、浸出温度が120℃、浸出圧力が0.5MPa、浸出時間が5h、撹拌速度が1000r/min、V一段浸出率が75.1%、Moが71.7%であり、浸出残渣を再び浸出した。
【0068】
(3)ステップ(2)の前記浸出液のpHを12に調節し、次に、塩化カルシウムと浸出液中の総金属量のモル比mpre:mmetal=5になるように、塩化カルシウムを加えて、90℃で120min共沈し、バナジウム酸カルシウム及びモリブデン酸カルシウム混合沈殿を得た。混合沈殿を硝酸で溶解し、溶液のpHを12に調節し、塩化カルシウムを加えて共沈し、得られた沈殿を洗浄し、乾燥させて純バナジウムモリブデン混合カルシウム塩を得た。バナジウムモリブデン混合カルシウム塩を硝酸で溶解して、溶液のpHを1.5に調節し、次に溶液中のVとMoの比率を調節した。バナジウムモリブデン溶液に蒸発、結晶化、洗浄を行って105℃で乾燥させて、更に650℃で焙焼し、バナジウムモリブデン混合酸化物を得た。
【0069】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムモリブデン混合酸化物をまず0.1mol/Lの蓚酸溶液に溶解し、次に所定の比率でTiO2を加えた。系を超音波洗浄機に投入して4h超音波処理して均一に混合した。超音波処理終了後、系を撹拌しながら蒸発乾燥させた。蒸発乾燥後に得られた固体混合物を110℃の電動送風オーブンに入れて24h乾燥させた。乾燥後の固体混合物を粉砕し、次に坩堝に投入してマッフル炉に入れて、600℃で9h焙焼した。焙焼産物は1.2%V25−2.5%MO3/TiO2系SCR触媒粉末であった。50gを粉砕して0.1mmの触媒粉末を得て、次に粘着剤としてポリアクリルアミド5g及び粒径0.1mmの活性炭粉末2.5gを加えて20minドライミックスした。均一に混合した後、順に水8mL及び押出助剤としてエタノールアミン3.5mLを加え、次にめん棒で湿材料を混練し、塑性ペーストを得た。塑性ペーストをハニカム状触媒金型の上部に入れ、プレスプレートで塑性ペーストを下部の成形ロッド間に押し込んだ。触媒スラリーを容れた金型を60℃のオーブンにおいて加熱し、成形ロッド及び金型表面に予め塗られたパラフィンが融解した後、金型を取り出して、半乾燥した触媒ブランクを得た。触媒ブランクをまず110℃のオーブンにおいて24h乾燥させ、次に450℃で12h焙焼し、ハニカム状1.3%V25−2.4%WO3/TiO2系SCR脱硝触媒を得た。
【0070】
実施例11
ある実験室により提供された使用済みバナジウムモリブデン系SCR触媒は、V25含有量が1.1%、MO3が2.1%、TiO2が96.7%である。
【0071】
(1)上記使用済み触媒50gを、まず100メッシュに粉砕し、水で洗浄し、濾過し、110℃で乾燥させ、NaClと使用済み触媒中の総金属量のモル比madd:mmetal=6になるように、乾燥後の使用済み触媒にNaClを添加剤として加えた。均一に混合してマッフル炉に入れて、900℃で1h焙焼した。
【0072】
(2)1g/Lの硫酸溶液を浸出剤とし、ステップ(1)で焙焼した使用済み触媒からV及びMoを浸出し、その際、液固比が1L/g、浸出温度が100℃、浸出圧力が0.2MPa、浸出時間が0.5h、撹拌速度が5000r/min、V一段浸出率が90.2%、Moが94.4%、Tiが86.1%であり、浸出残渣をステップ(1)に戻した。
【0073】
(3)ステップ(2)の前記浸出液中のV、Mo及びTiを、弱アルカリ性アニオン交換樹脂D418で同時に抽出した。浸出液の体積が樹脂体積の10倍、溶液pH=1、温度が10℃、交換反応時間が30min、V抽出率が92.3%、Moが97.8%、Tiが96.2%であった。母液を再び抽出した。15%のアンモニア水で樹脂を洗浄して、20℃で20min再生し、バナジウムモリブデンチタン混合アンモニウム塩溶液を得た。
【0074】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムモリブデンチタン混合アンモニウム塩溶液を用いて、沈殿法によってバナジウムモリブデン系SCR脱硝触媒粉末を調製した。まずバナジウムモリブデンチタン混合アンモニウム塩溶液のpHを7.5に調節し、次に硝酸カルシウムを加え、濾過してバナジウムモリブデンチタン混合沈殿を得た。混合沈殿をまず硝酸で溶解し、続いてpHが1.1になるように酸性化し、次に蒸発結晶化、洗浄を行って、105℃で乾燥させて750℃で焙焼させ、1.2%V25−2.0%MoO3/TiO2系SCR触媒粉末を得た。50gを粉砕して0.1mmの触媒粉末を得て、次に粘着剤としてメチルセルロース5.5g及び粒径0.1mmの活性炭粉末3.5gを加えて18minドライミックスした。均一に混合した後、順に水8mL、押出助剤としてエタノールアミン4mL及び潤滑油としてグリセロール2.5mLを加え、次にめん棒で湿材料を混練し、塑性ペーストを得た。厚さが0.5mm、孔径がlmm、孔間隔が1.5mmで、正三角形として配列され、上下両側に0.5mm厚さの塑性ペーストが均一にプレスされた55*100mmの孔付きステンレス鋼平板を担体とした。塑性ペーストが配置されたスクリーンプレートを105℃で12h乾燥させ、次に500℃で24hか焼し、厚さが1.5mmの触媒板を得て、ステンレス鋼ハウジングに組み立てて板状触媒を得た。
【0075】
実施例12
ある実験室により提供された使用済みバナジウムタングステン系SCR触媒は、V25含有量が1.3%、WO3が2.4%、TiO2が96.1%である。
【0076】
(1)上記使用済み触媒50gを、まず100メッシュに粉砕し、水で洗浄し、濾過し、105℃で乾燥させた。
【0077】
(2)1g/L硫酸溶液を浸出剤とし、ステップ(1)からV及びWを浸出し、その際、液固比が0.7L/g、浸出温度が150℃、浸出圧力が0.5MPa、浸出時間が2h、撹拌速度が4000r/min、V一段浸出率が87.2%、Wが86.3%、Tiが84.3%であり、浸出残渣をステップ(1)に戻した。
【0078】
(3)ステップ(2)の前記浸出液中のV、W及びTiを、強アルカリ性アニオン交換樹脂D201で同時に抽出した。浸出液の体積が樹脂体積の100倍、溶液pH=12、温度が100℃、交換反応時間が120min、V抽出率が99.1%、Wが98.9%、Tiが98.3%であり、母液を再び抽出した。2g/LNaOH溶液で樹脂を洗浄して、120minで100℃再生し、バナジウムタングステンチタン混合ナトリウム塩溶液を得た。
【0079】
(4)ステップ(3)で得られたバナジウムタングステンチタン混合ナトリウム塩溶液を用いて、沈殿法によってバナジウムタングステン系SCR脱硝触媒粉末を調製した。まずバナジウムタングステンチタン混合ナトリウム塩溶液のpHを8に調節し、次に硝酸カルシウムを加え、濾過してバナジウムタングステンチタン混合沈殿を得た。混合沈殿をまず硝酸で溶解し、続いてpHを1.5に酸性化し、次に蒸発結晶化、洗浄、105℃の乾燥及び700℃の焙焼を行って、1.2%V25−2.3%WO3/TiO2系SCR触媒粉末を得た。50gを粉砕して0.1mmの触媒粉末を得て、次に粘着剤としてメチルセルロース5g及び粒径0.1mmの活性炭粉末3gを加えて20minドライミックスした。均一に混合した後、順に10mL水、押出助剤としてエタノールアミン5mL及び潤滑油としてグリセロール2mLを加え、次にめん棒で湿材料を混練し、塑性ペーストを得た。厚さが0.5mmで、上下両側に0.5mm厚さの塑性ペーストが均一に塗られた50*100mmの繊維板を担体とした。塑性ペーストが配置されたスクリーンプレートを105℃で24h乾燥させ、次に450℃で20hか焼し、1.3%V25−2.2%WO3/TiO2系波板状触媒を得た。
【0080】
なお、以上の実施例は本発明の技術案を説明するものに過ぎず、制限するものでなく、好適な実施例を参照しながら本発明について詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の技術案の主旨と範囲から逸脱することなく、本発明の技術案に対する修正や置換が可能であることは理解されるべきであり、それらは全て本発明の特許請求の範囲の保護範囲に含まれる。
図1