(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発泡ポリウレタン層を形成する工程では、前記下型突起部に対応する位置に、前記車両内装用ボードに他の部品を取り付けるための取付孔が形成されることを特徴とする請求項3に記載の車両内装用ボードの製造方法。
前記下型突起部の少なくとも1つは、前記上型側に配置される前記金属板の前記内面になる主面に当接することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両内装用ボードの製造方法。
前記上型に達する前記下型突起部の少なくとも1つは、前記上型側に配置される前記金属板の前記内面になる主面に当接する段部を有し、前記上型側に配置される前記金属板に形成される前記孔に嵌合することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の車両内装用ボードの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術の車両内装用ボードは、金属板の劣化や剥離等を抑制して信頼性及び耐久性を向上させると共に、自動車等の燃費を向上させるために更なる軽量化を図り、且つ、生産性を高めるために改善すべき点があった。
【0007】
具体的には、上記した従来技術では、下型及び上型に形成された凹部及びその底面であるセット面は、鋼板と平面形状が一致し、成形された後の硬質発泡ポリウレタン層の平面形状も鋼板の平面形状と同一である。そのため、車両内装用ボードの周囲端部においては、鋼板の切断面である端部が露出していた。即ち、鋼板の主面に亜鉛メッキや塗装等の表面処理が施されていても、車両内装用ボードの周囲端部においては、鋼板の表面処理が施されていない切断面が露出する。これにより、鋼板の端部が酸化等によって劣化する恐れがあった。
【0008】
また、車両内装用ボードの周囲縁部では、鋼板の剥離や硬質発泡ポリウレタン層の欠けが生じ易いという問題点もあった。即ち、車両内装用ボードの端部に露出している鋼板と硬質発泡ポリウレタン層との境界近傍を起点として鋼板の剥離が生じ易く、鋼板が剥がれることによって硬質発泡ポリウレタン層が欠け易くなる。また、成形後の車両内装用ボードを下型や上型の凹部から取り外す際には、鋼板の端部近傍の離型が難しく、露出している鋼板の端部が下型等に引っ掛かり易いため、鋼板の端部近傍が剥がれてしまう恐れもあった。
【0009】
また、特許文献1に開示されたバキューム吸引手段のように、上型に形成された複数のバキューム孔からのバキューム作用によって鋼板を吸引して保持する構成では、発泡性原料が鋼板の外面側やバキューム孔の内部に漏れ出し易いという問題点があった。即ち、成形空間に発泡性原料が供給された際に、発泡性原料がバキューム作用によって吸引されてしまう。発泡性原料が鋼板の外面側に漏れ出すと、漏れ出した発泡性原料が反応硬化して、鋼板の外面に硬質発泡ポリウレタンが付着することになる。そうすると、車両内装用ボードの外面を高品質に仕上げて良好な外観及び好適な表面強度を確保することが難しくなる。また、成形後の車両内装用ボードの離型が困難になるという問題も生ずる。また、発泡性原料がバキューム孔の内部に入り込むと、バキューム孔の詰まり等の原因になる。
【0010】
また、車両内装用ボードに、例えば、把手やヒンジ部品等の他の部品を取り付けるためには、それらの部品を取り付けるための取付孔等を車両内装用ボードに形成する必要がある。従来は、硬質発泡ポリウレタン層を形成して車両内装用ボードを一体的に成形する工程が行われた後に、成形された車両内装用ボードに対して取付孔等を形成する工程が別途行われていた。そのため、生産工程を削減して生産の効率化を図ることが望まれていた。
【0011】
また、車両内装用ボードの軽量化を図るため、車両内装用ボードを薄くするまたは鋼板の代わりにアルミニウム板を採用する等の場合には、車両内装用ボードの強度が低下する恐れがある。車両内装用ボードに他の部品を取り付けるための取付孔等の近傍においては、車両内装用ボードの強度が不足すると、他の部品を適切に固定できなくなる恐れがあった。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属板端部近傍の劣化や剥離等が少なく、高品質で、薄く軽量、高強度、且つ、生産性に優れる車両内装用ボード及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の車両内装用ボードは、一対の金属板と、前記一対の金属板の間に形成された発泡ポリウレタン層と、を備え、周囲縁部において、前記発泡ポリウレタン層は、前記金属板の周囲端部を覆い、前記金属板の外面と面一に形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の車両内装用ボードの製造方法は、一対の金属板をそれぞれ所定形状に成形する工程と、前記一対の金属板のそれぞれ内面になる主面にエポキシ樹脂系のコーティング剤を塗布する工程と、前記コーティング剤が塗布された前記内面になる主面を対向させて前記一対の金属板を下型及び上型で挟み込んで前記一対の金属板の間に成形空間を形成する工程と、前記成形空間に発泡ポリウレタンの原料を注入して反応させて発泡ポリウレタン層を形成する工程と、を具備し、前記下型及び前記上型には、それぞれ前記金属板の平面形状よりも大きく前記金属板の外面になる主面が当接するように前記金属板がセットされるセット面が形成されており、前記下型には、前記セット面から突出する下型突起部が形成されており、前記金属板を成形する工程では、前記金属板に位置決め用の孔が形成され、前記成形空間を形成する工程では、前記下型側に配置される前記金属板の前記孔が前記下型突起部に嵌合するように前記金属板がセットされ、前記一対の金属板は、それぞれ前記セット面の中央付近に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両内装用ボードによれば、一対の金属板と、一対の金属板の間に形成された発泡ポリウレタン層と、を備え、金属板の周囲端部は、発泡ポリウレタン層で覆われている。これにより、金属板の切断面である周囲端部の酸化を抑制することができる。
【0016】
また、金属板の周囲端部が発泡ポリウレタン層で覆われることにより、金属板の周囲縁部において、金属板と発泡ポリウレタン層との接合が良好になり、金属板の剥離を防止することができる。
【0017】
また、車両内装用ボードの周囲縁部は、金属板の外面と面一に形成される発泡ポリウレタン層で取り囲まれることになる。車両内装用ボードの周囲縁部が発泡ポリウレタン層で形成されることにより、車両内装用ボードの周囲角部に丸み付けを施すことが可能となる。これにより、車両内装用ボードの製造工程において、車両内装用ボードを型から取り外す際、金属板の剥離や発泡ポリウレタン層の欠け等を防止することができ、車両内装用ボードの離型が容易になる。
【0018】
また、本発明の車両内装用ボードによれば、一対の金属板には、車両内装用ボードに他の部品を取り付けるための取付孔が形成されており、取付孔の周囲の発泡ポリウレタン層の内部には、補強部材が配設されていても良い。これにより、取付孔近傍の剛性及び強度が高められ、車両内装用ボードに把手やヒンジ等の他の部品を強固に固定することができる。また、取付孔近傍の剛性及び強度を確保しつつ、車両内装用ボードの薄化や軽量化を図ることができる。
【0019】
また、本発明の車両内装用ボードの製造方法によれば、一対の金属板をそれぞれ所定形状に成形する工程と、一対の金属板のそれぞれ内面になる主面にエポキシ樹脂系のコーティング剤を塗布する工程と、コーティング剤が塗布された内面になる主面を対向させて一対の金属板を下型及び上型で挟み込んで一対の金属板の間に成形空間を形成する工程と、成形空間に発泡ポリウレタンの原料を注入して反応させて発泡ポリウレタン層を形成する工程と、を具備し、下型及び上型のセット面は、金属板の平面形状よりも大きく形成されており、成形空間を形成する工程では、一対の金属板は、それぞれセット面の中央付近に金属板の外面になる主面が当接するように配置される。これにより、車両内装用ボードの周囲縁部において、発泡ポリウレタン層は、金属板の周囲端部を覆い、金属板の外面と面一に形成される。これにより、金属板の周囲端部の酸化を抑制することができる。また、金属板の周囲端部が発泡ポリウレタン層に接合され、金属板と発泡ポリウレタン層との接合強度が高められる。よって、金属板の剥離を防止することができる。
【0020】
また、車両内装用ボードの周囲縁部が発泡ポリウレタン層で形成されることにより、車両内装用ボードの周囲角部に丸み付けを施すこと
ができる。これにより、金属板の剥離や発泡ポリウレタン層の欠け等を防止しつつ、車両内装用ボードの離型を容易化することができる。
【0021】
また、下型には、セット面から突出する下型突起部が形成されており、金属板を成形する工程では、金属板に位置決め用の孔が形成され、成形空間を形成する工程では、下型側に配置される金属板の孔が下型突起部に嵌合するように金属板がセットされる。これにより、金属板の位置決めを容易且つ正確に行うことができる。よって、車両内装用ボードの周囲縁部に、金属板の周囲端部を覆う発泡ポリウレタン層を所定の幅寸法で正確に形成することができる。
【0022】
また、本発明の車両内装用ボードの製造方法によれば、発泡ポリウレタン層を形成する工程では、下型突起部に対応する位置に、車両内装用ボードに他の部品を取り付けるための取付孔が形成されても良い。即ち、車両内装用ボードを成形する工程において、位置決め用の下型突起部を利用して、車両内装用ボードに他の部品を取り付けるための取付孔を同時に形成することができる。これにより、車両内装用ボードを成形した後に、取付孔を形成する工程を別途行う必要がなくなり、生産性が向上する。
【0023】
また、本発明の車両内装用ボードの製造方法によれば、下型突起部の少なくとも1つは、上型側に配置される金属板の内面になる主面に当接しても良い。これにより、下型の上に2枚の金属板を所定の間隔を設けてセットすることができ、金属板のセットが容易になる。また、上型に金属板を保持するために設けられる電磁石やバキューム孔等を削減若しくは省略することができる。
【0024】
また、本発明の車両内装用ボードの製造方法によれば、下型突起部の少なくとも1つは、上型に達するよう形成されており、金属板を成形する工程では、上型に達する下型突起部の位置に対応して上型側に配置される金属板に孔が形成されても良い。これにより、発泡ポリウレタン層を形成する工程において、車両内装用ボードに、車両内装用ボードの一方の外面から他方の外面に貫通する取付孔を形成することができる。
【0025】
また、本発明の車両内装用ボードの製造方法によれば、上型には、上型に達する下型突起部の位置に対応してセット面から突出して下型突起部に当接する上型突起部が形成されており、成形空間を形成する工程では、上型側に配置される金属板の孔が上型突起部に嵌合するように金属板がセットされても良い。これにより、上型側に配置される金属板の位置決めが容易且つ正確になる。
【0026】
また、本発明の車両内装用ボードの製造方法によれば、上型に達する下型突起部の少なくとも1つは、上型側に配置される金属板の内面になる主面に当接する段部を有し、上型側に配置される金属板に形成される孔に嵌合しても良い。これにより、下型の上に2枚の金属板を所定の間隔を設けて正確な位置にセットすることができる。
【0027】
また、本発明の車両内装用ボードの製造方法によれば、下型及び上型の少なくとも一方のセット面には、該セット面に開口するバキューム孔と、バキューム孔の周囲を囲むシール部材と、が設けられており、成形空間を形成する工程では、バキューム孔の内部が減圧されてシール部材で囲まれた領域に金属板が吸引されて、セット面にセットされた金属板が下型または上型に保持されても良い。これにより、金属板を下型または上型に密着させて所定の位置に保持することができ、金属板の外面に発泡ポリウレタンが漏れて付着することを抑制することができる。よって、高品質な車両内装用ボードを製造することができる。また、特に、アルミニウム等の非磁性材料からなる金属板を好適に保持することができるので、軽量で高強度な車両内装用ボードを形成することができる。また、発泡ポリウレタンによるバキューム孔の詰まり等を抑制することができる。
【0028】
また、本発明の車両内装用ボードの製造方法によれば、成形空間を形成する工程では、一対の金属板の間であって下型突起部に嵌合した孔の周囲に補強部材が配設され、発泡ポリウレタン層を形成する工程では、補強部材が発泡ポリウレタン層の内部に固定されても良い。これにより、下型突起部を位置決めに利用して、孔近傍の正確な位置に補強部材を配設することができ、孔の周辺の剛性及び強度を高めることができる。そして、当該孔を車両内装用ボードに他の部品を取り付けるための取付孔として利用して、車両内装用ボードに把手やヒンジ等の他の部品を強固に固定することができる。よって、取付孔近傍の剛性及び強度を確保しつつ、車両内装用ボードの薄化や軽量化を図ることができる。また、強度を高めるための別部品等を後工程で別途取り付ける必要がなくなり、生産性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る車両内装用ボード及びその製造方法について図面に基づき詳細に説明する。
先ず、
図1ないし
図4を参照して、本発明の実施形態に係る車両内装用ボード1の構成について詳細に説明する。
図1は、車両内装用ボード1の概略構造を示す斜視図である。車両内装用ボード1は、例えば、自動車の荷室の床板等として用いられるものである。
【0031】
図1に示すように、車両内装用ボード1は、一対の金属板11、12と、金属板11と金属板12の間に形成された発泡ポリウレタン層13と、を備える。車両内装用ボード1は、後述する製造方法によって一体的に成形された多層構造の板状体である。車両内装用ボード1の厚みは、例えば、約3〜20mmであり、車両内装用ボード1は、用途に応じた所定の周囲形状に成形される。
【0032】
一対の金属板11、12は、例えば、厚み約0.1〜0.3mm、好ましくは、厚み約0.12〜0.15mmの略平坦なアルミニウム板である。なお、図においては、説明のため金属板11、12の厚みを大きく表している。金属板11、12としてアルミニウム板が用いられることより、軽量且つ高強度な車両内装用ボード1となる。また、金属板11、12は、例えば、波形等、所定の凹凸形状に形成されても良い。これにより、強度を確保しつつ車両内装用ボード1の軽量化を図ることができる。なお、金属板11、12としては、亜鉛めっき鋼板や各種塗装鋼板等、その他の金属板が用いられても良い。金属板11、12として鋼板が用いられる場合には、金属板11、12の厚みは、約0.07〜0.3mmが好ましい。
【0033】
車両内装用ボード1には、車両内装用ボード1に図示しないヒンジや把手等の他の部品を取り付けるための取付孔14、把手孔15及びその他の図示しない取付孔等が形成されている。取付孔14及び把手孔15等は、発泡ポリウレタン層13を形成して車両内装用ボード1を一体的に成形する工程で形成される。詳細については、後述する。
【0034】
また、図示を省略するが、車両内装用ボード1の外面には、用途に応じて表面仕上げ用の表皮材として、カーペット等が貼付される。表皮材としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)製の不織布等が用いられる。また、表皮材として、その他の繊維等を材料とする不織布や繊維織物、その他各種シート材等が用いられても良い。
【0035】
図2(A)は、車両内装用ボード1の周囲縁部の概略構造を示す断面図である。
図2(A)に示すように、発泡ポリウレタン層13は、金属板11、12よりも平面形状が大きく、車両内装用ボード1の周囲縁部において、金属板11、12の周囲端部11c、12cよりも外側に突出している。
【0036】
そして、金属板11、12の周囲端部11c、12cは、発泡ポリウレタン層13で覆われている。また、金属板11、12の周囲端部11c、12cよりも外側に形成される部分の発泡ポリウレタン層13は、その上面及び下面がそれぞれ金属板11、12の外面11a、12
aと面一に形成されている。
【0037】
このように金属板11、12の周囲端部11c、12cが発泡ポリウレタン層13で覆われることにより、金属板11、12の切断面である周囲端部11c、12cの酸化等による劣化を抑制することができる。また、金属板11、12の周囲端部11c、12cにおいて、金属板11、12と発泡ポリウレタン層13との接合が良好になり、金属板11、12の剥離を防止することができる。
【0038】
図2(B)は、車両内装用ボード1の周囲縁部の他の例を示す断面図である。前述のとおり、車両内装用ボード1の周囲縁部は、発泡ポリウレタン層
13で取り囲まれている。このような構成により、
図2(B)に示すように、車両内装用ボード1の周囲角部に丸み付けを施し、面取り部13aを形成することが可能となる。
【0039】
面取り部13aが形成されることにより、車両内装用ボード1の製造工程において、車両内装用ボード1を型から取り外す際、金属板11、12の剥離や発泡ポリウレタン層13の欠け等を防止することができ、車両内装用ボード1の離型が容易になる。なお、面取り部13aの形状は、丸み付け形状に限定されるものではなく、周囲角部に平面を付ける面取り形状でも良い。また、面取り部13aは、車両内装用ボード1の上下両面側の角部に形成されても良い。また、
図2(A)に示すように、面取り部13aが形成されない構成も勿論可能である。
【0040】
図3(A)は、車両内装用ボード1の取付孔14付近の概略構成を示す断面図である。
図3(B)は、取付孔14付近の概略構成の他の例を示す断面図であり、
図3(C)は、取付孔14付近の概略構成の更に他の例を示す断面図である。
【0041】
図3(A)に示すように、車両内装用ボード1に図示しないヒンジ等の他の部品を取り付けるための取付孔14は、例えば、一方の外面11aからその反対側となる他方の外面12aに貫通する孔として形成される。取付孔14には、他の部品を固定するための、図示しないねじやリベット等の締結具等が挿通される。
【0042】
また、
図3(B)に示すように、取付孔14の周囲には、補強部材としてのグロメット25等が配設されても良い。グロメット25は、補強部材としての機能に加え、締結部材としての機能を兼ね備えても良い。
【0043】
具体的には、グロメット25は、例えば、合成樹脂や金属等からなる略円筒状の部材等であり、内周面に図示しないタッピングねじ等が螺合するものであっても良い。また、グロメット25は、図示しないねじ等が螺合するための雌ねじが予め形成されたナット等であっても良い。また、グロメット25は、図示しない他のグロメット等が係合するための係合部が形成された係合部材等であっても良い。
【0044】
このようにグロメット25が配設されることにより、取付孔14近傍の剛性及び強度が高められ、または、取付孔14とそこに固定される締結具等との接合が強固になり、車両内装用ボード1に他の部品を強固に固定することができる。また、グロメット25等によって取付孔14近傍の剛性及び強度を確保することにより、車両内装用ボード1の薄化や軽量化を図ることができる。
【0045】
また、取付孔14は、車両内装用ボード1の一方の外面11aから他方の外面12aに貫通する孔に限定されるものではなく、
図3(C)に示すように、貫通しない穴であっても良い。そして、取付孔14が貫通しない穴として形成される場合にも、取付孔14の周囲に補強部材または締結部材としてのグロメット26等が配設されても良い。
【0046】
図4(A)は、車両内装用ボード1の把手孔15付近を示す平面図である。
図4(B)は、把手孔15付近を示す断面図であり、
図4(A)に示すA−A線断面を示している。
図4(A)及び
図4(B)に示すように、車両内装用ボード1には、図示しない把手等の他の部品を取り付けるための取付孔である把手孔15が形成されている。把手孔15周囲の発泡ポリウレタン層13の内部には、把手孔15を囲むように、補強部材としての補強金具27が配設されている。
【0047】
補強金具27は、例えば、鋼等の金属製の棒材等を曲折することにより形成される平面視略C字形状の部材である。把手孔15の周囲に補強金具27が配設されることにより、把手孔15近傍の剛性及び強度を高めることができる。
【0048】
次に、
図5ないし
図8を参照して、車両内装用ボード1の成形装置30及び製造方法について詳細に説明する。
図5(A)ないし
図5(C)は、車両内装用ボード1の製造工程を示す図である。
図5(A)は、一対の金属板11、12が下型31及び上型32にセットされた状態を示す図である。
図5(B)は、成形空間60が形成された状態を示す図であり、
図5(C)は、発泡ポリウレタン層13が形成された状態を示す図である。
【0049】
車両内装用ボード1を製造するための工程として、先ず、金属板11、12を成形する工程が行われる。具体的には、例えば、プレスせん断加工やレーザー加工等によって、一対の金属板11、12がそれぞれ所定形状にカットされる。
【0050】
次に、コーティング剤を塗布する工程が行われる。コーティング剤を塗布する工程では、一対の金属板11、12のそれぞれ一方の主面にエポキシ樹脂系のコーティング剤が塗布される。このコーティング剤が塗布された前記一方の主面は、車両内装用ボード1が形成された際に発泡ポリウレタン層13側を向く内面11b、12bになる主面である。そして、塗布されたコーティング剤を乾燥させる乾燥工程が行われ、これにより、コーティング剤は乾燥する。
【0051】
次に、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、成形空間60を形成する工程が行われる。成形空間60を形成する工程では、先ず、
図5(A)に示すように、コーティング剤が塗布された金属板11、12がRIM成形装置である成形装置30の下型31及び上型32にセットされる。
【0052】
ここで、成形装置30は、下型31と、下型31にヒンジ部40を介して開閉自在に接続された上型32と、を有する。成形装置30の下型31の上面には、平面形状が金属板11よりも大きい凹部34が形成されている。凹部34の底面は、金属板11がセットされるセット面35となる。このセット面35の略中央に金属板11の外面11aになる主面、即ちコーティング剤が塗布された内面11bに対して反対側の主面、が当接するようにして、金属板11がセット面35にセットされる。
【0053】
また、上型
32には、金属板12よりも平面形状が大きいセット面36が形成されている。このセット面36の略中央に金属板12の外面12aになる主面、即ちコーティング剤が塗布された内面12bに対して反対側の主面、が当接するようにして、金属板12がセット面36にセットされる。
【0054】
そして、下型31のセット面35に開口するバキューム孔38及び上型32のセット面36に開口するバキューム孔39の内部が図示しないバキューム装置によって減圧される。これにより、金属板11、12は、下型31及び上型32にそれぞれ保持される。なお、金属板11、12として、例えば、鋼板等の磁性材料を使用する場合には、電磁石の磁力を利用して金属板11、12を保持しても良い。
【0055】
次に、
図5(B)に示すように、上型
32が閉じられて、下型
31の上面に載せられる。これにより、コーティング剤が塗布された内面11b、12bになる主面を対向させるようにして、一対の金属板11、12が下型31及び上型32で挟み込まれる。そして、金属板11、12の間に成形空間60が形成される。
【0056】
そして次に、
図5(C)に示すように、発泡ポリウレタンの液体原料であるイソシアネートとポリオールを含む液状の混合原料が注入ポート37を経由して成形空間60に注入され、発泡ポリウレタン層13を形成する工程が行われる。
【0057】
ここで、下型31及び上型32は、図示しない加熱手段によって所定の温度、例えば60〜80℃、に維持されている。これにより、成形空間60に注入された前記液体原料は、成形空間60の内部で加熱され化学反応して発泡し硬化する。その結果、発泡ポリウレタン層13が形成される。
【0058】
このように液体原料が反応して発泡、硬化して、発泡ポリウレタン層13が形成されることにより、発泡ポリウレタン層13を接合部材として金属板11、12が強固に接合され、一体化された車両内装用ボード1が成形される。
【0059】
なお、前述のとおり、金属板11、12の内面11b、12bには、予めエポキシ樹脂系のコーティング剤が塗布されている。これにより、発泡ポリウレタン層13と、金属板11、12との接合が強固になる。
【0060】
発泡ポリウレタン層13の成形が完了したら、バキューム孔38、39による金属板11、12の保持が解除され、上型32が開かれ、車両内装用ボード1が下型31から取り外される。
【0061】
以上の工程により、一対の金属板11、12と発泡ポリウレタン層13が一体となった積層構造の車両内装用ボード1が完成する。なお、この後、それぞれの用途に応じて、車両内装用ボード1の外面11a、12aに適当な表皮材等が貼付され、また、車両内装用ボード1にその他の部品等が取り付けられて、車両等に用いられる床板等の製品が完成する。
【0062】
図6(A)は、成形空間60が形成された状態における金属板11、12の周囲端部11c、12c近傍を示す断面図である。
図6(B)は、下型31のバキューム孔38付近を示す平面図である。
【0063】
前述のとおり、下型31及び上型32のセット面35、36は、金属板11、12の平面形状よりも大きく形成されており、成形空間60を形成する工程では、金属板11、12は、それぞれセット面35、36の中央付近に配置される。即ち、成形空間60が形成された状態において、周囲端部11c、12cは、下型31及び上型32に当接しておらず、成形空間60内に露出している。
【0064】
これにより、液体原料を成形空間60に注入して発泡ポリウレタン層13(
図2参照)を形成する工程において、発泡ポリウレタン層13は、金属板11、12の周囲端部11c、12cを覆い、金属板11、12の外面11a、12aと面一に形成される。よって、金属板11、12の周囲端部11c、12cの酸化を抑制することができる。また、金属板11、12と発泡ポリウレタン層13との接合強度が高められ、金属板11、12の剥離等を防止することができる。
【0065】
また、下型31の凹部34の周囲角部34aには、丸み付けが施されていても良い。これにより、
図2(B)に示すように、車両内装用ボード1の周囲角部に面取り部13aを形成すること
ができ、金属板11、12の剥離や発泡ポリウレタン層13の欠け等を防止することができる。また、車両内装用ボード1の離型を容易化することができる。
【0066】
また、
図6(A)及び
図6(B)に示すように、下型31及び上型32のセット面35、36には、セット面35、36に開口するバキューム孔38、39がそれぞれ形成されている。バキューム孔38、39の周囲には、バキューム孔38、39の周囲を囲むOリング溝51、52が形成されており、Oリング溝51、52には、シール部材としてのOリング53、54が装着されている。バキューム孔38、39及びそれらを囲むOリング53、54は、複数箇所に形成され、金属板11、12を取り囲むように金属板11、12の周囲形状に対応して金属板11、12の周囲縁部に相当する位置に配列されている。
【0067】
このような構成により、金属板11、12をセットする工程では、バキューム孔38
、39の内部が減圧されてOリング53、54で囲まれた領域に金属板11、12が吸引されて、金属板11、12が下型31または上型32に保持される。
【0068】
これにより、金属板11、12を下型31または上型32に密着させて所定の位置に保持することができ、金属板11、12の外面11a、12aに発泡ポリウレタンが漏れて付着することを抑制することができる。よって、高品質な車両内装用ボード1を製造することができる。
【0069】
また、Oリング53、54に囲繞されたバキューム孔38、39による吸引を利用することにより、アルミニウム等の非磁性材料からなる金属板11、12を好適に保持することができる。よって、軽量で高強度な車両内装用ボード1を形成することができる。また、バキューム孔38、39の周囲にOリング53、54が設けられることにより、発泡ポリウレタンによるバキューム孔38、39の詰まり等を抑制することができる。
【0070】
図7(A)は、車両内装用ボード1の製造工程における成形空間60が形成された状態の下型ピン部41及び上型ピン部42付近の断面図である。
図7(A)に示すように、下型31には、下型突起部として、セット面35から上方に向かって突出する下型ピン部41が形成されている。下型ピン部41は、下部の径よりも上部の径の方が小さく形成された略円錐台形状の突起である。
【0071】
同様に、上型32には、上型突起部として、下型ピン部41の位置に対応してセット面36から下方に向かって突出して下型ピン部41に当接する上型ピン部42が形成されている。上型ピン部42は、上部の径よりも下部の径の方が小さく形成された略円錐台形状の突起である。このように下型ピン部41及び上型ピン部42が略円錐台形状に形成されることにより、後述する金属板11、12のセットが容易なる。また、成形後の離型も容易になる。
【0072】
前述の金属板11、12を成形する工程では、金属板11に位置決め用の孔16が形成され、金属板12に位置決め用の孔17が形成される。そして、成形空間60を形成する工程では、下型31側に配置される金属板11の孔16が下型ピン部41に嵌合するように金属板11がセットされる。同様に、上型32側に配置される金属板12の孔17が上型ピン部42に嵌合するように金属板12がセットされる。
【0073】
前述のとおり、下型ピン部41及び上型ピン部42は、略円錐台形状に形成されているので、下型ピン部41及び上型ピン部42に孔16、17を嵌合させる作業は容易である。上記の構成により、それぞれセット面35、36の中央付近に配置される金属板11、12の位置決めを容易且つ正確に行うことができる。即ち、
図6(A)に示すように、金属板11、12の周囲端部11c、12cが下型31及び上型32に当接しない配置方法において、金属板11、12をセット面35、36に対して正確な位置にセットすることができる。これにより、車両内装用ボード1の周囲縁部に、金属板11、12の周囲端部11c、12cを覆う発泡ポリウレタン層13(
図2参照)を所定の幅寸法で正確に形成することができる。
【0074】
また、
図7(A)に示すように、下型ピン部41及び上型ピン部42によって金属板11、12の位置決めを行うことにより、発泡ポリウレタン層を形成する工程では、下型ピン部41及び上型ピン部42に対応する位置に上下方向に貫通する貫通孔が形成される。この貫通孔は、
図3(A)に示すように、車両内装用ボード1に他の部品を取り付けるための取付孔14として利用することができる。
【0075】
即ち、車両内装用ボード1を成形する工程において、
図7(A)に示す位置決め用の下型ピン部41及び上型ピン部42を利用して、車両内装用ボード1に他の部品を取り付けるための取付孔14を同時に形成することができる。これにより、車両内装用ボード1を成形した後に、取付孔14を形成する工程を別途行う必要がなくなり、車両内装用ボード1の生産性が向上する。
【0076】
なお、
図7(A)に示すように、上型ピン部42は、下型ピン部41と比べて短く形成されている。これにより、成形後の上型32の取り外しが容易になる。即ち、上型ピン部42が短く形成されることにより、
図5に示すように、ヒンジ部40によって下型31に連結されて扉状に回動して開かれる上型32側の離型が容易になる。
【0077】
また、
図7(A)に示す上型ピン部42及び位置決め用の孔17は、少なくとも2カ所あれば、金属板12を正確な位置に配置することができる。そこで、例えば、上型32に上型突起部としての上型ピン部42を形成せず、下型31には、上型32に形成された孔17に嵌合して上型32の略平坦なセット面36に当接する形態の下型突起部が形成されても良い。このような形態の下型突起部が形成されることによっても、発泡ポリウレタン層を形成する工程において、
図3(A)に示すような車両内装用ボード1の一方の外面11aから他方の外面12aに貫通する取付孔14を形成することができる。
【0078】
また、
図3(C)に例示したように、取付孔14は、必ずしも貫通する孔である必要はない。取付孔14が外面12aに貫通しない穴である場合、
図7(A)に示す孔17を金属板12に形成する必要はなく、下型突起部は、上型32に当接しない構成でも良い。
【0079】
また、
図3(B)及び
図3(C)に示すように、取付孔14に補強部材としての
グロメット25、26等が設けられる場合には、
図7(A)に示すように、金属板11をセットする工程において、
グロメット25等は、下型ピン部41に嵌合するよう配置される。これにより、下型ピン部41を位置決めに利用して、
グロメット25等を所定の位置に容易且つ正確に配置することができる。
【0080】
そして、下型ピン部41に嵌合するよう配置された
グロメット25等は、発泡ポリウレタン層13(
図3(B)参照)を形成する工程において、発泡ポリウレタン層13の内部に固定される。よって、取付孔14近傍の剛性及び強度を高めるための補強部材を後工程で別途取り付ける必要がない。
【0081】
図7(B)は、下型突起部の他の例である下型ピン部45付近の断面図である。
図7(B)に示すように、下型突起部の少なくとも1つとして、上型32側に配置される金属板12の内面12bになる主面に当接する下型ピン部45が形成されても良い。
【0082】
このように、金属板12の内面12bに当接する下型ピン部45が形成されることにより、下型31の上に2枚の金属板11、12を所定の間隔を設けてセットすることができる。即ち、
図5(A)に示すように上型32が開かれた状態において、上型32側の金属板12を、上型32ではなく、下型31にセットすることができる。これにより、金属板12のセットが容易になる。また、上型32に金属板12を保持するために設けられるバキューム孔39や電磁石等を削減若しくは省略することができる。
【0083】
図7(C)は、下型突起部の更に他の例としての下型ピン部47付近を示す断面図である。
図7(C)に示すように、下型突起部の少なくとも1つとして、上型32側に配置される金属板12の内面12bに当接する段部48を有し、且つ、金属板12に形成された位置決め用の孔17に嵌合する下型ピン部47が形成されても良い。
【0084】
即ち、下型ピン部47の上端近傍には、該上端近傍が段差状に縮径されて、金属板12の内面12bに当接する段部48と、段部48から突設されて金属板12の孔17に嵌合する凸部49と、が形成されている。また、上型32には、下型ピン部47の上端の凸部49が嵌合する凹部50が形成されていても良い。
【0085】
このような構成により、金属板11、12をセットする工程において、下型31の上に2枚の金属板11、12を所定の間隔を設けて正確な位置にセットすることができる。また、上型32のバキューム孔39や電磁石等を削減若しくは省略することができる。
【0086】
図8(A)は、成形装置30の下型31の把手孔成形部43付近を示す斜視図であり、
図8(B)は、金属板11、12がセットされて成形空間60が形成された状態の把手孔成形部43付近を示す断面図である。
【0087】
図8(A)に示すように、下型31の凹部34内には、把手孔15(
図4参照)を成形するための下型突起部である把手孔成形部43が形成されている。把手孔成形部43は、把手孔15の形状に対応した平面形状で、セット面35から上方に向かって突設されている。把手孔成形部43の上面には、上方に開口し、一方の側面からその反対側になる他方の側面に貫通する流路溝44が形成されている。
【0088】
図8(B)に示すように、金属板11、12を成形する工程では、金属板11、12に、把手孔成形部43の平面形状に対応する孔18、19がそれぞれ形成される。成形空間60を形成する工程では、下型31側に配置される金属板11の孔18が把手孔成形部43に嵌合するように金属板11が下型31のセット面35セットされる。また、下型31にセットされた金属板11の上には、把手孔成形部43を位置決めとして、補強金具27が載置される。
【0089】
そして、上型32側に配置される金属板12の孔19も把手孔成形部43に嵌合するよう金属板12がセットされる。把手孔成形部43の上面は、下型31の上に閉じられた上型32のセット面36に当接する。
【0090】
そして、発泡ポリウレタン層13(
図1参照)を形成する工程において、成形空間60に発泡ポリウレタンの液体原料が注入される。これにより、
図4(A)及び
図4(B)に示すように、車両内装用ボード1の一方の外面11aから他方の外面12aに貫通し、周囲が補強金具27で補強された把手孔15が形成される。
【0091】
ここで、
図8(A)を参照して説明したとおり、把手孔成形部43の上面には、流路溝44が形成されている。そのため、
図8(B)に示すように、成形空間60が形成された状態において、下型31と上型32で挟まれた流路溝44は、把手孔成形部43の一方の側面から他方の側面に貫通する空間となる。この流路溝44は、発泡ポリウレタン層13を形成する工程において、発泡ポリウレタンの液体原料が流れる流路となる。
【0092】
このように、把手孔成形部43の上面に形成された流路溝44が液体原料の流路になることにより、把手孔成形部43の周囲に発泡ポリウレタンの液体原料を効率的に供給することができ、空隙等の欠陥が少ない高品質な発泡ポリウレタン層13を形成することができる。
【0093】
なお、流路溝44内で硬化した余分な発泡ポリウレタンは、発泡ポリウレタン層13を形成する工程の後に、車両内装用ボード1から切除される。流路溝44は、上方が開口しているので、余分な発泡ポリウレタンの除去も容易である。
【0094】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で、その他の種々の変更実施が可能である。