特許第6563622号(P6563622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563622工具保管装置、工作機械及び複合加工機械
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6563622
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】工具保管装置、工作機械及び複合加工機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/155 20060101AFI20190808BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20190808BHJP
   B23P 23/04 20060101ALI20190808BHJP
   B23Q 3/157 20060101ALI20190808BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20190808BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20190808BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20190808BHJP
【FI】
   B23Q3/155 K
   B23Q11/08 Z
   B23P23/04
   B23Q3/155 G
   B23Q3/157 B
   B23K26/70
   B23K26/34
   B23K26/21 Z
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-504994(P2019-504994)
(86)(22)【出願日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】JP2018033103
【審査請求日】2019年1月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114787
【氏名又は名称】ヤマザキマザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀部 和也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 征一
(72)【発明者】
【氏名】村上 恵吾
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/017825(WO,A1)
【文献】 特開昭60−259344(JP,A)
【文献】 特表2013−538698(JP,A)
【文献】 特開2011−230265(JP,A)
【文献】 特開2006−102812(JP,A)
【文献】 特開昭62−050098(JP,A)
【文献】 特開平02−155585(JP,A)
【文献】 特開平07−112341(JP,A)
【文献】 特開2001−138164(JP,A)
【文献】 特開2004−136412(JP,A)
【文献】 特開2004−268214(JP,A)
【文献】 特開2005−088134(JP,A)
【文献】 特開2010−137293(JP,A)
【文献】 特開2018−024074(JP,A)
【文献】 特開昭59−024934(JP,A)
【文献】 実開平05−053848(JP,U)
【文献】 米国特許第6071220(US,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0034912(KR,A)
【文献】 特開2008−110425(JP,A)
【文献】 特表2012−513308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
B23Q 3/155−3/157
B23Q 11/00−13/00
B23Q 17/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を保持する複数の工具保持部材を内部に配置する箱形の工具マガジンと、
前記工具マガジンの外部に配設され、前記工具マガジンを、前記工具を交換する交換位置と前記工具を保管する保管位置との間で移動させるマガジン移動装置と、
前記工具マガジンと前記マガジン移動装置を内部に配置する保管装置カバーと、を備え
前記工具マガジンは、前記マガジン移動装置によって移動させられる方向に沿って前記工具保持部材を配置する、
工具保管装置。
【請求項2】
前記工具マガジンは、前記保管装置カバーに面したマガジン開口部を含み、
前記保管装置カバーは、前記工具マガジンに面したカバー開口部を含み、
前記工具マガジンは、前記交換位置において、前記マガジン開口部が前記カバー開口部と重なり、前記保管位置において、前記マガジン開口部が前記カバー開口部と重ならない、
請求項1に記載の工具保管装置。
【請求項3】
前記マガジン移動装置を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記工具マガジンを、それぞれの前記工具保持部材の位置に応じた前記交換位置に移動させるように前記マガジン移動装置を制御する、
請求項1又は2に記載の工具保管装置。
【請求項4】
前記工具マガジンに空気を供給する空気供給装置をさらに備えている、
請求項1〜のいずれか1項に記載の工具保管装置。
【請求項5】
第一の状態で前記工具マガジンに設けたマガジン開口部の周囲と、前記工具マガジンに面した保管装置カバーとの一方から離間し、第二の状態で前記マガジン開口部の周囲と前記保管装置カバーとに当接する、密封装置を備える、
請求項1〜のいずれか1項に記載の工具保管装置。
【請求項6】
前記密封装置は、伸縮する材質で管状に形成されており、内部に流体を充填し加圧することで膨張して、前記第一の状態から前記第二の状態に遷移する膨張シールを含む、
請求項に記載の工具保管装置。
【請求項7】
前記工具マガジンは、前記マガジン開口部が設けられた面と異なる面に第一のドアを備える、
請求項2に記載の工具保管装置。
【請求項8】
前記工具マガジンと前記マガジン移動装置を内部に配置する保管装置カバーは、前記工具マガジンの前記保管位置において、前記第一のドアと重なる位置に第二のドアを備える、
請求項に記載の工具保管装置。
【請求項9】
前記工具は、
レーザビームを射出するレーザ射出経路と、
該レーザ射出経路においてレーザビームを集光する光学素子と、を含む、
請求項1〜のいずれか1項に記載の工具保管装置。
【請求項10】
前記工具は、さらに前記レーザビームの照射領域に向けて金属粉末を供給する粉末供給経路を含む、
請求項に記載の工具保管装置。
【請求項11】
工具を保持する複数の工具保持部材を内部に配置する箱形の工具マガジンと、前記工具マガジンの外部に配設され、前記工具マガジンを交換位置と保管位置との間で移動させるマガジン移動装置と、を含む工具保管装置と、
工具を装着して加工を行う加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを移動する加工ヘッド移動装置と、
前記マガジン移動装置と、前記加工ヘッド移動装置を制御する工作機械の制御部と、
前記工具を用いて加工を行う機内領域と、前記工具を保管する保管領域との間に配置された壁と、を備え、
前記壁は、カバー開口部を含み、
前記工具マガジンは、前記壁に面したマガジン開口部を含み、
前記制御部は、前記工具マガジンを前記保管位置から前記交換位置へと移動させるよう
に、前記マガジン移動装置を制御し、
前記工具マガジンは、前記交換位置において、前記マガジン開口部が前記カバー開口部と重なり、前記保管位置において、前記マガジン開口部が前記カバー開口部と重ならず、
前記工具マガジンは、前記マガジン移動装置によって移動させられる方向に沿って前記工具保持部材を配置する、
工作機械。
【請求項12】
前記制御部は、前記交換位置における前記工具マガジンの内部に、前記加工ヘッドを進入させるように前記加工ヘッド移動装置を制御する、
請求項11に記載の工作機械。
【請求項13】
レーザ加工に用いるレーザ加工工具を保持する複数の工具保持部材を内部に配置する箱形の工具マガジンと、前記工具マガジンの外部に配設され、前記工具マガジンを交換位置と保管位置との間で移動させるマガジン移動装置と、を含む工具保管装置と、
前記レーザ加工工具を装着してレーザ加工を行う加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを移動する加工ヘッド移動装置と、
切削加工に用いる切削工具を装着して切削加工を行う工具主軸と、
前記工具主軸を移動する工具主軸移動装置と、
前記マガジン移動装置と、前記加工ヘッド移動装置を制御する制御部と、
前記レーザ加工工具を用いて加工を行う機内領域と、前記レーザ加工工具を保管する保管領域との間に配置された壁と、を備え、
前記壁は、カバー開口部を含み、
前記工具マガジンは、前記壁に面したマガジン開口部を含み、
前記制御部は、前記工具マガジンを前記保管位置から前記交換位置へと移動させるように、前記マガジン移動装置を制御し、
前記工具マガジンは、前記交換位置において、前記マガジン開口部が前記カバー開口部と重なり、前記保管位置において、前記マガジン開口部が前記カバー開口部と重ならず、
前記工具マガジンは、前記マガジン移動装置によって移動させられる方向に沿って前記工具保持部材を配置する、
複合加工機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具保管装置、工作機械及び複合加工機械に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームを用いたワークの切断、焼入れ技術や、ワークに付加材料を供給しつつレーザビームを照射することで付加材料をワークに溶融・結合させる付加製造(Additive Manufacturing)技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、レーザ加工工具をそれぞれ保管するツールチェンジマガジンを備えるレーザ加工機の工具ステーションが開示されている。特許文献1のレーザ加工機は、ツールチェンジマガジンに保管した集光レンズ等の光学素子を含むレーザ加工工具を、加工の状況に応じて、加工ヘッドに取り付けたレーザ加工工具と交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−334920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、光学素子を含むレーザ加工工具は、保管する際、異物等により汚染されないよう保護する必要がある。特許文献1に開示されている技術によれば、ツールチェンジマガジン内で、ツールを保持するホルダを移動可能としているために、ツールチェンジマガジン内に可動部を有することとなり、その可動部から生じる異物等による汚染対策が必要とされている。
【0006】
また、従来技術においては、レーザ加工工具を保管しているそれぞれのツールチェンジマガジンへ加工ヘッドを移動させて工具を交換するため、ツールチェンジマガジンの数が加工ヘッドの可動範囲によって制限され、工具の保管能力を容易に変更できないことが課題とされていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、工具の汚染を抑制するとともに、工具マガジンにおける工具の保管能力を容易に変更可能な工具保管装置、工作機械及び複合加工機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によれば、工具保管装置は、工具を保持する複数の工具保持部材を内部に配置する箱形の工具マガジンと、工具マガジンの外部に配設され、工具マガジンを、工具を交換する交換位置と工具を保管する保管位置との間で移動させるマガジン移動装置と、前記工具マガジンと前記マガジン移動装置を内部に配置する保管装置カバーと、を備え、前記工具マガジンは、前記マガジン移動装置によって移動させられる方向に沿って前記工具保持部材を配置する。
【0009】
本発明の第2の側面によれば、工作機械は、工具を保持する複数の工具保持部材を内部に配置する箱形の工具マガジンと、前記工具マガジンの外部に配設され、前記工具マガジンを交換位置と保管位置との間で移動させるマガジン移動装置と、を含む工具保管装置と、工具を装着して加工を行う加工ヘッドと、前記加工ヘッドを移動する加工ヘッド移動装置と、前記マガジン移動装置と、前記加工ヘッド移動装置を制御する工作機械の制御部と、
前記工具を用いて加工を行う機内領域と、前記工具を保管する保管領域との間に配置された壁と、を備え、前記壁は、カバー開口部を含み、前記工具マガジンは、前記壁に面したマガジン開口部を含み、前記制御部は、前記工具マガジンを前記保管位置から前記交換位置へと移動させるように、前記マガジン移動装置を制御し、前記工具マガジンは、前記交換位置において、前記マガジン開口部が前記カバー開口部と重なり、前記保管位置において、前記マガジン開口部が前記カバー開口部と重ならず、前記工具マガジンは、前記マガジン移動装置によって移動させられる方向に沿って前記工具保持部材を配置する
【0010】
本発明の第3の側面によれば、レーザ加工に用いるレーザ加工工具を保持する複数の工具保持部材を内部に配置する箱形の工具マガジンと、前記工具マガジンの外部に配設され、前記工具マガジンを交換位置と保管位置との間で移動させるマガジン移動装置と、を含む工具保管装置と、前記レーザ加工工具を装着してレーザ加工を行う加工ヘッドと、前記加工ヘッドを移動する加工ヘッド移動装置と、切削加工に用いる切削工具を装着して切削加工を行う工具主軸と、前記工具主軸を移動する工具主軸移動装置と、前記マガジン移動装置と、前記加工ヘッド移動装置を制御する制御部と、前記レーザ加工工具を用いて加工を行う機内領域と、前記レーザ加工工具を保管する保管領域との間に配置された壁と、を備え、前記壁は、カバー開口部を含み、前記工具マガジンは、前記壁に面したマガジン開口部を含み、前記制御部は、前記工具マガジンを前記保管位置から前記交換位置へと移動させるように、前記マガジン移動装置を制御し、前記工具マガジンは、前記交換位置において、前記マガジン開口部が前記カバー開口部と重なり、前記保管位置において、前記マガジン開口部が前記カバー開口部と重ならず、前記工具マガジンは、前記マガジン移動装置によって移動させられる方向に沿って前記工具保持部材を配置する
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、工具の汚染を抑制するとともに、工具マガジンにおける工具の保管能力を容易に変更可能な工具保管装置、工作機械及び複合加工機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、複合加工機械10を本体カバー21の正面側を外した状態で見た斜視図である。
図2図2は、複合加工機械10を本体カバー21および保管装置カバー22の正面側を外した状態の正面図である。
図3図3は、本実施形態の複合加工機械10における工具保管装置200の斜視図である。
図4A図4Aは、図2のA−A断面を右側から見た断面図である。
図4B図4Bは、図2のB−B断面を右側から見た断面図である。
図5図5は、工具マガジン210をマガジン開口部210a側から見た斜視図である。
図6図6は、工具マガジン210をマガジン開口部210a側から見た斜視図である。
図7図7は、把持部217とトーチ30との関係を示す図である。
図8図8は、図5のC−C断面をとって隣接する壁22aと共に示す拡大図である。
図9図9は、図5のC−C断面をとって隣接する壁22aと共に示す拡大図である。
図10】加工ヘッド111の先端にトーチ30を取り付けた状態を示す断面図である。
図11図11は、制御部PROCの工具保管制御を示すフローチャートである。
図12図12は、加工ヘッド111と、工具保管装置200の関連する動作を示す図である。
図13図13は、加工ヘッド111と、工具保管装置200の関連する動作を示す図である。
図14図14は、加工ヘッド111と、工具保管装置200の関連する動作を示す図である。
図15図15は、トーチ30の受け渡し時における加工ヘッド111の先端を拡大して把持部217と共に示す斜視図である。
図16図16は、トーチ30の受け渡し時における加工ヘッド111の先端を拡大して把持部217と共に示す斜視図である。
図17図17は、トーチ30の受け渡し時における加工ヘッド111の先端を拡大して把持部217と共に示す斜視図であるが、加工ヘッド111のチャック機構は省略している。
図18図18は、加工ヘッド111と、工具保管装置200の関連する動作を示す図である。
図19図19は、加工ヘッド111と、工具保管装置200の関連する動作を示す図である。
図20図20は、本実施形態の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
(複合加工機械の構成)
図1は、複合加工機械10を本体カバー21の正面側を外した状態で見た斜視図である。図2は、複合加工機械10を本体カバー21および保管装置カバー22の正面側を外した状態の正面図であり、複合加工機械10の内部構造を示している。図3は、本実施形態の複合加工機械10における工具保管装置200の斜視図である。
【0015】
ここで、複合加工機械10の左右方向をZ軸方向とし、奥行き方向をY軸方向とし、高さ方向をX軸方向とする。
【0016】
また、本明細書で用いる「付加製造」は、ワークに付加材料を供給しつつ、レーザビーム等を集中させることによって熱の発生位置を制御し、上記付加材料を選択的にワークに溶融・結合させることを意味する。
【0017】
また、「保管位置」とは、工具を保管する工具マガジンの位置をいい、「交換位置」とは、工具の受け渡しを行うために、加工ヘッドが工具マガジンの内部にアクセス可能な工具マガジンの位置をいい、保管位置とは異なる。
【0018】
複合加工機械10は、基台100と本体カバー21で囲まれた機内領域IRと、機内領域IRに隣接して形成され保管装置カバー22で囲まれた保管領域SRとに区分される。機内領域IRの内部は複数の領域に仕切られており、その領域の一つに、ワークWを加工する加工領域がある。本体カバー21は、基台100に取り付けられ、機内領域IRの正面背面両側(図1では正面側を取り外して図示)、図1で左側、及び上側を覆っている。つまり、本体カバー21の図1で右側は開口している。
保管領域SRは、機内領域IRに隣接して設けられ、工具を保管する工具マガジン210や工具マガジン駆動機構220を収容している。保管装置カバー22は、保管領域SRの正面背面両側、左右両側、及び上下両側を覆っている。特に、保管装置カバー22の一部である図1で左側の壁22aは、保管装置カバー22から外方に延在して、本体カバー21の開口を覆っている。これにより本体カバー21と保管装置カバー22は、それぞれ内部の領域を外部に対して遮蔽している。
【0019】
図に示すように、複合加工機械10は、機内領域IR内において、ワークWを保持するワーク保持機構102と、ワークWに対して付加製造を行う付加製造機構110と、付加製造機構110をワークWに対して相対移動させる第1の移動機構(加工ヘッド移動装置ともいう)120と、ワークWに対して切削加工を行う工具主軸130と、工具主軸130をワークWに対して相対移動させる第2の移動機構(工具主軸移動装置)140と、工具保管装置200と、複合加工機械10の動作を制御する制御部(制御回路)PROCを備える。なお、制御部PROCは便宜的に図2に図示されており、図示された位置に配置される必要はなく、図1では図示を省略している。
【0020】
基台100上には、ワーク保持機構102と第2の移動機構140が配置されている。
【0021】
ワーク保持機構102は、側面側にチャック等のワーク保持部103(図2)を有し、ワーク保持部103は、制御機構PROCにより駆動制御されるワーク保持機構102内部のワーク主軸(不図示)に連結され、ワークWをC軸(図2)回りに回転自在に把持するように構成されている。
【0022】
付加製造機構110は、第1の移動機構120のアーム125の一端に、B軸(図2)回りに揺動可能に取り付けられた加工ヘッド111と、当該加工ヘッド111に接続される伝送機構112とを含んでいる。また、第1の移動機構120は、加工ヘッド111をワークWに対して相対移動させることができる。
【0023】
加工ヘッド111は、ワークWに例えば金属ワイヤや金属粉末等の付加材料を供給する供給部と、上記付加材料が供給されたワークWに例えばレーザビームを照射する照射部とを内部に含むが、その図示は省略する。
【0024】
さらに、加工ヘッド111の先端には、供給部から供給される付加材料を、ワークに向かって付与するとともに、照射部からのビームを集光するための光学素子を含むトーチ(工具又はレーザ加工工具)30が脱着可能に取り付けられている。トーチ30は、加工内容に応じてビーム径等を調節するために、複数種類が準備される。
【0025】
また、伝送機構112は、内部に上記付加材料やエネルギ線、付加製造に用いる気体等を伝送する伝送路や、制御部PROCから駆動信号を第1の移動機構120に伝達する配線H1(図2)を備えるとともに、基台100に設けたフレーム121に沿って取り付けられる。
【0026】
第1の移動機構120は、詳細な説明は省略するが、フレーム121に対して、付加製造機構110の加工ヘッド111を、Z軸方向、Y軸方向及びX軸方向に移動させることにより、3次元の任意の位置に移動可能に構成されている。
【0027】
また、加工ヘッド111と伝送機構112との間には、図示しない伝送路をアーム125の側面あるいは内部に設けて、付加材料、エネルギ線及び付加製造に用いる気体等を伝送できるように構成される。これにより、上記伝送路と電気系の配線等をまとめて取り扱うことが可能となり、ハンドリングやメンテナンスが容易となる。
【0028】
一方、工具主軸130は、切削工具TLによりワークWを切削加工するものである。
【0029】
ここで、「切削加工」としては、その代表的な例として、「旋削加工」、「ミーリング加工」等が含まれる。旋削加工とは、ワークをワーク保持部に取り付けて回転させながら、加工ヘッドに取り付けた旋削用工具をワークに接触させて加工するものである。また、「ミーリング加工」とは、ワークをワーク保持部に取り付けて固定あるいは角度割出した状態で、加工ヘッドに取り付けたミーリング用工具を回転させながらワークに接触させて加工するものである。本実施形態では、ミーリング加工を行うものとして、以下説明する。
【0030】
第2の移動機構140は、切削工具TLを取り付けた工具主軸130を、Z軸方向、Y軸方向及びX軸方向に移動させることにより、3次元の任意の位置に移動可能に構成されている。また、ミーリング加工時に、工具主軸130は、ミーリング加工用の切削工具TLを回転させる。
【0031】
(複合加工機械の動作)
次に、複合加工機械10の加工動作の例を説明する。複合加工機械の加工は、外部と遮断された機内領域IR内で行われる。
【0032】
付加製造機構110が、図2に点線で示すように、第1の移動機構120を用いてワークWの近傍に移動され、ワークWに対する付加製造が実施される。このとき、制御部PROCからの制御信号に応じて、加工ヘッド111が3次元方向に移動し、またB軸回りに揺動し、更にワーク保持機構102がワークWをC軸回りに回転させることで、ワークWの外表面における任意の位置で任意形状の付加製造を実現することができる。
【0033】
付加製造時には、工具主軸130は、第2の移動機構140によりワークWに対してZ軸方向に離れた場所に移動されて待機状態となる(図1,2参照)。
【0034】
付加製造工程が終了すると、制御部PROCからの制御信号に応じて、付加製造機構110は第1の移動機構120により、ワークWに対してZ軸方向に離れた場所に移動されて待機状態となる(図1参照)。
【0035】
その後、切削工程を行う場合、制御部PROCからの制御信号に応じて、工具主軸130が、第2の移動機構140を用いてワークWの近傍に移動され、ワークWに対する切削加工が実施される。
【0036】
(工作機械)
図1,2の複合加工機械10から、工具主軸130および第2の移動機構140を省略することによって、付加製造又はレーザ加工を行う工作機械として使用することができる。
【0037】
(工具保管装置の構成)
次に、工具保管装置200について説明する。工具保管装置200は、保管領域SRを覆う保管装置カバー22と、保管領域SR内に収容された工具マガジン210及び工具マガジン駆動機構220とを有する。図1〜3に示すように、機内領域IRと保管領域SRとは、壁22aを介して隔てられており、壁22aに設けられたアクセス開口(カバー開口部)22bを介してのみ、加工ヘッド111は、トーチ30交換の為に機内領域IRから保管領域SRへアクセス可能となっている。保管領域SRは、壁22aを含む保管装置カバー22により全体を覆われている。なお、本実施形態では保管装置カバー22に壁22aを含めているが、例えば壁22aを本体カバー21の一部としてもよい。この場合、本体カバー21の一部である壁22aと、保管装置カバー22とが共働して、保管領域SRを覆うカバーを構成することとなる。
【0038】
工具保管装置200は、フレーム121に固定されたマガジン支持フレーム228(図2)を配置する。マガジン支持フレーム228の上端部は、壁22aの上部開口22c(図3参照)に隣接しており、フレーム121の端部上部に固定されたブラケット121aに、上部開口22cを通して接続されている。なお、上部開口22cとマガジン支持フレーム228の上端部との間は、異物が通過することのないよう隙間なくシールしてもよい。保管領域SR側において、マガジン支持フレーム228は上下方向(X軸方向)に梁状に延在している。
【0039】
図3を参照して、保管装置カバー22の正面に取り出し開口22dが設けられ、取り出し開口22dは、保管装置カバー22に蝶番付けされて枢動可能な外扉(第二のドア)22eにより遮蔽又は開放可能となっている。
保管領域SR内には、詳細は後述する工具マガジン210が配置されている。外扉22eを開放することで、工具マガジン210に作業者がアクセス可能である。
工具マガジン210に保管される工具は、特に限定されない。ただし、レーザ射出経路内に集光レンズ等の光学素子が配置された工具である場合、工具を保管する際に、光学素子が異物等により汚染される虞がある。また、後述するトーチ30のように、レーザ射出経路の端部を保護ウインドウで覆われた工具では、保護ウインドウが汚染されることで、レーザビーム等の透過が妨げられたり、保護ウインドウ自体が破損したりする虞がある。そこで、このような工具を、移動装置を内部に有しない工具マガジン210に保管することにより汚染防止効果が高まる。
【0040】
図4Aは、図2のA−A断面を右側から見た断面図であり、図4Bは、図2のB−B断面を右側から見た断面図である。図4A,4B及び図2に示すように、工具保管装置200は、箱形の工具マガジン210と、工具マガジン210の外部に配設され、工具マガジン210をX軸方向に沿って移動させる工具マガジン駆動機構(マガジン移動装置)220とを有する。さらに、工具マガジン駆動機構220は、工具マガジン210を、工具を交換する交換位置と工具を保管する保管位置との間で移動させる。外扉22e(図3)が閉じた状態で、工具マガジン210と工具マガジン駆動機構220とは、壁22aを含む保管装置カバー22に覆われている。ここで、工具マガジン210は、工具マガジン210の外部に対して内部が密閉可能であってもよい。
【0041】
図4A,4Bにおいて、工具マガジン駆動機構220は、工具マガジン210の外側に取り付けられた連結プレート221と、連結プレート221に取り付けられX軸方向に延在するレール222と、マガジン支持フレーム228に固定されたスライダ223と、連結プレート221に取り付けられたボールナット224と、マガジン支持フレーム228に配置され、X軸方向に延在しボールナット224に螺合するねじ軸225と、マガジン支持フレーム228に固定され、ねじ軸225を回転駆動するサーボモータ226と、を有する。スライダ223は、レール222に沿ってX軸方向に移動可能である。サーボモータ226は、不図示の配線により制御部PROCに接続され、その制御により正回転もしくは負回転する。これにより、工具保管装置200は、工具マガジン210を、工具マガジン駆動機構220により、レール222に沿って移動可能に構成される。ここで、工具保管装置200は、工具マガジン210が、工具マガジン駆動機構220によって工具を交換する交換位置と工具を保管する保管位置との間を移動するように構成すればよい。したがって、工具マガジン210が工具マガジン駆動機構220によって移動される方向はX軸方向に限らず、Y軸方向またはZ軸方向、もしくはこれらを合成した方向でもよい。ただし、後述する加工ヘッド111が、工具交換のために工具マガジン210にアクセスする方向は、工具マガジン210の移動方向に交差する方向となる。なお、工具マガジン駆動機構220は、工具マガジン210を位置決め可能に移動すればよく、例えばラックおよびピニオン、タイミングベルトとギヤ等を用いてもよい。
【0042】
図5は、工具マガジン210をマガジン開口部210a側から見た斜視図であり、マガジン扉210eを閉じた状態で示し、図6も、工具マガジン210をマガジン開口部210a側から見た斜視図であるが、マガジン扉210eを開いた状態で示しており、いずれもトーチ30を内部に保管した状態で示している。図5、6において、工具マガジン210は略直方体の箱形であって、機内領域IR側(図5、6で左側)の面が開放して、マガジン開口部210aを形成している。また、工具マガジン210は図6の手前側の面(マガジン開口部210aが設けられた面とは異なる面)も開放しており、ここに取り出し開口210d(図6)を形成している。取り出し開口210dは、工具マガジン210に蝶番付けされて枢動可能なマガジン扉(第一のドア)210eにより遮蔽又は開放可能となっている。ここで、工具マガジン210は、箱形であれば、略直方体でなくてもよく、その他の多面体や一部に曲面を有する形状であってもよい。
【0043】
なお、図3に示すように、保管位置に工具マガジン210があるときに、マガジン扉210eは外扉22eと重なっている。したがって、保管位置に工具マガジン210があるときに、作業者が外扉22eを開放することで、マガジン扉210eにアクセスでき、マガジン扉210eを開放することで、工具マガジン210の内部のトーチ30を取り出すことができる。
【0044】
図5,6において、工具マガジン210の天面210bの略中央には、外部と内部とを連通する供給口210cが形成されている。供給口210cは、図2において空気供給装置CASに点線で簡略図示するホースHSにより接続されている。空気供給装置CASからホースHS及び供給口210cを介してクリーンな空気が供給され、これにより工具マガジン210内をクリーンな環境に維持することができる。ここで、供給口210cは、天面210bの中央付近以外の場所に形成されてもよく、工具マガジン210の他の面に形成されてもよい。また、空気供給装置CASは、便宜的に図2に図示されており、図示された位置に配置される必要はない。また、可撓性のあるホースHSは、工具マガジン210の移動を阻害しない。
【0045】
また図5、6において、マガジン開口部210aの上端には、そこからX軸方向に沿って延在する矩形状の遮蔽板216が取り付けられて、工具マガジン210と共に移動可能となっている。
【0046】
工具マガジン210内部の側面には、保管するトーチ30を把持する把持部217が3つ、工具マガジン210の移動方向に沿って、本実施形態においてはX軸方向すなわち複合加工機械10の高さ方向に整列して配置されている。各把持部217は、互いに接近/離反自在な一対の把持爪(工具保持部材)217a、217bを上下に有しており、例えば不図示のばね機構により接近する方向に付勢されているものとする。図5、6に示す例では、中央の把持部217がトーチ30を把持している。工具マガジン210内には、把持部217以外に可動部を有していないため、内部で異物が発生することを抑制できる。なお、把持部217の数は限定されない。また、工具保持部材としては、工具を把持する把持爪に限らず、例えば空気圧や磁力でトーチ30を保持するものであってもよい。
【0047】
図7は、把持部217とトーチ30との関係を示す図である。トーチ30の詳細については、後述する。図7に示すように、トーチ30の被把持部31iの外径はD1である。一方、把持部217の把持爪217a、217bの内周は円弧状であって、自由状態での最小内接円径はD2であり、D1>D2の関係にある。
【0048】
工具保管装置200は、膨張シール231を含む密封装置230を備える。図5、6において、工具マガジン210のマガジン開口部210aの周囲には、密封装置230の膨張シール231が全周にわたって設けられている。
【0049】
図8は、図5のC−C断面をとって隣接する壁22aと共に示す拡大図であり、膨張シール231の膨張状態を示し、図9は、図5のC−C断面をとって隣接する壁22aと共に示す拡大図であり、膨張シール231の収縮状態を示す。図8において、マガジン開口部210aの周囲には、溝210fが形成されている。ゴムまたは樹脂製の膨張シール231は、溝210fに取り付けられる基部231aと、基部231aに連結されて溝210fと壁22aとの間に全周にわたって位置する中空のシール部231bとからなる。シール部231bは、伸縮する素材で管状に形成されており、内部に流体(ここでは気体)を充填し加圧することで膨張可能となっている。ここで、膨張シール231は溝210fに取り付けられているが、溝210fを形成せず、膨張シール231をマガジン開口部210aの周囲に固定具等によって取り付けるよう構成してもよい。また、シール部231bには、膨張時に壁22aに接する複数の突起(隆起部)231cが全周にわたって設けられているが、かかる突起を設けなくてもよい。
【0050】
密封装置230は、図8に示すように、エアポンプAPおよび配管TBを含む。膨張シール231は、基部231aを貫通して工具マガジン210の外部へと延在する配管TBを介して、エアポンプAPに接続される。エアポンプAPは、不図示の配線により制御部PROC(図2)に接続され、その制御により加圧又は減圧動作する。
【0051】
制御部PROCの制御に応じて、エアポンプAPを加圧駆動することで、配管TBから空気が圧送され、図8に示すようにシール部231bが内部に充填された空気で膨張し、マガジン開口部210aの周囲と、工具マガジン210に面した保管装置カバー22の一部である壁22aとに当接することで、密封装置230の膨張シール231がマガジン開口部210aの周囲と壁22aとの間を密封する。これにより、マガジン開口部210aは外部に対して遮蔽状態となる。これを第二の状態という。
【0052】
一方、制御部PROCの制御に応じて、エアポンプAPを減圧駆動することで、配管TB内が負圧になるので、図9に示すようにシール部231b内の空気が吸引され、これにより密封装置230の膨張シール231が、工具マガジン210に面した保管装置カバー22の一部である壁22aから離間する。これを第一の状態という。なお、基部231aを壁22a側に設けることにより、収縮した膨張シール231が、マガジン開口部210aの周囲から離間するように構成してもよい。
【0053】
さらに、エアポンプAPを空気供給装置CASと兼用するようにしてもよい。また、シール部231bに供給する流体は、空気に限らずその他の気体や液体であってもよい。
【0054】
図10は、加工ヘッド111の先端にトーチ30を取り付けた状態を示す断面図であり、加工ヘッド111とトーチ30の分離位置を線PLで示している。図10において、加工ヘッド111は、筒状をなすマニホールド部111aと、マニホールド部111aの先端に設けられた取付部111bとを有する。
【0055】
マニホールド部111aから取付部111bにわたって、軸線Oに沿って延在する加工ヘッド光路111cが形成されている。取付部111bはトーチ30側の端面111dと、端面111dに対向する環状端面111eとを有する。また、加工ヘッド光路111cは、取付部111b内において拡径され、係合孔111fを形成している。
【0056】
加工ヘッド光路111c内において、係合孔111fの近傍に、光透過性の加工ヘッド保護ウインドウ111gが配置され、加工ヘッド光路111c内に異物が進入して、その奥に設けられたレーザ光源(不図示)を汚染することがないように保護している。
【0057】
さらに、加工ヘッド光路111c内において、加工ヘッド保護ウインドウ111gとトーチ30側の端面111dとの間には、加工ヘッド保護シャッター111jが開閉可能に配置されている。加工ヘッド111にトーチ30が取り付ける際に、加工ヘッド保護シャッター111jが開放状態となることで、レーザビームが加工ヘッド光路111cを通過可能になる。また、加工ヘッド111がトーチ30と分離する際、加工ヘッド保護シャッター111jは、加工ヘッド光路111cを保護するために閉鎖状態となる。
【0058】
加工ヘッド光路111cに平行して、取付部111bを貫通するように加工ヘッド側粉末供給路111hが形成されている。加工ヘッド側粉末供給路111hは、環状端面111eの端部でコネクタ113を介して、粉末ホース114に接続されている。この粉末ホース114は、マニホールド部111aと、マニホールド部111aの周囲を覆う筒状遮蔽部材115との間の空間を通って、不図示の粉末供給源に接続されている。
【0059】
取付部111bの端面111dには、3つ(1つのみ図示)の凹部111iが形成されており、その内部にはチャック機構116が配置されている。チャック機構116は、例えば加圧エアにより動作するものであり、トーチ30のチャック孔31h(後述)に対して嵌着することによりトーチ30を保持し、またチャック孔31hを釈放することによりトーチ30を離脱させることができる。チャック機構116についてはよく知られているので、詳細な説明は省略する。
【0060】
トーチ30は、ベース部31と、ベース部31に対して連結された略円錐状のノズル32とを有する。ベース部31は、取付部111bの係合孔111fに係合可能な円筒部31aを有する。ベース部31とノズル32とは、分離可能である。
【0061】
ベース部31内を軸線Oに沿って貫通する第1ツール光路31bと、ノズル32内を軸線Oに沿って貫通する第2ツール光路32aとが形成されている。第2ツール光路32aは、ベース部31から離れるにしたがって小径となる先細形状を有し、ノズル32の先端で開口している。第1ツール光路31bと、第2ツール光路32aとで、レーザビームを射出するレーザ射出経路を形成する。
【0062】
第1ツール光路31b内において、円筒部31aの先端近傍から順に、それぞれ光透過性の第1ツール保護ウインドウ31c、集光レンズ(光学素子)33、レーザ射出経路の端部を遮蔽する第2ツール保護ウインドウ31dが配置されている。
【0063】
第1ツール保護ウインドウ31c、第2ツール保護ウインドウ31dは、第1ツール光路31b内に異物が進入して、集光レンズ33を汚染することがないように保護している。
【0064】
さらに、第1ツール光路31b内において、第1ツール保護ウインドウ31cと円筒部31aの先端との間には、ツール保護シャッター31jが開閉可能に配置されている。加工ヘッド111にトーチ30を取り付ける際、ツール保護シャッター31jが開放状態となることで、加工ヘッド光路111cを通過したレーザビームが、トーチ30の第1ツール光路31bに入射可能となる。また、トーチ30が加工ヘッド111と分離する際、ツール保護シャッター31jは、第1ツール光路31bを保護するために閉鎖状態となる。
【0065】
第1ツール光路31bに沿って、ベース部31を貫通するようにして、第1ツール側粉末供給路31gが形成されている。第1ツール側粉末供給路31gは、加工ヘッド111の先端にトーチ30を取り付けた際に、加工ヘッド側粉末供給路111hと連通する。
【0066】
また、ノズル32の先端に向かって、ノズル32を貫通するように第2ツール側粉末供給路32cが形成されている。第2ツール側粉末供給路32cは、第1ツール側粉末供給路31gと連通している。第1ツール側粉末供給路31gと第2ツール側粉末供給路32cとで、粉末供給経路を形成する。
【0067】
ベース部31の加工ヘッド側端面には、取付部111bの凹部111iに対応してチャック孔31hが形成されている。また、ベース部31のノズル側近傍には、ベース部31の他の外周面からくびれている被把持部31iが形成されている。
【0068】
付加製造時には、加工ヘッド111内に設けられた不図示のレーザ光源から出射されたレーザビームは、マニホールド部111a内の加工ヘッド光路111cを通過して、更にトーチ30の第1ツール光路31bに入射する。ここで、集光レンズ33により集光されたレーザビームは、更に第2ツール光路32aを通過して、ノズル32の先端から、ワークWの表面に向けて照射される。
【0069】
一方、不図示の粉末供給源より加圧ガスと共に金属製の粉末(付加材料)が供給され、かかる粉末は粉末ホース114を介して、取付部111bの加工ヘッド側粉末供給路111hに供給され、更にトーチ30の第1ツール側粉末供給路31gと、第2ツール側粉末供給路32cとを介して、最終的にノズル32の先端から噴出し、レーザビームが照射されているワークW(図1,2)の表面(照射領域)に向かって吹き付けられる。これにより、吹き付けられた粉末がレーザビームによりワークWに溶融付着するので、付加製造後のワークWは工具主軸130(図1,2)を用いて所望の形状に切削することができる。
【0070】
(工具保管装置の動作)
以下、工具保管装置200の動作について、図面を参照して説明する。図11は、制御部PROCの工具保管制御を示すフローチャートである。図12〜19は、加工ヘッド111と、工具保管装置200の関連する動作を示す図である。
【0071】
機内領域IR内で付加製造を行っている間は、図1〜4Bに示すように、工具マガジン駆動機構220により、工具マガジン210は、X軸方向の最下端位置P2(保管位置)に位置決めされている。このとき、壁22aのアクセス開口22bは、マガジン開口部210aと重ならない。さらに、アクセス開口22bが工具マガジン210の遮蔽板216により覆われているので、機内領域IR側から保管領域SR側に異物が進入することが抑制される。一方、最下端位置P2から工具マガジン210が移動すれば、遮蔽板216はアクセス開口22bから退避するので、別に開閉機構を設けることなく、アクセス開口22bの開閉を自動的に行うことができる。
【0072】
また、最下端位置P2にて密封装置230がマガジン開口部210aを遮蔽しており、更に工具マガジン210内に、クリアーンエア源CASからクリーンエアが供給されるため、工具マガジン210の外部より内部に異物が進入することが阻止され、工具マガジン210内に保管されているトーチ30を汚染することがない。
【0073】
付加製造工程が終了した後、加工ヘッド111からトーチ30を取り外して、工具マガジン210に保管する場合、制御部PROC(図2)は、保管指令を受信することで(図11のステップS1)、以下の制御を行う。
【0074】
まず、トーチ30を装着した加工ヘッド111がホームポジションHP以外の場所にある場合、制御部PROCはステップS2で加工ヘッド111をホームポジションHPに移動させる。ホームポジションHPとは、図12(及び図1、2)に示すように、加工ヘッド111の端部がアクセス開口22bに対向する位置である。
【0075】
次いで、制御部PROCは、ステップS3でエアポンプAPを減圧駆動することで、密封装置230を壁22aから離間させる(図9参照)。これにより、工具マガジン210を移動させた際に、膨張シール231の磨耗を防ぐとともに、接触による抵抗を生じずスムーズな移動を実現できる。
【0076】
更に、制御部PROCは、ステップS4でサーボモータ226を正方向に回転駆動させ、ねじ軸225の回転運動をボールナット224の直線運動に変更して、工具マガジン210をX軸方向に上昇させ、マガジン開口部210aをアクセス開口22bに対向させる(重ねる)。これにより、アクセス開口22bを介して、機内領域IR側から工具マガジン210へのアクセスが可能になる。
【0077】
このとき、制御部PROCからの制御信号には、サーボモータ226の回転数が含まれている。ここでは、工具マガジン210の最下部の把持部217にトーチを保管するものとする。かかる場合、制御部PROCからの制御により、工具マガジン駆動機構220が、保管位置P2にある工具マガジン210を、図13に示すように、最下部の把持部217がアクセス開口22bに対向する位置(交換位置)P1まで上昇させる。すなわち交換位置とは、加工ヘッド111との間でトーチ30の受け渡しを行うことができる、工具マガジン210の複数の把持部217のいずれかに対応する位置をいう。したがって、制御部PROCは、工具マガジン210を、それぞれの把持部217の位置に応じた交換位置に移動させるように工具マガジン駆動機構220を制御する。
【0078】
次いで、制御部PROCは、ステップS5で、第1の移動機構120を介して加工ヘッド111をZ軸方向に移動させ(突き出し)、アクセス開口22bとマガジン開口部210aを通過させ、工具マガジン210内に進入させる(図14参照)。
【0079】
ここで、制御部PROCにより行われる、トーチ30を把持部217に受け渡す制御動作について、詳細に説明する。トーチ30を把持部217に把持させる場合、加工ヘッド111の先端を拡大して示す図15において、把持爪217a、217bとで形成される空間の中心から外側に、トーチ30の軸線がずれるようにして、加工ヘッド111を把持部217に向かってZ軸方向に接近させる。
【0080】
更に図16に示すように、把持爪217a、217bの側方に、トーチ30の被把持部31iが到達したら、加工ヘッド111を停止させ、次いで把持部217に向かってY軸方向に接近させる。このとき、把持爪217a、217bの先端が被把持部31iに当接するが、引き続き加工ヘッド111と共にトーチ30をY軸方向に移動させることで、把持爪217a、217bが離間する方向に変位し、その内周が、被把持部31iの外周に密着する。
【0081】
把持爪217a、217bとで形成される空間の中心にトーチ30の軸線が一致したら、加工ヘッド111を停止させる。かかる状態で、不図示のばね機構による付勢力で、把持爪217a、217bが被把持部31iに向かって付勢されることで、トーチ30が把持部217から脱落することが阻止される。
【0082】
その後、制御部PROCが、加工ヘッド111のチャック機構116(図10)に釈放を命令することで、加工ヘッド111とトーチ30とは分離可能な状態になる。かかる状態で、図17に示すようにトーチ30から離間する方向に加工ヘッド111を移動させることで、把持部217に保持した状態のトーチ30から、加工ヘッド111を分離することができる。ここで、トーチ30と加工ヘッド111との分離動作の直前に、開放状態にあった加工ヘッド保護シャッター111jおよびツール保護シャッター31jを閉じるように動作させる。尚、把持部217からトーチ30を取り外す場合、以上とは逆の動作を行えばよい。
【0083】
更に、図18に示すように、制御部PROCは、図11のステップS6で、第1の移動機構120を介して加工ヘッド111をZ軸方向の逆方向に移動させる(引き込む)。トーチ30を工具マガジン210に残したまま、加工ヘッド111はマガジン開口部210aとアクセス開口22bを通過して機内領域IR内へと戻る。
【0084】
次いで、図19に示すように、制御部PROCは、ステップS7でサーボモータ226を負方向に回転駆動させ、工具マガジン210を保管位置P2に戻す。その後、制御部PROCは、ステップS8でエアポンプAPを加圧駆動することで、膨張シール231を膨張させて密封装置230を壁22aに当接させる(図8参照)。
【0085】
保管位置では、図3に示すように、作業者は外扉22eとマガジン扉210eを開放することで、加工ヘッド111から取り外したトーチ30を取り出して、点検や洗浄などを行うことができる。なお、外扉22eとマガジン扉210e(図3)にロック機構を設けておき、工具マガジン210が保管位置P2以外の位置にあるときは扉のロックを行い、保管位置P2に戻ったことを検出して、扉のロック解除を行うようにしてもよい。
【0086】
また、上述した動作は、加工ヘッド111の装着したトーチ30を工具マガジン210に保管することを目的とした。これに対し、加工ヘッド111の装着したトーチ30を交換することを目的とする場合、図11のステップS6とステップS7との間に、
「工具マガジン210を新たに装着すべきトーチ30の位置まで移動」、
「加工ヘッド111の突出し及びトーチ30の装着」、
「加工ヘッド111の引き込み」
の各制御ステップを加えればよい。
【0087】
(本実施形態の効果およびユーザーの利点)
通常、レーザ射出経路内に集光レンズ等の光学素子が配置されたトーチ30を保管する際に、光学素子が異物等により汚染される虞がある。また、レーザ射出経路の端部を保護ウインドウで覆っている場合であっても、保護ウインドウが汚染されることで、レーザビーム等の透過が妨げられたり、保護ウインドウ自体が破損したりする虞がある。さらに、ツール保護シャッター31jが設けられている場合であっても、ツール保護シャッター31jに付着した異物が、ツール保護シャッター31jの開閉動作によりレーザ射出経路に入り込み、レーザ射出経路を汚染する虞がある。また、異物によってツール保護シャッター31j自体が破損したり、開閉できなくなったりする虞もある。本実施の形態によれば、工具マガジン210内に、トーチ30を移動させる可動機構が不要なため、工具マガジン210内で異物が発生しにくく、保管しているトーチ30の汚染を抑制できる。
【0088】
また、工具マガジン210を保管位置P2と交換位置P1との間で移動させるようにしたため、加工ヘッド111をホームポジションHPに移動させることで、トーチ30の着脱、交換を行う。さらに、工具マガジン210は、その内部に、工具マガジン210の移動方向に沿って複数の把持部217を設けており、複数のトーチ30を収容する工具マガジン210を移動させることでトーチ30の着脱、交換を行う。したがって、工具マガジン210の内部に配置する把持部217の数を変更することで、加工ヘッド111の可動範囲とは関係なく、容易にトーチ30の保管能力、例えばトーチ30の最大保管可能数を変更することができる。
【0089】
また、工具マガジン210が交換位置まで移動するので、加工ヘッド111は、工具マガジン210の内部に加工ヘッド111が進入できるだけのストロークを、第1の移動機構120に持たせれば足り、保管位置まで加工ヘッド111を移動させるストロークを持たせる必要がない。したがって、第1の移動機構120のサイズ(特にガイドレール124a全長)は、加工に必要な最小限でよいため、複合加工機械10を小型化でき、設置レイアウトの自由度が広がる。
【0090】
また、本実施の形態によれば、加工が行われる機内領域IRから、トーチを保管する保管領域SRへのアクセスを、アクセス開口22bを介してのみ行えるようにしたので、機内領域IRから保管領域SRへの異物の飛散を極力抑制することができる。さらに、工具マガジン210が交換位置に移動したときのみ、遮蔽板216がアクセス開口22bを開放するので、アクセス開口22bに開閉機構を設ける必要がなく、工具マガジン210の小型化やコスト低減を図れる。ただし、後述する変形例に示すように、アクセス開口22bを選択的に開放/遮蔽する遮蔽板を設けてもよい。
【0091】
さらに、工具マガジン210を保管位置P2と交換位置P1との間で移動させることにより、保管位置の工具マガジン210をアクセス開口22bから更に離間させることができ、機内領域の異物がトーチ30に付着する虞をさらに抑制することができる。
【0092】
また、工具マガジン210の保管位置P2を、例えば作業者がアクセスしやすい位置に設定することで、外扉22eとマガジン扉210eの開放を通じて、保管されているトーチ30の取り出しや、新たなトーチ30の装填を容易に行える。
これによって、トーチなどの精密工具を加工装置と別個の工具マガジンで保管していた従来の工具管理と比較すると、保管スペースの節約、管理の容易さ、工具交換の時間短縮の面で格段の改善を図ることができる。
【0093】
また、工具マガジン210の移動方向は、略鉛直方向であるので、トーチ30の保管本数に影響されずに、工具保管装置200の設置面積を小さくすることができる。
【0094】
さらに、制御部PROCが、工具マガジン210を、それぞれの把持部217の位置に応じた交換位置に移動させるように工具マガジン駆動機構220を制御するので、トーチ30を交換する際は、複数のトーチ30を収容する工具マガジン210を移動させることで、その交換ができるため、加工ヘッド111の可動範囲とは関係なく、多くのトーチ30を保管できる。また、工具マガジン210に隣接するアクセス開口22bを交換に必要な最小の面積で収めることができるため、異物が混入しにくくなる。
【0095】
工具マガジン210は、クリーンエア源CASから送られた空気を、供給口210cを介して内部に供給するので、その内部を常に清浄に保つとともに、工具マガジン210の内部から外部へ向かう空気の流れを作るため、外部からの異物の混入を防ぐことができる。
【0096】
さらに、第一の状態でマガジン開口部210aの周囲と壁22aの一方から離間し、第二の状態でマガジン開口部210aの周囲と壁22aとに当接する、密封装置230を備えるので、工具マガジン210が保管位置にある間、壁22aと工具マガジン210との隙間を膨張シール231でふさぐことができるため、異物の混入を確実に防止するために工具マガジン内部の空気の流れ方向を制御できる。また、空気の主な出口をふさぐことで、工具マガジン210内の内圧を高め、より確実に異物の混入を防ぐことができる。
【0097】
密封装置230は、工具マガジン210が保管位置にあるときに第一状態になり、保管位置以外の位置にあるときに第二状態になるので、工具マガジン210の移動が阻害されない。
【0098】
工具マガジン210は、マガジン開口部210aが設けられた面と異なる面にマガジン扉210eを備え、また工具マガジン210と、工具マガジン駆動機構220は、保管装置カバー22により囲まれており、保管位置において、マガジン扉210eと重なる位置に外扉22eを備えるので、複合加工機械または工作機械の稼動を停止することなく、保管ツールの保守や置き換えができる。
【0099】
本実施形態の工具マガジン210は、より清浄な雰囲気での保管が要求される光学素子を含むトーチ30を保管することができる。
【0100】
図20は、変形例にかかる工具保管装置201を示す図3と同様な斜視図である。図20の工具保管装置201において、壁22aにおけるアクセス開口22bの近傍に、エアシリンダACが取り付けられている。エアシリンダACは、不図示の加圧空気源から供給される空気により、シャフトSFを伸縮自在としている。シャフトSFの端部は、アクセス開口22bを遮蔽する遮蔽板CLに連結されている。エアシリンダACは、制御部PROCからの制御信号により動作可能となっている。具体的には、制御部PROCから閉信号が入力されたときは、エアシリンダACはシャフトSFを伸張するので、図20に示すように遮蔽板CLがアクセス開口22bを閉じる位置へと移動する。一方、制御部PROCから開信号が入力されたときは、エアシリンダACはシャフトSFを収縮させるので、図20に示す状態から遮蔽板CLをX軸方向上方に退避させて、アクセス開口22bを開放するようになっている。
【0101】
本変形例によれば、制御部PROCが、工具マガジン210を保管位置にとどめている間、エアシリンダACに閉信号を送信することにより、遮蔽板CLがアクセス開口22bを閉じたままにする。これにより機内領域IR中の異物が、アクセス開口22bを介して保管領域SRに進入することを抑制できる。
【0102】
これに対し、制御部PROCが、工具マガジン210を交換位置へと移動させたときは、エアシリンダACに開信号を送信することにより、遮蔽板CLがアクセス開口22bを開放するので、加工ヘッド111が工具マガジン210の内部にアクセスすることが可能になる。本変形例の場合、遮蔽板216を設けなくてもよい。また、遮蔽板CLの駆動は、エアシリンダに限らず、モータなどを用いて行ってもよい。
【0103】
なお、本発明は、上記した実施例の構成に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した複合加工機械に限らず、単独の付加製造装置に工具交換装置を付加することもできる。あるいは、付加製造以外の加工装置に工具交換装置を付加してもよい。
【符号の説明】
【0104】
10・・複合加工機械、22e・・外扉、30・・トーチ、100・・基台、102・・ワーク保持機構、110・・付加製造機構、111・・加工ヘッド、112・・伝送機構、120・・第1の移動機構、121・・フレーム、130・・工具主軸、140・・第2の移動機構、200、201・・工具保管装置、210・・工具マガジン、210a・・マガジン開口部、210d・・取り出し開口、210e・・マガジン扉、216、CL・・遮蔽板、217・・把持部、217a、217b・・把持爪、230・・密封装置、220・・工具マガジン駆動機構、221・・連結プレート、222・・レール、223・・スライダ、224・・ボールナット、225・・ねじ軸、226・・サーボモータ、228・・マガジン支持フレーム、AP・・エアポンプ、CAS・・空気供給装置、PROC・・制御部
【要約】
工具保管装置200が、トーチ30を保持する複数の把持部217を内部に配置する箱形の工具マガジン210と、工具マガジン210の外部に配設され、工具マガジン210を、トーチ30を交換する交換位置とトーチ30を保管する保管位置との間で移動させるマガジン移動装置220と、を備えるので、工具マガジン210内に、トーチ30を移動させる可動機構が不要なため、工具マガジン210内で異物が発生しにくく、保管しているトーチ30の汚染を抑制できると共に、必要に応じてトーチ30の最大保管数を変更した工具マガジン210を容易に実現できる。
図1
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図4A
図4B
図5
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図20