特許第6563654号(P6563654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビオメリューの特許一覧

特許6563654光経路により生体試料中の微生物を検出し直接同定する方法
<>
  • 特許6563654-光経路により生体試料中の微生物を検出し直接同定する方法 図000002
  • 特許6563654-光経路により生体試料中の微生物を検出し直接同定する方法 図000003
  • 特許6563654-光経路により生体試料中の微生物を検出し直接同定する方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563654
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】光経路により生体試料中の微生物を検出し直接同定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/569 20060101AFI20190808BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20190808BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   G01N33/569 B
   C12Q1/04
   G01N33/543 521
   G01N33/543 541A
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-550752(P2014-550752)
(86)(22)【出願日】2013年1月9日
(65)【公表番号】特表2015-504163(P2015-504163A)
(43)【公表日】2015年2月5日
(86)【国際出願番号】FR2013050051
(87)【国際公開番号】WO2013104864
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2015年11月20日
【審判番号】不服2018-8736(P2018-8736/J1)
【審判請求日】2018年6月26日
(31)【優先権主張番号】1250249
(32)【優先日】2012年1月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】304043936
【氏名又は名称】ビオメリュー
【氏名又は名称原語表記】BIOMERIEUX
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】レイモン, ジャン−クロード
(72)【発明者】
【氏名】モスティコン, ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィモン, アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】バリル, フロラン
(72)【発明者】
【氏名】フランドラワ, ジャン−ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ジュニロン, トマ
(72)【発明者】
【氏名】マレン, ブノワ
【合議体】
【審判長】 福島 浩司
【審判官】 三木 隆
【審判官】 ▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−512861(JP,A)
【文献】 特開平11−133029(JP,A)
【文献】 特開2003−052393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N33/48−33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中に存在する少なくとも1つの微生物を検出する方法において、
a)第1の容器において、前記試料を少なくとも1つの培地と接触させる工程と、
b)前記第1の容器を適切な条件で6−48時間培養し、前記微生物の増殖を可能にする工程と、
c)工程b)の後に、前記第1の容器又は第2の容器中で前記微生物を捕捉するための単一片基質及び反応混合物であって、前記微生物を検出する手段を含む前記反応混合物と、前記試料及び前記培地からなる混合物の一部又は全てを接触させる工程と、
d)混合物を含む前記第1又は第2の容器内で、前記検出する手段により検出され前記捕捉するための単一片基質に固定された前記微生物の存在を検出する工程と
を本質的に含む方法。
【請求項2】
前記第1又は第2の容器を適切な条件に置いて前記微生物の増殖を可能にすることからなる中間工程c’)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検出された前記微生物の検出を確証することからなる追加の工程e)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記追加の工程e)が、検出に使用された前記検出する手段と同一の又は異なる検出する手段を用いて実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記微生物の少なくとも1つの特異的又は非特異的結合パートナーが前記捕捉するための単一片基質に固定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の検出の方法。
【請求項6】
前記特異的結合パートナーが、抗体、Fab断片、Fab’断片、アプタマー、組換え又は非組換えファージタンパク質、ファージを含む群から採られる、請求項5に記載の検出の方法。
【請求項7】
前記微生物の検出がリアルタイムで実施される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記微生物の検出が、前記微生物の前記増殖を可能にする工程の最後に実施される、請求項1から7のいずれか一項に記載の検出の方法。
【請求項9】
前記第1及び/又は第2の容器が、ホモジナイズバッグ、フラスコ、ボトル又はタブレット容器である、請求項1から8のいずれか一項に記載の検出の方法。
【請求項10】
前記捕捉するための単一片基質が、多孔質の単一片基質である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記捕捉するための単一片基質が保護膜により保護される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、分析の分野、例えば生物学的分析の分野に関する。より詳細には、本発明は、場合によっては増菌された生体試料において少なくとも1つの微生物を光経路により検出し直接同定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物学的分析は正確な方法を必要とし、結果を得るための時間ができるだけ短くなければならない。
【0003】
医学分野では、感染のリスクを予測し診断することが必要であり、診断がより速くより正確であればあるほど、患者の管理は有効となり、伝播のリスクは最小限に抑えられる。そのアプローチは、動物の健康にとっても同様である。
【0004】
食品産業においても同じ問題がある。しかし、そこでは、
・ 調査が原材料、中間体、及び市販最終製品に適用される、病原性微生物とその毒素
・ 原材料から最終製品まで、チェーンを通じて生産工程の品質の指標として使用される非病原性微生物、及び
・ 酵素などの技術的対象となる細菌
の間で区別がなされる。
【0005】
疑わしい汚染物質の迅速かつ正確な検出は、それらを制御し、よって是正措置を講じることを可能にする。
【0006】
技術的には、微生物学的分析は、1つ以上の前増菌(pre-enrichment)及び/又は増菌(enrichment)工程、1つ以上の検出工程、並びに微生物の1つ以上の計数工程を用い得る。食品産業における微生物制御などの特定の適用では、この分野で効力のある基準を順守するためには確証工程も必要とされる場合がある。
【0007】
現在のところ、増菌工程を用いることなく大量の最初の試料において標的微生物を検出する方法は存在しない。
【0008】
増菌工程は、非標的細菌叢の増殖を制限する一方、生体又は環境試料中の標的微生物の増殖を促すことを目的とする選択又は非選択培地を用いる。培地は、多くの場合、滅菌プラスチックバッグ型の容器において使用され、探索される微生物の再懸濁及び増菌を目的として食品試料又は環境試料と接触させられる。この工程は、極めて可変的であり場合により極めて大きい試料量(例えば、培地において225〜3375ミリリットル(mL)に希釈される25グラム(g)〜375g)で、少なくとも1つの標的微生物の潜在的な初期存在の検出要件を満たすのに必要である。この増菌工程の最後に、アリコート(5マイクロリットル(μl)〜5mL)が標的微生物の検出工程を実施するために採取される。ここで、標的微生物が系統的に検出されることを確保するには、このアリコートが十分な量の標的微生物を含有することが必要である。次いで二次増菌又は継代培養の工程が必要となる場合がある。
【0009】
検出工程は、歴史的に、探索される微生物の代謝特性を検出するための、寒天培地における微生物の培養に基づく。通常は、特異的な酵素基質が使用される。これらの酵素基質は一般的に2つの部分、検出される酵素活性に特異的な第1の部分(標的部分とも呼ばれる)、及び一般的にクロモフォア又はフルオロフォアからなるマーカーとして作用する第2の部分(マーカー部分と呼ばれる)からなる。反応があるか否かによるこれらの基質の選択に基づき、微生物の性質を特徴付けること、又は微生物の異なる群間を区別することが可能である。故に、着色又は蛍光の出現又は消失は、微生物の属又はタイプの特徴となるであろう。この点において、発色性培地の使用は、探索される微生物の同時検出及び同定を可能にする。それは工程を簡素化し、結果を得るための時間を大幅に短縮する。本発明者らは、具体的な例として、本出願人のChromID(登録商標)培地について述べることができる。これらの発色酵素基質培地は、探索される微生物の特異的な代謝特性、例えば大腸菌に対するベータ−グルクロニダーゼ酵素活性の検出に基づく。
【0010】
免疫アッセイは、検出試験に使用される別の技術である。免疫アッセイは、探索される微生物の免疫原性特性を利用する。非網羅的に、本発明者らは免疫蛍光法、競合又はサンドイッチ型のELISA(酵素結合免疫吸着測定)法について述べることができる。これらの手法は、酵素に特異的な基質を介したその後の検出のために酵素とコンジュゲートされた二次抗体を用いる、いわゆる間接的検出の工程を用いる。
【0011】
文献EP−B−1440316は、例えば微生物の検出装置を記載している。この装置は、抗体などの標的微生物に特異的な捕捉パートナーが固定されている固体基質からなる。次いで捕捉基質は、分析される試料及びELISA反応を実施するための様々な試薬を含む様々な容器に入れられる。
【0012】
次いで、いわゆる間接的検出のこの工程は、スクリーニング/検出工程の前に試料の様々な処理工程(試料の採取、加熱、遠心分離、洗浄等)の遂行を(増菌工程後に)伴い、該工程は、結果的に操作プロトコルをより複雑にし、分析を不便にし、結果を供給するための時間を増大させる。
【0013】
最後に、探索される微生物のゲノム特性に基づく分子生物学の手法も、標的微生物の検出及び同定に用いられる。本発明者らは、例として、当業者に知られているリアルタイム検出法と結び付けることができるPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)及びNASBA(核酸配列ベース増幅)などの増幅の従来手法について述べることができる。しかしながら、これらの手法は、微生物の単離、核酸を放出するための微生物の溶解、及び最終的には核酸の精製からなる試料の調製の骨の折れる工程を必要とする。これもまた、操作プロトコルの複雑性に直接影響を与え、分析を不便にし、結果を供給するための時間を増大させる。
【0014】
確証工程に関して、それは、食品産業における微生物学的分析とより具体的に関連がある。実際、以前に開発された方法の結果が陽性である場合、探索される病原体の存在を確証することが必要である。これは、追加の試験、及び最初の分析で使用されたものとは異なる検出原則の使用を必要とする。上記の手法は、確証のための時間的余裕があるときに使用される。
【0015】
従って、試料中の微生物の完全及び正確な同定は、幾つかの連続的工程、すなわち増菌、場合により継代培養、検出及び確証を必要とする。日常的に使用される試験の標準化は、検出方法の自動化を可能にしたが、それらは依然として長い時間を要する。従来技術の短所は、実際に、これらの工程が逐次的に実施され、数多くの時間のかかる操作を必要とし、故に結果を供給するのに取られる時間に影響することである。
【発明の概要】
【0016】
上記に考察された従来技術により提起された技術的問題を考慮して、本発明の本質的な目的の1つは、試料、特に食品試料中に存在する微生物を検出、同定及び確証するための簡素化された方法を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、試料の分析に必要な時間及び費用の削減を可能にする、微生物の検出及び同定方法を提供することである。
【0018】
とりわけこれらの目的は、本発明により達成され、本発明は、第一に、少なくとも1つの微生物を検出する方法であって、以下の工程:
a)第1の容器において、前記試料を少なくとも1つの培地と接触させる工程と、
b)前記第1の容器を適切な条件に置いて微生物の増殖を可能にする工程と、
c)前記第1の容器又は第2の容器中の前記微生物を捕捉するための反応混合物及び基質であって、前記微生物を検出する手段を含む前記反応混合物と、試料及び培地からなる混合物の一部又は全てを接触させる工程と、
d)前記第1又は第2の容器内で、検出手段により検出され捕捉基質に固定された微生物の存在を検出する工程と
を本質的に含む方法に関する。
【0019】
特定の実施態様によれば、本発明による方法は、第1又は第2の容器を適切な条件に置いて微生物の増殖を可能にすることからなる中間工程c’)を含む。
【0020】
別の特定の実施態様によれば、本発明による方法は、検出された微生物の検出を確証することからなる追加の工程e)を含む。好ましくは、確証工程e)は、検出に使用された検出手段と同一の又は異なる検出手段を用いて実施される。
【0021】
有利には、微生物の少なくとも1つの特異的又は非特異的結合パートナーが捕捉基質に固定される。本発明の好ましい実施態様によれば、特異的結合パートナーは、抗体、Fab断片、Fab’断片、アプタマー、組換えもしくは非組換えファージタンパク質、ファージ、又は当業者に周知の任意の他のリガンドを含む群から採られる。
【0022】
捕捉基質は、微生物の検出を可能にする任意の適切な基質であってもよい。本発明者らは、微粒子基質(場合により磁性)、又は単一片基質(場合により多孔質)について特に述べることができる。捕捉基質は、極めて単純に、プラスチック又はガラス繊維製のプレートなどの不活性基質であってもよい。捕捉基質は、有利には結合パートナー(場合により特異的な)で感作することができる。捕捉基質はまた、圧縮性の単一片基質であってもよい。
【0023】
有利には基質は、保護膜により保護することができる。
【0024】
別の特定の実施態様によれば、同じ技術を用いて検出及び確証を遂行することが可能である。
【0025】
好ましくは、微生物の検出はリアルタイムで実施される。しかし、代替として、微生物の検出は、前記微生物の増殖工程のエンドポイント、最後に実施されてもよい。
【0026】
本発明による方法の特定の実施態様によれば、第1及び/又は第2の容器は、ホモジナイズバッグである。それらはまた、フラスコ、ボトル又はタブレット容器などの剛性容器であってもよい。
【0027】
本発明による方法の別の特定の実施態様によれば、検出工程は、読み取り機を用いて実施することができる。このような読み取り機は、例えば、前記担体の画像を記録又は分析するための、捕捉基質に向いたカメラからなってもよい。
【0028】
本発明の目的及び利点は、図面と併せて下記に示された詳細な記載に照らしてより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1の実施態様による方法の種々の工程の概略図である。
図2】感作捕捉基質の概略図である。
図3】結果が陽性となった分析後の図2に示された感作捕捉基質の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1の実施態様によれば、微生物の検出又は同定方法は、ストマッカー(登録商標)バッグと通常呼ばれる滅菌プラスチックホモジナイズバッグの使用からなる。このようなバッグは、図1Aの10に参照される。このバッグ10は、分析される培地及び試料を受け取ることを意図された内部空間を定めるように、3つの辺で合わされたプラスチックの2枚の略矩形シートからなる。該バッグは、内部空間を2つに隔てる、1辺でシートに連結された略矩形状の膜12をさらに含む。
【0031】
工程Aの間に、密閉されたホモジナイズバッグ10は、この場合、非低温殺菌牛乳チーズの試料からなる食品試料14とインキュベートされる。この食品試料14は、選択又は非選択であってもよい増菌培地16に浸漬される。インキュベーションは、6〜48時間、25〜44℃の間の温度で実施することができる。
【0032】
次いで増菌培地の画分は、ホモジナイズバッグ10に採取され、工程Bの間に本明細書ではチューブ20からなる第2の容器に移される。このチューブ20は、反応混合物22を含む。前記反応混合物22は、標的微生物の完全性を維持するのに適した希釈剤(例えばトリプトン塩ブロス)、及び少なくとも1つの検出手段からなってもよい。検出手段は、食品試料14から得られた、移された増菌培地の画分中に存在する微生物を染色することができる色素であってもよい。検出手段はまた、微生物を蛍光させる蛍光化合物であってもよい。本発明者らが、チューブ20において継代培養を行うことを望む場合、反応混合物は、栄養素に加えて標的細菌の集団を増加させる選択系を含有してもよい。
【0033】
特定の例によれば、検出手段は、微生物によるトリフェニル2−3−5−テトラゾリウムクロリド(TTC)の還元に基づく。微生物の増殖と同時に、TTC(その非還元型では無色)は、前記微生物により取り込まれ、次いで後者により細胞質内でトリフェニルホルマザン(赤)に還元され、故に前記微生物を赤に染色するため、それらが次いで基質上で検出され得る。他のテトラゾリウム塩が使用されてもよい(CTC、MTT等)。さらに、テトラゾリウム塩の還元反応を加速する化合物が反応混合物に添加されてもよい。
【0034】
ゲンチアナバイオレット又はフクシンなどの膜染色を使用することも考えられる。
【0035】
検出手段が蛍光化合物である場合、それはアクリジンオレンジ又はフルオレセインジアセテートであってもよい。
【0036】
工程Cにおいて、感作捕捉基質24がチューブ20に入れられ、任意の適切な手段により反応混合物22中に浸漬された状態に保たれる。感作捕捉基質24は、検出される標的微生物の少なくとも1つの特異的結合パートナーにより官能化される。捕捉基質は、特異的結合パートナーの固定に適した、当業者に周知の任意の基質からなってもよい。非限定例として、適切な捕捉基質は、Nunc/Thermo Scientific社(Cat.No.472230)により市販されているものなどの照射ポリスチレン製であってもよい。この種の捕捉基質は、図2の参照24により概略的に示されている。好ましい実施態様によれば、下部は有利には2つに分けられてもよい。参照ゾーン241が、結合パートナー(ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fab’又はFab’2断片、アプタマー、ファージタンパク質)の溶液に感作され得るのに対し、上部242は、いかなる結合パートナーもないままであり、故に陰性対照の役割を果たす。基質を特異的結合パートナーで感作させる手法は、当業者に周知である。
【0037】
本発明による方法の1つの代替によれば、捕捉基質24が反応混合物22に浸漬されたら、継代培養の工程を実施することが有利であり得る。この継代培養は、チューブ20を25〜44℃の間の温度で1〜18時間インキュベートすることからなる。この代替によれば、微生物の染色の強度は、反応混合物に含有された検出手段のため微生物の増殖と同時に増加する。次いで分析は、リアルタイムで実施することができる。
【0038】
特定量の染色微生物又は蛍光標的微生物(陽性試料の場合)の有効な捕捉があると、基質における着色又は蛍光の出現により基質の光学特性に変化がある(すなわち、生体信号の伝達)。次いで捕捉基質のこの着色又は蛍光は、肉眼により検出可能であり、又はカメラなどの自動読み取り機を用いて測定することができる。結果が陽性となった分析後の捕捉基質は、図3に概略的に示されている。見てわかるように、ゾーン241は、標的微生物が特異的結合パートナーに固定することにより着色されて見える。その一部として、陰性対照の役割をするゾーン242は、依然として捕捉基質の当初の色をしている。
【0039】
読み取りを促進するために、感作捕捉基質は、反応混合物と好ましくはもはや接触させるべできではない。このため、図1の工程Dに明白に示されているように、捕捉基質24を任意の適切な手段により前記反応混合物から除去することが例えば想定されてもよい。上記に説明されている通り、読み取りは、点線として又はリアルタイムでエンドポイントに行うことができる。
【0040】
本発明による方法の別の代替によれば、捕捉基質は感作粒子から成り、すなわち検出される微生物の特異的又は非特異的結合パートナーを有する。次いで検出は、標的微生物が感作粒子に結合するため、反応中最初は無色の感作粒子の着色又は蛍光の出現により好ましくは示される。
【0041】
特定の実施態様によれば、感作粒子は磁性粒子であってもよい。次いで読み取りは、染色又は蛍光微生物が捕捉された磁性粒子を、容器壁際でクラスターの形態で捕集できるようにする着磁システムを用いて、手動及び目視により行うことができる。垂直上方への着磁システムの動きは、反応混合物からの磁性粒子クラスターの除去を可能にし、故に分析を促進する。微生物が固定された磁性粒子を捕集するのに、着磁システムを容器に直接浸漬することも想定され得る。この場合、磁性粒子は着磁システムに直接固定されるようになり、次いで着色又は蛍光するようになる。
【0042】
本発明による方法の別の実施態様によれば、上に記載された反応混合物及び捕捉基質は、増菌工程の最後に第1の容器に直接添加される。従って検出工程は、培地及び分析される試料からなる混合物の一部又は全てを第2の容器に移すことなく、前記第1の容器において実施される。この検出工程の前に、標的微生物の集団を増加させるために、継代培養が場合により実施されてもよい。
【0043】
有利には、捕捉基質は保護膜を用いて保護できることが留意されるべきである。この膜の目的は、捕捉基質のファウリングを防ぐことである。実際に、このようなファウリングは、前記基質の捕捉性能を損なう可能性がある。このような膜は、捕捉基質上に永続的に置くことができる。あるいは、それは、液体培地と一定時間接触した後で溶解し得る膜であってもよい。
【0044】
本発明による方法は、得られた仮定の結果を確証する追加の分析を実施するために、分析の最後に、検出システム(以下に記載)により陽性と同定された容器のみが開封されることから、特に有利である。確証工程は、本発明による方法において用いられたものと異なる技術を用いて実施することができる。
【0045】
以下に示される例の目的は、本発明による方法の種々の実施態様及び得られた結果を示すことである。それらは、本発明を決して制限するものではない。
【実施例】
【0046】
実施例1:感作基質を用いた、反応混合物での継代培養における食品試料中のサルモネラ・ナポリ(Salmonella Napoli)の光学的検出
この実験の目的は、Nunc/Thermo Scientific社(カタログ番号472230)により市販され、図2及び3に示されている照射ポリスチレン製感作基質を用いた、反応混合物での継代培養における食品試料中の標的細菌サルモネラ・ナポリの存在の直接検出である。
【0047】
以下に詳述されている通り、検出は、サルモネラに特異的な組換えファージタンパク質で感作した捕捉基質を、反応混合物に1/100希釈した増菌試料を含むチューブに浸漬して反応工程中に行う。
【0048】
プロトコル:
工程1:一次増菌培地への試料の再懸濁
2つの試料は次のように調製する:
試料A:ホモジナイズバッグにおいて、5コロニー形成単位(CFU)のサルモネラ・ナポリに汚染した25gの非低温殺菌牛乳チーズを、1mlのSupplement SPT(ビオメリュー、照会番号42650)を補充した225mLの緩衝ペプトン水(BPW)(ビオメリュー、照会番号42043)に再懸濁する;
【0049】
試料B:ホモジナイズバッグにおいて、サルモネラ・ナポリに汚染されていない25gの非低温殺菌牛乳チーズを、1mLのSupplement SPT(ビオメリュー、照会番号42650)を補充した225mLのBPW(ビオメリュー、照会番号42043)に再懸濁する。
【0050】
工程2:16時間のインキュベーション後の、ホモジナイズバッグから反応チューブへの0.1mLアリコートの移し替え
試料Aホモジナイズバッグからの0.1mLを、10mLのSX2(ビオメリュー、照会番号42121)及び1.6g/LのTTC(ビオメリュー、カタログ番号04568088)を含有する反応チューブに移す。これを試料A’とする。
【0051】
同様の操作を試料Bについて実施する。
【0052】
工程3:継代培養及び反応前の反応チューブへの感作基質の浸漬
感作捕捉基質を各チューブに入れる(試料A’及びB’)。次いでチューブを再び密閉し、37℃で6時間、ストーブ中でインキュベートする。
【0053】
工程4:インキュベーション期間の最後での捕捉基質の読み取り
インキュベーション(37℃で6時間)の終わり、及び試料中に存在する細菌の全て(すなわち、追加の細菌叢及び標的細菌叢に属する)によるTTCの非特異的還元後、反応混合物は赤くなった。故に、捕捉基質を観察し、分析試料が陽性又は陰性かどうかを明らかにするため、反応混合物から前記捕捉基質を単離するようにチューブを傾ける。
【0054】
実験デザイン通り、試料A’に入れた捕捉基質は赤く着色して見え、試料A’が陽性であることを確証するものであるのに対し、試料B’に入れた捕捉基質は無色のままであり、試料B’が陰性であることを確証するものである。本出願人により市販されている(照会番号30707)VIDAS(登録商標)SPT方法によるこれらの同じ試料の分析は、同様の結果をもたらし、故に感作捕捉基質の光学的読み取りにより得られた結果を確証した。
【0055】
実施例2:反応混合物に浸漬した感作基質を用いた、増菌生体試料中のサルモネラ・ナポリの光学的検出
この実験の目的は、Nunc/Thermo Scientific社(カタログ番号472230)により市販され、図2及び3に示されている照射ポリスチレン製感作基質を用いた、増菌食品試料中の標的細菌サルモネラ・ナポリの存在の直接検出である。
【0056】
以下に詳述されている通り、検出は、抗サルモネラ組換えファージタンパク質を有する感作捕捉基質を、反応混合物に1/2希釈した増菌試料を含有するチューブに浸漬して反応工程中に行う。
【0057】
プロトコル:
工程1:一次増菌培地への試料の再懸濁
2つの試料は次のように調製する:
試料A:ホモジナイズバッグにおいて、サルモネラ・ナポリに汚染した25gのミンチステーキを、1mLのSupplement SPT(ビオメリュー、照会番号42650)を補充した225mLのBPW(ビオメリュー、照会番号42043)に再懸濁する。
【0058】
試料B:ホモジナイズバッグにおいて、サルモネラ・ナポリに汚染されていない25gのミンチステーキを、1mLのSupplement SPT(ビオメリュー、照会番号42650)を補充した225mLのBPW(ビオメリュー、照会番号42043)に再懸濁する。
【0059】
工程2:16時間のインキュベーション後の、ホモジナイズバッグから反応チューブへの1mLアリコートの移し替え
試料Aホモジナイズバッグからの1mLを、10μLのゲンチアナバイオレット(ビオメリュー、照会番号55545)を補充した1mLのトリプトン塩(ビオメリュー、照会番号42076)を含有する反応チューブに移す。これを試料A’とする。
【0060】
同様の操作を試料Bについて実施する。
【0061】
工程3:反応前の反応チューブへの感作基質の浸漬
以下に記載の通り、感作捕捉基質を各チューブに入れる(試料A’及びB’)。次いで反応期間中、チューブを再び密閉する。
【0062】
工程4:反応期間の最後での捕捉基質の読み取り
反応(室温で40分)の最後に、試料中に存在する細菌の全て(すなわち、追加の細菌叢及び標的細菌叢に属する)が紫に染色される。故に、捕捉基質を観察できるようにし、分析試料が陽性又は陰性かどうかを明らかにするため、反応混合物から前記捕捉基質を単離するようにチューブを傾ける。
【0063】
実験デザイン通り、試料A’に入れた捕捉基質は紫に着色して見え、試料A’が陽性であることを確証するものであるのに対し、試料B’に入れた捕捉基質は無色のままであり、試料B’が陰性であることを確証するものである。本出願人により市販されている(照会番号30707)VIDAS(登録商標)SPT方法によるこれらの同じ試料の分析は、同様の結果をもたらし、故に感作捕捉基質を眼により読み取って得られた結果を確証した。
図1
図2
図3